IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

特開2023-101955ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法
<>
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図1
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図2
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図3
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図4
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図5
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図6
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図7
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図8
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図9
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図10
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図11
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図12
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図13
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図14
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図15
  • 特開-ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101955
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ポンプの昇降装置、ポンプ搬入方法、ポンプ引き上げ方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/08 20060101AFI20230714BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20230714BHJP
   F04D 7/02 20060101ALI20230714BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
F04D13/08 N
F17C9/00 A
F04D7/02 A
F04D29/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002216
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】本田 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 哲司
(72)【発明者】
【氏名】池田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】渡次 圭
(72)【発明者】
【氏名】菊池 日向
(72)【発明者】
【氏名】石見 光隆
【テーマコード(参考)】
3E172
3H130
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB03
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD05
3E172EB10
3H130AA06
3H130AB23
3H130AB50
3H130AB52
3H130AB60
3H130AC01
3H130BA53Z
3H130BA95Z
3H130DJ01Z
3H130DJ06Z
3H130ED02Z
(57)【要約】
【課題】潜没式ポンプのポンプコラムへの搬入およびポンプコラムからの引き上げ時に、ボイルオフガス(BOG)のポンプコラムからの放出を防止するために使用されるパージガスの量を削減することができる昇降装置を提供する。
【解決手段】昇降装置60は、巻き上げ機61と、巻き上げ機61に連結された吊りケーブル23と、潜没式ポンプ2に取り付けられた連結構造体28と、潜没式ポンプ2の上方に配置され、パージ容器1の上部開口を覆う形状を有するヘッドプレート20と、連結構造体28をヘッドプレート20に係止させる係止部材65を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを移送するために使用される潜没式ポンプを、パージ容器、および該パージ容器に連結されたポンプコラム内で上昇および下降させる昇降装置であって、
巻き上げ機と、
前記巻き上げ機に連結された吊りケーブルと、
前記潜没式ポンプに取り付けられた連結構造体と、
前記潜没式ポンプの上方に配置され、前記パージ容器の上部開口を覆う形状を有するヘッドプレートと、
