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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103415
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】撮像装置及びカメラ
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/63 20230101AFI20230719BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230719BHJP
   H04N 25/79 20230101ALI20230719BHJP
【FI】
H04N25/63
H04N25/70
H04N25/79
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081964
(22)【出願日】2023-05-18
(62)【分割の表示】P 2021159240の分割
【原出願日】2013-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大河内 直紀
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮像装置及びカメラを提供する。
【解決手段】撮像装置は、光電変換された電荷により生成される第1画素信号を出力する第1画素と、光電変換された電荷により生成される第2画素信号を出力する第2画素とが配置される撮像部と、撮像部の外側に形成される第1周辺部と、撮像部の外側に形成される第2周辺部とを有する撮像チップと、第1周辺部において撮像チップに積層されるチップであって第1画素から出力された第1画素信号に信号処理を行う第1処理回路を有する第1信号処理チップと、第2周辺部において撮像チップに積層されるチップであって第2画素から出力された第2画素信号に信号処理を行う第2処理回路を有する第2信号処理チップと、を備え、第1信号処理チップと第2信号処理チップとは、撮像チップの外縁よりも内側で互いに離れて配置される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換された電荷により生成される第1画素信号を出力する第1画素と、光電変換された電荷により生成される第2画素信号を出力する第2画素とが配置される撮像部と、前記撮像部の外側に形成される第1周辺部と、前記撮像部の外側に形成される第2周辺部とを有する撮像チップと、
前記第1周辺部において前記撮像チップに積層されるチップであって前記第1画素から出力された前記第1画素信号に信号処理を行う第1処理回路を有する第1信号処理チップと、
前記第2周辺部において前記撮像チップに積層されるチップであって前記第2画素から出力された前記第2画素信号に信号処理を行う第2処理回路を有する第2信号処理チップと
を備え、
前記第1信号処理チップと前記第2信号処理チップとは、前記撮像チップの外縁よりも内側で互いに離れて配置される撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮像部は、前記撮像チップにおいて前記第1周辺部と前記第2周辺部との間に配置される撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記撮像部は、前記撮像チップにおいて前記第1周辺部と前記第2周辺部とに挟まれるように配置される撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記撮像チップは、
前記第1処理回路で信号処理が行われた前記第1画素信号が出力される第1電極パッドと、
前記第2処理回路で信号処理が行われた前記第2画素信号が出力される第2電極パッドと
を有する撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第1電極パッドからの前記第1画素信号が出力される第1配線と、前記第2電極パッドからの前記第2画素信号が出力される第2配線とを有する配線基板と、
前記配線基板において前記撮像チップを環囲するように配置される環囲部材と、
前記環囲部材に固定されるカバーガラスと
を備え、
前記配線基板、前記環囲部材および前記カバーガラスは、前記撮像チップ、前記第1信号処理チップおよび前記第2信号処理チップを収納する収納空間を形成する撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記環囲部材は、金属で構成される撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記環囲部材は、樹脂で構成される撮像装置。
【請求項8】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記環囲部材は、金属と樹脂とで構成される撮像装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第1電極パッドと前記第1配線とを接続する第1接続部と、
前記第2電極パッドと前記第2配線とを接続する第2接続部と
