(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010336
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】架橋型有機ケイ素樹脂及びその製造方法、ならびに化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/90 20060101AFI20230113BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230113BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20230113BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K8/90
A61Q1/00
C08L83/07
C08L83/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114401
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】安部 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】小西 将幸
【テーマコード(参考)】
4C083
4J002
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB352
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC692
4C083AC842
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD242
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD532
4C083BB25
4C083CC05
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC14
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE07
4C083EE17
4J002CP04W
4J002CP06W
4J002CP13X
4J002CP14X
4J002CP18W
4J002FD070
4J002FD180
4J002FD200
4J002GB00
4J002HA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】室温で液状の油剤で溶解可能であり、油剤を揮発したときに室温で液状、ガム状乃至は固体状となる架橋型有機ケイ素樹脂及びその製造方法を提供する。さらに、塗布性、リッチ感に優れ使用感が良好であり、高含水でみずみずしく経時安定性が良好な乳化物となる化粧料を提供し、及び紫外線散乱剤を含む化粧料においては白浮き・白化しにくい日焼け止め効果を与えることが可能となる、架橋型有機ケイ素樹脂を提供する。
【解決手段】平均組成式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂及びその製造方法を提供する。
[式中、R
1は、炭素数1~30のアルキル基等;R
2
3SiO
1/2単位の各々において1つ以上のR
2はポリオキシアルキレン含有基、又は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基;R
3
3SiO
1/2単位は各々1つ以上のオルガノポリシロキサン含有基を有し;Xは、2価のポリオキシアルキレン含有基等。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記平均組成式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂
【化1】
[式中、R
1は、互いに独立に、非置換もしくは置換の、炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数7~30のアラルキル基であり、R
2は、互いに独立に、ポリオキシアルキレン含有基、水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基、又はR
1の選択肢から選ばれる基であり、R
2
3SiO
1/2単位の各々において1つ以上のR
2はポリオキシアルキレン含有基、又は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基であり、R
3は、互いに独立に、オルガノポリシロキサン含有基、又はR
1の選択肢から選ばれる基であり、R
3
3SiO
1/2単位は各々1つ以上のオルガノポリシロキサン含有基を有し、Xは、下記式(2)で表される2価のポリオキシアルキレン含有基、又は下記式(3)で表される2価の基であり、任意的にR
2、R
3、及びXの一部は水酸基であってもよく、
【化2】
(式中、e1、e2、及びe3は、0≦e1<200、0≦e2<200、0≦e3<200、0<e1+e2+e3≦200を満たす数であり、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり式(1)中のケイ素原子と結合する)
【化3】
(式中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり、式(1)中のケイ素原子と結合し、Q
1は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する炭素数3~20の多価アルコール含有炭化水素基である)
a1、a2、a3、a4、b、c、及びdは、0<a1≦400、0≦a2≦200、0≦a3≦400、0<a4≦50、0≦b≦320、0≦c≦320、0<d≦
1,000、0.5≦(a1+a2+a3+a4)/(c+d)≦1.5を満たす数であり、pは1≦p≦3の数である]。
【請求項2】
Xが上記式(2)で表される2価のポリオキシアルキレン含有基である、請求項1記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項3】
式(3)中において、Q1が-CH2CH(OR4)CH2O-(式中、R4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である)で示される構造を少なくとも1つ有する、請求項1又は2記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項4】
上記R
2において、ポリオキシアルキレン含有基が下記式(11)で表される、請求項1~3のいずれか1項に記載の架橋型有機ケイ素樹脂
【化4】
(式中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり、R
4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子であり、e4、e5及びe6は、0≦e4<200、0≦e5<200、0≦e6<200、0<e4+e5+e6≦200を満たす数である)。
【請求項5】
上記R
3で示されるオルガノポリシロキサン含有基が下記式(20)、(21)、(22)、又は(23)のいずれかで表される、請求項1~4のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂
【化6】
(式中、R
1は、上記の通りであり、n及びgは、0≦n≦5、0≦g≦500を満たす数であり、h1、h2及びh3は互いに独立に0~2の数である)。
【請求項6】
上記R
2において、水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基が、下記式(12)で表される、請求項1~5のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂
【化5】
(式(12)中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり上記式(1)中のケイ素原子と結合し、Q
2は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する炭素数3~20の多価アルコール含有炭化水素基である)。
【請求項7】
上記式(12)において、Q2が-CH2CH(OR4)CH2OR4(式中、R4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である)で示される構造を少なくとも1つ有する、請求項6記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項8】
重量平均分子量が3,000~1,000,000の範囲である、請求項1~7のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項9】
グリフィン法により算出されたHLBが0.1~15である、請求項1~8のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項10】
上記平均組成式(1)におけるXの1つ以上が上記式(2)で表される基を含み、上記平均組成式(1)において0<a4≦10であり、上記式(2)において0<e1+e2+e3≦40であり、グリフィン法により算出されたHLBが0.1~6.0であり、25℃で液状、ガム状、または固体状である、請求項1~9のいずれか1項に記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項11】
上記平均組成式(1)におけるXの1つ以上が上記式(2)で表される基を含み、上記平均組成式(1)において1≦a3≦100、0<a4≦10であり、上記式(2)において8<e1+e2+e3≦40であり、グリフィン法により算出されたHLBが0.1~6.0であり、25℃で液状またはガム状である、請求項1~9のいずれか1項に記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項12】
上記平均組成式(1)におけるXの1つ以上が上記式(2)で表される基を含み、上記平均組成式(1)において1≦a3≦100、0<a4≦3.5であり、上記式(2)において8<e1+e2+e3≦40であり、グリフィン法により算出されたHLBが0.1~6.0であり、25℃で液状である、請求項1~9のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項13】
上記平均組成式(1)におけるR1が炭素数1~12のアルキル基であり、重量平均分子量が40,000~1,000,000である、請求項1~12のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂を含有する化粧料。
【請求項15】
乳化組成物である、請求項14記載の化粧料。
【請求項16】
日焼け止め化粧料又はメイクアップ化粧料である、請求項14又は15記載の化粧料。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項記載の架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法であって、下記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂と、下記式(24)、(25)、(27)、(28)、(29)、(30)、(31)又は(32)で表される末端アルケニル基含有化合物の1種以上(但し、下記式(24)で表される基を少なくとも1種含む)とをヒドロシリル化反応させることにより、上記平均組成式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂を得る工程を含む、前記製造方法
【化7】
(式中、R
1、a1、a2、a3、a4、b、c、及びdは、上記の通りであり、1≦q≦3である)
【化8】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよく、e1、e2及びe3は、上記の通りである)
【化9】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよく、Q
1は上記の通りである)
【化10】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよく、R
4、e4、e5及びe6は上記の通りである)
【化11】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよく、Q
2は上記の通りである)
【化12】
(式中、R
1、n、g、h1、h2、及びh3は上記の通りである)。
【請求項18】
上記式(25)において、Q1が-CH2CH(OR4)CH2O-(式中、R4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である)で示される構造を少なくとも1つ有する、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
上記式(28)において、Q2が-CH2CH(OR4)CH2OR4(式中、R4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である)で示される構造を少なくとも1つ有する、請求項17記載の製造方法。
【請求項20】
下記式(33)及び下記式(34)で表される有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、下記式(35)及び(36)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、下記式(37)で表される加水分解性シラン、該加水分解性シランの部分加水分解縮合物及び前記加水分解性シランの金属塩から選ばれる1種又は2種以上との混合物を酸触媒下で加水分解後、前記酸触媒のモル当量より多い塩基触媒を添加することで中和し、その後、該塩基触媒存在下で縮合することにより、上記式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂を得る工程を更に含む、請求項17~19のいずれか1項記載の製造方法
【化13】
(式中、R
1は上記の通りであり、X
1は互いに独立に、加水分解性を有する官能基であり、1≦q≦3である)。
【請求項21】
請求項20記載の製造方法において、上記式(33)及び(34)で表される有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、上記式(35)で表される加水分解性シラン、該加水分解性シランの部分加水分解縮合物及び前記加水分解性シランの金属塩から選ばれる1種又は2種以上との混合物を、酸触媒下で加水分解を行った後に、上記式(35)及び(36)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することにより上記式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂を得る工程を含む、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は架橋型有機ケイ素樹脂に関する。特には、新規な架橋型有機ケイ素樹脂及びそれを含有してなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料においては皮膚の保護効果を持続させる目的で、シリコーン油を配合して撥水性を高くすることが行なわれている。油中水型乳化組成物においては、さっぱりとしてべたつきが少なく、撥水性の良いものを得るために油剤としてシリコーン油が使用されているが、このシリコーン油を含有する油中水型乳化物においては、みずみずしい感触の油中水型化粧料を得るために、架橋型シリコーン活性剤を用いて高含水で大粒径のエマルジョンを作製し、みずみずしい使用感の化粧料を得ることができることが知られている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、これらの架橋型シリコーン活性剤は界面張力低下能に乏しく、単独で安定化するには困難であった。
【0003】
また、このシリコーン油を含有する油中水型乳化物においては、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン等の乳化剤を用いて油中水型乳化物を作製する技術(特許文献3)や、シリコーンとの相溶性をさらに高めたシリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーンを用いる技術(特許文献4)が知られており、肌なじみが良くさっぱりとした使用感が得られる。しかし、これら直鎖型のシリコーン活性剤単独では高含水の乳化物を作製することが困難であり、安定化のために高配合した場合はみずみずしい使用感が得られ難く、肌へのおさまりはよいが、プレイタイムが短く、感触が非常に軽いためリッチ感には乏しい。また、紫外線散乱剤配合時には白くなるなどの問題もあった。
【0004】
さらに、ポリエーテル変性有機ケイ素樹脂を用いて、高内水相で、経時安定性が良好な乳化物が得られることが知られている(特許文献5)。しかしながら、界面の安定化に乏しく、単独で安定化するには困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-2521号公報
【特許文献2】特開1993-140320号公報
【特許文献3】特開昭61-293903号公報
【特許文献4】特開2002-179548号公報
【特許文献5】特開2019-085388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、室温で液状の油剤で溶解可能であり、油剤を揮発したときに室温で液状、ガム状乃至は固体状となる架橋型有機ケイ素樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに、塗布性、リッチ感に優れ使用感が良好であり、高含水でみずみずしく経時安定性が良好な乳化物となる化粧料を提供すること、及び、紫外線散乱剤を含む化粧料においては白浮き・白化しにくい日焼け止め効果を与えることが可能となる、架橋型有機ケイ素樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、架橋型有機ケイ素樹脂の原料であるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂のヒドロシリル基量を特定し、且つ、架橋剤である両末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン又は水酸基を2つ以上有する多価アルコール置換炭化水素の量を特定することで、得られる架橋型有機ケイ素樹脂は、室温で液状の油剤に溶解可能であり、油剤を揮発したときに室温で液状、ガム状乃至は固体状となることを見出した。
【0008】
また、原料において、変性剤であるオルガノポリシロキサンの量を限定し、且つ、架橋剤である両末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン又は水酸基を2つ以上有する多価アルコール置換炭化水素の鎖長を限定することで、得られる架橋型有機ケイ素樹脂は、室温で液状乃至はガム状であり、上記課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記平均組成式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂及びその製造方法を提供する。
【化1】
[式中、R
1は、互いに独立に、非置換もしくは置換の、炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数7~30のアラルキル基であり、R
2は、互いに独立に、ポリオキシアルキレン含有基、水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基、又はR
1の選択肢から選ばれる基であり、R
2
3SiO
1/2単位の各々において1つ以上のR
2はポリオキシアルキレン含有基、又は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基であり、R
3は、互いに独立に、オルガノポリシロキサン含有基、又はR
1の選択肢から選ばれる基であり、R
3
3SiO
1/2単位は各々1つ以上のオルガノポリシロキサン含有基を有し、Xは、下記式(2)で表される2価のポリオキシアルキレン含有基、又は下記式(3)で表される2価の基であり、任意的にR
2、R
3、及びXの一部は水酸基であってもよく、
【化2】
(式中、e1、e2、及びe3は、0≦e1<200、0≦e2<200、0≦e3<200、0<e1+e2+e3≦200を満たす数であり、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり式(1)中のケイ素原子と結合する)
【化3】
(式中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり式(1)中のケイ素原子と結合し、Q
1は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する炭素数3~20の多価アルコール含有炭化水素基である)
a1、a2、a3、a4、b、c、及びdは、0<a1≦400、0≦a2≦200、0≦a3≦400、0<a4≦50、0≦b≦320、0≦c≦320、0<d≦
1,000、0.5≦(a1+a2+a3+a4)/(c+d)≦1.5を満たす数であり、pは1≦p≦3の数である]。
さらに、本発明は上記式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法を提供する。
【0010】
好ましくは、本発明の架橋型有機ケイ素樹脂における架橋量を特定することで、架橋型有機ケイ素樹脂の性状を液状にすることができる。そのため、室温で液状の油剤に溶解する必要がなく、使用性の面で容易である。本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、界面活性能を有しており、乳化剤として化粧料に配合することで、感触・経時安定性が非常に良好な化粧料を提供できる。また、本発明の架橋型有機ケイ素樹脂を油中水型の乳化剤として得られた乳化物は、直鎖状のポリエーテル変性オルガノシロキサンのような界面活性剤を用いた乳化物と比較して、高含水で大きな粒子径のエマルジョンが得られ、瑞々しく軽い感触であり、さらに、乳化物は経時安定性が良好である。また、好ましくは重量平均分子量40,000~1,000,000を有する架橋型有機ケイ素樹脂を乳化剤とし用いることで、油剤をシリコーンに限定せずに、極性油の場合においても感触・乳化安定性が良好な乳化物を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、界面活性能を有し、乳化剤として化粧料に配合が可能である。化粧料に配合した場合、塗布性、リッチ感に優れ、高含水でみずみずしく経時安定性が良好な乳化物を作製し、紫外線散乱剤含有時には白浮き・白化しにくい日焼け止めの作製が可能な架橋型有機ケイ素樹脂及びその製造方法、ならびに架橋型有機ケイ素樹脂を含有する化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明は、下記平均組成式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂である。
【化4】
[式中、R
1は、互いに独立に、非置換もしくは置換の、炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数7~30のアラルキル基であり、R
2は、互いに独立に、ポリオキシアルキレン含有基、水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基、又はR
1の選択肢から選ばれる基であり、R
2
3SiO
1/2単位の各々において1つ以上のR
2はポリオキシアルキレン含有基、又は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基であり、R
3は、互いに独立に、オルガノポリシロキサン含有基、又はR
1の選択肢から選ばれる基であり、R
3
3SiO
1/2単位は各々1つ以上のオルガノポリシロキサン含有基を有し、Xは、下記式(2)で表される2価のポリオキシアルキレン含有基、又は下記式(3)で表される2価の基であり、任意的にR
2、R
3、及びXの一部は水酸基であってもよく、
【化5】
(式中、e1、e2、及びe3は、0≦e1<200、0≦e2<200、0≦e3<200、0<e1+e2+e3≦200を満たす数であり、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり式(1)中のケイ素原子と結合する)
【化6】
(式中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり式(1)中のケイ素原子と結合し、Q
1は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する炭素数3~20の多価アルコール含有炭化水素基である)
a1、a2、a3、a4、b、c、及びdは、0<a1≦400、0≦a2≦200、0≦a3≦400、0<a4≦50、0≦b≦320、0≦c≦320、0<d≦
1,000、0.5≦(a1+a2+a3+a4)/(c+d)≦1.5を満たす数であり、pは1≦p≦3の数である]。
【0014】
上記式(1)中、R1は、互いに独立に、非置換もしくは置換の、炭素数1~30のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数7~30のアラルキル基である。より好ましくは炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~16のアラルキル基である。より詳細には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等を挙げることができる。特には、炭素数1~5のアルキル基、フェニル基又はトリル基が好ましい。
【0015】
上記式(1)において、a1、a2、a3、a4、b、c、及びdは以下の範囲で与えられる。a1は、0<a1≦400、好ましくは1≦a1≦100、さらに好ましくは1≦a1≦50である。a2は、0≦a2≦200、好ましくは0≦a2≦100、さらに好ましくは0≦a2≦50である。a3は、0≦a3≦400、好ましくは1≦a3≦100、さらに好ましくは1≦a3≦50である。a3が上記上限値より大きいと親水性に乏しくなるため、乳化性が弱くなり安定性に欠ける。a4は、0<a4≦50、好ましくは0<a4≦30、さらに好ましくは0<a4≦10、または0<a4≦3.5である。a4が上記上限値より大きいと架橋度が上がり分子量が大きくなるため、ゲル化する可能性が高くなる。b、c、及びdは、0≦b≦320、0≦c≦320、0<d≦1,000である。好ましくは、dは、1≦d≦300であり、より好ましくは5≦d≦100であり、さらに好ましくは10≦d≦55である。bは好ましくは、0≦b≦100、0≦b≦50、0≦b≦10であり、cは好ましくは、0≦c≦100、0≦c≦50、0≦c≦10である。0.5≦(a1+a2+a3+a4)/(c+d)≦1.5を満たす数であり、好ましくは0.7≦(a1+a2+a3+a4)/(c+d)≦1.5を満たす数である。(a1+a2+a3+a4)/dの値が上記下限値未満では、架橋度が上がり分子量が大きくなるためゲル状になる。pは1≦p≦3の数であり、好ましくはpが1または2であり、さらに好ましくはpが1である。
