(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102441
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物、その製造方法及びエアーバッグ
(51)【国際特許分類】
D06M 15/643 20060101AFI20230718BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20230718BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230718BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20230718BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20230718BHJP
C09D 7/62 20180101ALI20230718BHJP
C09D 183/05 20060101ALI20230718BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230718BHJP
C09D 183/07 20060101ALI20230718BHJP
D06M 13/513 20060101ALI20230718BHJP
D06M 11/79 20060101ALI20230718BHJP
B60R 21/235 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
D06M15/643
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/36
C08K5/54
C09D7/62
C09D183/05
C09D7/63
C09D183/07
D06M13/513
D06M11/79
B60R21/235
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002922
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】芦田 諒
(72)【発明者】
【氏名】生方 茂
(72)【発明者】
【氏名】平林 佐太央
【テーマコード(参考)】
3D054
4J002
4J038
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
3D054CC26
4J002CP042
4J002CP141
4J002DJ016
4J002EX067
4J002EX077
4J002FB116
4J038DL041
4J038DL101
4J038HA446
4J038JC30
4J038KA04
4J038KA15
4J038MA14
4J038NA15
4J038NA27
4J038PB07
4L031AA20
4L031AB31
4L031BA20
4L031DA16
4L033AA08
4L033AB04
4L033AC11
4L033AC15
4L033BA96
4L033CA59
4L033DA06
(57)【要約】
【課題】低燃焼速度性に優れ、且つ高温時のVOC放出量の少ないエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びエアーバッグを提供することを目的とする。
【解決手段】
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する、重合度が50~2,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)BET法比表面積が50m2/g以上である表面処理シリカ微粉末であって、前記表面処理シリカ微粉末の表面にトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まないもの、(D)ヒドロシリル化反応用触媒、(E)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物を必須成分とするものであることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であって、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する、重量平均重合度が50~2,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:組成物中に含まれるヒドロシリル基が、組成物中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上である表面処理シリカ微粉末であって、前記表面処理シリカ微粉末の表面にトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まないもの:1~30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppm、
(E)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1~10質量部
を必須成分とするものであることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
前記(C)成分が、ジクロロジメチルシランで処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化液状シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物から選ばれるもので処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【化1】
(式中、R
1は独立して炭素数1~12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価芳香族炭化水素基であり、R
2は独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、nは1~100の整数である)
【請求項4】
更に、(F)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、前記(A)成分100質量部に対して、0.1~5質量部含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項5】
更に、(G)成分として、パウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンを、前記(A)成分100質量部に対して、0.1~100質量部含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物。
【請求項6】
エアーバッグ用基布上に、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有するものであることを特徴とするエアーバッグ。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法であって、前記(A)から前記(E)成分と、必要に応じて配合されるその他の成分を混合する工程を含み、前記(C)成分としてシリカ微粉末をトリオルガノシロキシ単位を含まない表面処理剤により表面処理したものを用いることを特徴とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
前記表面処理剤として、ジクロロジメチルシランを用いることを特徴とする請求項7に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項9】
前記表面処理剤として、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物から選ばれるものを用いることを特徴とする請求項7に記載のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法。
【化2】
(式中、R
1は独立して炭素数1~12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価芳香族炭化水素基であり、R
2は独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、nは1~100の整数である)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物、及びこの硬化被膜を有するエアーバッグ、並びに前記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維表面にゴム被膜を形成させることを目的としたエアーバッグ用シリコーンゴム組成物が提案されている。シリコーンゴム被膜を有するエアーバッグは内圧保持性及び低燃焼速度性に優れるため、自動車等のエアーバッグとして好適に用いられている。
【0003】
このようなエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物としては、分子鎖両末端にヒドロシリル基を持つ架橋剤と、側鎖にヒドロシリル基を持つ架橋剤とを組み合わせたものが挙げられる(特許文献1)。このエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、内圧保持性に優れることを特徴とする。また、レジン状ポリシロキサンを含有し、シロキサン成分をシリカ、表面処理剤、水とともに事前混合してエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を製造する方法も知られている(特許文献2)。この組成物を繊維表面に被覆することで低燃焼速度性に優れるエアーバッグ用基布が得られる。さらに、T単位又はQ単位を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを架橋剤とするエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物も開示されている(特許文献3)。この組成物を塗布したコーティング基布は強度に優れることを特徴とする。そして、M、D、Q単位からなり、D単位にのみ架橋性官能基を含有するシリコーンレジンを難燃化材として配合したエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物が開示されている(特許文献4)。この組成物を塗布したエアーバッグは、低燃焼速度性に優れることを特徴とする。