を備え、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記収納空間に収納される撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像装置において、
前記第1接続部は、前記第1電極パッドと前記第1配線とを電気的に接続する第1ワイヤを有し、
前記第2接続部は、前記第2電極パッドと前記第2配線とを電気的に接続する第2ワイヤを有する撮像装置。
【請求項11】
請求項9に記載の撮像装置において、
前記第1接続部は、前記第1電極パッドと前記第1配線とを電気的に接続する第1バンプを有し、
前記第2接続部は、前記第2電極パッドと前記第2配線とを電気的に接続する第2バンプを有する撮像装置。
【請求項12】
請求項5から請求項11のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記カバーガラスは、接着剤により前記環囲部材に固定される撮像装置。
【請求項13】
請求項3から請求項12のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第1信号処理チップは、前記撮像チップよりもチップサイズが小さい撮像装置。
【請求項14】
請求項3から請求項13のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第2信号処理チップは、前記撮像チップよりもチップサイズが小さい撮像装置。
【請求項15】
請求項3から請求項14のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記撮像チップと前記第1信号処理チップとは、第1貫通電極により電気的に接続され、
前記撮像チップと前記第2信号処理チップとは、第2貫通電極により電気的に接続される撮像装置。
【請求項16】
請求項15に記載の撮像装置において、
前記第1信号処理チップと前記第2信号処理チップとの間隔は、前記第1貫通電極と前記第2貫通電極との間隔よりも短い撮像装置。
【請求項17】
請求項3から請求項14のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記撮像チップと前記第1信号処理チップとは、第1コイルにより電気的に接続され、
前記撮像チップと前記第2信号処理チップとは、第2コイルにより電気的に接続される撮像装置。
【請求項18】
請求項3から請求項17のいずれか一項に記載の撮像装置を備えるカメラ。
【請求項19】
請求項18に記載のカメラにおいて、
前記第1処理回路で信号処理が行われた前記第1画素信号と、前記第2処理回路で信号処理が行われた前記第2画素信号とに画像処理を行う画像処理部を備えるカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
MOSイメージセンサチップと信号処理チップが積層された半導体モジュールが知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2006-49361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
信号処理チップは、撮像チップから出力された画素信号を処理する処理回路を有する。この処理回路は、動作時に熱を発生する。処理回路で発生した熱は、撮像チップの撮像領域に集中する場合がある。そうすると、撮像領域では、処理回路で発生した熱に起因して暗電流が増加する。その結果、画質は低下する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における撮像装置は、光電変換された電荷により生成される第1画素信号を出力する第1画素と、光電変換された電荷により生成される第2画素信号を出力する第2画素とが配置される撮像部と、撮像部の外側に形成される第1周辺部と、撮像部の外側に形成される第2周辺部とを有する撮像チップと、第1周辺部において撮像チップに積層されるチップであって第1画素から出力された第1画素信号に信号処理を行う第1処理回路を有する第1信号処理チップと、第2周辺部において撮像チップに積層されるチップであって第2画素から出力された第2画素信号に信号処理を行う第2処理回路を有する第2信号処理チップと、を備え、第1信号処理チップと第2信号処理チップとは、撮像チップの外縁よりも内側で互いに離れて配置される。
【0005】
本発明の第2の態様におけるカメラは、上記の撮像装置を備える。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の撮像装置の模式斜視図である。
図2】撮像装置の模式断面図である。
図3】本実施形態のカメラの構成を示すブロック図である。
図4】撮像装置の模式断面図である。
図5】撮像装置の模式断面図である。
図6】撮像装置の模式断面図である。
図7】撮像装置の模式断面図である。
図8】撮像装置の模式断面図である。
図9】撮像装置の模式断面図である。
図10】撮像装置の模式断面図である。
図11】撮像装置の模式断面図である。
図12】撮像装置の模式断面図である。
図13】撮像装置の模式断面図である。
図14】撮像装置の模式断面図である。
図15】撮像装置の模式断面図である。
図16】撮像装置の模式断面図である。