前記連結構造体を前記ヘッドプレートに係止させる係止部材を備えている、昇降装置。
【請求項2】
前記ヘッドプレートは、前記連結構造体の上部および前記吊りケーブルが通過可能な通孔を有している、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記通孔を閉じる封止リンクをさらに備えている、請求項1または2に記載の昇降装置。
【請求項4】
液化ガスを移送するために使用される潜没式ポンプを、パージ容器に連結されたポンプコラム内に搬入する方法であって、
巻き上げ機に連結された吊りケーブルを、前記潜没式ポンプの上方に配置されたヘッドプレートに連結し、
前記潜没式ポンプ、前記ヘッドプレート、前記潜没式ポンプに取り付けられた連結構造体、および前記連結構造体を前記ヘッドプレートに係止させる係止部材を一体に下降させて、前記ヘッドプレートで前記パージ容器の上部開口を覆い、
前記吊りケーブルを前記連結構造体に連結し、
前記係止部材を取り外し、
前記パージ容器および前記ポンプコラムの少なくとも一方にパージガスを供給しながら、前記吊りケーブルに吊り下げられた前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記パージ容器および前記ポンプコラム内で下降させる、方法。
【請求項5】
前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記パージ容器および前記ポンプコラム内で下降させるとき、前記吊りケーブルは前記ヘッドプレートに形成されている通孔内を延びている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記潜没式ポンプが前記ポンプコラム内の所定位置に配置された後、封止リンクにより前記通孔を閉じる工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
液化ガスを移送するために使用される潜没式ポンプを、パージ容器に連結されたポンプコラムから引き上げる方法であって、
巻き上げ機から延びる第1吊りケーブルを第2吊りケーブルに連結し、前記第2吊りケーブルは前記潜没式ポンプに取り付けられた連結構造体に連結されており、
前記パージ容器の上部開口がヘッドプレートで覆われた状態で、前記パージ容器および前記ポンプコラムの少なくとも一方にパージガスを供給しながら、前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記ポンプコラムから前記パージ容器内まで引き上げ、
係止部材により前記連結構造体を前記ヘッドプレートに係止させ、
前記第1吊りケーブルを前記ヘッドプレードに連結し、
前記ヘッドプレート、前記連結構造体、前記係止部材、および前記潜没式ポンプを一体に上昇させて、前記潜没式ポンプを前記パージ容器の外に移動させる、方法。
【請求項8】
前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記ポンプコラムから前記パージ容器内まで引き上げるとき、前記第2吊りケーブルは前記ヘッドプレートに形成されている通孔内を延びている、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化アンモニアや液化天然ガス(LNG)や液体水素などの液化ガスを昇圧するための潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入、およびポンプコラムから引き上げるための昇降装置に関する。さらに、本発明はそのような昇降装置を用いて、潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法、および潜没式ポンプをポンプコラムから引き上げる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、火力発電や化学原料として広く利用されている。また、アンモニアや水素は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を発生しないエネルギーとして期待されている。エネルギーとしての水素の用途には、燃料電池およびタービン発電などが挙げられる。天然ガス、アンモニア、および水素は、常温では気体の状態であるため、これらの貯蔵および運搬のために、天然ガス、アンモニア、および水素は冷却され、液化される。液化天然ガス(LNG)や液化アンモニアや液体水素などの液化ガスは、一旦液化ガス貯槽に貯蔵された後、ポンプによって発電所や工場などに移送される。
【0003】
図15は、液化ガスが貯蔵された液化ガス貯槽と、液化ガスを汲み上げるためのポンプの従来例を示す模式図である。ポンプ500は、液化ガス貯槽501に設置された縦型ポンプコラム505内に設置される。ポンプコラム505の上端開口は、上蓋510で閉じられている。ポンプコラム505内は液化ガスで満たされ、ポンプ500の全体は液化ガス中に浸漬される。したがって、ポンプ500は、液化ガス中で運転可能な潜没式ポンプである。
【0004】
ポンプ500が運転されると、液化ガス貯槽501内の液化ガスはポンプコラム505内に吸い込まれ、ポンプコラム505を上昇し、そしてポンプコラム505から液化ガス排出ポート509を通じて排出される。ポンプコラム505には、パージガス導入ポート512が設けられている。このパージガス導入ポート512は、ポンプ500の運転時には閉じられている。
【0005】
