(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010281
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】亀裂検出装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/22 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
G01B11/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114303
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】百村 和司
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA25
2F065BB01
2F065BB22
2F065CC17
2F065DD04
2F065FF41
2F065GG12
2F065HH04
2F065HH08
2F065HH13
2F065JJ01
2F065JJ05
2F065JJ09
2F065JJ18
2F065LL30
2F065LL31
(57)【要約】
【課題】亀裂の深さ位置に関わらず、亀裂の深さ位置を精度よく測定することが可能な亀裂検出装置及び方法を提供する。
【解決手段】亀裂検出方法は、偏光方向が互いに直交し、主光軸に対して平行かつ偏心した第1検出光及び第2検出光を出射し、主光軸と同軸のレンズ光軸を有する集光レンズにより、第1検出光及び第2検出光を被加工物の内部に集光させ、集光レンズの集光点と共役な位置に配置された分岐ミラーに対して主光軸に沿う下流側に配置された第1検出器(26A)により、第1検出光のうち、被加工物の内部に形成された亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射された第1裏面反射光を検出し、分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置された第2検出器(26B)により、第2検出光のうち、亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射された第2裏面反射光を検出し、第1検出器及び第2検出器からの検出信号に基づき、亀裂の亀裂深さを検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光方向が互いに直交する第1検出光及び第2検出光を出射する光源部であって、主光軸に対して平行かつ前記主光軸に対して一方向に偏心した第1光源光軸に沿って前記第1検出光を出射し、前記主光軸に対して平行かつ前記主光軸に対して前記一方向とは反対側の他方向に偏心した第2光源光軸に沿って前記第2検出光を出射する光源部と、
前記主光軸と同軸のレンズ光軸を有し、前記光源部から出射した前記第1検出光及び前記第2検出光を被加工物の内部に集光させる集光レンズと、
前記集光レンズの集光点と共役な位置に配置された分岐ミラーと、
前記分岐ミラーに対して前記主光軸に沿う下流側に配置され、前記第1検出光のうち、前記被加工物の内部に形成された亀裂に当たらずに前記被加工物の裏面で反射された第1裏面反射光を検出する第1検出器と、
前記分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置され、前記第2検出光のうち、前記亀裂に当たらずに前記被加工物の裏面で反射された第2裏面反射光を検出する第2検出器と、
前記第1検出器及び前記第2検出器からの検出信号に基づき、前記亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出手段と、
を備える亀裂検出装置。
【請求項2】
前記分岐ミラーに対して前記主光軸に沿う下流側に配置され、前記第1検出光と偏光方向が同じ第1偏光子と、
前記分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置され、前記第2検出光と偏光方向が同じ第2偏光子とを備え、
前記第1検出器及び前記第2検出器は、それぞれ前記第1偏光子及び前記第2偏光子の下流側に配置される、
請求項1に記載の亀裂検出装置。
【請求項3】
前記分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置され、前記第1検出光のうち、前記亀裂に当たった後に前記被加工物の裏面で反射された第1亀裂反射光を検出する第3検出器と、
前記分岐ミラーに対して前記主光軸に沿う下流側に配置され、前記第2検出光のうち、前記亀裂に当たった後に前記被加工物の裏面で反射された第2亀裂反射光を検出する第4検出器と、
前記第1検出器及び前記第3検出器の上流側に配置され、前記第1裏面反射光を前記第1検出器に導光し、前記第2亀裂反射光を前記第3検出器に導光する第1偏光ビームスプリッタと、
前記第2検出器及び前記第4検出器の上流側に配置され、前記第2裏面反射光を前記第2検出器に導光し、前記第1亀裂反射光を前記第4検出器に導光する第2偏光ビームスプリッタとを備え、
前記亀裂検出手段は、前記第1検出器、前記第2検出器、前記第3検出器及び前記第4検出器からの検出信号に基づき、前記亀裂の亀裂深さを検出する、
請求項1に記載の亀裂検出装置。
【請求項4】
前記集光レンズの集光点が前記被加工物の表面又は裏面に一致した場合にのみ、前記第1裏面反射光及び前記第2裏面反射光を検出可能なコンフォーカル検出器と、
前記コンフォーカル検出器からの検出信号に基づいて、前記被加工物の表面又は裏面の位置を検出する界面検出手段と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の亀裂検出装置。
【請求項5】
偏光方向が互いに直交する第1検出光及び第2検出光であって、主光軸に対して平行かつ前記主光軸に対して一方向に偏心した第1光源光軸に沿って前記第1検出光を出射し、前記主光軸に対して平行かつ前記主光軸に対して前記一方向とは反対側の他方向に偏心した第2光源光軸に沿って前記第2検出光を出射する検出光出射工程と、
前記主光軸と同軸のレンズ光軸を有する集光レンズにより、前記第1検出光及び前記第2検出光を被加工物の内部に集光させる集光工程と、
前記集光レンズの集光点と共役な位置に配置された分岐ミラーに対して前記主光軸に沿う下流側に配置された第1検出器により、前記第1検出光のうち、前記被加工物の内部に形成された亀裂に当たらずに前記被加工物の裏面で反射された第1裏面反射光を検出する第1の光検出工程と、
前記分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置された第2検出器により、前記第2検出光のうち、前記亀裂に当たらずに前記被加工物の裏面で反射された第2裏面反射光を検出する第2の光検出工程と、
前記第1検出器及び前記第2検出器からの検出信号に基づき、前記亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出工程と、
を備える亀裂検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は亀裂検出装置及び方法に係り、被加工物の内部に形成された亀裂を検出する亀裂検出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンウェーハやガラスウェーハ等の基板(以下、「被加工物」という。)の内部に集光点を合わせてレーザー光を切断予定ラインに沿って照射し、切断予定ラインに沿って被加工物の内部に切断の起点となるレーザー加工領域を形成するレーザー加工装置(レーザーダイシング装置ともいう。)が知られている。レーザー加工領域が形成された被加工物は、その後、エキスパンド又はブレーキングといった割断プロセスによって切断予定ラインで割断されて個々のチップに分断される。