図17】撮像装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態の撮像装置の模式斜視図である。撮像装置100は、撮像チップ101、光学素子としてのカバーガラス111、信号処理チップ121、及びフレキシブル基板141を含んで構成される。図1では、図面を簡略化する目的で、撮像チップ101と信号処理チップ121の間のバンプ、信号処理チップ121とフレキシブル基板141の間のバンプ等を省略している。また、後述する接着層131を見易くするために、図2と同一のハッチングを施している。図1において、被写体光束が撮像チップ101へ入射する方向をz軸方向とする。撮像チップ101の長手方向をx軸方向、短手方向をy軸方向とする。x軸プラス方向は紙面右方向、x軸マイナス方向は紙面左方向である。
【0010】
撮像チップ101は、被写体光束が入射する面である第1面側に撮像領域を有する。本明細書において、撮像チップ101の受光面とは反対側の面である第2面において撮像領域に対向する領域を対向領域110と称す。
【0011】
信号処理チップ121は、撮像チップ101の第2面側に積層される。信号処理チップ121は、撮像チップ101から出力された画素信号を処理する処理回路を有する。撮像チップ101と信号処理チップ121のサイズは、互いに異なる。ここでは、信号処理チップ121のy軸方向の幅は、撮像チップ101のy軸方向の幅と略同一である。一方、信号処理チップ121のx軸方向の幅は、撮像チップ101のx軸方向の幅の1/3程度である。
【0012】
信号処理チップ数は、画素信号の読み出し方式に応じて適宜決定される。本実施形態では、画素信号の読み出し方式として2チャンネル読み出しを採用する。したがって、本実施形態では、信号処理チップ数は2つである。2つの信号処理チップ121の一方は撮像チップ101の左端に沿って配置され、他方は撮像チップ101の右端に沿って配置されている。2つの信号処理チップ121は、撮像チップ101における第2面の外縁からx軸方向、y軸方向にはみ出すことなく配置されている。これにより、撮像装置100をx軸方向、y軸方向に小型化できる。
【0013】
2つの信号処理チップ121は、x軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。したがって、2つの信号処理チップ121はいずれも、対向領域110の一部を覆っているだけである。換言すると、対向領域110は、信号処理チップ121により覆われていない部分を有する。
【0014】
ここで、対向領域110の全体が信号処理チップ121に覆われていれば、処理回路で発生した熱は撮像領域に集中し得る。熱が撮像領域に集中すると、当該熱に起因する暗電流が増加する。その結果、画質は低下する。
【0015】
本実施形態の撮像装置100によれば、2つの信号処理チップ121は、対向領域110の中央部分を避けて撮像チップ101の左右両端に寄せて配置されている。すなわち、2つの信号処理チップ121の間に空間が形成されている。この構成によれば、信号処理チップ121の処理回路で発生した熱の一部を当該空間に放熱できる。したがって、撮像領域での熱の滞留を低減できる。その結果、撮像領域において、熱に起因して発生する暗電流を低減できる。
【0016】
信号処理チップ121は、可撓性を有する基板としてフレキシブル基板141に接続される。フレキシブル基板141は、外部回路に接続される。フレキシブル基板141は、信号処理チップ121のうち撮像チップ101側の面である第3面とは反対側の面に接続される。
【0017】
接着層131は、撮像チップ101のうち被写体光束が入射する面の外縁に形成されている。接着層131は、撮像領域を取り囲むように形成されている。接着層131は、撮像チップ101とカバーガラス111を接着する。
【0018】
図2は、撮像装置の模式断面図である。具体的には、撮像チップ101の中心を通るxz平面の模式断面図である。
【0019】
撮像チップ101は、表面照射型のMOSイメージセンサである。撮像チップ101は、上述した撮像領域102に加えて、回路パターン103、貫通電極104、及び電極パッド105を有する。
【0020】
撮像領域102は、撮像チップ101の中央部分に形成される。撮像領域102には、受光した被写体像を光電変換する画素が複数配列されている。
【0021】
回路パターン103、貫通電極104、及び電極パッド105は、撮像領域102の外縁から右側にずれた周辺領域、左側にずれた周辺領域にそれぞれ形成されている。電極パッド105は、撮像チップ101の第2面に形成されている。回路パターン103と電極パッド105は、貫通電極104を介して電気的に接続されている。回路パターン103は、画素から読み出された画素信号を貫通電極104に出力する。貫通電極104は、回路パターン103から出力された画素信号を電極パッド105に出力する。電極パッド105は、後述する電極パッド125に画素信号を出力する出力部として機能する。
【0022】
信号処理チップ121は、上述した処理回路に加えて、貫通電極124、電極パッド125、及び電極パッド126を有する。電極パッド125は、信号処理チップ121の第3面に形成されている。一方、電極パッド126は、信号処理チップ121のうちフレキシブル基板141側の面に形成されている。電極パッド125と電極パッド126は、貫通電極124を介して電気的に接続されている。貫通電極124は、処理回路によって処理された画素信号をフレキシブル基板141に出力する。
