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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104236
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ヒータ制御装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
H05B3/00 320Z
H05B3/00 335
H05B3/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005105
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】志田 春夫
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】平野 大輔
【テーマコード(参考)】
3K058
【Fターム(参考)】
3K058AA23
3K058BA18
3K058CE28
3K058GA06
(57)【要約】
【課題】ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することにある。
【解決手段】ヒータ制御装置D1は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続されるトライアックQ2と、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラPTC1と、フォトトライアックカプラPTC1にそれぞれ直列に接続され、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる2つの抵抗である抵抗R13,R14と、2つの抵抗である抵抗R13,R14のうち一方の抵抗を選択して、選択された抵抗をトライアックQ2の第2主電極T2と接続する抵抗選択部36と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源とヒータとの間に直列に接続されるトライアックと、
前記トライアックのゲート電極にヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラと、
前記フォトトライアックカプラにそれぞれ直列に接続され、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる2つの抵抗と、
該2つの抵抗うち一方の抵抗を選択して、前記選択された抵抗を前記トライアックの第2主電極と接続する抵抗選択部と、を備えることを特徴とするヒータ制御装置。
【請求項2】
前記2つの抵抗は、
前記フォトトライアックカプラと直列に接続される第1抵抗と、
前記フォトトライアックカプラと直列に接続され、前記第1抵抗とは定格電力、及び断線容易性が異なる第2抵抗と、を備え、
前記抵抗選択部は、前記第1抵抗または前記第2抵抗のうち一方を選択して接続するスイッチ回路と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のヒータ制御装置。
【請求項3】
前記2つの抵抗は、
前記フォトトライアックカプラと直列に接続される第1抵抗と、
前記フォトトライアックカプラと直列に接続され、前記第1抵抗とは定格電力、及び断線容易性が異なる第2抵抗と、を備え、
前記抵抗選択部は、
前記第1抵抗と直列に接続される第1フォトカプラと、
前記第2抵抗と直列に接続される第2フォトカプラと、を備え、
前記抵抗選択部は、前記ヒータに対して位相制御を行う場合に、前記第1フォトカプラをオンして、前記フォトトライアックカプラと直列に前記第1抵抗を接続し、一方、前記ヒータに対して全通電制御を行う場合に、前記第2フォトカプラをオンして、前記フォトトライアックカプラと直列に前記第2抵抗を接続することを特徴とする請求項1に記載のヒータ制御装置。
【請求項4】
前記位相制御の期間を表す位相制御可能信号を生成する制御部を備え、
前記抵抗選択部は、前記制御部から供給される前記位相制御可能信号に応じて、抵抗を選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のヒータ制御装置。
【請求項5】
交流電源とヒータとの間に直列に接続されるトライアックと、
前記トライアックのゲート電極にヒータトリガ信号を伝達する第1フォトトライアックカプラと、
前記トライアックの第2主電極と、前記第1フォトトライアックカプラとの間に直列に接続される電流制限に用いる第1抵抗と、
前記トライアックのゲート電極にヒータトリガ信号を伝達する第2フォトトライアックカプラと、
前記トライアックの第2主電極と、前記第2フォトトライアックカプラとの間に直列に接続され、前記第1抵抗とは定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる第2抵抗と、
前記第1フォトトライアックカプラと前記第2フォトトライアックカプラとのうち一方を選択して駆動させる選択駆動部と、を備えることを特徴とするヒータ制御装置。
【請求項6】
前記選択駆動部は、前記ヒータに対して位相制御を行う場合に、前記第1フォトトライアックカプラをオンさせて、前記第1フォトトライアックカプラと直列に前記第1抵抗を接続することを特徴とする請求項5に記載のヒータ制御装置。
【請求項7】
交流電源とヒータとの間に直列に接続されるトライアックと、
前記トライアックのゲート電極にヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラと、
前記トライアックの第2主電極と、前記フォトトライアックカプラとの間に直列に接続される2つの抵抗と、
位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、前記2つの抵抗の間の接続点に生じる電圧のピークを抑制する電圧ピーク値抑制回路と、を備えることを特徴とするヒータ制御装置。
【請求項8】
前記電圧ピーク値抑制回路は、
前記2つの抵抗の間の接続点に接続されるコンデンサと、
前記コンデンサに接続されるフォトカプラと、を備え、
前記ヒータに対して位相制御を行う場合に、前記フォトカプラをオンして、前記接続点に接続されるコンデンサを接地することにより、ローパスフィルタ回路を構成することを特徴とする請求項7に記載のヒータ制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のヒータ制御装置と、
前記ヒータ制御装置により制御されるヒータを内蔵した定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ制御装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒータ制御装置としては、図12に示すような回路構成を備えたものが知られている。
