IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ADEKAの特許一覧 ▶ ADEKAクリーンエイド株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104578
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】発泡洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/90 20060101AFI20230721BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 3/08 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 1/86 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230721BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
C11D1/90
C11D1/62
C11D3/04
C11D3/08
C11D3/30
C11D1/75
C11D1/86
C11D1/04
C11D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005656
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】竹田 藍
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮太
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB28
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC13
4H003AC15
4H003AD04
4H003AE05
4H003DA05
4H003DB02
4H003DC02
4H003EA03
4H003EA15
4H003EA21
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB16
4H003EB17
4H003EB22
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA16
4H003FA17
4H003FA20
4H003FA23
4H003FA28
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】
洗浄性、垂直面の泡保持性の要件を充分に満足するとともに、除菌性が良好で、かつすすぎ時の泡切れ性に優れた発泡洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】
発泡洗浄剤組成物は、(A)成分としてアルカリ剤、(B)成分としてアルキル基の炭素数が10以上、18以下のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、(C)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、(D)成分として水を含有し、(B)成分中のテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの割合が50質量%以上、かつ、pHが9以上、14以下となるよう調整される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分としてアルカリ剤、
(B)成分としてアルキル基の炭素数が10以上、18以下のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
(C)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、
(D)成分として水、
を含有し、(B)成分中のテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの割合が50質量%以上であり、25℃におけるpHが9以上、14以下である発泡洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンから選択される少なくとも一種である請求項1記載の発泡洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(E)成分としてアルキル基の炭素数が8以上、16以下のアルキルジメチルアミンオキシドを含有する請求項1又は2の何れかに記載の発泡洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(F)成分としてアニオン界面活性剤を含有する請求項1から3の何れかに記載の発泡洗浄剤組成物。
【請求項5】
(F)成分が、炭素数12以上、20以下の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸又はその塩、2級アルカンスルホン酸又はその塩より選択される少なくとも一種を含有する請求項4に記載の発泡洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、(G)成分としてグリシン型両性界面活性剤を含有する請求項1から5の何れか一項に記載の発泡洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に調理設備及び食品加工設備で使用することができ、洗浄性、除菌性、垂直面の泡保持性に優れ、かつ、すすぎ時の泡切れ性に優れた発泡洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料・食品製造工場や厨房に使用される洗剤には、製造環境を衛生的に保つため、並びに製造機器を介した異物混入や交差汚染の防止ために、壁、床等の施設や充填機、フリーザー等の製造関連機器をアルカリ性の洗浄剤を用いて洗浄している。その際に被洗浄物への洗浄性、除菌性の向上及び洗浄剤付着時間を向上させるために、洗浄剤に界面活性剤を添加し、発泡性を持たせた発泡洗浄剤に圧縮空気を混合させ泡状にして吹きつける洗浄方法が一般的である。
【0003】
被洗浄物に付着した発泡洗浄剤は水ですすぎ流し落とすが、すすぎの際に泡切れが悪く、多量の水を用いる必要があり、作業時間、経済性の点に課題があった。そのため近年では高い洗浄性だけでなくすすぎ時の泡切れ性に優れ、作業時間の短縮が可能な発泡洗浄剤が強く求められている。
【0004】
従来の発泡洗浄剤としては、4級アンモニウム塩型殺菌剤、炭素数8~16の炭化水素基を1つ有するアミンオキサイド型界面活性剤、炭素数8~16の脂肪酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の化合物を特定の割合で含有する食品加工設備及び/又は調理設備用洗浄剤組成物(特許文献1)、アルカリ剤、珪酸アルカリ金属塩、イミダゾリニウムベタイン型界面活性剤、及び溶剤を特定の割合で含有する液体洗浄剤組成物(特許文献2)、カチオン系殺菌剤、ビグアナイド系殺菌剤及びアミノ酸系殺菌剤より選ばれた1種以上の殺菌剤、珪酸を含まないアルカリ剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、並びに、金属キレート剤を含有し、1重量%水溶液のpH(25℃)が9以上である殺菌洗浄剤組成(特許文献3)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-136636号公報
