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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010453
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】画像形成装置及び定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20230113BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20230113BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 133
G03G15/20 505
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114603
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴之
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA41
2H033BA02
2H033BA03
2H033BA04
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB03
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB15
2H033BB28
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB38
2H033BE00
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA06
2H171FA19
2H171GA12
2H171HA23
2H171JA12
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA30
2H171JA31
2H171JA32
2H171KA02
2H171KA05
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA27
2H171NA05
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB01
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC05
2H171QC22
2H171QC24
2H171QC29
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H270SA01
2H270SB03
2H270SB12
2H270SB13
2H270SB14
2H270SC08
(57)【要約】
【課題】排気ダクトによって定着装置の着脱作業が煩雑になる事態を回避する。
【解決手段】画像を記録材上に定着させる定着装置6と、前記定着装置内の気体を排気する排気ダクト100とを備えた画像形成装置であって、前記定着装置は、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されており、前記定着装置の排気口62aに接続又は近接する使用位置と該排気口から退避する退避位置とに前記排気ダクトの入口102A,102Bを移動させる移動手段107,102aを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録材上に定着させる定着装置と、
前記定着装置内の気体を排気する排気ダクトとを備えた画像形成装置であって、
前記定着装置は、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されており、
前記定着装置の排気口に接続又は近接する使用位置と該排気口から退避する退避位置とに前記排気ダクトの入口を移動させる移動手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記定着装置を出し入れする画像形成装置本体の出入口に設けられる開閉扉を有し、
前記移動手段は、前記開閉扉の開動作に連動して前記排気ダクトの入口を前記退避位置へ移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記定着装置を出し入れする画像形成装置本体の出入口に設けられる開閉扉を有し、
前記移動手段は、前記開閉扉の閉動作に連動して前記排気ダクトの入口を前記使用位置へ移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記定着装置は、定着部材と加圧部材との間に記録材を挟持して搬送しながら定着を行うものであり、
前記定着装置の排気口は、前記定着部材及び前記加圧部材のうちの少なくとも一方の部材を収容する収容ケース上で、記録材搬送方向に対して直交する記録材幅方向における該少なくとも一方の部材の端部領域に対向する位置に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記定着装置の吸気口が、前記収容ケース上で、前記少なくとも一方の部材の記録材幅方向端部領域に対向する位置に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の画像形成装置において、
前記定着装置は、前記収容ケースの内部空間を記録材幅方向に仕切る仕切り部材を有し、
前記仕切り部材は、前記排気口よりも記録材幅方向中央側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記仕切り部材は、最大幅の記録材の記録材幅方向端部位置よりも外側、かつ、前記少なくとも一方の部材の記録材幅方向端部位置よりも内側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記排気ダクトによって排気される気体中の微粒子を捕捉するフィルタ部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
定着部材と加圧部材との間に記録材を挟持して搬送しながら該記録材上に画像を定着させる定着装置であって、
前記定着部材及び前記加圧部材のうちの少なくとも一方の部材を収容する収容ケースと、
前記収容ケースの内部空間を、記録材搬送方向に対して直交する記録材幅方向に仕切る仕切り部材とを備え、
前記仕切り部材は、最大幅の記録材の記録材幅方向端部位置よりも外側、かつ、前記少なくとも一方の部材の記録材幅方向端部位置よりも内側に配置されていることを特徴とする定着装置。
【請求項10】
画像を記録材上に定着させる定着装置を備えた画像形成装置であって、
