(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102535
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20230718BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20230718BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20230718BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20230718BHJP
C08K 7/00 20060101ALI20230718BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20230718BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20230718BHJP
C08K 7/04 20060101ALI20230718BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230718BHJP
C08K 3/24 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K3/00
C08L45/00
C08L23/16
C08K7/00
C08K3/34
C08K3/38
C08K7/04
C08K3/22
C08K3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003077
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 徹
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC03W
4J002AC06W
4J002BB15W
4J002BB18W
4J002BK00X
4J002DA036
4J002DE146
4J002DE186
4J002DE236
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK006
4J002FA006
4J002FA046
4J002FD016
4J002GL00
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】 幅広い温度領域での制振性能に優れ制振性ゴム組成物としても有用な新規なゴム組成物を提供するものである。
【解決手段】 非極性ジエン系ゴム100重量部に対し、少なくともC5-ジシクロペンタジエン共重合樹脂(B)20~105重量部及び無機充填剤20~200重量部を含むゴム組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極性ジエン系ゴム100重量部に対して、少なくともC5-ジシクロペンタジエン共重合樹脂20~105重量部及び無機充填剤20~200重量部を含むことを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
非極性ジエン系ゴムが、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム及びブチルゴムよりなる群より選択される少なくとも1種以上のものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
C5-ジシクロペンタジエン共重合樹脂が、下記特性(1)~(5)のいずれをも満足するC5-ジシクロペンタジエン共重合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル装置にて測定したピーク面積における二重結合水素面積が6~13%、オレフィン性二重結合/ジシクロペンタジエン残基二重結合(面積比)が30/70~75/25。
(2)標準ポリスチレンを標準物質とし、JIS K-0124(2011)に準拠し、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフにより測定した重量平均分子量が1200~2500、重量平均分子量/数平均分子量が1.5~2.5。
(3)JIS K-2605(1996)に準拠し測定した臭素価が40~55(g-Br2/100g)。
(4)JIS K-2207(1996)(環球法)に準拠し測定した軟化点が80~125℃。
(5)50重量%トルエン溶液として、ASTM D-1544-63Tに準拠し測定したガードナー色相が4~9。
【請求項4】
無機充填剤が、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、バーミキュライト、チタン酸カリウム及び窒化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
該無機充填剤として、少なくとも、層状無機充填剤、板状無機充填剤及び繊維状無機充填剤から選択されるものを非極性ゴム100重量部に対して3~40重量部を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
層状無機充填剤がマイカ及び/又は窒化ホウ素、板状無機充填剤がクレー及び/又はバーミキュライト、繊維状無機充填剤がアルミナ及び/又はチタン酸カリウムであることを特徴とする請求項5に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のゴム組成物を含むものであることを特徴とする制振材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非極性ジエン系ゴムに対して、少なくとも特定量のC5-ジシクロペンタジエン(以下、DCPDと称する場合もある。)共重合樹脂及び特定量の無機充填剤を含む新規なゴム組成物に関するものであり、特に、広い温度範囲で優れた制振性能を発揮しうる制振性ゴム組成物としても有用な新規なゴム組成物及びそれよりなる制振材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車、鉄道車両、住宅設備等の分野において、発生する不要な振動を防止するために、制振ゴムが使用されている。
