IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧 ▶ 日本物理探鑛株式会社の特許一覧

特開2023-102510高周波交流電気探査方法及びそのシステム
<>
  • 特開-高周波交流電気探査方法及びそのシステム 図1
  • 特開-高周波交流電気探査方法及びそのシステム 図2
  • 特開-高周波交流電気探査方法及びそのシステム 図3
  • 特開-高周波交流電気探査方法及びそのシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102510
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】高周波交流電気探査方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/24 20060101AFI20230718BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20230718BHJP
   G01V 3/06 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
G01V3/24
G01R27/02 E
G01V3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003036
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】591088537
【氏名又は名称】日本物理探鑛株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100135862
【弁理士】
【氏名又は名称】金木 章郎
(72)【発明者】
【氏名】神宮司 元治
(72)【発明者】
【氏名】河野 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 英明
【テーマコード(参考)】
2G028
2G105
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BC06
2G028CG02
2G028DH14
2G028HM08
2G028HN02
2G028HN08
2G105AA02
2G105BB03
2G105DD02
2G105EE02
2G105LL02
(57)【要約】
【課題】 より効率よく、地表から地盤内部の比抵抗を測定できる高周波交流電気探査方法及びそのシステムの提供。
【解決手段】 送信側及び受信側ダイポール電極を直線上に配置し地表から地盤内部の比抵抗を測定する高周波交流電気探査方法及びシステムである。受信側ダイポール電極は送信側ダイポール電極から所定距離だけ離間した位置から一定間隔で複数を並べて配置され、送信側ダイポール電極は直性上に等間隔に配置された3つ以上のキャパシタ電極からなる。この送信側ダイポール電極のキャパシタ電極のうち、隣接する2つを選択し高周波交流電流を与えて地盤内部に信号を送信し受信側ダイポール電極毎に信号を受信して地盤内部の比抵抗を求める。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側及び受信側ダイポール電極を直線上に配置し地表から地盤内部の比抵抗を測定する高周波交流電気探査方法であって、
前記受信側ダイポール電極は前記送信側ダイポール電極から所定距離だけ離間した位置から一定間隔で複数を並べて配置され、前記送信側ダイポール電極は前記直線上に等間隔に配置された3つ以上のキャパシタ電極からなり、
前記送信側ダイポール電極の前記キャパシタ電極のうち、隣接する2つを選択し高周波交流電流を与えて前記地盤内部に信号を送信し前記受信側ダイポール電極毎に前記信号を受信して前記地盤内部の比抵抗を求めることを特徴とする高周波交流電気探査方法。
【請求項2】
前記送信側ダイポール電極は前記キャパシタ電極を3つ具備し、中央の前記キャパシタ電極に対して、その両側の前記キャパシタ電極に接続を切り替えて前記高周波交流電流を与えることを特徴とする請求項1記載の高周波交流電気探査方法。
【請求項3】
前記キャパシタ電極の接続の切り替えに電磁リレーを用い、前記高周波交流電流を停止した上で切り替え動作を行うことを特徴とする請求項2記載の高周波交流電気探査方法。
