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特開2023-102598調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102598
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20230718BHJP
   G02F 1/15 20190101ALN20230718BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/15 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003179
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】松島 孝典
【テーマコード(参考)】
2H088
2K101
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088GA10
2H088HA02
2H088HA06
2H088JA05
2H088JA09
2H088JA10
2H088JA13
2H088JA14
2H088MA13
2K101AA03
2K101AA22
2K101BC02
2K101DA01
2K101EB83
2K101EC72
2K101ED25
2K101EG52
2K101EJ12
2K101EK05
(57)【要約】
【課題】調光ガラスの透過指数を緻密に制御可能な調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法を提供することである。
【解決手段】本発明の一態様にかかる調光ガラス制御システム1は、調光機能を備える調光ガラス11と、調光ガラス11の透過指数を制御する制御装置12と、を備える。調光ガラス11は、印加される電圧の実効値に応じて透過指数が変化するように構成されている。制御装置12は、調光ガラス11に印加される電圧の実効値を時分割制御により調整する機能を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光機能を備える調光ガラスと、
前記調光ガラスの透過指数を制御する制御装置と、を備え、
前記調光ガラスは、印加される電圧の実効値に応じて前記透過指数が変化するように構成されており、
前記制御装置は、前記調光ガラスに印加される前記実効値を時分割制御により調整する機能を備える、
調光ガラス制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、1周期の間に前記調光ガラスに電圧が印加される期間に対応するデューティ比を制御することで、前記調光ガラスに印加される前記電圧の実効値を制御する、請求項1に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項3】
前記制御装置には、前記デューティ比と前記調光ガラスの透過指数との関係に関する情報が予め格納されており、
前記制御装置は、前記調光ガラスの透過指数の目標値に応じたデューティ比の電圧を前記調光ガラスに印加する、
請求項2に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記電圧の実効値を前記時分割制御のみで調整する機能を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は更に、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を制御することで、前記電圧の実効値を調整する機能を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を切り替える電圧切替部と、
前記電圧切替部で切り替えられた電圧の振幅を所定のデューティ比で時分割する時分割部と、
前記電圧切替部と前記時分割部とを制御する制御部と、を備える、
請求項5に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項7】
前記制御部には透過指数の閾値が格納されており、
前記制御部は、
前記調光ガラスの透過指数の目標値が前記閾値以上の場合、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧に切り替え、
前記調光ガラスの透過指数の目標値が前記閾値よりも小さい場合、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を第2の電圧に切り替える、
請求項6に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項8】
前記制御装置には、前記電圧の振幅と前記デューティ比と前記調光ガラスの透過指数との関係に関する情報が予め格納されており、
前記制御装置は、前記調光ガラスの透過指数の目標値に応じた電圧の振幅およびデューティ比の電圧を前記調光ガラスに印加する、
請求項6に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項9】