【0016】
Xは、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される2価の基である。
【化7】
【化8】
任意的にXの一部は水酸基であってもよく、この場合のXは1価である。
【0017】
上記式(2)において、e1は0≦e1<200であり、1≦e1≦100が好ましく、2≦e1≦50、3≦e1≦40がさらに好ましい。e1が上記上限値より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。e2は0≦e2<200であり、0≦e2≦100が好ましく、0≦e2≦50であり、0≦e2≦30である。より好ましくは0であり、0でない場合、1≦e2≦10が特にに好ましい。e2が上記上限値より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。e3は0≦e3<200であり、0≦e3≦100が好ましく、0≦e3≦50であり、0≦e3≦30がさらに好ましい。より好ましくは0であり、0でない場合、1≦e3≦10が特にに好ましい。e3が上記上限値より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。e1+e2+e3は0<e1+e2+e3<200であり、1≦e1+e2+e3≦100が好ましく、8≦e1+e2+e3≦50がさらに好ましく、より好ましくは8<e1+e2+e3≦40である。または、0<e1+e2+e3≦40である。e1+e2+e3が上記下限値より小さいと親水性に乏しくなり、乳化性が弱くなり安定性に欠ける。e1+e2+e3が上記上限値より大きいと、親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。油中水型乳化物を得るために十分な親水性を付与するためには、e1/(e2+e3)≧1であることが望ましく、水中油型乳化物を得るために十分な疎水性を付与するためには、e1/(e2+e3)≦1であることが望ましい。ポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位とブチレンオキサイド単位の2種以上からなる場合には、これら2種以上のブロック共重合体あるいはランダム共重合体のいずれでもよい。
【0018】
上記式(3)中において、Q1は、ポリグリセリンなどの水酸基を2つ以上有する多価アルコール由来の基であり、水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する炭素数3~20の、好ましくは3~12の多価アルコール含有炭化水素基である。Q1は好ましくは-CH2CH(OR4)CH2O-(式中、R4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である)で示される構造を少なくとも1つ有する。
【0019】
より詳細には、Q
1は、下記式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、及び(10)から選ばれる1以上の組み合わせであり、少なくとも下記式(6)で示される構造を有する。下記式(4)、(5)、(6)、(8)、及び(9)の酸素原子(**)には下記式(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、及び(10)のいずれかの炭素原子(*)が結合し、下記式(4)、(5)、(6)、(8)、及び(9)中のうち少なくとも1を有し、これらのうち少なくとも1の酸素原子(**)がY
1に結合し、且つ、少なくとも1の炭素原子(*)が式(3)中の酸素原子に結合する。
【化9】
(式中、R
4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子であり、f1、f2、f3、f4、f5、f6、及びf7は、0≦f1≦20、0≦f2≦20、0<f3≦20、0≦f4≦20、0≦f5≦20、0≦f6≦20、0≦f7≦20を満たす整数、1≦f1+f2+f3+f4+f5+f6+f7≦20である)
【0020】
上記各単位において、f1、f2、f3、f4、f5、f6、及びf7は、0≦f1≦20、0≦f2≦20、0<f3≦20、0≦f4≦20、0≦f5≦20、0≦f6≦20、0≦f7≦20を満たす整数であり、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、及び式(10)の平均結合総数F2(f1+f2+f3+f4+f5+f6+f7)は、1≦F2≦20であり、1≦F2≦10が好ましく、1≦F2≦5がより好ましい。F2が20より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。
【0021】
例えば、式(3)は下記構造を主として有し、上記式(4)、(5)、(7)、(8)及び(9)の構造を上述の範囲でさらに有してよい2価の基である。
【化10】
また例えば、式(3)は、下記構造を主として有し、上記式(4)、(7)、(8)及び(9)の構造を上述の範囲でさらに有してよい2価の基である。
【化11】
0≦f2≦20、0<f3≦20であり、繰り返し単位の結合順序は上記に制限されない。
【0022】
上記式(1)において、R2は、互いに独立に、ポリオキシアルキレン含有基、水酸基及び/又はアルコキシを2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基、又はR1の選択肢から選ばれる基であり、R2
3SiO1/2単位の各々において1つ以上のR2はポリオキシアルキレン含有基又は水酸基及び/又はアルコキシを2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基である。R1は上記の通りである。なお、R2の一部は水酸基であってもよい。
【0023】
上記R
2において、ポリオキシアルキレン含有基は好ましくは下記一般式(11)で表される。
【化12】
式(11)中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を含有してもよい炭素数3~20の炭化水素基である。R
4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である。e4、e5及びe6は、0≦e4<200、0≦e5<200、0≦e6<200、0<e4+e5+e6≦200を満たす整数である。
【0024】
上記式(11)において、e4は0≦e4<200であり、1≦e4≦100が好ましく、3≦e4≦50であり、4≦e4≦30がさらに好ましく、5≦e4≦15がさらに好ましい。e4が上記上限値より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。e5は0≦e5<200であり、0≦e5≦100が好ましく、0≦e5≦50がさらに好ましく、0≦e5≦30がより好ましい。より好ましくは0であり、0でない場合、1≦e5≦10が特に好ましい。e5が上記上限値より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。e6は0≦e6<200であり、0≦e6≦100が好ましく、0≦e6≦50がさらに好ましく、0≦e6≦30がさらに好ましい。より好ましくは0であり、0でない場合、1≦e6≦10が特にに好ましい。e6が上記上限値より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。e4+e5+e6は0<e4+e5+e6<200であり、1≦e4+e5+e6≦100が好ましく、5≦e4+e5+e6≦50がさらに好ましい。より好ましくは8≦e1+e2+e3≦40であり、さらには、8≦e1+e2+e3≦20であるのがよい。e4+e5+e6が、上記下限値より小さいと親水性に乏しくなるため乳化性が弱くなり安定性に欠ける。e4+e5+e6が、上記上限値より大きいと、親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。油中水型乳化物を得るために十分な親水性を付与するためには、e4/(e5+e6)≧1であることが望ましく、水中油型乳化物を得るために十分な疎水性を付与するためには、e4/(e5+e6)<1であることが望ましい。ポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位とブチレンオキサイド単位の2種以上からなる場合には、これら2種以上のブロック共重合体あるいはランダム共重合体のいずれでもよい。
【0025】
上記R
2において、水酸基及び/又はアルコキシを2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基は、好ましくは下記一般式(12)で表される。
【化13】
式(12)中、Y
1はエーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を含有してもよい炭素数3~20の炭化水素基であり、上記式(1)のケイ素原子と結合する。Q
2は水酸基及び/又はアルコキシ基を2つ以上有する炭素数3~20の、好ましくは3~12の多価アルコール含有炭化水素基である。
【0026】
上記式(12)において、好ましくは、Q2は-CH2CH(OR4)CH2OR4(式中、R4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である)で示される構造を少なくとも1つ有する。
【0027】
より詳細には、Q
2は、下記式(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、及び(19)から選ばれる1以上の組み合わせであり、少なくとも下記式(16)で表される構造を有する。下記式(13)、(14)、(15)、(17)、及び(18)の酸素原子(**)には下記式(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、及び(19)のいずれかの炭素原子(*)が結合し、下記式(16)及び(19)のうち少なくとも1を有し、該式(16)及び(19)の少なくとも1の炭素原子(*)が式(12)中の酸素原子に結合する。
【化14】
上記式(13)~(19)中、R
4は、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である。f8、f9、f10、f11、f12、f13、及びf14は、0≦f8≦20、0≦f9≦20、0≦f10≦20、0<f11≦20、0≦f12≦20、0≦f13≦20、0≦f14≦20を満たす整数、1≦f8+f9+f10+f11+f12+f13+f14≦20である。
【0028】
上記各単位において、f8、f9、f10、f11、f12、f13、及びf14は0≦f8≦20、0≦f9≦20、0≦f10≦20、0<f11≦20、0≦f12≦20、0≦f13≦20、0≦f14≦20を満たす整数であり、且つ、上記式(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、及び(19)の平均結合総数であるF1(f8+f9+f10+f11+f12+f13+f14)が、1≦F1≦20であり、1≦F1≦10が好ましく、1≦F1≦5であるのがより好ましい。F1が20より大きいと親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける。
【0029】
例えば、Q
2が上記式(16)及び(15)で表される単位を有する場合、式(12)は以下の構造で示すことができる。
【化15】
例えば、Q
2が上記式(16)、(15)及び(13)で表される単位を有する場合、式(12)は以下の構造で示すことができる。
【化16】
(0≦f8≦20、0≦f10≦20、0<f11≦20、繰り返し単位の結合順序は上記に制限されない。酸素原子(**)にはいずれかの炭素原子(*)が結合する。)
【0030】
上記各式において、R4は、互いに独立に、非置換もしくは置換の、炭素数1~30の1価炭化水素基又は水素原子である。好ましくは、水素原子又は炭素数1~10、更には炭素数1~5のアルキル基である。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等が挙げられる。より好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0031】
上記各式において、Y1は、エーテル結合及びエステル結合の少なくとも一方を含有してもよい炭素数3~20の炭化水素基を表す。例えば、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CH2CH(CH3)CH2-、-(CH2)8-、-(CH2)11-、-(CH2)3-O-(CH2)2-、及び-(CH2)2-O-(CH2)3-が例示され、好ましくは、-(CH2)2-、-(CH2)3-、及び-CH2CH(CH3)CH2-である。
【0032】
上記式(1)のR
3において、オルガノポリシロキサン含有基は、下記一般式(20)、(21)、(22)、又は(23)で表される基である。R
3
3SiO
1/2単位の各々において1つ以上のR
3は下記一般式(20)、(21)、(22)、又は(23)で表される基である。なお、R
3の一部は水酸基であってもよい。
【化17】
式中、R
1は、上述の通りであり、n及びgは、0≦n≦5、0≦g≦500を満たす整数であり、h
1~h
3は各々0以上2以下の整数である。
【0033】
nは0≦n≦5であり、0≦n≦2が好ましく、gは0≦g≦500であり、1≦g≦100が好ましく、1≦g≦50がより好ましい。gが上記上限値より大きいと親水性に乏しくなるため安定性に欠ける。h1~h3は各々、0≦h1~3≦2を満たす整数である。
【0034】
上述した式(12):-Y1OQ2で表される構造は、アルケニル基を末端に有するポリグリセリン化合物を原料として用いて、オルガノポリシロキサンが有するヒドロシリル基と付加反応をさせることで得られる。アルケニル基を末端に有するポリグリセリン化合物は、モノアリルグリシジルエーテル、モノオクテニルグリシジルエーテル、グリシドール、グリシジルメチルエーテルなどのエポキシ化合物と、グリセリン、グリセリンモノアリルエーテル、グリシドールなどの水酸基を有する化合物を、アルカリ触媒存在下で、エポキシの開環反応を行うことで得られる。
【0035】
水酸基とエポキシの開環反応は公知であり、アルカリ触媒の種類としては特に制限はないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシドなどが使用できる。アルカリ触媒の添加量は水酸基を有する化合物を100モル%として0.2~2モル%であり、好ましくは0.2~1モル%である。上記水酸基とエポキシの開環反応生成物は、原料の配合組成により様々な異性体を含むため、通常はそれらの混合物となる。例えば、1モルのグリセリンモノアリルエーテルと1モルのグリシドールとの反応では、理論上下記に示す4種の構造異性体ができる。
【化18】
上記反応において、通常は、上記(A-1)で示される構造を有する化合物の割合が高くなる。上記化合物を原料とする場合、式(12)で表される構造は、上記(A-1)~(A-4)および未反応物であるグリセリンモノアリルエーテル由来の基の混合となる。例えば、上記(A-1)は、上記式(15)及び式(16)を有する構造となり、(A-2)は、上記式(15)及び式(19)を有する構造となり、(A-3)は、上記式(14)及び式(16)を有する構造となり、(A-4)は上記式(14)及び式(19)を有する構造となり、未反応物であるグリセリンモノアリルエーテルは上記式(15)を有する構造となる。
【0036】
より好ましくは、上記(A-1)~(A-4)で表される化合物のアルケニル基と、オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とが付加反応をすることで式(1)のR
2として下式(A-1’)~(A-4’)で表される多価アルコール含有炭化水素基を有するオルガノポリシロキサンが得られる。
【化19】
【0037】
また、式(3):-Y1OQ1Y1-で表される構造は、アルケニル基を両末端に有するポリグリセリン化合物を原料とし、オルガノポリシロキサンのヒドロシリル基と付加反応させることで得られる。アルケニル基を両末端に有するポリグリセリン化合物は、モノアリルグリシジルエーテル、モノオクテニルグリシジルエーテル、グリシドール、グリシジルメチルエーテルなどのエポキシ化合物と、グリセリン、ジグリセリン、グリセリンモノアリルエーテル、グリシドールなどの水酸基を有する化合物を、アルカリ触媒存在下で、エポキシの開環反応させることで得られる。
【0038】
水酸基とエポキシの開環反応は公知であり、アルカリ触媒の種類としては特に制限はないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシドなどが使用できる。アルカリ触媒の添加量は水酸基を有する化合物を100モル%として0.2~2モル%であり、好ましくは0.2~1モル%である。上記水酸基とエポキシとの開環反応生成物は、原料の配合組成により様々な異性体を含むため、通常はそれらの混合物となる。例えば、2モルのモノアリルグリシジルエーテルと1モルのグリセリンとの反応では、理論上、下記に示す14種の構造異性体ができる。
【0039】
【0040】
上記化合物を原料とする場合、式(1)のXにおいて式(3)で表される構造は、上記(B-1)~(B-14)で表される化合物由来の構造および未反応物であるグリセリン由来の構造の混合となる。例えば、(B-1)は式(6)を有する構造となり、(B-2)は式(6)及び式(9)を有する構造となり、(B-3)は式(5)及び式(6)を有する構造となり、(B-4)は式(5)、式(6)及び式(9)を有する構造となり、(B-5)は式(6)、式(7)及び式(8)を有する構造となり、(B-6)は式(5)、式(7)及び式(8)を有する構造となり、(B-7)は式(5)、式(6)及び式(9)を有する構造となり、(B-8)は式(5)及び式(9)を有する構造となり、(B-9)は式(4)、式(6)及び式(7)を有する構造となり、(B-10)は式(4)、式(5)及び式(7)を有する構造となり、(B-11)は式(6)、式(8)及び式(10)を有する構造となり、(B-12)は式(5)、式(8)及び式(10)を有する構造となり、(B-13)は式(4)、式(6)及び式(10)を有する構造となり、(B-14)は式(4)、式(9)及び式(10)を有する構造となる。
【0041】
すなわち、上記(B-1)~(B-14)で表される化合物のアルケニル基とオルガノポリシロキサンのヒドロシリル基とが付加反応をすることで、式(1)において、Xとして下式(B-1’)~(B-14’)を有する構造が得られる。
【化24】
【化25】
【化26】
【0042】
さらには、ビニル基とハイドロジェンポリシロキサンとの反応の点から、上記一般式(20)、(21)、(22)、及び(23)の構造を有する化合物を合成する場合、nは0であることが好ましい。また、上記一般式(20)において、gが500より大きくなると主鎖のハイドロジェンポリシロキサンとの反応性が悪くなる等の問題が起こることがあるため、上記の範囲内であることが好ましい。
【0043】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、上記式(2)で表される基及び上記式(3)で表される基のうち1つ以上を必ず有する。式(2)で表される基はガラス転移点が低いことから有機ケイ素樹脂に柔軟性を付与することができる。式(3)で表される基は式(2)と比較して、水素結合性の官能基を有することからガラス転移点が高く、有機ケイ素樹脂に剛直性を付与することができる。そのため、式(2)で表される基と式(3)で表される基の割合を変えることで、架橋型有機ケイ素樹脂の物性制御が可能である。
【0044】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、重量平均分子量が3,000~1,000,000の範囲であることが好ましく、4,000~500,000、さらに好ましくは3,000~500,000、より好ましくは3,000~300,000の範囲であることがよく、最も好ましいのは10,000~100,000の範囲である。または、重量平均分子量が40,000~1,000,000である架橋型有機ケイ素樹脂は、シリコーン油に限らず、シリコーン油以外の油剤を油相に用いた場合においても、油中水型の乳化剤として利用可能であり好ましく、特に好ましくは40,000~200,000の範囲、特に好ましくは45,000~100,000の範囲である。上記範囲内にあることにより、性能及びろ過等の作業性の点でより好ましい。なお、本発明において重量平均分子量は、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる(以下、同様)。
【0045】
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)検出器温度40℃
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度0.3質量%のTHF溶液)
【0046】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、グリフィン法により算出されたHLBが、0.1~15のとき、乳化性を示し、油中水型乳化物又は水中油型乳化物の乳化剤として利用可能である。中でも、油中水型の乳化剤として利用するためには、好ましくは0.1~8.0であり、さらに好ましくは0.1~6.0であり、より好ましくは0.5~4.5であることがよい。グリフィン法は、下記式
HLB値=20×(親水部の分子量の総和/全体の分子量)
で定義される。また、HLB値とは、界面活性剤の水と油剤に対する親和性を表す数値である。
【0047】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂の性状は、25℃で、液状、ガム状、固体状のいずれかである。性状が固体状、乃至はガム状の場合、溶剤による希釈を必要とする。また性状が液状の場合、溶剤による希釈を必要とせず、使用性が簡便である。通常、架橋した場合、分子量が上がるため、ガム状あるいは固体状になる。しかし、オルガノポリシロキサンの変性量を増やすことで、構造全体のガラス転移点が下がり、性状が液状となる。
【0048】
上記平均組成式(1)において、Xの1つ以上が一般式(2)で表される基であり、上記平均組成式(1)のa4が、0<a4≦10であり、上記一般式(2)のe1、e2、及びe3が、0<e1+e2+e3≦40を満たし、グリフィン法により算出されたHLBが0.1~6.0であり、25℃で性状が液状,ガム状乃至固体状である架橋型有機ケイ素樹脂は、油中水型の乳化剤として利用可能である。特に性状がガム状乃至固体状の場合、溶剤が揮発したときに皮膜を形成することから、皮膜形成剤としての利用も可能である。
【0049】
好ましくは、上記平均組成式(1)において、Xの1つ以上が一般式(2)で表される基であり、上記平均組成式(1)のa4が、0<a4≦10であり、上記一般式(2)のe1、e2、及びe3が、8<e1+e2+e3≦40を満たし、グリフィン法により算出されたHLBが0.1~6.0であり、25℃で性状が液状もしくはガム状である架橋型有機ケイ素樹脂は、油中水型の乳化剤として好適に利用可能である。また、シリコーン油への溶解性に特に優れることから、油剤としてシリコーンを用いた場合でも、安定性の高い乳化物を得ることができる。a4が10より大きい場合、分子量が高くなるため性能及びろ過等の作業性の点で好ましくない恐れがある。e1+e2+e3が40より大きいと、親水性が高くなりすぎるため、乳化安定性に欠ける恐れがある。e1+e2+e3が8より小さいと、親水性に乏しくなるため、乳化性が弱くなり安定性に欠ける恐れがある。性状がガム状の場合、皮膜形成性を有することから、皮膜形成剤かつ乳化剤として利用できる。また、性状が液状の場合、皮膜形成性はないことから、皮膜形成剤としてではなく、乳化剤としてのみ利用することができる。
【0050】
特には、Xの1つ以上が一般式(2)で表される基であり、上記平均組成式(1)のa3及びa4が、1≦a3≦100、0<a4≦3.5であり、上記一般式(2)のeが、8<e1+e2+e3≦40を満たし、グリフィン法により算出されたHLBが0.1~6.0であり、25℃で性状が液状である架橋型有機ケイ素樹脂は、油中水型の乳化剤として利用可能である。a4が3.5より大きい場合、性状がガム状乃至は固体状になる可能性が高い。a3が1より小さい場合、オルガノポリシロキサンの変性量が少ないため、ガラス転移点が下がらず、性状がガム状乃至は固体状である可能性が高い。a3が100より大きい場合、親水性に乏しくなるため、乳化性が弱くなり安定性に欠ける。上記範囲内であれば、架橋型有機ケイ素樹脂の性状は液状となるため、溶剤に溶解させる必要がなく、そのままの形態で使用でき、使用性が容易である。
【0051】
特には、上記平均組成式(1)におけるR1が炭素数1~12の、脂肪族不飽和結合を有しないアルキル基であり、重量平均分子量が40,000~1,000,000である架橋型有機ケイ素樹脂は、シリコーン油に限らず、シリコーン油以外の油剤を油相に用いた場合においても、油中水型の乳化剤として利用可能である。R1の炭素数が12を超える場合、シリコーン油への溶解性が悪くなることから好ましくない。重量平均分子量が40,000を下回る場合、シリコーン油以外の油剤を油相に用いたときに経時での安定性が悪くなるため好ましくない。重量平均分子量が1,000,000を超える場合、ゲルになる可能性が高くなるため好ましくない。
【0052】
[製造方法]
架橋型有機ケイ素樹脂は、当技術分野で既知として知られる様々な処方によって合成可能である。例えば、有機ケイ素樹脂の表面シラノール基に対して、両末端にヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン含有基あるいは水酸基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基を反応させることで架橋が可能である。しかし、有機ケイ素樹脂表面のシラノール基量の完全な制御が困難であることから、架橋するポリオキシアルキレン含有基あるいは水酸基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基の量を精度よく制御するのが難しいという問題点がある。また、不飽和基を有する有機ケイ素樹脂と両末端にヒドロシリル基を有するポリオキシアルキレン含有基あるいは水酸基を2つ以上有する多価アルコール含有炭化水素基の付加反応により合成が可能である。しかし、ヒドロシリル基が導入されたポリオキシアルキレン含有基や多価アルコール含有炭化水素基はワンポットでの合成が困難である。また、架橋型有機ケイ素樹脂に他の官能基を導入する際に導入可能な官能基の種類が限定されるため、好ましくない。
そのため、ヒドロシリル基を有する有機ケイ素樹脂と両末端に不飽和基を有するポリオキシアルキレン含有基や多価アルコール含有炭化水素基の付加反応による合成法が好ましい。
【0053】