【特許文献2】特開2001-323299号公報
【特許文献3】特開2004-315691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から3に記載の組成物は、何れも垂直面の泡保持性が十分ではなく、また、すすぎ時の泡切れ性が悪くすすぎ性に難があった。
【0007】
従って、本発明の目的は油脂汚れに対する洗浄力及び除菌性に優れ、かつ、垂直面の泡保持性、すすぎ性も良好な発泡洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)アルカリ剤と、(B)アルキル基の炭素数が10以上、18以下のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインと、(C)四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と、(D)水を含有し、(B)成分中のテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの割合と、組成物のpHが所定の範囲に調製された発泡洗浄剤組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、
(1)(A)成分としてアルカリ剤、
(B)成分としてアルキル基の炭素数が10以上、18以下のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
(C)成分として四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、
(D)成分として水、
を含有し、(B)成分中のテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの割合が50質量%以上であり、25℃におけるpHが9以上、14以下である発泡洗浄剤組成物、
(2)(A)成分が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンから選択される少なくとも一種である上記(1)の発泡洗浄剤組成物、
(3)更に、(E)成分としてアルキル基の炭素数が8以上、16以下のアルキルジメチルアミンオキシドを含有する上記(1)又は(2)の何れかに記載の発泡洗浄剤組成物。
(4)更に、(F)成分としてアニオン界面活性剤を含有する上記(1)から(3)の何れかに記載の発泡洗浄剤組成物、
(5)(F)成分が、炭素数12以上、20以下の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸又はその塩、2級アルカンスルホン酸又はその塩より選択される少なくとも一種を含有する上記(4)に記載の発泡洗浄剤組成物、
(6)更に、(G)成分としてグリシン型両性界面活性剤を含有する上記(1)から(5)の何れか一項に記載の発泡洗浄剤組成物、
を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、油脂汚れに対する洗浄力及び除菌性に優れ、かつ、垂直面の泡保持性を有しながらすすぎ性も良好であるため、作業時間の短縮が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発泡洗浄剤組成物における(A)成分はアルカリ剤である。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、4号珪酸ナトリウム、1号珪酸カリウム、及び2号珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。これらの中でも、洗浄性の観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、珪酸カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸カリウム、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンがより好ましい。また、洗浄性が良好であり、かつ実施に耐えうる金属腐食防止性を示すという観点からは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンが好ましく、中でもアルミに対する腐食防止性の観点で珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンがより好ましい。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0012】
本発明の発泡洗浄剤組成物100質量%において、(A)成分は0.1質量%以上、20質量%以下含有されていることが好ましく、1質量%以上、15質量%以下含有されていることがより好ましく、1.5質量%以上、10質量%以下含有されていることが更に好ましい。
(A)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、洗浄性が低下する場合があり、20質量%を超えると貯蔵安定性が十分でなくなる場合があり、また、金属を腐食する場合がある。
【0013】
本発明の発泡洗浄剤組成物における(B)成分はアルキル基の炭素数が10以上、18以下のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインである。上記アルキル基とは、ジメチルアミノ酢酸ベタインに結合するアルキル基のことを指す。具体的には、(B)成分として少なくともテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインを含み、更にデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヘキサデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクタデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン等を一種以上含んでも良い。
(B)成分としてテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインを含むことで、発泡性が良好であり、かつ泡保持性が高く、洗浄性の高い発泡洗浄剤組成物を提供可能である。一般的に、発泡性及び泡保持性が良好である場合には、すすぎ性が劣る傾向にあるが、本発明において特定される組成であれば、発泡性が良好で垂直面においても高い泡保持特性が示される上、すすぎ時の泡切れ性も良好である。
【0014】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、洗浄性及び垂直面の泡保持性の観点から(B)成分100質量%中のテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの割合は、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。(B)成分100質量%中のテトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの割合が50質量%未満であると洗浄性及び垂直面の泡保持性が低下する場合がある。