従来、トライアックを用いたヒータ制御では、図12に示すように、回路基板上において、トライアックQ100のゲート端子GとT2端子の間に、フォトトライアックカプラPTC100と1個の抵抗R100が直列に接続される。トライアックをオンさせた場合に、この抵抗R100は、フォトトライアックカプラに流れる電流を制限する役割を有する。
ところで、トライアックQ100の各端子(G、T1、T2)が回路基板の配線パターンに非接続になって浮いた場合に、電流制限に用いる抵抗R100とフォトトライアックカプラPTC100に直接にAC電流が流れ、発煙・発火の原因になる場合がある。
そこで、発煙・発火を防ぐために、異常動作時において過電圧/過電流が印加されたときに直ちに断線し易いヒューズ抵抗を電流制限するための抵抗R100として使用することが既に知られている。
【0003】
特許文献1には、ヒューズ抵抗にかかる電圧を下げる目的で、断線特性の異なる2つの抵抗で電流制限抵抗を構成する方式が開示されている。
すなわち、特許文献1には、安価な構成でフォトトライアックカプラへ与えるダメージを抑えることを目的として、交流電源と負荷との間に接続されているトライアックと、トライアックに信号を伝達するフォトトライアックカプラと、を有するトライアック駆動回路において、トライアックのゲート端子に、フォトトライアックカプラと、第一の抵抗素子と、第二の抵抗素子と、が直列に接続されており、第一の抵抗素子の断線容易性と第二の抵抗素子の断線容易性が異なっている構成のトライアック駆動回路が報告されている。
【0004】
特許文献1にあっては、通常動作時におけるヒューズ抵抗の溶断を防ぐことが可能になる。しかし、異常動作時においては瞬時に溶断するという問題は解消できていない。
【0005】
しかし、従来のヒューズ抵抗を用いたヒータ制御装置では、フォトトライアックカプラがオンとなった後にトライアックがオンするまでの時間に開きがある。図13に示すように、フェーズF100において、位相制御を行う場合に、急激に高電圧のパルスが印可さることになる。この際、通常動作時でもヒューズ抵抗が溶断する場合がある。それを防ぐためにヒューズ抵抗の定格電力を上げると、部品コストが増大することになり、さらに異常動作時にヒューズ抵抗が断線しにくくなるという問題があった。
【0006】
そこで、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することが切望されている。
【0007】
また、位相制御時において、電流制限抵抗に生じる電圧のピークを抑制することができるヒータ制御装置を提供することが切望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたもので、その目的は、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、交流電源とヒータとの間に直列に接続されるトライアックと、前記トライアックのゲート電極にヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラと、前記フォトトライアックカプラにそれぞれ直列に接続され、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる2つの抵抗と、該2つの抵抗うち一方の抵抗を選択して、前記選択された抵抗を前記トライアックの第2主電極と接続する抵抗選択部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係わるヒータ制御装置が組み込まれた画像形成装置の一例としてプリンタを示す概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係わるヒータ制御装置に含まれるシステム制御部の一例を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態に係わるヒータ制御装置に設けられるゼロクロス検知部の一例を示す回路図である。
図4】本発明の第1実施形態に係わるヒータ制御装置の一例を示す機能構成を含む回路図である。
図5】本発明の第1実施形態に係わるヒータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係わるヒータ制御装置の一例を示す機能構成を含む回路図である。
図7】本発明の第2実施形態に係わるヒータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図8】本発明の第3実施形態に係わるヒータ制御装置の一例を示す機能構成を含む回路図である。
図9】本発明の第3実施形態に係わるヒータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図10】本発明の第4実施形態に係わるヒータ制御装置の一例を示す機能構成を含む回路図である。
図11】本発明の第4実施形態に係わるヒータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図12】従来技術に係わるヒータ制御装置の一例を示す機能構成を含む回路図である。
図13】従来技術に係わるヒータ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えるために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明のヒータ制御装置は、交流電源とヒータとの間に直列に接続されるトライアックと、トライアックのゲート電極にヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラと、フォトトライアックカプラにそれぞれ直列に接続され、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる2つの抵抗と、該2つの抵抗うち一方の抵抗を選択して、選択された抵抗をトライアックの第2主電極と接続する抵抗選択部と、を備えることを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えることができる。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
<画像形成装置>
図1は、本発明の実施形態に係わるヒータ制御装置が組み込まれた画像形成装置の一例としてプリンタを示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、静電写真方式を用いて記録紙にトナー像を形成する画像形成装置である。