【請求項4】
前記受信側ダイポール電極は等間隔に並べたキャパシタ電極からなることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の高周波交流電気探査方法。
【請求項5】
前記送信側ダイポール電極及び前記受信側ダイポール電極の相対位置を一定としたまま、前記直線に沿って移動させ比抵抗の測定を繰り返すことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載の高周波交流電気探査方法。
【請求項6】
送信側及び受信側ダイポール電極を直線上に配置し地表から地盤内部の比抵抗を測定する高周波交流電気探査システムであって、
前記受信側ダイポール電極は前記送信側ダイポール電極から所定距離だけ離間した位置から一定間隔で複数を並べて配置され、前記送信側ダイポール電極は前記直線上に等間隔に配置された3つ以上のキャパシタ電極からなり、
前記送信側ダイポール電極の前記キャパシタ電極のうち、隣接する2つを選択し高周波交流電流を与えて前記地盤内部に信号を送信し前記受信側ダイポール電極毎に前記信号を受信して前記地盤内部の比抵抗を求めることを特徴とする高周波交流電気探査システム。
【請求項7】
前記送信側ダイポール電極は前記キャパシタ電極を3つ具備し、中央の前記キャパシタ電極に対して、その両側の前記キャパシタ電極に接続を切り替えて前記高周波交流電流を与えることを特徴とする請求項6記載の高周波交流電気探査システム。
【請求項8】
前記キャパシタ電極の接続の切り替えのための電磁リレーを含み、前記高周波交流電流を停止した上で切り替え動作を行う制御部を含むことを特徴とする請求項7記載の高周波交流電気探査システム。
【請求項9】
前記受信側ダイポール電極は等間隔に並べたキャパシタ電極からなることを特徴とする請求項6乃至8のうちの1つに記載の高周波交流電気探査システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信側及び受信側ダイポール電極を直線上に配置し地表から地盤内部の比抵抗を測定する高周波交流電気探査方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
路面下に敷設された地盤の比抵抗を測定することで埋設された水道管などの腐食リスクを推定できる。この地盤内部の比抵抗を地表から測定する方法として、キャパシタ電極の対からなるダイポール電極を用い高周波交流信号にて測定行う高周波交流電気探査法が知られている。送信側電極に高周波交流電流を流すことで20kHz程度の高周波交流信号を地中に送信し、所定距離離れた受信側電極での電圧を測定する。送信側電極から受信側電極までの距離は測定される地中深さに対応し、受信側電極を複数個設けることで地盤の比抵抗をマトリクス状に測定できる。
【0003】
特許文献1では、1つの送信側ダイポール電極に対して複数の受信側ダイポール電極を所定間隔で一列に設けた高周波交流電気探査装置とこれによる地盤内部の比抵抗測定方法が開示されている。送信側ダイポール電極から発せられる高周波交流信号を各受信側ダイポール電極で受信し同期検波処理することで、送信側及び受信側ダイポール電極間の距離に対応した地盤内部の深さ方向における異なる位置での比抵抗を安定して求めることができる。そして、探査装置を牽引しながら所定位置毎に測定を繰り返すことで広範囲に亘って比抵抗を求めることができる。
【0004】
また、特許文献2では、所定間隔で一列に並べて設けた複数の受信側ダイポール電極を挟むようにその両側に送信側ダイポール電極を設けた高周波交流電気探査装置とその測定方法を開示している。ここでは2つの送信側ダイポール電極を切り替えつつ高周波交流信号を地盤に送信することで、受信側ダイポール電極毎に各送信側ダイポールとの距離及び位置に対応した地盤内部の異なる深さ及び位置での比抵抗を測定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-109589号公報
【特許文献2】特開2021-71437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、同期検波処理を行うことで、送信側ダイポール電極と受信側ダイポール電極とを同時に牽引し移動させ得るとしているが、一般的には、送信側ダイポール電極を固定し、受信側ダイポール電極のみを牽引し、移動させた位置毎に測定を行っている。このとき、特許文献2のような測定方法を用いると、その場で一度に広範な地盤位置での比抵抗測定をでき、移動回数を少なくできる。一方、より高密度に比抵抗測定をするには、こまめに移動をさせた上での測定が必要となる。