本願発明は上記架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法であって、下記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂と、下記一般式(24)、(25)、(27)、(28)、(29)、(30)、(31)又は(32)で表される末端アルケニル基含有化合物の1種以上(但し、下記式(24)で表される基を少なくとも1種含む)とをヒドロシリル化反応させることにより、上記平均組成式(1)で表される架橋型有機ケイ素樹脂を得る工程を含む、前記製造方法を提供する
【化27】
(式中、R
1、a1、a2、a3、a4、b、c、及びdは、上記の通りであり、1≦q≦3である)
【化28】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を含有してもよく、e1、e2及びe3は上述した通りである)
【化29】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を含有してもよく、Q
1は上述した通りである)
【化30】
(式中、Y
2は末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を含有してもよく、R
4、e4、e5及びe6は上述した通りである)
【化31】
(式中、Y
2は上記の通りである。Q
2は上述した通りである)
【化32】
(式中、R
1、n、g、h1、h2、及びh3は上述した通りである)。
【0054】
上記Y2は、末端にアルケニル基を有する炭素数3~20の炭化水素基であり、エーテル結合及びエステル結合のいずれかもしくは両方を含有してもよい。例えば、CH2=CH-、CH2=CH-CH2-、CH2=CH-(CH2)2-、CH=C(CH3)CH2-、CH2=CH-(CH2)6-、CH2=CH-(CH2)9-、CH2=CH-CH2-O-(CH2)2-、CH2=CH-O-(CH2)3-が例示され、好ましくはCH2=CH-、CH2=CH-CH2-、CH2=CH-(CH2)2-、である。
【0055】
上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂は、Q単位(SiO4/2)、M単位((R1
3SiO1/2)及び(HnR1
3-nSiO1/2))を必須成分とし、D単位(R1
2SiO2/2),T単位(R1SiO3/2)を任意成分とする構成成分からなる。25℃で固形状であっても、液状であってもよいが、皮膜形成性を付与する場合固体状が好ましい。例えば、MQレジン、MTQレジン、MDQレジン、MDTQレジンが挙げられる。その重量平均分子量は、1,000~30,000の範囲が好ましく、1,000~20,000の範囲が性能及びろ過等の作業性の点でより好ましい。
【0056】
上記ヒドロシリル化反応による架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法について、以下により詳細に説明する。
上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂と、上記一般式(24)、(25)、(27)、(28)、(29)、(30)、(31)又は(32)で表される末端不飽和基含有化合物とのヒドロシリル化反応工程において、ヒドロシリル基/末端不飽和基のモル比は0.5~2.0が好ましく、0.8~1.2がより好ましい。
【0057】
該ヒドロシリル化反応は、白金触媒又はロジウム触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸-ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、触媒の使用量は過剰に含むと反応物が着色することから、白金又はロジウム量で50ppm以下であることが好ましく、特に20ppm以下であることが好ましい。
【0058】
さらに、上記付加反応は、必要に応じて有機溶媒の存在下で行ってもよい。有機溶媒としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール等の1価脂肪族アルコール、エチレングリコール、1、2-プロピレングリコール等の2価脂肪族アルコールが挙げられる。特に反応性の観点からエタノール、1-プロパノール、2-プロパノールが好ましい。
【0059】
用いる溶媒の使用量は、反応液(系)全体の1~80質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。上記範囲内にすると、反応系中が均一に保持され、反応が効率よく進行する。
【0060】
付加反応条件は特に限定されるものではないが、還流下において温度50~150℃、より好ましくは80~120℃で1~10時間程度加熱することが好ましい。
【0061】
付加反応後、用いたロジウム触媒又は白金触媒を活性炭により除去する工程を含むことも可能である。活性炭の使用量は、系全体の0.001~5.0質量%、特に0.01~1.0質量%とすることが好ましい。上記範囲内にすると、反応物への着色をより抑制可能である。
【0062】
付加反応後の架橋型有機ケイ素樹脂中には、未反応のヒドロシリル基が存在してもよい。また付加反応時に用いた有機溶媒が脂肪族アルコールの場合、アルコール交換反応や脱水素反応が進行するため、アルコキシ基が残存してもよい。
【0063】
付加反応後、必要に応じて残存するヒドロシリル基をヒドロキシシリル基に置換する工程を含むことが可能である。特に化粧料等の用途で利用する場合、経時でヒドロシリル基が脱水素反応により失活し、水素ガスが発生する可能性があり、安全性という観点で問題なため、ヒドロシリル基をヒドロキシシリル基に置換する工程を含むことが好ましい。
【0064】
ヒドロシリル基をヒドロキシシリル基に置換する工程としては、アルカリ金属炭酸塩,アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物等の塩基性触媒を添加して未反応のヒドロシリル基を加水分解した後、塩基触媒のモル当量と等量の酸性触媒を添加して中和するという処方が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、強塩基触媒の例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、弱塩基触媒の例として、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。脱水素反応を促すという点で、特に強塩基触媒を用いることが好ましく、具体的には水酸化ナトリウムが好ましい。酸性触媒の具体例として、塩酸、硫酸、亜硫酸、発煙硫酸、燐酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、クエン酸、シュウ酸、等のカルボン酸類が挙げられる。また一般には、酸や塩基を単独で使用するより、水と併用して、水の沸点以下の温度で加熱することが好ましい。当該工程により、ヒドロシリル基(SiH基)はヒドロキシシリル基(SiOH基)に置換される。
【0065】
付加反応後、必要に応じて臭いを低減する脱臭処理工程を含むことが可能である。特に化粧料等の用途で利用する場合、経時によって着臭することから脱臭処理工程を含むことが好ましい。一般的なポリエーテル変性シリコーンの着臭機構は、次のように説明される。アリルエーテル化ポリエーテルとハイドロジェンポリオルガノシロキサンと白金触媒存在下で付加反応を行う際、副反応としてアリル基が内部転移することでプロぺニルエーテル化ポリエーテルを生ずる。このプロぺニルエーテル化ポリエーテルはハイドロジェンポリオルガノシロキサンに対する付加反応性はないことから不純物として系中に残存することになる。このプロぺニルエーテル化ポリエーテルに対して水が作用すると、プロぺニルエーテルが加水分解されることで、悪臭の原因であるプロピオンアルデヒドが発生すると考えられる。また上記の加水分解反応は酸触媒の存在化でより促進されることが知られており、水系の化粧料にポリエーテル変性シリコーンを用いた場合、ポリエーテルの酸化劣化により、経時で液性が酸性に傾くことから、上記に挙げた加水分解反応が促進し、着臭の原因となる。
【0066】
脱臭処理工程の代表例として、2通りの処方が挙げられる。1つ目の処方は、付加反応後の溶液に対して酸性触媒を添加することで、系中に残存するプロぺニルエーテルをすべて加水分解し、生成したプロピオンアルデヒドをストリップ精製により除去するという処方である(特許第2137062号公報)。
【0067】
1つ目の処方に用いる酸性触媒の具体例として、塩酸、硫酸、亜硫酸、発煙硫酸、燐酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸等のカルボン酸類が挙げられる。これらの酸は、水との併用系で使用されるが、使用した酸を除去する必要があるときは、塩酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のような沸点が低いものを使用することが好ましい。また、処理効率の観点から強酸である塩酸やトリフルオロ酢酸等を用いることが好ましいが、溶剤として環状オルガノポリシロキサンを用いる場合は強酸下では開環する恐れがあるため、クエン酸や酢酸などの弱酸を用いることが好ましい。
【0068】
処理温度は、親水性基が酸化することを防ぐために80℃以下とすることが好ましい。酸性水溶液の添加量は有機基変性有機ケイ素樹脂に対して0.1~100質量%とすることが好ましく、5~30質量%使用することがより好ましい。
【0069】
生産性の観点からは、反応後の溶液にpH7以下になるように水溶液を添加し、加熱攪拌後にストリップ精製する方法が好ましい。上記のストリップ精製は常温下で行っても減圧下で行ってもよいが、温度条件は120℃以下とすることが好ましく、この温度条件で効率よくストリップ精製するためには、減圧で行う、もしくは常圧の場合には窒素やアルゴン等のような不活性ガスの通気下で行うことが好ましい。
【0070】
2つ目の処方は、付加反応後の溶液に対して、水素を添加することで不飽和二重結合をアルキル化し(いわゆる水素添加反応)、プロピオンアルデヒドの経時での発生を安定に制御するという処方である(米国特許第5225509号明細書,特開平7-330907号公報)。
【0071】
水素添加反応は、水素による方法と金属水素化物による方法とがあり、さらに均一反応と不均一反応が挙げられる。これらは単独で行うことも出来るが、それらを組み合わせることも可能である。しかし、使用した触媒が製品に残存しないという利点を考慮すると、固体触媒を用いた不均一接触水素添加反応が最も好ましい。
【0072】
固体触媒としては、例えば、ニッケル・パラジウム・白金・ロジウム・コバルト・クロム・銅・鉄等の単体又は化合物がある。この場合、触媒担体はなくても良いが、用いる場合には、活性炭・シリカ・シリカアルミナ・アルミナ・ゼオライト等が用いられる。これらの触媒は単独で用いることもできるが、それらを組み合わせて用いることも可能である。最も好ましい触媒は、経済的に優位であるラネーニッケルである。ラネーニッケルは通常アルカリにて展開して用いるので、特に、反応溶液のpHを注意深く測定する必要がある。また、反応系内が弱アルカリ性になるので、特に酸性水溶液による加水分解反応が脱臭に対して有効となる。
【0073】
水素添加反応は、一般的に1~100MPa、50~200℃で行うことが好ましい。水素添加反応は回文式でも連続式でもよい。回文式の場合、反応時間は触媒量及び温度等依存するが、概ね3~12時間である。水素圧は適宜一定圧力に調製することが出来るが、水素添加反応の終点は水素圧が変化しなくなった点であるため、圧力ゲージを注意深く観測することによって判断できる。
【0074】
このような酸処理や水素添加反応による処理により精製された架橋型有機ケイ素樹脂に含まれるアルデヒド量は、70ppm以下、20ppm以下、さらに10ppm以下とすることができる。
【0075】
さらに上記に挙げた2種類の脱臭処理工程を組み合わせることも可能である。酸処理による処方は、アルデヒド化合物の分解除去は可能だが、不飽和二重結合を完全に除去することは限界があるため、それに起因する臭気の原因であるアルデヒドの発生を完全に抑制することはできない。また、水素添加反応による処方は、不飽和二重結合をなくすことで、それに起因して発生するアルデヒド化合物量の減少が可能だが、アルデヒドの一部が縮合して生成するアルデヒド縮合物は上記処理を施しても系内に残留し、ストリップ精製による除去も難しい。そのため、付加反応後の溶液に水素添加反応を施して残存する不飽和二重結合をアルキル化した後に、酸触媒を添加することで系中のアルデヒド縮合物を分解することで、完全な無臭化が可能である(国際公開第2002/05588号)。
【0076】
[原料のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造方法]
上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂は、25℃で性状が固体状であっても、液状であってもよいが、化粧料の油剤との相溶性や使用感の点で液状が好ましい。油剤の選択制の点から希釈しない方が好ましい。また、加水分解時の還流温度よりも高い沸点を有する溶剤の使用が好ましい。
【0077】
希釈に用いる油剤の例としては、例えばジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF-96L-1cs、KF-96L-1.5cs、KF-96L-2cs等)、オクタメチルテトラシロキサン(D4)、デカメチルペンタシロキサン(D5)(信越化学工業(株)製:KF-995)、ドデカメチルヘキサシロキサン(D6)、トリストリメチルシロキシメチルシラン(信越化学工業(株)製:TMF-1.5)、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF-54、KF-54HV)、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(信越化学工業(株)製:KF-56A)、メチルヘキシルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン、などに代表されるシリコーンオイル;トルエン、キシレン、などに代表される芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などに代表される脂肪族ケトン;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、イソオクタン、イソドデカン、イソヘキサデカン、などに代表される脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、などに代表される1価脂肪族アルコールエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、などに代表される2価脂肪族アルコール、が挙げられる。特に安全性、保存安定性の観点から、ジメチルポリシロキサン、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、ドデカメチルヘキサシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、フェニルトリメチコンなどのポリシロキサン、イソオクタン、イソドデカン、イソヘキサデカンなどの分岐状脂肪族炭化水素が好ましい。
【0078】
上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造は公知の方法に従えばよい。例えば、特開2017-75283号公報に記載の方法に従い製造することができる。
より詳細には、下記一般式(33)及び下記一般式(34)で表される有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、下記一般式(35)及び(36)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、下記一般式(37)で表される加水分解性シラン、該加水分解性シランの部分加水分解縮合物及び前記加水分解性シランの金属塩から選ばれる1種又は2種以上との混合物を、酸触媒下で加水分解後、前記酸触媒のモル当量より多い塩基触媒を添加することで中和し、その後塩基触媒存在下で縮合することにより得られる。
【化33】
(式中、R
1は上記の通りであり、X
1は互いに独立に、加水分解性を有する官能基であり、1≦q≦3である)。
【0079】
一般式(34)、(36)、及び(37)において、X1は、互いに独立に、ケイ素原子に直接結合した加水分解性を有する官能基であり、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アルケノキシ基;アシロキシ基;アミド基;オキシム基等が挙げられる。その中でも、入手の容易さ、加水分解速度の観点から特にメトキシ基、エトキシ基及び塩素原子が好ましい。
【0080】
上記一般式(33)で表される有機ケイ素化合物の例としては、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフェニルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン、1,1,1,3,3,3-ヘキサエチルジシロキサン、1,1,1,3,3,3-ヘキサビニルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタビニルメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-n-オクチルペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-クロロメチルペンタメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジアリルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,1,3,3-テトラビニルジシロキサン等が挙げられる。特に1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフェニルジシロキサン等が好ましい。
【0081】
上記一般式(34)で表される有機ケイ素化合物の例としては、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン、トリビニルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。特にトリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン等が好ましい。
【0082】
上記一般式(35)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物の例としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチルジシロキサン等が挙げられる。特に1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンが好ましい。尚、一般式(35)、(36)中、qは1≦q≦3であるが、一般式(35)中においては、1つのケイ素原子に結合する水素原子、R1に係るqは、もう片方のケイ素原子に結合する水素原子、R1に係るqと、同一でも異なっていてもよい。
【0083】
上記一般式(36)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物の例としては、ジメチルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。特にジメチルクロロシラン、ジメチルメトキシシランが好ましい。
【0084】
上記一般式(37)で表される加水分解性シランの例としては、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。また、該加水分解性シランの部分加水分解縮合物としては、テトラメトキシシラン縮合物、テトラエトキシシラン縮合物等が挙げられる。また、該加水分解性シランの金属塩としては、水ガラス、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。特にテトラエトキシシラン、テトラエトキシシラン縮合物が好ましい。
【0085】
また、上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造工程において、上記一般式(33)、(34)、(35)、(36)、及び(37)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物を酸触媒下で加水分解前、又は該加水分解後であり後述する再度の加水分解前に、下記一般式(38)又は(39)で示される有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物をさらに添加することもできる。
R1SiX1
3 (38)
R1
2SiX1
2 (39)
(式中、R1、X1は上記の通りである)
【0086】
一般式(38)及び(39)において、X1は、互いに独立に、ケイ素原子に直接結合した加水分解性を有する官能基であり、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アルケノキシ基;アシロキシ基;アミド基;オキシム基等が挙げられる。その中でも、入手の容易さ、加水分解速度の観点から特にメトキシ基、エトキシ基及び塩素原子が好ましい。
【0087】
一般式(38)で表されるケイ素化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、ブロモプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。特に、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシランが好ましい。
【0088】
一般式(39)で表されるケイ素化合物の例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジペンチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、ジクロロプロピルジエトキシシラン、ジブロモプロピルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフルオロプロピルジメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。特に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシランが好ましい。
【0089】
上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造方法として、さらに詳細な一例を以下に記載する。
溶剤(特には、有機溶剤)及び加水分解原料(即ち、上記一般式(33)及び(34)で表される有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、上記一般式(35)及び(36)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、上記一般式(37)で表される加水分解性シラン、該加水分解性シランの部分加水分解縮合物及び前記加水分解性シランの金属塩から選ばれる1種又は2種以上との混合物)を反応器に仕込み、触媒である酸を添加し、撹拌しつつ水を滴下する。この場合、有機溶剤は水の滴下終了後に加えるようにしてもよい。なお、加水分解は酸性条件で行うことが好ましいことから、酸触媒の添加が必須である。
【0090】
水を滴下するときの温度は0~80℃、特に0~50℃が好ましく、上記温度範囲内に収めることにより、系中の加水分解原料の加水分解反応に由来する反応熱を抑制できる。滴下する水の量は、加水分解性を有する官能基(アルコキシ基等)に対してモル比で0.6~2、好ましくは1.0~1.8の範囲である。上記範囲内に収めることにより、さらにヒドロシリル基の失活を抑制することが可能となる。
【0091】
加水分解反応に用いる溶媒としては、加水分解反応中の均一な反応系の保持・粘性増加による反応速度の低下の抑制のために、有機溶剤の使用が好ましい。また、加水分解時の還流温度よりも高い沸点を有する溶剤の使用が望ましい。
【0092】
有機溶剤の例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。
【0093】
また、場合により炭素数1~10、好ましくは炭素数1から4のアルコール溶媒を併用することもできる。例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール等が挙げられる。アルコール溶媒は、アルコキシ基のような加水分解基とアルコール交換反応をするため、長鎖アルコール溶媒の利用は加水分解反応の律速に繋がる。そのため、特にメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールが好ましい。
【0094】
用いる溶媒の使用量は、反応液(系)全体の1~80質量%、特に5~50質量%とすることが好ましい。上記範囲内にすると、反応系中が均一に保持され、反応が効率よく進行する。
【0095】
酸触媒の例としては、塩酸、硫酸、亜硫酸、発煙硫酸、燐酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、クエン酸、シュウ酸等のカルボン酸類が挙げられる。酸触媒の使用量は少量でよく、反応液(系)全体の0.001~10質量%の範囲であることが好ましい。
【0096】
上記のように水を滴下した後は、例えば温度50~150℃、より好ましくは80~120℃で2~8時間程度加熱して、加水分解反応を行う。この際、使用するヒドロシリル基含有有機化合物の沸点未満で行うことで、ヒドロシリル基の失活をさらに抑制することができる。
【0097】
このようにして、上記加水分解原料を酸触媒下で加水分解を行った後は、10~100℃、好ましくは10~60℃、より好ましくは10~30℃で、さらに好ましくは25℃まで冷却する。
【0098】
上記の加水分解後は、10~40℃でアルカリ金属炭酸塩,アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物等の塩基触媒により中和する。このとき、強塩基触媒と弱塩基触媒を併用すると、ヒドロシリル基の失活抑制及び、有機ケイ素樹脂の縮合反応がさらに促進される。この強塩基触媒の例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。また、弱塩基触媒の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。特に強塩基触媒と弱塩基触媒の組み合わせとして、高分子量化のしやすさから水酸化ナトリウムと炭酸カルシウムの組み合わせが望ましく、この組み合わせだと、分子量が十分に増加し、より確実に高分子量のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂を得ることが可能となる。
【0099】
