(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102252
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08L 65/00 20060101AFI20230714BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20230714BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20230714BHJP
C08G 61/10 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
C08L65/00
G03F7/11 503
G03F7/40 521
G03F7/40 501
C08G61/10
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166683
(22)【出願日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0004200
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辛 乘 旭
(72)【発明者】
【氏名】朴 裕 信
(72)【発明者】
【氏名】金 昇 ▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】朴 相 ▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】金 尚 美
(72)【発明者】
【氏名】崔 世 一
(72)【発明者】
【氏名】崔 熙 ▲せん▼
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4J002
4J032
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196HA01
2H196HA11
2H225AM61N
2H225AM79N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
2H225CA12
4J002CE001
4J002EC046
4J002ED026
4J002EE036
4J002EH026
4J002EP016
4J002GQ05
4J032BB01
4J032CA12
4J032CB01
4J032CC01
4J032CE03
4J032CG06
(57)【要約】
【課題】ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む、ハードマスク組成物。
上記化学式1の定義は、明細書内に記載した通りである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:
【化1】
前記化学式1中、
R
1は、下記グループ1に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
R
2は、置換もしくは非置換の炭素数10~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素環であり、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
この際、R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシ基で置換されており、
pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
*は、連結地点である。
【化2】
【請求項2】
前記グループ1で列記される置換または非置換のモイエティは、下記グループ1-1で列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化3】
【請求項3】
前記化学式1中のR
2は、下記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化4】
【請求項4】
前記化学式1中のR
3およびR
4は、それぞれ独立して、下記グループ3から選択される置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】
【請求項5】
前記化学式1中のR
2は、下記グループ2-1から選択される置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化6】
【請求項6】
前記化学式1中のR
1は、下記グループ1-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
前記化学式1中のR
2は、下記グループ2-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
前記化学式1中のR
3およびR
4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~24の芳香族炭化水素環であり、
この際、R
1~R
4のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシ基で置換されている、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化7】
【請求項7】
前記グループ1-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であるR1および前記グループ2-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であるR2は、それぞれ1つのヒドロキシ基で置換されているモイエティである、請求項6に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式2で表される構造単位である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化8】
前記化学式2中、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0~8の整数であり、
ただし、R
3およびR
4が全て非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環である場合、n+mは0ではない。
【請求項9】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~化学式1-8で表される構造単位のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項10】
前記重合体の重量平均分子量は1,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記重合体は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準にして0.1質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項14】
基板の上に材料層を形成する段階、