図16は、ポンプ500をポンプコラム505内に搬入する作業、およびポンプ500をポンプコラム505から引き上げる作業を説明する図である。ポンプ500をポンプコラム505内に設置するとき、およびメンテナンスなどの目的でポンプ500をポンプコラム505から引き上げるとき、上蓋510が外され、ケーブル508は巻き上げ機513に接続される。ポンプ500はケーブル508に吊り下げられ、巻き上げ機513によってポンプコラム505内を上昇および下降される。
【0006】
ポンプコラム505内に残留する液化ガスはガス化して、ボイルオフガス(BOG)を形成する。ポンプ500の搬入および引き上げの間は、このボイルオフガス(BOG)が大気に放出されることを防ぐために、パージガス導入ポート512を通じてパージガスがポンプコラム505内に導入される。パージガスは、ポンプコラム505内への空気の侵入を防ぐ役割も持つ。パージガスには、Nガス、Heガスなどの不活性ガスが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3197645号公報
【特許文献2】特許3198248号公報
【特許文献3】特許3472379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ポンプコラム505の上部開口は、ポンプ500の幅よりも大きいため、ボイルオフガス(BOG)のポンプコラム505外への放出を防ぎつつ、空気のポンプコラム505内への侵入を防ぐためには、大量のパージガスが必要となる。特に、Heガスは高価であり、ポンプ500の搬入および引き上げ作業のコストが上昇してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、潜没式ポンプのポンプコラムへの搬入およびポンプコラムからの引き上げ時に、ボイルオフガス(BOG)のポンプコラムからの放出を防止するために使用されるパージガスの量を削減することができる昇降装置を提供する。また、本発明は、そのような昇降装置を用いて、潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法、および潜没式ポンプをポンプコラムから引き上げる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、液化ガスを移送するために使用される潜没式ポンプを、パージ容器、および該パージ容器に連結されたポンプコラム内で上昇および下降させる昇降装置であって、巻き上げ機と、前記巻き上げ機に連結された吊りケーブルと、前記潜没式ポンプに取り付けられた連結構造体と、前記潜没式ポンプの上方に配置され、前記パージ容器の上部開口を覆う形状を有するヘッドプレートと、前記連結構造体を前記ヘッドプレートに係止させる係止部材を備えている、昇降装置が提供される。
【0011】
一態様では、前記ヘッドプレートは、前記連結構造体の上部および前記吊りケーブルが通過可能な通孔を有している。
一態様では、前記昇降装置は、前記通孔を閉じる封止リンクをさらに備えている。
【0012】
一態様では、液化ガスを移送するために使用される潜没式ポンプを、パージ容器に連結されたポンプコラム内に搬入する方法であって、巻き上げ機に連結された吊りケーブルを、前記潜没式ポンプの上方に配置されたヘッドプレートに連結し、前記潜没式ポンプ、前記ヘッドプレート、前記潜没式ポンプに取り付けられた連結構造体、および前記連結構造体を前記ヘッドプレートに係止させる係止部材を一体に下降させて、前記ヘッドプレートで前記パージ容器の上部開口を覆い、前記吊りケーブルを前記連結構造体に連結し、前記係止部材を取り外し、前記パージ容器および前記ポンプコラムの少なくとも一方にパージガスを供給しながら、前記吊りケーブルに吊り下げられた前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記パージ容器および前記ポンプコラム内で下降させる、方法が提供される。
【0013】
一態様では、前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記パージ容器および前記ポンプコラム内で下降させるとき、前記吊りケーブルは前記ヘッドプレートに形成されている通孔内を延びている。
一態様では、前記方法は、前記潜没式ポンプが前記ポンプコラム内の所定位置に配置された後、封止リンクにより前記通孔を閉じる工程をさらに含む。
【0014】
一態様では、液化ガスを移送するために使用される潜没式ポンプを、パージ容器に連結されたポンプコラムから引き上げる方法であって、巻き上げ機から延びる第1吊りケーブルを第2吊りケーブルに連結し、前記第2吊りケーブルは前記潜没式ポンプに取り付けられた連結構造体に連結されており、前記パージ容器の上部開口がヘッドプレートで覆われた状態で、前記パージ容器および前記ポンプコラムの少なくとも一方にパージガスを供給しながら、前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記ポンプコラムから前記パージ容器内まで引き上げ、係止部材により前記連結構造体を前記ヘッドプレートに係止させ、前記第1吊りケーブルを前記ヘッドプレードに連結し、前記ヘッドプレート、前記連結構造体、前記係止部材、および前記潜没式ポンプを一体に上昇させて、前記潜没式ポンプを前記パージ容器の外に移動させる、方法が提供される。
