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特開2023-101509半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法
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  • 特開-半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101509
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3835 20190101AFI20230713BHJP
   G01R 31/374 20190101ALI20230713BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20230713BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20230713BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20230713BHJP
   G01R 31/388 20190101ALI20230713BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230713BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
G01R31/3835
G01R31/374
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/387
G01R31/388
H02J7/00 X
H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074831
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2018140559の分割
【原出願日】2018-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇弘
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で精度が高く、小型化、低コスト化が可能な半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法を提供すること。
【解決手段】接続されたバッテリ20の第1電圧と第1電圧とは異なる第2電圧を出力する電圧検出部11と、第1電圧と第2電圧との電位差に基づき、バッテリ残量と開放電圧との相関を示す第1データからバッテリ残量とバッテリ電圧との相関を示す第2データを導出する補正部13と、第2データの下限電圧に応じたバッテリ残量に基づきバッテリの残量を算出する演算部12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されたバッテリの開放電圧である第1電圧と前記バッテリに負荷が接続された状態での電圧である第2電圧を出力する電圧検出部と、
前記第1電圧と前記第2電圧との電位差に基づき、バッテリ残量と開放電圧との相関を示す第1データから前記バッテリ残量とバッテリ電圧との相関を示す第2データを導出する補正部と、
前記第1電圧に応じた第1バッテリ残量と、前記第2データの下限電圧に応じた第2バッテリ残量と、に基づき前記第1バッテリ残量を補正する演算部と、
スリープ時の前記第1電圧と負荷時のうち最も低い電圧である前記第2電圧を前記電圧検出部から出力させる制御部と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2データは前記第1データから前記電位差を減じたバッテリ電圧値と前記バッテリ残量との相関を示すデータである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
接続されたバッテリの開放電圧である第1電圧と前記バッテリに負荷が接続された状態での電圧である第2電圧を検出し、
前記第1電圧と前記第2電圧との電位差に基づき、バッテリ残量と開放電圧との相関を示す第1データから前記バッテリ残量とバッテリ電圧との相関を示す第2データを導出し、
前記第1電圧に応じた第1バッテリ残量と、前記第2データの下限電圧に応じた第2バッテリ残量と、に基づき前記第1バッテリ残量を補正し、
スリープ時の前記第1電圧と負荷時のうち最も低い電圧である前記第2電圧を電圧検出部から出力させる
ことを特徴とするバッテリの残量の検出方法。
【請求項4】
前記第2データは前記第1データから前記電位差を減じたバッテリ電圧値と前記バッテリ残量との相関を示すデータである
請求項3に記載のバッテリの残量の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの残量を検出する方法には、大別して、電圧法、クーロンカウント法がある。