前記材料層の上に請求項1~12のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出させる段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【請求項15】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項14に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートル大きさのパターンから数ナノメートル~数十ナノメートルの大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像を行ってフォトレジストパターンを形成した後、フォトレジストパターンをマスクにして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
最近、形成しようとするパターンの大きさが減少するにつれて、上述のような典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成しにくい。これにより、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して、微細パターンを形成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0080002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む。
【0010】
【0011】
上記化学式1中、
R1は、下記グループ1に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
R2は、置換もしくは非置換の炭素数10~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族環であり、
R3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
この際、R1~R4のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基で置換されており、
pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
*は、連結地点である。
【0012】
【0013】
上記グループ1で列記される置換または非置換のモイエティは、下記グループ1-1で列記される置換または非置換のモイエティであってもよい。
【0014】
【0015】
上記化学式1中のR2は、下記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
【0017】
上記化学式1中のR3およびR4は、それぞれ独立して、下記グループ3から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環の少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
【0019】
上記化学式1中のR2は、下記グループ2-1から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環の少なくとも1種であってもよい。
【0020】
【0021】
上記化学式1中のR1は、下記グループ1-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
上記化学式1中のR2は、下記グループ2-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
上記化学式1中のR3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~24の芳香族炭化水素環であり、
この際、R1~R4のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基で置換されていることが好ましい。
【0022】
【0023】
上記化学式1中のR1およびR2は、それぞれ1つのヒドロキシ基で置換されていることが好ましい。
【0024】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式2で表される構造単位であることが好ましい。
【0025】
【0026】
上記化学式2中、
R3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0~8の整数であり、
ただし、R3およびR4が全て非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環である場合、n+mは0ではない。
【0027】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~化学式1-8で表される構造単位のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
上記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molであることが好ましい。
【0032】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれることが好ましい。
【0033】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0035】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、基板の上に材料層を形成する段階、上記材料層の上に上述のハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出させる段階、および上記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含むパターン形成方法を提供する。
【0036】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法が提供されうる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換された’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、ビニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0039】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30のヘテロ環基のうちの隣接した2つの置換基が縮合して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素数6~30のアリール基は、隣接した他の置換された炭素数6~30のアリール基と縮合して置換もしくは非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0040】
本明細書で別途の定義がない限り、“芳香族炭化水素環”は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する基を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、炭化水素芳香族モイエティが単結合で連結した形態、芳香族炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環の形態、またはこれらの組み合わせを含む。