一態様では、前記連結構造体および前記潜没式ポンプを、前記ポンプコラムから前記パージ容器内まで引き上げるとき、前記第2吊りケーブルは前記ヘッドプレートに形成されている通孔内を延びている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヘッドプレートによりパージ容器の上部開口が覆われた状態で、潜没式ポンプのポンプコラムへの搬入および引き上げを行うことができる。したがって、ボイルオフガス(BOG)のポンプコラムからの放出を防止するために使用されるパージガスの量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】液化ガスを移送するためのポンプシステムの一実施形態を示す図である。
図2】ヘッドプレートおよび封止リンクの一実施形態を示す断面図である。
図3】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する前のポンプシステムと、潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入するために使用される昇降装置の一実施形態を示す図である。
図4】係止部材の一実施形態を示す斜視図である。
図5】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図6】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図7】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図8】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図9】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図10】潜没式ポンプをポンプコラム内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。
図11】潜没式ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図12】潜没式ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図13】潜没式ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図14】潜没式ポンプをポンプコラムから引き上げる方法の一実施形態を説明する図である。
図15】液化ガスが貯蔵された液化ガス貯槽と、液化ガスを汲み上げるためのポンプの従来例を示す模式図である。
図16】ポンプをポンプコラム内に搬入する作業、およびポンプをポンプコラムから引き上げる作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、液化ガスを移送するためのポンプシステムの一実施形態を示す図である。図1に示すポンプシステムによって移送される液化ガスの例としては、液化アンモニア、液体水素、液体窒素、液化天然ガス、液化エチレンガス、液化石油ガスなどが挙げられる。
【0018】
図1に示すように、ポンプシステムは、液化ガスを移送するための潜没式ポンプ2と、潜没式ポンプ2が内部に収容されたポンプコラム3と、ポンプコラム3の上端に連結されたパージ容器1と、パージ容器1の上端に固定されたカバー壁10と、カバー壁10の上部開口を閉じる上蓋12を備えている。ポンプコラム3は、液化ガスが貯留される液化ガス貯槽5内に設置されている。ポンプコラム3は、鉛直方向に延びた中空状の容器であり、その上部は液化ガス貯槽5から上方に突出している。パージ容器1は、ポンプコラム3に連通している。ポンプコラム3はパージガス導入ポート8および吐出しポート9を有している。
【0019】
ポンプコラム3の底部には吸込み弁6が設けられている。潜没式ポンプ2はポンプコラム3の吸込み弁6上に設置される。吸込み弁6は、ポンプコラム3の下部開口を覆う弁体6Aと、弁体6Aを上方に付勢する複数のばね6Bを有している。潜没式ポンプ2が弁体6A上の置かれていないときは、弁体6Aは複数のばね6Bによってポンプコラム3の下端に押し付けられ、ポンプコラム3の下部開口を閉じる。潜没式ポンプ2が弁体6A上に置かれると、潜没式ポンプ2の自重により弁体6Aはばね6Bの力に抗って下方に移動し、これにより吸込み弁6が開く。吸込み弁6は、アクチュエータ駆動型弁(例えば電動弁)でもよい。
【0020】
パージ容器1は、潜没式ポンプ2をポンプコラム3に搬入する前、および潜没式ポンプ2をポンプコラム3から引き上げた後に、潜没式ポンプ2をパージガスにさらすための装置である。パージ容器1は、ポンプコラム3の上端に固定されている。パージ容器1は、その内部空間15に連通するパージガス入口ポート17およびガス出口ポート18を備えている。パージ容器1の上部開口はヘッドプレート20で覆われ、パージ容器1の下部開口はゲート弁21によって閉じることが可能である。本実施形態のゲート弁21は、ハンドル21aを手動で操作することで開閉させる手動タイプであるが、電動で開閉するように構成されてもよい。
【0021】
ヘッドプレート20は、パージ容器1の上端に着脱可能に固定されている。吊りケーブル23および連結構造体28は、ヘッドプレート20に固定された封止リンク30から吊り下げられている。吊りケーブル23は、複数の分割吊りケーブル23B、およびこれら分割吊りケーブル23Bを連結する連結リンク24を含む。各分割吊りケーブル23Bの長さは、ポンプコラム3の長さよりも短い。複数の分割吊りケーブル23Bは、連結リンク24により直列に繋がれている。
【0022】