一般的に電圧法によるバッテリ残量の検出方式は精度が低く、クーロンカウント法によるバッテリ残量の検出方式の方が、精度は向上する。クーロンカウント法は、電圧検出回路、クーロンカウンタ回路、およびセンス抵抗を用いて、バッテリの残量(以下、「SOC」(State of Charge:充電率)という場合がある)を検出し、その結果をバッテリが接続されたシステムに通知する。
【0003】
一方、電圧法を用いたバッテリ残量の検出について開示した文献として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1に開示された電池残容量検知方法は、電源に電池を使用する機器において、電源の電圧を測定する電圧測定手段と、予め決められた負荷を発生させる負荷手段と、無負荷状態と負荷手段による負荷をかけた状態とで夫々電源の出力電圧を測定し、それらの測定値より電池の残り容量を検知する残量検知手段とを有することを特徴としている。つまり、電池に負荷をかけた状態と電池が無負荷の状態との電圧差と電池の使用時間とが相関付けられたテーブルを備えることで、電圧差から電池残量を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-153647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したクーロンカウント法では電圧検出回路とクーロンカウンタ回路の2種類の回路とセンス抵抗が必要なことから装置が大型化し、高コスト化するという問題がある。そのため、特に価格の問題から、低価格のシステム(例えば、IoT(Intrnet of Things)無線センサ端末等)に適用しにくいという課題があった。
【0006】
一方、特許文献1に開示された方法では、電池にかかる負荷が変動した場合に正確なバッテリ残量の測定が困難である。さらに、電池に負荷をかけた状態と電池が無負荷の状態との電圧差が、電池の劣化に伴い変化した際には正確なバッテリ残量の測定が難しいという課題を生じる。
【0007】
ここで、電池の劣化に対する測定精度を向上させるために、電池の劣化に対応する複数の電圧差と電池の使用時間とを相関付けるテーブルを備える方法もある。しかしながら、当該方法では電池の劣化に伴う電圧差の取得に膨大な時間とコストがかかるという課題、そして、テーブルを格納するためにメモリ容量が増大するという課題が発生する。特に上述したようにIoT等で使用される機器のバッテリの残量の検出装置は低コスト化、小型化が求められており、複数のテーブルを備えることは困難である。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で精度が高く、小型化、低コスト化が可能な半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置は、接続されたバッテリの第1電圧と前記第1電圧とは異なる第2電圧を出力する電圧検出部と、前記第1電圧と前記第2電圧との電位差に基づき、バッテリ残量と開放電圧との相関を示す第1データから前記バッテリ残量とバッテリ電圧との相関を示す第2データを導出する補正部と、前記第2データの下限電圧に応じた前記バッテリ残量に基づき前記バッテリの残量を算出する演算部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るバッテリの残量の検出方法は、接続されたバッテリの第1電圧と前記第1電圧とは異なる第2電圧を検出し、前記第1電圧と前記第2電圧との電位差に基づき、バッテリ残量と開放電圧との相関を示す第1データから前記バッテリ残量とバッテリ電圧との相関を示す第2データを導出し、前記第2データの下限電圧に応じた前記バッテリ残量に基づき前記バッテリの残量を算出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で精度が高く、小型化、低コスト化が可能な半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係るバッテリ使用システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】(a)は実施の形態に係るバッテリ残量検出処理の考え方を示す図、(b)は実施の形態に係るバッテリ残量検出処理の別法を示す図である。
図3】実施の形態に係るバッテリ残量検出処理プログラムの流れを示すフローチャートである。
図4】実施の形態に係るOCV-SOCテーブルの一例を示す図である。
図5】実施の形態に係るバッテリ使用システムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0014】