【0041】
より具体的には、置換または非置換の芳香族炭化水素基は、置換もしくは非置換のフェニル基(フェニレン基)、置換もしくは非置換のナフチル基(ナフチレン基)、置換もしくは非置換のアントラセニル基(アントラセニレン基)、置換もしくは非置換のフェナントリル基(フェナントリレン基)、置換もしくは非置換のナフタセニル基(ナフタセニレン基)、置換もしくは非置換のピレニル基(ピレニレン基)、置換もしくは非置換のビフェニル基(ビフェニレン基)、置換もしくは非置換のテルフェニル基(テルフェニレン基)、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基(クアテルフェニレン基)、置換もしくは非置換のクリセニル基(クリセニレン基)、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基(トリフェニレニレン基)、置換もしくは非置換のペリレニル基(ペリレニレン基)、置換もしくは非置換のインデニル基(インデニレン基)、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であってもよいが、これらに制限されない。
また、本明細書で、重合体は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)とを全て含むことができる。
【0042】
本明細書で特に言及しない限り、“重量平均分子量”は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社の1200series ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex(登録商標)LF-804、標準試料はShodex(登録商標)ポリスチレンを使用する、いずれも昭和電工株式会社製)したものである。
【0043】
半導体産業において、チップの大きさを減少させる要求が絶え間なく続いている。これに応えるために、リソグラフィ技術においてパターニングされるレジストの線幅が数十ナノメートルサイズを有しなければならない。これにより、レジストパターンの線幅に耐えられる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有しない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する技術がある。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たすので、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えられるように、耐エッチング性が要求される。
【0044】
従来のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着方法で形成したが、これは設備規模が大きくて工程単価が高く、経済性が低下する問題がある。よって、最近、スピン-コーティング法でハードマスク層を形成することを開発した。スピン-コーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性にさらに優れることになるが、ハードマスク層に要求される耐エッチング性は、多少低下する傾向を示す。
【0045】
したがって、スピン-コーティング法を適用することができるハードマスク組成物であり、これから形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着方法で形成されたハードマスク層と同等な耐エッチング性を有することが要求される。よって、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量をできるだけ高くする研究が活発に行われている。
【0046】
本発明者らは、スピン-コーティング法を適用することができ耐エッチング性が低下しないハードマスクを形成することができるハードマスク組成物を製造しようと、鋭意検討を積み重ねた。その結果、重合体内の炭素含有量を増加させて、ハードマスク組成物から形成されるハードマスク層の耐エッチング性を改善した。それだけでなく、重合体に官能基を含ませて、ハードマスク組成物の架橋特性を向上させ、これから形成されたハードマスク層の機械的安定性、熱的安定性、および耐化学性を改善した。
【0047】
具体的に、本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む。
【0048】
【0049】
上記化学式1中、
R1は、下記グループ1に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であり、
R2は、置換もしくは非置換の炭素数10~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素環であり、
R3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
この際、R1~R4のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシ基で置換されており、
pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、
*は、連結地点である。
【0050】
【0051】
上記のように、本発明による組成物に含まれる重合体は、主鎖および側鎖全てに芳香族炭化水素環を含み、特に、R1およびR2で表される部分が全て、炭素数10以上の芳香族炭化水素環を含む。これにより、化学式1で表される構造単位を含む重合体内の炭素含有量を大きく増加させ、本発明に係る重合体を含むハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、高い耐エッチング性を有することができる。
【0052】
また、上記化学式1で表される構造単位はヒドロキシ基を含み、R1~R4のうちの少なくとも1つにヒドロキシ基が追加で置換されることによって、化学式1で表される構造単位を含む重合体は、優れた架橋能力を発揮することができる。これにより、本発明に係る重合体を含む組成物は、熱処理時、短時間のうちに、組成物に当初含まれている重合体よりも、さらに大きな分子量を有する重合体を形成するようになる。これにより、本発明の組成物から形成されるハードマスク層は、優れた機械的安定性、熱的安定性、および耐化学性を有することができる。
【0053】
上記化学式1中のR1は、下記グループ1-1に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0054】
【0055】
上記化学式1中のR2は、置換または非置換の炭素数10~30の芳香族炭化水素環であり、例えば、炭素数10~24、例えば、炭素数10~20、例えば、炭素数10~16の芳香族炭化水素環である。R2は、下記グループ2から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環の少なくとも1種であってもよい。他の実施形態で、R2は、下記グループ2-1から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環の少なくとも1種であってもよい。一実施形態で、R2は、ピレン環、ベンゾピレン環、ペリレン環、ベンゾペリレン環、またはコロネン環であってもよい。
