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特開2023-103951スタンド並びに試験測定装置及び着脱可能なスタンドから構成されるキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103951
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】スタンド並びに試験測定装置及び着脱可能なスタンドから構成されるキット
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20230720BHJP
   F16M 11/00 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
F16M13/00 Z
F16M11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156156
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/299,882
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/953,234
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】クリス・エイ・バレンタイン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・エム・エディガー
(72)【発明者】
【氏名】プラシャント・トータ
(57)【要約】
【課題】幅広い使用のため、試験測定装置を複数のポジションにおいて安定させる。
【解決手段】ポータブル試験測定装置100を受けるスタンドには、底板12と、略フラットな底板12から直交して延びる中板14であって、あるパターンで配置された穴があり、これらによって、取付ねじ20で試験測定装置100をスタンドに取り付けることができる中板14と、中板14に隣接して斜めに延びる上板16とがあり、上板16には、あるパターンで配置された穴があって、これらによって取付ねじ20で試験測定装置100をスタンドに取り付けできる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルな試験測定装置を受けるためのスタンドであって、
ベース板と、
該ベース板から直交して延びる第1部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置される1つ以上の穴を有し、該1つ以上の穴によって、1つ以上の留め具で上記試験測定装置を上記スタンドに取り付けることがきる上記第1部分と、
該第1部分に隣接してある角度で延びる第2部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置される1つ以上の穴を有し、該1つ以上の穴によって、1つ以上の留め具で上記試験測定装置を上記スタンドに取り付けることがきる上記第2部分と
を具えるスタンド。
【請求項2】
上記第1部分及び上記第2部分の上記1つ以上の留め具がスタンドに結合された脱落防止ねじである請求項1によるスタンド。
【請求項3】
上記試験測定装置と上記スタンドとの間に配置されたバッテリ・パックに上記試験測定装置が結合される請求項1によるスタンド。
【請求項4】
上記スタンドが上記第1部分及び第2部分の少なくとも一方からの材料の延長部を含み、該延長部は、上記装置の取り付け面上の凹部内に収まる鍵となり、上記装置と上記スタンドとを位置合わせする請求項1によるスタンド。
【請求項5】
上記第2部分に形成された開口部を更に有する請求項1によるスタンド。
【請求項6】
上記開口部のエッジと上記スタンドのエッジとの間の上記スタンドの一部に取り付けられたハンドルを更に有する請求項5によるスタンド。
【請求項7】
上記試験測定装置は、上記スタンドの上記第1部分に隣接して取り付けても良いし、上記スタンドの上記第2部分に隣接して取り付けても良いが、上記スタンドの上記第1部分への隣接した取り付けと上記スタンドの上記第2部分への隣接した取り付けとを同時には行わない請求項1によるスタンド。
【請求項8】
上記ベース板が、該ベース板とは反対方向に上記スタンドから延びるベース延長部を含む請求項1によるスタンド。
【請求項9】
上記第2部分の遠位エッジが、ベース延長部のエッジとほぼ揃っている請求項8によるスタンド。
【請求項10】
試験測定装置と着脱可能なスタンドとで形成されるキットであって、
ベース板と、
該ベース板から直交して延びる第1部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置される1つ以上の穴を有し、該1つ以上の穴によって、1つ以上の留め具で上記試験測定装置を上記スタンドに取り付けることがきる上記第1部分と、