【0007】
本発明は、以上のような状況でなされたものであり、より効率よく、地表から地盤内部の比抵抗を測定できる高周波交流電気探査方法及びそのシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による方法は、送信側及び受信側ダイポール電極を直線上に配置し地表から地盤内部の比抵抗を測定する高周波交流電気探査方法であって、前記受信側ダイポール電極は前記送信側ダイポール電極から所定距離だけ離間した位置から一定間隔で複数を並べて配置され、前記送信側ダイポール電極は前記直線上に等間隔に配置された3つ以上のキャパシタ電極からなり、前記送信側ダイポール電極の前記キャパシタ電極のうち、隣接する2つを選択し高周波交流電流を与えて前記地盤内部に信号を送信し前記受信側ダイポール電極毎に前記信号を受信して前記地盤内部の比抵抗を求めることを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるシステムは、送信側及び受信側ダイポール電極を直線上に配置し地表から地盤内部の比抵抗を測定する高周波交流電気探査システムであって、前記受信側ダイポール電極は前記送信側ダイポール電極から所定距離だけ離間した位置から一定間隔で複数を並べて配置され、前記送信側ダイポール電極は前記直線上に等間隔に配置された3つ以上のキャパシタ電極からなり、前記送信側ダイポール電極の前記キャパシタ電極のうち、隣接する2つを選択し高周波交流電流を与えて前記地盤内部に信号を送信し前記受信側ダイポール電極毎に前記信号を受信して前記地盤内部の比抵抗を求めることを特徴とする。
【0010】
かかる発明の特徴によれば、一地点にて地盤内部の比抵抗を高い密度で測定でき、より効率のよい測定が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の比較例の高周波交流電気探査システムの原理を説明する図である。
図2】第2の比較例の電極の配置とその移動について説明する図である。
図3】本発明による高周波交流電気探査システムの1実施例の原理図である。
図4】本発明による高周波交流電気探査システムの1実施例の電力供給について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による高周波交流電気探査システムについて説明する前に、まず、従来の高周波交流電気探査システムである比較例1及び2について説明する。
【0013】
[比較例1]
図1に示すように、高周波交流電気探査システムのうち、第1の従来型システム100では、一対のキャパシタ電極からなるダイポール電極を送信側と受信側のそれぞれに1つずつ備える。送信側ダイポール電極101と受信側ダイポール電極102とは、互いに離間させるとともに、全てのキャパシタ電極(101a、101b、102a、102b)が地表で直線上に一列に並ぶよう配置する。
【0014】
送信側ダイポール電極101から高周波交流信号を地盤に送信し、受信側ダイポール電極102によって同信号を受信することで、地盤内部のみかけの比抵抗(以下、単に比抵抗と称する)を測定することができる。詳細な原理は公知であるのでここでは説明を省略するが、比抵抗の表示点103は、送信側ダイポール電極101と受信側ダイポール電極102との中点の鉛直下方(地面に対して垂直下方)の位置に定められる。表示点103の地表からの深さは、送信側ダイポール電極101と受信側ダイポール電極102の間隔によって定まり、かかる間隔を長くすることで深くなる。多数の表示点103において比抵抗を測定することで埋設された水道管などの腐食リスクを推定する。
【0015】
ここで、第1の従来型システム100では、初回の設置で得られる表示点は1点のみであるため、複数の表示点を得るためにダイポール電極を移動させて比抵抗の測定を繰り返す。例えば、送信側ダイポール電極101の位置は変えずに、受信側ダイポール電極102を1ダイポール長(キャパシタ電極102a-102b間の長さ)ずつ移動させて順次測定する。なお、送信側ダイポール電極101の位置を固定して受信側ダイポール電極102を移動させる方が、逆の場合に比べて測定値が安定して好ましい。
