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特開2023-103887太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに太陽電池封止材
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  • 特開-太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに太陽電池封止材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103887
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに太陽電池封止材
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/10 20230101AFI20230720BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20230720BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
H01L31/04 120
H01L31/04 112Z
C09K3/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004675
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】大和田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】堀田 昌克
(72)【発明者】
【氏名】荒木 正
(72)【発明者】
【氏名】明田 隆
(72)【発明者】
【氏名】豊島 武春
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 篤
【テーマコード(参考)】
4H017
5F151
【Fターム(参考)】
4H017AA03
4H017AA04
4H017AB15
4H017AC03
4H017AD02
4H017AE05
5F151AA11
5F151JA04
5F151JA06
(57)【要約】
【課題】ペロブスカイト型太陽電池、有機薄膜型太陽電池、フレキシブル型太陽電池、光透過性基板に透明樹脂やフィルムを適用した太陽電池などに対し、低温で封止することが可能であり熱による変形や太陽電池出力低下を引き起こさず、従来の真空加熱ラミネーターで封止することができる太陽電池封止材及び太陽電池モジュールとその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】太陽電池セル及びシリコーンゴム封止層を備える太陽電池モジュールであって、前記シリコーンゴム封止層が、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セル及びシリコーンゴム封止層を備える太陽電池モジュールであって、前記シリコーンゴム封止層が、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記シリコーンゴム組成物は、
(A)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)BET法で測定した比表面積が50~500m/gである補強性シリカ:10~150質量部
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対して前記(C)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、(1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金錯体、(1,5-シクロオクタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(メチルシクロオクタ-1,5-ジエニル)ジエチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体、及びビス(β-ジケトナト)白金錯体の群から選ばれる1種以上の光活性型ヒドロシリル化反応触媒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記太陽電池セルは、ペロブスカイト型太陽電池セルであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
工程(i):前記シリコーンゴム組成物を準備する工程
工程(ii):前記シリコーンゴム組成物に紫外線を照射する工程
及び
工程(iii):前記紫外線を照射したシリコーンゴム組成物と前記太陽電池セルとを積層し、20~100℃の温度で押圧して前記シリコーンゴム封止層を形成する工程
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記工程(i)で準備する前記シリコーンゴム組成物の形状はシート状とすることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記工程(iii)は、真空ラミネーターを用いて行われる工程とすることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
太陽電池封止材であって、
(A)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)BET法で測定した比表面積が50~500m/gである補強性シリカ:10~150質量部
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対して前記(C)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
及び
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
を含むシリコーンゴム組成物からなることを特徴とする太陽電池封止材。
【請求項9】
前記光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、(1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金錯体、(1,5-シクロオクタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(メチルシクロオクタ-1,5-ジエニル)ジエチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体、及びビス(β-ジケトナト)白金錯体の群から選ばれる1種以上の光活性型ヒドロシリル化反応触媒であることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池封止材。
【請求項10】