【0003】
ところで、レーザー加工装置により被加工物にレーザー加工領域を形成すると、そのレーザー加工領域から被加工物の厚さ方向に亀裂(クラック)が伸展する。その亀裂が被加工物の表面(レーザー光入射面)若しくは反対側の裏面まで到達していれば、割断プロセスにおいてチップへの分断を適正に行うことができる。その理由としては、被加工物の内部に形成された亀裂は、被加工物を分断する際の起点となるため、その亀裂の伸展度合いが被加工物の分断率を左右することによる。また、厚い被加工物の場合には、亀裂が被加工物の表面又は裏面に到達しないことがあるため、被加工物の表面又は裏面に亀裂が到達したか否かでは必ずしもレーザー加工領域が適正に形成されたか否かを適切に判断できない場合がある。
【0004】
したがって、レーザー加工装置によりレーザー加工領域を形成した後、割断プロセス前において、被加工物を分断する際の起点となるレーザー加工領域が適正に形成されたか否か、すなわち、被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出することによって、割断プロセスにおけるチップへの分断の良否を正確に予測することが可能となる。そして、被加工物の内部にレーザー加工領域が適正に形成されていない箇所があれば、その部分だけ、再度、レーザー加工装置により再加工すること、又は割断プロセスにおける割断方法を変えるなどの対応が可能となる。これによって、その後の割断プロセスにおけるチップの損失を無くすことができる。また、不良箇所の発生状況などを参考にしてレーザー加工装置における加工条件を修正することもでき、その後に加工する被加工物でのレーザー加工領域の不良箇所の発生を低減させることができる。不良箇所のレーザー加工領域を再加工する場合には、不良箇所の発生を低減させることによって、再加工に要する時間の損失も低減させることができる。
【0005】
一方、被加工物の内部に発生した亀裂の評価は、従来、試料を切断研磨するか、限られた条件下での観察が行われていた。そのため、レーザー加工装置を用いた加工プロセスへの適用は困難であった。
【0006】
これに対し、被加工物の内部に形成された亀裂を非破壊で検査する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
特許文献1に開示された技術では、被加工物の内部の亀裂を偏射照明して、亀裂が形成された領域において、亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射した光を検出し、亀裂により入射光が散乱されることに起因する検出光量の低下を利用して亀裂の検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示すように、被加工物の内部に入射した光のうち、亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射した光を検出する場合、被加工物の表面で反射された反射光が外乱光(ノイズ)になるという問題がある。
【0010】
図10は、被加工物の内部の亀裂を偏射照明した場合における被加工物からの反射光を示す断面図である。
図10に示すように、集光レンズにより被加工物Wの内部の亀裂Kに対して光を集光させた場合、亀裂Kに当たらずに被加工物Wの裏面で反射した光(以下、裏面反射光Mt(1)及びMt(2)という。)は、被加工物Wの裏面側で反射されて被加工物Wの表面側に戻り、検出光学系へ導かれる。そして、被加工物Wの内部に入射した光の一部が亀裂Kに当たると、裏面反射光Mt(1)及びMt(2)の検出光量が低下する。したがって、裏面反射光Mt(1)及びMt(2)の検出光量の変化に基づいて、亀裂Kの深さ位置を検出することができる。
【0011】
ここで、被加工物Wに照射された光の一部は被加工物Wの表面で反射される。以下、被加工物Wの表面で反射される光を表面反射光N(1)及びN(2)という。この表面反射光N(1)及びN(2)を裏面反射光Mt(1)及びMt(2)からそれぞれ分離することができない場合、表面反射光N(1)及びN(2)が外乱光(ノイズ)となって、裏面反射光Mt(1)及びMt(2)の検出光量の変化を正確に測定することができない。
【0012】
そこで、特許文献1では、集光レンズの集光点と共役な位置に視野絞り(開口絞り)を配置することにより、表面反射光N(1)及びN(2)の光検出器への入射を制限している。
【0013】
図10の(a)は、検出光の集光位置が被加工物Wの裏面寄り(-Z側)にある場合を示しており、(b)は、検出光の集光位置が被加工物Wの表面寄り(+Z側)にある場合を示している。なお、
図10に示す一点鎖線L
Dは、被加工物Wの深さ方向(Z方向)の中央位置を示す平面である。また、符号FS
10及びFS
12は、集光レンズの集光位置を示す焦点面を示している。
【0014】
図10(a)に示すように、検出光の集光位置の深さ位置が平面L
Dよりも裏面側(-Z側)の場合、焦点面FS
10において、裏面反射光Mt(1)の光線高h
Mt(1)が表面反射光N(1)の光線高h
N(1)より低い。このため、集光レンズの集光点と共役な位置に配置された視野絞りの開口の大きさを適切に調整することにより両者を分離することが可能である。
【0015】
一方、
図10(b)に示すように、検出光の集光位置の深さ位置が平面L
Dよりも表面側(+Z側)の場合、焦点面FS
12において、裏面反射光Mt(2)の光線高h
Mt(2)が表面反射光N(2)の光線高h
N(2)がより高い。このため、視野絞りを絞っていったとしても、表面反射光N(2)が除去されるより先に裏面反射光Mt(2)の方が除去されてしまうので、視野絞りでは、両者を分離することが困難である。
【0016】
このため、検出光の集光位置の深さ位置が表面寄り(+Z側)にある場合には、表面反射光N(2)を裏面反射光Mt(2)から分離することができず、亀裂Kの深さ位置の測定精度が低下あるいは測定不能になるという問題がある。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、亀裂の深さ位置に関わらず、亀裂の深さ位置を精度よく測定することが可能な亀裂検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る亀裂検出装置は、偏光方向が互いに直交する第1検出光及び第2検出光を出射する光源部であって、主光軸に対して平行かつ主光軸に対して一方向に偏心した第1光源光軸に沿って第1検出光を出射し、主光軸に対して平行かつ主光軸に対して一方向とは反対側の他方向に偏心した第2光源光軸に沿って第2検出光を出射する光源部と、主光軸と同軸のレンズ光軸を有し、光源部から出射した第1検出光及び第2検出光を被加工物の内部に集光させる集光レンズと、集光レンズの集光点と共役な位置に配置された分岐ミラーと、分岐ミラーに対して主光軸に沿う下流側に配置され、第1検出光のうち、被加工物の内部に形成された亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射された第1裏面反射光を検出する第1検出器と、分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置され、第2検出光のうち、亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射された第2裏面反射光を検出する第2検出器と、第1検出器及び第2検出器からの検出信号に基づき、亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出手段とを備える。