【0014】
給紙トレイ2あるいはマルチトレイ4から供給された記録紙は、一連の搬送ローラによりトナー像形成部6に搬送される。トナー像形成部6では、感光体ドラム8上に静電潜像が形成される。静電潜像はトナーにより現像されてトナー像とされ、トナー像が記録紙に転写される。
【0015】
トナー像が転写された記録紙は、定着装置9に搬送される。定着装置9は、定着ローラ10と加圧ローラ12とを有する。定着ローラ10の内部にはヒータ14が組み込まれており、定着ローラを所定の温度に加熱する。記録紙が定着ローラ10と加圧ローラ12の間を通過する際に、記録紙に転写されたトナー像は、定着ローラ10により加熱され、且つ加圧ローラ12により加圧されることにより、記録紙上に定着される。トナー像の定着が終了した記録紙は一連のローラにより、画像形成装置1の上側あるいは前面側から排出される。
【0016】
以上のような構成の画像形成装置1において、定着ローラ10に組み込まれたヒータ14の通電制御に、本発明によるヒータ制御装置が用いられる。ヒータ14の通電を本発明によるヒータ制御方法により制御する制御部34(図4)は、画像形成装置1の本体内に設けられたプリント基板よりなる制御基板16に設けられる。
【0017】
画像形成装置1のヒータ14は、定着ローラ10を急速に加熱する場合には比較的大きな電力を必要とする。画像形成装置1への電源投入時等においては、内部の電子部品やモータが起動されるため電力消費が大きくなる。このため、短時間にヒータ14に大電力を投入すると、電源電圧が変動し、画像形成装置1の周囲の電気機器に影響を及ぼすおそれがある。そこで、徐々にヒータへの供給電圧を増大させるために通常ソフトスタート法によりヒータへの通電を制御する。
【0018】
<システム制御部>
図2は、本発明の実施形態に係わるヒータ制御装置に含まれるシステム制御部の一例を示す回路図である。
システム制御部は、システムバスを介して互いに接続されたCPU21、ROM22、タイマ23、RAM24、各種の入出力回路I/O25、不揮発性メモリ(NVRAM)26等を備えている。
CPU21は、ROM22に格納された制御プログラムやパラメータ等を用いて、制御基板16のトライアックQ2(図4)をヒータトリガ信号によって位相制御してヒータ14への給電を制御する。また、CPU21は、感光体やその回りの帯電、露光、現像、転写の各部のシーケンス制御、転写紙の搬送制御など、この画像形成装置全体を統括制御する機能を有する。ここでは、ヒータ14の制御に係わる制御部としての機能について説明する。
タイマ23は、クロック信号を計数するカウンタを複数備え、カウンタが例えば16bitカウンタであれば最大6万5536までカウントでき、クロック信号を分周してカウント周期を調整する。
【0019】
<ゼロクロス検知部>
図3は、本発明の実施形態に係わるヒータ制御装置に設けられるゼロクロス検知部の一例を示す回路図である。
ヒータ制御装置には、電源部が含まれており、さらに電源部にはゼロクロス検知部30が設けられている。
図3に示すように、ゼロクロス検知部30は、商用電源から供給される交流電源32を、ローパスフィルタと電流制限の機能を果たす抵抗R1、R2とコンデンサ(キャパシタ)C1からなる回路を経由してダイオードブリッジBR1において全波整流する。全波整流された脈流の信号は、発光ダイオード(LED)とフォトトランジスタ(PT)から構成されるフォトカプラPC1によって絶縁して伝達され、ヒステリシスインバータIC1に入力されることによりヒータトリガ信号(ゼロクロス信号)が生成される。抵抗R3、R4は正電圧を印加するためのプルアップ抵抗である。
ゼロクロス検知部30により検出(生成)されたヒータトリガ信号は、例えば図4に示すトランジスタQ1のゲート端子に供給され、その波形は図5に示すような矩形波である。
【0020】
<第1実施形態>
<ヒータ制御装置>
図4は、本発明の第1実施形態に係わるヒータ制御装置D1の一例を示す機能構成を含む回路図である。
ヒータ制御装置D1は、トライアックQ2と、フォトトライアックカプラPTC1と、抵抗R13、R14と、抵抗選択部36と、トランジスタQ1と、を備えている。
トライアックQ2は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続される。
フォトトライアックカプラPTC1は、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達する。
抵抗R13、R14は、フォトトライアックカプラPTC1にそれぞれ直列に接続され、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる2つの抵抗である。
抵抗選択部36は、2つの抵抗である抵抗R13、R14のうち一方の抵抗を選択して、選択された抵抗をトライアックQ2の第2主電極T2と接続する。
【0021】
ヒータ制御装置D1において、2つの抵抗は、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続される抵抗R13と、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続され、抵抗R13とは定格電力、及び断線容易性が異なる抵抗R14と、を備えている。
抵抗選択部36は、抵抗R13または抵抗R14の一方を選択して接続するスイッチ回路SW1を備えている。
【0022】
ヒータ制御装置D1は、制御部34を備えている。
制御部34は、位相制御の期間を表す位相制御可能信号を生成する。
抵抗選択部36は、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、抵抗を選択する。
【0023】
画像形成装置1は、ヒータ制御装置D1と、ヒータ制御装置D1により制御されるヒータ14を内蔵した定着装置9と、を備える。
【0024】
図4において、商用交流電源(交流電源)32とヒータ14はトライアックQ2の端子T1と端子T2を介して接続されている。
トライアックQ2を通電/遮断(オン/オフ)することによってヒータ14への供給電力が制御される。電気的な一次と二次の絶縁を確保するフォトトライアックカプラPTC1内の発光ダイオードに通電するとトライアックQ2がオンする。
抵抗R11は、フォトトライアックカプラPTC1内の発光ダイオードの電流を制限するための抵抗素子である。
トランジスタQ1は、ヒータトリガ信号に従ってフォトトライアックカプラPTC1をオン/オフする。すなわち、トランジスタQ1のゲート端子は、ゼロクロス検知部30と接続されており、ゼロクロス検知部30から出力されるヒータトリガ信号に従って動作する。
フォトトライアックカプラPTC1に接続されている抵抗R12、抵抗13または抵抗14は、それぞれトライアックQ2を駆動するためのバイアス抵抗として機能する。