前記太陽電池封止材はシート状のものであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の太陽電池封止材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴム封止層を有する太陽電池モジュール及びその製造方法並びに太陽電池封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コスト低減ならびに意匠性を重視したフレキシブル型太陽電池や、シースルー性を有した太陽電池、軽量で取り扱いに優れた有機薄膜太陽電池、光透過性基板としてガラス以外の透明樹脂または透明フィルムを使用した太陽電池の開発が盛んに行われている。中でも、低価格化ならびに高効率を両立する太陽電池として、ペロブスカイト型化合物を発電層に有した太陽電池(以下、「ペロブスカイト型太陽電池」と呼ぶ)の研究開発が進められている。ペロブスカイト型太陽電池は、結晶シリコン系太陽電池に比べ安価で製造することができ、高い発電効率を有する。ペロブスカイト型太陽電池素子は、受光面側から、光透過性基板または光透過性フィルム、透明導電膜、電子輸送層、発電層、正孔輸送層、背面電極を積層することで得られる。上記素子を封止する、いわゆるモジュール化工程においては、背面電極のさらに背面側に封止材を適用させ、最背面に基板ならびにフィルムなどで封止した構造が検討されている。受光面側光透過性基板ならびに最背面側基板にガラスなどを使用する構造や、受光面側に光透過性フィルム、最背面側にフィルムを使用するフレキシブル構造など、種々提案がなされている。
【0003】
一方、ペロブスカイト型太陽電池は水蒸気に弱く、水蒸気を高いレベルで遮断することが望まれる。特に太陽電池は、屋外において過酷な環境に長時間晒されるため、封止材ならびに封止工程は極めて重要なものとなる。
【0004】
加えて、ペロブスカイト型太陽電池は、熱に弱く、封止する際の温度に留意する必要がある。封止材は、一般的に熱することによって、充填、接着、硬化のプロセスを経て、素子を封止する能力を得る。従って、加熱工程は重要であるが、ペロブスカイト型太陽電池の場合、120℃を超える温度を付加することは、発電能力低下につながり適当でない。
【0005】
特許文献1には、封止材として、ポリイソブチレン系ポリマーに、酸化カルシウム等の吸湿フィラーを添加した材料を塗布し、形成することが示されている。吸湿フィラーによって水蒸気を除去する方法は、吸湿能力として有限であり、過酷な環境に長期間晒される太陽電池としては、出力保持が有限なものとなる。また、特許文献2には、アクリル系などの樹脂材料を素子に粘着させ、最表面に水蒸気バリア性を有するフィルムを貼り合わせる方法が提案されている。樹脂を使用する場合、気泡の巻き込みの問題があることや水蒸気バリアフィルムとの間の脱泡など、塗布工程に多くの課題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-15902号公報
【特許文献2】特開2021-174884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ペロブスカイト型太陽電池、有機薄膜型太陽電池、フレキシブル型太陽電池、光透過性基板に透明樹脂やフィルムを適用した太陽電池などに対し、低温で封止することが可能であり熱による変形や太陽電池出力低下を引き起こさず、従来の真空加熱ラミネーターで封止することができる太陽電池封止材及び太陽電池モジュールとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、太陽電池セル及びシリコーンゴム封止層を備える太陽電池モジュールであって、前記シリコーンゴム封止層が、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物である太陽電池モジュールを提供する。
【0009】
このような太陽電池モジュールであれば、低温で封止することが可能であり熱による変形や太陽電池出力低下を引き起こさず、従来の真空加熱ラミネーターで封止することができる太陽電池モジュールを提供することができる。
【0010】
また、前記シリコーンゴム組成物は、
(A)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)BET法で測定した比表面積が50~500m/gである補強性シリカ:10~150質量部
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対して前記(C)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
を含有することが好ましい。
【0011】
本発明では、このようなシリコーンゴム組成物を用いることができる。
【0012】
また、前記光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、(1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金錯体、(1,5-シクロオクタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(メチルシクロオクタ-1,5-ジエニル)ジエチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体、及びビス(β-ジケトナト)白金錯体の群から選ばれる1種以上の光活性型ヒドロシリル化反応触媒であることが好ましい。
【0013】
本発明では、このような光活性型ヒドロシリル化反応触媒を用いることができる。
【0014】
また、前記太陽電池セルは、ペロブスカイト型太陽電池セルであることが好ましい。
【0015】
このような太陽電池モジュールであれば、低価格かつ高効率な太陽電池モジュールを提供することができる。
【0016】
また、本発明では、上記の太陽電池モジュールの製造方法であって、
工程(i):前記シリコーンゴム組成物を準備する工程
工程(ii):前記シリコーンゴム組成物に紫外線を照射する工程
及び
工程(iii):前記紫外線を照射したシリコーンゴム組成物と前記太陽電池セルとを積層し、20~100℃の温度で押圧して前記シリコーンゴム封止層を形成する工程
を含む太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【0017】
このような太陽電池モジュールの製造方法であれば、低温で封止することが可能であり熱による変形や太陽電池出力低下を引き起こさず、従来の真空加熱ラミネーターで封止して太陽電池モジュールを得ることができる。
【0018】
また、前記太陽電池モジュールの製造方法において、前記工程(i)で準備する前記シリコーンゴム組成物の形状はシート状とすることが好ましい。
【0019】
このような太陽電池モジュールの製造方法であれば、太陽電池モジュールの製造に広く使用されている真空ラミネーターを用いて太陽電池モジュールを得ることができる。
【0020】
また、前記太陽電池モジュールの製造方法において、前記工程(iii)は、真空ラミネーターを用いて行われる工程とすることが好ましい。
【0021】
このような太陽電池モジュールの製造方法であれば、簡便に太陽電池モジュールを得ることができる。
【0022】
また、本発明では、
太陽電池封止材であって、
(A)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)BET法で測定した比表面積が50~500m/gである補強性シリカ:10~150質量部