該第1部分に隣接してある角度で延びる第2部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置される1つ以上の穴を有し、該1つ以上の穴によって、1つ以上の留め具で上記試験測定装置を上記スタンドに取り付けることがきる上記第2部分と
を有するスタンドと、
上記スタンドに着脱可能に取り付けられるように構成された装置と
を具え、該装置は、その取り付け面に1つ以上の穴を含み、該1つ以上の穴が、上記スタンドの上記第1部分の1つ以上の穴を通って延びる上記1つ以上の留め具又は上記スタンドの上記第2部分の上記1つ以上の穴を通って延びる1つ以上の留め具を受けるように構成される、試験測定装置と着脱可能なスタンドとで形成されるキット。
【請求項11】
上記試験測定装置と上記スタンドとの間に配置される構成のバッテリ・パックを更に具え、上記バッテリ・パックは、その取り付け面に1つ以上の穴を含み、該1つ以上の穴は、上記スタンドの上記第1部分の上記1つ以上の穴を通って延びる上記1つ以上の留め具又は上記スタンドの上記第2部分の上記1つ以上の穴を通って延びる上記1つ以上の留め具を受けるように構成される請求項10による試験測定装置と着脱可能なスタンドとで形成されるキット。
【請求項12】
上記スタンドの上記ベース板が、該ベース板とは反対方向に上記スタンドから延びるベース延長部を含む請求項10による試験測定装置と着脱可能なスタンドとで形成されるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定装置に関し、より詳しくは、試験測定装置と組み合わせて使用できる試験測定装置のスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープなどの試験測定装置は、従来、大きくてかさばるベンチトップ装置であった。これらの装置は、通常重く、ベンチトップで装置を安定させ、装置のディスプレイをベンチに対して垂直に保つのに十分な底面面積を備えている。一部の装置には、折りたたみ式の足もあり、ユーザは、前縁を上げてディスプレイを見る角度を変更できる。しかし、このような装置は、そのサイズのためにベンチトップのかなりのスペースを占有し、一般に、ユーザーが必要とするような携帯性や可動性がない。そして、概して、見る角度の調整が可能な装置でも、利用可能な調整は小さく、限られている。計測器は、通常、特定の使用状況において、もっと便利で実用的な追加のポジションを提供しない。例えば、一部のユーザは、フィールド・ワークのためにポータブルな試験測定装置を複数の場所に持ち込む必要があり、テーブル、地面又は利用可能な何らか面の間を取り替えながら、複数のポジションを利用する必要がある。直立した状態又はわずかに後ろに傾けた状態のみに使用が制限されている装置は、そのようなユーザのニーズに応えられない場合がある。
【0003】
時間を経て、メーカーは、試験測定装置の重量を減らし、よりポータブルで軽量な装置を作成することができるようになった。これらの装置の多くは、よりフラット(平坦)なフォームファクタを備えたコンピュータ・タブレットに似ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-129799号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】テクトロニクス社の「オシロスコープ」製品紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2022年9月28日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、試験測定装置のサイズ、重量及びフォームファクタが発展するにつれて、現場において、ベンチトップ又は所望の面に置いたときに、装置を安定に保つことがより困難になっている。例えば、装置がフラット(平ら)になるほど、底面面積が小さいため、転倒しがちである。また、小型の計測器では、見る角度の変化量を増やすことができるが、追加のサポートなしで、複数の角度で安定させることはできない。その結果、複数のポジションで汎用に使用するためには、試験測定装置を安定させる方法が必要である。
【0007】
本開示技術の実施形態は、上述した問題に対する解決策を提供し、先行技術における欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のように、多くの試験測定装置は、従来機種よりも小型化、フラット化及び軽量化が進んでいるが、こうした装置は、ベンチトップで転倒しやすく、概して、複数のポジションでの使用が可能となるようには、それ自体では安定していない。本開示による実施形態は、このような試験測定装置のためのスタンドを含み、複数のポジションで使用するための安定性及び汎用性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示技術の実施形態による試験測定装置用スタンドの斜視図である。
図2図2は、本開示技術の実施形態による図1のスタンドの側面図である。