連結構造体28は、潜没式ポンプ2に取り付けられている。連結構造体28は、その上端に連結リンク33を有しており、この連結リンク33は吊りケーブル23の下端に連結されている。連結構造体28の具体的な構成は特に限定されず、ケーブルまたはロッドなどを備えてもよい。吊りケーブル23および連結構造体28は、パージ容器1およびポンプコラム3内を鉛直方向に延びている。
【0023】
ヘッドプレート20は、カバー壁10および上蓋12によって覆われている。上蓋12の上面には電気端子35が取り付けられている。この電気端子35は、図示しない電源に接続されている。潜没式ポンプ2の電動機に電力を供給するための電力ケーブル36は、吊りケーブル23および連結構造体28に沿ってポンプコラム3、パージ容器1、およびカバー壁10内を鉛直方向に延び、電気端子35に電気的に接続されている。
【0024】
潜没式ポンプ2の運転中は、パージガス導入ポート8、パージガス入口ポート17、ガス出口ポート18は、図示しない弁によりそれぞれ閉じられており、ゲート弁21は開かれている。
【0025】
潜没式ポンプ2の運転中は、液化ガス貯槽5内の液化ガスは、吸込み弁6を通じてポンプコラム3内に導入され、ポンプコラム3内は液化ガスで満たされる。潜没式ポンプ2の運転中、潜没式ポンプ2の全体は液化ガス中に浸漬される。したがって、潜没式ポンプ2は、液化ガス中で運転可能なように構成されている。潜没式ポンプ2によって昇圧された液化ガスは、吐出しポート9を通じて外部に移送される。
【0026】
図2は、ヘッドプレート20および封止リンク30の一実施形態を示す断面図である。ヘッドプレート20は、パージ容器1の上部開口を覆う形状を有したプレート本体40と、プレート本体40から上部に延びる突出部41と、突出部41の周りを囲む可動フランジ42と、突出部41の外面と可動フランジ42の内面との隙間を封止するシール44(例えば、グランドパッキン)を備えている。突出部41および可動フランジ42は円筒形状を有している。可動フランジ42は、突出部41およびプレート本体40に対して相対的に上下方向に移動可能である。ヘッドプレート20は、プレート本体40の両側に固定されたケーブルポート47を備えている。各ケーブルポート47は、吊りケーブル23が通過可能な孔(図示せず)を有している。
【0027】
ヘッドプレート20は、突出部41に形成された通孔50を有している。この通孔50は上下方向に延びている。通孔50の幅は、吊りケーブル23および連結構造体28(図1参照)の上部の幅よりも大きく、連結構造体28(連結リンク33含む)の上部および吊りケーブル23(連結リンク24を含む)は通孔50を通過することが可能である。ヘッドプレート20は、ボルトおよびナットなどの締結具53によりパージ容器1の上端に取り外し可能に固定されている。封止リンク30は、可動フランジ42にねじなどの締結具(図示せず)により取り外し可能に固定されている。通孔50の上端は、封止リンク30によって閉じられている。電力ケーブル36は封止リンク30を貫通して延びている。吊りケーブル23を構成する分割吊りケーブル23Bおよび電力ケーブル36は、通孔50を通って延びている。
【0028】
次に、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する方法の一実施形態について説明する。図3は、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する前のポンプシステムと、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内に搬入するために使用される昇降装置60の一実施形態を示す図である。カバー壁10および上蓋12は、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する前に取り外される。ゲート弁21は閉じられる。
【0029】
昇降装置60は、ホイスト、ウインチなどの巻き上げ機61と、巻き上げ機61に連結された上記吊りケーブル23と、潜没式ポンプ2から上方に延びる上記連結構造体28と、潜没式ポンプ2の上方に配置され、パージ容器1の上部開口を覆う形状を有する上記ヘッドプレート20と、連結構造体28をヘッドプレート20に係止させる係止部材65を備えている。巻き上げ機61は、ポンプコラム3およびパージ容器1の上方に配置されている。
【0030】
連結構造体28の下端は潜没式ポンプ2に連結され、連結構造体28の上端は連結リンク33から構成されている。この連結リンク33は、横方向に張り出したフランジ部33aを有している。係止部材65は、連結リンク33のフランジ部33aに係合している。連結リンク33は、係止部材65を貫通して延びており、係止部材65に支持されている。係止部材65は、ヘッドプレート20上に置かれている。より具体的には、係止部材65は、ヘッドプレート20の通孔50の一部を覆うように配置されている。連結構造体28および電力ケーブル36は、通孔50を通って延びている。
【0031】
図4は係止部材65の一実施形態を示す斜視図である。この実施形態では、係止部材65は、連結リンク24,33(図1参照)に係合する形状を有する。本実施形態の係止部材65は、その中央に開口66を有しており、複数の部材65A,65Aに分割されている。開口66は、連結リンク24,33(図1参照)の通過を許容しない大きさを有する。
【0032】
