(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103083
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】水中アンテナを備えた水中無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/04 20060101AFI20230719BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20230719BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20230719BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
H01Q1/04
B63C11/00 B
B63C11/48 D
H01Q1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003934
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】能見 基彦
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA14
5J046AB03
5J046AB05
5J046AB06
5J046AB07
5J046AB08
5J046AB13
5J046RA04
5J046RA12
(57)【要約】
【課題】水中アンテナを保護するための構造を提供する。
【解決手段】水中無線通信装置1は、水中アンテナ2と、水中アンテナ2に電気的に接続された通信機器3と、水中アンテナ2を囲む水中レドーム6を備え、水中レドーム6は、電波透過性の材料から構成されており、水中レドーム6は、水中に没している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中無線通信装置であって、
水中アンテナと、
前記水中アンテナに電気的に接続された通信機器と、
前記水中アンテナを覆う水中レドームを備え、
前記水中レドームは、電波透過性の材料から構成されており、
前記水中レドームは、水中に没している、水中無線通信装置。
【請求項2】
前記水中レドームの内部は水で満たされている、請求項1に記載の水中無線通信装置。
【請求項3】
前記水中レドームは流線形である、請求項1または2に記載の水中無線通信装置。
【請求項4】
前記水中レドームは透明である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水中無線通信装置。
【請求項5】
前記電波透過性の材料は柔軟性を有している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水中無線通信装置。
【請求項6】
前記水中レドームは、前記水中レドームの内部と外部との間で水を流通させるための少なくとも1つの通孔を有している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水中無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に設置された潜没式装置、あるいは水中を移動する水中可動体などの水中装置、あるいは水面に浮いている船舶などに設置される水中無線通信装置に関し、特に水中での電波の送受信に適した水中アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
水中で作動する水中ロボットや水中ドローンなどの水中装置は、一般に、陸上または水面に配置されたホスト装置と通信を行う。例えば、ホスト装置としてのコントローラは、水中ロボットを操作するための操作信号を水中ロボットに送り、水中ロボットは、操作信号を受けて作動する。別の例では、水中ロボットは、水中の対象物の画像を生成し、画像を陸上または水面上のホスト装置に送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中装置およびホスト装置のいずれか一方または両方が可動である場合、移動の制限を低減させる観点から、通信は無線通信の形態であることが望ましい。しかしながら、水中で電波を送受信する際、アンテナを機器本体の外に設置すると水中に露出したアンテナが、岩やコンクリートブロック等との接触によって損傷したり、水中の異物が絡まったり、水中生物の付着や繁茂が生じたりする。また、水中の可動体の筐体外にアンテナを設置した場合、アンテナの形状や大きさによっては、大きな水の抵抗力を受け、可動体の移動を妨げたり、移動のための動力過剰の原因となる。
【0005】
そこで、本発明は、水中アンテナを保護するための構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、水中無線通信装置であって、水中アンテナと、前記水中アンテナに電気的に接続された通信機器と、前記水中アンテナを覆う水中レドームを備え、前記水中レドームは、電波透過性の材料から構成されており、前記水中レドームは、水中に没している、水中無線通信装置が提供される。
【0007】
一態様では、前記水中レドームの内部は水で満たされている。
一態様では、前記水中レドームは流線形である。
一態様では、前記水中レドームは透明である。
一態様では、前記電波透過性の材料は柔軟性を有している。
一態様では、前記水中レドームは、前記水中レドームの内部と外部との間で水を流通させるための少なくとも1つの通孔を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水中アンテナを水中レドームによって保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】水中無線通信装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図2】
図2(a)乃至
図2(c)は、水中無線通信装置の他の実施形態を示す模式図である。
【