【0016】
つまり、第1の従来型システム100では、受信側ダイポール電極102の移動をしなければ表示点103は1つとなり、1回移動する毎に表示点103の数を1つ増やすことができる。そして、n個の表示点103を得るために初回の移動(設置)を含めてn回の移動を必要とする。よって、より高密度に比抵抗測定をするためには、ダイポール電極の多数回の移動を必要とする。
【0017】
[比較例2]
そこで、図2に示すように、第2の従来型システム110では、受信側ダイポール電極112を複数並べて配置した受信アレイ113を用いている。送信側ダイポール電極111については上記した例と同様に1つであるが、受信アレイ113を用いることで1回の移動で測定できる表示点103(図1参照)を増加させることができる。例えば、n個の受信側ダイポール電極112で受信アレイを構成させると、初回の移動(設置)においてnか所の表示点103を得ることができる。
【0018】
ここでは、n=4として、4つの受信側ダイポール電極112を備える受信アレイ113の例を示した。これによって、初回の設置においてa、c、e、gの4か所に設置される4つの受信側ダイポール電極112で4つの表示点103を得ることができる。つまり、初回の設置で第1の従来型システム100の4倍の数の比抵抗のデータを得られる。
【0019】
さらに、受信アレイ113を直線上で移動させることで、b、d、f、hの4か所に設置される4つの受信側ダイポール電極112でさらに4つの表示点103を得ることができる。つまり、4つ(n個)の受信側ダイポール電極112を備える受信アレイ113によって、初回を含めた2回の移動で、a~hまで8か所(n×2か所)に受信側ダイポール電極112を配置してそれぞれで表示点103を得ることになる。
【0020】
なお、第2の従来型システム110では、受信側ダイポール電極112を互いに1ダイポール長だけ離間させて配置させて受信アレイ113を形成している。そのため受信アレイ113を1ダイポール長だけ移動させることで、結果として第1の従来型システム100と同様に、受信側ダイポール電極112を1ダイポール長間隔で配置し得て、それぞれに対応した表示点103を得ることができる。
【0021】
[実施例]
次に、本実施例における高周波交流電気探査システム10について説明する。
【0022】
高周波交流電気探査システム10は、送信側ダイポール電極1を3つのキャパシタ電極1a、1b、1cによって構成する。キャパシタ電極1a~1cは、後述する受信側ダイポール電極の全てのキャパシタ電極とともに直線上に一列に配置される。また、キャパシタ電極1a~1cは、等間隔に配置される。送信側ダイポール電極1は、キャパシタ電極1a~1cのうち、隣接する2つを選択して高周波交流電流を与えて地盤内部に信号を送信することができる。つまり、キャパシタ電極1a及び1bの2つを選択する場合、又は、キャパシタ電極1b及び1cの2つを選択する場合の2通りが可能である。
【0023】
一方、受信側については、比較例2と同様に複数の受信側ダイポール電極を一定間隔で配置した受信アレイを備え、送信側ダイポール電極1から所定距離だけ離間させた上で配置する。ここでは、4つの受信側ダイポール電極2-1~2-4を含めて受信アレイ3を構成した。そして、受信側ダイポール電極2-1~2-4のそれぞれの電極毎に送信側ダイポール電極1から地盤内部に送信された信号を受信することができる。
【0024】
図4を併せて参照すると、送信側ダイポール電極1のキャパシタ電極1a~1cは、上記したように隣接する2つを選択して高周波交流電流による信号を送信できるようにされる。例えば、高周波交流電流を送信側ダイポール電極1に与えることのできる交流電源20を2つの電磁リレー22a及び22bに接続させる。さらに、電磁リレー22aをキャパシタ電極1a及び1bに接続させ、電磁リレー22bをキャパシタ電極1b及び1cに接続させる。そして、交流電源20からの電流を電磁リレー22a及び22bに導き、制御装置21からの制御信号によって電磁リレー22a及び22bの切り替えを行う。
【0025】