前記定着装置として、請求項9に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び定着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を記録材上に定着させる定着装置と、前記定着装置内の気体を排気する排気ダクトとを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、定着装置の加熱ローラ(定着部材)から発生する微粒子を含む気体を排気する排気ダクト内に、当該微粒子を捕捉可能なフィルタ部材が配置された画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、排気ダクトを備えた従来の画像形成装置において、定着装置を画像形成装置本体に対して着脱可能な構成とする場合、排気ダクトによって定着装置の着脱作業が煩雑になるという課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像を記録材上に定着させる定着装置と、前記定着装置内の気体を排気する排気ダクトとを備えた画像形成装置であって、前記定着装置は、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されており、前記定着装置の排気口に接続又は近接する使用位置と該排気口から退避する退避位置とに前記排気ダクトの入口を移動させる移動手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排気ダクトによって定着装置の着脱作業が煩雑になる事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の複写機の全体の概略構成図。
図2】同複写機の全体の斜視説明図。
図3】同複写機における定着装置と排気ダクトとを透視して説明する斜視説明図。
図4】同定着装置内の気体を排気する排気ダクトの使用状態(使用位置)を示す説明図。
図5】同複写機における定着装置の他の例を示す説明図。
図6】同定着装置内の気体を排気する排気ダクトの退避状態(退避位置)を示す説明図。
図7】(a)は、同排気ダクトのダクト入口部材が使用位置にあるときの移動手段の一例の構成を説明するための端部ダクト部の側面図。(b)は、同排気ダクトのダクト入口部材が退避位置にあるときの同移動手段の構成を説明するための端部ダクト部の側面図。
図8】同定着装置において、各端部領域について複数の仕切り部材を設けた変形例を示す説明図。
図9】同定着装置における仕切り部材の一例を用紙幅方向から見たときの説明図。
図10】同定着装置における仕切り部材の他の例を用紙幅方向から見たときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
本実施形態では、カラー画像形成装置である電子写真方式の複写機(以下、単に「複写機1」という。)を例に挙げて説明するが、本発明は、公知のモノクロ画像形成装置などについても同様に適用することができる。
【0009】
図1は、本実施形態の複写機1の全体の概略構成図である。図2は、複写機1の全体の斜視説明図である。図3は、定着装置と排気ダクトとを透視して説明する斜視説明図である。
図1に示すように、複写機本体の画像形成部110には、4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)、中間転写装置3、二次転写装置4、用紙搬送装置5、定着装置6及びトナー補給装置7等を備えている。また、画像形成部110の図1中の下方には、記録材である用紙Pを収容する記録材収納容器である給紙トレイ40を備える記録材収納部である給紙装置111を備え、画像形成部110の図1中の右方には両面装置113を備える。さらに、画像形成部110の図1中の上方には画像読取装置114を備え、画像形成部110と画像読取装置114との間に胴内排紙部112を形成する。また、画像形成部110内の各部材は、外装カバー10内に収容されている。
【0010】
4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナーを用いて異なる単色画像を形成するものである。それぞれの作像装置2は、回転可能に支持されるドラム状の潜像担持体である感光体12を備え、複写機1の画像形成部110では、4つの感光体12をタンデム式に並べて備える。個々の作像装置2には、感光体12の周りに、帯電手段である帯電装置13、現像手段である現像装置14、一次転写手段である一次転写ローラ15、潜像担持体クリーニング手段である感光体クリーニング装置16、除電手段である除電装置17が配置されている。図1では、イエロー用作像装置2aについてのみ、作像装置2を構成する各部材の符号を付しているが、マゼンタ用作像装置2b、シアン用作像装置2c及びブラック用作像装置2dでも同様の構成を備える。
【0011】
さらに、画像形成部110内の4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)の下方には、個々の感光体12の表面上を各々別々に露光する潜像形成手段である共通の露光装置18が設けられている。露光装置18は、光源やレンズ等の光学部品を備え、光源が照射したレーザ光を光学部品によって感光体12の表面に向けて照射し、感光体12の表面を光学的に走査し、光書き込みを行うものである。
【0012】
中間転写装置3は、個々の作像装置2(2a、2b、2c及び2d)で形成された各色のトナー像が一次転写ローラ15によってそれぞれ一次転写されて担持する、ベルト状の一次転写像担持体である中間転写ベルト20を備える。中間転写装置3では、3つの支持ローラである中間転写ベルト第1支持ローラ21、中間転写ベルト第2支持ローラ22及び中間転写ベルト第3支持ローラ23に中間転写ベルト20を掛け回している。また、中間転写ベルト20をそれぞれの感光体12に接触させ、感光体12とそれに対応するそれぞれの一次転写ローラ15との間に中間転写ベルト20を通している。さらに、中間転写ベルト20の周りに、中間転写ベルトクリーニング装置24と、二次転写手段である二次転写ローラ25とを配置している。
【0013】
二次転写装置4は、両面印刷の際に、中間転写ベルト20に担持されたトナー像を二次転写ローラ25によって二次転写されて担持するベルト状の二次転写像担持体である二次転写ベルト30を備える。二次転写装置4では、3つの支持ローラである二次転写ベルト第1支持ローラ31、二次転写ベルト第2支持ローラ32及び二次転写ベルト第3支持ローラ33に二次転写ベルト30を掛け回している。また、二次転写ベルト30を、中間転写ベルト20に接触させ、中間転写ベルト20と二次転写ローラ25との間に通して、中間転写ベルト20と二次転写ベルト30との間で所定の二次転写ニップを形成している。さらに、二次転写ベルト30の周りに、二次転写ベルトクリーニング装置35と、二次転写ベルト30に担持された裏面用の画像を用紙Pに転写する裏面画像転写装置36とを配置している。
【0014】