【0056】
【0057】
また、他の実施形態で、R2は、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素環であり、例えば、炭素数6~24、例えば、炭素数8~24、例えば、炭素数10~20のヘテロ芳香族炭化水素環である。
【0058】
上記化学式1中のR3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、例えば、炭素数6~24、例えば、炭素数6~20、例えば、炭素数6~16の芳香族炭化水素環である。一実施形態で、上記化学式1中のR3およびR4は、それぞれ独立して、下記グループ3から選択される置換または非置換の芳香族炭化水素環の少なくとも1種であってもよく、一例として、フェニル基、ナフタレニル基、またはピレニル基であってもよい。
【0059】
【0060】
好ましい一実施形態で、上記化学式1で表される構造単位は、R1は、置換または非置換の下記グループ1-2に列記されるモイエティのうちの少なくとも1種であり、R2は、置換または非置換の下記グループ2-2に列記されるモイエティのうちの少なくとも1種であり、R3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~24の芳香族炭化水素環であり、この際、R1~R4のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシ基で置換される。
【0061】
【0062】
他の実施形態で、上記グループ1-2に列記された置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であるR1および上記グループ2-2に列記される置換または非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であるR2は、それぞれ1つのヒドロキシ基で置換されているモイエティであることが好ましい。
【0063】
また他の実施形態で、上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式2で表される構造単位であり得る。
【0064】
【0065】
上記化学式2中、R3およびR4は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、nおよびmは、それぞれ独立して、0~8の整数であり、ただし、R3およびR4が、全て非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素環である場合、n+mは0ではない。
【0066】
一実施形態で、nおよびmは、それぞれ独立して、0~7の整数であってもよく、一例として、0~4の整数であってもよく、1~3の整数であってもよい。R3が非置換の芳香族炭化水素環である場合は、n+mは1以上の整数であり、一例として、1~10の整数であってもよく、1~7の整数であってもよく、1~3の整数であってもよい。
【0067】
他の実施形態で、上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~化学式1-8で表される構造単位のうちの少なくとも1種であり得る。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
上記重合体は、1,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量を有することができる。例えば、重合体は、1,000g/mol~150,000g/mol、例えば、1,000g/mol~100,000g/mol、例えば、1,200g/mol~50,000g/mol、例えば、1,200g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができ、これらに制限されない。上記範囲の重量平均分子量を有することによって、上記重合体を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0072】
なお、上記重合体は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0073】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれてもよい。例えば、重合体の含有量は、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1.5質量%~25質量%、例えば、2質量%~20質量%であってもよく、これらに制限されない。上記含有量の範囲で重合体が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0074】
一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができ、例えば、溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、これらに制限されるものではない。溶媒は、重合体に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば特に限定されない。
【0075】
ハードマスク組成物は、追加的に界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0076】
上記界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに制限されない。
【0077】
上記熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/および2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0078】
他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。 以下、上述のハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0079】
一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を形成する段階、上記材料層の上に上述の重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて上記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含む。上記基板は、例えば、シリコンウェーハ、ガラス基板、または高分子基板であってもよい。
【0080】
上記材料層は、最終的にパターニングしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層であってもよい。上記材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成することができる。
【0081】