【0004】
しかしながら、低重量化や省スペース化を目的としてエアーバッグ用基布にコーティングされるシリコーンゴム組成物の塗工量は減少傾向にある。そのため、低塗工量でも従来の特性を維持できるシリコーンゴム組成物が求められている。
【0005】
また近年、住宅や家具等に使用される接着剤や塗料から発生する揮発性有機化合物(VOC)による空気汚染によってシックハウス症候群等の健康被害や、光化学スモッグ等の環境被害が発生している。これに対して、各国でVOCに対する規制が進んでおり、これは自動車室内も例外ではない。自動車室内は、住宅と比べると室内容積が小さく、一方で室内温度が高温になることが多いため、自動車部品等からVOCが拡散し易い環境であり、自動車に使われる各部品のVOC放出量の低減が必要とされている。
【0006】
VOC放出量が少ないエアーバッグ用シリコーンコーティング基布としては、以下に示す製造方法に関する特許が開示されている(特許文献5)。まず、エアーバッグ用の基布に揮発性の接着剤を含む付加硬化型液状シリコーンゴムをコーティングし、加熱硬化する。次いで、揮発性化合物を含まない付加硬化型液状シリコーンゴムをコーティングし、加熱硬化する。これにより、エアーバッグ用基布への接着性に優れ、且つ高温でのVOC放出量が少ないエアーバッグ用シリコーンコーティング基布が得られる。
【0007】
しかしながら、この方法ではエアーバッグ用基布上のシリコーンゴム層が2層になるため、コーティング基布が厚くなってしまう。そのため、コーティング基布の折り畳み性が悪く、エアーバッグモジュールの体積が大きくなり、収納の際、車内の居室空間を圧迫してしまう。また、この方法ではシリコーンゴム層のコーティング量が多くなるため、エアーバッグモジュールの全体の重量が重くなり、燃費が低下するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2013-531695号公報
【特許文献2】特開2013-209517号公報
【特許文献3】特表2019-513907号公報
【特許文献4】国際公開第2018/168315号
【特許文献5】特表2021-508619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低燃焼速度性に優れ、且つ高温時のVOC放出量の少ない硬化被膜を与えるエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物、及び前記組成物の硬化被膜を有するエアーバッグ、並びに前記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、
エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であって、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する、重量平均重合度が50~2,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:組成物中に含まれるヒドロシリル基が、組成物中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上である表面処理シリカ微粉末であって、前記表面処理シリカ微粉末の表面にトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まないもの:1~30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppm、
(E)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1~10質量部
を必須成分とするものであるエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を提供する。
【0011】
このような付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であれば、低燃焼速度性(難燃性)に優れた硬化被膜を与え、且つ、これより製造したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布は高温時のVOC放出量の少ないものとなる。
【0012】
また、本発明では、前記(C)成分が、ジクロロジメチルシランで処理されたものであることが好ましい。
【0013】
このような付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であれば、これより作製したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布の高温時のVOC放出量がより少ないものとなる。
【0014】
また、本発明では、前記(C)成分が、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物から選ばれるもので処理されたものであることも好ましい。
【化1】
(式中、R
1は独立して炭素数1~12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価芳香族炭化水素基であり、R
2は独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、nは1~100の整数である)
【0015】
このような付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であれば、これより作製したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布は高温時のVOC放出量がより少ないものとなる。
【0016】
また、本発明では、更に、(F)成分として、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の縮合触媒を、前記(A)成分100質量部に対して、0.1~5質量部含有するものであることが好ましい。
【0017】
このような付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であれば、これにより形成されるシリコーンゴム層のエアーバッグ用基布への接着性がより優れるものとなる。
【0018】
また、本発明では、更に、(G)成分として、パウダー状の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンを、前記(A)成分100質量部に対して、0.1~100質量部含有するものであることが好ましい。
【0019】
このような付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であれば、これより作製したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布は難燃性により優れるものとなる。
【0020】
また、本発明では、エアーバッグ用基布上に、上記のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有するものであるエアーバッグを提供する。
【0021】
このようなエアーバッグであれば、低燃焼速度性に優れ、且つ高温時のVOC放出量の少ないエアーバッグとなる。
【0022】
また、本発明では、上記のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法であって、前記(A)から前記(E)成分と、必要に応じて配合されるその他の成分を混合する工程を含み、前記(C)成分としてシリカ微粉末をトリオルガノシロキシ単位を含まない表面処理剤により表面処理したものを用いるエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法を提供する。
【0023】
このような製造方法により上記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を効率的に製造することができる。
【0024】
この場合、前記表面処理剤として、ジクロロジメチルシラン、又は下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物から選ばれるものを用いることが好ましい。
【化2】
(式中、R
1は独立して炭素数1~12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価芳香族炭化水素基であり、R
2は独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、nは1~100の整数である)
【0025】
このような表面処理剤を用いることで、作製したエアーバッグ用シリコーンコーティング基布の低燃焼速度性を向上させるとともに、高温時のVOC放出量がより少なくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、低燃焼速度性に優れ(即ち、難燃性に優れ)、且つ高温時のVOC放出量が少ない硬化被膜を与えるエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物及びその硬化皮膜を有するエアーバッグ、並びに前記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