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対して前記(C)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
及び
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
を含むシリコーンゴム組成物からなる太陽電池封止材を提供する。
【0023】
このような太陽電池封止材であれば、低温で封止することが可能であり熱による変形や太陽電池出力低下を引き起こさず、従来の真空加熱ラミネーターで封止することができる太陽電池封止材を提供できる。
【0024】
また、本発明において、前記光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、(1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金錯体、(1,5-シクロオクタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(メチルシクロオクタ-1,5-ジエニル)ジエチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体、及びビス(β-ジケトナト)白金錯体の群から選ばれる1種以上の光活性型ヒドロシリル化反応触媒であることが好ましい。
【0025】
本発明では、このような光活性型ヒドロシリル化反応触媒を用いることができる。
【0026】
また、本発明の太陽電池封止材は、シート状のものであることが好ましい。
【0027】
このような太陽電池封止材であれば、太陽電池モジュールの製造に広く使用されている真空ラミネーターを用いて封止することができる太陽電池封止材を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、太陽電池セルを低温で封止することができるため、変形がなく、ペロブスカイト型太陽電池などの熱が出力に大きく影響する太陽電池の初期出力を低下させることなく太陽電池モジュールを製造することが可能である。また、本発明によれば、太陽電池モジュールを、真空ラミネーター等を用いて容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールの一例を示す縦断面概略図である。
図2】本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールの別の一例を示す縦断面概略図である。
図3】本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールの作製工程を示す縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上述のように、低温で封止することが可能であり熱による変形や太陽電池出力低下を引き起こさず、従来の真空加熱ラミネーターで封止することができる太陽電池モジュールの開発が求められていた。
【0031】
本発明者らは、上記目的を達成するため検討を行った結果、光活性型ヒドロシリル化反応触媒により硬化するシリコーンゴム組成物を太陽電池封止材として用いることにより、太陽電池の発電能力の低下を生じさせず、かつ、簡便に太陽電池モジュールが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0032】
即ち、本発明は、太陽電池セル及びシリコーンゴム封止層を備える太陽電池モジュールであって、前記シリコーンゴム封止層が、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物である太陽電池モジュールである。
【0033】
また、本発明は、
太陽電池封止材であって、
(A)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)BET法で測定した比表面積が50~500m/gである補強性シリカ:10~150質量部
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対して前記(C)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
及び
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
を含むシリコーンゴム組成物からなる太陽電池封止材である。
【0034】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[太陽電池モジュール]
以下に、本発明に係る太陽電池モジュールについてペロブスカイト型太陽電池モジュールを例に説明するが、本発明はペロブスカイト型以外の太陽電池モジュールにも同様に適用することができる。
【0036】
図1は、本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールの一実施形態における構成を示す断面図である。ペロブスカイト型太陽電池モジュール10は、受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1の裏面上に積層されたペロブスカイト型太陽電池セル2の背面側に、上記ペロブスカイト型太陽電池セル2を覆う形態でシリコーンゴム封止層3を配置し、その上部に背面基板または背面フィルム4を積層配置し、さらにペロブスカイト型太陽電池モジュール10の端部に端部シール材5を配置した構造を有するものである。シリコーンゴム封止層3は、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物である。
【0037】
図2は、本発明に係るペロブスカイト型太陽電池モジュールのもう一つの実施形態における構成を示す断面図である。ペロブスカイト型太陽電池モジュール11は、受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1上にシリコーンゴム封止層3が配置され、前記シリコーンゴム封止層3の上にペロブスカイト型太陽電池セル2を配置する。上記ペロブスカイト型太陽電池セル2の上に上記ペロブスカイト型太陽電池セル2を覆う形態で、再度シリコーンゴム封止層3を配置し、その上部に背面基板または背面フィルム4を積層配置し、さらにペロブスカイト型太陽電池モジュール11の端部に端部シール材5を配置した構造を有するものである。この場合、ペロブスカイト型太陽電池セル2は、他の基材や他の太陽電池セルと組み合わせても良い。背面基板または背面フィルム4は、透明であっても良いし、不透明であっても良く、また水蒸気バリア性を有するフィルムを用いても良い。シリコーンゴム封止層3は、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物である。
【0038】
ここで、受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1は、太陽光を入射させる側となる透明部材であり、透明性、耐候性、耐衝撃性をはじめとして屋外使用において長期の信頼性能を有する部材が必要である。例えば、受光面光透過性基板の例として透明ガラスが挙げられ、青板ガラスや白板強化ガラスが好ましい。受光面光透過性フィルムとしては、高い水蒸気バリア性を有する光透過性フィルムが好ましく、水蒸気透過率(JIS Z0208:1976、条件B(40℃、90%RH))が50g/(m2・24h)以下の材料を適用するのが好ましく、10g/(m2・24h)以下であることがより好ましく、5g/(m2・24h)以下であることが更に好ましい。