【0003】
そして、自動車分野においては、エンジンからの振動を抑制するマウント材等として用いられており、近年の高効率化への対応によりエンジン、排気管などはより高熱を発し、これらも高温下での制振性能が求められている。
【0004】
このような要求を満足するものとして、ブチルゴム、テルペン系樹脂とC5留分の脂肪族系石油樹脂とよりなる粘着付与剤、分子量の異なる2種のポリブテン樹脂よりなる付着力向上作用を有する付着付与剤、有機繊維とガラス繊維とよりなる繊維成分からなる組成物(例えば、特許文献1参照。)、また、イソブチレン-イソプレン共重合体と、ポリスチレン-ビニルポリイソプレンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーに対し、テルペン系樹脂、C5系石油樹脂、または、完全水添石油樹脂から選ばれる少なくとも1種を配合し、広範囲の温度領域で使用可能な制振ゴム(例えば、特許文献2参照。)、天然ゴムまたは官能化天然ゴム、改質天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム弾性を有するポリマーに対し、クマロン樹脂を配合し、10℃~50℃で優れた制振性能や衝撃吸収性能を示すゴム組成物(例えば特許文献3参照。)、ブチルゴムに対し、少なくとも、芳香族単量体残基成分が30wt%未満である脂肪族単量体重合系樹脂、芳香族単量体残基成分が70wt%以上である芳香族単量体重合系樹脂を配合し、50℃以上の高温領域において、優れた制振性能を持つゴム組成物(例えば特許文献4参照。)等の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5815176号
【特許文献2】特開2010-254923号公報
【特許文献3】特開2012-153834号公報
【特許文献4】特開2021-50302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~4に提案のいずれの組成物も、近年のより要求の厳しくなる使用環境下における幅広い温度領域での安定した制振性能の発揮には、至っておらず、特に幅広い温度範囲で制振性能を発揮しうる材料の出現が期待されている。そこで、本発明は、上記課題を解決し、幅広い温度領域での制振性能に優れ制振性ゴム組成物としても有用な新規なゴム組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、非極性ジエン系ゴムに対し、少なくとも特定量のC5-DCPD共重合樹脂及び特定量の無機充填剤を配合することで、幅広い温度領域で優れた制振性能を発揮し、制振性ゴム組成物としても有用な新規なゴム組成物となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、非極性ジエン系ゴム100重量部に対して、少なくともC5-DCPD共重合樹脂20~105重量部及び無機充填剤20~200重量部を含むことを特徴とするゴム組成物に関するものである。
【0009】
以下に、本発明に関して詳細に説明する。
【0010】
本発明のゴム組成物は、非極性ジエン系ゴム100重量部に対し、少なくともC5-DCPD共重合樹脂20~105重量部及び無機充填剤20~200重量部を含む新規なゴム組成物であり、さらに軟化剤などを含むものであってもよい。
【0011】
本発明のゴム組成物を構成する非極性ジエン系ゴムとしては、炭素・炭素二重結合を有する非極性ジエン系ゴムに属する範疇のものであれば制限はなく、例えば天然ゴム(NRと記す場合もある。)、ポリイソプレンゴム(IRと記す場合もある。)、ポリブタジエンゴム(BRと記す場合もある。)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDMと記す場合もある。)、ブチルゴム(IIRと記す場合もある。)等が挙げられ、特にC5-DCPD共重合樹脂との相溶性に優れる制振性能に優れる制振性ゴム組成物となることからIR、BR,EPDM、IIRであることが好ましく、これらは単独で使用しても混合して使用しても良い。非極性ジエン系ゴムの分子量やミクロ構造は特に制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化、塩素化、臭素化されていてもよく、市販品を用いることができる。ここで、非極性ジエン系ゴム以外のゴムである場合、得られる組成物は、C5-DCPD共重合樹脂との相溶性、無機充填剤の分散性に課題を有し、制振性能、特に幅広い温度領域での制振性能の発現が困難なものとなる。
【0012】
本発明のゴム組成物を構成するC5-DCPD共重合樹脂は、石油類の熱分解による沸点範囲20~110℃の留分であるC5留分(脂肪族成分留分と称する場合もある。)とジシクロペンタジエン類であるDCPDを共重合してなる樹脂である。この際のC5留分としては、沸点範囲20~110℃の留分を挙げることができ、該C5留分の成分としては、例えばブテン、ブタジエン、イソブテン等の炭素数4の脂肪族化合物;2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、ピペリレン等の炭素数5の鎖状脂肪族化合物;1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-メチル-2-ペンテン、3-メチル-2-ペンテン、4-メチル-2-ペンテン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン等の炭素数6の鎖状脂肪族化合物;1-へプテン、2-へプテン、3-へプテン、2-メチル-3-ヘキセン、4-メチル-2-ヘキセン、3,4-ジメチル-2-ペンテン等の炭素数7の鎖状脂肪族化合物等を挙げることができる。また、DCPDとしては、ジシクロペンタジエン単独はもとより、石油類の熱分解留分であるジシクロペンタジエン留分であってもよく、例えばメチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンを含むものであってもよい。