【0025】
抵抗選択部36は、2つの抵抗である抵抗R13、R14のうち一方の抵抗を選択して、選択された抵抗をトライアックQ2の第2主電極T2と接続する。
抵抗選択部36は、スイッチ回路SW1を備えている。
抵抗R13の一端と抵抗R14の一端は、フォトトライアックカプラPTC1の一端と共通接続されており、抵抗R13の他端がスイッチ回路SW1の第1接点aと接続されており、抵抗R14の他端がスイッチ回路SW1の第2接点bと接続されている。
スイッチ回路SW1の制御端子cには、制御部34から位相制御可能信号が供給されており、位相制御可能信号がハイ状態(ほぼVccの電圧値)である場合に、スイッチ回路SW1の第1接点aが選択され、抵抗R13の他端がスイッチ回路SW1の出力端子dを介してトライアックQ2の第2主電極T2とヒータ14に接続される。一方、位相制御可能信号がロー状態(ほぼ制御基板16における接地の電圧値)である場合に、スイッチ回路SW1の第2接点bが選択され、抵抗R14の他端がスイッチ回路SW1の出力端子dを介してトライアックQ2の第2主電極T2とヒータ14に接続される。
【0026】
抵抗選択部36は、ヒータ14に対して位相制御を行う場合にスイッチ回路SW1により抵抗R13(第1抵抗)を選択して、フォトトライアックカプラPTC1と直列にR13(第1抵抗)を接続する。
一方、抵抗選択部36は、ヒータ14に対して全通電制御を行う場合に、スイッチ回路SW1により抵抗R14(第2抵抗)を選択して、トライアックQ2の第2主電極T2と直列に抵抗R14(第2抵抗)を接続する。
【0027】
図4に示すように、ゼロクロス検知部30から供給されるヒータトリガ信号の電圧レベルに応じてトランジスタ(FET)Q1がオン/オフすることで、VccからフォトトライアックカプラPTC1のフォトダイオードに通電/非通電される。すなわち、ヒータトリガ信号がハイレベルである場合にフォトトライアックカプラPTC1のフォトダイオードが通電されて発光され、一方、ヒータトリガ信号がローレベルである場合にフォトトライアックカプラPTC1のフォトダイオードが非通電になって消灯される。
図4に示すヒータ制御装置D1では、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、位相制御時に、トライアックQ2の第2主電極T2と接続する電流制限抵抗(抵抗R13)を選択することを特徴としている。
例えば、位相制御時では、位相制御可能信号がハイ状態であり、スイッチ回路SW1が抵抗R13を選択する。一方、全通電制御時では、位相制御可能信号がロー状態であり、スイッチ回路SW1が抵抗R14を選択する。
【0028】
<抵抗R13、R14について>
ここで、抵抗R13には、高電圧パルスが入力しても耐えうる抵抗(例えば、酸化金属皮膜抵抗など)を使用し、一方、抵抗R14には、過電流が発生するような異常時に断線し易いヒューズ抵抗などを使用する。
なお、ヒューズ抵抗は、普段は抵抗素子として機能し、異常時には抵抗体が安全に溶断して回路電流を遮断する機能を有する抵抗である。
ヒータ14が全通電するときに、抵抗R14に印加される電圧は入力するAC電圧の傾きでゆっくりと増加するので、高電圧になる前にトライアックQ2がオンするため、抵抗R14に印加される電圧は高くならない。このため、断線し易い抵抗として定格電力の小さいヒューズ抵抗を使用することができる。過電流が発生するような異常時には、全通電制御時と同様の電圧が抵抗R14に印加されるので、定格電力の小さいヒューズ抵抗は容易に断線することになる。
【0029】
一方、酸化金属皮膜抵抗は、ヒューズ抵抗と比べて、同定格電力では耐パルス性が非常に高く、さらにヒューズ抵抗より部品コストが大幅に低くなる。なお、酸化金属皮膜抵抗は高電圧パルスが入力されても小さい定格電力で遮断せずに導通状態を保つ(耐える)ことができる。
例えば、設計上、抵抗R13として、酸化金属皮膜抵抗、定格電力0.1Wを使用することができる。
一方、抵抗R14として、ヒューズ抵抗、定格電力0.25Wを使用することができる。
【0030】
<動作タイミング>
図5は、本発明の第1実施形態に係わるヒータ制御装置D1の動作を示すタイミングチャートである。
図5では、位相制御可能信号は、位相制御時にはハイ状態、それ以外(例えば全通電制御時)にロー状態の例を示している。
以下、図5に示すタイミングチャートを参照して、図4に示すヒータ制御装置D1の動作を説明する。
例えば、タイミングt1、t2において、ヒータトリガ信号がロー状態からハイ状態に切り替わると、交流電源32のAC電圧が0VになるまでトライアックQ2がオン状態になって導通状態となり、ヒータ14にヒータ駆動信号i1が流れる。
タイミングt0~t6において、位相制御時には、AC電圧の任意の位相でトライアックQ2をオン状態とし、AC電圧が0Vになるまで導通する。位相制御時には、0Vからその時点でのAC電圧まで急激に電圧が上昇する。フォトトライアックカプラPTC1がオン状態となり、トライアックQ2がオン状態になるまでの間に、この急激な電圧に合わせて電流i2も急激に増加する。
一方、タイミングt6~t9において、全通電制御時には、交流電源32のAC電圧が0VとなるタイミングでトライアックQ2をオンする。全通電制御時には、電圧上昇はAC電圧に合わせてゆっくりとした上昇となるため、フォトトライアックカプラPTC1がオンしてからトライアックQ2がオンするまでの間に時間差があっても、電流i2が急激に増加することはない。
【0031】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係わるヒータ制御装置D2の一例を示す機能構成を含む回路図である。
ヒータ制御装置D2において、2つの抵抗は、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続される抵抗R13と、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続され、抵抗R13とは定格電力、及び断線容易性が異なる抵抗R14と、を備えている。
抵抗選択部36aは、抵抗R13と直列に接続されるフォトカプラPC3と、抵抗R14と直列に接続されるフォトカプラPC4と、を備えている。
抵抗選択部36aは、ヒータ14に対して位相制御を行う場合、すなわち、位相制御可能信号がハイ状態である場合に、フォトカプラPC3をオンして、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R13、トライアックQ2の第2主電極T2を接続する。
一方、抵抗選択部36aは、ヒータ14に対して全通電制御を行う場合、すなわち、位相制御可能信号がロー状態である場合に、フォトカプラPC4をオンして、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R14、トライアックQ2の第2主電極T2を接続する。