【0039】
ペロブスカイト型太陽電池セル2は、通常、光透過性基板上に電子輸送層、ペロブスカイト型化合物で形成される発電層、正孔輸送層、背面電極を積層させたものであるが、この構造に限らない。
【0040】
シリコーンゴム封止層3は、ペロブスカイト型太陽電池セル2を隙間なく覆うように配置されるものであり、受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1と、ペロブスカイト型太陽電池セル2と、背面基板または背面フィルム4とがそれぞれよく密着するシリコーンゴムであることが好ましい。
【0041】
また、シリコーンゴム封止層3は、難燃性を有するため、太陽電池モジュールとしての適用範囲を拡大することが可能である。
【0042】
シリコーンゴム封止層3の厚さは0.1~3mmが好ましく、0.1~1mmがより好ましい。
【0043】
背面基板または背面フィルム4は、ガラスなどの基板または高い水蒸気バリア性を有する背面フィルムを用いることが好ましい。水蒸気透過率(JIS Z0208:1976、条件B(40℃、90%RH))が50g/(m2・24h)以下の材料を適用するのが好ましく、10g/(m2・24h)以下であることがより好ましく、5g/(m2・24h)以下であることが更に好ましい。
【0044】
また、背面基板または背面フィルム4に求められるその他の特性としては、長期使用環境に耐えるため、耐熱性、耐候性、耐湿性、耐電圧性、耐紫外線性の他、シリコーンゴム封止層3との密着性が要求される。
【0045】
背面基板としては白板ガラス、青板ガラスなどを使用することができる。背面フィルムとしては、フッ素樹脂フィルムとPETフィルムとを組み合わせて水蒸気透過率を調整した積層フィルム、または金属薄膜とPETフィルムを組み合わせた積層フィルム、PENフィルム等に薄い金属層を蒸着し、水蒸気透過を抑制したフィルムなどが挙げられる。上記背面基板または背面フィルム4は、必ずしも透明である必要は無いが、光透過性を有する場合、得られる太陽電池モジュールはシースルー型、または外観に優れる太陽電池として適用範囲を拡大することができる。
【0046】
受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1及び背面基板または背面フィルム4を、ともに薄型ガラスまたはフィルムとした場合、フレキシブル型太陽電池を形成することが可能である。
【0047】
また、予めシリコーンゴム封止層3と背面フィルム4とを積層してもよく、その場合、シリコーンゴム封止層3と背面フィルム4とが一体の積層シートとなり、真空加熱ラミネーターで封止を行う際、同時に取り扱うことができ、製造工程を簡略化することができる。
【0048】
シリコーンゴム封止層3を配置する際、併設して端部シール材5を配置してもよい。この場合、端部シール材5は、水蒸気バリア性に優れる樹脂などが好適であり、例としてブチルゴムやエポキシ樹脂などが挙げられる。一例として、端部シール材5は、受光面光透過性基板1の端部に配置し、かつペロブスカイト型太陽電池2に接しないように配置する構造が挙げられる。この場合、端部シール材5の幅は、前記範囲を考慮し配置すればよく、特に限定されない。シリコーンゴム封止層3は、端部シール材5の内側に配置するため、内側のサイズに合わせることが必要である。また、端部シール材5の厚みは、シリコーンゴム封止層3と合わせるのが好適である。端部シール材5が熱硬化性である場合、シリコーンゴム封止層3と併設した状態で、真空加熱ラミネーターにて同時に形成することができる。また、シリコーンゴム封止層3を受光面光透過性基板1の全面に配置し、封止を形成した後、受光面光透過性基板1の外周側面に端部シール材5を配置することもできる。シリコーンゴム封止層3と端部シール材5の組み合わせは、太陽電池モジュールの構成に応じて適宜変更すればよく、この例に限らない。
【0049】
[シリコーンゴム組成物(太陽電池封止材)]
上記シリコーンゴム封止層3は、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むシリコーンゴム組成物の硬化物からなる。
【0050】
シリコーンゴム組成物としては、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含み、光照射により硬化するシリコーンゴム組成物であれば、低温でシリコーンゴム封止層を形成することが可能であり、熱による太陽電池モジュールの変形や出力低下を防ぐことができるため特に限定されるものではないが、下記(A)~(D)成分を含有するシリコーン組成物が好ましい。
【0051】
(A)重合度が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)BET法で測定した比表面積が50~500m/gである補強性シリカ:10~150質量部
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のアルケニル基1モルに対して(C)成分中のヒドロシリル基が0.5~5モルとなる量
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒:(A)成分に対し、白金族金属質量に換算して0.5~1,000ppm
【0052】
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(A)成分のオルガノポリシロキサンは、重合度(又は分子中のケイ素原子数)が100~10,000であって、1分子中にケイ素原子に結合した2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(A)成分のオルガノポリシロキサンは、好適には、室温(25℃)で生ゴム状(即ち、高粘度で自己流動性のない非液状)の成分である。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを主剤として配合するシリコーンゴム組成物は、通常、ミラブル型の(即ち、生ゴム状であって、ロールミル等の混練機により、せん断応力下に均一に混練することが可能な)組成物となるものである。
【0053】
(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(I)で表されるものが挙げられる。
1 aSiO(4-a)/2 (I)
(式(I)中、Rは同一又は異種の炭素数1~12の1価炭化水素基を示し、aは1.95~2.05の数である。)
【0054】
上記平均組成式(I)中、R1は同一又は異種の炭素数1~12、好ましくは1~8の1価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピル基等のフルオロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。
【0055】