図1から図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法について説明する。本実施の形態では、電池(以下、「バッテリ」)により電力が供給され、所定の機能を発揮するシステム(以下、「バッテリ使用システム」)において、該バッテリの残量を検出する半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法を例示して説明する。すなわち、本実施の形態に係る半導体装置はバッテリの残量の検出装置を含んでいる。バッテリ使用システムとしては例えばIoT機器が例示され、より具体的には所定の対象物の物理量を測定し、監視するセンサシステム等が挙げられる。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係るバッテリ使用システム1は、半導体装置10、バッテリ20、および負荷21を含んで構成されている。すなわち、バッテリ使用システム1では、上述した従来技術のようにクーロンカウンタ回路、およびセンス抵抗を備えていない。
【0016】
バッテリ20の種類は特に限定されないが、本実施の形態では一例としてリチウムイオンセルを用いている。リチウムイオンセルの場合、OCV(Open Circuit Voltage)=4.2Vのときが満充電状態である、すなわちSOC(State of Charge)=100%である。ここで、OCV(開放電圧または開回路電圧)とは、負荷が接続されておらず、負荷に電圧、電流が印加されていない状態でのバッテリの電圧をいう。また、SOC(充電状態または充電率)とは、仕様上の完全放電状態を0%、満充電状態を100%として表したバッテリの充電状態をいう。
【0017】
負荷21はバッテリ20によって電圧、電流を供給されて動作する回路であり、バッテリ使用システム1の主たる機能を発揮する部位である。上述したように本実施の形態では、バッテリ使用システム1は一例としてセンサシステムとされており、負荷21には該センサシステムのセンサ駆動回路、監視情報を監視システムに送信する送信器等が含まれている。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る半導体装置10は、電圧検出部11、SOC演算部12、補正部13、LUT(Look Up Table)14、および制御部15を含んで構成されている。
【0019】
電圧検出部11は、センサシステムにより構成される負荷21が接続された状態でのバッテリ20の両端の電圧(以下、「バッテリ電圧VBAT」)を検出する(測定する)部位である。SOC演算部12は、後述するバッテリ残量検出処理によってSOCを演算する部位である。補正部13は、該バッテリ残量検出処理によってSOCを補正する部位である。LUT14は、該バッテリ残量検出処理における参照処理で用いる表である。制御部15は主として該バッテリ残量検出処理を実行する部位であり、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。制御部15は、電圧検出部11、SOC演算部12、および補正部13を制御している。
【0020】
ところで、本実施の形態に係るバッテリ使用システム1のようなIoT無線センサ端末等のセンサシステムでは、消費電力を抑えるために、動作の大半がスリープ状態とされていることが多い。「スリープ状態」とは、電源を投入状態に保ちつつ省電力の状態にすることをいう。そのため、センサシステムにより構成される負荷21がスリープ状態にあるスリープ区間Ts、起動状態にある起動区間Taが繰り返される。
【0021】
図2(a)を参照してスリープ区間Tsおよび起動区間Taと、OCVおよびバッテリ電圧VBATとの関係について説明する。図2(a)の実線はバッテリ残量すなわちSOCと開放電圧すなわちOCVの関係を示す。スリープ区間Ts、起動区間Taの各区間でバッテリ電圧VBATを測定すると図2(a)に示す破線のようになる。すなわち、起動区間Taにおいて電圧検出部11によって測定されたバッテリ電圧VBATは電圧降下により低下している。一方、スリープ区間Tsにおいては、バッテリ電圧VBATは上昇している。その際、バッテリ使用システム1ではスリープ区間Tsが多いため、システム起動直前の最新のスリープ時のバッテリ電圧VBATはOCVに近くなる。そのため、その時のバッテリ電圧VBATはその時のOCVに等しいとみなすことができる。本実施の形態に係る半導体装置、バッテリの残量の検出方法では、この点に着目してバッテリの残量を検出している。ここで、図2(a)に示すVsはOCVの初期値であり、本実施の形態はバッテリ20としてリチウムイオンセルを用いているので、Vsは約4.2Vである。
【0022】
次に図3および図2(a)を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10で実行されるバッテリ残量検出処理について説明する。図3は、本実施の形態に係るバッテリ残量検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態に係る半導体装置10では、図3に示す処理は、図示しないUI(ユーザインタフェース)部等を介してバッテリ残量検出の開始を指示することで、制御部15内に備えられた図示しないCPUがROM等の記憶手段に記憶された本バッテリ残量検出処理プログラムを読み込み、RAM等に展開して実行する。
【0023】