【0023】
信号処理チップ121の電極パッド125は、バンプ132を介して撮像チップ101の電極パッド105に電気的に接続される。電極パッド125は、出力部から出力された画素信号を入力する入力部として機能する。なお、電極パッド105と電極パッド125の間に介在するバンプ132を出力部または入力部とみなすこともできる。撮像チップ101と信号処理チップ121は、接着剤133により接着される。
【0024】
フレキシブル基板141は、電極パッド144を有する。電極パッド144は、バンプ134を介して信号処理チップ121の電極パッド126に電気的に接続される。電極パッド144と電極パッド126の接続部分は、接着剤135によって接着される。フレキシブル基板141は、信号処理チップ121の貫通電極124を介して受信した画素信号を外部回路に出力する。
【0025】
カバーガラス111は、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、無アルカリガラス、耐熱ガラス等により形成される。カバーガラス111は、撮像領域102に対向して接着層131上に配置され、接着層131を介して撮像チップ101に接着されている。接着層131は、撮像チップ101とカバーガラス111の間に介在し、撮像領域102を取り囲むように形成されている。接着層131の材料として、熱硬化性接着剤等を用いることができる。カバーガラス111は、接着層131の厚みにより撮像チップ101と離間しつつ、撮像領域102を封止する。
【0026】
図3は、本実施形態に係るカメラの構成を示すブロック図である。カメラ150は、撮影光学系としての撮影レンズ420を備え、撮影レンズ420は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像装置100へ導く。撮影レンズ420は、カメラ150に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。カメラ150は、撮像装置100、システム制御部401、ワークメモリ404、記録部405、及び表示部406を主に備える。
【0027】
撮影レンズ420は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。なお、図3では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで代表して表している。システム制御部401は、撮像装置100のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する。
【0028】
撮像装置100は、画素信号をシステム制御部401の画像処理部411へ引き渡す。画像処理部411は、ワークメモリ404をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ホワイトバランス処理、ガンマ処理等を施した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部405に記録されるとともに、表示信号に変換されて表示部406に表示される。
【0029】
以上の説明では、撮像装置100は外部回路との接続部材としてフレキシブル基板141を備える構成であったが、他の接続部材を備える構成であってもよい。図4は、変形例1の撮像装置の模式断面図である。
【0030】
撮像装置200は、フレキシブル基板の替わりにリジッド基板である配線基板151を備える。撮像装置200は、配線基板151を介して画素信号を外部回路へ出力する。配線基板151としてセラミック基板、ガラエポ基板等を用いることができる。撮像装置200において、信号処理チップ121の貫通電極124は、処理回路によって処理された画素信号を配線基板151に出力する。配線基板151は、電極パッド152を有する。電極パッド152は、バンプ134を介して信号処理チップ121の電極パッド126に電気的に接続される。配線基板151は、信号処理チップ121の第3面とは反対側の面に、接着剤135を介して固定される。このように配線基板151は、信号処理チップ121と隣接して配置されて電気的に接続される。
【0031】
外部回路との接続部材として配線基板151を用いる構成は、図4に示した構成に限らない。図5は、変形例2の撮像装置の模式断面図である。撮像装置300は、四角環状の形状を有する環囲部材161を備える。環囲部材161は、配線基板151に配置されて撮像チップ101を環囲する。環囲部材161は、アルミニウム、真鍮、鉄、ニッケル合金等の金属により形成される。環囲部材161の材料として樹脂を用いることもできるし、金属と樹脂がインサート成形された材料を用いることもできる。詳しくは後述するが、撮像装置300の密封性を高めることを重視する場合には、環囲部材161の材料として金属を用いるとよい。カバーガラス111は、環囲部材161上に配置され、接着層131により接着される。
【0032】