【0019】
本発明の第2の態様に係る亀裂検出装置は、第1の態様において、分岐ミラーに対して主光軸に沿う下流側に配置され、第1検出光と偏光方向が同じ第1偏光子と、分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置され、第2検出光と偏光方向が同じ第2偏光子とを備え、第1検出器及び第2検出器は、それぞれ第1偏光子及び第2偏光子の下流側に配置される。
【0020】
本発明の第3の態様に係る亀裂検出装置は、第1の態様において、分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置され、第1検出光のうち、亀裂に当たった後に被加工物の裏面で反射された第1亀裂反射光を検出する第3検出器と、分岐ミラーに対して主光軸に沿う下流側に配置され、第2検出光のうち、亀裂に当たった後に被加工物の裏面で反射された第2亀裂反射光を検出する第4検出器と、第1検出器及び第3検出器の上流側に配置され、第1裏面反射光を第1検出器に導光し、第2亀裂反射光を第3検出器に導光する第1偏光ビームスプリッタと、第2検出器及び第4検出器の上流側に配置され、第2裏面反射光を第2検出器に導光し、第1亀裂反射光を第4検出器に導光する第2偏光ビームスプリッタとを備え、亀裂検出手段は、第1検出器、第2検出器、第3検出器及び第4検出器からの検出信号に基づき、亀裂の亀裂深さを検出する。
【0021】
本発明の第4の態様に係る亀裂検出装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、集光レンズの集光点が被加工物の表面又は裏面に一致した場合にのみ、第1裏面反射光及び第2裏面反射光を検出可能なコンフォーカル検出器と、コンフォーカル検出器からの検出信号に基づいて、被加工物の表面又は裏面の位置を検出する界面検出手段とを備える。
【0022】
本発明の第5の態様に係る亀裂検出方法は、偏光方向が互いに直交する第1検出光及び第2検出光であって、主光軸に対して平行かつ主光軸に対して一方向に偏心した第1光源光軸に沿って第1検出光を出射し、主光軸に対して平行かつ主光軸に対して一方向とは反対側の他方向に偏心した第2光源光軸に沿って第2検出光を出射する検出光出射工程と、主光軸と同軸のレンズ光軸を有する集光レンズにより、第1検出光及び第2検出光を被加工物の内部に集光させる集光工程と、集光レンズの集光点と共役な位置に配置された分岐ミラーに対して主光軸に沿う下流側に配置された第1検出器により、第1検出光のうち、被加工物の内部に形成された亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射された第1裏面反射光を検出する第1の光検出工程と、分岐ミラーにより分岐された光路の下流側に配置された第2検出器により、第2検出光のうち、亀裂に当たらずに被加工物の裏面で反射された第2裏面反射光を検出する第2の光検出工程と、第1検出器及び第2検出器からの検出信号に基づき、亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出工程とを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、分岐ミラーにより、外乱光となる表面反射光を確実に除去することができるので、亀裂が表面寄りにある場合であっても、亀裂の深さを正確に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る亀裂検出装置の概略を示した構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置における光学系(照明光学系及び検出光学系)を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置における光学系(照明光学系及び検出光学系)を説明するための図である。
【
図4】
図4は、フォトディテクタ(第1検出器及び第2検出器)並びにコンフォーカル検出器からの出力のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、第1検出光および第2検出光から得られる第1裏面反射光の幾何光学的な光線追跡によるシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る亀裂検出装置の検出光学系のうち、フォトディテクタ(第1検出器)の近傍の構成をそれぞれ拡大して示した図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る亀裂検出装置の検出光学系のうち、フォトディテクタ(第2検出器)の近傍の構成をそれぞれ拡大して示した図である。
【
図9】
図9は、フォトディテクタ(第1検出器及び第3検出器)からの出力のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、被加工物の内部の亀裂を偏射照明した場合における被加工物からの反射光を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明に係る亀裂検出装置の実施の形態について説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る亀裂検出装置の概略を示した構成図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る亀裂検出装置10は、被加工物Wに対して検出光L1を照射し、被加工物Wからの反射光L2を検出することで、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さの検出と、被加工物Wの界面(表面及び裏面の位置)の検出を行う装置である。
【0027】
なお、亀裂検出装置10は、被加工物Wの内部に改質領域を形成するレーザーダイシング装置(不図示)と組み合わされたものであるが、
図1では、図面の複雑化を避けるため、本発明の説明を行う上で必要な亀裂検出装置に係る構成要素のみを図示している。
【0028】
図1に示すように、亀裂検出装置10は、光源部14と、照明光学系16と、ダイクロイックミラー18と、集光レンズ20と、ハーフミラー22と、検出光学系24と、光検出器26と、フォーカス調整機構28と、アライメント機構29と、制御部30と、を備えている。なお、被加工物Wは、図示しないステージに載置される。
【0029】
光源部14は、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを検出するための検出光L1を出射するものである。ここで、被加工物Wがシリコンウェーハの場合、検出光L1には、波長1000nm以長の赤外光を用いるのが望ましい。光源部14は、集光レンズ20のレンズ光軸と同軸である主光軸Pに対して平行であって主光軸Pに対して偏心した2本の第1光源光軸Q
A及び第2光源光軸Q
Bに沿って検出光L1(第1検出光L1A及び第2検出光L1B)を出射する。光源部14は、制御部30と接続されており、制御部30により光源部14の出射制御が行われる。なお、光源部14の構成については後述する(
図2及び
図3参照)。
【0030】