【0013】
該C5-DCPD共重合樹脂は、本発明の目的を達成する範囲において共重合成分として影響のない範囲のC9成分を含むことを排除するものではないが、特に非極性ジエン系ゴムの改質効果、特に制振性能を発現するものとする際には、石油類の分解留分における沸点範囲が140~280℃の留分であるC9留分(芳香族成分留分と称する場合もある。)を成分として含まないものであることが好ましい。
【0014】
該C5-DCPD共重合樹脂の製造方法としては、C5-DCPD共重合樹脂の製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば、C5留分、DCPD、溶媒として、n-ペンタン等のC5留分の飽和炭化水素を用い、重合触媒により重合反応を行う方法を挙げることができる。この際の重合触媒としては、特に限定はなく、例えば三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素あるいはその錯体等、中でも触媒活性に優れることから、三フッ化ホウ素のメタノール,プロパノール,ブタノール,イソブタノール、イソペンタノール等のアルコール,フェノール等の錯体が選択される。中でも、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノールとの錯体がより好ましい。また、錯体はそのまま又は三フッ化ホウ素とアルコール類,フェノール類より使用直前にin-suitで調製したものであってもよい。さらに、原料油としては、特に軟化点、色相に優れるC5-DCPD共重合樹脂が得られることから、C5留分25~70重量%、DCPD留分75~30重量%を混合配合してなる原料油であることが好ましい。更に、重合温度としては、特に制限はなく、重合活性が高く生産性に優れるものとなることから、20~80℃が好ましく、特に30~60℃であることが好ましい。また、重合触媒量、重合時間等は、温度や原料油中の水分濃度により適宜選択可能であり、通常、例えば、原料油に対して重合触媒0.1~2.0重量%、重合時間0.1~10時間が好ましい。反応圧力も特に制限はなく、大気圧~1MPaが好ましい。雰囲気も特に制限はなく、中でも窒素雰囲気が好ましい。
【0015】
また、該C5-DCPD共重合樹脂としては、特に幅広い温度領域における制振性に優れるゴム組成物となることから、プロトン核磁気共鳴スペクトル装置にて測定したピーク面積における二重結合水素面積が6~13%であることが好ましく、特に8~11%を有するものであることが好ましい。この際のプロトン核磁気共鳴スペクトルとしては、例えば400MHzのプロトン核磁気共鳴スペクトル装置にて測定することができる。
【0016】
そして、プロトン核磁気共鳴スペクトルにおけるオレフィン性二重結合/ジシクロペタンジエン残基二重結合(面積比)が30/70~75/25であることが好ましく、特に40/60~60/40を有するものであることが好ましく、標準ポリスチレンを標準物質とし、JIS K-0124(2011年)に準拠し、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィにより測定した重量平均分子量が1500~2500であることが好ましく、特に1800~2100の範囲内であることが好ましい、さらに重量平均分子量/数平均分子量が1.5~2.5であることが好ましく、特に1.7~2.2のものであることが好ましい。さらにJIS K-2605(1996年)に準拠し測定した臭素価が40~55(g-Br2/100g)であることが好ましく、JIS K-2207(1996年)(環球法)に準拠し測定した軟化点が80~125℃であることが好ましい。
【0017】
さらに、外観に優れるゴム組成物となることから、50重量%トルエン溶液として、ASTM D-1544-63Tに準拠し測定した色相(ガードナー色相)が4~9であることが好ましい。
【0018】
本発明のゴム組成物は、非極性ジエン系ゴム100重量部に対してC5-DCPD共重合樹脂20~105重量部を含むものである。ここで、C5-DCPD共重合樹脂が20重量部未満である場合、得られる組成物は、高温の制振性能に劣るものとなる、一方、C5-DCPD共重合樹脂が105重量部を越えるものである場合、得られる組成物は、低温での制振性能に劣るものとなる。
【0019】
本発明のゴム組成物を構成する無機充填剤としては、ゴムに一般的に配合されるものを挙げることが出来、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、バーミキュライト等を挙げることができる。また、これら無機充填剤は、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明のゴム組成物は、非極性ジエン系ゴム100重量部に対し、無機充填剤を20~200重量部を含むものである。ここで、無機充填剤が20重量部未満である場合、得られる組成物は、高温の制振性能に劣るものとなる、一方、無機充填剤が200重量部を越えるものである場合、得られるゴム組成物は、低温での制振性能に劣るものとなる。
【0020】
そして、特に低温状態から高温状態まで安定した制振性能を発現するものとなることから該無機充填剤として、少なくとも層状無機充填剤、板状無機充填剤及び繊維状無機充填剤から選択されるものを含むものであることが好ましく、その量としては非極性ジエン系ゴム100重量部に対し3~40重量部であることが好ましい。層状無機充填剤としては、例えばマイカ、窒化ホウ素等、板状無機充填剤としては、例えばクレー、バーミキュライト等、繊維状無機充填剤としては、例えばアルミナ、チタン酸カリウム等を挙げることができる。
【0021】
本発明のゴム組成物には、さらに、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、架橋剤、架橋促進剤、軟化剤、発泡剤、スコーチ剤、加工助剤、老化防止剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸などを適宜選択して、通常の配合量の範囲内で使用することができる。
【0022】