前記調光ガラスに印加される電圧の振幅の最大値が150V以下である、請求項5~8のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項10】
前記透過指数は全光線透過率であり、
前記制御装置は、電圧印加時に、前記全光線透過率を25%以上80%以下の範囲で制御可能である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項11】
前記透過指数はヘーズであり、
前記制御装置は、電圧印加時に、前記ヘーズを1%以上100%以下の範囲で制御可能である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項12】
前記透過指数は全光線透過率又はヘーズであり、
前記制御装置は、前記全光線透過率又は前記ヘーズを1%以下の単位で制御可能である、
請求項1~11のいずれか一項に記載の調光ガラス制御システム。
【請求項13】
印加される電圧の実効値に応じて透過指数が変化する調光ガラスを制御する制御装置であって、
前記制御装置は、前記調光ガラスに印加される前記電圧の実効値を時分割制御により調整する機能を備える、
制御装置。
【請求項14】
印加される電圧の実効値に応じて透過指数が変化する調光ガラスを制御する、調光ガラスの制御方法であって、
前記調光ガラスの透過指数を制御する際に、前記調光ガラスに印加される前記電圧の実効値を時分割制御により調整する、
調光ガラスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印加電圧に応じて透過指数が変化する調光ガラスの開発が進められている。このような調光ガラスは、車両用の窓ガラス等に用いることが期待されている。例えば、調光ガラスは、運転席のサンバイザー、リアドアガラスのカーテン、ルーフガラスの可動シェードの代替機能として実装が期待される。
【0003】
特許文献1には、光透過を変化させることが可能な窓ガラスに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012-503123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調光ガラスは、調光ガラスに印加される電圧に応じて透過率(透過指数)が変化する。具体的には、調光ガラスは、透過率が最大である透過状態、透過率が最小である遮光状態、及び透過率が最大と最小の中間である半透過状態を、調光ガラスに印加される電圧を変化させることで制御できる。
【0006】
しかしながら、特定の領域では、調光ガラスに印加される電圧に対して透過率(透過指数)が急峻に変化する場合がある。このような場合は、調光ガラスに印加される電圧を用いて調光ガラスの透過率(透過指数)を緻密に制御できないという問題がある。
【0007】
上記課題に鑑み本発明の目的は、調光ガラスの透過指数を緻密に制御可能な調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる調光ガラス制御システムは、調光機能を備える調光ガラスと、前記調光ガラスの透過指数を制御する制御装置と、を備える。前記調光ガラスは、印加される電圧の実効値に応じて前記透過指数が変化するように構成されており、前記制御装置は、前記調光ガラスに印加される前記実効値を時分割制御により調整する機能を備える。
【0009】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御装置は、1周期の間に前記調光ガラスに電圧が印加される期間に対応するデューティ比を制御することで、前記調光ガラスに印加される前記実効値を制御してもよい。
【0010】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御装置には、前記デューティ比と前記調光ガラスの透過指数との関係に関する情報が予め格納されていてもよく、前記制御装置は、前記調光ガラスの透過指数の目標値に応じたデューティ比の電圧を前記調光ガラスに印加してもよい。
【0011】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御装置は、前記実効値を前記時分割制御のみで調整する機能を備えていてもよい。
【0012】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御装置は更に、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を制御することで、前記実効値を調整する機能を備えていてもよい。
【0013】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御装置は、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を切り替える電圧切替部と、前記電圧切替部で切り替えられた電圧を所定のデューティ比で時分割する時分割部と、前記電圧切替部と前記時分割部とを制御する制御部と、を備えていてもよい。