照明光学系16は、一対のリレーレンズ40、42と、光源部14から被加工物Wに向けて照射される検出光L1の範囲を制限する視野絞り44とから構成されている。一対のリレーレンズ40、42はテレセントリックなアフォーカル光学系を構成するものであり、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bを集光レンズ20のレンズ瞳位置20Aに投影する。視野絞り44は集光レンズ20の集光点と共役な位置となるように配置されている。これにより、検出光L1が被加工物Wの内部における集光レンズ20の像面(集光面)の1点に向かって集光して光スポットを形成するので、不要な反射光や散乱光を低減することができ、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さの検出精度を向上させることが可能となる。なお、光源部14から出射された検出光L1がコリメート光(平行光)である場合には視野絞り44を省略してもよい。
【0031】
ハーフミラー22は、照明光学系16とダイクロイックミラー18との間に配置されており、入射光の一部を透過し一部を反射する。すなわち、ハーフミラー22は、光源部14から照明光学系16を経由して入射する検出光L1の一部を透過し、その透過光(検出光L1)をダイクロイックミラー18を経由して集光レンズ20に導くとともに、被加工物Wからの検出光L1の反射光L2の一部を反射し、その反射光(反射光L2)を検出光学系24に導く。
【0032】
ダイクロイックミラー18は、レーザーダイシング装置の加工光学系と、界面及び亀裂検出のための検出光学系24が集光レンズ20を共用する場合に、加工光と検出光(第1検出光L1A及び第2検出光L1B)とを分離することを目的として設けられたものである。ダイクロイックミラー18は、主光軸Pを90度折り曲げるものである。すなわち、ダイクロイックミラー18は、光源部14からの検出光L1を直角に反射して集光レンズ20に導くとともに、被加工物Wからの反射光L2を直角に反射してハーフミラー22に導く。なお、加工光を考慮しなくてもよい場合には、ダイクロイックミラー18の代わりに、全反射ミラーを配置してもよい。
【0033】
集光レンズ20は、被加工物Wに対向する位置に配置されており、光源部14から照明光学系16、ハーフミラー22及びダイクロイックミラー18を介して入射した検出光L1を被加工物Wの内部に集光する。なお、集光レンズ20のレンズ光軸は主光軸Pと同軸となっている。集光レンズ20により被加工物Wの内部に検出光L1が集光されると、被加工物Wからの反射光L2は、集光レンズ20及びダイクロイックミラー18を経由してハーフミラー22で反射され、検出光学系24に導かれる。
【0034】
検出光学系24は、ハーフミラー22で反射した反射光L2を光検出器26に導くためのものであり、1対のリレーレンズ46、48と、被加工物Wからの反射光L2の範囲を制限する分岐ミラー70とを含んでいる。
【0035】
一対のリレーレンズ46、48はテレセントリックなアフォーカル光学系を構成するものであり、集光レンズ20の瞳を光検出器26に投影する。
【0036】
分岐ミラー70は、集光レンズ20の集光点と共役な位置となるように配置されている。分岐ミラー70は、被加工物Wの表面(検出光照射面)で反射して光検出器26に入射する光を遮光する遮光手段として機能する(
図2参照)。
【0037】
光検出器26は、2つのフォトディテクタ26A及び26Bからなる(
図1では省略。
図2及び
図3参照)。フォトディテクタ26A及び26Bは、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bを被加工物Wに照射したときの被加工物Wからの反射光L2(第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2))をそれぞれ受光し、受光した光量に応じた検出信号を制御部30にそれぞれ出力する。フォトディテクタ26A及び26Bは、光検出手段の一例である。なお、フォトディテクタ26A及び26Bの代わりに、赤外線カメラで撮像し、画像処理を行ってもよい。
【0038】
フォーカス調整機構28は、集光点変更手段の一例であり、集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に調整するものである。このフォーカス調整機構28は、集光レンズ20を主光軸Pに沿った方向に移動させるレンズ駆動部(例えば、ピエゾアクチュエータ。不図示)を備え、レンズ駆動部により集光レンズ20を主光軸Pに沿った方向に移動させることで集光レンズ20と被加工物Wとの間の距離を変化させることによって集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させる。フォーカス調整機構28(レンズ駆動部)は制御部30に接続されており、制御部30により集光レンズ20の集光点の制御が行われる。
【0039】
なお、集光レンズ20が上記のレーザーダイシング装置の加工ヘッド(不図示)とともにZ方向に移動可能な構成の場合には、フォーカス調整機構28は、加工ヘッドの駆動機構を含んでいてもよい。この場合、加工ヘッドの駆動機構によるの集光点の位置調整(粗調整)と、ピエゾアクチュエータによる集光点の位置調整(微調整)とを組み合わせて行うことが可能になる。
【0040】
なお、本明細書において、集光レンズ20の集光点とは、集光レンズ20により集光された検出光L1の集光点の位置をいう。また、集光レンズ20の集光点の深さ位置(Z方向位置)は、被加工物Wの裏面からの距離で示すものとする。
【0041】
アライメント機構29は、アライメント手段の一例であり、集光レンズ20と被加工物Wとの水平方向(XY方向)における相対的な位置合わせ(アライメント)を行うものである。アライメント機構29は、集光レンズ20をレンズ光軸に垂直な水平方向に微小移動させるレンズ駆動部(不図示)を有している。レンズ駆動部は制御部30に接続されており、制御部30によりレンズ駆動部を制御することで、集光レンズ20と被加工物Wとの水平方向における相対的な位置合わせが行われる。なお、アライメント機構29に代えて、被加工物Wを載置するステージ(不図示)を集光レンズ20に対して相対的に移動させるようにしてもよい。
【0042】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力回路部等からなり、亀裂検出装置10の各部の動作を制御する。具体的には、制御部30は、フォーカス調整機構28により集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させながら、光検出器26から出力された検出信号を順次取得し、取得した検出信号に基づいて被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂上端位置又は亀裂下端位置)を検出する処理(亀裂検出処理)と、被加工物Wの界面(表面及び裏面)を検出する処理(界面検出処理)とを行う。制御部30は、亀裂検出手段及び界面検出手段の一例である。
【0043】
(光学系)
図2及び
図3は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置における光学系(照明光学系及び検出光学系)を説明するための図である。
図2及び
図3には、それぞれ第1光源光軸Q
A及び第2光源光軸Q
Bに沿って出射された第1検出光L1A及び第2検出光L1Bの光路を示している。なお、
図2及び
図3では、光路を簡略化するために、ダイクロイックミラー18及びフォーカス調整機構28等の一部の光学部材を省略している。
【0044】
本実施形態に係る亀裂検出装置10は、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bを同時に出射して得られた反射光(それぞれ第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2))を検出することにより、被加工物Wの内部に形成された亀裂検出及び界面検出を行う。ここで、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bは、偏光方向が相互に直交する直線偏光である。なお、