塩基触媒の使用量は、酸触媒のモル当量よりも多い量が必要であり、酸触媒の当量より多い塩基触媒で中和することで、有機ケイ素樹脂の縮合反応が優先し、その結果として分子量が上がり、高分子量であるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂を得ることができる。塩基触媒の使用量が、酸触媒の1.1~3.0モル当量の範囲であることが好ましい。系内のpHは7~12が好ましく、7~9がより好ましい。添加量を上記範囲内にすることで、ヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の縮合反応が優先し、その結果として目的の分子量の樹脂を得ることができる。
【0100】
中和後、生成したアルコール類、溶媒と過剰の水を常圧又は減圧下、95~120℃で加熱して除去してもよい。そして、生成したアルコール類、溶媒と過剰の水の除去を確認後、例えば、120~150℃で2~5時間程度加熱することにより、縮合反応を行う。これより、ヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂が得られる。
【0101】
また、上記に示すヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造方法においては、上記一般式(33)、(34)、(35)及び(36)の化合物の総物質量と一般式(37)の化合物のSiO4/2単位の物質量との使用割合は、モル比(((33)、(34)、(35)及び(36)の合計モル数):(37)のモル数)として0.3:1~2:1が好ましく、0.6:1~1.3:1がより好ましい。さらに、式(33),(34)の化合物の総物質量と式(35),(36)の化合物の総物質量の使用割合は、モル比(((33)+(34)):((35)+(36)))として0.3:1.0~2.0:1.0が好ましく、0.6:1.0~1.3:1.0がより好ましい。上記範囲内とすることで、ヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂中に含まれるヒドロシリル基量を、より正確に定量的に変化させることができる。このように、本発明は、一般式(35)及び式(36)で表される化合物の仕込み量を変えることで、有機ケイ素樹脂中に含まれるヒドロシリル基量を定量的に変化させることができる。
【0102】
ヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造方法において、下記反応式に示すように、一部のヒドロシリル基が失活する反応が起こる可能性がある。
SiO1/2Hp1R3-p1(M単位)+ ~Si-OH
→~Si-O-SiO1/2Hp1-1R3-p1(D単位)(p≧1)
→~(Si-O)2-SiO1/2Hp1-2R3-p1(T単位)(p≧2)
→~(Si-O)3-SiO1/2R3(Q単位)(p=3)
(式中、Rは炭素数1~10の1価炭化水素基、p1は1~3の整数である)
【0103】
そこで、上記に示すヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂の製造方法において、上記一般式(26)及び(27)で表される有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上と、上記一般式(28)で表される加水分解性シラン、該加水分解性シランの部分加水分解縮合物及び前記加水分解性シランの金属塩から選ばれる1種又は2種以上との混合物を、酸触媒下で加水分解を行った後に、上記一般式(28)及び(29)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加して、再度加水分解を行うことにより、上記ヒドロシリル基の失活を抑制することができる。
【0104】
一般式(28)及び(29)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物は好ましくは滴下により添加、より好ましくは滴下速度5mL/min~100mL/min、さらに好ましくは滴下速度10mL/min~50mL/minである。
【0105】
また、該再度の加水分解反応は、反応に付するヒドロシリル基含有有機化合物の沸点未満、例えば、温度40~150℃、より好ましくは40~120℃で2~8時間程度加熱して行うことが好ましい。上記温度範囲内で反応を行うことにより、ヒドロシリル基の失活をさらに抑制することができる。また、原料の添加量、触媒の種類を工夫することにより、ヒドロシリル基の失活をさらに抑えることができる。
【0106】
上記平均組成式(26)で表されるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂は、ヒドロシリル基含有有機ケイ素化合物の仕込み量を変えることで、有機ケイ素樹脂中に含有されたヒドロシリル基量が容易に調整可能であり、多量な導入も可能となる。さらに、加水分解原料の配合量、酸触媒の種類、添加量、反応温度、反応時間、溶媒の添加量、添加方法を変化させることにより、有機ケイ素樹脂の分子量分布や形状等を調整することができ、使用用途に応じたヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂を製造することができる。
【0107】
[架橋型有機ケイ素樹脂の物性]
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、重量平均分子量が3,000~1,000,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3,000~500,000、より好ましくは3,000~300,000の範囲であることがよく、最も好ましいのは10,000~100,000の範囲である。上記範囲内にあることにより、性能及びろ過等の作業性の点でより好ましい。
【0108】
架橋型有機ケイ素樹脂は、25℃で固体状であっても、ガム状であっても、液状であってもよい。皮膜形成性を付与する場合、固体状乃至はガム状が好ましく、特に固体状が好ましい。また使用性を考慮すると、性状は液状が好ましい。特に好ましくは、上記平均組成式(1)において、a3が1≦a3≦100、a4が0<a4≦3.5を満たす数であり、上記一般式(2)のe1、e2が8<e1+e2≦20を満たす数である架橋型有機ケイ素樹脂である。当該有機ケイ素樹脂は、25℃で液状であり、重量平均分子量が3,000~100,0000の範囲であることが好ましく、特には重量平均分子量が3,000~500,000の範囲であることが性能及びろ過等の作業性の点でより好ましい。
【0109】
上記式(1)において、式(2)又は(3)で示される基を1つ以上有する、25℃で固体状またはガム状の架橋型有機ケイ素樹脂は、皮膜形成剤としてより好適に使用できる。架橋前の有機ケイ素樹脂が脆性のある強固な皮膜を形成した場合、架橋後の性状が固体状である架橋型有機ケイ素樹脂はべたつきがなく強固な皮膜を形成する。特願2018-131538では、オルガノポリシロキサンで有機ケイ素樹脂を架橋することで、強固かつ屈曲性に優れる皮膜を形成している。
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂の架橋部位(X)は、上記式(2)のポリオキシエチレン、または式(3)のポリグリセリンである。オルガノポリシロキサンと比較してガラス転移点が高いため、屈曲性は低く柔軟な皮膜にはなりにくい。特に式(3)のポリグリセリンで架橋した場合、水素結合点を有することから、剛直な皮膜を形成する。架橋後の性状がガム状である架橋型有機ケイ素樹脂は、柔軟な皮膜を形成する。これは特定量のオルガノポリシロキサンを変性することで、樹脂の融点が下がり柔軟性が付与されるためである。
【0110】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂が皮膜性を発現するためには25℃での性状が固体であることが好ましい。皮膜を形成するかどうかの判断はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の樹脂板上に、イソドデカン又はデカメチルシクロペンタシロキサンで60質量%に希釈された上記有機ケイ素樹脂の溶解品を1.5g滴下し、105℃で3時間乾燥させ、自立膜を形成したかどうかで判定ができる。皮膜を形成しない場合、皮膜のヒビ割れ等から油が浸みだして耐油性が著しく低下し、皮膚との追随性が低いため、化粧料に配合した際に不自然な仕上がりとなってしまう。
【0111】
皮膜形成剤として化粧料に配合することで、塗布時べたつくことがなく、使用感触に優れ、耐水性・耐油性が良好で、皮膚への密着性が良いことから化粧持ち(持続性)に優れる化粧料が得られる。
【0112】
架橋型有機ケイ素樹脂を油中水型の乳化剤として用いた場合、従来の架橋型シリコーン活性剤のような界面活性剤を用いた場合と比較して、界面の安定化力が高いため、乳化物を肌に塗布した際にエマルジョンが壊れにくく、油相の使用感を感じやすくリッチ感のある使用感となる。通常、粒径が大きいエマルジョンは合一しやすく、不安定であることが知られているが、上記で得られた乳化物は比較的安定に存在することが可能である。さらに肌に塗布した際にリッチ感が得られるが、活性剤特有のべたつきも低減されて軽い感触を得ることができる。特に、日焼け止め化粧料の場合は白化する現象や、メイクアップ化粧料の場合は色むらを低減することが可能である。
【0113】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は、下記に示すような油剤や活性剤とあらかじめ混合して油相成分に配合しやすいように中間体組成物としてもよい。また、油性ゲル化剤のアクティベーターや粉体の分散剤として用いて、あらかじめそれらの中間体組成物としてもよい。
【0114】
[化粧料]
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂(A)は、各種用途に使用することができるが、特に皮膚や毛髪に外用されるすべての化粧料の原料として適用可能である。この場合、上記架橋型有機ケイ素樹脂(A)の配合量は、化粧料全体の0.1~20質量%の範囲が好ましく、0.1~10質量%の範囲が更に好ましい。0.1質量%未満であると十分な乳化性能が得られず、20質量%より多いと使用感が悪くなる場合がある。
【0115】
[その他の成分]
本発明の化粧料には、その他の成分として、通常の化粧料に使用される種々の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、(B)水性成分(C)油剤、(D)粉体、(E)界面活性剤、(F)架橋型オルガノポリシロキサン、(G)皮膜剤、(I)その他の添加剤を含んでよい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの成分は、化粧料の種類等に応じて適宜選択使用され、またその配合量も化粧料の種類等に応じた公知の配合量とすることができる。
【0116】
(B)水性成分
水性成分は、通常化粧料に配合できる水性成分であれば、特に限定されない。具体的には、水、エタノール(INCI:Alcohol)等の低級アルコール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール(INCI)等の糖アルコール、BG(INCI:Butylene Glycol)、グリセリン、PG(INCI:Propylene Glycol)、DPG(INCI:Dipropylene Glycol)、ペンチレングリコール(INCI)等の多価アルコール等の保湿剤等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この成分を配合する場合の配合量は、化粧料中0.1~90質量%が好ましい。
【0117】
(C)油剤
本発明の化粧料には、油剤を配合してもよい。油剤は、揮発性でも不揮発性でも良く、室温(25℃)で固体、半固体、液状、いずれであってもよく、例えば、シリコーンオイル、天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、高級アルコール、脂肪酸、エステル油、フッ素系油剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。油剤を配合する場合、油剤の配合量は、特に限定されないが、化粧料全体の1~95質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましい。
【0118】
・シリコーンオイル
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF-96L-1cs、KF-96L-1.5cs、KF-96L-2cs等)、シクロテトラシロキサン((INCI),シクロペンタシロキサン(INCI)(信越化学工業(株)製:KF-995)、シクロヘキサシロキサン(INCI)、メチルトリメチコン(INCI)(信越化学工業(株)製:TMF-1.5)、カプリリルメチコン(INCI)、フェニルトリメチコン(INCI)、ジフェニルジメチコン(INCI)(信越化学工業(株)製:KF-54、KF-54HV)、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(INCI)(信越化学工業(株)製:KF-56A)、メチルヘキシルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ピロリドン変性オルガノポリシロキサン、ピロリドンカルボン酸変性オルガノポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチコン(INCI)、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及びシリコーンガムやゴムの環状オルガノポリシロキサン溶液、アミノ酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、シリコーン樹脂及びシリコーンレジンの溶解物等が挙げられる。
【0119】
・固体状の油性成分
本発明において、化粧料を固化させたい場合には、25℃で固体状の油性成分を配合することが好ましい。25℃で固体状の油性成分としては、好ましくは40℃以上、より好ましくは60~110℃の融点を有するもので、ワックス、炭化水素、エステル、高級アルコール、高級脂肪酸を挙げることができ、通常化粧料に配合できる原料であれば、特に限定されない。具体的には、カルナウバロウ(INCI:Copernicia Cerifera (Carnauba) Wax)、サトウキビロウ、キャンデリラロウ(INCI:Euphorbia Cerifera (Candelilla) Wax)、精製キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ、ホホバワックス、カポックロウ、コメヌカロウ、シロヤマモモ果実ロウ、シアバター、カカオ脂、モクロウ(INCI:Rhus Succedanea Fruit Wax)、モンタンロウ(INCI:Montan Wax)、イソステアリン酸水添ヒマシ油等の植物性ワックス、ミツロウ、牛脂、牛骨脂、豚脂(INCI:Lard)、馬脂(INCI:Horse Fat)、羊脂、ラノリン(INCI:Lanolin)、チュウハクロウ、セラックロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス、ラノリンエステル、ラノリン脂肪酸エステル、ミツロウ酸エステルなどの半合成ワックス、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油等の硬化油、固体パラフィン、ポリエチレン、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系ワックス、合成ミツロウなどのワックスエステル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル等のアミノ酸ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール等の高級アルコール、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸、及び、アクリル-シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂等のシリコーンワックス(信越化学工業(株)製:アクリル-シリコーングラフト共重合体:KP-561P,562P等)、あるいは、これらの誘導体が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0120】
・天然動植物油脂類及び半合成油脂
天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、アボガド油(表示名称(INCI:Persea Gratissima (Avocado) Oil))、アマニ油(表示名称(INCI:Linum Usitatissimum (Linseed) Seed Oil))、アーモンド油(表示名称(INCI:Prunus Amygdalus Dulcis (Sweet Almond) Oil))、エゴマ油、オリーブ油(表示名称(INCI:Olea Europaea (Olive) Fruit Oil))、アメリカガヤ油(表示名称(INCI:Torreya Californica (California Nutmeg) Oil))、コウスイガヤ油(表示名称(INCI:Cymbopogon Nardus (Citronella) Oil))、キョウニン油(表示名称(INCI:Kyounin Yu))、コムギ胚芽油(表示名称(INCI:Triticum Vulgare (Wheat) Germ Oil))、ゴマ油(表示名称(INCI:Sesamum Indicum (Sesame) Seed Oil))、コムギ胚芽油(表示名称(INCI:Triticum Vulgare (Wheat) Germ Oil))、コメ胚芽油(表示名称(INCI:Oryza Sativa (Rice) Germ Oil))、コメヌカ油(表示名称(INCI:Oryza Sativa (Rice) Bran Oil))、サザンカ油(表示名称(INCI:Camellia Kissi Seed Oil))、サフラワー油(表示名称(INCI:Carthamus Tinctorius (Safflower) Seed Oil))、シナギリ油、シナモン油、スクワラン、スクワレン、大豆油、茶実油、ツバキ油(表示名称(INCI:Camellia Japonica Seed Oil))、月見草油(表示名称(INCI:Oenothera Biennis (Evening Primrose) Oil))、トウモロコシ油(INCI:Zea Mays (Corn) Oil)、ナタネ油(表示名称(INCI:RAPE SHUSHI YU))、日本キリ油、トウモロコシ胚芽油(表示名称(INCI:Zea Mays (Corn) Germ Oil))、コムギ胚芽油(表示名称(INCI:Triticum Vulgare (Wheat) Germ Oil))、パーシック油(表示名称(INCI:))、パーム油(表示名称(INCI:Elaeis Guineensis (Palm) Oil))、パーム核油(表示名称(INCI:Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil))、ヒマシ油(表示名称(INCI:Ricinus Communis (Castor) Seed Oil))、ヒマワリ油(表示名称(INCI:Helianthus Annuus (Sunflower) Seed Oil))、ブドウ種子油(表示名称(INCI:Vitis Vinifera (Grape) Seed Oil))、ホホバ油(表示名称(INCI:Simmondsia Chinensis (Jojoba) Seed Oil))、マカデミアナッツ油(表示名称(INCI:Macadamia Ternifolia Seed Oil))、メドウフォーム油(表示名称(INCI:Limnanthes Alba (Meadowfoam) Seed Oil))、綿実油(表示名称(INCI:Gossypium Herbaceum (Cotton) Seed Oil))、モクロウ核油、ヤシ油(表示名称(INCI:Cocos Nucifera (Coconut) Oil))、落花生油(INCI:Arachis Hypogaea (Peanut) Oil)などの天然植物油、サメ肝油(表示名称(INCI:Shark Liver Oil))、タラ肝油(表示名称(INCI:Cod Liver Oil))、魚肝油(表示名称(INCI:Fish Liver Oil))、タートル油(表示名称(INCI:Turtle Oil))、ミンク油(表示名称(INCI:Mink Oil))、卵黄油(表示名称(INCI:Egg Oil))などの天然動物油、水添ヤシ油(表示名称(INCI:Hydrogenated Coconut Oil))、硬化ヒマシ油(表示名称)、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、液状ラノリン(INCI:Lanolin Oil)、等の半合成油脂が挙げられる。
【0121】
・液状の油性成分
液状の油性成分としては、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーンオイル、フッ素系油剤が挙げられる。
【0122】
・炭化水素油
炭化水素油としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素油が挙げられ、揮発性の炭化水素油であっても不揮発性の炭化水素油であってもよい。具体的には、具体的には、オレフィンオリゴマー、イソドデカン(INCI)、ドデカン(INCI)、イソヘキサデカン(INCI)、ウンデカン(INCI)、スクワラン(INCI)、スクワレン(INCI)、ミネラルオイル(INCI)ポリイソブチレン(表示名称)、水添ポリイソブテン(表示名称(INCI:Hydrogenated Polyisobutene))、(C13-15)アルカン(INCI)等が挙げられる。
【0123】
・高級脂肪酸
高級脂肪酸としては、オレイン酸(表示名称(INCI:(表示名称(INCI:Oleic Acid))、リノール酸(表示名称(INCI:Linoleic Acid))、リノレン酸(表示名称(INCI:Linolenic Acid))、アラキドン酸(表示名称(INCI:Arachidonic Acid))、エイコサペンタエン酸(EPA)(表示名称(INCI:Eicosapentaenoic Acid))、ドコサヘキサエン酸(DHA)(表示名称(INCI:Docosahexaenoic Acid))、イソステアリン酸(表示名称(INCI:Isostearic Acid))、ヒドロキシステアリン酸(表示名称(INCI:Hydroxystearic Acid))等が挙げられる。
【0124】
・高級アルコール
高級アルコールとしては、例えば、炭素原子数が6以上のアルコールが好ましい。高級アルコールの具体例としては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0125】
・エステル
エステルとしては、炭素数1~20の脂肪酸と炭素数1~20のアルコールが縮合した形をもつ液状油で、モノエステル又は、ジエステル、トリエステル等のポリエステルが挙げられる。具体的にはアジピン酸ジイソブチル(表示名称(INCI:Diisobutyl Adipate))、アジピン酸ジヘキシルデシル(表示名称)、アジピン酸ジヘプチルウンデシル(表示名称(INCI:Diheptylundecyl Adipate))、イソステアリン酸イソステアリル(表示名称(INCI:Isostearyl Isostearate))等のモノイソステアリン酸n-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル(表示名称(INCI:Isocetyl Isostearate))、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(表示名称(INCI:Trimethylolpropane Triisostearate))、ジエチルヘキサン酸グリコール(表示名称(INCI:Glycol Diethylhexanoate))、エチルヘキサン酸セチル(表示名称(INCI:Cetyl Ethylhexanoate))、トリエチルヘキサノイン(表示名称(INCI:Triethylhexanoin))、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(表示名称(INCI:Trimethylolpropane Triethylhexanoate))、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(表示名称(INCI:Pentaerythrityl Tetraethylhexanoate))、オクタン酸セチル(表示名称(INCI:Cetyl Ethylhexanoate))、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル(表示名称(INCI:Octyldodecyl Stearoyl Stearate))等のオクチルドデシルエステル、オレイン酸オレイル(表示名称(INCI:Oleyl Oleate))、オレイン酸オクチルドデシル(表示名称(INCI:Octyldodecyl Oleate))、オレイン酸デシル(表示名称(INCI:Decyl Oleate))、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール(表示名称(INCI:Neopentyl Glycol Diethylhexanoate))、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(表示名称(INCI:Neopentyl Glycol Dicaprate))、クエン酸トリエチル(表示名称(INCI:Triethyl Citrate))、コハク酸ジエチルヘキシル(表示名称(INCI:Diethylhexyl Succinate))、酢酸アミル(表示名称(INCI:Amyl Acetate))、酢酸エチル(表示名称(INCI:Etyl Acetate))、酢酸ブチル(表示名称(INCI:Butyl Aceetate))、ステアリン酸イソセチル(表示名称(INCI:Isocetyl Stearate))、ステアリン酸ブチル(表示名称(INCI:Butyl Stearate))、セバシン酸ジイソプロピル(表示名称(INCI:Diisopropyl Sebacate))、セバシン酸ジエチルヘキシル(表示名称(INCI:Diethylhexyl Sebacate))、乳酸セチル(表示名称(INCI:Cetyl Lactate))、乳酸ミリスチル(表示名称(INCI:Myristyl Lactate))、イソノナン酸イソノニル(表示名称(INCI:Isononyl Isononanoate))、イソノナン酸イソトリデシル(表示名称(INCI:Isotridecyl Isononanoate))、パルミチン酸イソプロピル(表示名称(INCI:Isopropyl Palmitate))、パルミチン酸エチルヘキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Isopalmitate))、パルミチン酸ヘキシルデシル(表示名称(INCI:Isocetyl Palmitate、Hexyldecyl Palmitate))等のパルミチン酸エステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(表示名称(INCI:Cholesteryl Hydroxystearate))、ミリスチン酸イソプロピル(表示名称(INCI:Isopropyl Myristate))、ミリスチン酸オクチルドデシル(表示名称(INCI:Octyldodecyl Myristate))、ミリスチン酸ミリスチル(表示名称(INCI:Myristyl Myristate))等のミリスチン酸エステル、ラウリン酸エチルへキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Laurate))、ラウリン酸ヘキシル(表示名称(INCI:Hexyl Laurate))、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル(表示名称(INCI:Dioctyldodecyl Lauroyl Glutamate))、ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル(表示名称(INCI:Isopropyl Lauroyl Sarcosinate))、リンゴ酸ジイソステアリル(表示名称(INCI:Diisostearyl Malate))、酢酸グリセリル(表示名称(INCI:Glyceryl Acetate))、ステアリン酸グリセリル(表示名称(INCI:Glyceryl Stearate))、等のグリセライド油が挙げられる。