【0014】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御部には透過指数の閾値が格納されていてもよく、前記制御部は、前記調光ガラスの透過指数の目標値が前記閾値以上の場合、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧に切り替え、前記調光ガラスの透過指数の目標値が前記閾値よりも小さい場合、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅を第2の電圧に切り替えてもよい。
【0015】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記制御装置には、前記電圧の振幅と前記デューティ比と前記調光ガラスの透過指数との関係に関する情報が予め格納されていてもよく、前記制御装置は、前記調光ガラスの透過指数の目標値に応じた電圧の振幅およびデューティ比の電圧を前記調光ガラスに印加してもよい。
【0016】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記調光ガラスに印加される電圧の振幅の最大値が150V以下であってもよい。
【0017】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記透過指数は全光線透過率であってもよく、前記制御装置は、電圧印加時に、前記全光線透過率を25%以上80%以下の範囲で制御可能であってもよい。
【0018】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記透過指数はヘーズであってもよく、前記制御装置は、電圧印加時に、前記ヘーズを1%以上100%以下の範囲で制御可能であってもよい。
【0019】
上述の調光ガラス制御システムにおいて、前記透過指数は全光線透過率又はヘーズであってもよく、前記制御装置は、前記全光線透過率又は前記ヘーズを1%以下の単位で制御可能であってもよい。
【0020】
本発明の一態様にかかる制御装置は、印加電圧の実効値に応じて透過指数が変化する調光ガラスを制御する制御装置であって、前記調光ガラスに印加される前記実効値を時分割制御により調整する機能を備える。
【0021】
本発明の一態様にかかる調光ガラスの制御方法は、印加電圧の実効値に応じて透過指数が変化する調光ガラスを制御する、調光ガラスの制御方法であって、前記調光ガラスの透過指数を制御する際に、前記調光ガラスに印加される前記実効値を時分割制御により調整する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、調光ガラスの透過指数を緻密に制御可能な調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムを説明するためのブロック図である。
図2】調光ガラスの構成例を説明するための断面図である。
図3】調光ガラスの他の構成例を説明するための断面図である。
図4】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御例を説明するための図である。
図5】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御例を説明するための図である。
図6】調光ガラスに印加される電圧のデューティ比とヘーズとの関係を示す図である。
図7】調光ガラスに印加される電圧のデューティ比と全光線透過率との関係を示す図である。
図8】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの他の構成例を示すブロック図である。
図9】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図10】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御例を説明するための図である。
図11】実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる調光ガラス制御システムを説明するためのブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システム1は、調光機能を備える調光ガラス11と、調光ガラス11の透過指数を制御する制御装置12と、を備える。
【0025】
調光ガラス11は、印加電圧の実効値(Vrms)に応じて透過指数が変化する調光機能を備える。以下、調光ガラス11に印加される電圧の実効値を、単に実効値ともいう。ここで、透過指数とは調光ガラス11を通過する光量に関連する指数であり、例えば、全光線透過率(以下、単に透過率とも記載する)やヘーズ(雲価)などである。例えば、調光ガラス11は、実効値が高くなるほど透過率が高く、また、実効値が高くなるほどヘーズが低くなる。
【0026】
図2図3は、調光ガラスの構成例を説明するための断面図である。図2に示すように、例えば、調光ガラス11は、印加電圧に応じて透過指数が変化する調光フィルム25と、調光フィルム25が封入されたガラス21、22とを用いて構成される。つまり、ガラス21、22は、中間膜23を挟持した状態で固着した合わせガラスであり、図2に示す構成例では、中間膜23を配置している箇所に調光フィルム25を封入して調光ガラス11を構成している。
【0027】