図3図3は、本開示技術の実施形態による図1のスタンドの正面図であり、その特徴を詳細に示したものである。
図4図4は、本開示技術の実施形態による図1のスタンドの背面斜視図であり、その特徴を詳細に示したものである。
図5図5は、本開示技術の実施形態による第1使用ポジションに設置された試験測定装置を備えた図1のスタンドの側面図である。
図6図6は、本開示技術の実施形態による図5のスタンド及び試験測定装置の背面斜視図である。
図7図7は、本開示技術の実施形態による第1使用ポジションに設置された試験測定装置及びバッテリ・パックを備えたスタンドの側面図である。
図8図8は、本開示技術の実施形態による図7のスタンド、試験測定装置及びバッテリ・パックの背面斜視図である。
図9図9は、本開示技術の実施形態による第2使用ポジションに設置された試験測定装置を備えたスタンドの側面図である。
図10図10は、本開示技術の実施形態による図9のスタンド及び試験測定装置の背面斜視図である。
図11A図11Aは、本開示技術の実施形態による第3使用ポジションに設置された試験測定装置を備えたスタンドの側面図である。
図11B図11Bは、本開示技術の実施形態による第3使用ポジションに設置された試験測定装置を備えたスタンドの側面図であり、このとき、図11Aに例示した向きから試験測定装置を回転させたものである。
図12A図12Aは、本開示技術の実施形態による第4使用ポジションに設置された試験測定装置を備えたスタンドの側面図である。
図12B図12Bは、本開示技術の実施形態による、第4使用ポジションに設置された試験測定装置を備えたスタンドの側面図であり、このとき、図12Aに例示した向きから試験測定装置を回転させている。
図13図13は、本開示技術の実施形態による第2使用ポジションに設置された試験測定装置及びバッテリ・パックを備えたスタンドの側面図である。
図14A図14Aは、本開示技術の実施形態による第3使用ポジションに設置された試験測定装置及びバッテリ・パックを備えたスタンドの側面図である。
図14B図14Bは、本開示技術の実施形態による第3使用ポジションに設置された試験測定装置及びバッテリ・パックを備えたスタンドの側面図であり、このとき、図14Aに例示した向きから試験測定装置を回転させている。
図15A図15Aは、本開示技術の実施形態による第4使用ポジションに設置された試験測定装置及びバッテリ・パックを備えたスタンドの側面図である。
図15B図15Bは、本開示技術の実施形態による第4使用ポジションに設置された試験測定装置及びバッテリ・パックを備えたスタンドの側面図であり、このとき、図15Aに例示した向きから試験測定装置を回転させている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図4に例示されるように、スタンド10は、3つの主要な部分で構成されている。底板12は、バック・フランジ13があって、いくつかの配置では、ベンチトップ又は他の実質的にフラットな面上に載置されても良く、中板14は、底板12から直交して延びており、上板16は、中板14からある角度で延びている。いくつかの実施形態では、上板16は、中板14の平面から15度の角度で後方に傾けるように斜めに配置されているが、他の実施形態では、上板16は、中板から異なる量、例えば、7~25度だけ斜めになっていても良い。図1には、取付ねじ20、キーイング・インデックス(keying index)22及びハンドル24など、スタンド10の更なる特徴も図示されている。
【0011】
スタンド10の使用中、ユーザは、キーイング・インデックス22を利用して、装置を所望の使用ポジションに位置調整し、次いで、取付ねじ20を使用して装置をスタンド10に固定できる。装置は、様々なポジションでスタンド10に固定されてもよく、その結果、装置は、以下で更に詳細に説明するように、複数の見る角度を有することになる。スタンド10は、装置に取り付けられると、比較的小さいままで、作業面上で最小限のスペースを占有しながら、装置に安定性を提供する。底板12と同一平面にあるバック・フランジ13も、実施形態によれば、作業面に対してフラットなままであり、バック・フランジ13の上方のスペースが電源ブロックなどの別の装置の台座(ベース)として使用可能になる。更に、装置がスタンド10に固定されると、ユーザは、ハンドル24を利用して、スタンド10及び装置を所望の場所に容易に移動させることができる。
【0012】
取付ねじ20、キーイング・インデックス22及びハンドル24は、図2~4に更に詳細に描かれている。実施形態では、取付ねじ20は、標準的なVESA取付システムと互換性のあるVESA(Video Electronics Standards Association)ねじである。取付ねじ20と、スタンド10を貫通するねじと関連する穴は、VESA規格に従って間隔をあけられ、配置されている。このようにして、スタンド10は、標準的なVESA間隔で一致する受入穴を有する装置及び他のデバイスとインタフェースするように構成されている。また、実施形態では、突出したキーイング・インデックス22が、取付ねじ20を装置にねじ留めするための適切な嵌合位置に装置を位置合わせすることによって、スタンド10を装置に固定するのを支援するように構成されている。