ハードマスク組成物は上述の通りであり、溶液形態に製造されてスピン-コーティング法で塗布することができる。この際、ハードマスク組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば、50~200,000Åの厚さで塗布することができる。
【0082】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0083】
一実施形態で、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、上記熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0084】
一実施形態で、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、100℃~400℃で10秒~1時間行われる1次熱処理段階を含み、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~800℃で10秒~1時間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0085】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続の工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えられる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0086】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、紫外光/可視光(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0087】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外光/可視光(UV/Vis)硬化段階、および近赤外(near IR)硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0088】
一実施形態で、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiO2、および/またはSi3N4などの物質から形成することができる。
【0089】
一実施形態で、フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層の上部またはハードマスク層の上部に底反射防止層(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0090】
一実施形態で、フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArFエキシマ、KrFエキシマ、または極端紫外線(EUV)などを使用して行うことができる。また、露光後、100~700℃の温度で熱処理工程を行うことができる。
【0091】
一実施形態で、材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができる。エッチングガスは、例えば、N2/O2、CHF3、CF4、Cl2、BCl3、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0092】
エッチングされた材料層は、複数のパターンに形成することができ、当該複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様であり、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンに適用することができる。
【実施例0093】
以下、実施例を通じて前述の本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0094】
[重合体合成]
(重合例1)
2リットルの三口フラスコに、1-メトキシピレン 23.2g、2-ナフトイルクロリド 19.1g、およびジクロロエタン 500gを入れ、攪拌棒(stirring bar)を使用して室温で1時間攪拌した。その後、トリクロロアルミニウム 20gを少しずつ投入した。その後、10時間攪拌して反応を行った。反応終了後、水を使用してトリクロロアルミニウムを除去した後、乾燥して、下記化学式1-2aで表される化合物を得た。
【0095】
【0096】
2リットルの三口フラスコに、上記化学式1-2aで表される化合物 37g、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)200g、および塩化ホスホリル 31gを入れ、攪拌子(stirring bar)を使用して、100℃で10時間攪拌して反応を行った。反応終了後、水洗し乾燥した。次に、温度計、コンデンサ、および機械式攪拌機を備えた500mlの三口フラスコに、上記で得られた化合物 16g、水酸化カリウム 7g、およびドデカンチオール 20gを1Lのフラスコに入れた後、ジメチルホルムアミド 60gを添加し、100℃で12時間攪拌した。反応終了確認後に冷却し、7質量%塩化水素溶液でpH6程度に中和した後、酢酸エチルを使用して、反応副生成物を除去し蒸留して、下記化学式1-2bで表される化合物を得た。
【0097】
【0098】
2リットルの三口フラスコに、上記化学式1-2bで表される化合物 20g、1-ヒドロキシピレン 11g、およびp-トルエンスルホン酸一水和物 4.8gを1,4-ジオキサン100gに溶かして溶液を作った後、90~100℃恒温槽で溶液を攪拌して、20時間重合反応を行った。重合反応が完了した後、反応物を常温で徐々に冷却した。反応物を蒸留水 100gおよびメタノール 1,000gに投入して強く攪拌した後、静置した。次に、上澄液を除去し、沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300gに溶かした後、メタノール 3,200gを使用して強く攪拌し、静置した。得られた重合体に、水素化ホウ素ナトリウム 8gを少しずつ入れた後、テトラヒドロフラン/メタノール混合物下で12時間反応を行った。反応終了後、水/メタノール混合物を使用して反応副生成物を除去し、下記化学式1-2で表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:2,300g/mol)。
【0099】
【0100】
(重合例2)
機械式攪拌機と冷却管とを備えた500mlの二口フラスコに、1-メトキシピレン 23g、1-ピレンカルボキシアルデヒド 23g、およびp-トルエンスルホン酸一水和物 19gを1,4-ジオキサン50gと共に入れ、よくかき混ぜた後に温度を105℃に上げて24時間攪拌した。反応終了後、内温を60~70℃に下げた後、テトラヒドロフラン 300gを入れて化合物が固まらないようにし、7質量%の重炭酸ナトリウム水溶液で化合物を含む混合液のpHを5~6に調整した。その後、酢酸エチル 1,000mlを注いで継続して攪拌した後に分液漏斗を用いて、有機層のみを抽出した。再び、水500mlを分液漏斗に入れ振って、残っている酸とナトリウム塩とを除去する工程を3回以上繰り返した後に、有機層を最終的に抽出した。その次に、有機溶液をエバポレーターで濃縮し、得られた重合体にテトラヒドロフラン 200gを添加して溶液を得た。溶液を、攪拌しているヘキサン 5Lが入っているビーカーに徐々に滴下して沈殿物を形成し、これをろ過して重合体を得た(Mw:1,700g/mol)。