調光フィルム25は印加電圧に応じて透過指数が変化する調光機能を有する。調光フィルム25には配線26を用いて電圧が印加される。調光フィルム25は、懸濁粒子デバイス、高分子分散型液晶、高分子ネットワーク型液晶、ゲストホスト液晶、TN(Twisted Nematic)型液晶、PC(Phase Change)型液晶、STN(Super Twisted Nematic)型液晶、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶、OCB(Optically Compensated Bend)型液晶、IPS(In-Place Switching)型液晶、VA(Vertical Alignment)型液晶、FFS(Fringe Field Switching)型液晶、FPA(Field-induced Photo-reactive Alignment)型液晶、エレクトロクロミック素子、エレクトロキネティック素子、有機EL(Electro-Luminescence)素子、無機EL素子等が使用可能である。
【0028】
例えば、調光フィルム25が高分子分散型液晶である場合、調光フィルム25は液晶層と電極層とを備えており、配線26から電圧が印加されると液晶層の液晶分子の配向がそろうため、調光フィルム25の透過率が高くなる(ヘーズが低くなる)。本実施の形態では、調光フィルム25に印加する電圧の実効値を調整し、液晶分子の配向を調整することで、調光フィルム25の透過指数を調整する。なお、調光フィルム25は、配線26から電圧が印加されると透過率が低くなるタイプ(ヘーズが高くなるタイプ)を用いてもよい。
【0029】
本実施の形態では、図3に示す構成例のように、合わせガラスを構成している一方のガラス22の表面に調光フィルム25を貼付して調光ガラス11を構成してもよい。なお、本実施の形態において調光ガラス11は、実効値に応じて透過指数が変化する調光機能を備えるガラスであれば特に限定されることはない。
【0030】
例えば、調光ガラス11は車両の窓ガラスやパーティション等に用いてもよい。例えば、調光ガラス11を自動車に使用する場合は、運転席のサンバイザー、リアドアガラスのカーテン、ルーフガラスの可動シェード等の代替機能として実装してもよい。換言すると、調光ガラス11は、ウィンドシールド、サイドウインドウ、リアウインドウ、クォーターウインドウ、エクストラウインドウ、及びルーフガラス等に用いてもよい。なお、本実施の形態において調光ガラス11を使用する箇所は車両及び自動車に限定されることはなく、調光ガラス11を使用できる箇所であれば使用する箇所は限定されない。
【0031】
制御装置12は、調光ガラス11の透過指数を制御する。本実施の形態において制御装置12は、調光ガラス11に印加される電圧の実効値を時分割制御により調整する機能を備える。図4図5は、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御例を説明するための図である。図4に示すように、制御装置12は、時分割された電圧を調光ガラス11に印加することで、調光ガラス11に印加される電圧の実効値を調整する。これにより、調光ガラス11の透過指数が制御される。図4に示す例では、電圧の最大値(振幅)はVaであり、制御装置12は、電圧Vaを時分割して調光ガラス11に印加する。
【0032】
具体的には、制御装置12は、1周期の間に調光ガラス11に電圧が印加される期間に対応するデューティ比を制御することで、調光ガラス11に印加される電圧の実効値を制御する。デューティ比Dは、図4に示す期間Tに対して電圧Vaが印加されている期間(パルス幅)aに対応しており、D=a/Tで表すことができる。なお、図4に示すグラフでは、1周期はT×2であり、電圧が印加されている期間はa×2であり、結果としてデューティ比はD=a/Tと表すことができる。制御装置12は、このようにデューティ比Dを用いて実効値を制御することで、調光ガラス11の透過指数を任意の透過指数に制御できる。なお、本実施の形態において電圧の周波数は、例えば約10~240Hzである。
【0033】
例えば、図5に示すように、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が90%の場合は、調光ガラス11に印加される実効値が高くなるので、調光ガラス11の透過率が高くなり(ヘーズが低くなり)、透過状態となる。また、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が50%の場合は、調光ガラス11に印加される実効値が中間値となるので、調光ガラス11の透過率が中間値となり(ヘーズが中間値となり)、半透過状態となる。また、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が10%の場合は、調光ガラス11に印加される実効値が低くなるので、調光ガラス11の透過率が低くなり(ヘーズが高くなり)、遮光状態となる。
【0034】
なお、図4図5に示す例では、制御装置12は、プラスの電圧とマイナスの電圧を出力するとともに、プラスの電圧とマイナスの電圧をそれぞれ時分割で出力する場合を示した(つまり、交流波形)。しかし本実施の形態において、制御装置12は、時分割されたプラス側の電圧のみを出力してもよく、また、時分割されたマイナス側の電圧のみを出力してもよい。
【0035】