【0126】
・フッ素系油剤
フッ素系油剤としては、ポリパーフルオロメチルイソプロピルエーテル(表示名称(INCI:Polyperfluoromethylisopropyl Ether))等のパーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン(表示名称(INCI:Perfluorodecalin))、パーフルオロヘキサン(表示名称(INCI:Perfluorohexane))等のパーフルオロカーボン等が挙げられる。
【0127】
・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、ホモサレート(INCI)、オクトクリレン(INCI)、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(表示名称(INCI:Butyl Methoxydibenzoylmethane))、サリチル酸エチルヘキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Salicylate))、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(表示名称(INCI:Diethylamino Hydroxybenzoyl Hexyl Benzoate))、オキシベンゾン-6(表示名称(INCI:Benzophenone-6))、オキシベンゾン-9(表示名称(INCI:Benzophenone-9))、オキシベンゾン-1(表示名称(INCI:Benzophenone-1))、ポリシリコーン-15(INCI)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Dimethoxybenzylidene Dioxoimidazolidine Propionate))、オキシベンゾン-2(表示名称(INCI:Benzophenone-2))、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(表示名称(INCI:Terephthalylidene Dicamphor Sulfonic Acid))、エチルヘキシルトリアゾン(INCI)、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル(表示名称(INCI:Isopentyl Trimethoxycinnamate Trisiloxane))、ドロメトリゾールトリシロキサン(INCI)、ジメチルPABAエチルヘキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Dimethyl PABA))、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル(表示名称(INCI:Isopropyl Methoxycinnamate))、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Methoxycinnamate))、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(表示名称(INCI:Bis-Ethylhexyloxyphenol Methoxyphenyl Triazine))、オキシベンゾン-3(表示名称(INCI:Benzophenone-3))、オキシベンゾン-4(表示名称(INCI:Benzophenone-4))、オキシベンゾン-5(表示名称(INCI:Benzophenone-5))、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(表示名称(INCI:Phenylbenzimidazole Sulfonic Acid))、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(表示名称(INCI:Methylene Bis-Benzotriazolyl Tetramethylbutylphenol))、ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル(表示名称(INCI:Glyceryl Ethylhexanoate Dimethoxycinnamate))、グリセリルPABA(表示名称(INCI:Glyceryl PABA))、ジイソプロピルケイ皮酸メチル(表示名称(INCI:Diisopropyl Methyl Cinnamate))、シノキサート(INCI)ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Dimethoxybenzylidene Dioxoimidazolidine Propionate))、等が挙げられる。また、UVA吸収剤(例えば、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(表示名称(INCI:Diethylamino Hydroxybenzoyl Hexyl Benzoate))等)と、UVB吸収剤(例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(表示名称(INCI:Ethylhexyl Methoxycinnamate))等)を併用することが可能であり、それぞれを任意に組み合わせることも可能である。
【0128】
なお、油剤(C)については、本発明の(A)成分を化粧料中、簡易に配合させる目的から、本発明の(A)成分と相溶性の高い成分を選定する事が好ましく、相溶性の悪い油剤についても、限定的な配合やその他の相溶化剤との併用に依って配合することが出来る。
【0129】
(D)粉体
粉体は通常化粧料に配合できる原料であれば、特に限定されないが、例えば、顔料、シリコーン球状粉体等が挙げられる。粉体を配合する場合、粉体の配合量は特に限定されないが、化粧料全体の0.1~90質量%配合することが望ましく、1~35質量%がさらに好ましい。
【0130】
・着色顔料
着色顔料としては、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、白色酸化チタン、黒色酸化鉄、ベンガラ、グンジョウ、コンジョウ、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化鉄ドープ酸化チタン、チタン酸鉄、(チタン/酸化チタン)焼成物、チタン酸(リチウム/コバルト)、チタン酸コバルト、窒化チタン、水酸化鉄、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄土等の無機黄色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの等の有色顔料等、いずれのものも使用することができる。
【0131】
また、本発明に係る顔料の形状としては、球状、略球状、棒状、紡錘状、花弁状、短冊状、不定形状等、何れの形状であっても良く、化粧料に色を付与することが可能であれば、その幾何学的態様には特に限定はない。また、隠蔽力の点から、その粒子径、すなわち、体積平均粒子径が150~600nmの範囲にある顔料が良い。体積平均粒子径はTEMなどで測定することができる。150nm未満では、隠ぺい力が低いため、化粧料の着色効率が低くなってしまう場合があり、また、600nmより大きい場合、使用感が悪化する場合がある。
【0132】
更に、本発明に係る顔料は、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、含水シリカ等の無機化合物によって、部分的、あるいは、全部表面処理が施されていても良い。
【0133】
本発明に係る疎水化処理された着色顔料の疎水化処理とは、前記着色顔料を疎水化処理剤で表面処理を施すことを示す。本発明に係る着色顔料の表面疎水化処理剤は、疎水性を付与できるものであれば特に限定されず、シリコーン処理剤、ワックス類、パラフィン類、ペルフルオロアルキルとリン酸塩等の有機フッ素化合物、界面活性剤、N-アシルグルタミン酸等のアミノ酸、ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸等の処理剤が挙げられる。
【0134】
より好ましくはシリコーン処理剤で、カプリルシラン(信越化学工業(株)製:AES-3083)、又は、トリメトキシシリルジメチコン等のシラン類又はシリル化剤、ジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製:KF-96Aシリーズ)、メチルハイドロジェン型ポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF-99P、KF-9901等)、シリコーン分岐型シリコーン処理剤(信越化学工業(株)製:KF-9908、KF-9909等)等のシリコーンオイル、アクリルシリコーン(信越化学工業(株)製:KP-574、KP-541)等のシリコーン化合物が挙げられる。特に、特許第3912961号公報記載のシリコーン粉体処理剤が好適に用いられ、なかでもトリエトキシシリル基とポリジメチルシロキシエチル基とヘキシル基とを側鎖に有するジメチルポリシロキサンであるトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業(株)製:KF-9909)等が、本発明に係る高疎水化度処理着色顔料を分散させる分散媒がシリコーン並びに炭化水素等の混合組成であっても高い親和性を発現する点から有効に用いられる。
【0135】
更に、上記の表面疎水化処理剤は、単独、あるいは、2種以上を組合せ使用しても良い。
【0136】
本発明において、着色顔料に疎水化処理剤を用いて表面処理を施す製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法で実施できる。表面処理法は、乾式法と湿式法に大別できる。乾式法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ジェットミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、サンドミル、アトライター、リボンブレンダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー等、任意の撹拌機、粉砕機、混合機、分散機等を用い、本発明において使用される着色顔料と疎水化処理剤を混合/接触させることによって処理を施すことができる。この際、加熱、メカノケミカル的な機械力、過熱水蒸気等のエネルギーを付与しながら処理しても良い。また、着色顔料と疎水化処理剤を十分に混合/接触させた後、別途、加熱、メカノケミカル的な機械力、過熱水蒸気等のエネルギーを付与し処理を施しても良い。あるいは、疎水化処理剤を着色顔料に混合/接触させる際、疎水化処理剤の分散効率を向上させる目的で、疎水化処理剤を任意量の水、溶剤、あるいは、超臨界流体に予め溶解、又は、分散させ、これを着色顔料に噴霧する等の手段を用いても良い。湿式法としては、水、溶剤、あるいは、超臨界流体に着色顔料と疎水化処理剤を分散させ、混合/接触させてその後溶媒を蒸発、更に、別途、加熱、メカノケミカル的な機械力、過熱水蒸気等のエネルギーを付与し処理を施すことが可能である。
【0137】
疎水化表面処理を施した着色顔料の具体例としては、KTP-09シリーズ、特に、KTP-09W、KTP-09R、KTP-09Y、KTP-09B等(信越化学工業製)が挙げられる。
【0138】
・無機粉体
無機粉体としては、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、劈開タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、二酸化ケイ素、フュームドシリカ、含水二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックス、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、チッ化ホウ素、チッ化ボロン、ガラス等からなる微粒子が挙げられる。また、無機着色パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等のパール顔料が挙げられる。微粒子金属酸化物としては微粒子の酸化チタン(INCI)、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子の酸化亜鉛(INCI)、微粒子の酸化セリウム(INCI)及びそれらの複合体から選ばれる、一種又は二種以上である。これらの金属酸化物は他の粉体との複合粉体でもよい。平均一次粒子径は200nm以下が好ましく、さらに好ましくは120nm以下である。これ以上粒子径が大きいと紫外線防御機能が低下し、白残りしてしまう。なお、平均一時粒子径は透過型電子顕微鏡写真等により測定できる。
【0139】
上記の微粒子金属酸化物は、未処理でも前記化粧品に使用される公知の表面処理でも特に限定はされない。さらに揮発性油剤やエステル油とあらかじめ分散した分散体でもよい。分散体の具体例としては、SPDシリーズ、特に、SPD-T5、SPD-T5L、SPD-T6,SPD-T7、SPD-Z5、SPD-Z5L等(信越化学工業製)が挙げられる。
【0140】
・金属粉体
金属粉体としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、銀等からなる金属微粒子が挙げられる。
【0141】
・有機粉体
有機粉体としては、例えば、シリコーン、ポリアミド、ポリアクリル酸・アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン、ポリメチルベンゾグアナミン、テトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル等)、セルロース、シルク、ナイロン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート等の粉体が挙げられる。特に、シリコーンとしては、シリコーン樹脂粒子(具体例としては、信越化学工業(株)製:KMP-590、KMP-591、KMP-592等)やシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉末(具体例としては、信越化学工業(株)製:KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-105、KSP-300、KSP-411、KSP-441等)が挙げられ、あらかじめ水中や油中に分散していてもよい。また、金属石鹸等も挙げられ、具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等からなる粉体も挙げられる。さらに、有機系色素等も挙げられ、具体例としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール色素、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素が挙げられる。
【0142】
・無機・有機複合粉体
無機・有機複合粉体としては、例えば、無機粉体表面が、公知公用の方法により有機粉体で被覆された複合粉体が挙げられる。
【0143】
なお、上述の粉体は、粒子表面を処理したものも使用できる。また、その表面処理剤は、化粧料の耐水性の観点から疎水性を付与できるものが好ましく、この疎水性を付与する処理剤としては特に限定されず、シリコーン処理剤、ワックス類、パラフィン類、ペルフルオロアルキル基変性リン酸塩等の有機フッ素化合物、界面活性剤、N-アシルグルタミン酸等のアミノ酸、ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸マグネシウム等の金属石鹸等の処理剤が挙げられる。より好ましくはシリコーン処理剤で、トリエトキシカプリリルシラン(INCI)(信越化学工業(株)製:AES-3083)、または、トリメトキシシリルジメチコン(INCI)等のシラン類又はシリル化剤、ジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製:KF-96Aシリーズ)、ハイドロゲンジメチコン(INCI)等のメチルハイドロジェン型ポリシロキサン(信越化学工業(株)製:KF-99P、KF-9901等)、シリコーン分岐型シリコーン処理剤(信越化学工業(株)製:KF-9908、KF-9909等)等のシリコーンオイル、アクリルシリコーン(信越化学工業(株)製:KP-574、KP-541)等が挙げられる。更に、上記の表面疎水化処理剤は、単独、あるいは、2種以上を組合せ使用しても良い。
【0144】
(E)界面活性剤
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の活性剤があり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常の化粧料に使用されるものを使用することができる。これらの界面活性剤の中でも、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ピロリドン変性オルガノポリシロキサンであることが好ましい。これらの界面活性剤において、親水性のポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基又はポリグリセリン残基の含有量が、分子中の10~70質量%を占めることが好ましい。また、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンを用いる場合には、当該架橋型オルガノポリシロキサンと室温で液状の油剤からなる組成物において、架橋型オルガノポリシロキサンは、液状油に対し、自重以上の該液状油剤を含んで膨潤することが好ましい。当該液状油剤としては、任意成分の油剤中の液状のシリコーン、炭化水素油、エステル油、天然動植物油、半合成油等、フッ素系油を用いることができ、例えば、25℃の動粘度が0.65~100mm2/sの低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油やトリエチルヘキサノイン等のグリセライド油、イソノナン酸イソトリデシル、等のエステル油、ホホバ油等の天然動植物油が挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサンの具体例としては、信越化学工業(株)製:KSG-210、KSG-240、KSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-340、KSG-320Z、KSG-350Z、KSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830、KSG-840、KSG-820Z、KSG-850Z等が挙げられる。非架橋型オルガノポリシロキサンの具体例としては、信越化学工業(株)製:KF-6011、KF-6013、KF-6043、KF-6017、KF-6028、KF-6038、KF-6048、KF-6100、KF-6104、KF-6105、KF-6106等が挙げられる。何れの場合においても界面活性剤の配合量としては、化粧料全体の0.1~20質量%が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲で架橋型オルガノポリシロキサン、非架橋型オルガノポリシロキサン、又はその両方をそれぞれ1種、又は2種以上を適宜選択できる。
【0145】
(F)架橋型オルガノポリシロキサン
架橋型オルガノポリシロキサンとしては、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この架橋型オルガノポリシロキサンは、上記の(D)で説明したシリコーン粉体と異なり、球状形状を有していない。また、上記の(E)界面活性剤とは異なり、分子構造中、ポリエーテル又はポリグリセリン構造を有しない化合物である。上記の(B)油剤で膨潤することにより、構造粘性を有するエラストマーである。具体例としては、化粧品表示名称で定義される、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。これらは室温で液状のオイルを含む膨潤物として市販され、具体例としては、信越化学工業(株)製のKSG-15、KSG-1510、KSG-16、KSG-1610、KSG-18A、KSG-19、KSG-41A、KSG-42A、KSG-43、KSG-44、KSG-042Z、KSG-045Z、KSG-048Z等が挙げられる。この成分を配合する場合の配合量は、固形分として化粧料中0.01~30質量%が好ましい。
【0146】
(G)皮膜剤
皮膜剤としては、通常化粧料に配合できる原料であれば特に限定されないが、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸アルキル等のラテックス類、デキストリン、アルキルセルロースやニトロセルロース等のセルロース誘導体、トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン等のシリコーン化多糖化合物、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー等のアクリル-シリコーン系グラフト共重合体、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂、シリコーン変性ポリノルボルネン、フッ素変性シリコーン樹脂等のシリコーン系樹脂、フッ素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリマーエマルジョン樹脂、テルペン系樹脂、ポリブテン、ポリイソプレン、アルキド樹脂、ポリビニルピロリドン変性ポリマー、ロジン変性樹脂、ポリウレタン等が用いられる。
【0147】
これらの中でも特に、シリコーン系の皮膜剤が好ましく、中でもトリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン〔市販品としては、溶剤に溶解したものとして、信越化学工業(株)製:TSPL-30-D5,ID〕や、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー〔市販品としては、溶剤に溶解したものとして、信越化学工業(株)製:KP-543、KP-545、KP-549、KP-550、KP-545L等〕や、トリメチルシロキシケイ酸〔市販品としては、溶剤に溶解したものとして、信越化学工業(株)製:KF-7312J、X-21-5250等〕やシリコーン変性ポリノルボルネン〔市販品としては、溶剤に溶解したものとして、信越化学工業(株)製:NBN-30-ID等〕、オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を用いることができるが、これらに限定されるものではない。皮膜剤としては1種又は2種以上を用いることができる。この成分を配合する場合の配合量は、化粧料中0.1~20質量%が好ましい。
【0148】
(I)その他の添加剤
その他の添加剤としては、油溶性ゲル化剤、水溶性増粘剤、制汗剤、防腐剤・殺菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、水溶性高分子化合物、繊維、包接化合物等が挙げられる。
【0149】
・油溶性ゲル化剤
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン;N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体;デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2-エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル;モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体;ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムクトライト、ヘクトライトの有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0150】
・水溶性増粘剤
水溶性増粘剤として、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、カチオン化セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリロイルジメチルタウリン塩コポリマー等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等他の合成水溶性高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等がある。
【0151】
中でも、植物系高分子、微生物系高分子、動物系高分子、デンプン系高分子、セルロース系高分子、アルギン酸系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、アクリル系高分子、及び無機系水溶性高分子から選ばれる1種又は2種以上の水溶性増粘剤が好ましく使用される。
【0152】
・制汗剤