【0013】
キーイング・インデックス22は、プラスチック又は金属などの材料で形成され、中板14又は上板16のいずれか又はその両方から、装置の取り付け面に向かって延びていても良い。キーイング・インデックス22を構成する材料は、装置の取り付け面における相補的な形状の凹部の内部に収まるように成形されている。協働して使用されると、ユーザがスタンド10に装置を取り付けたい場合に、ユーザは、装置の取り付け面の凹部にキーイング・インデックス22を挿入することができ、すると、装置は、取付ねじ20によって固定されるスタンド10上に適切に位置合わせされることになる。取付ねじ20は、次いで、装置の受入穴にねじ込まれ、装置をスタンド10に完全に固定する。図5~6及び図9~12に示すように、装置の取り付け面は、装置の裏面であっても良い。
【0014】
更に、図2図4に描かれるように、スタンド10には、ハンドル24がある。実施形態では、ハンドル24は、上板16に矩形の切り欠きを作成して開口部36を形成し、上板16の上端部を柔らかく把持力(グリップ)を与える材料で囲むことによって構成されても良い。ハンドル24を作成するために使用される材料は、ゴム、他のポリマー又はユーザに快適性及びグリップを提供するための任意の他の適切な材料であっても良い。一実施形態では、ハンドル24は、スタンド10の本体を通して留め具で1つに結合される2つの材料から形成される。
【0015】
図1図3及び図4は、スタンドの実施形態に複数の開口部及び屈曲線(bend lines)があることも示している。中板14が底板12及びバック・フランジ13と接する場所に、底部開口32が配置されている。以下で更に詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、底部開口部32は、中板14に切り込みを入れ、この切られた材料を屈曲線42に沿って曲げてバック・フランジ13にすることによって形成されても良い。中板14と上板16とが接する屈曲線44の両側に中央開口部34が存在し、中板14と上板16の両方に空きスペースを形成する。最後に、上板16には上部開口部36が存在し、ハンドル24を可能にするスペースを形成する。中央開口部34又は上部開口部36のいずれかがあると、スタンド10を製造する際に、使用される材料の量が減少する。もちろん、開口部32、34、36は、実装の詳細によって、これらの図に例示されるのとは異なるサイズ及び形状であっても良い。別の実施形態では、全ての開口部がスタンド10内に存在する必要はない。
【0016】
スタンド10により、ユーザが複数の使用ポジションで装置を固定し、安定させることが可能になる。図5は、装置100が、水平面から約90度又は垂直平面に揃えられた直立ポジションでスタンド10に固定される第1使用ポジションを示す。このポジションにおいて、スタンド10は、底板12がベンチトップ又はテーブルなどの表面に対して平らに載置されている状態で直立状態に保たれる。装置100は、その底面のエッジが底板12に接して載置され、装置100は、取付ねじ20の底部セットで中板14に固定される。図示されるように、この第1ポジションに装置を固定することには、中板14に収容された取付ねじ20のみが関係し、上板16に収容された取付ねじ20は未使用のままである。上板16に収容された取付ねじ20は、以下でより詳細に説明するように、追加のポジションのために使用されても良い。取付ねじ20は、本開示技術の実施形態によれば、脱落防止機構付きねじ(脱落防止ねじ)でも良い。。
【0017】
いくつかの実施形態では、スタンド10に、VESA適合パターンで間隔をあけて配置された脱落防止機構付きねじのない穴があっても良く、これらを通して、別々のねじを使用して装置100をスタンド10に固定しても良い。同様にして、図6に示すように、中板14上のキーイング・インデックス22が装置100の裏面に挿入される。この第1使用ポジションでは、スタンド10と装置100の組み合わせは、作業面上の大きなスペースを占有することなく、装置100の垂直に直立した安定した使用が可能になる。その結果、スタンド10は、フラット化したフォームファクタの価値を損なうことなく、フラット化したフォームファクタの装置に関連した安定性と転倒の懸念に対処する。
【0018】
スタンド10の転倒は、底板12及びバック・フランジ13の構造及び位置によって防止されるが、底板12及びバック・フランジ13は、スタンド10の下側の水平面を拡張しており、装置100自体で利用可能な下側の水平面をはるかに超えていて、スタンド10なしで装置のみを使用する場合に比較して、追加の安定性を提供する。実施形態では、壁面のコンセントから電源をとった試験測定装置100を、研究所(lab:ラボ)のベンチトップ上で直立ポジションを維持するためにスタンド10に固定し、その後、ベンチトップ上又は研究所内の別の場所に移動させても良い。そして、上述のように、バック・フランジ13は、また、装置100の動作に使用される電源アダプタ又は他のコンポーネントを上に載置できる台座(ベース)を提供する。