図3】水中無線通信装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
【
図4】水中無線通信装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、水中無線通信装置の一実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、水中無線通信装置1は、水中アンテナ2と、水中アンテナ2に電気的に接続された通信機器3と、水中アンテナ2を覆う水中レドーム6を備えている。水中無線通信装置1は、水中ロボット、水中ドローン、船舶、潜没式撮像装置などの可動体8に設置される。
図1に示す例では、水中無線通信装置1は、水中ドローンに設置されているが、本発明は
図1に示す実施形態には限定されない。
【0011】
図1に示すように、水中レドーム6は、スクリュープロペラなどの推進装置10を備えた可動体8に固定される。
図1に示す実施形態では、水中レドーム6は、可動体8の上部に固定されているが、可動体8の他の部位に固定されてもよい。例えば、可動体8が船舶である場合は、水中レドーム6は、可動体8の下部(船舶の底部)に固定されてもよい。いずれの場合でも、水中レドーム6の全体は水中に没している。
【0012】
水中レドーム6は、電波透過性の材料から構成されており、水中アンテナ2から発せられた電波、または水中レドーム6の外部から発せられた電波を透過させるように構成されている。具体的には、水中レドーム6は樹脂から構成されている。水中レドーム6を構成する樹脂の例としては、アクリル、ビニール、ポリカーボネイトが挙げられる。一実施形態では、水中アンテナ2が全方向に電波を発することができるように、水中アンテナ2は水中レドーム6の中心に配置される。
【0013】
水中無線通信装置1が水中ドローンまたは船舶などの可動体8に設置される場合には、水中レドーム6が他の物体と衝突したときに水中レドーム6が破損することを防止するために、水中レドーム6は柔軟性を有してもよい。外部からの水中アンテナ2の視認性を良くするため、水中レドーム6は透明であってもよい。特に、水中レドーム6内にカメラおよび照明が配置される場合は、水中レドーム6は透明であることが望ましい。
【0014】
図1に示す実施形態では、可動体8は水中ドローンなどの水中装置であり、水中レドーム6の内部は水で満たされている。水中レドーム6内に配置されている水中アンテナ2は、水中レドーム6の内部を満たす水に接触している。水中レドーム6の内部を満たす水は、水中レドーム6の外部に存在する水(例えば海水)と同じ水であってもよいし、あるいは水道水あるいは河川水であってもよい。通信機器3は、電波を生成および/または処理する電気機器であり、防水室12内に配置されている。
【0015】
一実施形態では、水中レドーム6は、水中レドーム6の内部と外部との間で水を流通させるための少なくとも1つの通孔6aを有してもよい。
図1に示す実施形態では、複数の通孔6aが設けられているが、水中アンテナ2を損傷しうるような大きな異物の侵入を防ぐことができる限りにおいて、通孔6aの大きさ、位置、数は特に限定されない。
【0016】
通信機器3は、電波を生成する、または水中アンテナ2を通じて受信した電波を処理するように構成されている。例えば、通信機器3は、発振器、変調器、増幅器などの電波を生成するための装置を備えている。他の例では、通信機器3は、チューナー、増幅器、復調器などの電波を処理するための装置を備えている。さらに他の例では、通信機器3は、発振器、変調器、増幅器、チューナー、増幅器、復調器などの電波を生成し、かつ電波を処理するための装置を備えている。ただし、通信機器3の構成は上述した例に限定されず、電波を生成し、および/または電波を処理できる構成であればよい。
【0017】
通信機器3は、50~500MHzの帯域内の周波数の電波を生成および/または処理するように構成されている。50~500MHzの帯域から選択された電波によって通信される信号は、アナログ信号であってもよいし、またはデジタル信号であってもよい。
【0018】
図1の実施形態に示すように、水中レドーム6は、半球形状を有している。しかしながら、水中レドーム6は本実施形態に限定されない。
図2(a)乃至
図2(c)は、水中レドーム6の他の実施形態を示す模式図である。
図2(a)に示すように、水中レドーム6が水中ドローンなどの可動体8に設置される場合には、水中移動時の水の抵抗を減らすため、水中レドーム6は流線形状を有してもよい。
図2(b)に示すように、水中レドーム6は球形状を有してもよい。一実施形態では、
図2(c)に示すように、水中レドーム6は涙滴形状を有してよい。さらに図示しないが、水中レドーム6は円盤形状、または紡錘形状を有してもよい。
【0019】
図1および
図2では、水中レドーム6を備えた水中無線通信装置1は、水中ドローンなどの水中装置に設置されているが、
図3に示すように、水中無線通信装置1は、船舶8に設置されてもよい。水中レドーム6は、船舶8の底部に固定され、水中レドーム6の全体は水中に没している。一実施形態では、
図4に示すように、水中無線通信装置1が設置される水中装置は、海底または川底または湖底に配置されたアンカー(または重り)15から延びるケーブル16に連結されてもよい。
【0020】
図1乃至
図4に示す各実施形態によれば、水中アンテナ2は、水中レドーム6によって保護される。したがって、水中アンテナ2の損傷、ごみなどの付着が防止される。
【0021】
水中アンテナ2のタイプは特に限定されない。水中アンテナ2のタイプの例としては、フォールデッドダイポールアンテナ、逆F形式アンテナ、マイクロストリップアンテナ、スロットアンテナ、パラボラアンテナ、コーナリフレクターアンテナ、フェイズドアレーアンテナなどが挙げられる。
【0022】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0023】
1 水中無線通信装置
2 水中アンテナ
3 通信機器
6 水中レドーム
6a 通孔
8 可動体
10 推進装置
12 防水室
15 アンカー(または重り)
16 ケーブル