低燃焼速度性(以下「難燃性」ともいう)に優れ、且つ高温時のVOC放出量が少ない硬化皮膜を与えるエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を提供することが求められていた。
【0028】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の成分として、トリオルガノシロキシ単位(M単位)を表面に含まない表面処理シリカ微粉末を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0029】
このようなトリオルガノシロキシ単位(M単位)を表面に含まない表面処理シリカ微粉末をエアーバッグ用の組成物に含めることは、今まで全く検討されていなかった。
【0030】
即ち、本発明は、
エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物であって、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する、重量平均重合度が50~2,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:組成物中に含まれるヒドロシリル基が、組成物中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上である表面処理シリカ微粉末であって、前記表面処理シリカ微粉末の表面にトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まないもの:1~30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppm、
(E)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1~10質量部
を必須成分とするものであるエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物である。
【0031】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
なお、本明細書中において、粘度は、25℃において、JIS K 7117-1:1999に記載の方法で回転粘度計により測定した値である。また、重量平均重合度は、下記条件で測定したトルエンを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度(重量平均分子量)として求めた値である。
[測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:10μL(濃度0.5質量%のトルエン溶液)
【0033】
なお、本明細書において「難燃性」とは、FMVSS-302に準拠した燃焼速度試験において評価される特性であり、燃焼速度が102mm/min以下であれば、難燃性を有するとみなすものとする。また、「高温時のVOC放出量」とは、具体的には、サンプルを120℃で5時間保温した後に、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC)を測定した際のVOCの検出量であり、「VOC放出量が少ない」とはVOCの検出量が100ppm以下であることを指す。
【0034】
<エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物>
本発明のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、
(A)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する、重量平均重合度が50~2,000の直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:組成物中に含まれるヒドロシリル基が、組成物中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、
(C)BET法比表面積が50m2/g以上である表面処理シリカ微粉末であって、上記表面処理シリカ微粉末の表面にトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まないもの:1~30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppm、
(E)接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物:0.1~10質量部、
を必須成分として含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。
【0035】
以下、各成分について詳細に説明する。
【0036】
[(A)成分]
(A)成分の直鎖状のオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上含有する、重量平均重合度が50~2,000のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
【0037】
上記(A)成分の分子構造は、直鎖状であり主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンが好ましい。また、上記(A)成分の直鎖状であるオルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。上記(A)成分として、特に好ましいものは、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
【0038】
上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、通常、炭素数2~8、好ましくは炭素数2~4のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
【0039】
上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、上記オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換若しくは置換の1価炭化水素基)全体に対して、0.05~10モル%であることが好ましく、特に0.1~5モル%程度であることが好ましい。
【0040】
上記(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、例えば、通常、炭素数1~12の1価炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1~10の1価炭化水素基が挙げられる。1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基であることが好ましい。
【0041】
上記(A)成分の重量平均重合度は、50~2,000であり、好ましくは100~1,500であり、より好ましくは120~1,000である。重量平均重合度が50よりも低いと、得られるシリコーンゴムの機械的特性が悪くなることがあり、また重量平均重合度が2,000より大きいと、得られるシリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、コーティング作業性が悪化することがある。
【0042】
上記(A)成分は25℃において液状であってよく、上記(A)成分の粘度は、25℃において、好ましくは50~200,000mPa・s、より好ましくは100~150,000mPa・s、さらに好ましくは400~100,000mPa・sである。(A)成分の粘度が50mPa・sよりも高ければ、得られるシリコーンゴムの機械的特性が悪くなる恐れがなく、200,000mPa・sより低ければ、得られるシリコーンゴム組成物の粘度が高くなり過ぎないため、コーティング作業性が悪化する恐れがない。
【0043】
上記(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
【0044】
上記(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0045】
[(B)成分]
(B)成分のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、主に上記(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
【0046】
上記(B)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが挙げられるが、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を有する必要があり、通常2~300個、好ましくは3~200個、より好ましくは3~100個のヒドロシリル基を有することが望ましく、25℃で液状のものが使用されることが好ましい。このようなヒドロシリル基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。
【0047】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示されるものを用いることができる。
【化3】
【0048】