制汗剤として、クロルヒドロキシAL、等のヒドロキシハロゲン化アルミニウム、塩化AL等のハロゲン化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、タンニン酸、カキタンニン、硫酸(AL/K)、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、焼きミョウバン、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、トリクロロハイドレックスグリシン(Al/ジルコニウム)等が挙げられる。特に、高い効果を発現する成分として、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ならびにこれらのオキシハロゲン化ジルコニル及びヒドロキシハロゲン化ジルコニルとの錯体又は混合物(例えば、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、トリクロロハイドレックスグリシン(Al/ジルコニウム))等が好ましい。
【0153】
・防腐剤・殺菌剤
防腐剤・殺菌剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、イミダゾリジニルウレア、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ポリリジン、感光素、銀、植物エキス等が挙げられる。
【0154】
・香料
香料としては、天然香料及び合成香料がある。天然香料としては花、葉、材、果皮等から分離した植物性香料、ムスク、シベット等の動物性香料がある。合成香料としてはモノテルペン等の炭化水素類、脂肪族アルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂環式ケトン等のケトン類、テルペン系エステル等のエステル類、ラクトン類、フェノール類、オキサイド類、含チッソ化合物類、アセタール類等が挙げられる。
【0155】
・塩類
塩類としては、無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。有機酸塩としては、例えば、酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩が挙げられる。アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩等や、さらには、製剤処方の中で使用される酸-アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0156】
・酸化防止剤
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、カロチノイド、アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸アスコルビル、トコフェノール、酢酸トコフェノール、トコフェロール、p-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、フェルラ酸、チオタウリン、ヒポタウリン、亜硫酸塩、エリソルビン酸及びその塩、クロロゲン酸、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、カンフェロール、ミリセチン、ケルセチン等が挙げられる。
【0157】
・pH調整剤
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl-リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0158】
・キレート剤
キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0159】
・清涼剤
清涼剤としては、L-メントール、カンフル、乳酸メンチル等が挙げられる。
【0160】
・抗炎症剤
抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0161】
・美肌用成分
美肌用成分としては、アルブチン、ハイドロキノン、トラネキサム酸、アスコルビン酸誘導体、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等の血行促進剤、皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0162】
・ビタミン類
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のビタミンE類;ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、ビタミンH、ビタミンP、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等が挙げられる。
【0163】
・アミノ酸類
アミノ酸類としては、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
【0164】
・核酸
核酸としては、デオキシリボ核酸等が挙げられる。
【0165】
・ホルモン
ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0166】
・包接化合物
包接化合物としては、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0167】
上記した化粧料の形態は、乳化系、非水系のどちらでもよい。みずみずしい使用感を付与したいときは乳化形態を選択し、乳化形態としては、O/W型エマルジョン、W/O型エマルジョン、O/W/O型エマルジョン、W/O/W型エマルジョンのいずれの形態でもよく、油性感や耐水性を得たいときは非水系組成物、又は、粉体組成物を選択でき、いずれの場合でも良好な化粧料が得られる。なお、本発明において「非水系組成物」とは、水を意図的に配合しない組成物をいう。これらの中でも特に高い耐油性が期待できる非水系組成物が好ましい。
【0168】
本発明の架橋型有機ケイ素樹脂は種々の方法で化粧料に配合することができる。例えば、油相、または、水相、または、両方に混合して乳化剤、使用感調整剤、増粘剤、相溶化剤、不溶化剤として用いたり、粉体の分散剤として用いたりすることが挙げられる。
【0169】
本発明における化粧料は、特に限定されるものではないが、例えば、美容液、乳液、クリーム、ヘアケア、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、コンシーラー、チークカラー、口紅、グロス、バーム、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、ボディーメーキャップ、デオドラント剤、爪用化粧料等、種々の製品に応用することが可能である。これらの中でも特に、乳液、クリーム、ヘアケア、ファンデーション等のメイクアップ化粧料や日焼け止め効果を付与した化粧料が好ましい。本発明の化粧料の性状としては、液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、ムース状、スフレ状、粘土状、パウダー状、スティック状等の種々の性状を選択することができる。
【実施例0170】
以下、製造例、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記製造例及び実施例に制限されるものではない。組成の「%」は特に説明がない場合は質量%である。なお、架橋型有機ケイ素樹脂を製造例とし、化粧料の例を実施例、比較例とする。また、下記において原料であるヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂は、特開2017-75283号に記載の製造方法に従い合成されたものである。
【0171】
[製造実施例1]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E1)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量3,310,ヒドロシリル基量:2.03mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液1,000g、下記式(E2)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン83.5g、2-プロパノール795,8g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液1.1gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E3)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを508.1g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を79.6g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水48.2gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E4)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E1):(Me3SiO1/2)18.3(HMe2SiO1/2)7.8(SiO2)21.8
式(E2):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E3):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
【0172】
平均組成式(E4):(Me3SiO1/2)18.3(X1/2Me2SiO1/2)2.6(R3Me2SiO1/2)12.8(SiO4/2)43.5
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E4)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量47,600)。
また生成物のHLBは1.8であった。
【0173】
[製造実施例2]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E5)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量3,200,ヒドロシリル基量:1.97mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液700g、下記式(E6)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン60.6g、2-プロパノール547.3g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.7gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E7)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを334.1g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を54.7g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水33.1gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E8)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E5):(Me3SiO1/2)17.7(HMe2SiO1/2)7.6(SiO2)21.0
式(E6):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E7):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
【0174】
平均組成式(E8):(Me3SiO1/2)17.7(X1/2Me2SiO1/2)2.7(R3Me2SiO1/2)4.9(SiO4/2)21.0
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E8)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量63,500)。
また生成物のHLBは1.9であった。
【0175】
[製造実施例3]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E9)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量3,160,ヒドロシリル基量:1.99mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液1,500g、下記式(E10)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサン626.9g、2-プロパノール1144.2g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液1.5gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E11)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン161.6g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を114.4g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水69.3gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E12)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E9):(Me3SiO1/2)17.9(HMe2SiO1/2)5.7(SiO2)22.1
式(E10):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
式(E11):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
【0176】
平均組成式(E12):(Me3SiO1/2)17.9(X1/2Me2SiO1/2)2.5(R3Me2SiO1/2)3.2(SiO4/2)22.1
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E12)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量66,500)。
また生成物のHLBは2.2であった。
【0177】
[製造実施例4]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E13)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量5,420,ヒドロシリル基量:1.95mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液400g、下記式(E14)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン24.0g、2-プロパノール321.5g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.4gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E15)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを219.0g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を32.2g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水19.5gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E16)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E13):(Me3SiO1/2)27.7(HMe2SiO1/2)11.9(SiO2)39.6
式(E14):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E15):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
【0178】
平均組成式(E16):(Me3SiO1/2)27.7(X1/2Me2SiO1/2)3.0(R3Me2SiO1/2)8.9(SiO4/2)39.6
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E16)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量48,100)。
また生成物のHLBは1.3であった。
【0179】
[製造実施例5]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E17)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量5,420,ヒドロシリル基量:1.95mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液1,300g、下記式(E18)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン93.7g、2-プロパノール1029.0g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液1.4gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E19)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを664.2g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を102.9g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水62.3gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E20)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E17):(Me3SiO1/2)27.7(HMe2SiO1/2)11.9(SiO2)39.6
式(E18):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E19):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
【0180】
平均組成式(E20):(Me3SiO1/2)27.7(X1/2Me2SiO1/2)3.6(R3Me2SiO1/2)8.3(SiO4/2)39.6
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E20)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物はガム状であった(重量平均分子量105,000)。
また生成物のHLBは1.6であった。
【0181】
[製造実施例6]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E21)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量5,630,ヒドロシリル基量:2.06mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液400g、下記式(E22)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン50.3g、2-プロパノール330.1g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.5gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E23)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを209.8g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を33.0g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水20.0gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E24)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E21):(Me3SiO1/2)28.8(HMe2SiO1/2)12.3(SiO2)41.2
式(E22):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)15-CH2-CH=CH2
式(E23):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
【0182】
平均組成式(E24):(Me3SiO1/2)28.8(X1/2Me2SiO1/2)3.9(R3Me2SiO1/2)8.2(SiO4/2)41.2
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)15-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E24)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物はガム状であった(重量平均分子量82,600)。
また生成物のHLBは2.2であった。
【0183】
[製造実施例7]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E25)で表される液状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量3,080,ヒドロシリル基量:1.95mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液200g、下記式(E26)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサン73.8g、2-プロパノール148.8g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.2gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E27)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン23.8g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を14.9g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水9.0gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E28)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E25):(Me3SiO1/2)13.1(HMe2SiO1/2)5.6(MeSiO3/2)15.3(SiO2)10.2
式(E26):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
式(E27):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
【0184】
平均組成式(E28):(Me3SiO1/2)13.1(X1/2Me2SiO1/2)2.2(R3Me2SiO1/2)3.4(MeSiO3/2)15.3(SiO2)10.2
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E25)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量33,500)。
また生成物のHLBは1.9であった。
【0185】
[製造実施例8]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E29)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量3,200,ヒドロシリル基量:1.97mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液700g、下記式(E30)で表される両末端にアリル基を有するポリグリセリン39.2g、2-プロパノール536.7g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.7gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E31)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを334.1g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を53.7g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水32.5gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E32)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E29):(Me3SiO1/2)17.7(HMe2SiO1/2)7.6(SiO2)21.0
式(E30):CH2=CH-CH2-O-Q1-CH2-CH=CH2
(式(E30)は、Q1がグリセリン由来の(CH2CH(OH)CH2O)3である化合物を主とする。さらに、Q1が上述した式(4)~(10)で示されR4が水素原子である1以上の構造を有する異性体を含む混合物である)
式(E31):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
【0186】
平均組成式(E32):(Me3SiO1/2)17.7(X1/2Me2SiO1/2)2.7(R3Me2SiO1/2)4.9(SiO4/2)21.0
X=-CH2-CH-CH2-O-Q1-CH2-CH-CH2-
(上記Xは、Q1が(CH2CH(OH)CH2O)3である構造を主とする。さらに、Xは、Q1が上記式(4)~(10)で示されR4が水素原子である構造の1以上を有する構造を含む)
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E32)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量58,000)。
また生成物のHLBは1.2であった。
【0187】