給紙装置111は、給紙トレイ40と、給紙トレイ40内の用紙Pを送り出す給紙ローラ41とを上下に二段備える構成であり、2つの給紙トレイ40のそれぞれに用紙Pを収納する。給紙ローラ41は二段の給紙トレイ40のそれぞれから用紙Pを上から一枚ずつ送り出す。記録材搬送手段である用紙搬送装置5は、給紙装置111から給紙された用紙Pが、中間転写装置3と二次転写装置4との間を通過して図1中の下方から上方へと伸びる記録材搬送路である用紙搬送路を通過するように用紙Pを搬送するものである。用紙搬送装置5は、給紙ガイド42、レジストローラ対43、排紙ガイド44及び排紙ローラ対45等を備えている。
【0015】
給紙ガイド42は、給紙ローラ41によって送り出された用紙Pをレジストローラ対43の2つのローラによって形成されるレジストニップに向けて案内する。レジストローラ対43は、給紙ガイド42によって案内され搬送されてくる用紙Pの先端をレジストニップに突き当てて止め、用紙Pの傾きを補正する。その後、中間転写ベルト20及び二次転写ベルト30の表面上の画像とタイミングを取って、用紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0016】
排紙ガイド44は定着装置6で画像が定着された後の用紙Pを排紙口51に向けて案内する。排紙口51に配置された排紙ローラ対45は、排紙ガイド44で案内されて搬送されてきた用紙Pを胴内排紙部112に向けて図1中の矢印a方向の外装カバー10の外部に向けて排紙する。
【0017】
定着装置6は、中間転写ベルト20及び二次転写ベルト30から用紙Pに転写されたトナー像を用紙Pに定着するものである。定着装置6は、加熱ローラと加圧ローラとからなる定着ローラ対61を備え、トナー像が担持された用紙Pを加熱・加圧する。なお、本実施形態の加圧ローラは、加熱ローラとしての機能も有している。
【0018】
また、本実施形態の複写機1には、定着装置6内の気体(空気)を排気する排気ダクト100が設けられている。この排気ダクト100には、ダクト出口付近に捕集フィルタ104と排気ファン105とが設けられている。排気ダクト100は、排気ファン105によって発生する気流によって、定着装置6内から排出される微粒子等を含む気体(空気)をダクト入口から吸い込み、捕集フィルタ104で微粒子等を捕集した後の気体を、複写機本体背面のダクト出口から、図3中矢印fに示すように複写機本体の外部へ排出する。
【0019】
トナー補給装置7は、4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)のそれぞれに粉体ポンプ等を用いて新規トナーを補給するものである。トナー補給装置7のトナー収納部52内には各色のトナーをそれぞれ収容するトナーカートリッジ53(53a、53b、53c及び53d)を備えている。
【0020】
複写機1で、用紙Pの表裏両面にカラー画像を形成するときは、画像読取装置114のコンタクトガラス上に原稿をセットし、図2に示す操作表示部115にあるスタートスイッチを押す。すると、感光体12、中間転写ベルト20の支持ローラの一つ(21、22または23)、二次転写ベルト30の支持ローラの一つ(31、32または33)、給紙ローラ41などが、それぞれタイミングを取って回転する。
【0021】
4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)では、個々の感光体12が図1中の時計回り方向に回転するのに伴い、それぞれの帯電装置13で感光体12の表面を一様に帯電する。そして、共通の露光装置18からの個別の書き込み光で感光体12に書き込みを行って、色別の潜像を形成し、それぞれの現像装置14で各色のトナーを感光体12の表面上に付着させ、個々の感光体12上にそれぞれ色別のトナー像を形成する。
【0022】
中間転写装置3では、中間転写ベルト20の支持ローラの一つ(21、22または23)が駆動回転するとともに、他の二つの支持ローラが従動回転し、中間転写ベルト20を感光体12に同期させて図1中の反時計回り方向に回転移動する。中間転写ベルト20を挟んで感光体12と対向する一次転写ローラ15のそれぞれに一次転写バイアスを印加し、それぞれの感光体12の表面上のトナー像を中間転写ベルト20に順次転写する。これにより、中間転写ベルト20の表面上に4色のトナー像を重ね合わせた第一のフルカラー画像(裏面用の画像)を形成する。
【0023】
中間転写ベルト20にトナー像を転写した後の4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)の感光体12は、表面上に残留した転写残トナーを感光体クリーニング装置16によって除去され、表面上の電位を除電装置17によって除電される。その後、再び、それぞれの帯電装置13で帯電して露光装置18で潜像の書き込みを行い、それぞれの現像装置14で現像して個々の感光体12上にそれぞれ再度色別のトナー像が形成される。
【0024】
二次転写装置4では、二次転写ベルト30の支持ローラの一つ(31、32または33)が駆動回転するとともに、他の二つの支持ローラが従動回転し、二次転写ベルト30を中間転写ベルト20に同期させて図1中の時計回り方向に回転移動する。二次転写ニップでは、二次転写ベルト30を挟んで中間転写ベルト20と対向する二次転写ローラ25に二次転写バイアスを印加し、中間転写ベルと20の表面上のトナー像を二次転写ベルト30上に転写する。このとき、二次転写ベルトクリーニング装置35は、クリーニング装置支持軸56を中心に回動して二次転写ベルト30から離れた、非クリーニング状態にある。
【0025】
中間転写装置3では、二次転写ベルト30に第1のフルカラー画像を転写した後の中間転写ベルト20の表面上に残留した転写残トナーを、中間転写ベルトクリーニング装置24で静電的に除去する。その後、再び中間転写ベルト20の表面上に個々の一次転写ローラ15によって個の感光体12の表面上のトナーを順次転写し、中間転写ベルト20の表面上に4色のトナー像を重ね合わせた第2のフルカラー画像(おもて面用の画像)を形成する。
【0026】
第2のフルカラー画像を形成する各色のトナー像が転写された後の4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)の感光体12は、表面上に残留した転写残トナーを感光体クリーニング装置16によって除去される。そして、表面上の電位を除電装置17によって除電され、次の作像サイクルに備える。
【0027】
一方、給紙装置111では、2つの給紙ローラ41のうちの一つを適宜選択的に回転して、給紙トレイ40内の用紙Pを送り出す。用紙搬送装置5では、給紙装置111から送り出された用紙Pを給紙ガイド42で案内し、用紙Pの先端をレジストローラ対43のレジストニップに突き当てて止める。そして、上述した第1のフルカラー画像及び第2のフルカラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対43を回転し、中間転写ベルト20と二次転写ベルト30との間である二次転写ニップに用紙Pを送り込む。