図6は、調光ガラスに印加される電圧のデューティ比とヘーズとの関係を示す図である。図6に示す電圧は、図4に示した電圧の最大値(振幅)Vaに対応している。図6に示すように、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が高くなるほど、調光ガラス11のヘーズが低くなる。つまり、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が高いほど、調光ガラス11に供給される実効値が高くなるので、調光ガラス11のヘーズが低くなる。
【0036】
また、図6に示すように、制御装置12から出力される電圧の振幅Vaが高くなるほど、調光ガラス11のヘーズが低くなる。つまり、デューティ比が同一の場合は、制御装置12から出力される電圧の振幅Vaが高くなるほど、調光ガラス11のヘーズが低くなる。なお、図6に示す例では、振幅Vaが70Vと100Vの場合は、デューティ比が約20%以上においてヘーズの値がほぼ同一の値となる。
【0037】
図6に示す例では、制御装置12は、電圧の振幅Vaが30Vの場合、ヘーズを20%以上100%以下の範囲で制御可能である。また、制御装置12は、電圧の振幅Vaが40Vの場合、ヘーズを8%以上100%以下の範囲で制御可能である。また、制御装置12は、電圧の振幅Vaが50Vの場合、ヘーズを5%以上100%以下の範囲で制御可能である。
【0038】
例えば、制御装置12は、電圧の振幅Vaのうちユーザのニーズに合致した特性を備える振幅Vaを用いて、調光ガラス11を制御してもよい。例えば、振幅Vaを30Vとした場合は、ヘーズが20%以上100%以下の範囲においてデューティ比を用いて滑らかに制御できる。また、振幅Vaを40Vとした場合は、ヘーズが8%以上100%以下の範囲においてデューティ比を用いて滑らかに制御できる。また、振幅Vaを50Vとした場合は、ヘーズが30%以上100%以下の範囲でデューティ比に対するヘーズの変化が急峻であるが、ヘーズが5%以上30%以下の範囲ではヘーズの変化が滑らかであるので、この範囲でヘーズを滑らかに制御できる。
【0039】
図6に示す例では、振幅Vaを50Vとした場合でのヘーズの変化の程度を、30%を境にして説明したが、これに限られない。所定の振幅Vaにおいて滑らかに制御できるヘーズの範囲は、調光ガラス11の特性、具体的には、デューティ比に対するヘーズの変化の程度に応じて設定してよい。
【0040】
また、電圧印加時のヘーズの制御範囲を5%以上100%以下として説明したが、これに限られない。電圧印加時のヘーズは、例えば1%以上でもよく、3%以上でもよい。また、電圧印加時のヘーズは、例えば95%以下でもよく、90%以下でもよく、80%以下でもよく、70%以下でもよく、60%以下でもよく、50%以下でもよく、40%以下でもよい。電圧印加時のヘーズの制御範囲(つまり上限値と下限値の差)は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、80%以上が一層好ましく、90%以上がより一層好ましく、99%以上が特に好ましい。
【0041】
図7は、調光ガラスに印加される電圧のデューティ比と全光線透過率との関係を示す図である。図7に示す電圧は、図4に示した電圧の最大値(振幅)Vaに対応している。図7に示すように、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が高くなるほど、調光ガラス11の透過率が高くなる。つまり、制御装置12から出力される電圧のデューティ比が高いほど、調光ガラス11に印加される実効値が高くなるので、調光ガラス11の透過率が高くなる。
【0042】
また、図7に示すように、制御装置12から出力される電圧の振幅Vaが高くなるほど、調光ガラス11の透過率が高くなる。つまり、デューティ比が同一の場合は、制御装置12から出力される電圧の振幅Vaが高くなるほど、調光ガラス11の透過率が高くなる。なお、図7に示す例では、振幅Vaが70Vと100Vの場合、デューティ比が約20%以上において透過率の値がほぼ同一の値となる。
【0043】
図7に示す例では、制御装置12は、電圧の振幅Vaが30Vの場合、透過率を35%以上60%以下の範囲で制御可能である。また、制御装置12は、電圧の振幅Vaが40Vの場合、透過率を37%以上62%以下の範囲で制御可能である。また、制御装置12は、電圧の振幅Vaが50Vの場合、透過率を42%以上63%以下の範囲で制御可能である。
【0044】
例えば、制御装置12は、電圧の振幅Vaのうちユーザのニーズに合致した特性を備える振幅Vaを用いて、調光ガラス11を制御してもよい。例えば、振幅Vaを30Vとした場合は、透過率が35%以上60%以下の範囲においてデューティ比を用いて滑らかに制御できる。また、振幅Vaを40Vとした場合は、透過率が37%以上62%以下の範囲においてデューティ比を用いて滑らかに制御できる。また、振幅Vaを50Vとした場合は、透過率が42%以上55%以下の範囲でデューティ比に対する透過率の変化が急峻であるが、透過率が55%以上63%以下の範囲では透過率の変化が滑らかであるので、この範囲で透過率を滑らかに制御できる。
【0045】