上記平均組成式(2)中、R3は独立して炭素数1~10の1価炭化水素基であることが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。R3としては、より好ましくはアルキル基、アリール基であり、更に好ましくはメチル基である。なお、R3としては、アルケニル基などの脂肪族不飽和炭化水素基を除く。また、aは0.7~2.1、bは0.001~1.0で、かつa+bが0.8~3.0を満足する正数であることが好ましく、より好ましくは、aは1.0~2.0、bは0.01~1.0で、かつa+bが1.5~2.5を満足する正数である。
【0049】
このような上記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R3
3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R3
2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R3
2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R3HSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:R3SiO3/2で示されるシロキサン単位若しくは式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
【0050】
上記(B)成分の配合量は、上記(A)成分を含むエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物中に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モル(又は個)に対して、上記(B)成分を含む組成物中に含まれるヒドロシリル基が1~10モル(又は個)であり、好ましくは1.2~9モル(又は個)、より好ましくは1.5~8モル(又は個)となる量である。上記(A)成分を含む組成物中に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モルに対して、上記(B)成分を含む組成物中に含まれるヒドロシリル基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、またこれが10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがある。
【0051】
上記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0052】
[(C)成分]
(C)成分のBET法比表面積が50m2/g以上であり、表面にトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まない表面処理シリカ微粉末は補強性充填剤として作用する。即ち、本発明にかかる組成物から得られるシリコーンゴム硬化物に強度を付与するもので、上記表面処理シリカ微粉末を補強性充填剤として使用し、本発明に必要な強度を満足するコーティング膜を形成できる。また、M単位を含まない表面処理シリカ微粉末を使用することで、シリカのQ単位に直接結合したM単位のクラッキングを防止し、トリオルガノシラノールの発生を抑制している。トリオルガノシラノールは反応活性が高く、シロキサンのクラッキングを誘発するため、これの発生を抑制することで、高温時のVOCの低減を達成している。また、燃焼時も同様の理由で可燃性であるトリオルガノシラノールの発生防止及び、シロキサンのクラッキングによる可燃性の低分子シロキサンの発生を低減することで、低燃焼速度性を達成している。
【0053】
なお、本発明において、上記表面処理シリカ微粉末の表面にあるシロキサン単位の定量方法は、以下に示す29Si固体NMRによって測定したものである。また、M単位を含まない、とは上記測定により、M単位が検出されない状態を指す。
【0054】
<29Si固体NMRの方法>
サンプルが粉体の場合は固体NMR測定用のサンプルチューブに充填し、以下の条件で29Si固体NMRを測定した。
装置:日本電子株式会社製 固体NMR JNM ECA-600
測定核:29Si
測定モード:CP/MAS法
試料回転数:5.2kHz
積算回数:16,000回
【0055】
また、ベースコンパウンド調製時に、上記(A)成分中で表面処理剤によって処理した表面処理シリカ微粉末の場合は、以下の前処理を行った。まず、ベースコンパウンドをトルエンに溶解させて、ろ紙でシリカを濾別する。そのシリカをトルエンによって繰り返し洗浄した後に、サンプルを25℃で24時間以上、風乾させて評価用サンプルとした。その評価用サンプルを用いて29Si固体NMRを測定した。
【0056】
上記表面処理シリカ微粉末は、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の(通常、加水分解性の)有機ケイ素化合物などの表面処理剤で、表面が疎水化処理された表面処理シリカ微粉末であり、表面にトリオルガノシロキシ基(M単位)を含まないものである。これらの表面処理シリカ微粉末は、予め粉体の状態で、表面処理剤により、直接表面疎水化処理されたものを用いてもよいし、シリコーンオイル(例えば、上記(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン)との混練時に表面処理剤を添加して、表面疎水化処理したものを用いてもよい。
【0057】
なお、表面処理シリカ微粉末上のオルガノシロキシ基とは、上記表面処理剤である有機ケイ素化合物由来のオルガノシロキシ基を指すものとする。
【0058】
かかる表面処理シリカ微粉末は、BET法による比表面積が50m2/g以上であり、好ましくは50~400m2/g、より好ましくは100~300m2/gである。比表面積が50m2/g未満では、エアーバッグ用コーティング剤として満足するような機械的強度特性を付与することができない。
【0059】
このような表面処理シリカ微粉末としては、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されるものでよく、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)などの微粉末を表面処理したものが挙げられる。
【0060】
上記(C)成分の表面処理法としては、公知の技術により表面処理することができる。例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に未処理のシリカ微粉末と表面処理剤とを入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において、室温(25℃)あるいは熱処理(加熱)下にて混合処理することができる。場合により、水又は触媒(加水分解促進剤等)を使用して表面処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより、表面処理シリカ微粉末を製造し得る。表面処理剤の配合量は、その表面処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。
【0061】
上記表面処理剤としてはトリオルガノシロキシ単位(M単位)を含まないものであれば特に限定されないが、具体的には、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のクロロシラン類、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、下記(1)式で表される末端がそれぞれジオルガノアルコキシシリル基、またはジオルガノヒドロキシシリル基から選ばれる基で封鎖されたジオルガノシロキシポリシロキサン等が挙げられ、これらで表面処理し、疎水性表面処理シリカ微粉末として用いることができる。表面処理剤としては、特にジクロロジメチルシラン又は、両末端シラノール基のジメチルポリシロキサン(下記式(1)においてR
1がメチル基、R
2が水素原子)であることが好ましい。
【化4】
(式中、R
1は独立して炭素数1~12の1価飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価芳香族炭化水素基であり、R
2は独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、nは1~100の整数である)
【0062】
上記(C)成分の配合量は、上記(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、1~30質量部であり、好ましくは2~25質量部、より好ましくは3~20質量部である。配合量が1質量部未満であると、本発明に必要な強度が得られず、配合量が30質量部を超えると、得られるシリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、流動性が低下してコーティング作業が悪化することがある。
【0063】
上記(C)成分のシリカ微粉末は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0064】
[(D)成分]
(D)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、主に上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基と上記(B)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進するものである。このヒドロシリル化反応用触媒は、特に限定されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属;塩化白金酸;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸と、オレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられ、好ましくは白金族金属化合物である。
【0065】