(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖がジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるもの、又はこの主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したもの等が好適である。
【0056】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上(通常、2~50個、特には2~20個)のアルケニル基、好ましくはビニル基を有し、例えば、上記平均組成式(I)中の全R1基に対して、0.01~10%、特に0.02~5%がアルケニル基であることが好ましい。
【0057】
なお、上記アルケニル基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中(非末端)のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有していることが好ましい。具体的には分子鎖末端がジメチルビニルシリル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものが好ましい。
【0058】
上記平均組成式(I)において、aは1.95~2.05の数であり、好ましくは1.98~2.02、より好ましくは1.99~2.01の数である。(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの分子構造は、基本的には、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R1 SiO2/2)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 SiO1/2)で封鎖された直鎖状構造であることが一般的であるが、ゴム弾性を損なわない範囲において主鎖中に少量の分岐単位(R1SiO3/2)を含有した分岐状構造であってもよい(R1は上記と同一である)。
【0059】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、分子鎖末端がトリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、ジメチルビニルシロキシ基、メチルジビニルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基で封鎖されたものを好ましく挙げることができる。特に好ましいものとしては、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン等を挙げることができる。
【0060】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの重合度は、100~100,000が好ましく、より好ましくは3,000~20,000である。このような範囲であれば、ゴム強度および取り扱い性により優れる。なお、本明細書中で重合度とは下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の平均分子量から重量平均重合度として求めた値である。
【0061】
[GPC測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperH5000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度0.5質量%のトルエン溶液)
【0062】
(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、分子構造や重合度の異なる2種以上を併用してもよい。
【0063】
(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、公知の方法、例えばオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解し、縮合することにより、或いは環状ポリシロキサンをアルカリ性又は酸性触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
【0064】
(B)補強性シリカ
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(B)成分の補強性シリカは、硬化前後の機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために添加されるものである。(B)成分のBET法で測定した比表面積は、シリコーンゴム組成物の機械的強度および透明性の観点から50~500m/gであることが好ましく、200~500m2/gであることがより好ましく、特に好ましくは250~500m2/gである。このような範囲であれば、太陽電池モジュールの製造において透明性が高く加工性に優れ、硬化前後の機械的強度に優れる封止層を得ることができる。
【0065】
(B)成分の補強性シリカとしては、煙霧質シリカ(乾式シリカ又はヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられる。また、これらの表面をクロロシラン、アルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等で疎水化処理したものも好適に用いられる。特にヘキサメチルジシラザンによる処理が、透明性が高くなり、好ましい。透明性を高めるには、補強性シリカとして煙霧質シリカの使用が好ましい。補強性シリカは、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0066】
(B)成分の補強性シリカとしては、市販品を用いることができ、例えば、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジルR-812、アエロジルR-972、アエロジルR-974などのアエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)製)、Cabosil MS-5、MS-7(キャボット社製)、レオロシールQS-102、103、MT-10((株)トクヤマ製)等の表面未処理又は表面疎水化処理された(即ち、親水性又は疎水性の)ヒュームドシリカや、トクシールUS-F((株)トクヤマ製)、NIPSIL-SS、NIPSIL-LP(日本シリカ工業(株)製)等の表面未処理又は表面疎水化処理された沈降シリカ等が挙げられる。
【0067】
(B)成分の補強性シリカの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して10~150質量部が好ましく、より好ましくは30~90質量部であり、更に好ましくは50~90質量部である。(B)成分の配合量が10質量部以上であると硬化前後の補強効果が得られ易く、また、シリコーンゴム組成物の硬化後の透明性が低下しない。150質量部以下であると、シリコーンゴム組成物中へのシリカの分散が良好であり、シリコーンゴム組成物をシート状に加工する際の加工性に優れるものとなる。
【0068】
(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
