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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103428
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】多孔性金属酸化物ミクロスフィア
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/18 20060101AFI20230719BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20230719BHJP
   C01G 9/02 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C01B33/18 Z
C09D17/00
C01G9/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023082563
(22)【出願日】2023-05-18
(62)【分割の表示】P 2020514601の分割
【原出願日】2018-09-10
(31)【優先権主張番号】62/556,792
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルパ ヒレマス ダルジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ポール ニューハウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィノサン マノハラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリア フワン
(72)【発明者】
【氏名】アンナ スティーヴンソン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物理的構造に依拠し光干渉効果により色を呈する構造着色剤としての使用に適する、多孔性金属酸化物ミクロスフィア、その製造法、およびその使用を提供する。
【解決手段】ポリマーナノ粒子と金属酸化物との分散液を製造すること;該分散体の液滴を製造すること;該液滴を乾燥させて、ポリマーナノスフィアを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること;および該鋳型ミクロスフィアから該ポリマーナノスフィアを除去して、多孔性金属酸化物ミクロスフィアを得ることを含むプロセスにより、多孔性金属酸化物ミクロスフィアが製造される。該多孔性ミクロスフィアは、飽和色を呈し、さまざまなエンドユーズのための着色剤として適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物を含む多孔性金属酸化物ミクロスフィアを製造する方法であって、
ポリマーナノ粒子と金属酸化物との分散液を製造すること;
前記分散体の液滴を製造すること;
前記液滴を乾燥させて、ポリマーナノスフィアと金属酸化物とを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること;および
前記鋳型ミクロスフィアから前記ポリマーナノスフィアを除去して、前記多孔性金属酸化物ミクロスフィアを得ること、
を含み、
前記ミクロスフィアが、
約0.5μm~約100μmの平均直径、
約0.10~約0.80の平均多孔度、および
約50nm~約999nmの平均孔径を有する、方法。
【請求項2】
ポリマーナノ粒子と前記金属酸化物との分散液を製造すること、前記分散液を噴霧乾燥させてポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること、および前記鋳型ミクロスフィアから前記ポリマーナノスフィアを除去することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
振動ノズルで前記液滴を製造することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記液滴が水滴または油滴である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
連続相を準備すること、および前記分散液と前記連続相とを混合して、分散した分散液滴を含有するエマルジョンを製造すること、および前記液滴を収集することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記液滴を乾燥させて、ポリマーナノスフィアと金属酸化物とを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること、および前記鋳型ミクロスフィアから前記ポリマーナノスフィアを除去することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記液滴を乾燥させることが、マイクロ波照射、オーブン乾燥、真空乾燥、乾燥剤の存在下での乾燥、またはその組み合わせを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記液滴がミクロ流体デバイス内で作られる、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーナノ粒子と前記金属酸化物とのwt/wt比が、約0.5/1~約10.0/1である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーナノ粒子が、約50nm~約990nmの平均直径を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、その誘導体、その塩、そのコポリマー、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記多孔性ミクロスフィアが単分散である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記多孔性金属酸化物ミクロスフィアが、ミクロスフィアのバルク試料である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記鋳型ミクロスフィアから前記ポリマーナノスフィアを除去することが、か焼、熱分解、または溶媒除去を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーナノスフィアを除去することが、前記鋳型ミクロスフィアを約350℃~約700℃の温度で約1時間~約8時間かけてか焼することを含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1から8までのいずれか1項にしたがい製造された、多孔性ミクロスフィア。
【請求項18】
請求項1から8までのいずれか1項にしたがい製造された多孔性ミクロスフィアのバルク試料。
【請求項19】
金属酸化物を含む多孔性ミクロスフィアであって、
約1μm~約75μmの平均直径、
約0.45~約0.65の平均多孔度、および
約50nm~約800nmの平均孔径を有する、
ミクロスフィア。
【請求項20】
約1μm~約75μmの平均直径を有する、請求項1記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項21】
約50nm~約800nmの平均孔径を有する、請求項1記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項22】
約0.45~約0.65の平均多孔度を有する、請求項1記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項23】
約4.5μm~約9.9μmの平均直径;
約0.45~約0.65の平均多孔度;および
約220nm~約300nmの平均孔径を有する、
請求項19記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項24】
前記ミクロスフィアの総重量に対し約60.0wt%~約99.9wt%の金属酸化物を含む、請求項19から23までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項25】
前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項19から23までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項26】
前記ミクロスフィアの総重量に対し、約0.1wt%~約40.0wt%の1種または複数種の光吸収剤を含む、請求項19から23までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項27】
前記多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる色を呈する、請求項19から23までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項28】
単分散である、請求項19から23までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項29】
基体と、請求項19から23までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィアとを含む、組成物。
【請求項30】