本実施の形態に係るバッテリ残量検出処理では、バッテリ使用システム1において使用されるにつれて変化するバッテリ20の残量を検出(推定)するに際し、バッテリ使用システム1において使用されるにつれて変化するバッテリ20の最新のOCVの推定値を用いてその時のSOCを求め、求めたSOCからバッテリ20がバッテリ使用システム1で使用不能になると予測されるSOCを演算する。すなわち、バッテリの残量の検出においては一般に誤差が問題となるが、本実施の形態では常に最新のOCVを用いてその時点でのバッテリ20の残量を予測しているので、従来技術と比較して精度が向上している。
【0024】
まずステップS100、S101で、スリープ時の(すなわちスリープ区間Tsにおける)バッテリ電圧VBAT0を電圧検出部11によって検出しながらバッテリ使用システム1が起動するまで待機する。この期間において半導体装置10の制御部15は省電力モードで動作を行いつつ電圧検出部11を制御する。バッテリ電圧VBAT0の検出は予め定められた時間を周期として周期的に行ってもよい。換言すると、バッテリ使用システム1が起動した際には、常時最新のバッテリ電圧VBAT0が検出されている。バッテリ電圧VBAT0の検出値は各値を履歴として図示しないRAM等の記憶手段に残してもよいし、常に最新の値に更新するようにしてもよい。
【0025】
ステップS102で制御部15は、バッテリ使用システム1が起動した後の(つまり起動区間Taにおける)バッテリ電圧VBAT1を、電圧検出部11によって検出させる。バッテリ電圧VBAT1の検出は、バッテリ20の稼働による状態の変化を考慮し、極力、バッテリ使用システム1の起動した後であってバッテリ使用システム1が安定動作に移行した直後に行うのが好ましい。また、VBAT1を測定するタイミングについては、センサシステムにより構成される負荷21の動作により負荷がかかっている状態で最も電圧値が低いバッテリ電圧VBATをバッテリ電圧VBAT1として取得する、つまり、起動区間Taにおいて測定したバッテリ電圧VBATの最小値をバッテリ電圧VBAT1とすることにより、より高精度なバッテリ残量の検出が可能となる。
【0026】
ステップS103で制御部15はSOC演算部12を制御し、図2(a)に示すように、バッテリ電圧VBAT0をその時(残量検出時)のOCVであるOCV1とみなし、残量検出時のSOCであるSOC1を取得させる。あるバッテリ20のSOCとOCVの間には、例えば、図2(a)の実線で示された一定の関係があるので、この関係を予めテーブル等によって作成しておき(以下、「OCV-SOCテーブル」)、随時このOCV-SOCテーブルを参照してOCV1からSOC1(残量検出時のSOC)を求めるようにしてもよい。図4はこのOCV-SOCテーブルの一例を示しており、本OCV-SOCテーブルがすなわち本実施の形態に係るLUT14となっている。OCV-SOCテーブルは、例えば図示しないROM等の記憶手段に記憶させておいてもよい。なお、OCVとSOCの関係の記述は図4のようなテーブルに限られず、例えば数式の形式で記述してもよい。
【0027】
ステップS104で制御部15はSOC演算部12を制御し、以下に示す(式1)を用いて、図2(a)に示す降下電圧VDROP1を算出させる。
VDROP1=OCV1-VBAT1 ・・・ (式1)
降下電圧VDROP1は、残量検出時のバッテリ電圧VBATの、残量検出時のOCVからの降下分を示している。
【0028】
ステップS105で制御部15はSOC演算部12を制御し、以下に示す(式2)を用いて、図2(a)に示すOCV2を演算させる。
OCV2=VBAT_MIN+VDROP1 ・・・ (式2)
ただし、VBAT_MINは、バッテリ使用システム1が正常に動作できなくなるバッテリ電圧VBATの最小値(最小バッテリ電圧)を表している。最小バッテリ電圧VBAT_MINの具体的な値は例えば3.4Vである。
【0029】
ステップS106で制御部15はSOC演算部12を制御し、OCV-SOCテーブル(図4参照)を用いてOCV2に対応するSOC2を取得させる(図2(a)参照)。
【0030】
ステップS107で制御部15は補正部13を制御し、以下に示す(式3)から(式5)を用いてSOC2を補正し、補正SOCを算出させる。
NewSOCFull=100-SOC2 ・・・ (式3)
NewSOCNow=SOC1-SOC2 ・・・ (式4)
補正SOC=(NewSOCNow/NewSOCFull)×100・・・ (式5) すなわち、SOC2は最小バッテリ電圧VBAT_MINに対応するSOCであるが、未だ0(ゼロ)までは至っていない。そこで、SOC2=0とした場合の残量検出時のSOC1を補正SOCとして算出している。このことにより、補正SOCから直接バッテリ20の残量を判断することができる。
【0031】