そして、本発明のゴム組成物は、上記非極性ジエン系ゴム、C5-DCPD共重合樹脂、無機充填材、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、バンバリー型ミキサー、加圧ニーダー、オープンロールなどの混合方法を用いて混合し得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、非極性ジエン系ゴムに対して、C5-DCPD共重合樹脂及び無機充填材を特定量配合することで、幅広い温度領域において、優れた制振性能を発揮する制振材用として有用性の期待されるゴム組成物を提供することが可能となる。
【実施例0024】
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限を受けるものではない。なお、実施例、比較例において用いた分析、試験法は下記の通りである。
【0025】
ゴム組成物原料を下記に示す。
【0026】
<非極性ジエン系ゴム>
ブチルゴム:JSR社製、(商品名)BUTYL268。
【0027】
<無機充填剤>
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製、重質炭酸カルシウム。
マイカ:ヤマグチマイカ製、(商品名)A-21S。
カーボンブラック:旭カーボン社製、(商品名)旭#70。
【0028】
<配合剤>
プロセスオイル:出光興産社製、(商品名)ダイアナプロセスオイルAH-16。
【0029】
C5-DCPD共重合樹脂の分析方法を下記に示す。
【0030】
~プロトンNMR(核磁気共鳴スペクトル)測定~
C5-DCPD共重合樹脂をクロロホルム-d(和光純薬工業(株)製)に溶解させ、通常のNMR測定法で測定した。得られたスペクトルについて、下記の計算式に基づき面積比率を求めた。
二重結合水素面積(%)=(二重結合水素ピーク面積)/(全ピーク面積の合計)×100
オレフィン性二重結合(面積比)=(オレフィン性二重結合水素ピーク面積)/(オレフィン性、DCPD残基の二重結合性水素ピーク面積の合計)×100
DCPD残基二重結合(面積比)=(DCPD二重結合性水素ピーク面積)/(オレフィン性、DCPD残基の二重結合性水素ピーク面積の合計)×100
なお、各ピークは次の通りである。
二重結合水素ピーク:4.4~6.3ppm。
オレフィン性二重結合ピーク:4.4~5.2ppm。
DCPD残基二重結合ピーク:5.3~5.5ppm。
【0031】
~数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)測定~
ポリスチレンを標準物質とし、JIS K-0124(2011)に準拠してゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーにより測定した。
【0032】
~臭素価測定~
JIS K-2605(1996)に準拠した方法で測定した
~軟化点測定~
JIS K-2207(1996)(環球法)に準拠した方法で測定した。
【0033】
~制振性~
粘弾性測定装置(ユービーエム社製、(商品名)Rheogel E-4000)を使用し、周波数10Hzで損失正接tanδを測定し、20℃、40℃、60℃及び80℃のそれぞれの値を制振性の指標とした。この値が大きい程、制振性が良好であり、20~80℃において、0.18以上の値であれば制振性に優れると判断した。
【0034】
~制振性の温度依存性~
温度依存性=最も損失正接が高い温度の損失正接/最も損失正接が低い温度の損失正接、として制振性の温度依存性を判断した。なお、この値が1.0~2.0の範囲であると温度依存性に優れると判断した。
【0035】
合成例1
内容積2リットルのガラス製オートクレーブに、原料油としてナフサの分解により得たC5留分55重量%、DCPD留分45重量%からなる原料油を調製し仕込んだ。次に、窒素雰囲気下で40℃に調節した後、フリーデルクラフツ型触媒として三フッ化ホウ素イソブタノール錯体を原料油100重量部に対して、1.4重量部加えて2時間重合した。その後、苛性ソーダ水溶液で触媒を除去し、油相の未反応油を蒸留してC5-DCPD共重合樹脂(樹脂Aと称する場合がる。)を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
合成例2~8
原料油としてナフサの分解により得たC5留分とDCPD留分からなる原料油の重量割合を表1、表2に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、C5-DCPD共重合樹脂(以下、樹脂B~Hと称する場合がる。)を得た。評価結果を表1、表2に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
実施例1
ジエン系ゴムとしてブチルゴム100重量部に対し、樹脂A60重量部、炭酸カルシウム70重量部、マイカ20重量部、カーボンブラック10重量部、プロセスオイル30重量部を、バンバリーミキサー(東洋精機製、(商品名)BR600)にて、混練りした。得られた混練物を8インチロールを用いてシーティングしてゴム組成物とし、粘弾性試験(制振性試験)を行った。その結果を表3に示す。得られたゴム組成物は優れた制振性、温度依存性を示した。
【0040】
実施例2~12
ゴム組成物の配合を表3、表4に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法によりゴム組成物を調製し、評価を行った。その結果を表3、表4に示す。
【0041】
得られたゴム組成物は優れた制振性、温度依存性を示した。
【0042】
【0043】
【0044】
比較例1~4
組成物の配合を表5に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調製し、評価を行った。その結果を表5に示す。
【0045】
比較例5
樹脂Aの代わりに、C5系炭化水素樹脂((商品名)T-REZ RA100、ENEOS社製;樹脂Iと称する場合がある。)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調整し、評価を行った。その結果を表5に示す。
【0046】