水性配合物、油性配合物、インク、コーティング配合物、食品、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料である、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
金属酸化物を含む多孔性ミクロスフィアであって、前記多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる色を呈する、多孔性ミクロスフィア。
【請求項32】
前記多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度非依存色を呈する、請求項31記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項33】
前記多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度依存色を呈する、請求項31記載の多孔性ミクロスフィア。
【請求項34】
基体と、請求項31から33までのいずれか1項記載の多孔性ミクロスフィアとを含む、組成物。
【請求項35】
水性配合物、油性配合物、コーティング配合物、食品、インク、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料である、請求項34記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多孔性金属酸化物ミクロスフィア、その製造法、およびその使用が開示される。該ミクロスフィアは、たとえば構造着色剤としての使用に適している。
【0002】
発明の背景
従来の顔料および染料は、化学的構造に依拠し、光の吸収および反射により色を呈する。構造着色剤は、化学的構造ではなく物理的構造に依拠し、光干渉効果により色を呈する。構造着色剤は、自然界では、たとえば鳥の羽、蝶の翅、特定の宝石用原石に見られる。構造着色剤は、可視光に干渉して色を生成するくらい小さい顕微鏡的構造表面を含有する物質である。そのような物質は、限定ではないが、オパール、逆オパール、フォトニック微小体、フォトニックスフィア、または複合フォトニック結晶といったフォトニック材料に基づき得る。「フォトニック材料」という用語は、その構造にある程度の周期的変化を有する材料を指す。
【0003】
構造着色剤は、高い安定性を呈し得る。したがって、バルクで存在する場合に、裸眼で観測可能な、可視光の異なる色を呈する構造着色剤が望ましい。そのような構造着色剤は、安定性がより低いおよび/または環境に対し配慮の足りない顔料または染料の代わりに消費者製品に配合することができる。
【0004】
特定の多孔性金属酸化物ミクロスフィアが、バルクで高品質の色を呈することが見出された。該ミクロスフィアは、バルクで可視の色を提供する。
【0005】
発明の概要
したがって、金属酸化物を含む多孔性金属酸化物ミクロスフィアを製造する方法が開示され、該方法は、ポリマーナノ粒子と金属酸化物との分散液を製造すること;該分散体の液滴を製造すること;該液滴を乾燥させて、ポリマーナノスフィアと金属酸化物とを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること;および鋳型ミクロスフィアからポリマーナノスフィアを除去して、多孔性金属酸化物ミクロスフィアを得ること、を含む。
【0006】
金属酸化物を含む多孔性ミクロスフィアであって、約0.5μm~約100μmの平均直径、約0.10~約0.90または約0.10~約0.80の平均多孔度、および約50nm~約999nmの平均孔径を有するミクロスフィアも開示される。
【0007】
金属酸化物を含む多孔性ミクロスフィアであって、該多孔性ミクロスフィアのバルク試料が人間の眼で観測できる色を呈する多孔性ミクロスフィアも、開示される。
【0008】
基体と本多孔性ミクロスフィアとを含む組成物も開示され、たとえば該組成物は、水性配合物、油性配合物、コーティング配合物、食品、インク、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料である。
【0009】
本明細書に記載の開示は、添付図では、限定としてではなく、例として例示されている。簡潔かつ明瞭に例示するために、図で例示される諸特徴は、必ずしも一律の縮尺どおりとは限らない。たとえば、いくつかの特徴の寸法は、明瞭さを期して、他の特徴に対し強調されている場合もある。さらに、対応のまたは同様の要素を指すために、適宜、図をまたいで参照符号が繰り返されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の多孔性ミクロスフィアの製造の概要である。
図2】本発明の一実施形態のポリマー鋳型ミクロスフィアの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3】本発明の一実施形態の多孔性シリカミクロスフィアのSEM画像である。
図4】本発明のいくつかの実施形態の噴霧乾燥プロセスの代表図である。
【0011】
発明の詳細な説明
本金属酸化物ミクロスフィア、またはフォトニックボールは、高分子犠牲鋳型を用いて製造することができる。一実施形態では、ポリマー粒子と金属酸化物とを含有する水性コロイド分散体が製造され、該ポリマー粒子は一般的にはナノスケールである。この水性コロイド状分散体は、たとえばミクロ流体デバイス内で、油連続相と混合されて、油中水型エマルジョンを生成する。エマルジョン水滴を製造し、収集し、そして乾燥させて、ポリマーナノ粒子と金属酸化物とを含有するミクロスフィアを製造する。次いでポリマーナノ粒子(ナノスフィア)が、たとえばか焼により除去されて、多孔度が高い、ナノスケールの孔を含む、球体のミクロンスケールの金属酸化物粒子(ミクロスフィア)が得られる。ポリマー粒子が球体かつ単分散である結果、該ミクロスフィアは均一の孔径を有することができる。
【0012】
図1は、本多孔性ミクロスフィアの製造の概要を示す。ポリマーナノスフィアと金属酸化物とを含有するエマルジョン液滴を乾燥させて溶媒を除去すると、ポリマーナノスフィアを含有するミクロスフィアの集合体が得られ、該ポリマーナノスフィアが相互の間隙スペースに金属酸化物を含んでいる(鋳型ミクロスフィアまたは「順構造」)。該ポリマーナノスフィアが間隙スペースを画定する。か焼の結果、ポリマーが除去され、多孔度または空隙体積の大きい本金属酸化物ミクロスフィアが得られる(逆構造)。
【0013】
多孔性金属酸化物ミクロスフィアは、有利には焼結され、結果として熱的および機械的に安定した連続固体構造が得られる。
【0014】
いくつかの実施形態では、液滴の形成および収集がミクロ流体デバイス内で行われる。ミクロ流体デバイスは、たとえば、均一サイズの液滴を製造するようにされたミクロンスケールの液滴ジャンクションを有する、収集リザーバと接続している狭小チャネルデバイスである。ミクロ流体デバイスは、たとえば、約10μm~約100μmのチャネル幅を有する液滴ジャンクションを収容している。該デバイスは、たとえば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)でできており、たとえばソフトリソグラフィーにより作製することができる。水分散相と油連続相とを特定の速度でデバイスに給送すると、デバイス内で混合されて、デバイス内でエマルジョンが製造され、エマルジョン液滴を得ることができる。あるいは水中油型エマルジョンを用いてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、振動ノズル技法を用いる場合がある。これらの技法では、分散液を製造し、液滴を形成させて、連続相の浴に落下させる。次いで液滴を乾燥させてから、ポリマーを除去する。振動ノズル装置はBuechi社から入手可能であり、たとえばシリンジポンプおよび脈動ユニットを備える。振動ノズル装置は、圧力調節弁を備える場合もある。
【0016】
ポリマーナノ粒子は、たとえば、約50nm~約999nmの平均直径を有し、単分散である。
【0017】
好適な鋳型ポリマーとしては、熱可塑性ポリマーが挙げられる。たとえば、鋳型ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、その誘導体、その塩、そのコポリマー、およびその組み合わせからなる群より選択される。たとえば、ポリマーは、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(アルファ-メチルスチレン)、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、スチレン/メチルメタクリレートコポリマー、ポリアルキル化アクリレート、ポリヒドロキシルアクリレート、ポリアミノアクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリフッ素化アクリレート、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸コポリマー、スチレン/メチルメタクリレート/アクリル酸コポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクトン、ポリビニルカプロラクタム、その誘導体、その塩、およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0018】
特定の実施形態では、ポリマー鋳型として、ポリスチレンおよびポリスチレンコポリマーといった各種ポリスチレンが挙げられる。ポリスチレンコポリマーとしては、水溶性モノマーとのコポリマー、たとえばポリスチレン/アクリル酸、ポリスチレン/ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、およびポリスチレン/スチレンスルホナートが挙げられる。
【0019】