【0019】
スタンド10の実施形態は、単一の金属片を用いて構成されても良い。図1を再度参照すると、このような実施形態によるスタンド10を作成するには、底板12、中板14、上板16の縁(エッジ)に沿った形状を、単一の金属片から切断する。次いで、中板にバック・フランジ13の形状に沿った形状で切り込みを入れ、金属を屈曲線42に沿って約90度曲げて、中板14及び上板16をそのまま底板12及びバック・フランジ13から直交に上方へ延ばして中板14に開口部32を形成する。更に2つの切り込みをして、中板14及び上板16にそれぞれ開口部34及び36を形成しても良い。次いで、金属板を屈曲線44に沿って曲げて、上板16の後方へ傾いた角度を形成する。実施形態では、金属は15度の角度で曲げられるが、他の実施形態では、7~25度の間の任意の角度の屈曲を利用しても良い。もちろん、これらの制作工程は、今説明したのとは異なる順序で行われても良い。
【0020】
バッテリ駆動の試験測定装置に対応するために、スタンド10は、着脱可能なバッテリ・パックを利用する装置と互換性があるように設計されている。この機能は、図7に例示され、これは、装置の第1使用ポジションにおいて、バッテリ・パック150を含む装置100がスタンド10に固定された側面図を示す。図示するように、バッテリ・パック150を含む装置100は、バッテリ・パックを取り付けずに図5に例示したのと同じ様式でスタンド10に固定される。バッテリ・パック150は、スタンド10と連動したもの以外の部品を用いて、装置100に別途取り付けられる。
【0021】
更なる詳細が図8に図示され、これは、この第1使用ポジションにおいて、スタンド10に固定されたバッテリ・パック150を含む装置100の背面斜視図を示す。中板14に収容されたキーイング・インデックス22と取付ねじ20は、バッテリ・パック150の裏面の受入穴に、装置100及びねじを位置合わせするために依然として機能している。これらの受入穴は、装置100上のものと同様に、バッテリ・パック150上に、VESA規格に従って配置される。更に、装置100は、底板12に接したままである一方、バッテリ・パック150は、中板14に接して取り付けられ、装置100を直立して安定に保つ。このように、ユーザが主に壁のコンセントから電源をとって装置を使用するか、バッテリ駆動の装置を使用するか又は両者を切り替えるかにかかわらず、スタンド10は、ユーザの体験を変更することなく、全てのニーズに対応する。
【0022】
第1ポジションで様々な電源の装置に対応することに加えて、スタンド10は、また、いくつかの使用ポジションに対応するように設計されている。第2動作ポジションが図9に描かれ、これは、スタンド10に固定された装置100の側面図を示す。この第2ポジションにおいて、装置100は、上板16が中板14から延びるのと同じ角度で垂直から後ろに傾いている。装置100は、背面のエッジ(端部)が底板12上又は底板12の近傍にある状態で載置され、上板16に収容されたキーイング・インデックス22と取付ねじ20が、装置100をこの傾斜ポジションに固定するのを支援する。底板12及びバック・フランジ13は、ベンチトップなどのフラット(平坦)な面に接したままである。この第2ポジションにおける装置100とスタンド10との間の接続状態の追加の背面斜視図を図10に示す。
【0023】
図9及び図10に示すように、中板14に収容された取付ねじ20及びキーイング・インデックス22は、この第2ポジションでは未使用のままである。実施形態では、上板16は、垂直から15度の角度が付けられており、従って、装置100を、第2ポジションにおいて垂直から15度の角度で見ることができる。上板16が中板14から15度以外の角度で角度をつけている場合、上述したように、装置を、中板が上板に接するのと同じ角度で見ることができる。このような見る角度は、例えば、垂直の観察位置と比較して、目の高さより低い面上で使用する場合に、より実用的又は快適な選択肢をユーザに提供できる。そして、使用ポジションにかかわらず、装置100がスタンド10に固定され、ハンドル24で持って移動できるという事実は、所望の角度又は使用ポジションを失うことなく装置100を移動させることを可能にする。更に、第2使用ポジションにおいて、装置100は、空間的にスタンド10の設置面積内に留まる。別の言い方をすれば、装置100は、第1ポジションと比較して第2ポジションで使用される場合、作業面上で余分なスペースを占有しない。
【0024】