【0032】
ヒータ制御装置D2は、制御部34を備えている。
制御部34は、位相制御の期間を表す位相制御可能信号を生成する。
抵抗選択部36aは、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、抵抗を選択する。
【0033】
画像形成装置1は、ヒータ制御装置D2と、ヒータ制御装置D2により制御されるヒータ14を内蔵した定着装置9と、を備える。
【0034】
第2実施形態では、抵抗選択部36aとして、抵抗とフォトカプラとが直列接続されたセットを2組み装備する。すなわち、位相制御時に位相制御可能信号がハイ状態(ほぼVccの電圧値)の場合に動作するフォトカプラPC1、全通電制御時に位相制御可能信号がロー状態(ほぼ制御基板16における接地の電圧値)の場合に動作するフォトカプラPC2を設けておき、位相制御時の経路と抵抗値を変更することを特徴とする。
【0035】
抵抗R11は、フォトトライアックカプラPTC1に設けられた発光ダイオードの電流を制限するための抵抗素子である。
トランジスタQ5のゲート端子には、ゼロクロス検知部30から出力されるヒータトリガ信号が入力される。トランジスタQ5は、ヒータトリガ信号に従ってフォトトライアックカプラPTC1をオン/オフする。
制御部34から出力される位相制御可能信号は、フォトカプラPC3の発光ダイオードに接続され、さらに抵抗R15を介してGNDに接地される。フォトカプラPC3のフォトトランジスタは、コレクタが抵抗R13を介してフォトトライアックカプラPTC1に接続され、エミッタがヒータ14に接続される。
また、制御部34から出力される位相制御可能信号は、インバータINV1を介してフォトカプラPC4の発光ダイオードに接続され、さらに抵抗R16を介してGNDに接地される。フォトカプラPC4のフォトトランジスタは、コレクタが抵抗R14を介してフォトトライアックカプラPTC4に接続され、エミッタがヒータ14に接続される。
【0036】
<動作タイミング>
図7は、本発明の第2実施形態に係わるヒータ制御装置D2の動作を示すタイミングチャートである。
<位相制御時>
制御部34から出力される位相制御可能信号がハイ状態である場合に、フォトカプラPC3の発光ダイオードから抵抗R15を介してGNDに接地され、この発光ダイオードが発光するので、フォトカプラPC3のフォトトランジスタがオンする。フォトトランジスタがオンすると、R13がフォトトランジスタのコレクタ、エミッタを介してヒータ14に接続される。
この際、ゼロクロス検知部30から出力されるヒータトリガ信号がトランジスタQ5をオン/オフする。
位相制御時には、フォトカプラPC3のフォトトランジスタをオンし、抵抗R13の経路を使用することになる。上述したように、抵抗R13には、高電圧パルスが入力しても耐えうる抵抗(例えば、酸化金属皮膜抵抗など)を使用することができる。
【0037】
<全通電制御時>
制御部34から出力される位相制御可能信号がロー状態である場合に、インバータINV1の出力がハイ状態になり、フォトカプラPC4の発光ダイオードから抵抗R16を介してGNDに接地され、この発光ダイオードが発光するので、フォトカプラPC4のフォトトランジスタがオンする。フォトトランジスタがオンすると、抵抗R14がフォトトランジスタのコレクタ、エミッタを介してヒータ14に接続される。
この際、ゼロクロス検知部30から出力されるヒータトリガ信号がトランジスタQ5をオン/オフする。
全通電制御時には、フォトカプラPC4のフォトトランジスタをオンして、抵抗R14の経路を使用することになる。上述したように、抵抗R14には、過電流が発生するような異常時に断線し易いヒューズ抵抗などを使用することができる。
【0038】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係わるヒータ制御装置D3の一例を示す機能構成を含む回路図である。
ヒータ制御装置D3は、トライアックQ2と、フォトトライアックカプラPTC2と、抵抗R21と、フォトトライアックカプラPTC3と、抵抗R22と、選択駆動部38と、を備えている。
抵抗R11は、フォトトライアックカプラPTC2、フォトトライアックカプラPTC3に設けられた各発光ダイオードの電流を制限するための抵抗素子である。
【0039】
トライアックQ2は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続される。
フォトトライアックカプラPTC2は、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達する。
抵抗R21は、トライアックQ2の第2主電極T2と、フォトトライアックカプラPTC2との間に直列に接続される電流制限に用いる。
フォトトライアックカプラPTC3は、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達する。
抵抗R22は、トライアックQ2の第2主電極T2と、フォトトライアックカプラPTC3との間に直列に接続され、抵抗R21とは定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる。
選択駆動部38は、フォトトライアックカプラPTC2とフォトトライアックカプラPTC3の一方を選択して駆動させる。
【0040】
フォトトライアックカプラPTC2は、トランジスタQ3によってオン/オフする。
トランジスタQ3は、ゲート端子に入力される信号に従ってフォトトライアックカプラPTC2をオン/オフする。
選択駆動部38において、トランジスタQ3のゲート端子は、ANDゲートG1の出力端子に接続されており、ANDゲートG1の一方の入力端子にゼロクロス検知部30のヒータトリガ信号が接続されている。ANDゲートG1の他方の入力端子が制御部34の位相制御可能信号が接続されている。
【0041】
一方、トランジスタQ4は、ゲート端子に入力される信号に従ってフォトトライアックカプラPTC3をオン/オフする。
選択駆動部38において、トランジスタQ4のゲート端子は、ANDゲートG2の出力端子に接続されており、ANDゲートG2の一方の入力端子にゼロクロス検知部30のヒータトリガ信号が接続されている。ANDゲートG2の他方の入力端子がインバータINV2を介して制御部34の位相制御可能信号に接続されている。
【0042】
選択駆動部38は、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトトライアックカプラPTC2をオンさせて、フォトトライアックカプラPTC2と直列に抵抗R21を接続する。
【0043】