本金属酸化物としては、遷移金属、半金属、および希土の酸化物、たとえばシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、混合金属酸化物、その組み合わせ等が挙げられる。
【0020】
ポリマーナノ粒子と金属酸化物とのwt/wt(重量/重量)比は、たとえば約0.1/1~約10.0/1、または約0.5/1~約10.0/1である。
【0021】
油連続相は、たとえば有機溶媒、シリコーン油、またはフッ素化油を含む。本発明では、「油」は、水と混和しない有機相を意味する。有機溶媒としては、炭化水素、たとえばヘプタン、ヘキサン、トルエン、キシレン等、ならびにアルカノール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノールその他が挙げられる。
【0022】
エマルジョン液滴を収集し、乾燥させ、そしてポリマーを除去する。乾燥は、たとえば、マイクロ波照射により、熱式オーブン内で、真空下で、乾燥剤の存在下で、またはその組み合わせにより実施される。
【0023】
ポリマー除去は、たとえばか焼により、熱分解により、または溶媒を用いて(溶媒除去)実施することができる。か焼は、いくつかの実施形態では、少なくとも約200℃、少なくとも約500℃、少なくとも約1000℃、約200℃~約1200℃、または約200℃~約700℃の温度で実施される。か焼は、好適な時間だけ行うことができ、たとえば、約0.1時間~約12時間、または約1時間~約8.0時間であり得る。他の実施形態では、か焼は、少なくとも約0.1時間、少なくとも約1時間、少なくとも約5時間、または少なくとも約10時間であり得る。
【0024】
あるいはポリマーナノ粒子と金属酸化物とを含む分散液は、水中油型エマルジョンが形成するように、油分散相と水連続相とを用いて作られる。水滴の場合と同様に、油滴を収集し、そして乾燥させることができる。
【0025】
あるいはポリマーナノ粒子と金属酸化物との分散液を製造し、そして噴霧乾燥して、液中液型エマルジョンを形成させずにポリマー鋳型ミクロスフィアを製造する。噴霧乾燥技法の特定の実施形態では、溶液または分散液が、圧縮ガス入口と連結した噴霧ノズルに供給される(たとえば給送される)。供給物は、噴霧ノズル内を給送されて液滴を形成する。これらの液滴は蒸発チャンバ内で予熱ガスに囲まれ、その結果、溶媒が蒸発して固体粒子が生成する。乾燥粒子は乾燥用ガスによってサイクロン中を運ばれ、そして収集チャンバ内に堆積する。ガスとしては、窒素および/または空気が挙げられる。本噴霧乾燥プロセスの一実施形態では、液体供給物は、水相または油相、ポリマー粒子、および金属酸化物を含有する。本噴霧乾燥プロセスの一実施形態では、液体供給物は、水相または油相、ポリマー粒子、および任意選択により金属酸化物を含有する。ポリマーナノスフィアを含有するポリマー鋳型ミクロスフィアが得られ、該ポリマーナノスフィアの相互の間隙スペースに金属酸化物が含まれている。該ポリマーナノスフィアが間隙スペースを画定する。噴霧乾燥技法は、インクジェット噴霧乾燥の方法および装置を含む。
【0026】
本噴霧乾燥技法では、分散液相に対し、空気を連続相とみなすことができる(ガス中液型エマルジョン)。特定の実施形態では、噴霧乾燥には、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、または約170℃のいずれかから、約180℃、約190℃、約200℃、約210℃、約215℃、または約220℃のいずれかまでの入口温度が含まれる。いくつかの実施形態では、約1mL/分、約2mL/分、約5mL/分、約6mL/分、約8mL/分、約10mL/分、約12mL/分、約14mL/分、または約16mL/分のいずれかから、約18mL/分、約20mL/分、約22mL/分、約24mL/分、約26mL/分、約28mL/分、または約30mL/分のいずれかまでの給送速度(供給物流量)が用いられる。噴霧乾燥技法は、たとえば米国特許出願公開第2016/0170091号明細書に開示されている。
【0027】
図4は、本発明のいくつかの実施形態の噴霧乾燥プロセスの代表図である。
【0028】
ミクロスフィアは、球体または球体様であり、ミクロンスケールであって、たとえば約0.5ミクロン(μm)~約100μmの平均直径を有する。鋳型として用いられるポリマーナノ粒子も球体であり、ナノスケールであって、単分散であり、たとえば約50nm~約999nmの平均直径を有する。用いられる金属酸化物も粒子の形態の場合があり、該粒子はナノスケールであり得る。
【0029】
分散体の金属酸化物は、金属酸化物として準備してもよく、または金属酸化物の前駆体から、たとえばゾル-ゲル技法により準備してもよい。
【0030】
ポリマー/金属酸化物液滴を乾燥させ、次いでポリマーを除去すると、均一の空隙(孔)を有するミクロスフィアが得られる。概して、本プロセスでは、各液滴がミクロスフィア1個を与える。孔径は、ポリマー粒子のサイズによる。ポリマー除去後、多少の「収縮」または圧縮が生じることがあり、孔サイズがもとのポリマー粒子サイズよりも幾分小さくなり、ポリマー粒子サイズよりもたとえば約10%~約40%小さくなる。孔径は、ポリマー粒子の形状およびサイズと同様に、均一である。
【0031】
孔径は、いくつかの実施形態では、約50nm~約999nmの範囲であり得る。
【0032】
本金属酸化物ミクロスフィアの平均多孔度は比較的高くなり得、たとえば約0.10または約0.30~約0.80または約0.90である。ミクロスフィアの平均多孔度は、ミクロスフィア全体積の分率としての総孔体積を意味する。平均多孔度は、「体積分率」と呼ばれる場合もある。
【0033】
いくつかの実施形態では、多孔性ミクロスフィアは、中実コア(中心)を有する場合があり、その場合は概して、ミクロスフィアの外表面に向けて多孔性となる。他の実施形態では、多孔性ミクロスフィアは、中空コアを有する場合があり、その場合は、多孔度の大部分がミクロスフィア内部に向かう。他の実施形態では、多孔度は、ミクロスフィアの体積全体に分布し得る。他の実施形態では、多孔度は、勾配として存在し得、その場合は、ミクロスフィアの外表面に向けて多孔度がより高くなり、中心に向けて多孔度がより低くなるかゼロであり(中実);あるいは外表面に向けて多孔度がより低くなり、中心に向けて多孔度がより高くなるか完全に多孔性となる(中空)。
【0034】
どの多孔性ミクロスフィアも、平均ミクロスフィア径が平均孔径よりも大きく、たとえば平均ミクロスフィア径は、平均孔径よりも少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、または少なくとも約40倍大きい。
【0035】
いくつかの実施形態では、平均ミクロスフィア径と平均孔径との比は、たとえば、約40/1、約50/1、約60/1、約70/1、約80/1、約90/1、約100/1、約110/1、約120/1、約130/1、約140/1、約150/1、約160/1、約170/1、約180/1、または約190/1のいずれかから、約200/1、約210/1、約220/1、約230/1、約240/1、約250/1、約260/1、約270/1、約280/1、約290/1、約300/1、約310/1、約320/1、約330/1、約340/1、または約350/1のいずれかまでである。
【0036】
単分散ポリマーナノスフィアを含むポリマー鋳型ミクロスフィアは、ポリマーが除去されると、概して同様の孔径をもつ孔を有する金属酸化物ミクロスフィアを与えることができる。
【0037】
理論に縛られるわけではないが、ミクロスフィアのバルク試料は、多孔度および/またはミクロスフィア径および/または孔径が特定の範囲内である場合、望ましくない光散乱が低下した飽和色を呈すると考えられる。着色剤はたとえば塗料、インク、コーティング、化粧品、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料においてバルクで用いられるため、バルク試料の色特性は重要である。いくつかの実施形態では、たとえば白色着色剤としての使用に、白色ミクロスフィアが望ましい。
【0038】
多孔性ミクロスフィアは、主として金属酸化物を含み、つまり、基本的に金属酸化物からなる、または金属酸化物からなる場合がある。有利には、多孔性ミクロスフィアのバルク試料は人間の眼で観測できる色を呈する。ミクロスフィア中に光吸収剤も存在する場合があり、より飽和度の高い観測可能な色を与えることができる。吸収剤としては、無機顔料および有機顔料、たとえばカーボンブラックなどの広帯域吸収剤が挙げられる。吸収剤は、たとえば、ミクロスフィアと吸収剤とを物理的に混合することにより、または吸収剤をこれから乾燥させる液滴に含めることにより、添加することができる。カーボンブラックの場合、制御下でのか焼を用いて、インサイチュでポリマー分解からカーボンブラックを製造してもよい。本ミクロスフィアは、光吸収剤の添加なしには観測可能な色を呈さないかもしれないが、光吸収剤を添加すれば観測可能な色を呈する。
【0039】
多孔性ミクロスフィアは、たとえば水性配合物、油性配合物、インク、コーティング配合物、食品、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料のための着色剤として用いることができる。コーティング配合物としては、たとえば建築用コーティング、自動車用コーティング、ワニス、その他が挙げられる。
【0040】
本多孔性金属酸化物ミクロスフィアは、角度依存色または角度非依存色を呈する場合がある。「角度依存」色は、観測された色が、試料に対する入射光の角度に、または観測者と試料との間の角度に依存することを意味する。「角度非依存」色は、観測された色が、試料に対する入射光の角度にも、観測者と試料との間の角度にも、実質的に依存しないことを意味する。