図7に示す例では、振幅Vaを50Vとした場合での透過率の変化の程度を、55%を境にして説明したが、これに限られない。所定の振幅Vaにおいて滑らかに制御できる透過率の範囲は、調光ガラス11の特性、具体的には、デューティ比に対するヘーズの変化の程度に応じて設定してよい。
【0046】
図7に示す例では、電圧印加時の透過率の制御範囲を35%以上63%以下として説明したが、これに限られない。電圧印加時の透過率は、例えば25%以上でもよく、30%以上でもよい。また、電圧印加時の透過率は、例えば75%以下でもよく、70%以下でもよく65%以下でもよい。電圧印加時の透過率の制御範囲(つまり上限値と下限値の差)は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、40%以上が一層好ましく、50%以上がより一層好ましく、55%以上が特に好ましい。
【0047】
例えば、制御装置12には、デューティ比と調光ガラス11の透過指数(ヘーズ、透過率)との関係に関する情報(図6図7に示すような情報)が予め格納されていてもよい。この場合、制御装置12は、調光ガラス11の透過指数(ヘーズ、透過率)の目標値に応じたデューティ比の電圧を調光ガラス11に印加する。これにより制御装置12は、調光ガラス11の透過指数(ヘーズ、透過率)を、所定の目標値の透過指数に制御できる。また、制御装置12は、電圧の振幅Vaを変更可能に構成されていてもよい。電圧の振幅Vaを変更可能とすることで、調光ガラス11の透過指数をより緻密に制御可能となる。なお、電圧の振幅Vaを変更する場合については後述する。
【0048】
本実施の形態において制御装置12は、ユーザの操作に応じて調光ガラス11を制御してもよく、また調光ガラス11を自動で制御してもよい。ユーザの操作に応じて調光ガラス11を制御する場合は、操作部(不図示)を用いてユーザが調光ガラス11の透過指数を設定する。ユーザが設定した透過指数に関する情報は、操作部(不図示)から制御装置12に供給される。制御装置12は、供給された透過指数に応じた実効値を調光ガラス11に印加される。このような制御により、調光ガラス11の透過指数が、ユーザによって設定された透過指数となる。
【0049】
調光ガラス11を自動で制御する場合は、例えば車両内に光センサを設け、車両内における光量を光センサを用いて検出する。制御装置12は、検出された光量に応じて調光ガラス11の透過指数を自動で制御する。例えば、制御装置12は、検出された光量が多い(車両内が明るい)場合は、調光ガラス11に印加する実効値を低くして(デューティ比を低くして)、調光ガラス11の透過率を低く(ヘーズを高く)してもよい。一方、制御装置12は、検出された光量が少ない(車両内が暗い)場合は、調光ガラス11に印加する実効値を高くして(デューティ比を高くして)、調光ガラス11の透過率を高く(ヘーズを低く)してもよい。なお、調光ガラス11の透過指数を自動で制御する場合、車両内の明るさの設定値は、ユーザが予め設定するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施の形態において制御装置12は、上述のような電圧を調光ガラス11に印加できるのであれば、回路構成は特に限定されることはない。
【0051】
「発明が解決しようとする課題」で説明したように、調光ガラスは、調光ガラスに印加される電圧の実効値に応じて透過率(透過指数)が変化する。具体的には、調光ガラスは、透過率が最大である透過状態、透過率が最小である遮光状態、及び透過率が最大と最小の中間である半透過状態を、調光ガラスに印加される電圧の実効値を変化させることで制御できる。
【0052】
しかしながら、特定の領域では、調光ガラスに印加される電圧に対して透過率(透過指数)が急峻に変化する場合がある。このような場合は、調光ガラスに印加される電圧を用いて調光ガラスの透過率(透過指数)を緻密に制御できないという問題があった。
【0053】
例えば、マイコン等を用いて交流波形を生成し、オペアンプを用いて電力増幅した場合は、調光フィルムの透過率が飽和する実効値を60Vrms、マイコンのDACのI/F、I/Oの電源電圧を5.0Vとすると、マイコンの出力信号(交流波形)をオペアンプを用いて約12倍増幅する必要がある。例えば、ヘーズを1%変化させるためには実効値を0.13V変化させる必要があるが、この場合、マイコンの出力信号(交流波形)を0.0108V(=0.13V/12)で制御する必要がある。しかしながら一般的に用いられているDACは8bitであり、この場合は1ステップ当たりの制御電圧が0.0195V(=5V/2)となり制御が困難となる。このような理由から、従来技術では、調光ガラスに印加される電圧を用いて調光ガラスの透過率(透過指数)を緻密に制御できないという問題があった。
【0054】
また、調光ガラスに印加される電圧をトランス昇圧回路を用いて調整する場合は、トランスの巻き線比によって電圧を調整する必要がある。この場合は、調光フィルムの透過率を調整するステップ数に応じた巻き線比を備えるトランスを複数準備して切り替える必要があるため、ステップ数の増加に応じてトランス数が増加し回路規模が大きくなるという問題があった。
【0055】