図2及び
図3では、第1検出光L1A及び第2検出光L1B並びに偏光フィルタ60及び62にそれぞれの偏光方向を示す矢印又は鏃を付してある。
【0045】
図2及び
図3に示すように、光源部14は、光源32と、偏光ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter:PBS)34とを含んでいる。
【0046】
光源32は、主光軸Pに対して図中下側に偏心した第2光源光軸QB上に配置されており、第2光源光軸QBに沿って検出光L0を出射する。
【0047】
PBS34は、2個の直角プリズムを貼り合わせたキューブタイプの偏光ビームスプリッタ34Bと、全反射プリズム34Aとを貼り合わせたものである。全反射プリズム34A及び偏光ビームスプリッタ34Bは、それぞれ第1光源光軸QA及び第2光源光軸QB上に配置される。なお、全反射プリズム34Aは、偏光ビームスプリッタ34Bと貼り合わされている必要はなく、偏光ビームスプリッタ34Bと分離していてもよい。また、全反射プリズム34Aの代わりに全反射ミラー等を用いることも可能である。
【0048】
光源32から出射された検出光L0のうち、偏光方向が紙面に平行な平行成分(第2検出光L1B)は、偏光ビームスプリッタ34Bの反射面(直角プリズムの貼り合わせ面)を透過して、第2光源光軸QBに沿って進む。
【0049】
一方、光源32から出射された検出光L0のうち、偏光方向が紙面に垂直な垂直成分(第1検出光L1A)は、偏光ビームスプリッタ34B及び全反射プリズム34Aの反射面で順次反射された後、第1光源光軸QAに沿って進む。
【0050】
第1検出光L1A及び第2検出光L1Bは、リレーレンズ40及び42、ハーフミラー22並びにダイクロイックミラー18(ダイクロイックミラー18については
図1参照。
図2及び
図3では省略)を経由して集光レンズ20に導かれる。そして、集光レンズ20に導かれた第1検出光L1A及び第2検出光L1Bは、集光レンズ20により被加工物Wの内部に集光する。
【0051】
上記のように、本実施形態に係る光源部14は、偏光方向が相互に直交する直線偏光である第1検出光L1A及び第2検出光L1Bを、被加工物Wに同時に照射可能となっている。
【0052】
なお、光源部14は、上記の例に限定されるものではなく、例えば、光源32及びPBS34の数、構造及び配置が上記と異なっていてもよい。また、光源32を2個設けて、各光源に偏光フィルタを設けてもよい。
【0053】
図2及び
図3に示すように、被加工物Wからの反射光は、ハーフミラー22によって反射されて、検出光学系24に導光される。検出光学系24は、リレーレンズ46及び48により構成される4F光学系と、リレーレンズ46及び50により構成される4F光学系とを含んでいる。
【0054】
リレーレンズ46の下流側(後ろ側)には、分岐ミラー70が配置されている。分岐ミラー70は、FS(+)領域を通る光束と、FS(-)領域を通る光束とを分離するために、集光レンズ20の前側焦点位置(焦点面)FS1と光学的に共役な位置(焦点面)FS2又はその近傍に配置されている。ここで、焦点面FS2は、4F光学系を構成するリレーレンズ46による集光位置(焦点位置)を含んでいる。
【0055】
分岐ミラー70は、例えば、全反射ミラーである。分岐ミラー70は、焦点面FS
2に対してやや上流側の領域であって、主光軸Pに対して+y側のFS(-)領域に固定されており、FS(-)領域を通る光を折り曲げる。なお、分岐ミラー70の配置は、
図2及び
図3に示す例に限定されない。ここで、分岐ミラー70の一端は、主光軸Pの近傍に配置される。
【0056】
分岐ミラー70の主光軸Pに沿う下流(後ろ側)には、リレーレンズ48及びフォトディテクタ26A(第1検出器)が順に配置されている。分岐ミラー70により分岐された光路の下流側には、リレーレンズ50及びフォトディテクタ26B(第2検出器)が順に配置されている。
【0057】
本実施形態では、フォトディテクタ26A及び26Bにより、被加工物Wからの反射光(それぞれ第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2))を検出することにより、亀裂検出を行う。
【0058】
リレーレンズ46の下流側(リレーレンズ46と焦点面FS2(分岐ミラー70)との間)には、ハーフミラー80が配置されている。ハーフミラー80は、被加工物Wからの反射光の一部を折り曲げてコンフォーカル検出器82に導光する。コンフォーカル検出器82は、例えば、フォトディテクタ又は赤外線カメラを含んでいる。
【0059】
コンフォーカル検出器82の上流側には、ピンホール板84が配置されている。ピンホール板84は、コンフォーカルピンホールの位置が、主光軸P上であって、リレーレンズ46の後ろ側焦点位置(集光位置)、すなわち、集光レンズ20の焦点位置と共役な位置と一致するように配置されている。
【0060】
ハーフミラー80によって折り曲げられた被加工物Wからの反射光(第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2))は、被加工物Wの界面の検出のために用いられる。
【0061】
(第1検出光L1A)
まず、第1検出光L1A(垂直成分)について、
図2を参照して説明する。
【0062】
図2に示すように、第1検出光L1Aは、リレーレンズ40及び42を経由して被加工物Wに照射されて、集光レンズ20により被加工物Wの内部の前側焦点位置FS
1に集光される。前側焦点位置FS
1に集光された光のうち、亀裂Kに当たらずに被加工物Wの裏面で反射した光の非反射光成分(第1裏面反射光Mt(1))は、被加工物Wの裏面で反射された後FS(+)領域を通り、集光レンズ20を再び透過して、収束光束として検出光学系24に導かれる。第1裏面反射光Mt(1)は、リレーレンズ46を透過した後、リレーレンズ46の焦点位置(焦点面FS
2)の手前(上流側)で主光軸Pと交差し、焦点面FS
2においてFS(+)領域を通過する。その後、第1裏面反射光Mt(1)は、リレーレンズ48を介してフォトディテクタ26Aに向かって進む。
【0063】
フォトディテクタ26Aの上流側には、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光のみを透過する偏光フィルタ60(第1偏光子)が配置されている。第1裏面反射光Mt(1)は、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光であるので、偏光フィルタ60を透過してフォトディテクタ26Aに到達する。
【0064】
前側焦点位置FS1に集光された第1検出光L1Aのうち、亀裂Kに当たった光は、亀裂Kにより全反射される。亀裂Kにより全反射された光の反射光成分(第1亀裂反射光Mr(1))は、被加工物Wの裏面で反射された後FS(-)領域を通り、集光レンズ20を再び透過して、収束光束として検出光学系24に導かれる。第1亀裂反射光Mr(1)は、リレーレンズ46を透過した後、リレーレンズ46の焦点位置(焦点面FS2)の手前(上流側)で主光軸Pと交差し、焦点面FS2のFS(-)領域に向かう。そして、第1亀裂反射光Mr(1)は、分岐ミラー70によって反射され、リレーレンズ50を介してフォトディテクタ26Bに向かって進む。
【0065】
フォトディテクタ26Bの上流側には、偏光方向が紙面に平行な直線偏光のみを透過する偏光フィルタ62(第2偏光子)が配置されている。第1亀裂反射光Mr(1)は、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光であるので、偏光フィルタ62によりブロックされる。
【0066】