上記(D)成分の配合量は、上記(A)~(C)成分100質量部に対して、触媒金属元素の質量換算で、1~500ppmであり、好ましくは5~100ppmである。この配合量が1ppm未満であると、付加反応が著しく遅くなったり、組成物が硬化しなかったりするため好ましくなく、配合量が500ppmを超えると、硬化物の耐熱性が低下する恐れがある。
【0066】
上記(D)成分の付加反応触媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0067】
[(E)成分]
(E)成分は、接着性付与官能基を含有する有機ケイ素化合物であり、接着性付与官能基としては、エポキシ基、ケイ素原子に結合したアルコキシ基(アルコキシシリル基)、ヒドロシリル基、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基から選ばれる1つ以上の基などが挙げられ、エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物のエアーバッグ用基布に対する接着性を発現・向上させるために添加するものである。
【0068】
上記有機ケイ素化合物としては、このような接着性付与官能基を有するものであれば、いかなる有機ケイ素化合物でも使用できるが、1分子中にエポキシ基とケイ素原子に結合したアルコキシ基とをそれぞれ1個以上有する有機ケイ素化合物であることが好ましく、接着発現性の観点からは、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基(例えば、トリアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基等)とを有する有機ケイ素化合物、例えば、オルガノシラン、又はケイ素原子数が1~100個、好ましくは1~50個程度の環状若しくは直鎖状のオルガノシロキサンであって、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルコキシ基とを有するものがより好ましい。
【0069】
上記エポキシ基は、例えば、グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基;2,3-エポキシシクロヘキシルエチル基、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ含有シクロヘキシルアルキル基等の形で、ケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0070】
上記ケイ素原子に結合したアルコキシ基は、ケイ素原子と結合して、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基等を形成していることが好ましい。
【0071】
また、上記(E)成分は、1分子中にエポキシ基及びケイ素原子に結合したアルコキシ基以外の官能性基として、例えば、ビニル基等のアルケニル基、アクリル基、(メタ)アクリロキシ基、イソシアネート基、及びヒドロシリル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能性基を有してもよい。
【0072】
上記(E)成分の有機ケイ素化合物としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン、(2,3-エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラン、(2,3-エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジメトキシシラン、(2,3-エポキシシクロヘキシルエチル)メチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤(即ち、エポキシ官能性基含有オルガノアルコキシシラン)又はビニルトリメトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有シランカップリング剤、3-イソシアネートプロピルエトキシシラン等のイソシアネート基含有のシランカップリング剤、トリアリルイソシアヌレートのメトキシシリル変性体等のシランカップリング剤の他、下記の化学式で示される環状オルガノポリシロキサン、又は直鎖状オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、これらの2種以上の混合物、あるいはこれらの1種若しくは2種以上の部分加水分解縮合物等が挙げられる。
【0073】
主なものを、以下に例示する。
【0074】
【化5】
(式中、hは1~10の整数、kは0~40の整数、好ましくは0~20の整数、pは1~40の整数、好ましくは1~20の整数、qは1~10の整数である。)
【0075】
上記(E)成分の配合量は、上記(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1~10質量部であり、好ましくは0.25~5質量部である。配合量が0.1質量部未満であると、得られる組成物が十分な接着力を発現しないことがある。配合量が10質量部を超えると、組成物のチキソ性が高くなり、流動性が低下し、コーティング作業性が悪化することがある。
【0076】
なお、上記(E)成分が、アルケニル基及び/又はヒドロシリル基を含む場合、上記(E)成分は、上記(A)成分及び上記(E)成分を含む全組成物中に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モル(又は個)に対する上記(B)成分及び上記(E)成分を含む全組成物中に含まれるヒドロシリル基の合計が、1~10モル(又は個)であり、好ましくは1.2~9モル(又は個)、より好ましくは1.5~8モル(又は個)となる量である。
【0077】
これは、組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、ヒドロシリル基が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を発現しない場合があり、一方、ヒドロシリル基が10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがあるためである。
【0078】
上記(E)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0079】
[その他の成分]
本発明にかかる組成物には、上記(A)~(E)成分以外にも、本発明の目的に応じて、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0080】
[(F)成分]
(F)成分の縮合触媒は、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種であり、接着促進のために、上記(E)成分中の接着性付与官能基の縮合触媒として作用するものである。
【0081】
上記(F)成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物、等のチタン系縮合触媒(チタニウム化合物);ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物、等のジルコニウム系縮合触媒(ジルコニウム化合物);アルミニウムセカンダリーブトキシド等の有機アルミニウム酸エステル、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等の有機アルミニウムキレート化合物、等のアルミニウム系縮合触媒(アルミニウム化合物)が挙げられる。
【0082】
上記(F)成分の有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物は、必要に応じて配合される任意成分であり、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部である。配合量が0.1~5質量部の範囲内であると、得られる硬化物はエアーバッグ用基布への接着性に優れたものとなる。
【0083】
上記(F)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0084】
[(G)成分]
(G)成分は、パウダー状の三次元網状(樹脂状)構造であることが特徴のオルガノポリシロキサンレジンである。好適には、3官能性のR5SiO3/2単位及び4官能性のSiO4/2単位から選ばれる1種以上の分岐鎖状シロキサン単位から基本的に構成され、必要に応じて、単官能性のR5
3SiO1/2単位及び/又は2官能性のR5
2SiO2/2単位を任意に含有してもよい。この成分は難燃性向上剤として作用する。但し、このオルガノポリシロキサンレジンは分子中にアルケニル基を含んでもよいが、ケイ素原子結合水素原子(ヒドロシリル基)を含まない。また、このオルガノポリシロキサンレジンは三次元網状(樹脂状)構造を有し、25℃でパウダー状であるので、基本的に直鎖状構造を有し、25℃で液状であってもよい上記(A)成分とは明確に差別化されるものである。
【0085】
上記式中のR5は、独立して炭素数1~10、好ましくは1~8の1価炭化水素基であり、上記(A)成分中において例示したアルケニル基及び1価の有機基と同様のものが挙げられ、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、ビニル基であることが好ましい。
【0086】
上記(G)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した置換基全体に対して0~10モル%であることが好ましく、特に2~8モル%程度であることが好ましい。
【0087】