図11A及び図11Bに描かれている第3使用ポジションによれば、ユーザは、ディスプレイを水平にして装置10を配置することが可能になる。このポジションにおいて、装置100は、中板14に収容されたキーイング・インデックス22及び取付ねじ20を用いてスタンド10に固定される。上板16に収容されたキーイング・インデックス22及び取付ねじ20は未使用のままであり、装置100の底面は、底板12に接して載置される。そのようにして、図11Aの装置100は、図5に描かれた第1直立ポジションと同様の様式でスタンド10に固定される。
【0025】
図11Bの装置100は、図11Aの装置100のポジションから180度回転しているが、同様の様式及びポジションでスタンド10に取り付けられている。しかし、この第3ポジションでは、底板12がフラットな面に接した状態でスタンドが直立して載置されるのではなく、スタンド10を直立から90度回転させて、フラットな面又は他の相性の良い面の上に置く。従って、スタンド10は、バック・フランジ13の後部エッジに沿った接触点と、ハンドル24のエッジに沿った接触点とによってフラットな面上で安定する。この水平な見る角度は、従来の試験測定装置では利用できない、スタンド10の汎用性を示している。
【0026】
スタンド10は、例えば、装置が、最も理想的には、地面に置かれ、上から立って見るような現場での状況に対応できる。そして、装置100は、直立して使用するか又は水平に使用するかに関わらず、スタンド10に同じに固定されているため、スタンド10及び装置100をこの第3ポジションに回転させるだけで、ユーザの努力はほとんどないか又はまったくなしに、装置100は、これらの見る角度の間を、容易に切り替えることができる。
【0027】
第4使用ポジションでは、ユーザは、ディスプレイを備えた装置10を水平以外の角度で配置し、スタンドを第3ポジションと同じか又は類似のポジションに回転させて配置できる。この第4ポジションの側面図を、図12A及び図12Bに示している。このポジションでは、第2ポジションと同様に、装置100は、上板16に収容されたキーイング・インデックス22及び取付ねじ20を用いてスタンド10に固定される。装置100の底面のエッジは、底板12に接触するが、装置の形状によっては、底板12に接して載置されない。
【0028】
この第4ポジションでは、中板14に収容されたキーイング・インデックス22及び取付ねじ20は未使用のままである。要するに、装置100は、図9に描かれ、上述した、その第2ポジションで使用される場合と同じ方法でスタンド10に固定される。しかし、スタンド10は、この第4ポジションでは、直立していない。むしろ、第3ポジションと同様に、直立から傾いているか又は90度回転している。このため、スタンド10は、バック・フランジ13のエッジとハンドル24のエッジの2箇所でフラットな面に接触することによって安定する。このポジションでは、スタンド10を水平方向へと後ろに倒すと、装置100が後ろへと倒れ、水平から追加の角度がある状態になる。後ろに傾いた角度を追加することで、汎用性が向上し、より幅広い状況に対応できる。
【0029】
実施形態では、装置100の後ろに傾いた角度は、およそ75度であっても良い。又は、上板16が中板14から15度以外の角度で角度をつけている場合、上述したように、装置は、この回転した第4ポジションにおいて、75度以外の角度で見られる。図12Bの装置100は、図12Aの装置100のポジションから180度回転しているが、それ以外は、図12Aと同じ方法で取り付けられる。
【0030】
先に説明したように、スタンド10は、様々な電源の装置で使用されても良い。図7及び図8は、第1使用ポジションにおいて、着脱能なバッテリ・パック150を含む装置100を伴うスタンド10の使用について、他の点では、装置100をスタンド10に固定するユーザ体験が変わらないことを表現していた。図13、14A、14B、15A及び15Bが示すように、第2、第3及び第4使用ポジションについても同じことが言える。よって、ユーザが壁のコンセントから装置100に電力を供給するか又はバッテリ・パック150によって装置100に電力を供給するかに関係なく、全ての使用ポジションが利用可能である。この汎用性は、作業面と高さが多様で、壁のコンセントへの接続が制限される可能性がある現場(フィールド)での設定において、特に有益である。
【0031】
開示されるスタンド10を用いれば、ユーザは、バッテリ・パック150を伴って装置100を現場に持ち込み、電源が利用可能かどうかを心配しないだけでなく、適切な面が利用可能であるかどうかを心配することなく、測定を行うことができる。そして、各使用ポジションが、単純なねじ20によって又はスタンド10を回転させることによって容易に利用でき、ユーザは、電源に関係なく、最小限の労力で使用ポジションを切り替えることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、スタンド10が、更に、底板12の底面に取り付けられたエラストマ材料40を有しても良く、これは、図13に描かれているが、開示された実施形態のいずれに存在しても良い。このエラストマ材料40は、エラストマ材料40のない底板よりも、底板12が面をグリップするための、より高い摩擦力を生み出す。この実施形態によれば、エラストマ材料40が作業面をグリップし、スタンド10が表面に沿って滑るのを防ぎ、より大きな安定性を提供する。スタンド10の他の実施形態では、グリップを提供し、滑りを防止するために、他のポリマー材料又は任意の適切な材料を利用しても良い。