カバーガラス111にゴミ、異物等が付着したり、カバーガラス111に傷がついたりする場合には、撮像画像にそれらが写りこむ恐れがある。配線基板151とカバーガラス111の間に環囲部材161を介在させ、撮像チップ101とカバーガラス111の間隔を拡げることにより、写りこみによる影響を低減できる。加えて、カバーガラス111端面の反射による迷光が撮像領域102に到達し難くなる。環囲部材161を用いることにより撮像チップ101とカバーガラス111の間隔を拡げることができる一方で、撮像装置300のz軸方向の厚みは、環囲部材161を用いない場合に比べて厚くなる。環囲部材161の厚みは、写りこみの低減および撮像装置100の小型化の観点から適宜調整される。
【0033】
カバーガラス111、配線基板151、及び環囲部材161によって密封空間が形成される。撮像チップ101は、密封空間内に配置される。ここで、撮像装置300の内部に外部環境の水分及びガスが侵入すると、撮像チップ101の撮像性能が低下する。具体的には、外部環境の水分が密封空間内に浸入すると、密封空間内外の温度差によって撮像チップ101、カバーガラス111に結露する。結露及び結露が原因でカビが生じると、結像する光学像を歪めるので、ノイズが増加する。一方、外部環境のガスが密封空間内に侵入すると、撮像チップ101内部の回路の酸化及び腐食を促進し、撮像チップ101の破壊を招く。撮像チップ101が密封空間内に配置されることにより、撮像チップ101が外部環境の水分及びガスの影響を受け難くなるので、ノイズの増加を抑制できるとともに、撮像チップ101の破壊を回避できる。
【0034】
外部回路との接続部材として配線基板151を用いる他の構成について説明する。図6は、変形例3の撮像装置の模式断面図である。
【0035】
撮像装置400は、撮像チップ101の表面に電極パッド106を備える。電極パッド106は、貫通電極104を介して電極パッド105に電気的に接続される。配線基板151は、電極パッド152を備える。電極パッド152は、ワイヤボンディング171を介して電極パッド106に電気的に接続される。
【0036】
撮像装置400の構成によれば、画素から読み出された画素信号は、貫通電極104を介して信号処理チップ121に一旦出力される。画素信号は、信号処理チップ121の処理回路により処理された後、再び撮像チップ101に出力される。その後、ワイヤボンディング171を介して配線基板151に出力される。
【0037】
図4で示した撮像装置200及び図5で示した撮像装置300では、信号処理チップ121が配線基板151に電気的に接続される構成であった。このため、信号処理チップ121は、配線基板151に画素信号を出力するための貫通電極124を備えていた。これに対し、撮像装置400の構成によれば、信号処理チップ121が貫通電極124を備えないので、製造工程および製造コストの観点で有利である。
【0038】
信号処理チップ121に貫通電極を形成しない構成は、図6で示した構成に限らない。図7は、変形例4の撮像装置の模式断面図である。
【0039】
撮像装置500の配線基板151は、第2面において撮像領域102に対向する領域(すなわち対向領域)に向けて突出する凸状のランド部153を有する。ランド部153は、信号処理チップ121が配置される領域を避けて配線基板151の中央部分に形成されている。ランド部153は、撮像チップ101で発生した熱を逃がす放熱部材として機能する。つまり、ランド部153は、対向領域に当接する放熱部材といえる。このように、撮像装置500では、2つの信号処理チップ121の間の空間に放熱部材が配置される。放熱特性を重視する場合には、ランド部153と撮像チップ101の接着面は大きいほどよい。
【0040】
一方、撮像チップ101の線膨張係数と配線基板151の線膨張係数は、互いに異なる。このため、撮像チップ101と配線基板151が接合されてから加熱あるいは冷却されると、これらに反りが発生する。これは、加熱あるいは冷却による膨張量あるいは収縮量が、撮像チップ101と配線基板151とで異なることに起因する。反り防止を重視する場合には、ランド部153と撮像チップ101の接着面は小さいほどよい。
【0041】
配線基板151は、ランド部153を介して接着剤136により撮像チップ101に固定される。接着剤136として弾性接着剤を用いるとよい。弾性接着剤として、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等を用いることができる。接着剤136として弾性接着剤を用いることにより、撮像チップ101と配線基板151が接合されてから加熱あるいは冷却された場合に、撮像チップ101と配線基板151の線膨張係数の差に起因して生じる応力を吸収することができる。
【0042】
配線基板151と信号処理チップ121は、放熱媒体137を介して接している。放熱媒体137は、例えばシリコングリースである。配線基板151と信号処理チップ121は、放熱媒体137によって熱的に連結される。これにより、信号処理チップ121の処理回路で発生する熱を配線基板151に放熱できる。したがって、処理回路から撮像チップ101側に放熱される熱を低減できる。
【0043】
図8は、変形例5の撮像装置の模式断面図である。撮像装置600の配線基板151は、撮像領域102に対応する開口部155を有し、撮像チップ101のうち受光面側に固定される。カバーガラス111は、開口部155を覆って配線基板151に接着層131により接着される。