【0041】
角度依存色は、たとえば単分散ポリマーナノスフィアを用いて実現することができる。角度依存色は、ポリマー鋳型ミクロスフィアを得るために液滴を乾燥させるステップをゆっくりと実施し、ポリマーナノスフィアを規則化させることによっても、実現することができる。角度非依存色は、液滴を乾燥させるステップを速やかに実施し、ポリマーナノスフィアを規則化させないことによって、実現することができる。
【0042】
たとえば、多孔性ミクロスフィアは、ミクロスフィアの総重量に対し、約60.0wt%(重量パーセント)~約99.9wt%の金属酸化物、および約0.1wt%~約40.0wt%の1種または複数種の光吸収剤を含む場合がある。
【0043】
有利には、多孔性ミクロスフィアは単分散でもあり得る。
【0044】
本発明では、粒子サイズは粒径と同義であり、たとえば走査電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)により決定される。平均粒子サイズは、集団の半分がそのポイントよりも上にあり半分が下にあることを意味するD50と同義である。粒子サイズは、一次粒子を指す。粒子サイズは、分散体または乾燥粉末を用いて、レーザー光散乱技法により測定することができる。
【0045】
水銀ポロシメトリー分析を用いて、ミクロスフィアの多孔度を特徴づけた。水銀ポロシメトリーでは、水銀に浸した試料に制御下で圧力を加える。外圧がかかった水銀が物質の空隙/孔に浸透する。空隙/孔への侵入に要した圧力量は、空隙/孔のサイズに反比例している。水銀ポロシメーターは、該機器が生成した圧力対侵入のデータから、Washburn式を用いて体積および孔サイズ分布を生成する。たとえば、平均サイズ165nmの空隙/孔を含有する多孔性シリカミクロスフィアは、0.8の平均多孔度を有する。
【0046】
「バルク試料」という用語は、ミクロスフィアの集団を意味する。たとえば、ミクロスフィアのバルク試料は、単に、たとえば≧0.1mg、≧0.2mg、≧0.3mg、≧0.4mg、≧0.5mg、≧0.7mg、≧1.0mg、≧2.5mg、≧5.0mg、≧10.0mg、または≧25.0mgのミクロスフィアのバルク集団である。ミクロスフィアのバルク試料は他の構成要素を実質的に含まない場合がある。「多孔性ミクロスフィア」という用語は、バルク試料を意味する場合がある。
【0047】
「人間の眼で観測できる色を呈する」という語句は、色が、平均的な人によって観測されることを意味する。これは、あらゆる表面積に分布するあらゆるバルク試料に関し、たとえば約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、または約6cmのいずれかから、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約11cm、約12cm、約13cm、約14cm、または約15cmのいずれかまでの表面積に分布するバルク試料に関する。また、CIE 1931 2°標準観測者および/またはCIE 1964 10°標準観測者により観測可能、を意味する場合もある。色観測の背景はどのような背景でもよく、たとえば白色背景、黒色背景、または白色から黒色までのどこかの黒っぽい背景でもよい。
【0048】
「~の(of)」という用語は、「~を含む」を意味する場合があり、たとえば「~の分散液」は、「~を含む分散液」と解釈される場合がある。
【0049】
本明細書では、「ミクロスフィア」、「ナノスフィア」、「液滴」という用語その他は、たとえばその複数、その集まり、その集団、その試料、またはそのバルク試料を意味する場合がある。
【0050】
「ミクロ」または「ミクロスケール」という用語は、約0.5μm~約999μmを意味する。「ナノ」または「ナノスケール」という用語は、約1nm~約999nmを意味する。
【0051】
「スフィア」および「粒子」という用語は、互いに交換可能であり得る。
【0052】
ミクロスフィアまたはナノスフィアの集団に関する「単分散」という用語は、粒子が概ね均一の形状および概ね均一の直径を有することを意味する。本ミクロスフィアまたはナノスフィアの単分散集団は、たとえば粒子数の90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%が、該集団の平均直径の±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%以内の直径を有する場合がある。
【0053】
「基体」は、水性または油性の基体または「媒体」を意味する場合があり、該基体は、最終組成物の副部分または主部分であり得る。基体は、固体、半固体、ゲル、液体、ペースト、クリーム、その他を意味する場合もある。
【0054】
ポリマーナノスフィア単分散集団を除去することで、平均孔径をもつ対応する孔集団を有する多孔性金属酸化物ミクロスフィアが得られる。
【0055】
「他の構成要素を実質的に含まない」という用語は、たとえば、≦5%、≦4%、≦3%、≦2%、≦1%、または≦0.5%(すべて重量%)の他の構成要素を含有していることを意味する。
【0056】
本明細書では「a」および「an」という冠詞は、文法上の目的語の1つ(1種)または2つ(2種)以上(たとえば少なくとも1つ(1種))を指す。本明細書に記載の範囲はすべて、両端を含む。本明細書全体で用いる「約」という用語は、小変動を記述し説明するのに用いられる。たとえば、「約」は、ある数値が、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、または±0.05%だけ変更され得ることを意味する場合がある。明記していてもいなくても、すべての数値が「約」という用語で修飾されている。「約」という用語で修飾されている数値は、明示されている値を含む。たとえば「約5.0」は5.0を含む。
【0057】
本明細書に記載の米国特許、米局特許出願、および米国特許出願公開は、参照により本明細書に援用される。
【0058】
特に断らない限り、すべての部およびパーセンテージは重量基準である。重量パーセント(wt%)は、特に断らない場合、何ら揮発物を含まない全組成物、つまり乾燥固体成分に基づく。
【0059】
多孔性金属酸化物ミクロスフィアを製造する方法に関する、本発明の実施形態の非限定的な第1の組は、以下を含む。
【0060】
第1の実施形態では、金属酸化物を含む多孔性金属酸化物ミクロスフィアを製造する方法が開示され、該方法は、ポリマーナノ粒子と金属酸化物との分散液を製造すること;該分散体の液滴を製造すること;該液滴を乾燥させて、ポリマーナノスフィアと金属酸化物とを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること;および鋳型ミクロスフィアからポリマーナノスフィアを除去して、多孔性金属酸化物ミクロスフィアを得ること、を含む。
【0061】
第2の実施形態では、ポリマーナノ粒子と金属酸化物との分散液を製造すること、該分散液を噴霧乾燥させてポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること、およびポリマーナノスフィアを鋳型ミクロスフィアから除去することを含む、第1の実施形態の方法。
【0062】
第3の実施形態では、振動ノズルを用いて液滴を製造することを含む、第1の実施形態の方法。第4の実施形態では、液滴が水滴である、実施形態1~3の方法。第5の実施形態では、液滴が油滴である、実施形態1~3の方法。
【0063】
第6の実施形態では、連続相を準備すること、および分散液と該連続相とを混合して、分散した分散液滴を含有するエマルジョンを製造することを含む、実施形態1の方法。第7の実施形態では、油連続相を準備すること、および水性分散体と該油連続相とを混合して、水滴を含有する油中水型エマルジョンを製造することを含む、実施形態6の方法。第8の実施形態では、水連続相を準備すること、および油分散体と該連続相とを混合して、油滴を含有する水中油型エマルジョンを製造することを含む、実施形態6の方法。
【0064】
第9の実施形態では、液滴を収集することを含む、実施形態6~8の方法。第10の実施形態では、液滴を乾燥させて、ポリマーナノスフィアと金属酸化物とを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得ること、および鋳型ミクロスフィアからポリマーナノスフィアを除去することを含む、実施形態9の方法。
【0065】
第11の実施形態では、液滴を乾燥させることが、マイクロ波照射、オーブン乾燥、真空乾燥、乾燥剤の存在下での乾燥、またはその組み合わせを含む、実施形態6~10の方法。
【0066】
第12の実施形態では、油相または分散体が、炭化水素、シリコーン油、またはフッ素化油を含む、実施形態7~11の方法。第13の実施形態では、液滴の形成がミクロ流体デバイス内で行われる、実施形態6~12の方法。第14の実施形態では、液滴の形成が、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、または約45μmのいずれかから、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、または約100μmのいずれかまでのチャネル幅を有する液滴ジャンクションを収容するミクロ流体デバイス内で行われる、実施形態6~13の方法。第15の実施形態では、ミクロ流体デバイスから液滴を収集することを含む、実施形態13または14の方法。
【0067】
第16の実施形態では、ポリマーナノ粒子と金属酸化物とのwt/wt比が、約0.1/1、約0.5/1、約1.0/1、約1.5/1、約2.0/1、約2.5/1、または約3.0/1のいずれかから、約3.5/1、約4.0/1、約5.0/1、約5.5/1、約6.0/1、約6.5/1、約7.0/1、約8.0/1、約9.0/1、または約10.0/1のいずれかまでである、先行実施形態のいずれかの方法。