上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジンは、R5SiO3/2単位及び/又はSiO4/2単位を含有することが好ましく、その合計量は、上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジン中20~75モル%、特に30~60モル%とすることが好ましい。
【0088】
ここで、上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジンには、上述したように、R5
3SiO1/2単位及び/又はR5
2SiO2/2単位を任意に含有してもよいが、その合計含有量は、上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジン中0~70モル%、特に0~50モル%とすることが好ましい。
【0089】
上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジン中のR5SiO3/2単位及び/又はSiO4/2単位の合計量が20~75モル%の範囲内にあると、十分な難燃性改善効果が得られ、好適である。
【0090】
また、上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジンのトルエンを展開溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000~50,000の範囲が好ましく、4,000~20,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が2,000~50,000の範囲内にあると、十分な難燃性改善効果が得られ、コーティング作業性が良好な液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の粘度となる。なお、この重量平均分子量は、上記(A)成分の重量平均重合度を求める際に用いたものと同じ条件のGPC分析によって求めた値である。
【0091】
上記(G)成分のオルガノポリシロキサンレジンの具体例としては、式:R’3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R’2R”SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R’2SiO2/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R’2R”SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’2R”SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R’2SiO2/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、式:R’R”SiO2/2で示されるシロキサン単位と式:R’SiO3/2で示されるシロキサン単位若しくは式:R”SiO3/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
【0092】
上記式中のR’は、アルケニル基以外の互いに同一又は異種の非置換若しくは置換の炭素数1~10、好ましくは1~8の1価炭化水素基であり、その例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられるが、特にメチル基が好ましい。また、上記式中のR”は、アルケニル基であり、その例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基などが挙げられるが、ビニル基が特に好ましい。
【0093】
上記(G)成分の配合量は、上記(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1~100質量部であることが好ましく、1~90質量部であることがより好ましく、2~80質量部であることが特に好ましい。0.1~100質量部の範囲内の配合量であると、十分な難燃性改善効果が得られ、費用対効果に優れる。
【0094】
なお、上記(G)成分がアルケニル基を含む場合、全組成物中に含まれる全ヒドロシリル基が、組成物中に含まれるケイ素原子結合全アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量である。例えば、上記(G)成分は、組成物中の上記(A)成分、上記(E)成分及び上記(G)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対する上記(B)成分及び上記(E)成分中に含まれるヒドロシリル基が、1~10モル(又は個)、好ましくは1.2~9モル(又は個)、より好ましくは1.5~8モル(又は個)となる量とすることができる。組成物中のケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、ヒドロシリル基の合計が1モル未満であると、組成物は十分に硬化せず、十分な接着力を発現しない場合があり、一方、ヒドロシリル基が10モルを超えると、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が極端に劣ることがあるためである。
【0095】
このように、本発明では、エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物中に含まれる各成分のアルケニル基の合計1モルに対するヒドロシリル基の合計のモル数が1~10モルとなるように各成分を配合する。
【0096】
上記(G)成分の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンは、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0097】
・反応制御剤
反応制御剤は、上記(D)成分のヒドロシリル化反応用触媒に対して、硬化抑制効果を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレンアルコール類等のアセチレン系化合物;アルケニル基を2個以上含む化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
【0098】
反応制御剤による硬化抑制効果の度合は、その反応制御剤の化学構造によって異なるため、反応制御剤の添加量は、使用する反応制御剤の各々について、最適な量に調整することが好ましい。最適な量の反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性及び硬化性に優れたものとなる。
【0099】
・非補強性充填剤
上記(C)成分の表面処理シリカ微粉末以外の充填剤として、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、ケイ藻土、タルク、カオリナイト、ガラス繊維等の充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;(G)成分以外のシリコーンレジンパウダーなどが挙げられる。
【0100】
・その他の成分
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子に結合した水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子もケイ素原子に結合したアルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
【0101】
<付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の調製>
上記(A)~(E)成分の他、更に必要に応じて配合される上記(F)成分、上記(G)成分、その他の成分を均一に混合することにより、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を調製することができる。
【0102】
こうして得られる付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、25℃で液状の組成物であり、25℃における粘度は、1~1,000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは2~500Pa・sであり、更に好ましくは5~300Pa・sである。25℃において、上記の粘度範囲内であれば、エアーバッグ用基布に塗工する際に、塗工むらや硬化後の基布への接着力不足などが生じにくいため、好適に用いることができる。
【0103】
また、本発明のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、上記(A)から上記(E)成分と、必要に応じて配合されるその他の成分を混合する工程を含み、上記(C)成分としてシリカ微粉末をトリオルガノシロキシ単位を含まない表面処理剤により表面処理したものを用いることにより製造することができる。
【0104】
上記表面処理剤としては、上記(C)成分の説明で記載されたものを用いることができ、ジクロロジメチルシラン、又は上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物から選ばれるものを含むものであることが好ましい。
【0105】
<エアーバッグ用基布>
一般に、シリコーンゴム層が形成されるエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)としては、公知のものが用いられ、その具体例としては、6,6-ナイロン、6-ナイロン、アラミド繊維などの各種ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられる。
【0106】
<エアーバッグ>
本発明のエアーバッグは、エアーバッグ用基布上に、上記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化被膜を有するものである。