【0028】
二次転写ニップでは、用紙Pの裏面側に位置する二次転写ローラ25に二転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト20の表面上の上述した第2のフルカラー画像を用紙Pのおもて面に転写する。次に、用紙Pを若干上方へと搬送した裏面画像転写装置36と二次転写ベルト30との対向部では、裏面画像転写装置36によって裏面画像転写バイアスを印加する。これによって、二次転写ベルト30の表面上の上述した第1のフルカラー画像を用紙Pの裏面に転写する。
【0029】
その後、表裏両面にトナー像が転写された後の用紙Pを定着装置6へと導き、定着ローラ対61によって形成される定着ニップを通過させて、熱と圧力とを加えて両面の転写画像を用紙Pに定着する。その後、排紙ガイド44で用紙Pを案内し、排紙ガイド44によって形成される用紙搬送路の途中に配置された経路切換爪によって搬送先を適宜振り分ける。そして、排紙ローラ対45によって排紙口51から外装カバー10の外に用紙Pを排出し、胴内排紙部112のスタック部50上に表面を下にしてフェイスダウンでスタックする。
【0030】
中間転写装置3では、第2のフルカラー画像を用紙Pに転写した後の中間転写ベルト20の表面上に残留した転写残トナーを、中間転写ベルトクリーニング装置24で除去する。また、二次転写装置4では、第1のフルカラー画像を用紙Pに転写した後の二次転写ベルト30の表面上に残留した転写残トナーを、二次転写ベルトクリーニング装置35で除去する。このとき、中間転写ベルト20から第一のフルカラー画像が転写される際に非クリーニング状態にあった二次転写ベルトクリーニング装置35を、クリーニング装置支持軸56を中心に回動して二次転写ベルト30に接触させてクリーニング状態としておく。中間転写ベルト20及び二次転写ベルト30の表面上の転写残トナーを除去し、それぞれ次の画像担持に備える。
【0031】
画像形成を続けることにより、個々の現像装置14内のトナーがなくなったときには、トナー補給装置Jのトナー収納部52における、現像装置14に対応するトナーカートリッジ53から粉体ポンプ等で搬送して同色のトナーを補給する。また、ジャムにより用紙Pの搬送が妨げられたときには、複写機本体の側面に設けられる開閉扉11を図1中の矢印d方向に開く。これにより、開閉扉11と一体で構成されている両面装置113を、両面装置支持軸55を中心として図1中の矢印d方向に開いて用紙搬送路を開放することができ、ジャム処理を行うことができる。
【0032】
図1に示す複写機1で、用紙Pの片面にフルカラー画像を形成するときは、4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)のそれぞれの感光体12の表面上に形成したトナー像を中間転写ベルト20の表面上に転写してフルカラー画像を形成する。次に、そのフルカラー画像を二次転写装置4の二次転写ベルト30に転写することなく用紙搬送装置5で搬送する用紙Pの片面に転写する。そして、定着装置6で転写画像を用紙Pに定着し、胴内排紙部112のスタック部50上に画像面を下にしてフェイスダウンでページ順に揃えてスタックする。
【0033】
また、図1に示す複写機1で、用紙Pに二色画像やモノクロ画像を形成するときは、4つの作像装置2(2a、2b、2c及び2d)のうちの対応する色の作像装置2を用いてトナー像を形成する。そのトナー像を中間転写装置3の中間転写ベルト20や二次転写装置4の二次転写ベルト30を介して用紙Pに転写する。
【0034】
次に、定着装置6内の排気を行う排気ダクト100について説明する。
図4は、本実施形態における定着装置6内の気体を排気する排気ダクト100を示す説明図である。なお、図4において、定着装置6については断面図で示してある。
本実施形態の複写機1に設けられる排気ダクト100は、図3に示すように、2つの端部ダクト部101A,101Bと、これらの端部ダクト部に連通する共通ダクト部103とから構成されている。2つの端部ダクト部101A,101Bは、定着ローラ対61の両端部領域付近に配置され、共通ダクト部103は、定着ローラ対61の軸方向(用紙幅方向)に延びるように配置されている。2つの端部ダクト部101A,101Bの各先端部には、それぞれダクト入口部材102A,102Bが取り付けられ、各ダクト入口部材102A,102Bが排気ダクト100の入口を構成している。
【0035】
定着装置6には、定着ローラ対61を収容する収容ケース62が設けられ、収容ケース62の用紙幅方向両端部領域付近の上面にはそれぞれ排気口62aが形成されている。排気ダクト100の各端部ダクト部101A,101Bの先端部にそれぞれ取り付けられているダクト入口部材102A,102Bは、定着装置6の各排気口62aにそれぞれ接続又は近接した位置(使用位置)をとる。
【0036】
図3に示すように、共通ダクト部103の複写機前面側の端部には、複写機の前面側に配置される端部ダクト部101Aが連結しており、共通ダクト部103の中間部分には、複写機の背面側に配置される端部ダクト部101Bが連結している。端部ダクト部101Bとの連結箇所よりも更に複写機背面側の共通ダクト部103の端部は、排気ダクト100の出口(ダクト出口)を構成し、複写機1の外装カバー10の背面から機外に連通している。この共通ダクト部103の端部には、捕集フィルタ104及び排気ファン105が設けられている。
【0037】
排気ファン105が駆動することにより、排気ダクト100にはダクト出口側へ向かう気流が発生し、各端部ダクト部101A,101Bのダクト入口部材102A,102Bには吸い込み気流が発生する。この吸い込み気流により、定着装置6の収容ケース62内における気体は、収容ケース62内の微粒子とともに、各排気口62aからダクト入口部材102A,102Bへと排出される。そして、各端部ダクト部101A,101B及び共通ダクト部103を通ってダクト出口から機外へ排気される。このとき、収容ケース62内から排気ダクト100へと排出された微粒子は、共通ダクト部103のダクト出口付近に設けられる捕集フィルタ104によって捕集され、機外に排出されるのを抑制される。
【0038】
海外、特に欧州において、環境への関心が非常に高く、電子写真プロセスを用いた複写機、複合機、プリンタ等の画像形成装置においても、画像形成時に発生するVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)、オゾン、ダスト、微粒子及び超微粒子等に対する様々な認定基準が存在する。ドイツ政府の研究機関においては、「ブルーエンジェルマーク」(以下、BAMと略す)というエコラベル制度があり、認証を受けた製品及びサービスにのみラベルの使用を認められる。
【0039】