[製造実施例9]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E33)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量2,560,ヒドロシリル基量:1.63mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液300g、下記式(E34)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサン64.5g、2-プロパノール201.7g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.3gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E35)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン39.0g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を20.2g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水12.2gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E36)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E33):(Me3SiO1/2)16.2(HMe2SiO1/2)3.4(SiO2)17.0
式(E34):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
式(E35):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
【0188】
平均組成式(E36):(Me3SiO1/2)16.2(X1/2Me2SiO1/2)2.2(R3Me2SiO1/2)1.2(SiO2)17.0
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E36)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量80,200)。
また生成物のHLBは2.9であった。
【0189】
[製造実施例10]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E37)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量2,220,ヒドロシリル基量:1.70mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液400g、下記式(E38)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサン124.2g、2-プロパノール288.4g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.4gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E39)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン31.2g、下記式(E40)で表される片末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン21.4gを添加し、80℃で3時間加熱した。
その後、2%クエン酸水溶液を28.8g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水17.5gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E41)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E37):(Me3SiO1/2)12.3(HMe2SiO1/2)4.3(SiO2)15.6
式(E38):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
式(E39):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E40):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)9-H
【0190】
平均組成式(E41):(Me3SiO1/2)12.3(X1/2Me2SiO1/2)1.6(R2Me2SiO1/2)0.6(R3Me2SiO1/2)2.1(SiO2)15.6
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH-CH2-
R2=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)9-H
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E41)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は無色透明の液体であった(重量平均分子量68,000)。
また生成物のHLBは3.1であった。
【0191】
[製造実施例11]
架橋型有機ケイ素樹脂/デカメチルシクロペンタシロキサン溶解品50%溶液の製造方法
下記平均組成式(E42)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量3,020,ヒドロシリル基量:0.554mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液600g、下記式(E43)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン16.6g、2-プロパノール308.3g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.3gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、2%クエン酸水溶液を30.8g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水18.7gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E44)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E42):(Me3SiO1/2)17.8(HMe2SiO1/2)1.6(SiO2)24.6
式(E43):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)4-CH2-CH=CH2
【0192】
平均組成式(E44):(Me3SiO1/2)17.8(X1/2Me2SiO1/2)1.6(SiO2)24.6
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)4-CH2-CH-CH2-
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E44)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は固形状であった(重量平均分子量54,500)。
また生成物のHLBは0.8であった。
固体状の架橋型有機ケイ素樹脂を、含有量50質量%となるようにデカメチルシクロペンタシロキサンに溶解した。
【0193】
[製造実施例12]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E45)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量6,130,ヒドロシリル基量:2.24mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液200g、下記式(E46)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン5.5g、2-プロパノール390.7g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.7gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E47)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを575.8g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を39.1g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水23.6gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E48)で表される架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E45):(Me3SiO1/2)25.2(HMe2SiO1/2)14.0(SiO2)52.4
式(E46):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E47):CH2=CH-(SiO(CH3)2)40-Si(CH3)3
【0194】
平均組成式(E48):(Me3SiO1/2)25.2(X1/2Me2SiO1/2)1.4(R3Me2SiO1/2)12.6(SiO4/2)52.4
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)15-CH2-CH-CH2-
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)40-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E48)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた架橋型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は液状であった(重量平均分子量65,000)。
また生成物のHLBは0.9であった。
【0195】
[製造実施例13]
架橋型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E49)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量6,130,ヒドロシリル基量:2.24mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液400g、下記式(E50)で表される両末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン12.6g、下記式(E51)で表される片末端にアリル基を有するポリオキシアルキレン178.7g、2-プロパノール206.3g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.4gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。その後、2%クエン酸水溶液を20.6g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水12.5gで中和した。反応物を減圧下で120~130℃に加熱し、溶剤・デカメチルシクロペンタシロキサンを留去することで、下記式(E52)で表される架橋型有機ケイ素樹脂を得た。
平均組成式(E49):(Me3SiO1/2)25.2(HMe2SiO1/2)14.0(SiO2)52.4
式(E50):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)10-CH2-CH=CH2
式(E51):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)9-H
【0196】
平均組成式(E52):(Me3SiO1/2)25.2(X1/2Me2SiO1/2)1.6(R2Me2SiO1/2)12.4(SiO4/2)52.4
X=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)15-CH2-CH-CH2-
R2=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)9-H
(Meはメチル基を示す。以下同様。上記式(E52)においてXの一部は水酸基であってよい)
得られた生成物はガム状であった(重量平均分子量45,000)。
また生成物のHLBは9.9であった。
【0197】
[比較例1]
変性型有機ケイ素樹脂の製造方法
下記平均組成式(E53)で表される粉末状のヒドロシリル基含有有機ケイ素樹脂(重量平均分子量5,420,ヒドロシリル基量:1.95mmol/g)の50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液200g、下記式(E54)で表される片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを131.4g、2-プロパノール165.7g、塩化白金酸0.5%のエタノール溶液0.2gを反応器に仕込み、80℃で3時間加熱することで反応を行った。反応確認後、下記式(E55)で表される片末端にアリル基を有するポリオキシアルキレンを9.0g添加し、80℃で3時間加熱した。その後、2%クエン酸水溶液を16.6g添加して80℃で3時間加熱することで、未反応のポリオキシアルキレンのアリルエーテル基を加水分解し、5%重曹水10.0gで中和した。反応物を減圧下で加熱して溶剤を留去し、濾過を行うことで、下記式(E56)で表される変性型(架橋していない)有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を得た。
平均組成式(E53):(Me3SiO1/2)27.7(HMe2SiO1/2)11.9(SiO2)39.6
式(E54):CH2=CH-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
式(E55):CH2=CH-CH2-O-(C2H4O)9-H
【0198】
平均組成式(E56):(Me3SiO1/2)27.7(R2Me2SiO1/2)2.4(R3Me2SiO1/2)9.5(SiO4/2)39.6
R2=-CH2-CH-CH2-O-(C2H4O)9-H
R3=-CH2-CH2-(SiO(CH3)2)8-Si(CH3)3
(Meはメチル基を示す。以下同様)
得られた変性型有機ケイ素樹脂のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液を減圧下で120~130℃に加熱し、デカメチルシクロペンタシロキサンを除去することで得られた生成物は液状であった(重量平均分子量12,000)。
また生成物のHLBは1.9であった。
【0199】
[製造実施例14]
架橋型有機ケイ素樹脂(製造例5)/ジメチコン(6cs)溶解品50%溶液の製造方法
製造例5で得られた性状がガム状の架橋型有機ケイ素樹脂とジメチコン(6cs)を窒素置換させたセパラブルフラスコへ入れ、80℃でガラス撹拌装置によって均一に溶解させ、50%溶液を調製した。
【0200】
[製造実施例15]
架橋型有機ケイ素樹脂(製造例6)/ジメチコン(6cs)溶解品50%溶液の製造方法
製造例6で得られた性状がガム状の架橋型有機ケイ素樹脂とジメチコン(6cs)を窒素置換させたセパラブルフラスコへ入れ、80℃でガラス撹拌装置によって均一に溶解させ、50%溶液を調製した。
【0201】
上記製造例で得られた架橋型有機ケイ素樹脂は、ジメチコン(6cs)以外にも、D5、メチルトリメチコン、ジメチコン(1.5cs、2cs)等のシリコーン、トリエチルヘキサノインやイソノナン酸イソトリデシル等のエステル油、イソドデカン、スクワラン等の炭化水素油等化粧品に用いられる各種油剤にも溶解させることができる。また、これらの溶液の粘度は、重合体の組成や分子量によって変化させることができる。
【0202】
<実施例1~4、比較例2~4>
下記表1に示す組成のクリームを調製した。
【表1】
(注1)(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー(表示名称(INCI:INCI:Dimethicone/(PEG-10/15)crosspolymer))_25%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_75%の混合物
【0203】
(製造方法)
成分1,2を均一になるよう混合した。これに、成分3~5を均一混合後に穏やかに加え、撹拌して乳化物とした。これを所定の容器に充填し、クリームを得た。得られたクリームについて、以下の評価を行った。
【0204】
[使用性評価]
得られた化粧料について、塗布性(伸展性の良さ)、及びリッチ感(厚みのある使用感)を、下記表2に記載の基準により10名の専門パネラーが評価した。結果を10名の平均値に基づき、下記判断基準に従って判定した。
【0205】
【0206】
得られた評価結果の平均点に基づき、結果を下記に基づいて表3に示す。
◎ :平均点が4.0点以上
○ :平均点が3.0点以上4.0点未満
△ :平均点が2.0点以上3.0点未満
× :平均点が2.0点未満
【0207】
・経時安定性
得られた乳化物の初期粘度と50℃の恒温槽下で1か月保管後の粘度を比較して、初期との変化にて評価した。結果を表3に記載した。
◎ :±0%以上~5%未満
○ :±5%以上~10%未満
△ :±10%以上~15%未満
× :±20%以上
【0208】
【0209】
上記表3に記載の通り、本発明の化粧料は、比較例3~5に比べ、塗布性、リッチ感、経時安定性点で顕著に優れていた。
【0210】
〔実施例5、比較例5、6〕
下記表4に示す組成の日焼け止めミルクを調製した。
【表4】
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー(表示名称(INCII:Dimethicone/(PEG-10/15)crosspolymer))_25%とジメチコン(表示名称(INCI:DIMETHICONE))_75%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_7%とシクロペンタシロキサン(表示名称(INCI:Cyclopentasiloxane))_93%の混合物
(注3)信越化学工業(株)製:PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI: PEG-9 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
(注4)信越化学工業(株)製:ジメチコン(表示名称(INCI:DIMETHICONE))
(注5)信越化学工業(株)製:酸化チタン(表示名称(INCI:Titanium Dioxide)_40%の分散物
(注6)信越化学工業(株)製:酸化亜鉛(表示名称(INCI:Zinc Oxide)_60%の分散物
【0211】
(製造方法)
成分1~6を均一になるよう混合した。これに、成分9~12を均一混合後に穏やかに加え、撹拌して乳化物とした。その後、成分7,8を前述の乳化物に加えて混合した。これを所定の容器に充填し、日焼け止めミルクを得た。
得られた日焼け止めミルクについて、以下の評価を行った。
【0212】
[使用性評価]
得られた化粧料について、塗布性(伸展性の良さ)、リッチ感(厚みのある使用感)、白浮き(日焼け止め化粧料塗布時の白くなりにくさ)、白化(日焼け止め化粧料塗布乾燥後、水に濡れた時の白くなりにくさ)を、下記基準により10名の専門パネラーが評価した。結果を10名の平均値に基づき、下記判断基準に従って判定した。なお、塗布性とリッチ感は前記と同じ方法である。
【0213】
・白浮き
同量を塗布した際、塗上がりの透明性が非常に高いものを5点、高いものを4点、やや白く仕上がるものを3点、白くなるものを2点、大変白くなるものを1点とした。
◎ :平均点が4.0点以上
○ :平均点が3.0点以上4.0点未満
△ :平均点が2.0点以上3.0点未満
× :平均点が2.0点未満
【0214】
・白化
厚み1mmの石英ガラス板上にバーコーター(コーテック社製:KOSP-CN-05M)にて日焼け止め化粧料を塗布し、50℃で2時間乾燥後、精製水に10分浸漬後水分を取り測定した。測定機は日立ハイテクサイエンス製の分光光度計(U-3310)を用い、410nmの透過率で評価した。
◎ :90%以上
○ :85%以上~90%未満
△ :80%以上~85%未満
× :80%未満
【0215】
【0216】
上記表5に記載の通り、本発明の化粧料は、比較例5、6に比べ、塗布性、リッチ感、白浮き、白化の点で顕著に優れていた。
【0217】
〔実施例6、比較例7、8〕
下記表6に示す組成の日焼け止めクリームを調製した。
【表6】
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー(表示名称(INCII:Dimethicone/(PEG-10/15)crosspolymer))_25%とジメチコン(表示名称(INCI:DIMETHICONE))_75%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy Phenyl Trimethicone))_85%の混合物
(注3)信越化学工業(株)製:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI:Lauryl PEG-9 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
(注4)信越化学工業(株)製:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy Phenyl Trimethicone))
【0218】
(製造方法)
成分1~7を均一になるよう混合した。これに、成分8~11を均一混合後に穏やかに加え、撹拌して乳化物とした。これを所定の容器に充填し、日焼け止めを得た。
【0219】
[使用性評価]
得られた化粧料について、みずみずしさと経時安定性を、下記基準により10名の専門パネラーが評価した。結果を10名の平均値に基づき、下記判断基準に従って判定した。なお、経時安定性は前記と同じ方法である。
【0220】
・みずみずしさ
同量を塗布した際、塗布時に即座に転相して内相のみずみずしい使用感が得られるものを5点、あまり感じないものを3点、全く感じないものを1点とした。
◎ :平均点が4.0点以上
○ :平均点が3.0点以上4.0点未満
△ :平均点が2.0点以上3.0点未満
× :平均点が2.0点未満
【0221】
【0222】
上記表7に記載の通り、本発明の化粧料は、比較例7、8に比べ、みずみずしさと経時安定性の両立が容易であり、顕著に優れていた。
【0223】
以下、化粧料の実施例を示す。以下において上記と同様の基準で評価した。
【0224】
[実施例7]
W/Oクリーム
<化粧料の調製>
A:成分1~4を均一に混合した。
B:成分5~11を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、W/Oクリームを得た。
成分 質量(%)
1. KSG-310(注1) 3
2. KSG-44(注2) 1
3. 製造実施例5の組成物 0.2
4. スクワラン 10.8
5. BG 6
6. エタノール 5
7. グリセリン 2
8. クエン酸Na 0.2
9. 塩化Na 0.5
10. フェノキシエタノール 0.2
11. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCII:PEG-15/Lauryl Dimethicone Crosspolymer))_30%
とミネラルオイル(表示名称(INCI:Mineral Oil))_70%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Vinyl Dimethicone/Lauryl Dimethicone Crosspolymer)_30%とスクワラン(表示名称(INCI:Squalane))_70%の混合物
得られたW/Oクリームは、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0225】
[実施例8]
W/Oクリーム
<化粧料の調製>
A:成分1~4を均一に混合した。
B:成分5~14を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、W/Oクリームを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例8の組成物 4
2. KSG-18A(注1) 1
3. KF-6104(注2) 3
4. KF-96A-6cs 13
5. BG 8
6. エタノール 5
7. ソルビトール 2
8. クエン酸Na 0.2
9. 塩化Na 0.5
10. メチルパラベン 0.1
11. グリチルリチン酸2K 0.2
12. アルブチン 3
13. ピロ亜硫酸Na 0.02
14. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy ))_85%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI:Polyglyceryl-3 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
得られたW/Oクリームは、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0226】
[実施例9]
W/Oクリーム
<化粧料の調製>
A:成分1~6を均一に混合した。
B:成分7~13を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、W/Oクリームを得た。
成分 質量(%)
1. KSG-840(注1) 3
2. KSG-44(注2) 3
3. 製造実施例8の組成物 0.5
4. スクワラン 6
5. ホホバ種子油 14
6. KSP-100(注3) 1
7. BG 5
8. グリセリン 3
9. ヒアルロン酸Na(1%水溶液) 1.5
10. クエン酸Na 0.2
11. 塩化Na 0.5
12. エチルヘキシルグリセリン 0.1
13. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:((ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー(表示名称(INCI:Lauryl Dimethicone/Polyglycerin-3 Crosspolymer))_30%とスクワラン(表示名称(INCI:Squalane))_70%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Vinyl Dimethicone/Lauryl Dimethicone Crosspolymer)_30%とスクワラン(表示名称(INCI:Squalane))_70%の混合物