これに対して本実施の形態にかかる発明では、制御装置12は、調光ガラス11に印加される実効値を時分割制御により調整している。このように調光ガラス11に印加される電圧を時分割制御した場合は、調光ガラス11に印加される実効値を緻密に制御できる。したがって、本発明により、調光ガラスの透過指数を緻密に制御可能な調光ガラス制御システム、制御装置、及び調光ガラスの制御方法を提供できる。例えば、本実施の形態にかかる発明を用いることで、透過率やヘーズの最小ステップ幅を1%以下にできる。透過率やヘーズの最小ステップ幅は1%未満でもよく、0.5%以下でもよい。また、透過率やヘーズの最小ステップ幅の下限値は特に限定されないが、0.1%以上でもよい。
【0056】
また、本実施の形態にかかる発明では、ステップ数に応じた数のトランスを準備する必要がないため、回路規模が増大することを抑制できる。
【0057】
また、本実施の形態にかかる発明では、調光ガラス11の透過指数を緻密に制御できるので、下記のような効果が得られる。例えば、車両のユーザ(ドライバーや乗客)は、日射状況に応じて最適な透過指数を細かく選択できる。また、調光ガラス11の透過指数を細かく変化させることができるので、調光ガラス11を制御する際に視覚的に自然なスイッチングが可能となる。また、車両内に搭載された複数の調光ガラス11の調光フィルム特性が各々異なる場合でも、制御装置12から調光ガラス11に、調光ガラス11(調光フィルム)毎に決定された最適なデューティ比の電圧を出力することで、各調光ガラス間の見かけ上のばらつきを緻密に調整できる。
【0058】
図8は、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの他の構成例を示すブロック図である。本実施の形態では図8に示す調光ガラス制御システム1aのように、複数の調光ガラス11_1~11_3を用いて調光ガラス11を構成してもよい。例えば、2枚のガラス板の間に複数の調光フィルム(調光ガラス11_1~11_3に対応)を挟持して、調光ガラス11を構成してもよい。また、複数の調光ガラス11_1~11_3を並べて、調光ガラス11を構成してもよい。また、1つの調光フィルムを電気的に独立した複数の領域に区画して調光ガラス11を構成してもよい。
【0059】
各々の調光ガラス11_1~11_3は、制御装置12を用いて各々独立に制御可能に構成されている。制御装置12は、各々の調光ガラス11_1~11_3に所定のデューティ比を備える電圧を各々供給することで、各々の調光ガラス11_1~11_3の透過指数を独立に制御できる。例えば、図8に示すように、調光ガラス11_1、調光ガラス11_2、調光ガラス11_3の順に徐々に透過率が高く(ヘーズが低く)なるようにすることで、グラデーション表現が可能となる。
【0060】
なお、上述した本実施の形態において、制御装置12は、実効値を時分割制御のみで調整してもよく(つまり、電圧の振幅Vaを一定としてデューティ比のみで実効値を調整してもよく)、また、調光ガラス11に印加される電圧の振幅の制御と時分割制御とを組み合わせて実効値を制御してもよい。いずれの場合においても、調光ガラス11に印加される電圧の振幅のみで実効値の制御を行う場合に比べて、調光ガラス11の透過指数を緻密に制御できる。以下、調光ガラス11に印加される電圧の振幅の制御と時分割制御とを組み合わせて実効値を制御する場合について具体的に説明する。
【0061】
図9は、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。図9に示すように、制御装置12aは、電圧切替部31と、時分割部32_1、32_2と、電圧切替部31および時分割部32_1、32_2を制御する制御部33と、を備える。
【0062】
電圧切替部31は、調光ガラス11に印加される電圧(振幅)を切り替える。具体的には、電圧切替部31には複数の電源回路35_1~35_n(nは2以上の整数)から各々異なる電源電圧が供給される。電圧切替部31は、制御部33からの制御に応じて、複数の電源回路35_1~35_nから供給された電源電圧のうちの一つを選択し、選択した電源電圧を時分割部32_1、32_2に供給する。このとき、電圧切替部31は、プラスの電源電圧を時分割部32_1に供給し、マイナスの電源電圧を時分割部32_2に供給する。
【0063】
例えば、各々の電源回路35_1~35_nはトランスを用いて構成できる。また、電圧切替部31は複数のリレーを用いて構成できる。つまり、各々の電源回路35_1~35_nと各々のリレーとをそれぞれ対応するように接続し、制御部33からの制御信号に応じて各々のリレーをオン・オフ制御することで、特定の電源回路の電源電圧を時分割部32_1、32_2に供給できる。
【0064】
なお、例えば、30V~100Vの間において10V毎に電源回路35_1~35_nを設けた場合は、電源回路(トランス)の数が8つとなる(n=8)。この場合は、ステップ数に応じた数の電源回路(トランス)を設けて電圧の振幅のみで制御する合よりも電源回路(トランス)の数を少なくできるので、回路規模を小さくできる。例えば、調光ガラス11に印加される電圧の振幅の最大値は150V以下であればよく、100V以下が好ましく、60V以下がより好ましい。
【0065】