上記シリコーンゴム組成物に使用することが好ましい(C)成分は、1分子中にケイ素原子に結合する水素原子(ヒドロシリル基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、下記平均組成式(II)で示される常温で液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
2 bcSiO(4-b-c)/2 (II)
(式(II)中、Rは互いに独立に同一又は異種の炭素数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。bは0.7~2.1、cは0.001~1で、かつb+cは0.8~3を満足する数である。)
【0069】
式(II)中、Rの炭素数1~10の非置換又は置換の1価炭化水素基としては、炭素数1~6の非置換又は置換の脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基が好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、シアノメチル基等が挙げられ、メチル基、プロピル基、フェニル基が好ましい。
【0070】
式(II)中、bは0.7~2.1、好ましくは0.8~2.0、cは0.001~1、好ましくは0.01~1で、かつb+cは0.8~3.0、好ましくは0.9~2.7を満足する数である。
【0071】
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2個(例えば2~300個)、好ましくは3個以上(例えば3~200個)、より好ましくは4個以上(例えば4~100個)有するが、これらは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中(非末端)にあっても、その両方にあってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中のケイ素原子数(又は重合度)が通常2~300個、好ましくは3~200個、より好ましくは4~100個のものであればよく、また25℃における粘度が0.5~1,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1~500mPa・s、特に5~300mPa・sであることが好ましい。なお、この粘度はJIS K 7117-1:1999記載の回転粘度計により25℃で測定した値を指す。
【0072】
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体等や、上記各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基やフェニル基等のアリール基で置換されたものなどが挙げられる。
【0073】
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~30質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましい。
【0074】
また、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、シリコーンゴム組成物のゴム物性の点から、(A)成分のアルケニル基の合計に対するヒドロシリル基のモル比が、0.5~5の範囲であることが好ましく、0.8~3の範囲がより好ましく、1~2.5の範囲となるように配合することもできる。このような範囲であれば、太陽電池モジュールの作製に適切な硬さの封止層を得ることができる。
【0075】
(D)光活性型ヒドロシリル化反応触媒
(D)成分の光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、紫外線等の光照射により上記(A)成分中のアルケニル基と(C)成分中のヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応による架橋を促進する触媒である。
【0076】
光活性型ヒドロシリル化反応触媒としては、公知のものが適用可能であり、例えば、(1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金錯体、(1,5-シクロオクタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(メチルシクロオクタ-1,5-ジエニル)ジエチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体、及びビス(β-ジケトナト)白金錯体の群から選ばれる1種以上が使用できる。
【0077】
(D)成分の光活性型ヒドロシリル化反応触媒の配合量は、触媒量とすることができ、通常、(A)成分に対し、白金金属質量に換算して0.5~1,000ppmが好ましく、1~500ppmの範囲がより好ましい。このような範囲であれば、硬化性に優れ、触媒由来のシリコーンゴム組成物の黄変による太陽電池モジュールの発電効率低下を抑制することができる。
【0078】
その他の成分
また、上記シリコーンゴム組成物には、上記(A)~(D)成分の他に、硬化速度またはポットライフを調整する目的で付加反応制御剤を使用してもよく、付加反応制御剤の具体例としては、エチニルシクロヘキサノールやテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
【0079】
[シリコーンゴム組成物の製造方法]
上記シリコーンゴム組成物は、上述した成分を2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練りすることによって得ることができる。
【0080】
上記シリコーンゴム組成物の硬化前(未加硫状態)の可塑度は、好ましくは150~1,000、より好ましくは200~800、より好ましくは250~600である。可塑度が150より大きいと組成物の形状維持が容易であり、タックが強くなりすぎず取り扱い性に優れる。また、1,000以下であるとまとまりがよく、シート化が容易となる。なお、可塑度はJIS K6249:2003に準じて測定できる。
【0081】
上記シリコーンゴム組成物は、シート状に成形したものを太陽電池封止材とすることにより、太陽電池モジュールの製造に広く使用されている真空ラミネーターを用いて封止することができる。シートの成形方法としては、特に限定されないが、押し出し成形、カレンダー成形等を用いることができる。この際、シリコーンゴム組成物シートの厚さは0.1~3mm、特に0.1~1mmであることが好ましい。
【0082】
[太陽電池モジュールの製造方法]
本発明の太陽電池モジュールは、
工程(i):シリコーンゴム組成物を準備する工程
工程(ii):シリコーンゴム組成物に紫外線を照射する工程
及び
工程(iii):紫外線を照射したシリコーンゴム組成物と太陽電池セルとを積層し、20~100℃の温度で押圧してシリコーンゴム封止層を形成する工程
を含む製造方法により製造することができる。
【0083】
工程(i)は、シリコーン組成物を作製して準備する工程である。シリコーン組成物は、上記(A)~(D)成分を上記配合で含有するものを用いることが好ましい。本工程では、工程(iii)で真空ラミネート加工しやすくする観点から、シート状のシリコーンゴム組成物を準備することが好ましい。