BAMの認証には、様々な試験をクリアする必要があり、そのひとつに、2013年より施行されたUFP(Ultra fine particle:超微粒子)の試験がある。BAMの概略エミッション試験方法は、画像形成装置を所定の条件で換気されたエミッション試験室に配置し、試験室外部からのコントロールにより装置を連続10分間稼動させ、待機状態及び、稼動状態の測定を行う。UFPの測定は、指定されたエアロゾル測定器を試験室に接続して行われ、粒子をカウントする。この測定器で、粒径、及び個数を計測する。代表的な機種として、TSI社製の高速応答型パーティクルサイザー FMPS-3091がある。
【0040】
また、BAM規格では、具体的には、画像形成装置から発生する5.6[nm]~560[nm]のUPFを粒子計測器FMPS(Fast Mobility Particle Sizer)で計測する。そして、UPFの数が、3.5×1011[個/10分間]より少ないことが求められている。このため、UPFの質量は関係なく、あくまでも10分間に発生した個数のみが規格対象となる。
【0041】
複写機1から発生する微粒子(UFPを含む)は、様々な部材から発生するが、定着装置6のみを起動、加熱させることだけでも微粒子の発生量が大幅に上昇することから、定着装置6が微粒子の発生原因の一つであることが分かっている。微粒子の総排出量を下げるためには、発生させている定着装置6の定着温度を下げることが有効であることがわかっているが、本来必要な定着品質を確保する必要があり、必要以上に定着温度を下げることはできない。
【0042】
ここで、定着装置6で発生する微粒子の中には、次のように発生する微粒子が含まれる。
定着ローラ対61を構成する加熱ローラは、図4に示すように、円筒状の芯金または環状の無端ベルトからなる基材61aと、この基材61aの外周面を覆うように設けられる弾性層61bと、この弾性層61bの外周面を覆うように設けられる表層61cとを備える複数層構成となっている。弾性層61bと表層61cは、基材61aの長手方向中央部分に配置され、基材61aの両端部上には弾性層61b及び表層61cが存在しない。弾性層61bは、例えばシリコーンゴム材料からなり、定着温度に対する耐熱性と、必要なニップ幅を確保するための弾性をもつ。
【0043】
加熱ローラは、例えば、基材内部に配置されるヒータ等の加熱手段により定着処理に必要な温度(定着温度)まで加熱され、加熱ローラの温度が上昇すると、加熱ローラの弾性層61bをなすシリコーンゴム材料から微粒子としてシロキサンが発生する。この微粒子は、表層61cを透過できないため、弾性層61bを表層61cで覆っている部分(弾性層61bの外周面)からは噴出しない。しかしながら、弾性層61bの各端面は表層61cによって覆われていないため、弾性層61bの各端面から微粒子が噴出する。したがって、定着装置6では、加熱ローラの両端部付近から微粒子が発生する。特に、定着ローラ対61の両端部は、通紙領域(用紙が通る幅)の外側にあるため、通紙される用紙によって熱が奪われにくく温度低下が少ないため、高温になりやすく、微粒子が発生しやすい。
【0044】
なお、定着ローラ対61を構成する加圧ローラも、同様に微粒子を発生させる材料を使用する場合があり、この場合には、同様に、加圧ローラの両端部付近から微粒子が発生する。
【0045】
また、定着装置6内で発生する微粒子は、加熱ローラや加圧ローラの弾性層から発生するものに限られない。例えば、図5に示すように、加圧ローラ61Bの加圧力を受けるための加圧パッド61Cが定着部材としての定着ベルト61Aの内周面に配置された構成においては、定着ベルト61Aの内周面と加圧パッド61Cとの間の摩擦力を低減するためにシリコーンオイルなどの潤滑剤が使用される。この構成においては、潤滑剤(シリコーンオイル)がヒータ61Dによって加熱されると、上述した弾性層(シリコーン材料)の場合と同じく、微粒子を発生させる。この微粒子は、定着ベルト61Aのループ内で発生するが、定着ベルト61Aを透過できないので、定着ベルト61Aの各端部へと流れ、定着ベルト61Aの各端部から漏れ出る。
【0046】
以上のように、定着装置6内で発生する微粒子は、定着ローラ対61の端部付近で発生しやすい。そのため、本実施形態では、図4に示すように、定着装置6の収容ケース62に形成される排気口62aが、微粒子が発生しやすい定着ローラ対61の各端部付近に対向するように設けられている。これにより、定着ローラ対61の各端部付近で発生する微粒子を、排気ダクト100内へ効率よく吸い込むことができ、排気ダクト100の捕集フィルタ104によって捕集して、複写機1の外部に当該微粒子が排出される量を抑制することができる。
【0047】
ここで、本実施形態の定着装置6は、サービスマン等が定着装置6を修理やメンテナンスするために、複写機本体に対して着脱可能に構成されている。本実施形態では、複写機本体の側面に設けられる開閉扉11を図1中の矢印d方向に開くことで、開閉扉11によって閉じられていた複写機本体の側面開口部を介して定着装置6を外部に露出させることができる。そして、サービスマン等が複写機本体の側面開口部から定着装置6を水平方向へ引き出すことで、定着装置6を複写機本体から取り外すことができる。なお、定着装置6を複写機本体に装着する場合には、サービスマン等が複写機本体の側面開口部から定着装置6を水平方向へ押し込む。
【0048】
排気ダクト100のダクト入口が定着装置6の排気口62aに取り付けられている構成であると、定着装置6の着脱時に、定着装置6からダクト入口を取り外す作業が必要となり、定着装置6の着脱作業が煩雑になる。また、定着装置6の排気口62aに排気ダクト100のダクト入口が接続又は近接している場合、そのままの状態では、排気ダクト100が干渉して、定着装置6の着脱作業が煩雑になる。
【0049】
このような定着装置6の着脱作業の煩雑さを解消するため、本実施形態の複写機1には、定着装置6の排気口62aに接続又は近接する使用位置と排気口62aから退避する退避位置とに排気ダクト100のダクト入口を移動させる移動手段が設けられている。具体的には、本実施形態の移動手段は、共通ダクト部103に連結されている2つの端部ダクト部101A,101Bに対して、それぞれのダクト入口部材102A,102Bを、定着装置6の排気口62aに接離する方向に沿って移動させるものである。
【0050】
図4に示すように、端部ダクト部101A,101Bに設けられるリブ101aと、ダクト入口部材102A,102Bとの間には、付勢手段としてのバネ107が取り付けられている。このバネ107の付勢力により、ダクト入口部材102A,102Bは、定着装置6の排気口62aから離れる向きに付勢されている。
【0051】
ダクト入口部材102A,102Bが移動手段によりバネ107の付勢力に抗して排気口62a側へ移動されると、ダクト入口部材102A,102Bが使用位置をとる(図4に示す状態)。この状態では、ダクト入口部材102A,102Bが定着装置6の排気口62aに接続又は近接し、定着装置6内で発生する微粒子を排気口62aからダクト入口部材102A,102Bを介して排気ダクト100内へ吸い込むことができる。