ステップS108で制御部15は図示しないUI部を制御し、補正SOCを通知させ、その後ステップS100に戻り、バッテリ使用システム1が起動するまで待機する。補正SOCの通知は、上記のようにバッテリ使用システム1の図示しないUI部等を介して通知してもよいし、他の方法によって通知してもよい。また、本バッテリ残量検出処理プログラムは、例えばバッテリ使用システム1の電源がオフにされた場合に停止するようにしてもよい。なお、図3に示すフローチャートにおいては、ある起動区間Taでバッテリ残量検出処理を行った後は、原則的に2回以上行う必要はない。従って、ステップS108において補正SOCを通知した後フラグを立て、当該起動区間Taの間以降の処理を停止させるように構成してもよい。
【0032】
図2(b)を参照し、残量検出時のSOCの算出方法の別法について説明する。
(手順1)図2(a)に示す各SOCに対応するOCVのからVDROP1を減じ、曲線OCVを下方にシフトさせて図2(b)に示す曲線OCV’を作図する。以下曲線OCV’を「VBAT-SOC曲線」という。すなわち、本別法では曲線OCV’をバッテリ電圧VBATの変化とみなしている。
(手順2)VBAT-SOC曲線がVBAT_MINと交わる部分をSOC=0%とする。
(手順3)VBAT_MINと交わる部分をSOC=0%とした場合の現在のSOCを算出し現在のバッテリ残量とする。
【0033】
本実施の形態に係る半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法によれば、クーロンカウンタ回路とセンス抵抗を用いないで現在のSOCの検出が可能となるので、簡易な構成で精度が高く、小型化、低コスト化が可能な半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法を提供することができる。
【0034】
また、バッテリ使用システムがスリープ状態から回復した際に、バッテリ残量(SOC)と開放電圧(OCV)との相関を示す第1データ(OCV-SOCテーブル)の開放電圧値から、第1電圧と第2電圧との電位差(VDROP1)の値を減じてバッテリ残量(SOC)と負荷がかかった状態のバッテリ電圧(VBAT)との相関を示す第2データ(VBAT-SOC曲線)を求め、第2データとバッテリ使用システムの動作に必要な下限電圧(VBAT_MIN)とから現在のバッテリ残量を推定/更新することで、複数の電圧差とバッテリの使用時間とを相関付けるテーブルを用意することなく、負荷電圧の変動、バッテリの劣化に影響されない高精度なバッテリ残量の推定が可能となる。この際、本実施の形態では、降下電圧VDROP1がバッテリの使用時間の経過に伴って大きくなるという現象に着目し、これを利用している。
【0035】
<変形例>
図5を参照して、上記実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、上記実施の形態に係る半導体装置10をMCU(Micro Controller Unit)を用いて実現した形態である。すなわち、上記実施の形態ではスリープ時においてもバッテリ電圧VBATの測定が可能なように専用の電圧検出部11を用いていたが、本実施の形態では、電圧検出回路として汎用のMCUに内蔵されたADC(Analog Digital Converter)を使用し、SOC演算部12、補正部13はソフトウェアで実行する。
【0036】
図5は本実施の形態に係るバッテリ使用システム1aを示している。図5に示すように、本実施の形態に係るMCU30は電圧検出部16、制御部31、およびLUT14を含んでいる。なお、以下の説明では図1に示すバッテリ使用システム1と同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
上述したように、本実施の形態に係る電圧検出部16はMCU30のADCを用いて構成されている。制御部31はSOC演算部12および補正部13を含んで構成されるが、上述したように本実施の形態ではソフトウェアによって構成されている。
【0038】
本実施の形態に係るバッテリ使用システム1aでは、MCU30が起動した後電圧検出部16によるバッテリ電圧の検出が実行される。そこで、例えばMCU30を低消費電力モードで起動し電圧検出を行った後、通常の動作モードに移行しバッテリ残量検出処理を行う。低消費電力モードでMCU30を動作させることで電圧の降下を抑え、その結果残量検出時のバッテリ電圧VBATをOCVとみなすことができ、現在のSOCの検出が可能となる。
【0039】
本変形例に係るバッテリ残量検出処理は基本的に図3に示すフローチャートに従って実行される。違いはバッテリ使用システムの初期状態だけであり、具体的には図3のステップS100において「スリープ時」を「低消費電力時」と読み替えればよい。
【0040】
以上のように本実施の形態に係る半導体装置、およびバッテリの残量の検出方法によれば、汎用MCUのみで現在の(残量検出時の)SOCの検出が可能となるので、さらなるコストの削減が期待される。
【符号の説明】
【0041】
1、1a バッテリ使用システム
10 半導体装置
11 電圧検出部
12 SOC演算部
13 補正部
14 LUT
15 制御部
16 電圧検出部
20 バッテリ
21 負荷
30 MCU
31 制御部
Ts スリープ区間
Ta 起動区間
VDROP1 降下電圧
VBAT1 バッテリ電圧
VBAT_MIN 最小バッテリ電圧
図1
図2
図3
図4
図5