時分割部32_1、32_2は、電圧切替部31で切り替えられた電圧を所定のデューティ比となるように時分割する。具体的には、時分割部32_1は、電圧切替部31から供給されたプラスの電源電圧を、制御部33からの制御に応じて時分割して出力する。同様に、時分割部32_2は、電圧切替部31から供給されたマイナスの電源電圧を、制御部33からの制御に応じて時分割して出力する。そして、時分割部32_1から出力された電圧と時分割部32_2から出力された電圧とが互いに加算され、調光ガラス11を制御するための電圧Voutとして出力される。
【0066】
図10は、本実施の形態にかかる調光ガラス制御システムの制御例を説明するための図であり、図9に示す制御装置12aで生成される電圧Voutの具体例を説明するための図である。図9に示す制御装置12aでは、調光ガラス11に印加される電圧の振幅の制御と時分割制御とを組み合わせて実効値を制御している。よって、図10に示すように、調光ガラス11に印加される電圧の振幅を所定の値V1、V2、V3に変更できる。
【0067】
例えば、調光ガラス11に印加される電圧の振幅を電圧値V1よりも高い電圧値V2とした場合は、同一のデューティ比において、電圧値V1よりも電圧値V2のほうが実効電圧を高くできるので、透過率を高く(ヘーズを低く)できる。また、例えば、調光ガラス11に印加される電圧の振幅)を電圧値V1よりも低い電圧値V3とした場合は、同一のデューティ比において、電圧値V1よりも電圧値V3のほうが実効電圧を低くできるので、透過率を低く(ヘーズを高く)できる。
【0068】
例えば、制御部33には透過指数の閾値が格納されていてもよい。制御部33は、調光ガラスの透過指数の目標値が所定の閾値以上の場合、調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧に切り替え、調光ガラスの透過指数の目標値が所定の閾値よりも小さい場合、調光ガラスに印加される電圧の振幅を第2の電圧に切り替えてもよい。
【0069】
例えば、透過指数がヘーズの場合、制御部33は、調光ガラスのヘーズの目標値が所定の閾値以上の場合、調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧に切り替え、調光ガラスのヘーズの目標値が所定の閾値よりも小さい場合、調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧よりも高い第2の電圧に切り替えてもよい。
【0070】
例えば、透過指数が透過率の場合、制御部33は、調光ガラスの透過率の目標値が所定の閾値以上の場合、調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧に切り替え、調光ガラスの透過率の目標値が所定の閾値よりも小さい場合、調光ガラスに印加される電圧の振幅を第1の電圧よりも低い第2の電圧に切り替えてもよい。
【0071】
調光ガラス11に印加される電圧の振幅の制御と時分割制御とを組み合わせて実効電圧を制御した場合は、調光ガラスの透過指数をより緻密に制御できる。
【0072】
例えば、制御装置12aには、調光ガラス11に印加される電圧の振幅とデューティ比と調光ガラス11の透過指数との関係に関する情報が予め格納されていてもよい。この場合、制御装置12aは、調光ガラス11の透過指数の目標値に応じた電圧値およびデューティ比の電圧Voutを調光ガラス11に印加する。これにより制御装置12は、調光ガラス11の透過指数を、所定の目標値の透過指数に制御できる。
【0073】
また、本実施の形態では、図11に示すように、電圧の立ち上げ途中や立ち下げ途中で、電圧の振幅を切り替えるようにしてもよい。図11に示す例では、電圧の立ち上げ途中で、電圧値を+V3から+V1に変更している。また、電圧の立ち下げ途中で、電圧値を-V3から-V1に変更している。このように制御することで、調光ガラスの透過指数をより緻密に制御できる。また、電圧が立ち上がる際のオーバーシュートや電圧が立ち下がる際のアンダーシュートを抑制できる。なお、電圧の振幅は、電圧の立ち下げ途中及び立ち下げ途中の一方のみで切り替えてもよく、両方で切り替えてもよい。また、電圧を+V1から立ち下げる途中や、電圧を-V1から立ち上げる途中で切り替えてもよい。
【0074】
なお、上記本発明では、制御装置12、12aの制御処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることで実現してもよい。
【0075】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給できる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。磁気記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブなどである。光磁気記録媒体は、例えば光磁気ディスクなどである。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0076】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
1 調光ガラス制御システム
11、11_1~11_3 調光ガラス
12、12a 制御装置
21、22 ガラス
23 中間膜
25 調光フィルム
26 配線
31 電圧切替部
32_1、32_2 時分割部
33 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11