【0101】
2リットルの三口フラスコに、上記で得られた重合体 23.2g、2-ナフトイルクロリド 19.1g、およびジクロロエタン 500gを入れ、攪拌子(stirring bar)を使用して室温で1時間攪拌後、トリクロロアルミニウム 20gを少しずつ投入した。その後、10時間攪拌して反応を行った。反応終了後、水を使用してトリクロロアルミニウムを除去し乾燥して、下記化学式2-1aで表される構造単位、下記化学式2-2aで表される構造単位、またはこれらの組み合わせを含む重合体を得た。
【0102】
【0103】
次に、温度計、コンデンサ、および機械式攪拌機を備えた500mlの三口フラスコに、上記で得られた重合体 30g、水酸化カリウム 7g、およびドデカンチオール 20gを1Lのフラスコに入れた後、ジメチルホルムアミド250gを添加し、100℃で12時間攪拌した。反応終了確認後、冷却し、7質量%塩化水素溶液でpH6程度に中和し、酢酸エチルを使用して反応副生成物を除去した。次に、有機溶液をエバポレーターで濃縮し、得られた重合体にテトラヒドロフラン200gを添加して、溶液を得た。溶液を、攪拌しているヘキサン5Lが入っているビーカーに徐々に滴下して沈殿物を形成し、これをろ過後乾燥して、粉体形態の重合体を得た。
【0104】
得られた重合体、テトラヒドロフラン、およびメタノールの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム 16gを少しずつ入れた後、50℃で12時間反応を行った。反応終了後、水/メタノール混合物を使用して反応副生成物を除去し、下記化学式2-1で表される構造単位、下記化学式2-2で表される構造単位、またはこれらの組み合わせを含む重合体を得た(Mw:2,300g/mol)。
【0105】
【0106】
(重合例3)
1-ピレンカルボキシアルデヒド 23gの代わりに1-ベンゾペリレンカルボキシアルデヒド 30gを使用したことを除いては、重合例2と同様の方法で、下記化学式3-1で表される構造単位、下記化学式3-2で表される構造単位、またはこれらの組み合わせを含む重合体を得た(Mw:1,600g/mol)。
【0107】
【0108】
(重合例4)
2-ナフトイルクロリド 19.1gの代わりに4-メトキシベンゾイルクロリド 19gを使用したこと以外は、重合例3と同様の方法で、下記化学式4-1aで表される構造単位、下記化学式4-2aで表される構造単位、またはこれらの組み合わせを含む重合体を得た。
【0109】
【0110】
次に、温度計、コンデンサ、および機械式攪拌機を備えた500mlの三口フラスコに、上記で得られた重合体 30g、水酸化カリウム 7g、およびドデカンチオール20gを1Lのフラスコに入れ、N,N-ジメチルホルムアミド 200gを添加した後、100℃で12時間攪拌した。反応終了確認後に冷却し、7質量%塩化水素溶液でpH6程度に中和した後、酢酸エチルを使用して反応副生成物を除去した。次に、有機溶液をエバポレーターで濃縮し、得られた化合物にテトラヒドロフラン 200gを添加して溶液を得た。この溶液を、攪拌されているヘキサン5Lが入っているビーカーに徐々に滴下して沈殿物を形成し、これをろ過後、乾燥して、粉体形態の重合体を得た。
【0111】
得られた重合体、テトラヒドロフラン、およびメタノールの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム 15gを少しずつ入れた後、50℃で12時間反応を行った。反応終了後、水/メタノール混合物を使用して反応副生成物を除去し、下記化学式4-1で表される構造単位、下記化学式4-2で表される構造単位、またはこれらの組み合わせを含む重合体を得た(Mw:2,300g/mol)。
【0112】
【0113】
(比較重合例1)
機械式攪拌機と冷却管とを備えた500mlの二口フラスコに、1-ヒドロキシピレン 21g、1-ピレンカルボキシアルデヒド 23g、およびp-トルエンスルホン酸一水和物 9.5gを1,4-ジオキサン50gと共に入れ、よくかき混ぜた。その後、温度を100℃に上げて24時間攪拌した。反応終了後、内部温度を60~70℃に下げた後、テトラヒドロフラン300gを入れて化合物が固まらないようにし、7質量%の重炭酸ナトリウム水溶液を添加して、化合物のpHが5~6になるように調整した。酢酸エチル 1,000mlを注いで継続して攪拌した後、分液漏斗を用いて、有機層のみ抽出した。再び、水500mlを分液漏斗に入れ振って、残っている酸とナトリウム塩とを除去する工程を3回以上繰り返した後、有機層を最終的に抽出した。得られた有機溶液をエバポレーターで濃縮し、得られた化合物にテトラヒドロフラン 1Lを添加して溶液を得た。溶液を攪拌しているヘキサン5Lが入っているビーカーに徐々に滴下して、沈殿を形成させて、下記化学式5で表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:1,500g/mol)。
【0114】
【0115】
(実施例1)
重合例1で得られた化合物 5gを、シクロヘキサノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1:1体積比)の混合物 50gと混合し、60分間攪拌した。その後、0.45μmテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、ハードマスク組成物を製造した。
【0116】
(実施例2)
重合例1で得られた化合物の代わりに、重合例2で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0117】
(実施例3)
重合例1で得られた化合物の代わりに、重合例3で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0118】
(実施例4)
重合例1で得られた化合物の代わりに、重合例4で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0119】
(比較例1)
重合例1で得られた化合物の代わりに、比較重合例1で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0120】
[評価:架橋特性評価]
アンモニア水、過酸化水素水、および水を1:1:5の体積比率で混合して、SC1溶液を製造した。シリコンウェーハの上に、実施例1~実施例4、および比較例1によるハードマスク組成物を塗布し、400℃で2分間熱処理して厚さ200nmのハードマスク(有機膜)を形成した。シリコンウェーハを60℃で加熱したSC1溶液に5分間浸漬し、浸漬後の膜の厚さを測定して膜損失率(%)を測定した。
【0121】
【0122】
表1を参照すれば、実施例によるハードマスク組成物から形成された有機膜は、比較例によるハードマスク組成物から形成された有機膜に比べて、膜損失率が小さいことが分かり、実施例によるハードマスク組成物の架橋特性が向上し、これから形成された有機膜の耐化学性が優れているのを確認することができる。
【0123】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々の変形および改良形態も、本発明の権利範囲に属するのである。