本実施形態では、連結リンク24,33のストッパとして機能する係止部材65は、複数の(典型的には2つの)部材からなる分割リング(例えば2つ割りリング)である。しかしながら、連結リンク24,33および係止部材65の構成は、それらの意図した機能を奏することができる限り、本実施形態に限定されない。例えば、係止部材65は、その中心から外側に延びる切り欠きを有した単一の部材(例えば、U字型の部材)であってもよい。さらに、連結リンク24,33は、シャックルのような構造体であってもよい。他の例では、連結リンク24,33は、横方向に張り出す突出部を有する代わりに水平方向に延びる通孔を有し、係止部材65は通孔に挿入される棒状の部材であってもよい。
【0033】
図3に戻り、係止部材65の幅は、ヘッドプレート20の通孔50の幅よりも大きく、係止部材65はこの通孔50を通過することはできない。一方、連結リンク33の幅は、ヘッドプレート20の通孔50の幅よりも小さく、連結リンク33は通孔50を通過することができる。しかしながら、連結リンク33は係止部材65に支持されている限りにおいて、連結リンク33は通孔50を通過することができない。したがって、潜没式ポンプ2は、連結リンク33を含む連結構造体28によって、ヘッドプレート20上の係止部材65から吊り下げられる。潜没式ポンプ2の荷重は、連結リンク33を含む連結構造体28および係止部材65を介して、ヘッドプレート20によって支持されている。電力ケーブル36は、連結構造体28に沿って延びており、連結リンク33を貫通している。
【0034】
潜没式ポンプ2がパージ容器1内に搬入される前、パージガス入口ポート17には、パージガス供給源70から延びるパージガス供給ライン71が連結され、ガス出口ポート18には、真空ライン74が連結される。真空ライン74は、真空ポンプなどの真空源(図示せず)に接続されている。パージガス供給源70の例としては、窒素ガス供給源、ヘリウムガス供給源、水素ガス供給源、またはこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、パージガス供給源70は、異なる種類の複数のパージガス供給源、例えば窒素ガス供給源およびヘリウムガス供給源および水素ガス供給源のうちの少なくとも2つを含んでもよい。この場合は、複数のパージガス供給源は、選択的にパージガス供給ライン71に接続されてもよい。
【0035】
図5乃至図10は、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内に搬入する方法の一実施形態を説明する図である。図5乃至図10に示す一連の動作は、潜没式ポンプ2をパージ容器1内でパージガスにさらすドライアップと、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内で下降させる動作と、複数の分割吊りケーブル23Bを1つずつ吊りケーブル23に継ぎ足す動作を含む。以下に説明する搬入動作の前に、ポンプコラム3から液化ガスが排出される。具体的には、パージガスをパージガス供給ライン71および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給し、パージガスの圧力により液化ガスをポンプコラム3から吸込み弁6を通じて排出する。
【0036】
ステップ101では、巻き上げ機61に連結された吊りケーブル23を、ヘッドプレート20に連結する。より具体的には、吊りケーブル23を、ヘッドプレート20のケーブルポート47に連結する。潜没式ポンプ2は、連結リンク33を含む連結構造体28と、係止部材65によって、ヘッドプレート20から吊り下げられる。
ステップ102では、巻き上げ機61により、潜没式ポンプ2、ヘッドプレート20、連結構造体28、および係止部材65を一体に下降させて、ヘッドプレート20でパージ容器1の上部開口を覆う。ヘッドプレート20は、図2に示す締結具53によりパージ容器1の上端に固定される。
【0037】
ステップ103では、巻き上げ機61に接続されている吊りケーブル(第1吊りケーブル)23Aは、ケーブルポート47から切り離される。さらに、予め用意された複数の分割吊りケーブル(第2吊りケーブル)23Bのうちの1つを、吊りケーブル23に追加する。より具体的には、新たに追加された分割吊りケーブル23Bの上端を、巻き上げ機61に接続されている吊りケーブル23Aに連結リンク24を介して連結し、新たに追加された分割吊りケーブル23Bの下端を、連結構造体28の連結リンク33に連結する。本実施形態では、吊りケーブル23は、巻き上げ機61から延びる第1吊りケーブル23Aと、第1吊りケーブル23Aから切り離し可能な複数の分割吊りケーブル(第2吊りケーブル)23Bを含む。
【0038】
パージ容器1の上部開口がヘッドプレート20で覆われ、かつパージ容器1の下部開口がゲート弁21で閉じられた状態で、潜没式ポンプ2が収容されたパージ容器1の内部空間15をガス出口ポート18を通じて真空引きする。その後、パージガス(例えば、不活性ガス、および/または液化ガスの成分と同じ成分からなるガスを含む)をパージガス入口ポート17から内部空間15に供給し、内部空間15をパージガスで満たす。潜没式ポンプ2はパージ容器1内でパージガスにさらされ(接触し)、これによって潜没式ポンプ2の表面から空気および水分が排除される。この工程は、潜没式ポンプ2から空気および水分を追い払うドライアップである。内部空間15の真空引きと、内部空間15へのパージガスの供給は繰り返し行われてもよい。
【0039】