【0107】
<エアーバッグの製造方法>
上記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を、エアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)の片面または両面、特には片面のみに塗布した後、乾燥炉などで加熱硬化してシリコーンゴム層(硬化被膜)を形成できる。このようにして得たエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布を用いて、エアーバッグが製造できる。
【0108】
ここで、上記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物をエアーバッグ用基布にコーティングする方法としては、常法を採用することができるが、ナイフコーターによるコーティングが好ましい。コーティング層の厚さ(又は表面塗布量)は、通常5~100g/m2、好ましくは8~90g/m2、より好ましくは10~80g/m2とすることができる。
【0109】
上記エアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の硬化方法は特に限定されず、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、例えば、100~200℃において、1~30分加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。
【0110】
このようにして製造された片面または両面にシリコーンゴム層を有するエアーバッグ用基布をエアーバッグに加工する際は、シリコーンゴムでコーティングされた面を内面側として2枚の上記エアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布の外周部同士を接着剤で貼り合わせた後、その接着剤層を縫い合わせて作製する方法が挙げられる。また、予め袋織りして作製されたエアーバッグ用基布の外側両面に、上記のように、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を所定のコーティング量でコーティングし、所定の硬化条件下で硬化させる方法を採ってもよい。なお、ここで用いる接着剤には、公知のものを用いることができるが、シームシーラントと呼ばれるシリコーン系接着剤が接着力や接着耐久性などの面から好適である。
【実施例0111】
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において、M単位とはR3SiO1/2単位、D単位とはR2SiO2/2単位、及びQ単位とはSiO4/2単位を指し、上記Rは有機基を示す。また、重量平均重合度及び粘度は上記の方法で測定した。
【0112】
[実施例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され重量平均重合度が450の直鎖状ジメチルポリシロキサン(A1)147質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(G)(重量平均分子量:6,000)27.5質量部、比表面積がBET法で110m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C1)(商品名:Aerosil R-972、日本アエロジル株式会社製、29Si固体NMRでD単位とQ単位以外は検出されない)10質量部、架橋剤として25℃における粘度が8mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子に結合した水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(B)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0092mol/g、上記式(2)中でa=1.56,b=0.56、R3=メチル基に相当)17質量部、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(E)0.50質量部、1-エチニルシクロヘキサノール0.07質量部、塩化白金酸/1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.32質量部、テトラオクチルチタネート(F)0.60質量部を1時間混合して、組成物A(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=5.2mol/mol、粘度12Pa・s)を調製した。
【0113】
<難燃性試験方法>
上記組成物Aをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)に表面塗布量が25~30g/m2になるようにナイフコーターでコーティングした後に、200℃の乾燥機で1分間の加熱硬化を行い、シリコーンゴム硬化物(硬化被膜)でコーティングされたエアーバッグ基布を作製した。作製されたシリコーンゴムコーティングエアーバッグ用基布について、FMVSS-302(Federal Moter Vehicle Safety Standard-302)に記載の方法で、難燃性を評価した。試験片である基布(幅10cm×長さ35cm)のシリコーンゴムコーティング面を上側にして、FMVSS-302に記載の方法で燃焼させた時の炎が消えるまでの燃焼距離及び燃焼時間をN=10で測定した。この燃焼距離と燃焼時間から燃焼速度を計算し、燃焼速度が102mm/min以下のものを合格とし、N=10全ての試験に合格したものを合格、1つでも不合格があったものは不合格と評価した。また、燃焼距離が50mm以下且つ燃焼時間が60秒以下の場合を「自己消火」と判定し、N=10で試験した時の自己消火率を表1に示す。
【0114】
<ヘッドスペースGC(ガスクロマトグラフィー)の測定方法>
上記組成物Aをエアーバッグ用66ナイロン基布(210デニール)に表面塗布量が25~30g/m2になるようにナイフコーターでコーティングした後に、200℃の乾燥機で1分間の加熱硬化を行い、シリコーンゴム硬化物(硬化被膜)でコーティングされたエアーバッグ基布を作製した。このエアーバッグ用シリコーンコーティング基布を1片当たりの重さが15~25mgになるように裁断した後、塩化カルシウムを乾燥剤としてデシケーター内で24時間乾燥させた。その後、20mLのヘッドスペースGC用のバイアル瓶に2.0000±0.001gになるように裁断したサンプルを量り取り、ヘッドスペースGCバイアル専用の蓋で密閉した。こうして用意したサンプルについて以下の条件でヘッドスペースGC(島津製作所株式会社製 Nexis GC-2030及びHS-20)を測定した。
【0115】
[測定条件]
オーブン温度:120℃
バイアル保温時間:5時間
カラムオーブン温度:50℃(3分)→12℃/分昇温→200℃(4分)
検出器:FID
使用カラム:キャピラリカラム(品名:SH-Stabilwax、島津製作所製)
カラムの長さ:30m
スプリット比:20:1
【0116】
<検量線の作成方法>
0.1g/L、0.5g/L、1.0g/L、5.0g/L、10.0g/L、50.0g/L、100.0g/Lの7種類のアセトン-ブタノール溶液を標準溶液として、以下の条件でそれぞれの標準溶液のヘッドスペースGCを測定した。
[測定条件]
サンプル量:4μL
オーブン温度:120℃
バイアル保温時間:1時間
カラムオーブン温度:50℃(3分)→12℃/分昇温→200℃(4分)
検出器:FID
使用カラム:キャピラリカラム(品名:SH-Stabilwax、島津製作所製)
カラムの長さ:30m
スプリット比:20:1
次に、横軸にアセトン濃度、縦軸にアセトンのGCピーク面積を取り、最小二乗法によって検量線を引き、その傾きを係数Kとした。
【0117】
<トータルVOCの計算方法>
以下の計算式よりアセトンを標準とした半定量値としてトータルVOC[ppm]を計算した。
トータルVOC[ppm]=全化合物のGCピーク面積/検量線より算出した係数K×2
ヘッドスペースGCを3回測定し、上式より計算したトータルVOC[ppm]の中央値を表1に示す。
【0118】
[実施例2]
実施例1の比表面積がBET法で110m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C1)(商品名:Aerosil R-972 日本アエロジル株式会社製)を比表面積がBET法で170m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C2)(商品名:Aerosil R-974 日本アエロジル株式会社製、29Si固体NMRでD単位とQ単位以外検出されない)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物B(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=5.2mol/mol、粘度15Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表1に示す。
【0119】
[実施例3]
実施例1の比表面積がBET法で110m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C1)(商品名:Aerosil R-972 日本アエロジル株式会社製)10質量部を15質量部に置き換えたこと以外は同様にして組成物C(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=5.2mol/mol、粘度25Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表1に示す。
【0120】
[比較例1]