従って、例えば(B)成分としてヤシ油(主成分として、ラウリン酸41~48質量%、ミリスチン酸16~20質量%、パルミチン酸9~13質量%を含有する)を原料として製造したヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインのみを用いた場合では、十分な洗浄性及び垂直面の泡保持性が得られない場合がある。
本発明に関し発泡洗浄剤組成物における(B)成分中のテトラジメチルアミノ酢酸ベタインの割合とは、テトラジメチルアミノ酢酸ベタイン単体の化合物の配合量のみならず、ヤシ油のような複合材料において含まれるテトラジメチルアミノ酢酸ベタインの配合量も含む。
【0015】
本発明の発泡洗浄剤組成物100質量%において、(B)成分は0.1質量%以上、12質量%以下含有されていることが好ましく、0.5質量%以上、10質量%以下含有されていることがより好ましく、1.5質量%以上、9質量%以下でることが更に好ましく、2質量%以上、8質量%以下含有されていることが特に好ましい。
(B)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、十分な発泡性が得られず、洗浄性、垂直面の泡保持性が低下する場合があり、12質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0016】
本発明の発泡洗浄剤組成物における(C)成分は四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤である。四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルモノメチルヒドロキシアンモニウム塩、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、エチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩及びベンゼトニウム塩等が挙げられる。ここで、アルキル基としては、炭素数4以上、22以下のアルキル基、好ましくは炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基が挙げられる。具体的には、例えばブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基が挙げられ、より好ましくはオクチル基、デシル基である。塩としては塩素イオン、臭素イオン、炭素数1又は2のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上、12以下の脂肪酸イオン、炭素数1以上、3以下のアルキル基が1個以上、3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオン等が好ましい。
具体的には、除菌性の観点からジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド等のアルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム等のベンゼトニウム塩が好ましい。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明の発泡洗浄剤組成物100質量%において、(C)成分は0.1質量%以上、10質量%以下含有されていることが好ましく、0.5質量%以上、7質量%以下含有されていることがより好ましく、1質量%以上、5質量%以下含有されていることが更に好ましい。
(C)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、除菌性が低下する場合があり、10質量%を超えると貯蔵安定性が十分でなくなる場合がある。
【0018】
本発明の発泡洗浄剤組成物における(D)成分の水としては、特に限定はなく、水道水、工業用水、再生水、イオン交換水、RO水、蒸留水、軟水等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を組み合わせても良い。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。水は、発泡洗浄剤組成物全体が100質量%となるように配合されるものである。
【0019】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、組成物の25℃におけるpHは9以上、14以下である。pHをアルカリ性領域にすることにより、洗浄性に優れた発泡洗浄剤組成物を提供できる。より良好な洗浄性を発揮し、かつ、金属腐食を防止するという観点から、pHは10以上、14以下が好ましく、11以上、13.5以下がより好ましい。pHの測定方法は、後述する実施例における記載が参照される。
【0020】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、更に(E)成分としてアルキル基の炭素数が8以上、16以下のアルキルジメチルアミンオキシドを含んでもよい。上記アルキル基とは、ジメチルアミンオキシドに結合するアルキル基のことを指す。(E)成分を含有することによって、洗浄性が更に向上する。アルキル基の炭素数が8以上、16以下のアルキルジメチルアミンオキシドとして、具体的には、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、洗浄性の観点からオクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが好ましく、良好な洗浄を発揮し、かつ、すすぎ性を損なわない観点からドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシドがより好ましい。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(E)成分を配合する場合、本発明の発泡洗浄剤組成物100質量%において、(E)成分は0.1質量%以上、10質量%以下含有されていることが好ましく、0.2質量%以上、8質量%以下含有されていることがより好ましく、0.5質量%以上、5質量%以下含有されていることが更に好ましい。(E)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、更なる洗浄性向上の効果が有意に発揮されにくく、10質量%を超えると却って貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0022】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、更に(F)成分としてアニオン界面活性剤を含んでもよい。(F)成分を含有することによって、垂直面の泡保持性、すすぎ性が更に向上する。