被加工物Wに照射された第1検出光L1Aのうち、被加工物Wの表面で反射された表面反射光N(1)の焦点面FS2に向かう仮想的な延長線は、FS(-)領域で焦点面FS2と交わるので、表面反射光N(1)は、FS(-)領域から発せられた光束としてふるまう。よって、表面反射光N(1)は、主光軸Pと交差した後、集光レンズ20を再び透過して、発散光束として検出光学系24に導かれる。表面反射光N(1)は、リレーレンズ46を透過した後、焦点面FS2においてFS(-)領域に向かい、主光軸Pの+y側を通ってリレーレンズ46の焦点位置(焦点面FS2)よりも遠方(下流側)で主光軸Pと交差する光束となる。
【0067】
図2に示す例では、第1裏面反射光Mt(1)と表面反射光N(1)とは、集光レンズ20のレンズ瞳位置20Aにおいて同じ側を通るため、レンズ瞳位置20Aで両者を区別することはできない。しかしながら、焦点面FS
2では、第1裏面反射光Mt(1)と表面反射光N(1)とは、主光軸Pを挟んで互いに反対側の領域を通る。焦点面FS
2において表面反射光N(1)が到達する側に分岐ミラー70が配置されており、表面反射光N(1)のフォトディテクタ26Aへの経路が遮断されている。このため、表面反射光N(1)は、分岐ミラー70によって反射されて、リレーレンズ50により、主光軸Pに対してフォトディテクタ26Bの反対側の領域に導光される。
【0068】
表面反射光N(1)は、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光であるので、第1亀裂反射光Mr(1)と同様に、偏光フィルタ62によりブロックされる。
【0069】
(第2検出光L1B)
次に、第2検出光L1B(平行成分)について、
図3を参照して説明する。
【0070】
図3に示すように、第2検出光L1Bは、被加工物Wに照射されて、集光レンズ20により被加工物Wの内部の前側焦点位置FS
1に集光される。前側焦点位置FS
1に集光された光のうち、亀裂Kに当たらずに被加工物Wの裏面で反射した光の非反射光成分(第2裏面反射光Mt(2))は、被加工物Wの裏面で反射された後FS(-)領域を通り、集光レンズ20を再び透過して、収束光束として検出光学系24に導かれる。第2裏面反射光Mt(2)は、リレーレンズ46を透過した後、リレーレンズ46の焦点位置(焦点面FS
2)の手前(上流側)で主光軸Pと交差し、焦点面FS
2においてFS(-)領域に向かう。そして、第2裏面反射光Mt(2)は、分岐ミラー70によって反射され、リレーレンズ50を介してフォトディテクタ26Bに向かって進む。
【0071】
第2裏面反射光Mt(2)は、偏光方向が紙面に平行な直線偏光であるので、偏光フィルタ62を透過して、フォトディテクタ26Bに到達する。
【0072】
前側焦点位置FS1に集光された第2検出光L1Bのうち、亀裂Kに当たった光は、亀裂Kにより全反射される。亀裂Kにより全反射された光の反射光成分(第2亀裂反射光Mr(2))は、被加工物Wの裏面で反射された後FS(+)領域を通り、集光レンズ20を再び透過して、収束光束として検出光学系24に導かれる。第2亀裂反射光Mr(2)は、リレーレンズ46を透過した後、リレーレンズ46の焦点位置(焦点面FS2)の手前(上流側)で主光軸Pと交差し、焦点面FS2においてFS(+)領域を通過する。その後、第2亀裂反射光Mr(2)は、リレーレンズ48を介してフォトディテクタ26Aに向かって進む。
【0073】
第2亀裂反射光Mr(2)は、偏光方向が紙面に平行な直線偏光であるので、偏光フィルタ60によりブロックされる。
【0074】
被加工物Wに照射された検出光L1のうち、被加工物Wの表面で反射された表面反射光N(2)の焦点面FS2に向かう仮想的な延長線は、FS(+)領域で焦点面FS2と交わるので、表面反射光N(2)は、FS(+)領域から発せられた光束としてふるまう。よって、表面反射光N(2)は、主光軸Pと交差した後、集光レンズ20を再び透過して、発散光束として検出光学系24に導かれる。表面反射光N(2)は、リレーレンズ46を透過した後、焦点面FS2においてFS(+)領域に向かい、主光軸Pの-y側を通ってリレーレンズ46の焦点位置(焦点面FS2)よりも遠方(下流側)で主光軸Pと交差する光束となる。
【0075】
第2亀裂反射光Mr(2)と表面反射光N(2)とは、集光レンズ20のレンズ瞳位置20Aにおいて主光軸Pに対して互いに反対側を通るため、レンズ瞳位置20Aで両者を区別することができる。そして、焦点面FS2において、第2亀裂反射光Mr(2)と表面反射光N(2)とは、主光軸Pに対して同じ側の領域を通る。その後、表面反射光N(2)は、主光軸Pに対してフォトディテクタ26Aの反対側の領域に導光される。
【0076】
表面反射光N(2)は、偏光方向が紙面に平行な直線偏光であるので、第2亀裂反射光Mr(2)と同様に、偏光フィルタ60によりブロックされる。
【0077】
なお、焦点面FS1が被加工物Wの裏面に近いほど、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)が主光軸Pと交差する点が焦点面FS2に近づく。このため、被加工物Wに照射される光を集光させる焦点面FS1が被加工物Wの裏面に近い場合には、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の収束光束の一部が遮光される場合がある。したがって、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の収束光束を遮光しないように、分岐ミラー70を+y側にオフセットして配置してもよい。
【0078】
(亀裂検出処理)
以下、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)を用いて、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを検出する手順について説明する。
【0079】
集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在しない場合には、
図2に示すように、第1検出光L1Aは、亀裂に当たらずに被加工物Wの裏面で反射された後、第1裏面反射光Mt(1)としてフォトディテクタ26Aにより検出される。この場合、フォトディテクタ26Aにより検出される検出信号の信号レベルは最大になる。
【0080】
一方、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在する場合には、
図2に示すように、第1検出光L1Aは、亀裂で全反射されるので、フォトディテクタ26Aにより検出される検出信号の信号レベルはゼロになる。
【0081】
また、集光レンズ20の集光点と亀裂Kの亀裂下端位置又は亀裂上端位置とが一致する場合には、第1検出光L1Aは、亀裂に当たらずに被加工物Wの裏面で反射される非反射光成分と、亀裂で全反射された後、被加工物Wの裏面で反射される反射光成分とに分割される。そして、第1検出光L1Aの非反射光成分は、
図2に示す経路に沿ってフォトディテクタ26Aに入射する。このとき、フォトディテクタ26Aにより検出される検出信号の信号レベルは、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在しない場合に比べて低下する。
【0082】
第2検出光L1Bの場合も同様に、フォトディテクタ26Bにより検出される第2裏面反射光Mt(2)の検出信号の信号レベルは、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在しない場合に最大となり、集光レンズ20の集光点と亀裂Kの亀裂下端位置又は亀裂上端位置とが一致する場合に低下し、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在する場合にゼロとなる。