【0084】
工程(ii)は、上記シリコーンゴム組成物に紫外線を照射する工程である。本工程において紫外線を照射することにより、シリコーンゴム組成物は、工程(iii)の押圧によりシリコーンゴム封止層を形成できる程度に硬化させてもよい。
【0085】
紫外線照射方法としては、紫外光源として365nm UV-LEDランプ、メタルハライドランプ等を使用して、適量の紫外線を照射する方法等が挙げられる。
【0086】
紫外線照射には、好ましくは波長200~500nm、より好ましくは200~350nmの光が使用される。硬化速度、変色防止の観点から、照射温度は20~80℃が好ましく、照射強度は30~2,000mW/cm2が好ましく、照射線量は150~10,000mJ/cm2が好ましい。
【0087】
工程(iii)は、紫外線照射したシリコーンゴム組成物と太陽電池セルとを積層し、20~100℃の温度で押圧してシリコーンゴム封止層を形成する工程である。
【0088】
工程(iii)では、真空ラミネーターを用いて行われる真空ラミネート処理により真空下(減圧下)で加熱しながら押圧を行うことが好ましく、例えば、図3に示すような方法でシリコーンゴム封止層の形成を行うことができる。
【0089】
まず、工程(ii)で紫外線照射したシリコーンゴム組成物シート6を用意し(図3の(1))、これを受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1の上に配置する(図3の(2))。次に、シリコーンゴム組成物シート6上にペロブスカイト型太陽電池セル2を、受光面側が下部の受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1に配向するように配置する(図3の(3))。その上に工程(ii)で紫外線照射したシリコーンゴム組成物シート6を配置し(図3の(4))、さらにその上に背面基板または背面フィルム4を配置し、仮積層体とする(図3の(5))。次いで、この仮積層体(受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1と背面基板または背面フィルム4との間にペロブスカイト型太陽電池セル2及びシリコーンゴム組成物シート6を仮積層した状態のもの)について、真空ラミネート装置を用いて、例えば、減圧下20~100℃、好ましくは60~100℃で20~60分間押圧すると、シリコーンゴム組成物シート6が硬化してシリコーンゴム封止層3となり、受光面光透過性基板または受光面光透過性フィルム1、背面基板または背面フィルム4及びペロブスカイト型太陽電池セル2に固着し一体化される。これにより、ペロブスカイト型太陽電池モジュール12が得られる(図3の工程(6))。
【0090】
押圧する際の温度が20℃以上であれば、より確実にシリコーンゴム封止層によって太陽電池セルを封止することができる。温度が100℃以下であれば、熱による変形や出力低下が起こるのをより確実に防ぐことができる。
【0091】
なお、本発明の太陽電池モジュールの製造方法において、シリコーンゴム組成物の硬化は工程(ii)、工程(iii)のどちらで行ってもよく、また両方で行ってもよい。すなわち、工程(ii)の紫外線照射で組成物の硬化を完了させて工程(iii)では常温で押圧のみを行ってもよいし、工程(iii)において未硬化状態の組成物を押圧する際に組成物の加熱硬化をあわせて行ってもよい。また、工程(ii)で組成物をいわば半硬化の状態としておき、工程(iii)で押圧と同時に加熱硬化を行い、組成物の硬化を完了させることもできる。
【実施例0092】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0093】
<太陽電池封止材用シリコーンゴム組成物の調製及びシリコーンゴム組成物シートの作製>
[実施例1-1]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.025モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.125モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100質量部、BET比表面積300m2/gのシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)70質量部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン16質量部、水4質量部を添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンドを調製した。
上記コンパウンド100質量部に対し、光活性型ヒドロシリル化反応触媒として、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5質量%)2.5質量部(オルガノポリシロキサンに対し、白金族金属質量に換算して238ppm)、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にヒドロシリル基を平均20個有するメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン(平均重合度40、ヒドロシリル基量0.0074mol/g)0.3質量部(オルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モルに対してヒドロシリル基が2.1モルとなる量)を、2本ロールミルにて混合し、シリコーンゴム組成物を作製した。その後、カレンダーロールにより厚さが0.5mmとなるようにシリコーンゴム組成物シートを形成した。
【0094】
[比較例1-1]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.025モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.125モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100質量部、BET比表面積300m2/gのシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)70質量部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン16質量部、水4質量部を添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンドを調製した。
上記コンパウンド100質量部に対し、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体のキシレン溶液(白金濃度1質量%)0.05質量部(オルガノポリシロキサンに対し、白金族金属質量に換算して9ppm)、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.025質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にヒドロシリル基を平均20個有するメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン(平均重合度40、ヒドロシリル基量0.0074mol/g)0.3質量部(オルガノポリシロキサンのアルケニル基1モルに対してヒドロシリル基が2.1モルとなる量)を2本ロールミルにて混合し、シリコーンゴム組成物を作製した。その後、カレンダーロールにより厚さが0.5mmとなるようにシリコーンゴム組成物シートを形成した。