(注3)信越化学工業(株)製:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Vinyl Dimethicone/Methicone Silsesquioxane Crosspolymer))
得られたW/Oクリームは、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0227】
[実施例10]
コンシーラー
<化粧料の調製>
成分1~9を均一に混合し、コンシーラーを得た。
成分 質量(%)
1. KSP-101(注1) 18
2. KSP-300(注2) 4
3. KSG-19(注3) 6
4. 製造実施例16の組成物 0.5
5. KF-56A 7
6. KF-96A-6cs 残量
7. KF-96L-2cs 18
8. シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 5
9. 酸化チタン 0.3
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Vinyl Dimethicone/Methicone Silsesquioxane Crosspolymer))
(注2)信越化学工業(株)製:(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Diphenyl Dimethicone/Vinyl Diphenyl Dimethicone/Silsesquioxane Crosspolymer))
(注3)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_85%の混合物
得られたコンシーラーは、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0228】
[実施例11]
O/Wクリーム
<化粧料の調製>
A:成分1~4を均一に混合した。
B:成分5~13を均一に混合した。
C:AをBに添加して乳化し、O/Wリームを得た。
成分 質量(%)
1. KSG-048Z(注1) 5
2. KSG-19(注2) 10
3. 製造実施例13の組成物 0.5
4. KF-96A-6cs 10
5. ポリソルベート60 1
6. BG 5
7. ペンチレングリコール 2
8. キシリトール 2
9. SIMULGEL NS(注3) 1
10. カルボキシビニルポリマー 0.2
11. 水酸化Na 適量
12. フェノキシエタノール 0.3
13. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:((ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(Lauryl olydimethylsiloxyethyl Dimethicone/Bis-Vinyldimethicone Crosspolymerr))_20%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_80%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_85%の混合物
(注3)SEPPIC社製(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー組成物)
得られたO/Wクリームは、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0229】
[実施例12]
O/Wサンスクリーンクリーム
<化粧料の調製>
A:成分1~8を80℃まで加熱し、均一に混合した。
B:成分9~14を80℃まで加熱し、均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化後徐冷し、成分15を添加して均一に混合しサンスクリーンを得た。
成分 質量(%)
1. キサンタンガム 0.2
2. BG 8
3. カプリルヒドロキサム酸 0.1
4. SEPIGEL 305(注1) 2
5. ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1
6. KF-6043(注2) 0.5
7. アラントイン 0.2
8. 精製水 残量
9. 製造実施例12の組成物 0.3
10. KF-56A 3
11. KSG-016F(注3) 1.5
12. セタノール 2
13. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
14. アルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛 2
15. エタノール 10
合計 100
(注1)SEPPIC社製(ポリアクリルアミド組成物)
(注2)信越化学工業(株)製:PEG-10ジメチコン(表示名称(INCI:PEG-10 Dimethicone)
(注3)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_25%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_75%の混合物
得られたO/Wサンスクリーンクリーム は、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0230】
[実施例13]
W/Oサンスクリーンクリーム
<化粧料の調製>
A:成分1~11を均一に混合した。
B:成分14~18を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、成分12~13を加えて均一に混合し、W/Oクリームを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例1の組成物 2
2. KSG-18A(注1) 2
3. KF-6048(注2) 1.5
4. 炭酸ジカプリリル 8
5. イソノナン酸イソノニル 3
6. ジステアルジモニウムヘクト 0.8
7. グリチルリチン酸ステアリル 0.2
8. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
9. ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
10. エチルヘキサン酸セチル 5
11. KSP-300(注3) 2
12. SPD-T7(注4) 12
13. SPD-Z5(注5) 12
14. ペンチレングリコール 2
15. エタノール 6
16. クエン酸Na 0.2
17. 塩化Na 0.5
18. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy ))_85%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン(表示名称(INCI:Cetyl PEG/PPG-10/1 Dimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Diphenyl Dimethicone/Vinyl Diphenyl Dimethicone/Silsesquioxane Crosspolymer))
(注4)信越化学工業(株)製:酸化チタン(表示名称(INCI:Titanium Dioxide)_40%の分散物
(注5)信越化学工業(株)製:酸化亜鉛(表示名称(INCI:Zinc Oxide)_60%の分散物
得られたW/Oサンスクリーンクリーム は、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0231】
[実施例14]
W/Oシェイキングサンスクリーン
<化粧料の調製>
A:成分11~14をホモミキサーにて分散後、成分1~10を加えて均一に混合した。
B:成分15~21を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、W/Oシェイキングサンスクリーンを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例7の組成物 0.5
2. KSG-18A(注1) 3
3. KF-6038(注2) 2
4. (カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル 5.5
5. トリエチルヘキサノイン 5
6. ホモサレート 5
7. サリチル酸エチルヘキシル 5
8. ビスエチルヘキシルオキシフェノール
メトキシフェニルトリアジン 2.5
9. オクトクリレン 2
10. KMP-590(注3) 0.5
11. KF-96L-2cs 27
12. KF-6105(注4) 1.5
13. 金属石鹸処理微粒子酸化チタン 4.5
14. アルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛 12
15. BG 3
16. エタノール 6
17. トラネキサム酸 2
18. カプリル酸グリセリル 0.1
19. クエン酸Na 0.2
20. 塩化Na 0.5
21. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy ))_85%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI:Lauryl PEG-9 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:ポリメチルシルセスキオキサン(表示名称(INCI: Polymethylsilsesquioxane))
(注4)信越化学工業(株)製:ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI:Lauryl Polyglyceryl-3 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
得られたW/Oシェイキングサンスクリーンは、塗布性、リッチ感に優れており、経時安定性が良好であった。
【0232】
[実施例15]
シェイキンファンデーション
<化粧料の調製>
A:成分12~18を3本ロールにて分散した。
B:成分1~11を均一に混合した。
C:AにBに添加して均一に混合し、シェイキングファンデーションを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例3の組成物 0.5
2. KSG-18A(注1) 3
3. KF-6038(注2) 2
4. KSP-441(注3) 8
5. KP-550(注4) 1.5
6. ジステアルジモニウムヘクト 1.5
7. ジメチルシリル化シリカ 1.6
8. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
9. トリエチルヘキサノイン 6
10. イソドデカン 10
11. KF-96L-2cs 残量
12. KF-96A-6cs 6
13. KF-6106(注5) 0.75
14. 金属石鹸処理微粒子酸化チタン 3
15. KTP-09W(注6) 8.5
16. KTP-09Y(注7) 0.9
17. KTP-09R(注7) 0.5
18. KTP-09B(注7) 0.1
19. エタノール 6
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Phenyl Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy ))_85%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI: Lauryl PEG-9 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:ポリシリコーン-22(表示名称(INCI:Polysilicone-22))
(注4)信越化学工業(株)製:(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー(表示名称(INCI:Acrylates/Dimethicone Copolymer))
(注5)信越化学工業(株)製:ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI:Polyglyceryl-3 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
(注6)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(NCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化チタン
(注7)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化鉄
得られたシェイキンファンデーションは、塗布性、リッチ感に優れており、経時安定性が良好であった。
【0233】
[実施例16]
W/Oリキッドファンデーション
<化粧料の調製>
A:成分9~14を3本ロールにて分散した。
B:成分1~8を均一に混合した。
C:成分15~18を均一に混合した。
D:BにCを添加して乳化し、Aを加えて均一に混合し、W/Oリキッドファンデーションを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例10の組成物 2
2. KSG-15(注1) 2
3. KF-6017(注2) 2
4. KF-56A(注3) 5
5. ジステアルジモニウムヘクト 1
6. KF-995 17.1
7. KF-96A-6cs 5
8. KSP-100(注4) 2
9. パルミチン酸エチルヘキシル 5
10. KP-578(注5) 0.2
11. KTP-09W(注6) 15
12. KTP-09Y(注7) 0.9
13. KTP-09R(注7) 0.5
14. KTP-09B(注7) 0.1
15. BG 5
16. クエン酸Na 0.2
17. 塩化Na 0.5
18. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_7%とシクロペンタシロキサン(表示名称(INCI:Cyclopentasiloxane))_93%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:PEG-10ジメチコン(表示名称(INCI: PEG-10 Dimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy Phenyl Trimethicone))
(注4)信越化学工業(株)製:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Vinyl Dimethicone/Methicone Silsesquioxane Crosspolymer))
(注5)信越化学工業(株)製:(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー(表示名称(INCI: Acrylates/Ethylhexyl Acrylate/Dimethicone Methacrylate Copolymer))
(注6)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化チタン
(注7)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化鉄
得られたW/Oリキッドファンデーションは、塗布性、リッチ感に優れており、経時安定性が良好であった。
【0234】
[実施例17]
W/Oリキッドファンデーション
<化粧料の調製>
A:成分8~14を3本ロールにて分散した。
B:成分1~7を均一に混合した。
C:成分15~18を均一に混合した。
D:BにCを添加して乳化し、Aを加えて均一に混合し、W/Oリキッドファンデーションを得た。
成分 質量(%)
1. KSG-360Z(注1) 3
2. KSG-19(注2) 5
3. KF-6028(注3) 3
4. KF-96L-2cs 24.8
5. ジステアルジモニウムヘクト 1.2
6. ジカプリン酸PG 5
7. KF-7312L(注4) 1.5
8. エチルヘキサン酸セチル 6
9. 製造実施例3の組成物 0.5
10. 金属石鹸処理微粒子酸化チタン 5
11. KF-9901(注5)処理酸化チタン 8.5
12. KF-9901(注5)処理黄酸化鉄 0.9
13. KF-9901(注5)処理赤酸化鉄 0.5
14. KF-9901(注5)処理黒酸化鉄 0.1
15. DPG 5
16. クエン酸Na 0.2
17. 塩化Na 1
18. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:((PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:PEG-15/Lauryl Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone Crosspolymer)_35%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_93%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_85%の混合物
(注3)信越化学工業(株)製:PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(表示名称(INCI:PEG-9 Polydimethylsiloxyethyl Dimethicone))
(注4)信越化学工業(株)製:(トリメチルシロキシケイ酸(表示名称(INCI:Trimethylsiloxysilicater)
(注5)信越化学工業(株)製:ハイドロゲンジメチコン(表示名称(INCI: Hydrogen Dimethicone))
得られたW/Oリキッドファンデーションは、塗布性、リッチ感に優れており、経時安定性が良好であった。
【0235】
[実施例18]
BBクリーム
<化粧料の調製>
A:成分12~17を3本ロールにて分散した。
B:成分1~11を均一に混合した。
C:成分18~21を均一に混合した。
D:BにCを添加して乳化し、Aを加えて均一に混合し、BBクリームを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例3の組成物 3
2. KSG-42A(注1) 5
3. KF-6048(注2) 3
4. ジステアルジモニウムヘクト 1
5. イソドデカン 12
6. ラウリン酸へキシル 5
7. t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン 3
8. ホモサレート 8
9. オクトクリレン 5
10. サリチル酸エチルヘキシル 5
11. ビスエチルヘキシルオキシフェノール
メトキシフェニルトリアジン 1.5
12. イソノナン酸イソトリデシル 2
13. KF-6105 0.2
14. AES-3083(注3)処理酸化チタン 6
15. AES-3083(注3)処理黄酸化鉄 0.8
16. AES-3083(注3)処理赤酸化鉄 0.4
17. AES-3083(注3)処理黒酸化鉄 0.1
18. BG 5
19. クエン酸Na 0.2
20. 塩化Na 1
21. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Vinyl Dimethicone/Lauryl Dimethicone Crosspolymer)_20%とイソドデカン(表示名称(INCI:Isododecane))_80%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン(表示名称(INCI:Cetyl PEG/PPG-10/1 Dimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:トリエトキシカプリリルシラン(表示名称(INCI:Triethoxycaprylylsilane))
得られたBBクリームは、塗布性、リッチ感に優れており、経時安定性が良好であった。
【0236】
[実施例19]
流し込みファンデーション
<化粧料の調製>
A:成分1~12をホモミキサーにて分散後、成分13を加えて95℃まで加熱した。
B:成分14~20を85℃にて均一に混合した。
C:BにAを添加して乳化し、容器に充填して冷却し、流し込みファンデーションを得た。
成分 質量(%)
1. KSG-240(注1) 3
2. 製造実施例3の組成物 0.3
3. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5
4. オクトクリレン 2
5. ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.5
6. KF-56A(注2) 6
7. KF-6105 0.3
8. アルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛 4
9. KTP-09W(注3) 5
10. KTP-09Y(注4) 0.6
11. KTP-09R(注4) 0.3
12. KTP-09B(注4) 0.1
13. セレシン 2.4
14. フェノキシエタノール 0.2
15. PCA-Na 1
16. グリセリン 4
17. BG 8
18. クエン酸Na 0.2
19. 塩化Na 1
20. 水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー(表示名称(INCII:Dimethicone/(PEG-10/15)crosspolymer))_20%とシクロペンタシロキサン(表示名称(INCI:Cyclopentasiloxane))_80%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(表示名称(INCI:Diphenylsiloxy Phenyl Trimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化チタン
(注4)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化鉄
得られた流し込みファンデーションは、塗布性、リッチ感に優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。
【0237】
[実施例20]
マスカラ
<化粧料の調製>
A:成分1~9をディスパーにて分散後、成分10~12を加えて95℃まで加熱した。
B:Aを冷却し、マスカラを得た。
成分 質量(%)
1. TSPL-30―ID(注1) 10
2. イソドデカン 残量
3. ジステアルジモニウムヘクト 5
4. KP-574(注2)処理黒酸化鉄 5
5. KP-574(注2)処理タルク 5
6. KMP-590 5
7. 製造実施例10の組成物 1.2
8. 炭酸プロピレン 1.6
9. フェノキシエタノール 0.2
10. パルミチン酸デキストリン 2
11. 合成ワックス 6
12. パラフィンワックス 6
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン(表示名称(INCI:Trimethylsiloxysilylcarbamoyl Pullulan))
(注2)信越化学工業(株)製:(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー(表示名称(INCI:Acrylates/Tridecyl Acrylate/Triethoxysilylpropyl Methacrylate/Dimethicone Methacrylate Copolymer))
得られたマスカラは、塗布性、リッチ感に優れており、耐油性が良好であった。
【0238】
[実施例21]
リップスティック
<化粧料の調製>
A:成分9~16をロールミルにて分散した。
B:成分1~8を95℃まで加熱し、均一に混合した。
C:A、B、成分17~18を均一に混合し、85℃まで加熱した。
D:Cをスティック容器に充填しリップスティックを得た。
成分 質量(%)
1. ポリエチレン 7
2. マイクロクリスタリンワックス 3
3. KP-561P(注1) 10.5
4. トリエチルヘキサノイン 14
5. ジエチルヘキサンン酸ネオペンチルグリコール 14
6. ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 8
7. 水添ポリイソブテン 残量
8. KF-54HV(注2) 7.5
9. セリサイト 0.7
10. 赤色201号 適量
11. 赤色202号 適量
12. 黄色4号 適量
13. KTP-09W(注3) 2.7
14. KTP-09B(注4) 適量
15. KTP-09R(注4) 適量
16. トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 4
17. マイカ 6
18. 製造実施例11の組成物 1
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー(表示名称(INCI:Acrylates/Stearyl Acrylate/Dimethicone Methacrylate Copolymere))
(注2)信越化学工業(株)製:ジフェニルジメチコン(表示名称(INCI:Diphenyl Dimethicone))
(注3)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化チタン
(注4)信越化学工業(株)製:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(表示名称(INCI:Triethoxysilylethyl Polydimethylsiloxyethyl Hexyl Dimethicone))処理酸化鉄
得られたリップスティックは、塗布性、リッチ感に優れており、耐付着性が良好であった。
【0239】
[実施例22]
アウトバスヘアトリートメント
<化粧料の調製>
A:成分1~4を均一に混合した。
B:成分6~11を均一に混合した。
C:BをAに添加して乳化し、成分5を添加してアウトバストリートメントを得た。
成分 質量(%)
1. 製造実施例3の組成物 3
2. KSG-19(注2) 1
3. KF-6017(注3) 0.2
4. KF-96A-6cs 8.5
5. 香料 適量
6. ジプロピレングリコール 8
7. エタノール 5
8. パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9. クエン酸ナトリウム 0.2
10. 塩化ナトリウム 0.5
11. 精製水 残量
合計 100
(注1)信越化学工業(株)製:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(表示名称(INCI:Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer)_15%とジメチコン(表示名称(INCI:Dimethicone))_85%の混合物
(注2)信越化学工業(株)製:PEG-10ジメチコン(表示名称(INCI: PEG-10 Dimethicone))
得られたアウトバスヘアトリートメント は、指通りに優れており、みずみずしく経時安定性が良好であった。