【0083】
制御部30は、フォーカス調整機構28を制御して集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させながら、フォトディテクタ26A及び26Bから出力される検出信号を順次取得する。これにより、亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
【0084】
図4は、フォトディテクタ26A及び26B並びにコンフォーカル検出器82からの出力のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0085】
図4は、被加工物Wの裏面位置をゼロ、厚さを400μmとして、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bを同時に照射した場合の、フォトディテクタ26A及び26B並びにコンフォーカル検出器82からの出力を示している。
【0086】
図4において、Aチャンネル(Ch-A)及びBチャンネル(Ch-B)は、それぞれフォトディテクタ26A及び26Bの出力を示しており、Focus(破線)は、コンフォーカル検出器82による出力を示している。Focus(破線)については後述する。
【0087】
図4に示すように、フォトディテクタ26A及び26Bによりそれぞれ検出される第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)は、集光点が亀裂範囲に含まれる場合には、亀裂Kにより遮られるため、ゼロになる。これにより、亀裂Kの深さ位置を検出することができる。
【0088】
(界面検出処理)
次に、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)を用いて、被加工物Wの界面(表面及び裏面)を検出する手順について説明する。
【0089】
図5は、第1検出光L1Aおよび第2検出光L1Bからそれぞれ得られる第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の幾何光学的な光線追跡によるシミュレーション結果を示す図である。
図5は、ピンホール板84のコンフォーカルピンホールの位置に仮想的な面形状のフォトディテクタを配置した場合の第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の光束の検出結果を示している。
【0090】
集光レンズ20の集光点が被加工物Wの表面又は裏面と一致しない場合、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の光束は、
図5の(a)の符号SP1に示すように2つに分離して検出される。この場合、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の光束は、ピンホール板84によりブロックされる。
【0091】
一方、集光レンズ20の集光点が被加工物Wの表面又は裏面と一致する場合、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の光束は、
図5の(b)の符号SP2に示すように主光軸P上に集まる。この場合、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の光束は、ピンホール板84のコンフォーカルピンホールを通過して、コンフォーカル検出器82により検出される。これにより、
図4のFocus(破線)に示すように、被加工物Wの裏面及び表面の位置にピークが得られる。
【0092】
制御部30は、フォーカス調整機構28を制御して集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させながら、コンフォーカル検出器82から出力される検出信号を順次取得する。これにより、被加工物Wの表面及び裏面の位置を検出することができ、被加工物Wの表面と亀裂上端位置及び裏面と亀裂下端位置との間の距離を算出することができる。
【0093】
(亀裂検出方法)
次に、第1の実施形態に係る亀裂検出方法について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出方法を示すフローチャートである。
【0094】
本実施形態では、集光レンズ20の集光点は被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に予め設定された走査間隔Δzで走査が行われ、その走査範囲における各走査位置をZi(i=1,2,…,n)とする(但し、nは自然数とする)。
【0095】
なお、集光レンズ20の集光点の走査範囲は、亀裂検出の目的に応じて調整可能となっている。例えば、被加工物Wの表面及び裏面の両方の検出を行う場合には、集光レンズ20の集光点の走査範囲を、被加工物Wの表面及び裏面を包含する広い範囲に設定すればよい。また、亀裂Kの被加工物Wの表面又は裏面からの距離の検出を行う場合には、集光レンズ20の集光点の走査範囲を、表面又は裏面側のより狭い範囲に設定すればよい。
【0096】
まず、操作部により亀裂検出処理の開始が指示されると、制御部30は、アライメント機構29を制御して、集光レンズ20を水平方向に移動させることにより被加工物Wと集光レンズ20との相対的な位置合わせ(アライメント)を行う(ステップS10:アライメント工程)。
【0097】
次に、制御部30は、フォーカス調整機構28のレンズ駆動部を制御して、集光レンズ20の集光点をZiに設定する。例えば、1回目の走査が行われる場合(ステップS12:i=1の場合)には、集光レンズ20の集光点を走査開始位置Z1に設定する。2回目以降の走査が行われる場合(i≧2の場合)には、集光レンズ20の集光点の深さ位置(Z方向位置)をZi=Zi-1+Δzに設定する(ステップS14:集光点変更工程)。
【0098】
次に、被加工物Wに対して、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bを出射して、集光レンズ20により被加工物Wの内部に集光させる(ステップS16:検出光出射工程及び集光工程)。そして、フォトディテクタ26A及び26Bによりそれぞれ第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)の検出を行い、フォトディテクタ26A及び26Bの出力を取得する。また、コンフォーカル検出器82の出力を取得する(ステップS18:第1及び第2の光検出工程)。
【0099】
次に、制御部30は、変数i=nであるか否かを判断する(ステップS20)。i=nでない場合(すなわち、変数iがn未満である場合)にはステップS22に進み、ステップS14からステップS20までの処理を繰り返し行う。一方、i=nである場合には、集光レンズ20の集光点の走査を終了してステップS24に進む。
【0100】
次に、制御部30は、ステップS18で取得したコンフォーカル検出器82の出力から、ピーク位置(
図4参照)を検出して、被加工物Wの表面及び裏面の位置を検出する(ステップS24:界面検出工程)。
【0101】
また、制御部30は、ステップS18で取得したフォトディテクタ26A及び26Bの出力に基づいて、亀裂Kの亀裂深さを検出する(ステップS26:亀裂検出工程)。ステップS26では、フォトディテクタ26A及び26Bの出力に基づいて検出した亀裂Kの亀裂深さ(それぞれ第1亀裂深さdA及び第2亀裂深さdBとする。)との平均値dM(=(dA+dB)/2)を亀裂深さ(亀裂上端位置及び亀裂下端位置)として算出する。これにより、例えば、亀裂Kの形成位置が主光軸Pからずれている場合でも、高精度で亀裂深さを検出することができる。