使用されるパージガスは、潜没式ポンプ2が汲み上げる対象の液化ガスの沸点以下の沸点を持つ成分からなるガスである。これは、パージガスが液化ガスに接触したときに、パージガスが液化しないようにするためである。パージガスの例としては、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスが挙げられる。例えば、潜没式ポンプ2が汲み上げる対象の液化ガスが液化天然ガスである場合、液化天然ガスの沸点(-162℃)よりも低い沸点(-196℃)を持つ窒素からなるガスである窒素ガスがパージガスに使用される。他の例では、潜没式ポンプ2が汲み上げる対象の液化ガスが液体水素である場合、水素の沸点(-253℃)よりも低い沸点(-269℃)を持つヘリウムからなるガスであるヘリウムガスがパージガスに使用される。
【0040】
パージガスの一部は、液化ガスの成分と同じ成分からなるガスであってもよい。ガス出口ポート18がガス処理装置に連結されている場合には、パージガスの全ては、液化ガスの成分と同じ成分からなるガスであってもよい。例えば、液化ガスが液体水素である場合は、パージガスの一部または全ては、水素ガスであってもよい。他の例では、液化ガスが液化アンモニアである場合は、パージガスの一部または全てはアンモニアガスであってもよい。
【0041】
ステップ104では、巻き上げ機61により、吊りケーブル23および潜没式ポンプ2を少しだけ引き上げ、係止部材65をヘッドプレート20から取り外す。潜没式ポンプ2の荷重は巻き上げ機61によって支持される。ヘッドプレート20の通孔50からの空気の流入を防ぐために、パージガス入口ポート17を通じてパージ容器1内へのパージガスの供給は継続される。その一方で、ガス出口ポート18を通じたパージ容器1の内部空間15の真空引きは停止される。さらに、ゲート弁21が開かれる。
【0042】
ステップ105では、巻き上げ機61によって吊りケーブル23、連結構造体28、および潜没式ポンプ2をさらに下降させる。潜没式ポンプ2を下降させている間、パージガスをパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給してもよい。最も上にある連結リンク24がパージ容器1内に入る前に、係止部材65をヘッドプレート20上に再び置く。電力ケーブル36は、図示しない電力ケーブル繰り出し器に接続されており、潜没式ポンプ2の下降とともに電力ケーブル36が繰り出される。潜没式ポンプ2が下降されるとき、分割吊りケーブル23Bおよび電力ケーブル36は、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。
【0043】
ステップ106では、分割吊りケーブル23Bの上端に連結されている連結リンク24が係止部材65に係合するまで(接触するまで)、吊りケーブル23、連結構造体28、および潜没式ポンプ2を巻き上げ機61によって下降させる。連結リンク24が係止部材65に係合すると、潜没式ポンプ2の荷重は、係止部材65およびヘッドプレート20によって支持される。
【0044】
そして、潜没式ポンプ2がポンプコラム3の底部に近づくまで、上記ステップ103から上記ステップ106と同様のステップを、複数の分割吊りケーブル23Bの残りを1つずつ追加(連結)しながら、繰り返す。潜没式ポンプ2を下降させている間、パージガスはパージガス入口ポート17および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給される。
【0045】
ステップ107では、潜没式ポンプ2がポンプコラム3の底部に近づいたとき、最後の分割吊りケーブル23Bを吊りケーブル23に追加する。この最後の分割吊りケーブル23Bの上端には、図2を参照して説明した封止リンク30が連結されている。
ステップ108では、係止部材65をヘッドプレート20から取り外し、その後、封止リンク30がヘッドプレート20の直上位置に達するまで、潜没式ポンプ2を下降させる。潜没式ポンプ2は、ポンプコラム3内の吸込み弁6の直上にある所定位置に配置される。
ステップ109では、ヘッドプレート20の可動フランジ42を上方に持ち上げて、可動フランジ42を封止リンク30にねじなどの締結具(図示せず)により固定する。
【0046】
ステップ110では、封止リンク30がヘッドプレート20に接触するまで、封止リンク30、可動フランジ42、および潜没式ポンプ2を下降させる。潜没式ポンプ2は吸込み弁6上に置かれる。吸込み弁6は、潜没式ポンプ2の自重により開く。
ステップ111では、吊りケーブル23Aが封止リンク30から切り離され、その後、カバー壁10がパージ容器1の上端に固定される。電力ケーブル36は、上蓋12の上面に設置されている電気端子35に接続され、さらに上蓋12がカバー壁10に固定される。
【0047】
本実施形態によれば、ヘッドプレート20によりパージ容器1の上部開口が覆われた状態で、潜没式ポンプ2のポンプコラム3への搬入を行うことができる。したがって、液化ガスが気化することによって発生したボイルオフガス(BOG)の大気放出を防止するため、および/または空気のポンプコラム3への流入を防ぐために使用されるパージガスの量を削減することができる。
【0048】
次に、潜没式ポンプ2をポンプコラム3から引き上げる方法の一実施形態について、図11乃至図14を参照して説明する。潜没式ポンプ2の引き上げでは、基本的に、図5乃至図10を参照して説明した工程が逆の順序で行われる。図11乃至図14に示す一連の動作は、潜没式ポンプ2をポンプコラム3内で上昇させる動作と、複数の分割吊りケーブル23Bを1つずつ吊りケーブル13から取り外す動作と、潜没式ポンプ2をパージ容器1内でパージガスにさらすホットアップを含む。