画像形成装置1は、ヒータ制御装置D3と、ヒータ制御装置D3により制御されるヒータ14を内蔵した定着装置9と、を備える。
【0044】
第3実施形態では、フォトトライアックカプラと抵抗のセットを2組み装備する。すなわち、ヒータトリガ信号のレベル状態(論理値)と位相制御可能信号のレベル状態(論理値)の組み合わせに対応可能な論理回路を設けておき、位相制御時の経路と抵抗値を変更することを特徴とする。
【0045】
<動作タイミング>
図9は、本発明の第3実施形態に係わるヒータ制御装置D3の動作を示すタイミングチャートである。
<位相制御時>
制御部34の位相制御可能信号がハイ状態である場合に、ANDゲートG1の他方の入力端子がハイ状態になるので、ゼロクロス検知部30から出力されるヒータトリガ信号がANDゲートG1を介してトランジスタQ3をオン/オフする。
位相制御時では、フォトトライアックカプラPTC2をオン/オフし、高電圧パルス入力に耐えうる抵抗R21の経路を導通させる。
【0046】
<全通電制御時>
制御部34の位相制御可能信号がロー状態である場合に、インバータINV2の出力がハイ状態になって、ANDゲートG2の他方の入力端子がハイ状態になるので、ゼロクロス検知部30から出力されるヒータトリガ信号がANDゲートG2を介してトランジスタQ4をオン/オフする。
全通電制御時は、フォトトライアックカプラPTC3をオン/オフし、過電流が発生するような異常時に断線し易いヒューズ抵抗を用いた抵抗R22の経路を導通させる。
【0047】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係わるヒータ制御装置D4の一例を示す機能構成を含む回路図である。
特許文献1では、フォトトライアックカプラと直列に2つのヒューズ抵抗を接続し、さらに、トライアックの第2主電極に接続して、ヒューズ抵抗に加わる電圧を低下させている。
これに対して、第4実施形態に係わるヒータ制御装置D4は、トライアックQ2と、フォトトライアックカプラPTC5と、抵抗R24、抵抗R25と、電圧ピーク値抑制回路40と、を備えている。
トライアックQ2は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続される。
フォトトライアックカプラPTC5は、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達する。
抵抗R24、抵抗R25は、フォトトライアックカプラPTC5と、トライアックQ2の第2主電極T2との間に直列に接続される2つの抵抗である。
電圧ピーク値抑制回路40は、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、2つの抵抗である抵抗R24、R25の接続点39に生じる電圧のピークを抑制する。
【0048】
電圧ピーク値抑制回路40は、コンデンサC2と、フォトカプラPC5と、を備えている。
コンデンサC2の一端は、2つの抵抗である抵抗R24、抵抗R25の間の接続点39に接続される。
フォトカプラPC5は、コンデンサC2の他端に接続される。
電圧ピーク値抑制回路40は、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトカプラPTC5のトランジスタをオンして、接続点39に接続されるコンデンサC2を接地することにより、ローパスフィルタ回路を構成する。
【0049】
画像形成装置1は、ヒータ制御装置D4と、ヒータ制御装置D4により制御されるヒータ14を内蔵した定着装置9と、を備える。
【0050】
さらに、電圧ピーク値抑制回路40が、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、抵抗R24、R25に生じる電圧のピークを抑制することを特徴とする。
【0051】
電圧ピーク値抑制回路40は、2つの抵抗である抵抗R24、抵抗R25の間の接続点39に接続されるコンデンサC2と、コンデンサC2に接続されるフォトカプラPC5と、を備え、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトカプラPTC5をオンして、前記接続点39に接続されるコンデンサC2を接地することにより、ローパスフィルタ回路を構成することを特徴とする。
電圧ピーク値抑制回路40は、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、位相制御時に、抵抗に印加される電圧の立ち上がりを抑制させることを特徴としている。
位相制御時に、例えばローパスフィルタ回路を構成して、トライアックQ2がオンする時間に抵抗に印加される電圧の立ち上がりを緩やかにさせる。
【0052】
直列に接続された抵抗R24(第1抵抗)と抵抗R25(第2抵抗)との接続点39にコンデンサC2の一端を接続しておき、図10に示す電圧ピーク値抑制回路40では、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、位相制御時に、コンデンサC2の他端を接地する。
これにより、抵抗R24(第1抵抗)とコンデンサC2がローパスフィルタ回路を構成し、トライアックがオンとなる時間(図11のt31)に、抵抗R24(第1抵抗)と抵抗R25(第2抵抗)との接続点39に印加される電圧を下げる(立ち上がりを緩やかにする)ことができる。
【0053】
<動作タイミング>
図11は、本発明の第4実施形態に係わるヒータ制御装置D4の動作を示すタイミングチャートである。
図11に示すタイミングチャートは、紙面上方から下方に、(1)ヒータ駆動信号i1、(2)従来技術において、位相制御時に電流制限抵抗(抵抗R100)を流れる電流i2、(3)電圧ピーク値抑制回路40を通した後の電流制限抵抗(抵抗R24と抵抗R25)を流れる電流i2が示されている。
【0054】
図11に示すように、タイミングt30、t31において、ヒータ駆動信号i1がロー状態からハイ状態に切り替わると、交流電源32のAC電圧が0VになるまでトライアックQ2がオン状態になって導通状態となり、ヒータ14にヒータ駆動信号i1が流れる。
【0055】
ところで、タイミングt30~t31の間では、フォトトライアックカプラPTC5がオンするまでの時間が短い場合として、例えば1usec程度を想定する。
また、トライアックQ2がオンするまでの時間が遅い場合として、例えば10usec程度を想定する。
【0056】
タイミングt31、t32において、従来技術(図12)における位相制御時に電流制限抵抗R100を流れる電流i2のピーク値に対して、本発明の電圧ピーク値抑制回路40を通した後の電流i2のピーク値を、ほぼ1/3から1/2程度に抑えることができる。