実施例1の比表面積がBET法で110m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C1)(商品名:Aerosil R-972 日本アエロジル株式会社製)を無配合にしたこと以外は同様にして組成物D(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=5.2mol/mol、粘度3Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表1に示す。
【0121】
[比較例2]
実施例1の比表面積がBET法で110m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C1)(商品名:Aerosil R-972 日本アエロジル株式会社製)を比表面積がBET法で170m2/gであるヘキサメチルジシランで処理されたシリカ微粉末(商品名:Musil 120A 信越化学工業株式会社製、29Si固体NMRでM単位とQ単位以外検出されない)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物E(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=5.2mol/mol、粘度8Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表1に示す。
【0122】
[比較例3]
実施例1の比表面積がBET法で110m2/gであるジメチルジクロロシランで処理されたシリカ微粉末(C1)(商品名:Aerosil R-972 日本アエロジル株式会社製)を比表面積が7.0m2/gであるタルク微粉末(ミクロエース K-1 日本タルク株式会社製)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物F(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=5.2mol/mol、粘度5Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表1に示す。
【0123】
【0124】
[調製例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・s、重量平均重合度が750のジメチルポリシロキサン(A2)60質量部、下記(3)式で表される両末端シラノール基であるポリジメチルシロキサン4質量部、アンモニア水(28%)0.1質量部、比表面積がBET法で130m
2/gである未処理シリカ微粉末(C3)(商品名:Aerosil 130、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、25℃にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、25℃まで冷却して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A2)30質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(1)を得た。このベースコンパウンドの
29Si固体NMRを測定したところ、D単位とQ単位以外検出されなかった。
【化6】
【0125】
[調製例2]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・s、重量平均重合度が750のジメチルポリシロキサン(A2)60質量部、上記(3)式で表される両末端シラノール基であるポリジメチルシロキサン4質量部、ヘキサメチルジシラザン3.0質量部、比表面積がBET法で130m2/gである未処理シリカ微粉末(C3)(商品名:Aerosil 130、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、25℃にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、25℃まで冷却して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A2)30質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(2)を得た。このベースコンパウンド(2)の29Si固体NMRを測定したところ、オルガノシロキシ基のうち72%がD単位、28%がM単位であった。
【0126】
[調製例3]
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・s、重量平均重合度が750のジメチルポリシロキサン(A2)60質量部、ヘキサメチルジシラザン5.0質量部、比表面積がBET法で200m2/gである未処理シリカ微粉末(商品名:Aerosil 200、日本アエロジル社製)40質量部をニーダー中に投入し、25℃にて1時間混合した。その後温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。この後、25℃まで冷却して分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、25℃での粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A2)30質量部を添加して均一になるまで混合し、ベースコンパウンド(3)を得た。このベースコンパウンド(3)の29Si固体NMRを測定したところ、M単位とQ単位しか検出されなかった。
【0127】
[実施例4]
調製例1で調製したベースコンパウンド(1)70質量部、25℃での粘度が1,000mPa・sであり、重量平均重合度が200である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A3)61.6質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され重量平均重合度が450のジメチルポリシロキサン(A1)27.5質量部、(CH3)3SiO1/2単位39.5モル%と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位6.5モル%とSiO2単位54モル%とからなる三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(G)(重量平均分子量:6,000)27.5質量部、架橋剤として25℃における粘度が8mPa・sであり、分子鎖側鎖にケイ素原子に結合した水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(B)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0092mol/g、上記式(2)中でa=1.56,b=0.56、R3=メチル基に相当)16質量部、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(E)0.50質量部、1-エチニルシクロヘキサノール0.07質量部、塩化白金酸/1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.32質量部、テトラオクチルチタネート(F)0.60質量部を1時間混合して、組成物G(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=4.6mol/mol、粘度59Pa・s)を調製した。調製した組成物Gについて、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表2に示す。
【0128】
[実施例5]
実施例4のベースコンパウンド(1)70質量部を50質量部に置き換え、重量平均重合度が200である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A3)61.6質量部を81.6質量部に置き換えたこと以外は同様にして組成物H(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=4.3mol/mol、粘度30Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表2に示す。
【0129】
[比較例4]
実施例4のベースコンパウンド(1)を調製例2で調製したベースコンパウンド(2)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物I(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=4.6mol/mol、粘度54Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表2に示す。
【0130】
[比較例5]
実施例4のベースコンパウンド(1)を調製例3で調製したベースコンパウンド(3)に同質量部で置き換えたこと以外は同様にして組成物J(組成物全体において、ヒドロシリル基/ビニル基=4.6mol/mol、粘度13Pa・s)を調製し、実施例1と同様に難燃性とトータルVOCを評価した結果を表2に示す。
【0131】
【0132】
表1及び表2から分かるように、本発明のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を用いた実施例1~5は、難燃性に優れ且つ高温時のVOC放出量が少ないものとなった。
【0133】
一方、本発明のエアーバッグ用付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を用いなかった比較例1~5は難燃性と低VOC放出量を両立することができなかった。
【0134】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。