【0052】
一方、ダクト入口部材102A,102Bが移動手段によりバネ107の付勢力で排気口62aから離れる側へ移動されると、ダクト入口部材102A,102Bが退避位置をとる(図6に示す状態)。この状態では、ダクト入口部材102A,102Bが定着装置6の排気口62aから離れるため、定着装置6の着脱時に、排気ダクト100が干渉せず、定着装置6の着脱作業が容易になる。
【0053】
なお、本実施形態では、ダクト入口部材102A,102Bの入口縁部にスポンジ類からなる弾性部材102bが設けられている。これにより、ダクト入口部材102A,102Bが使用位置に移動したとき、部品のバラツキ等があっても、弾性部材102bが変形することで、ダクト入口部材102A,102Bと定着装置6の収容ケース62との間の隙間が塞がれる。したがって、ダクト入口部材102A,102Bを定着装置6の収容ケース62に安定して密着させることができる。よって、定着装置6内で発生する微粒子を収容ケース62の排気口62aからダクト入口部材102A,102Bを介して排気ダクト100内へ確実に吸い込むことができる。
【0054】
また、本実施形態では、定着装置6の収容ケース62に形成される排気口62aが収容ケース62の上面に形成されている。収容ケース62内で発生する微粒子を含んだ気体は、温度が高いために上昇気流となって移動する。そのため、排気口62aを収容ケース62の上面に形成することで、排気ファン105による吸い込み気流だけでなく、この上昇気流も利用して、収容ケース62内の気体を排気口62aから排気ダクト100へと排出することができ、より効率のよい排気が可能となる。
【0055】
図7(a)及び(b)は、本実施形態の移動手段の一例を説明するための端部ダクト部101A,101Bの側面図である。
本実施形態の移動手段は、開閉扉11の開動作に連動して排気ダクト100のダクト入口部材102A,102Bを退避位置へ移動させる。具体的には、ダクト入口部材102A,102Bの外側面には、被係合部としての被係合リブ102aが設けられている。この被係合リブ102aは、傾斜面102a1と水平面102a2とを備えている。
【0056】
開閉扉11が閉じられているとき、図7(a)に示すように、開閉扉11に設けられる係合リブ11aがダクト入口部材102A,102Bにおける被係合リブ102aの水平面102a2上に位置する。このとき、ダクト入口部材102A,102Bは、図7(a)の白抜き矢印で示すように、バネ107の付勢力に抗して押し下げられ、使用位置に位置する。被係合リブ102aの水平面102a2に当接する開閉扉11の係合リブ11aによって、バネ107の付勢力で上方へ移動しようとするダクト入口部材102A,102Bの移動が規制される。その結果、ダクト入口部材102A,102Bは、定着装置6の収容ケース62の排気口62aに接続又は近接される使用位置に位置決めされる。
【0057】
図7(a)に示す状態から開閉扉11を開くと、図7(b)に示すように、開閉扉11の係合リブ11aが矢印d方向へ移動(回動)する。これにより、バネ107の付勢力で上方へ移動しようとするダクト入口部材102A,102Bの移動規制が外れるので、ダクト入口部材102A,102Bは、図7(b)の白抜き矢印で示すように、バネ107の付勢力により上方へ移動する。その結果、ダクト入口部材102A,102Bは、定着装置6の収容ケース62の排気口62aから退避される退避位置に位置決めされる。
【0058】
これにより、定着装置6を修理やメンテナンスする際、複写機本体の側面に設けられる開閉扉11を開くと、この開動作に連動して、排気ダクト100のダクト入口部材102A,102Bが使用位置から退避位置へ移動する。よって、サービスマン等は、定着装置6からダクト入口を取り外す作業を行うことなく、かつ、排気ダクト100の干渉を受けることなく、定着装置6を複写機本体の側面開口部から取り出すことができる。
【0059】
また、本実施形態の移動手段は、開閉扉11の閉動作に連動して排気ダクト100のダクト入口部材102A,102Bを使用位置へ移動させる。すなわち、図7(b)に示す状態から開閉扉11を閉じると、図7(a)に示すように、開閉扉11の係合リブ11aが矢印d'方向へ移動(回動)する。そして、開閉扉11の係合リブ11aがダクト入口部材102A,102Bの被係合リブ102aの傾斜面102a1に接触し、更に係合リブ11aが矢印d'方向へ移動されると、係合リブ11aが傾斜面102a1上を摺動するように移動する。これにより、傾斜面102a1が設けられるダクト入口部材102A,102Bは、図7(a)の白抜き矢印で示すように、バネ107の付勢力に抗して押し下げられる。そして、開閉扉11が閉じたとき、係合リブ11aが被係合リブ102aの水平面102a2まで移動し、ダクト入口部材102A,102Bが使用位置に位置決めされる。
【0060】
これにより、複写機本体の側面に設けられる開閉扉11を閉じると、この閉動作に連動して、排気ダクト100のダクト入口部材102A,102Bが退避位置から使用位置へ移動する。よって、サービスマン等は、定着装置6にダクト入口を取り付ける作業を行うことなく、また、排気ダクト100の干渉を受けることなく、定着装置6を複写機本体に取り付けることができる。
【0061】
また、本実施形態においては、図4に示すように、定着装置6の吸気口62bが、収容ケース62上で、定着ローラ対61の用紙幅方向の端部領域に対向する位置に配置されている。このような吸気口62bが、排気口62aと同じく、定着ローラ対61の用紙幅方向の端部領域に対向する位置に配置されていることで、吸気口62bから収容ケース62内に吸い込まれる気体が、定着ローラ対61の端部領域で発生する微粒子を載せて、そのまま排気口62aから排気ダクト100へと排気される。この場合、定着ローラ対61の中央領域付近の気体が排気ダクト100へと流れ出ることが少なくなるので、用紙Pに接触して定着処理を行う定着ローラ対61の中央領域の温度が低下しにくい。その結果、定着温度の低下が抑制され、消費電力の抑制などのメリットが得られる。
【0062】
なお、本実施形態における吸気口62bは、排気口62aと対向する位置(排気口62aの真下)に配置されているが、定着ローラ対61の用紙幅方向の端部領域に対向する位置であれば、排気口62aの対向位置に限られない。
【0063】
また、本実施形態における定着装置6には、図4に示すように、収容ケース62の内部空間を用紙幅方向に仕切る仕切り部材63が設けられている。この仕切り部材63は、収容ケース62の排気口62aよりも用紙幅方向中央側に配置されている。このような仕切り部材63が無い場合、定着ローラ対61の端部領域で発生する微粒子が、定着ローラ対61の中央領域で搬送される用紙Pの搬送気流に引き込まれて、収容ケース62の用紙出口から流出されるおそれがある。