電磁リレー22aをキャパシタ電極1a側に切り替えた場合には電磁リレー22bをキャパシタ電極1b側に切り替え、電磁リレー22aをキャパシタ電極1b側に切り替えた場合には電磁リレー22bをキャパシタ電極1c側に切り替えるのである。換言すれば、中央のキャパシタ電極1bに対して、その両側のキャパシタ電極1a及び1cのそれぞれに接続を切り替えて高周波電流を与えることになる。これによって上記したようにキャパシタ電極1a及び1bの2つ、又は、キャパシタ電極1b及び1cの2つのいずれかを選択して交流信号を発信させることができる。
【0026】
このような電磁リレーによる切り替えの場合、電極の切り換えにおいて交流電源20を停止させることが望ましいが、電磁リレーは半導体リレーよりも浮遊容量が小さく、送信側ダイポール電極1のキャパシタ電極1a~1cのそれぞれの間の交流絶縁を可能とする。
【0027】
これによって、例えば、受信側ダイポール電極2-1は、送信側ダイポール電極1の2通りのキャパシタ電極の選択による組み合わせ(1a及び1b又は1b及び1c)のそれぞれに対応した表示点A及びBを得てそれぞれの比抵抗を得ることができる。同様に、受信側ダイポール電極2-2は表示点C及びD、受信側ダイポール電極2-3は表示点E及びF、受信側ダイポール電極2-4は表示点G及びHを得て、それぞれの比抵抗を得ることができる。
【0028】
その結果、高周波交流電気探査システム10は、初回の移動(設置)において受信側ダイポール電極2-1~2-4の4つによって8か所の表示点(A~H)を得て、それぞれの比抵抗を得ることができる。つまり、n個の受信側ダイポール電極を備えることで、初回の移動(設置)のみでn×2か所の表示点を得ることができる。本実施例では、キャパシタ電極の数としては、第2の従来型システム110に対して1つ増加しただけであるにも関わらず、2倍の数の比抵抗のデータを得ることができる。このように、一地点にて地盤内部の比抵抗を高い密度で測定でき、より効率のよい測定が可能となる。
【0029】
また、送信側ダイポール電極1と受信側ダイポール電極2-1~2-4との相対位置を一定としたまま、送信側ダイポール電極1とともに受信アレイ3を移動させれば、1回移動させるごとにn×2か所の表示点を新たに追加することができる。このような移動は、最初に設置したキャパシタ電極の並んだ直線に沿って繰り返し行うことで、同直線を含む地面に垂直な平面上で表示点を多数得ることができる。
【0030】
このように、本実施例においては、同じ移動回数であれば比較例2の倍の密度で表示点を得ることができる。つまり、より効率よく、地表から地盤内部の比抵抗を測定できる。
【0031】
なお、送信側ダイポール電極1のキャパシタ電極の数は4以上であってもよい。つまり、キャパシタ電極1a、1b、1c…1mのm個を直線上に一列に等間隔で配置して、隣接する2つを選択して高周波交流電流を与えて地盤内部に信号を送信できるようにすればよい。この場合、初回の移動(設置)のみで、受信側ダイポール電極1つに対し、m-1か所の表示点を得て、それぞれの比抵抗を得ることができる。
【0032】
また、受信側ダイポール電極は、比較例2と同様に、キャパシタ電極を等間隔で配置して、1ダイポール長毎に1つの受信側ダイポール電極を配置することも好ましい。これによって、送信側ダイポールとともに受信側ダイポール電極を1ダイポール長だけ移動して設置することで、得られる表示点を等間隔で増加させつつ、結果として表示点の密度を増大させることができる。
【0033】
例えば、図3において送信側ダイポール電極1及び受信アレイ3を右に1ダイポール長移動させた場合、表示点Bと表示点Dの間に新たな表示点Aを得るように、全ての表示点を右に1ダイポール長移動させた位置で得ることができる。
【0034】
以上、本実施例の高周波交流電気探査システム10によれば、比較例1や比較例2に比べて、少ない移動回数で同等以上の数の表示点を得て、又は、同じ移動回数でより多くの表示点を得て、それぞれの比抵抗を得るための測定時間を全体として短縮することができる。つまり、より効率よく、地表から地盤内部の比抵抗を測定できる。
【0035】
以上、本発明による代表的な実施例及びこれに伴う変形例について述べたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。つまり、当業者により、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0036】
1 送信側ダイポール電極
1a~1c キャパシタ電極
2-1~2-4 受信側ダイポール電極
3 受信アレイ
10 高周波交流電気探査システム

図1
図2
図3
図4