【0044】
配線基板151は、電極パッド154を有する。電極パッド154は、バンプ138を介して撮像チップ101の電極パッド106に電気的に接続される。電極パッド154と電極パッド106の接続部分は、接着剤139によって接着される。接着剤139は、撮像領域102を取り囲むように形成されている。
【0045】
図4~7で示した撮像装置の構成では、配線基板151は、信号処理チップ121の第3面とは反対側の面に配置された。これに対し、撮像装置600の構成によれば、配線基板151が撮像チップ101の受光面側に配置される。したがって、上記の環囲部材を用いることなく、カバーガラス111が撮像チップ101に配置される場合に比べて、撮像チップ101とカバーガラス111の間の距離を拡げることができる。
【0046】
以上の説明では、2つの信号処理チップ121は、撮像チップ101の外縁からx軸方向、y軸方向にはみ出すことなく配置されていたが、撮像チップ101の外縁からはみ出して配置されてもよい。図9は、変形例6の撮像装置の模式断面図である。
【0047】
撮像装置700の信号処理チップ121は、第3面に電極パッド127を備える。電極パッド127は、信号処理チップ121のうち撮像チップ101の外縁からx軸方向にはみ出した部分に形成されている。この構成によれば、第3面に電極パッド127を形成できる。したがって、第3面とは反対側の面に電極パッドを形成し、当該電極パッドと電極パッドを電気的に接続するための貫通電極をわざわざ形成しなくてもよい。電極パッド127は、バンプ140を介してフレキシブル基板141の電極パッド145に電気的に接続される。電極パッド127と電極パッド145の接続部分は、接着剤135によって接着される。
【0048】
信号処理チップ121を撮像チップ101の外縁からx軸方向にはみ出して配置することにより、対向領域を完全に避けて撮像チップ101に積層できる。これにより、処理回路で発生した熱は、より一層撮像領域102に放熱され難くなる。
【0049】
2つの信号処理チップ121が撮像チップ101の外縁からx軸方向にはみ出して配置されている場合も、上述した様々な構成をとり得る。図10は、変形例7の撮像装置の模式断面図である。撮像装置800は、撮像チップ101、信号処理チップ121、及びカバーガラス111に加えて、接続部材としての配線基板151と、環囲部材161とを備える。信号処理チップ121の電極パッド127は、ワイヤボンディング171を介して配線基板151の電極パッド152に電気的に接続される。したがって、この構成によれば、信号処理チップ121に出力された画素信号を、撮像チップ101に再度出力することなく、配線基板151に出力できる。また、上述のように、環囲部材161により撮像チップ101が外部環境の水分及びガスの影響を受け難くなるので、ノイズの増加を抑制できるとともに、撮像チップ101の破壊を回避できる。
【0050】
図11は、変形例8の撮像装置の模式断面図である。撮像装置900の配線基板151は、対向領域に向けて突出する凸状のランド部153を備える。配線基板151は、ランド部153を介して接着剤136により撮像チップ101に固定される。これにより、撮像チップ101で発生した熱を逃がすことができる。このように、撮像装置900では、2つの信号処理チップ121の間の空間に放熱部材が配置される。また、接着剤136として弾性接着剤を用いることにより、撮像チップ101と配線基板151の線膨張係数の差に起因して生じる応力を吸収することができる。配線基板151と信号処理チップ121は、放熱媒体137を介して接している。これにより、信号処理チップ121の処理回路で発生する熱を配線基板151に放熱できる。
【0051】
図12は、撮像装置の模式断面図である。撮像装置1000の配線基板151は、撮像チップ101に対応する開口部155を有する。撮像チップ101は、配線基板151の開口部155に収容される。配線基板151は、信号処理チップ121の第3面に固定される。信号処理チップ121の電極パッド127は、バンプ140を介して配線基板151の電極パッド156に電気的に接続される。電極パッド127と電極パッド156の接続部分は、接着剤135により接着される。
【0052】
図13は、撮像装置の模式断面図である。撮像装置1100の左側の信号処理チップ121は、撮像チップ101の左端からx軸プラス方向に入り込んで配置されている。一方、右側の信号処理チップ121は、撮像チップ101の右端からx軸マイナス方向に入り込んで配置されている。フレキシブル基板141は、信号処理チップ121が撮像チップ101の端部からずれて配置されることにより生まれた空間に配置されている。このように、フレキシブル基板141は、信号処理チップ121ではなく、撮像チップ101に電気的に接続されてもよい。撮像装置1100の構成によれば、図9で示した撮像装置700に比べてx軸方向に小型化できる。
【0053】
図14は、撮像装置の模式断面図である。撮像装置1200の配線基板151のランド部153は、配線基板151の外縁部分に形成されている。配線基板151は、ランド部153に電極パッド157を有する。電極パッド157は、バンプ140を介して撮像チップ101の電極パッド107に電気的に接続される。このように、配線基板151のランド部153は、配線基板151の中央部分以外に形成されてもよい。