【0095】
<太陽電池モジュールの製造および評価>
[実施例2-1~2-3]
実施例1-1で得られたシリコーンゴム組成物シートを、25℃、50%RH、紫外線を遮断した条件下に3日間静置後、紫外線照射装置を用いて、波長365nmのUV光を照射線量6,000mJ/cmで照射したものを用意した。
【0096】
図3に示されるように、受光面光透過性基板1として白板ガラス(サイズ100×100mm、厚み3.2mm)を準備し、その上に、シリコーンゴム組成物シート6として、上記の紫外線照射後のシリコーンゴム組成物シート(サイズ100×100mm、厚み0.5mm)を配置し、その上部にペロブスカイト型太陽電池セル2(サイズ50×50mm、厚み1mm)を、受光面側が下部白板ガラスに配向する形で、シリコーンゴムシート組成物6上部の中央に配置した。その上部に上記の紫外線照射後のシリコーンゴム組成物シート6(サイズ100×100mm、厚み0.5mm)を配置し、さらにその上部に背面基板4として、白板ガラス(サイズ100×100mm、厚み3.2mm)を配置し、仮積層体を得た。
【0097】
次いで、この仮積層体について真空ラミネータ装置を用いて真空下、60℃(実施例2-1)、80℃(実施例2-2)、100℃(実施例2-3)の各温度条件にて、各30分間押圧し、ペロブスカイト型太陽電池モジュール12を製造した。
【0098】
[比較例2-1~2-5]
シリコーンゴム組成物シート6として、比較例1-1で得られたシリコーンゴム組成物シートを用いた以外は、上記実施例2-1~2-3と同様にして仮積層体を得た。
【0099】
次いで、この仮積層体について真空ラミネータ装置を用いて真空下、60℃(比較例2-1)、80℃(比較例2-2)、100℃(比較例2-3)、120℃(比較例2-4)、140℃(比較例2-5)の各温度条件にて、各30分間押圧し、ペロブスカイト型太陽電池モジュールを製造した。
【0100】
[比較例2-6~2-10]
シリコーンゴム組成物シート6に代えて、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)シート(100×100mm、厚み0.45mm)を用いた以外は、上記比較例2-1~2-5と同様にして太陽電池モジュールを製造した。
【0101】
[被覆性]
上記実施例2-1~2-3および比較例2-1~2-10で得られた太陽電池モジュールについて、ペロブスカイト型太陽電池セル2に対する被覆性を目視にて確認し、ペロブスカイト型太陽電池セルの段差部および電極部において空隙が残存していない状態を〇(良好)とし、ペロブスカイト型太陽電池セルの段差部および電極部において空隙が残存する状態を×(不良)として評価した。結果を表1に示す。
【0102】
[出力維持率]
上記実施例2-1~2-3および比較例2-1~2-10で得られた太陽電池モジュールのうち、上記被覆性が〇(良好)であったものについて、太陽電池モジュールの出力(W)を疑似太陽光照射装置にて測定し、モジュール化前のペロブスカイト型太陽電池セル単独の状態での出力(W)に対する出力維持率(%)を下記式により算出した。出力維持率が90%以上を〇、80%以上を△、80%未満を×とした。結果を表1に示す。
出力維持率(%)= W/W×100
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示されるように、実施例2-1~2-3では、実施例1-1で得られたシリコーンゴム組成物シートを太陽電池封止材として使用したので、ラミネート温度100℃以下の低温においても、セル被覆性、出力維持率ともに良好な結果を得た。
【0105】
また、光活性型ヒドロシリル化反応触媒を用いない熱硬化性組成物である比較例1-1のシリコーンゴム組成物シートを太陽電池封止材として使用した場合(比較例2-1~2-5)、より高温であっても、ラミネート処理による太陽電池セル被覆性が不十分であった。
【0106】
さらに、比較例2-6~2-9に示されるように、太陽電池封止材としてEVAシートを使用した場合、60℃~120℃の条件では、EVAの溶融が不十分であるためラミネート処理による太陽電池セル被覆性が劣っていた。一方、140℃(比較例2-10)では、太陽電池セル被覆性は良好であったが、ペロブスカイト太陽電池セルの耐熱許容温度を超えたため、得られる太陽電池モジュールの出力が劣る結果となった。
【0107】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0108】
1…受光面光透過性基板/受光面光透過性フィルム、
2…ペロブスカイト型太陽電池セル、 3…シリコーンゴム封止層、
4…背面基板/背面フィルム、 5…端部シール材、
6…シリコーンゴム組成物シート、 10…ペロブスカイト型太陽電池モジュール、
11…ペロブスカイト型太陽電池モジュール、
12…ペロブスカイト型太陽電池モジュール。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
<太陽電池封止材用シリコーンゴム組成物の調製及びシリコーンゴム組成物シートの作製>
[実施例1-1]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.025モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.125モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100質量部、BET比表面積300m2/gのシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)70質量部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン16質量部、水4質量部を添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンドを調製した。
上記コンパウンド100質量部に対し、光活性型ヒドロシリル化反応触媒として、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5質量%)2.5質量部(オルガノポリシロキサンに対し、白金族金属質量に換算して238ppm)、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にヒドロシリル基を平均20個有するメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン(平均重合度40、ヒドロシリル基量0.0074mol/g)0.3質量部(オルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モルに対してヒドロシリル基が2.1モルとなる量)を、2本ロールミルにて混合し、シリコーンゴム組成物を作製した。その後、カレンダーロールにより厚さが0.5mmとなるようにシリコーンゴム組成物シートを形成した。