【0068】
第17の実施形態では、ポリマーナノ粒子が、約50nm、約75nm、約100nm、約130nm、約160nm、約190nm、約210nm、約240nm、約270nm、約300nm、約330nm、約360nm、約390nm、約410nm、約440nm、約470nm、約500nm、約530nm、約560nm、約590nm、または約620nmのいずれかから、約650nm、約680nm、約710nm、約740nm、約770nm、約800nm、約830nm、約860nm、約890nm、約910nm、約940nm、約970nm、または約990nmのいずれかまでの平均直径を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0069】
第18の実施形態では、ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、その誘導体、その塩、そのコポリマー、およびその組み合わせからなる群より選択される、先行実施形態のいずれかの方法。
【0070】
第19の実施形態では、ポリマーが、各種ポリスチレン、たとえば、ポリスチレン/アクリル酸、ポリスチレン/ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、またはポリスチレン/スチレンスルホナートなどのポリスチレンコポリマーからなる群より選択される、先行実施形態のいずれかの方法。第20の実施形態では、金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、または酸化クロムの1種または複数種である、先行実施形態のいずれかの方法。
【0071】
第21の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約0.5μm~約100μmの平均直径、約0.10~約0.90または約0.10~約0.80の平均多孔度、および約50nm~約999nmの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0072】
第22の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約1μm~約75μm、約2μm~約70μm、約3μm~約65μm、約4μm~約60μm、約5μm~約55μm、または約5μm~約50μmの;たとえば約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、または約15μmのいずれかから、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約21μm、約22μm、約23μm、約24μm、または約25μmのいずれかまでの平均直径を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0073】
第23の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約0.10、約0.12、約0.14、約0.16、約0.18、約0.20、約0.22、約0.24、約0.26、約0.28、約0.30、約0.32、約0.34、約0.36、約0.38、約0.40、約0.42、約0.44、約0.46、約0.48、約0.50、約0.52、約0.54、約0.56、約0.58、または約0.60のいずれかから、約0.62、約0.64、約0.66、約0.68、約0.70、約0.72、約0.74、約0.76、約0.78、約0.80、または約0.90のいずれかまでの平均多孔度を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0074】
第24の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約50nm、約60nm、約70nm、80nm、約100nm、約120nm、約140nm、約160nm、約180nm、約200nm、約220nm、約240nm、約260nm、約280nm、約300nm、約320nm、約340nm、約360nm、約380nm、約400nm、約420nm、または約440nmのいずれかから、約460nm、約480nm、約500nm、約520nm、約540nm、約560nm、約580nm、約600nm、約620nm、約640nm、約660nm、約680nm、約700nm、約720nm、約740nm、約760nm、約780nm、または約800nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0075】
第25の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約4.5μm、約4.8μm、約5.1μm、約5.4μm、約5.7μm、約6.0μm、約6.3μm、約6.6μm、約6.9μm、約7.2μm、または約7.5μmのいずれかから、約7.8μm、約8.1μm、約8.4μm、約8.7μm、約9.0μm、約9.3μm、約9.6μm、または約9.9μmのいずれかまでの平均直径を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0076】
第26の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約0.45、約0.47、約0.49、約0.51、約0.53、約0.55、または約0.57のいずれかから、約0.59、約0.61、約0.63、または約0.65のいずれかまでの平均多孔度を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0077】
第27の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約220nm、約225nm、約230nm、約235nm、約240nm、約245nm、または約250nmのいずれかから、約255nm、約260nm、約265nm、約270nm、約275nm、約280nm、約285nm、約290nm、約295nm、または約300nmのいずれかまでの平均孔径を有する先行実施形態のいずれかの方法。
【0078】
第28の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、約4.5μm、約4.8μm、約5.1μm、約5.4μm、約5.7μm、約6.0μm、約6.3μm、約6.6μm、約6.9μm、約7.2μm、または約7.5μmのいずれかから、約7.8μm、約8.1μm、約8.4μm、約8.7μm、約9.0μm、約9.3μm、約9.6μm、または約9.9μmのいずれかまでの平均直径;約0.45、約0.47、約0.49、約0.51、約0.53、約0.55、または約0.57のいずれかから、約0.59、約0.61、約0.63、または約0.65のいずれかまでの平均多孔度;および約220nm、約225nm、約230nm、約235nm、約240nm、約245nm、または約250nmのいずれかから、約255nm、約260nm、約265nm、約270nm、約275nm、約280nm、約285nm、約290nm、約295nm、または約300nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの方法。
【0079】
第29の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、ミクロスフィアの総重量に対し、約60.0wt%から約99.9wt%の金属酸化物、たとえば約60.0wt%、約64.0wt%、約67.0wt%、約70.0wt%、約73.0wt%、約76.0wt%、約79.0wt%、約82.0wt%、または約85.0wt%のいずれかから、約88.0wt%、約91.0wt%、約94.0wt%、約97.0wt%、約98.0wt%、約99.0wt%、または約99.9wt%のいずれかまでの金属酸化物を含む、先行実施形態のいずれかの方法。
【0080】
第30の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、ミクロスフィアの総重量に対し、約0.1wt%~約40.0wt%の1種または複数種の光吸収剤、たとえば約0.1wt%、約0.3wt%、約0.5wt%、約0.7wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約5.0wt%、約7.5wt%、約10.0wt%、約13.0wt%、約17.0wt%、約20.0wt%、または約22.0wt%のいずれかから、約24.0wt%、約27.0wt%、約29.0wt%、約31.0wt%、約33.0wt%、約35.0wt%、約37.0wt%、約39.0wt%、または約40.0wt%のいずれかまでの1種または複数種の光吸収剤を含む、先行実施形態のいずれかの方法。
【0081】
第31の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、無機顔料および有機顔料からなる群より選択される1種または複数種の光吸収剤、たとえばカーボンブラックを含む、先行実施形態のいずれかの方法。
【0082】
第32の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる色を呈する、先行実施形態のいずれかの方法。第33の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度非依存色を呈する、先行実施形態のいずれかの方法。第34の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度依存色を呈する、実施形態1~32のいずれかの方法。