【0049】
ステップ201では、上蓋12がカバー壁10から外され、電力ケーブル36は電気端子35から切り離される。さらに、カバー壁10がパージ容器1から外される。その後、吊りケーブル23Aが封止リンク30に連結され、これにより吊りケーブル23Aは、潜没式ポンプ2に連結されている連結構造体28から延びる吊りケーブル23Bに封止リンク30を介して連結される。巻き上げ機61により、封止リンク30、可動フランジ42、吊りケーブル23B、連結構造体28、潜没式ポンプ2を少しだけ引き上げ、吸込み弁6を閉じる。さらに、パージガスをパージガス入口ポート17を通じてパージ容器1およびポンプコラム3内に供給する。ポンプコラム3内の圧力が上昇し、これに伴って吸込み弁6が開く。これにより液化ガスがポンプコラム3から吸込み弁6を通って排出される。
【0050】
ステップ202では、可動フランジ42を封止リンク30から切り離す。さらに、最も上にある分割吊りケーブル23Bの全体がパージ容器1の上方に位置するまで、複数の分割吊りケーブル23B、連結構造体28、潜没式ポンプ2を巻き上げ機61によって引き上げる。その後、係止部材65をヘッドプレート20の上に置く。潜没式ポンプ2が引き上げられるとき、吊りケーブル23Bおよび電力ケーブル36は、ヘッドプレート20の通孔50を通って延びる。
【0051】
ステップ203では、係止部材65の直上にある連結リンク24が係止部材65に係合(接触)するまで、分割吊りケーブル23B、連結構造体28、潜没式ポンプ2を巻き上げ機61によって少しだけ下降させる。潜没式ポンプ2の荷重は、係止部材65およびヘッドプレート20によって支持される。
ステップ204では、パージ容器1の外にある最も上の分割吊りケーブル23Bを吊りケーブル23から取り外す。封止リンク30は、分割吊りケーブル23Bとともに、吊りケーブル23から外される。
【0052】
ステップ205では、巻き上げ機61から延びる吊りケーブル23Aを、係止部材65に係合している連結リンク24に連結する。これにより、吊りケーブル23Aは分割吊りケーブル23Bを介して潜没式ポンプ2に再び連結される。
そして、巻き上げ機61によって潜没式ポンプ2がパージ容器1内に引き上げられるまで、上記ステップ202から上記ステップ205と同様のステップを、複数の分割吊りケーブル23Bを1つずつ取り外し(切り離し)ながら、繰り返す。潜没式ポンプ2を引き上げている間、パージガスはパージガス入口ポート17および/またはパージガス導入ポート8からポンプコラム3内に供給される。
【0053】
ステップ206では、潜没式ポンプ2がパージ容器1内に位置している状態で、ゲート弁21で閉じられる。パージ容器1の上部開口がヘッドプレート20で覆われ、かつパージ容器1の下部開口がゲート弁21で閉じられた状態で、パージガス(例えば、不活性ガス、および/または液化ガスの成分と同じ成分からなるガスを含む)をパージガス入口ポート17から内部空間15に供給し、内部空間15をパージガスで満たす。潜没式ポンプ2はパージ容器1内でパージガスにさらされ(接触し)、これによって潜没式ポンプ2が加温される。この工程は、潜没式ポンプ2を加温するホットアップである。
【0054】
ステップ207では、ヘッドプレート20をパージ容器1に固定しているボルトおよびナットなどの締結具53(図2参照)を取り外す。その後、吊りケーブル23Aをヘッドプレート20のケーブルポート47に連結する。そして、巻き上げ機61により、ヘッドプレート20、連結構造体28、係止部材65、および潜没式ポンプ2を一体に上昇させて、潜没式ポンプ2をパージ容器1の外に移動させる。
【0055】
本実施形態によれば、ヘッドプレート20によりパージ容器1の上部開口が覆われた状態で、潜没式ポンプ2のポンプコラム3からの引き上げを行うことができる。したがって、ポンプコラム3に残留する液化ガスが気化することによって発生したボイルオフガス(BOG)の大気放出を防止するため、および/または空気のポンプコラム3への流入を防ぐために使用されるパージガスの量を削減することができる。
【0056】
上述した各実施形態では、複数の分割吊りケーブル23Bが使用されているが、ポンプコラム3が短ければ、単一の吊りケーブルが使用されてもよい。上述したヘッドプレート20を含む昇降装置60は、単一の吊りケーブルを使用したポンプシステムにも適用することができる。
【0057】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 パージ容器
2 潜没式ポンプ
3 ポンプコラム
5 液化ガス貯槽
6 吸込み弁
8 パージガス導入ポート
9 吐出しポート
10 カバー壁
12 上蓋
15 内部空間
17 パージガス入口ポート
18 ガス出口ポート
20 ヘッドプレート
21 ゲート弁
23 吊りケーブル
23A 第1吊りケーブル
23B 分割吊りケーブル(第2吊りケーブル)
24 連結リンク
28 連結構造体
30 封止リンク
33 連結リンク
33a フランジ部
35 電気端子
36 電力ケーブル
40 プレート本体
41 突出部
42 可動フランジ
44 シール
47 ケーブルポート
50 通孔
53 締結具
60 昇降装置
61 巻き上げ機
65 係止部材
66 開口
70 パージガス供給源
71 パージガス供給ライン
74 真空ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16