アニオン界面活性剤の例としては、脂肪酸、アルケニルコハク酸、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸、アルキロールサルコシン、アルキル又はアルケニル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル、アマイドエーテル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホコハク酸半エステル、アシルタウリン酸、アルキルモノリン酸エステル、アルキルトリリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ジポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸やこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、良好な垂直面の泡保持性、すすぎ性を発揮するという観点から炭素数12以上、20以下の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、2級アルカンスルホン酸又はその塩が好ましく、炭素数12以上、20以下の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸又はその塩、2級アルカンスルホン酸又はその塩がより好ましい。中でも、好ましい(F)成分の例としては、2級アルカンスルホン酸ナトリウム、イソパルミチン酸ナトリウム、イソステアリン酸ナトリウム、イソアラキン酸ナトリウム、イソアラキン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウムが例示される。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(F)成分を配合する場合、本発明の発泡洗浄剤組成物100質量%において、(F)成分は0.1質量%以上、5質量%以下含有されていることが好ましく、0.3質量%以上、4.5質量%以下含有されていることがより好ましく、0.5質量%以上、4質量%以下含有されていることが更に好ましい。(F)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、垂直面の泡保持性、すすぎ性の効果が有意に発揮され難く、5質量%を超えると却って貯蔵安定性が低下する場合がある。上述する(E)成分と(F)成分とが共に配合された場合、特にバランス良く本発明の所期の課題が達成し、洗浄性、泡保持性および発泡性に優れるとともにすすぎ性にも優れた発泡洗浄剤組成物を提供することができる。
尚、本発明の発泡洗浄剤組成物中の上記(F)成分の割合は、(F)成分中に脂肪酸塩が含まれる場合は、脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた割合である。
【0024】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、さらに(G)成分としてグリシン型両性界面活性剤を含んでもよい。(G)成分を含有することによって、除菌性がさらに向上する。グリシン型両性界面活性剤としては、下記一般式(1)で表される両性界面活性剤又はその塩が挙げられる。
【0025】
【化1】
(式中、Rは炭素数6~18のアルキル基、Rは水素原子又は炭素数6~18のアルキル基;mは1~4の整数、nは0~2の整数である。)
【0026】
一般式(1)のRは、炭素数6~18の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基であり、好ましくは炭素数8~16の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基であり、より好ましくは炭素数8~14の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基である。一般式(1)のRは水素原子又は炭素数6~18の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基であり、好ましくは、水素原子又は炭素数8~14の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基である。
一般式(1)のmは1~4の整数であり、好ましくは、mは1又は2の整数である。一般式(1)のnは0、1又は2であり、好ましくは0又は1である。
上記の塩として、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、塩酸塩などが挙げられるが、中でも、ナトリウム塩、塩酸塩が好ましい。
【0027】
(G)成分の例としては、ジヘキシルジアミノエチルグリシン、ジヘキシルアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジヘキシルジアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジオクチルジアミノエチルグリシン、ジオクチルアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジオクチルジアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジ(2-エチルヘキシル)ジアミノエチルグリシン、ジ(2-エチルヘキシル)アミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジデシルジアミノエチルグリシン、ジデシルアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジデシルジアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、デシルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン、オクチルアミノエチルグリシン、オクチルジアミノエチルグリシン、アルキル(C12~14)ジアミノエチルグリシン、ミリスチルジアミノエチルグリシン及びこれらの塩等が挙げられ、中でも良好な除菌性を発揮する観点からジオクチルジアミノエチルグリシン、ジオクチルアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ジオクチルジアミノエチル(ジアミノエチルグリシン)、ラウリルジアミノエチルグリシン、オクチルアミノエチルグリシン、オクチルジアミノエチルグリシン、アルキル(C12~14)ジアミノエチルグリシン及びこれらの塩が好ましい。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(G)成分を配合する場合、本発明の発泡洗浄剤組成物100質量%において、(G)成分は0.05質量%以上、8質量%以下含有されていることが好ましく、0.1質量%以上、5質量%以下含有されていることがより好ましく、0.2質量%以上、3質量%以下含有されていることが更に好ましい。(G)成分の含有量が、0.05質量%未満であると、除菌性の効果が有意に発揮されにくく、8質量%を超えると却って貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0029】