【0054】
図15は、撮像装置の模式断面図である。撮像装置1300の配線基板151は、信号処理チップ121に対応する開口部155を有する。信号処理チップ121は、配線基板151の開口部155に収容される。配線基板151の電極パッド157は、バンプ140を介して撮像チップ101の電極パッド107に電気的に接続される。このように、配線基板151と撮像チップ101がバンプ接合により電気的に接続される場合に、配線基板151は、撮像チップ101の受光面とは反対側の面に配置することもできる。
【0055】
以上の説明では、放熱部材として機能する配線基板151のランド部153は、撮像チップ101に接着されていた。放熱部材は、信号処理チップ121に接着されてもよい。図16は、撮像装置の模式断面図である。撮像装置1400は、放熱部材181を有する。放熱部材181は、放熱媒体137を介して信号処理チップ121に接している。これにより、信号処理チップ121で発生した熱は、放熱部材181を介して放熱される。したがって、撮像チップ101側に放熱される熱を低減できる。その結果、信号処理チップ121で発生した熱により発生する暗電流を低減できる。放熱部材181はフィン状であることが好ましい。これにより、放熱部材181の放熱面積が大きくなるので、より放熱特性を高めることができる。
【0056】
図17は、撮像装置の模式断面図である。撮像装置1500のフレキシブル基板141は、撮像チップ101と信号処理チップ121に挟まれた構造になっている。バンプ134とバンプ132の厚さは互いに異なる。具体的には、バンプ132の厚さは、フレキシブル基板141の厚み分だけバンプ134の厚さより厚くなっている。このようにバンプの厚さを工夫することにより、フレキシブル基板141が撮像チップ101と信号処理チップ121に挟まれた構造を実現できる。
【0057】
撮像チップ101は、裏面照射型のMOSイメージセンサでもよい。この場合には、撮像チップ101において、複数の画素が画素信号を貫通電極に出力する配線を含む配線層より被写体像の入射側に配置される。裏面照射型の撮像チップ101の場合には、撮像チップが研磨されるので、表面照射型の撮像チップに比べて厚さが薄くなる。このため、撮像チップのうち受光面とは反対側の面にサポート基板が貼り合わされた上で、サポート基板に信号処理チップが配置される場合がある。この場合には、サポート基板に貫通電極を形成するとよい。これにより、撮像チップと信号処理チップをサポート基板の貫通電極を介して電気的に接続できる。
【0058】
撮像チップ101の画素信号は、電磁結合を利用した無線通信によって信号処理チップ121に送信されてもよい。この場合には、撮像チップ101及び信号処理チップ121のそれぞれは、互いに対向するよう形成されたコイルを有する。
【0059】
以上の説明では、配線基板151のランド部153が撮像チップ101で発生した熱を逃がす放熱部材として機能する構成であったが、配線基板151と放熱部材は、一体的に形成されなくてもよい。また、撮像チップ101及び信号処理チップ121のそれぞれに個別に放熱部材が配置されてもよい。
【0060】
以上の説明では、信号処理チップ121の数が2つである構成であったが、1つであってもよい。また、信号処理チップ121の数は、3つ以上であってもよい。以上の説明では、光学素子としてカバーガラス111を用いたが、カバーガラス111に替えてローパスフィルタ、IRカットフィルタ等を用いてもよい。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0062】
100 撮像装置、200 撮像装置、300 撮像装置、400 撮像装置、500 撮像装置、600 撮像装置、700 撮像装置、800 撮像装置、900 撮像装置、1000 撮像装置、1100 撮像装置、1200 撮像装置、1300 撮像装置、1400 撮像装置、1500 撮像装置、101 撮像チップ、102 撮像領域、103 回路パターン、104 貫通電極、105 電極パッド、106 電極パッド、107 電極パッド、110 対向領域、111 カバーガラス、121 信号処理チップ、124 貫通電極、125 電極パッド、126 電極パッド、127 電極パッド、131 接着層、132 バンプ、133 接着剤、134 バンプ、135 接着剤、136 接着剤、137 放熱媒体、138 バンプ、139 接着剤、140 バンプ、141 フレキシブル基板、144 電極パッド、145 電極パッド、150 カメラ、151 配線基板、152 電極パッド、153 ランド部、154 電極パッド、155 開口部、156 電極パッド、157 電極パッド、161 環囲部材、171 ワイヤボンディング、181 放熱部材、401 システム制御部、404 ワークメモリ、405 記録部、406 表示部、411 画像処理部、420 撮影レンズ
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10
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