【0083】
第35の実施形態では、多孔性ミクロスフィアが、単分散である、先行実施形態のいずれかの方法。第36の実施形態では、多孔性金属酸化物ミクロスフィアが、ミクロスフィアのバルク試料である、先行実施形態のいずれかの方法。
【0084】
第37の実施形態では、鋳型ミクロスフィアからポリマーナノスフィアを除去することが、か焼、熱分解、または溶媒除去を含む、先行実施形態のいずれかの方法。
【0085】
第38の実施形態では、ポリマーナノスフィアを除去することが、鋳型ミクロスフィアを、約200℃、約350℃、約400℃、450℃、約500℃、または約550℃のいずれかから、約600℃、約650℃、約700℃、または約1200℃のいずれかまでの温度で、約0.1時間、1時間、約1.5時間、約2.0時間、約2.5時間、約3.0時間、約3.5時間、または約4.0時間のいずれかから、約4.5時間、約5.0時間、約5.5時間、約6.0時間、約6.5時間、約7.0時間、約7.5時間、約8.0時間、または約12時間のいずれかまでの時間をかけて、か焼することを含む、先行実施形態のいずれかの方法。あるいはか焼は、少なくとも約200℃、少なくとも約500℃、または少なくとも約1000℃の温度で、好適な時間だけ、たとえば少なくとも約0.1時間、少なくとも約1時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間かけて行うことができる。
【0086】
第39の実施形態では、先行方法のいずれかにより製造された多孔性ミクロスフィアが開示される。第40の実施形態では、先行方法のいずれかにより製造された多孔性ミクロスフィアのバルク試料が開示される。
【0087】
多孔性金属酸化物ミクロスフィアに関する、本発明の実施形態の非限定的な第2の組は、以下を含む。
【0088】
第1の実施形態では、金属酸化物を含む多孔性ミクロスフィアであって、約0.5μm~約100μmの平均直径、約0.10~約0.90または約0.10~約0.80の平均多孔度、および約50nm~約999nmの平均孔径を有する、ミクロスフィア。
【0089】
第2の実施形態では、約1μm~約75μm、約2μm~約70μm、約3μm~約65μm、約4μm~約60μm、約5μm~約55μm、または約5μm~約50μmの;たとえば約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、または約15μmのいずれかから、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約21μm、約22μm、約23μm、約24μm、または約25μmのいずれかまでの平均直径を有する、実施形態1の多孔性ミクロスフィアが開示される。
【0090】
第3の実施形態では、約0.10、約0.12、約0.14、約0.16、約0.18、約0.20、約0.22、約0.24、約0.26、約0.28、約0.30、約0.32、約0.34、約0.36、約0.38、約0.40、約0.42、約0.44、約0.46、約0.48、約0.50、約0.52、約0.54、約0.56、約0.58、または約0.60のいずれかから、約0.62、約0.64、約0.66、約0.68、約0.70、約0.72、約0.74、約0.76、約0.78、約0.80、または約0.90のいずれかまでの平均多孔度を有する、実施形態1または2の多孔性ミクロスフィア。
【0091】
第4の実施形態では、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約100nm、約120nm、約140nm、約160nm、約180nm、約200nm、約220nm、約240nm、約260nm、約280nm、約300nm、約320nm、約340nm、約360nm、約380nm、約400nm、約420nm、または約440nmのいずれかから、約460nm、約480nm、約500nm、約520nm、約540nm、約560nm、約580nm、約600nm、約620nm、約640nm、約660nm、約680nm、約700nm、約720nm、約740nm、約760nm、約780nm、または約800nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0092】
第5の実施形態では、約4.5μm、約4.8μm、約5.1μm、約5.4μm、約5.7μm、約6.0μm、約6.3μm、約6.6μm、約6.9μm、約7.2μm、または約7.5μmのいずれかから、約7.8μ、約8.1μm、約8.4μm、約8.7μm、約9.0μm、約9.3μm、約9.6μm、または約9.9μmのいずれかまでの平均直径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第6の実施形態では、約0.45、約0.47、約0.49、約0.51、約0.53、約0.55、または約0.57のいずれかから、約0.59、約0.61、約0.63、または約0.65のいずれかまでの平均多孔度を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第7の実施形態では、約220nm、約225nm、約230nm、約235nm、約240nm、約245nm、または約250nmのいずれかから、約255nm、約260nm、約265nm、約270nm、約275nm、約280nm、約285nm、約290nm、約295nm、または約300nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0093】
第8の実施形態では、約4.5μm、約4.8μm、約5.1μm、約5.4μm、約5.7μm、約6.0μm、約6.3μm、約6.6μm、約6.9μm、約7.2μm、または約7.5μmのいずれかから、約7.8μm、約8.1μm、約8.4μm、約8.7μm、約9.0μm、約9.3μm、約9.6μm、または約9.9μmのいずれかまでの平均直径;約0.45、約0.47、約0.49、約0.51、約0.53、約0.55、または約0.57のいずれかから、約0.59、約0.61、約0.63、または約0.65のいずれかまでの平均多孔度;および約220nm、約225nm、約230nm、約235nm、約240nm、約245nm、または約250nmのいずれかから、約255nm、約260nm、約265nm、約270nm、約275nm、約280nm、約285nm、約290nm、約295nm、または約300nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0094】
第9の実施形態では、ミクロスフィアの総重量に対し、約60.0wt%~約99.9wt%の金属酸化物、たとえば約60.0wt%、約64.0wt%、約67.0wt%、約70.0wt%、約73.0wt%、約76.0wt%、約79.0wt%、約82.0wt%、または約85.0wt%のいずれかから、約88.0wt%、約91.0wt%、約94.0wt%、約97.0wt%、約98.0wt%、約99.0wt%、または約99.9wt%のいずれかまでの金属酸化物を含む、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0095】
第10の実施形態では、金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、およびその組み合わせからなる群より選択される、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第11の実施形態では、金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、およびその組み合わせからなる群より選択される、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0096】
第12の実施形態では、ミクロスフィアの総重量に対し、約0.1wt%~約40.0wt%の1種または複数種の光吸収剤、たとえば約0.1wt%、約0.3wt%、約0.5wt%、約0.7wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約5.0wt%、約7.5wt%、約10.0wt%、約13.0wt%、約17.0wt%、約20.0wt%、または約22.0wt%のいずれかから、約24.0wt%、約27.0wt%、約29.0wt%、約31.0wt%、約33.0wt%、約35.0wt%、約37.0wt%、約39.0wt%、または約40.0wt%のいずれかまでの1種または複数種の光吸収剤を含む、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第13の実施形態では、無機顔料および有機顔料からなる群より選択される1種または複数種の光吸収剤、たとえばカーボンブラックを含む、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0097】
第14の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる色を呈する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第15の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度非依存色を呈する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第16の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度依存色を呈する、実施形態1~14のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0098】