【0033】
図11B図12B、14B及び図15Bを除いて、他の全ての実施形態は、装置100の底面のエッジが、底板12に隣接又は位置合わせされた状態であることが描かれている。上述の実施形態の多くは、装置をその典型的な位置から180度回転させ、次いで、取付ねじ20を使用して装置100又はバッテリ150をスタンド10に取り付けることによっても使用されても良い。このような実施形態は、図11B図12B、14B及び図15Bに例示されるように、スタンド10によって、装置を安定して使用するための、又は、装置を快適な見る角度に位置決めして使用するための更に大きな柔軟性及びオプションを提供する。回転させた位置において、キーイング・インデックス22は、装置に形成された受入れの凹みと必ずしも揃っていないかもしれないが、この不一致のキーイング・インデックス22は、装置100又は装置及びバッテリ150をこのようにしてスタンドと共に使用することを必ずしも妨げるものではない。
【0034】
更に別の実施形態では、もし装置100の重量分布が許すならば、装置の下側の穴が、上板16に存在するか又は上板16内に収容されている上部取付ねじ20と位置合わせされ、上部取付ねじ20で取り付けられても良い。図示しないが、このような動作ポジションは、図5を用いて可視化できよう。しかしながら、中板14に収容された下部取付ねじ20によって固定される装置100の下側取付穴に代えて、装置100又はバッテリ・パック150の下側取付穴が、上板16に存在するか又は上板16内に収容された上部取付ねじ20によって固定される。装置100の下側の取付位置から、この上側の取付位置へと今説明したように装置100を持ち上げると、装置100及びスタンド10の不安定性の増加を引き起こすかもしれない。しかし、いくつかの例では、スタンド10を伴う装置100(及びオプションでバッテリ・パック150)の安定性は、いくつかの用途に対しては、十分に安定なことがある。

実施例
【0035】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0036】
実施例1は、ポータブルな試験測定装置を受けるためのスタンドであって、ベース板を有し、該ベース板が、上記ベース板から直交して延びる第1部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置される1つ以上の穴を有し、該1つ以上の穴によって、1つ以上の留め具(fasteners)で上記試験測定装置を上記スタンドに取り付けることができる上記第1部分と、該第1部分に隣接してある角度で延びる第2部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置される1つ以上の穴を有し、該1つ以上の穴によって、1つ以上の留め具で上記試験測定装置を上記スタンドに取り付けることがきる上記第2部分とを有する。
【0037】
実施例2は、実施例1によるスタンドであって、上記第1部分及び上記第2部分における上記1つ以上の穴が、VESA(Video Electronics Standards Association)規格に従って間隔を置いて配置されたものである。
【0038】
実施例3は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記スタンドが単一の材料から形成される。
【0039】
実施例4は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記第1部分及び上記第2部分の上記1つ以上の留め具がスタンドに結合された脱落防止ねじである。
【0040】
実施例5は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、エラストマ材料が上記ベース板の底面であって、上記第1部分とは反対側に取り付けられている。
【0041】
実施例6は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記試験測定装置と上記スタンドとの間に配置されたバッテリ・パックに上記試験測定装置が結合されている。
【0042】
実施例7は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記スタンドが上記第1部分及び第2部分の少なくとも一方からの材料の延長部を含み、該延長部は、上記装置の取り付け面上の凹部内に収まる鍵となり、上記装置と上記スタンドとを位置合わせする。
【0043】
実施例8は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記第2部分に形成された開口部を更に有する。
【0044】