【0064】
本実施形態のような仕切り部材63を設けることで、定着ローラ対61の端部領域で発生する微粒子が用紙Pの搬送気流に引き込まれにくくなり、当該微粒子が収容ケース62の用紙出口から流出するのを抑制できる。その結果、定着ローラ対61の端部領域で発生する微粒子の多くを排気ダクト100へ送り込んで、捕集フィルタ104によって効率よく捕集することができる。
【0065】
特に、本実施形態における仕切り部材63は、最大幅の用紙Pの幅方向端部位置(図4に示す通紙範囲の端部位置)よりも用紙幅方向外側であって、かつ、定着ローラ対61の用紙幅方向端部位置(弾性層61bの端面の位置)よりも内側に配置されている。これによれば、定着ローラ対61の端部領域で発生する微粒子の多くを排気ダクト100へ送り込んで、捕集フィルタ104によって効率よく捕集する高い効果を得ることができる。
【0066】
また、本実施形態のような仕切り部材63を設けることで、定着ローラ対61の中央領域付近の気体が端部領域側へと流れにくくなる結果、用紙Pに接触して定着処理を行う定着ローラ対61の中央領域の温度が低下しにくくなる。その結果、定着温度の低下が抑制され、消費電力の抑制などのメリットが得られる。
【0067】
更に、本実施形態のような仕切り部材63を設けることで、定着ローラ対61の中央領域付近の気体が端部領域側へと流れにくくなる結果、定着ローラ対61の中央領域を搬送される用紙上のトナーから発生する微粒子の拡散を抑えることができる。一般に、微粒子は濃度が高いほど微粒子同士の結合(凝集)が進む性質があることから、このように拡散を抑えてトナーから発生する微粒子の濃度を高めることにより、微粒子同士の結合(凝集)を促進することができる。その結果、微粒子の粒径を大きくでき、複写機1に設けられる壁面に微粒子が付着しやすくなり、また複写機に設けられるフィルタ等に微粒子が捕集されやすくなり、微粒子が機外に排出される量を低減することができる。
【0068】
本実施形態の仕切り部材63は、排気口62aが設けられる端部領域と中央領域とを仕切る仕切り部材63が1つだけ(各端部領域に1つずつ)であるが、図8に示すように、各端部領域について複数の仕切り部材63を設けてもよい。例えば、複数種類の幅方向サイズ(複数の定型サイズ)の用紙Pの幅方向端部位置に合わせて、それぞれの仕切り部材63を設けるとよい。これにより、用紙Pの幅サイズが異なっても、仕切り部材63によって用紙P上のトナーから発生する微粒子の拡散を効率よく抑え、微粒子同士の結合(凝集)を効果的に促進させることができる。
【0069】
また、仕切り部材63による上述した効果を得るうえで、仕切り部材63は、図9に示すように、定着ローラ対61の全周囲を仕切るように設けるのが好ましい。すなわち、仕切り部材63の形状は、図9に示すように、定着ローラ対61の外径に沿った形状となるに構成するのが好ましい。
【0070】
なお、仕切り部材63を定着ローラ対61の中央領域寄り(用紙Pが搬送される通紙範囲内)に配置する場合、図9に示すような定着ローラ対61の全周囲を仕切る仕切り部材63では、仕切り部材63が用紙Pの搬送の妨げとなる。このような場合には、図10に示すように、定着ローラ対61の全周囲のうち用紙Pの搬送の妨げとなる部分は仕切らないような形状の仕切り部材63を用いてもよい。
【0071】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、画像を記録材(例えば用紙P)上に定着させる定着装置6と、前記定着装置内の気体を排気する排気ダクト100とを備えた画像形成装置(例えば複写機1)であって、前記定着装置は、画像形成装置本体(例えば複写機本体)に対して着脱可能に構成されており、前記定着装置の排気口62aに接続又は近接する使用位置と該排気口から退避する退避位置とに前記排気ダクトの入口(例えばダクト入口部材102A,102B)を移動させる移動手段(例えば、バネ107、係合リブ11a、被係合リブ102a等)を有することを特徴とするものである。
本態様においては、移動手段により、排気ダクトの入口を、定着装置の排気口に接続又は近接する使用位置に移動させることで、排気ダクトを通じて定着装置内の気体を排気することができる。この移動手段は、排気ダクトの入口を、定着装置の排気口から退避する退避位置に移動させることができる。移動手段により排気ダクトの入口を退避位置に移動させることで、定着装置を画像形成装置本体に対して着脱させる着脱作業時に、定着装置から排気ダクトを取り外す作業が不要になる。また、画像形成装置本体に対する定着装置の着脱作業時に排気ダクトが干渉する事態を回避することができる。このように、本態様によれば、排気ダクトによって定着装置の着脱作業が煩雑になる事態を回避することができる。
【0072】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記定着装置を出し入れする本体の出入口(例えば複写機本体の側面開口部)に設けられる開閉扉11を有し、前記移動手段は、前記開閉扉の開動作に連動して前記排気ダクトの入口を前記退避位置へ移動させることを特徴とするものである。
これによれば、画像形成装置本体の開閉扉を開くだけで、排気ダクトの入口を使用位置から退避位置へ移動することができる。よって、定着装置からダクト入口を取り外す作業を行うことなく、かつ、排気ダクトの干渉を受けることなく、定着装置を画像形成装置本体の出入口から取り出すことができる。
【0073】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記定着装置を出し入れする本体の出入口に設けられる開閉扉11を有し、前記移動手段は、前記開閉扉の閉動作に連動して前記排気ダクトの入口を前記使用位置へ移動させることを特徴とするものである。
これによれば、画像形成装置本体の開閉扉を閉じるだけで、排気ダクトの入口を退避位置から使用位置へ移動することができる。よって、排気ダクトの干渉を受けることなく、定着装置を画像形成装置本体の出入口から取り付けることができ、また、定着装置からダクト入口を取り付ける作業を行うことなく排気ダクトを使用位置に移動させて使用することができる。
【0074】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記定着装置は、定着部材(例えば加熱ローラ、定着ベルト等)と加圧部材(例えば加圧ローラ)との間に記録材(例えば用紙P)を挟持して搬送しながら定着を行うものであり、前記定着装置の排気口62aは、前記定着部材及び前記加圧部材のうちの少なくとも一方の部材(例えば定着ローラ対61)を収容する収容ケース62上で、記録材搬送方向に対して直交する記録材幅方向(例えば用紙幅方向)における該少なくとも一方の部材の端部領域に対向する位置に配置されていることを特徴とするものである。
定着装置内では、定着部材及び加圧部材のうちの少なくとも一方の部材の端部領域付近から微粒子が発生する。本態様によれば、このように端部領域付近で発生する微粒子を、排気口から排気ダクトへと効率よく排出することができる。