【0102】
なお、フォトディテクタ26A及び26Bの出力に基づいて検出した亀裂Kの亀裂深さdA又はdBのいずれか一方のみを亀裂深さ(亀裂上端位置及び亀裂下端位置)として求めるようにしてもよい。
【0103】
また、制御部30は、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さの検出結果として、上述のようにして検出した被加工物Wの表面及び裏面の位置並びに亀裂上端位置及び亀裂下端位置を図示しない表示装置(モニタ)等に出力する。
【0104】
本実施形態では、表面反射光N(1)及びN(2)を遮光するための遮光手段として、固定式の分岐ミラー70を用いる。したがって、遮光のための可動部を設けることなく、外乱光となる表面反射光N(1)及びN(2)を確実に除去することができる。これにより、亀裂Kが表面寄りにある場合であっても、亀裂Kの深さを正確に検出することが可能になる。
【0105】
さらに、本実施形態によれば、偏光作用を利用することにより、光源部14の切り替えを行うことなく、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)並びにコンフォーカル検出器82による界面検出用の検出信号を同時に取得することが可能になる。これにより、界面及び亀裂検出の高速化を実現することができる。
【0106】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
図7及び
図8は、本発明の第2の実施形態に係る亀裂検出装置の検出光学系24のうち、フォトディテクタ26A及び26Bの近傍の構成をそれぞれ拡大して示した図である。
【0108】
本実施形態では、フォトディテクタ26A及び26Bの上流側に、偏光フィルタ60及び62に代えて、偏光ビームスプリッタ90及び92がそれぞれ配置されている。そして、偏光ビームスプリッタ90の下流側には、フォトディテクタ26A及び26Dが配置されており、偏光ビームスプリッタ92の下流側には、フォトディテクタ26B及び26Cが配置されている。
【0109】
フォトディテクタ26A-26D(光検出器26)は、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bが、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kによって反射される場合と反射されない場合の双方において、第1検出光L1A及び第2検出光L1Bの被加工物Wからの反射光(第1裏面反射光Mt(1)、第2裏面反射光Mt(2)、第1亀裂反射光Mr(1)及び第2亀裂反射光Mr(2))を検出可能となっている。
【0110】
図7に示すように、本実施形態では、偏光フィルタ60がないので、第2亀裂反射光Mr(2)がブロックされない。したがって、第1裏面反射光Mt(1)(
図2参照)に加えて、第2亀裂反射光Mr(2)(
図3参照)も下流側に進む。同様に、
図8に示すように、第2裏面反射光Mt(2)(
図3参照)に加えて、第1亀裂反射光Mr(1)(
図2参照)も下流側に進む。
【0111】
偏光ビームスプリッタ90(第1偏光ビームスプリッタ)は、下流側に進む光のうち、平行成分である第2亀裂反射光Mr(2)をフォトディテクタ26D側に透過させ、垂直成分である第1裏面反射光Mt(1)を直角に折り曲げて、フォトディテクタ26Aに導光する。
【0112】
偏光ビームスプリッタ92(第2偏光ビームスプリッタ)は、下流側に進む光のうち、平行成分である第2裏面反射光Mt(2)をフォトディテクタ26B側に透過させ、垂直成分である第1亀裂反射光Mr(1)を直角に折り曲げて、フォトディテクタ26Cに導光する。
【0113】
これにより、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)に加えて、第1亀裂反射光Mr(1)及び第2亀裂反射光Mr(2)の出力を取得することができる。
【0114】
なお、本実施形態に係るフォトディテクタ26A及び26Bは、それぞれ第1検出器及び第2検出器に対応し、フォトディテクタ26C及び26Dは、それぞれ第3検出器及び第4検出器に対応する。
【0115】
本実施形態では、例えば、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)並びに第1亀裂反射光Mr(1)及び第2亀裂反射光Mr(2)を用いて亀裂検出を行う。
【0116】
第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)は、亀裂Kに当たらずに被加工物Wの裏面で反射された光であるのに対して、第1亀裂反射光Mr(1)及び第2亀裂反射光Mr(2)は、亀裂Kに反射された後に被加工物Wの裏面で反射された光である。したがって、
図9に示すように、第1亀裂反射光Mr(1)は、第1裏面反射光Mt(1)のグラフの上下を反転させた略線対称のグラフになる。また、同様に、第2亀裂反射光Mr(2)は、第2裏面反射光Mt(2)のグラフの上下を反転させた略線対称のグラフになる。なお、
図9には、簡単のため、第1裏面反射光Mt(1)及び第1亀裂反射光Mr(1)のグラフのみを示している。
【0117】
本実施形態では、第1検出光L1Aから得られる第1裏面反射光Mt(1)及び第1亀裂反射光Mr(1)のグラフの交点P1及びP2をそれぞれ亀裂下端位置及び亀裂上端位置として検出する。
【0118】
同様に、第2検出光L1Bから得られる第2裏面反射光Mt(2)及び第2裏面反射光第2亀裂反射光Mr(2)のグラフの交点をそれぞれ亀裂下端位置及び亀裂上端位置として検出する。
【0119】
そして、第1裏面反射光Mt(1)及び第1亀裂反射光Mr(1)のグラフから求めた亀裂下端位置及び亀裂上端位置と、第2裏面反射光Mt(2)及び第2亀裂反射光Mr(2)のグラフから求めた亀裂下端位置及び亀裂上端位置の平均値を、それぞれ亀裂下端位置及び亀裂上端位置として検出する。
【0120】
本実施形態によれば、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)に加えて、第1亀裂反射光Mr(1)及び第2亀裂反射光Mr(2)を検出して、それぞれのグラフの交点を求めることにより、より簡易に亀裂検出を行うことができる。
【0121】
さらに、本実施形態によれば、偏光作用を利用することにより、光源部14の切り替えを行うことなく、第1裏面反射光Mt(1)及び第2裏面反射光Mt(2)並びにコンフォーカル検出器82による界面検出用の検出信号に加えて、第1亀裂反射光Mr(1)及び第2亀裂反射光Mr(2)についても同時に取得することが可能になる。これにより、界面及び亀裂検出の高速化を実現することができる。
【0122】
なお、本実施形態では、偏光ビームスプリッタ90及び92としてキューブタイプのものを用いたが、プレートタイプのものを用いることも可能である。
【0123】
また、第1裏面反射光Mt(1)及び第1亀裂反射光Mr(1)のグラフ又は第2裏面反射光Mt(2)及び第2亀裂反射光Mr(2)のグラフのいずれか一方から亀裂下端位置及び亀裂上端位置を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
10…亀裂検出装置、14…光源部、16…照明光学系、18…ダイクロイックミラー、20…集光レンズ、22…ハーフミラー、24…検出光学系、26…光検出器、26A~26D…フォトディテクタ、28…フォーカス調整機構、29…アライメント機構、30…制御部、32…光源、34…偏光ビームスプリッタ、60、62…偏光フィルタ、70…分岐ミラー、80…ハーフミラー、82…コンフォーカル検出器、84…ピンホール板、90、92…偏光ビームスプリッタ