実施例9は、実施例8に係るスタンドであって、上記開口部のエッジと上記スタンドのエッジとの間の上記スタンドの一部に取り付けられたハンドルを更に有する。
【0045】
実施例10は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記装置は、上記スタンドの上記第1部分に隣接して取り付けても良いし、上記スタンドの上記第2部分に隣接して取り付けても良いが、上記スタンドの上記第1部分への隣接した取り付けと上記スタンドの上記第2部分への隣接した取り付けとを同時には行わない。
【0046】
実施例11は、先行実施例のいずれかによるスタンドであって、上記ベース板が、該ベース板とは反対方向に上記スタンドから延びるベース延長部を含む。
【0047】
実施例12は、実施例11によるスタンドであり、上記第2部分の遠位エッジが、ベース延長部のエッジとほぼ揃っている。
【0048】
実施例13は、試験測定装置と着脱可能なスタンドとで形成されるキットであって、該キットは、ベース板を有するスタンドと、上記ベース板から直交して延びる上記スタンドの第1部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置され、1つ以上の留め具が通って延びる1つ以上の穴を含む上記第1部分と、上記第1部分からある角度で延びる上記スタンドの第2部分であって、あるパターンで間隔を置いて配置され、1つ以上の留め具が通って延びる1つ以上の穴を含む上記第2部分と、上記スタンドに着脱可能に取り付けられるように構成された装置とを具え、該装置は、その取り付け面に1つ以上の穴を含み、該1つ以上の穴は、上記スタンドの上記第1部分の1つ以上の穴を通って延びる上記1つ以上の留め具又は上記スタンドの上記第2部分の上記1つ以上の穴を通って延びる1つ以上の留め具を受けるように構成される。
【0049】
実施例14は、実施例13によるキットであって、上記スタンドの上記第1部分及び上記第2部分並びに上記装置の取付面上の上記1つ以上の穴が、VESA(Video Electronics Standards Association)規格に従って間隔を置いて配置されたものである。
【0050】
実施例15は、上記実施例13~14のいずれかによるキットであって、上記スタンドは、単一の材料から形成されたものである。
【0051】
実施例16は、先行実施例13~15のいずれかによるキットであって、上記第1部分及び上記第2部分の上記1つ以上の留め具が脱落防止ねじである。
【0052】
実施例17は、先行する実施例13~16のいずれかによるキットであって、上記スタンドの上記ベース板の底面であって上記第1部分と反対側に取り付けたエラストマ材料を更に含む。
【0053】
実施例18は、先行する実施例13~17のいずれかによるキットであって、上記試験測定装置と上記スタンドとの間に配置される構成のバッテリ・パックを更に具え、上記バッテリ・パックは、その取り付け面に1つ以上の穴を含み、該1つ以上の穴は、上記スタンドの上記第1部分の上記1つ以上の穴を通って延びる上記1つ以上の留め具又は上記スタンドの上記第2部分の上記1つ以上の穴を通って延びる上記1つ以上の留め具を受けるように構成される。
【0054】
実施例19は、先行実施例13~18のいずれかによるキットであって、上記スタンドの上記ベース板が、該ベース板とは反対方向に上記スタンドから延びるベース延長部を含む。
【0055】
実施例20は、実施例19によるキットであって、上記スタンドの上記第2部分の遠位エンジが、上記スタンドのベース延長部のエッジとほぼ揃っている。
【0056】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0057】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0058】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0059】
また、「左」、「右」、「上(top)」、「下(bottom:底)」、「水平」、「垂直」のような方向が、便宜上、図面で提供される図に関連して使用されている。しかし、開示技術は、実際の使用においては、多数の方向があり得る。よって、図面における上部にある又は下部にあるという特性は、実際の使用においては、同じ向き又は方向ではないことがある。
【0060】
説明の都合上、本開示技術の具体的な態様を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0061】
10 スタンド
12 底板
13 バック・フランジ
14 中板
16 上板
20 取付ねじ
22 キーイング・インデックス
24 ハンドル
32 底部開口部
34 中央開口部
36 上部央開口部
40 エラストマ材料
42 屈曲線
44 屈曲線
100 装置
150 バッテリ・パック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
【外国語明細書】