第17の実施形態では、単分散である、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第18の実施形態では、基体と、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィアとを含む、組成物。第19の実施形態では、水性配合物、油性配合物、インク、コーティング配合物、食品、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料である、実施形態18の組成物。
【0099】
多孔性金属酸化物ミクロスフィアに関する、本開示の実施形態の非限定的な第3の組は、以下を含む。
【0100】
第1の実施形態では、金属酸化物を含む多孔性ミクロスフィアであって、該多孔性ミクロスフィアのバルク試料は人間の眼で観測できる色を呈する、ミクロスフィアが開示される。
【0101】
第2の実施形態では、約0.5μm~約100μmの平均直径、約0.10~約0.90または約0.10~約0.80の平均多孔度、および約50nm~約999nmの平均孔径を有する、実施形態1の多孔性ミクロスフィア。
【0102】
第3の実施形態では、約1μm~約75μm、約2μm~約70μm、約3μm~約65μm、約4μm~約60μm、約5μm~約55μm、または約5μm~約50μmの;たとえば約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、または約15μmのいずれかから、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約21μm、約22μm、約23μm、約24μm、または約25μmのいずれかまでの平均直径を有する、実施形態1または2の多孔性ミクロスフィア。
【0103】
第4の実施形態では、約0.10、約0.12、約0.14、約0.16、約0.18、約0.20、約0.22、約0.24、約0.26、約0.28、約0.30、約0.32、約0.34、約0.36、約0.38、約0.40、約0.42、約0.44、約0.46、約0.48約0.50、約0.52、約0.54、約0.56、約0.58、または約0.60のいずれかから、約0.62、約0.64、約0.66、約0.68、約0.70、約0.72、約0.74、約0.76、約0.78、約0.80、または約0.90のいずれかまでの平均多孔度を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0104】
第5の実施形態では、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約100nm、約120nm、約140nm、約160nm、約180nm、約200nm、約220nm、約240nm、約260nm、約280nm、約300nm、約320nm、約340nm、約360nm、約380nm、約400nm、約420nm、または約440nmのいずれかから、約460nm、約480nm、約500nm、約520nm、約540nm、約560nm、約580nm、約600nm、約620nm、約640nm、約660nm、約680nm、約700nm、約720nm、約740nm、約760nm、約780nm、または約800nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0105】
第6の実施形態では、約4.5μm、約4.8μm、約5.1μm、約5.4μm、約5.7μm、約6.0μm、約6.3μm、約6.6μm、約6.9μm、約7.2μm、または約7.5μmのいずれかから、約7.8μm約8.1μm、約8.4μm、約8.7μm、約9.0μm、約9.3μm、約9.6μm、または約9.9μmのいずれかまでの平均直径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第7の実施形態では、約0.45、約0.47、約0.49、約0.51、約0.53、約0.55、または約0.57のいずれかから、約0.59、約0.61、約0.63、または約0.65のいずれかまでの平均多孔度を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第8の実施形態では、約220nm、約225nm、約230nm、約235nm、約240nm、約245nm、または約250nmのいずれかから、約255nm、約260nm、約265nm、約270nm、約275nm、約280nm、約285nm、約290nm、約295nm、または約300nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行請求項のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0106】
第9の実施形態では、約4.5μm、約4.8μm、約5.1μm、約5.4μm、約5.7μm、約6.0μm、約6.3μm、約6.6μm、約6.9μm、約7.2μm、または約7.5μmのいずれかから、約7.8μm、約8.1μm、約8.4μm、約8.7μm、約9.0μm、約9.3μm、約9.6μm、または約9.9μmのいずれかまでの平均直径;約0.45、約0.47、約0.49、約0.51、約0.53、約0.55、または約0.57のいずれかから、約0.59、約0.61、約0.63、または約0.65のいずれかまでの平均多孔度;および約220nm、約225nm、約230nm、約235nm、約240nm、約245nm、または約250nmのいずれかから、約255nm、約260nm、約265nm、約270nm、約275nm、約280nm、約285nm、約290nm、約295nm、または約300nmのいずれかまでの平均孔径を有する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0107】
第10の実施形態では、ミクロスフィアの総重量に対し、約60.0wt%~約99.9wt%の金属酸化物、たとえば約60.0wt%、約64.0wt%、約67.0wt%、約70.0wt%、約73.0wt%、約76.0wt%、約79.0wt%、約82.0wt%、または約85.0wt%のいずれかから、約88.0wt%、約91.0wt%、約94.0wt%、約97.0wt%、約98.0wt%、約99.0wt%、または約99.9wt%のいずれかまでの金属酸化物を含む、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0108】
第11の実施形態では、金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、およびその組み合わせからなる群より選択される、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第12の実施形態では、金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、およびその組み合わせからなる群より選択される、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0109】
第13の実施形態では、ミクロスフィアの総重量に対し、約0.1wt%~約40.0wt%の1種または複数種の光吸収剤、たとえば約0.1wt%、約0.3wt%、約0.5wt%、約0.7wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約5.0wt%、約7.5wt%、約10.0wt%、約13.0wt%、約17.0wt%、約20.0wt%、または約22.0wt%のいずれかから、約24.0wt%、約27.0wt%、約29.0wt%、約31.0wt%、約33.0wt%、約35.0wt%、約37.0wt%、約39.0wt%、または約40.0wt%のいずれかまでの1種または複数種の光吸収剤を含む、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第14の実施形態では、無機顔料および有機顔料からなる群より選択される1種または複数種の光吸収剤、たとえばカーボンブラックを含む、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0110】
第16の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる色を呈する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0111】
第17の実施形態では、単分散である、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0112】
第18の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度非依存色を呈する、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィア。第19の実施形態では、多孔性ミクロスフィアのバルク試料が、人間の眼で観測できる角度依存色を呈する、実施形態1~17のいずれかの多孔性ミクロスフィア。
【0113】