特許文献1の構成のように2つの抵抗を直列に接続して構成した場合よりも、本発明の電圧ピーク値抑制回路40を採用することで、定格電力の小さいヒューズ抵抗を使用することが可能となる。定格電力が小さいため、異常時の断線も容易となる。
【0057】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様のヒータ制御装置D1は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続されるトライアックQ2と、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラPTC1と、フォトトライアックカプラPTC1にそれぞれ直列に接続され、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる2つの抵抗である抵抗R13、R14と、2つの抵抗である抵抗R13、R14のうち一方の抵抗を選択して、選択された抵抗をトライアックQ2の第2主電極T2と接続する抵抗選択部36と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、抵抗選択部36は、2つの抵抗である抵抗R13、R14のうち一方の抵抗を選択して、選択された抵抗をトライアックQ2の第2主電極T2と接続することができる。
これにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗(抵抗R13)に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗R14に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【0058】
<第2態様>
第1態様に記載のヒータ制御装置D1において、2つの抵抗は、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続される抵抗R13(第1抵抗)と、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続され、抵抗R13(第1抵抗)とは定格電力、及び断線容易性が異なる抵抗R14(第2抵抗)と、を備え、抵抗選択部36は、抵抗R13(第1抵抗)または抵抗R14(第2抵抗)の一方を選択して接続するスイッチ回路SW1を備えることを特徴とする。
本態様によれば、抵抗選択部36は、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、スイッチ回路SW1により抵抗R13(第1抵抗)を選択して、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R13(第1抵抗)を接続することができる。
これにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗(抵抗R13)に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗R14に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【0059】
<第3態様>
第1態様に記載のヒータ制御装置D2において、2つの抵抗は、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続される抵抗R13(第1抵抗)と、フォトトライアックカプラPTC1と直列に接続され、抵抗R13(第1抵抗)とは定格電力、及び断線容易性が異なる抵抗R14(第2抵抗)と、を備え、抵抗選択部36aは、抵抗R13(第1抵抗)と直列に接続されるフォトカプラPC3(第1フォトカプラ)と、抵抗R14(第2抵抗)と直列に接続されるフォトカプラPC4(第2フォトカプラ)と、を備え、抵抗選択部36aは、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトカプラPC3をオンして、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R13(第1抵抗)を接続し、一方、ヒータ14に対して全通電制御を行う場合に、フォトカプラPC4(第2フォトカプラ)をオンして、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R14(第2抵抗)を接続することを特徴とする。
本態様によれば、抵抗選択部36aは、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトカプラPC3をオンして、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R13(第1抵抗)を接続することができ、一方、ヒータ14に対して全通電制御を行う場合に、フォトカプラPC4をオンして、フォトトライアックカプラPTC1と直列に抵抗R14(第2抵抗)を接続することができる。
これにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗(抵抗R13)に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗R14に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【0060】
<第4態様>
第1態様乃至第3態様の何れか一つに記載のヒータ制御装置は、位相制御の期間を表す位相制御可能信号を生成する制御部34を備え、抵抗選択部36は、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、抵抗を選択することを特徴とする。
本態様によれば、抵抗選択部36は、制御部34から供給される位相制御可能信号に応じて、抵抗を選択することができる。
これにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【0061】
<第5態様>
本態様のヒータ制御装置D3は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続されるトライアックQ2と、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラPTC2(第1フォトトライアックカプラ)と、トライアックQ2の第2主電極T2と、フォトトライアックカプラPTC2との間に直列に接続される電流制限に用いる抵抗R21(第1抵抗)と、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラPTC3(第2フォトトライアックカプラ)と、トライアックQ2の第2主電極T2と、フォトトライアックカプラPTC3との間に直列に接続され、抵抗R21(第1抵抗)とは定格電力、及び断線容易性が異なる電流制限に用いる抵抗R22(第2抵抗)と、フォトトライアックカプラPTC2(第1フォトトライアックカプラ)とフォトトライアックカプラPTC3の一方を選択して駆動させる選択駆動部38と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、選択駆動部38は、フォトトライアックカプラPTC2とフォトトライアックカプラPTC3の一方を選択して駆動させることができるので、抵抗R21(第1抵抗)と第2抵抗R22のうち一方の抵抗をフォトトライアックカプラと直列に接続することができる。
これにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗(抵抗R21)に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗R22に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【0062】
<第6態様>
第5態様のヒータ制御装置D3において、選択駆動部38は、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトトライアックカプラPTC2(第1フォトトライアックカプラ)をオンさせて、フォトトライアックカプラPTC2と直列に抵抗R21(第1抵抗)を接続することを特徴とする。
本態様によれば、選択駆動部38は、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトトライアックカプラPTC2をオンさせて、フォトトライアックカプラPTC2と直列に抵抗R21(第1抵抗)を接続することができる。
これにより、ヒータの位相制御時においては高電圧パルス入力に耐えうる電流制限抵抗(抵抗R21)に切り替え、一方、ヒータの全通電制御時においては異常時に断線し易い抵抗R22に切り替えることができるヒータ制御装置を提供することができる。
【0063】
<第7態様>
本態様のヒータ制御装置D4は、交流電源32とヒータ14との間に直列に接続されるトライアックQ2と、トライアックQ2のゲート電極Gにヒータトリガ信号を伝達するフォトトライアックカプラPTC5と、トライアックQ2の第2主電極T2と、フォトトライアックカプラPTC5との間に直列に接続される2つの抵抗である抵抗R24、抵抗R25と、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、2つの抵抗である抵抗R24と抵抗R25との接続点39に生じる電圧のピークを抑制する電圧ピーク値抑制回路40と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、電圧ピーク値抑制回路40は、位相制御の期間を表す位相制御可能信号に応じて、抵抗R24と抵抗R25との接続点39に生じる電圧のピークを抑制することができる。
これにより、抵抗R24と第2抵抗R25との接続点39に生じる電圧のピークを抑制することができるので、位相制御時の急激な電圧増加や急激な電流増加を抑えることができ、抵抗R24と抵抗R25とに対して異常時に溶断し易いヒューズ抵抗を使用しても、通常動作時の溶断を防ぐことができる。
すなわち、位相制御可能信号に応じて、抵抗R24と第2抵抗R25により構成される電流制限抵抗(抵抗R24と抵抗R25)に生じる電圧のピークを抑制することができる。
【0064】
<第8態様>
第7態様に記載のヒータ制御装置D4の電圧ピーク値抑制回路40は、2つの抵抗である抵抗R24、抵抗R25の間の接続点39に接続されるコンデンサC2と、コンデンサC2に接続されるフォトカプラPC5と、を備え、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトカプラPTC5をオンして、接続点39に接続されるコンデンサC2を接地することにより、ローパスフィルタ回路を構成することを特徴とする。
本態様によれば、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、フォトカプラPTC5をオンして、抵抗R24と抵抗R25との接続点39に接続されるコンデンサC2を接地することにより、ローパスフィルタ回路を構成することができる。
これにより、ヒータ14に対して位相制御を行う場合に、ローパスフィルタ回路を構成することができるので、抵抗、コンデンサを含む簡単な回路で、位相制御時の急激な電圧増加や急激な電流増加を抑えることができる。
【0065】
<第9態様>
本態様の画像形成装置1は、第1態様乃至第8態様の何れか一項に記載のヒータ制御装置と、ヒータ制御装置により制御されるヒータを内蔵した定着装置9と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、第1態様乃至第8態様の何れか一項に記載のヒータ制御装置と、ヒータ制御装置により制御されるヒータを内蔵した定着装置9と、を備える画像形成装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…画像形成装置、2…給紙トレイ、4…マルチトレイ、6…トナー像形成部、7…ゼロクロス検知部、8…感光体ドラム、9…定着装置、10…定着ローラ、12…加圧ローラ、14…ヒータ、16…制御基板、21…CPU、22…ROM、23…タイマ、24…RAM、30…ゼロクロス検知部、32…交流電源、34…制御部、36…抵抗選択部、36a…抵抗選択部、38…選択駆動部、39…接続点、40…電圧ピーク値抑制回路、C2…コンデンサ、D1…ヒータ制御装置、D2…ヒータ制御装置、D3…ヒータ制御装置、D4…ヒータ制御装置、G1…ANDゲート、G2…ANDゲート、IC1…ヒステリシスインバータ、INV1…インバータ、INV2…インバータ、PC1…フォトカプラ、PC2…フォトカプラ、PC3…フォトカプラ、PC4…フォトカプラ、PC5…フォトカプラ、PTC1…フォトトライアックカプラ、PTC2…フォトトライアックカプラ、PTC3…フォトトライアックカプラ、PTC4…フォトトライアックカプラ、PTC5…フォトトライアックカプラ、Q1…トランジスタ、Q2…トライアック、Q3…トランジスタ、Q3…トランジスタ、R11…抵抗、R12…抵抗、R13…抵抗、R14…抵抗、R15…抵抗、R16…抵抗、R21…抵抗、R22…抵抗、R24…抵抗、R25…抵抗、SW1…スイッチ回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2019-133848公報
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
図12
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