【0075】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記定着装置の吸気口62bが、前記収容ケース62上で、前記少なくとも一方の部材(例えば定着ローラ対61)の記録材幅方向端部領域に対向する位置に配置されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、吸気口から収容ケース内に吸い込まれる気体が、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子を載せて、そのまま排気口から排気ダクトへと排気される。これにより、前記少なくとも一方の部材の中央領域付近の気体が排気ダクトへと流れ出ることが少なくなるので、記録材に接触して定着処理を行う前記少なくとも一方の部材の中央領域の温度が低下しにくい。その結果、定着温度の低下が抑制され、消費電力の抑制などのメリットが得られる。
【0076】
[第6態様]
第6態様は、第4又は第5態様において、前記定着装置は、前記収容ケースの内部空間を記録材幅方向に仕切る仕切り部材63を有し、前記仕切り部材は、前記排気口62aよりも記録材幅方向中央側に配置されていることを特徴とするものである。
このような仕切り部材が無い場合、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子が、前記少なくとも一方の部材の中央領域で搬送される記録材の搬送気流に引き込まれて、収容ケースの記録材出口から流出されるおそれがある。本態様のような仕切り部材を設けることで、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子が記録材の搬送気流に引き込まれにくくなり、当該微粒子が収容ケースの記録材出口から流出するのを抑制できる。その結果、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子の多くを排気ダクトへ送り込むことができる。
【0077】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記仕切り部材は、最大幅の記録材の記録材幅方向端部位置よりも外側、かつ、前記少なくとも一方の部材の記録材幅方向端部位置よりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
これによれば、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子の多くを排気ダクトへ送り込むことができる。
【0078】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記排気ダクトによって排気される気体中の微粒子を捕捉するフィルタ部材(例えば捕集フィルタ104)を備えることを特徴とするものである。
これによれば、定着装置内から排気ダクトへ排気された気体を、その気体に含まれている微粒子をフィルタ部材によって除去した状態で、画像形成装置本体の外部へ排出することができる。
【0079】
[第9態様]
第9態様は、定着部材(例えば加熱ローラ、定着ベルト等)と加圧部材(例えば加圧ローラ)との間に記録材(例えば用紙P)を挟持して搬送しながら該記録材上に画像を定着させる定着装置6であって、前記定着部材及び前記加圧部材のうちの少なくとも一方の部材(例えば定着ローラ対61)を収容する収容ケース62と、前記収容ケースの内部空間を、記録材搬送方向に対して直交する記録材幅方向(例えば用紙幅方向)に仕切る仕切り部材63とを備え、前記仕切り部材は、最大幅の記録材の記録材幅方向端部位置よりも外側、かつ、前記少なくとも一方の部材の記録材幅方向端部位置よりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
定着装置内では、定着部材及び加圧部材のうちの少なくとも一方の部材の端部領域付近から微粒子が発生する。このような仕切り部材が無い場合、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子が、前記少なくとも一方の部材の中央領域で搬送される記録材の搬送気流に引き込まれて、収容ケースの記録材出口から流出されるおそれがある。本態様のような仕切り部材を設けることで、前記少なくとも一方の部材の端部領域で発生する微粒子が記録材の搬送気流に引き込まれにくくなり、当該微粒子が収容ケースの記録材出口から流出するのを抑制できる。その結果、微粒子が画像形成装置本体の外部へ排出するのを抑制することができる。
【0080】
[第10態様]
第10態様は、画像を記録材上に定着させる定着装置6を備えた画像形成装置(例えば複写機1)であって、前記定着装置として、第9態様の定着装置を用いることを特徴とするものである。
これによれば、定着装置内で発生した微粒子が画像形成装置本体の外部へ排出するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 :複写機
2 :作像装置
3 :中間転写装置
4 :二次転写装置
5 :用紙搬送装置
6 :定着装置
7 :トナー補給装置
10 :外装カバー
11 :開閉扉
11a :係合リブ
12 :感光体
13 :帯電装置
14 :現像装置
15 :一次転写ローラ
18 :露光装置
20 :中間転写ベルト
25 :二次転写ローラ
30 :二次転写ベルト
36 :裏面画像転写装置
40 :給紙トレイ
43 :レジストローラ対
50 :スタック部
55 :両面装置支持軸
61 :定着ローラ対
61a :基材
61b :弾性層
61c :表層
61A :定着ベルト
61B :加圧ローラ
61C :加圧パッド
61D :ヒータ
62 :収容ケース
62a :排気口
62b :吸気口
63 :仕切り部材
100 :排気ダクト
101A,101B:端部ダクト部
101a :リブ
102A,102B:ダクト入口部材
102a :被係合リブ
102a1 :傾斜面
102a2 :水平面
102b :弾性部材
103 :共通ダクト部
104 :捕集フィルタ
105 :排気ファン
107 :バネ
110 :画像形成部
111 :給紙装置
112 :胴内排紙部
113 :両面装置
114 :画像読取装置
115 :操作表示部
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2011-180340号公報
図1
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図5
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図7
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図10