第20の実施形態では、基体と、先行実施形態のいずれかの多孔性ミクロスフィアとを含む、組成物。第21の実施形態では、水性配合物、油性配合物、コーティング配合物、食品、インク、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料である、実施形態20の組成物。
【0114】
実施例
実施例1 多孔性シリカミクロスフィア
スチレン/アクリル酸コポリマーを以下のようにして製造する:230mLの脱イオン(DI)水を、温度計、コンデンサー、磁気撹拌部、および窒素雰囲気を備えた三口反応フラスコに入れる。水を80℃に加熱し、そして10gのスチレンを撹拌しながら添加した後、10mLのDI水に溶解させたアクリル酸100mgをシリンジで添加する。10mLのDI水に100mgの過硫酸アンモニウムを溶解させてから、撹拌された混合物にシリンジで添加する。反応混合物を80℃で24時間撹拌する。このポリマーコロイド分散体を室温になるまで放冷し、そして遠心分離により精製して、250nmの平均粒子サイズを有するポリスチレンナノスフィアを作製する。
【0115】
水性ポリスチレンコロイド分散体を脱イオン水で1wt%まで希釈し、1wt%のシリカナノ粒子を添加し、粒子が凝集しないように該混合物を超音波処理する。油連続相が、フッ素化油中0.1wt%のポリエチレングリコール/ペルフルオロポリエーテル界面活性剤を含有する。水性コロイド分散体と油とを、50μmの液滴ジャンクションを有するミクロ流体デバイスに、ポンプと連結したシリンジで、それぞれ注入する。単分散液滴ができるまで、系を放置して平衡化させる。単分散液滴はリザーバ内に集められる。
【0116】
収集された液滴を、45℃で4時間、オーブン内で乾燥させて、単分散ポリマー鋳型ミクロスフィアを得る。ポリマー鋳型ミクロスフィアを、シリコンウエハに載せ、室温から500℃まで3時間かけて加熱し、500℃で2時間保持し、それから3時間かけて室温に戻すことで、か焼する。15ミクロンの平均直径を有する単分散シリカミクロスフィアが得られる。
【0117】
図2および図3は、同様にして製造された、ポリマー鋳型ミクロスフィア、および多孔性シリカミクロスフィアの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0118】
実施例2 光吸収剤を含有する多孔性シリカミクロスフィア
実施例1の産物を、異なる重量レベルのカーボンブラック水性分散体またはカーボンブラック粉末と、物理的に混合する。ミクロスフィアの総重量に対し0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、および5wt%のレベルのカーボンブラックを含有する、単分散多孔性シリカミクロスフィアが得られる。
【0119】
実施例3 乾燥方法
実施例1および2を繰り返し、ここで乾燥ステップは、マイクロ波照射、真空乾燥、および/または乾燥剤の存在下での乾燥を用いる。
【0120】
実施例4 噴霧乾燥による多孔性シリカミクロスフィアの製造
スチレン/アクリル酸コポリマーを以下のようにして製造する:230mLの脱イオン(DI)水を、温度計、コンデンサー、磁気撹拌部、および窒素雰囲気を備えた三口反応フラスコに入れる。水を80℃に加熱し、そして10gのスチレンを撹拌しながら添加した後、10mLのDI水に溶解させたアクリル酸100mgをシリンジで添加する。10mLのDI水に100mgの過硫酸アンモニウムを溶解させてから、撹拌された混合物にシリンジで添加する。反応混合物を80℃で24時間撹拌する。このポリマーコロイド分散体を室温になるまで放冷し、そして遠心分離により精製して、250nmの平均粒子サイズを有するポリスチレンナノスフィアを作製する。
【0121】
水性ポリスチレンコロイド分散体を脱イオン水で1wt%まで希釈し、1wt%のシリカナノ粒子を添加し、粒子が凝集しないように該混合物を超音波処理する。水性分散体を噴霧乾燥させて、ポリマーナノスフィアとシリカとを含むポリマー鋳型ミクロスフィアを得る。ミクロスフィアを、室温から500℃まで3時間かけて加熱し、500℃で2時間保持し、それから3時間かけて室温に戻すことで、か焼する。多孔性シリカミクロスフィアが得られる。
【0122】
実施例5 バルク試料の可視色
これらのバルク色の例では、6cmの底面積を有する10mLの透明ガラスバイアルに、0.5ミリグラムの多孔性ミクロスフィアを均等に置く。色は、人間の眼で観測する。
【0123】
多孔性シリカミクロスフィアの2試料を実施例1と同様にして製造し、ここでポリマーとシリカとのwt/wt比は、それぞれ1:1と3:1である。1:1wt/wt試料は白色であり、3:1wt/wt試料は明白な青色を呈する。
【0124】
多孔性シリカミクロスフィアの試料を実施例1にしたがい製造し、ここでポリスチレンナノスフィアは、360nmの平均粒子サイズを有し、ポリマーとシリカとのwt/wt比が3:1である。この試料は明白な緑色を呈する。
【0125】
多孔性シリカミクロスフィアを実施例4と同様にして製造し、ここでポリスチレンナノスフィアは360nmの平均粒子サイズを有する。ポリマーとシリカとのwt/wt比が4:1の場合、多孔性ミクロスフィアは0.55の多孔度を有し、明白な緑色を呈する。ポリマーとシリカとのwt/wt比が2:1の場合、多孔性ミクロスフィアは0.45の多孔度を有し、明白なオレンジ色を呈する。
【0126】
実施例6 酸化亜鉛多孔性ミクロスフィア
多孔性酸化亜鉛ミクロスフィアの試料を実施例4の手順にしたがい製造するが、シリカを酸化亜鉛に替え、ポリスチレンナノスフィアは230nmの平均粒子サイズを有し、ポリマーと酸化亜鉛とのwt/wt比は1:2である。6cmの底面積を有する10mLの透明ガラスバイアルに、0.5mgの多孔性ミクロスフィア試料を均等に置く。この試料は、人間の眼で見て明白な青色を呈する。
【0127】
実施例7 シリカ/チタニア多孔性ミクロスフィア
シリカおよびチタニアを含有する多孔性ミクロスフィアの試料を実施例1のプロセスにしたがい製造し、ここでポリマーと全金属酸化物とのwt/wt比は3:1である。シリカとチタニアとのwt/wt比は9:1である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性ミクロスフィアのバルク試料であって、前記多孔性ミクロスフィアが、
1μm~75μmの平均直径、および
50nm~800nmの平均孔径を有し、かつ、それぞれの多孔性ミクロスフィアの多孔度は、多孔性ミクロスフィアの体積全体に分布する、
多孔性ミクロスフィアのバルク試料
【請求項2】
前記多孔性ミクロスフィアが、1μm~50μmの平均直径を有する、請求項1記載のバルク試料
【請求項3】
前記多孔性ミクロスフィアが、50nm~500nmの平均孔径を有する、請求項1記載のバルク試料
【請求項4】
前記多孔性ミクロスフィアが、0.45~0.65の平均多孔度を有する、請求項1記載のバルク試料
【請求項5】
前記多孔性ミクロスフィアが、4.5μm~9.9μmの平均直径;
0.45~0.65の平均多孔度;および
220nm~300nmの平均孔径を有する、
請求項記載のバルク試料
【請求項6】
さらに、金属酸化物のマトリックスを含み、前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項記載のバルク試料
【請求項7】
前記金属酸化物が、前記多孔性ミクロスフィアの総重量に対し60.0wt%~99.9wt%存在する、請求項6記載のバルク試料。
【請求項8】
記バルク試料が、CIE 1931 2°標準観測者および/またはCIE 1964 10°標準観測者により観測できる色を呈する、請求項1~7のいずれかに記載のバルク試料。
【請求項9】
前記バルク試料が、角度非依存色を呈する、請求項1~8のいずれかに記載のバルク試料。
【請求項10】
CIE 1931 2°標準観測者および/またはCIE 1964 10°標準観測者により観測できる色を呈する、金属酸化物多孔性ミクロスフィアのバルク試料であって、前記多孔性ミクロスフィアが、1μm~75μmの平均直径を有し、かつ、前記多孔性ミクロスフィアが1種または複数種の光吸収剤を含む、多孔性ミクロスフィアのバルク試料。
【請求項11】
前記光吸収剤が、前記多孔性ミクロスフィアの総重量に対し、0.1wt%~40.0wt%存在する、請求項10記載のバルク試料
【請求項12】
それぞれの多孔性ミクロスフィアの多孔度は、多孔性ミクロスフィアの体積全体に分布する、請求項10記載のバルク試料。
【請求項13】
前記金属酸化物が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項10記載のバルク試料
【請求項14】
さらに、基体を含む、請求項10記載のバルク試料
【請求項15】
前記多孔性ミクロスフィアが、50nm~999nmの平均孔径を有する、請求項10記載のバルク試料。
【請求項16】
前記金属酸化物が、前記多孔性ミクロスフィアの総重量に対し60.0wt%~99.9wt%存在する、請求項10の記載のバルク試料。
【請求項17】
水性配合物、油性配合物、インク、コーティング配合物、食品、プラスチック、化粧品配合物、または医療用途もしくはセキュリティ用途の材料から選択される組成物であり、前記組成物が、1μm~75μmの平均直径を有する多孔性ミクロスフィアを含み、かつ、それぞれの多孔性ミクロスフィアの多孔度は、多孔性ミクロスフィアの体積全体に分布する、組成物。
【請求項18】
前記多孔性ミクロスフィアが、50nm~800nmの平均孔径を有する、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物、角度非依存色を呈する、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
前記多孔性ミクロスフィアが、0.45~0.65の平均多孔度を有する、請求項17記載の組成物。
【外国語明細書】