本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の効果が損なわない範囲で、必要に応じて当該技術分野で通常使用される他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、ノニオン界面活性剤、増粘剤、可溶化剤、キレート剤、pH調整剤、酵素、香料、色素、防腐剤等が挙げられる
【0030】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルジエステル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、グリセリン脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム或いはブロック付加体、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ジポリオキシアルキレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド等が挙げられる。
【0031】
増粘剤としては、例えば、セルロースポリマー(カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、植物の粘液からのキサンタンガム、グアーガム等の天然ガム、アルギネート、スターチ、多糖類をベースとする増粘剤、ペクチンなどのハイドロコロイド増粘剤等が挙げられる。
【0032】
可溶化剤としては、例えば、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸又はその塩や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。
【0033】
キレート剤としては、例えば、ニトリロ三酢酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸又はその塩、ジエチレントリアミノ五酢酸又はその塩、トリエチレンテトラアミン六酢酸又はその塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸又はその塩、ジヒドロキシエチルグリシン又はその塩、メチルグリシン二酢酸又はその塩、グルタミン酸二酢酸又はその塩、アスパラギン酸二酢酸又はその塩、β-アラニン二酢酸又はその塩、セリン二酢酸又はその塩等が挙げられる。
【0034】
pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0035】
酵素としては、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ等が挙げられる。香料としては、例えば、天然香料、合成香料又はこれらの調合香料等が挙げられる。色素としては、例えば、天然色素、合成色素又はこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、原液もしくは水で1倍を超えて100倍以下の希釈倍率で予め希釈し、及び/又は、希釈しながら被洗浄物に泡状に噴射し洗浄する態様で実施することができる。希釈液の(B)成分の濃度は0.003質量%以上、3質量%以下に調整することが好ましく、(B)成分の濃度は0.01質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上、0.3質量%以下であることが更に好ましい。希釈液中の(B)成分が0.003質量%未満であると十分な洗浄性、垂直面の泡保持性、発泡性が得られず、3質量%を超えると発泡性が不十分となる場合がある。希釈液は発泡装置等を用いて発泡させ、比重0.05~0.9g/立方センチメートルの泡又は泡と液の混合物、好ましくは0.08~0.3g/立方センチメートルの泡又は泡と液の混合物として被洗浄物表面に吹き付ける。更に、被洗浄物に吹き付けた後静置、好ましくは30秒~10分間静置してすすぎを行うか、又はブラシやスポンジ等を用いて擦り洗いした後すすぎを行うことが好ましい。
【0037】
発泡装置としてはエア駆動式ダイアフラムポンプにて送液し、圧縮空気と発泡洗浄剤組成物の希釈液を混合して発泡並びに噴霧する装置を用いることができ、例えば、DEMA社製910 PORTABLE FOAMERを使用することができる。供給エア圧としては30~80PSIが好ましく、40~60PSIがより好ましい。
【0038】
ここで、発泡洗浄剤組成物を希釈するために使用される水としては、発泡洗浄剤における(D)成分と同様の水を用いることができるが、一般的には水道水のような硬度成分を含有する水を使用することが想定され、水道水は、pH=5.8~8.6、総アルカリ度が、ドイツ硬度0~16.7°DH、塩化物イオン0~200mg/L、ナトリウム及びその化合物0~200mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素0~10mg/L、フッ素及びその化合物0~0.8mg/L、ホウ素及びその化合物0~1.0mg/L、総トリハロメタン0~0.1mg/L、残留塩素0~1mg/L、有機物量(全有機炭素量)0~3mg/Lであれば、本発明の発泡洗浄剤組成物の希釈用として使用することができる。また総アルカリ度は特に制限はないが、工業用水道供給標準水質として記載されている0~75mg/L(炭酸カルシウム換算として)が好ましい。
【0039】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、主に、硬質表面、具体的に、食肉加工品、海産食品加工品、パン、菓子、惣菜、ビール、ジュース、乳飲料等の飲料、乳製品、冷凍食品、レトルト食品、調味料、マヨネーズ等を製造する飲食料品製造工場の製造設備の表面、工場内の壁面、床面、飲食店の厨房における設備及び機器等の硬質表面を被洗浄物として好適に用いられる。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。尚、表1~8に示す各配合量に関する数値は、発泡洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
また、表中における(F)成分中の脂肪酸塩の配合量は、分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた値である。
【0041】
(A)成分
A-1:水酸化ナトリウム
A-2:水酸化カリウム
A-3:炭酸カリウム
A-4:珪酸カリウム(日本化学工業株式会社製、A珪酸カリ)
A-5:モノエタノールアミン
A-6:モノイソプロパノールアミン
A-7:珪酸ナトリウム(広栄化学工業株式会社製 珪酸ソーダ3号)
A-8:トリエタノールアミン
【0042】
(B)成分
B-1:テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン(新日本理化株式会社製、リカビオンA-200)
B-2:ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン(新日本理化株式会社製、リカビオンA-100)
B-3:オクタデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン(新日本理化株式会社製、リカビオンA-700)
B-4:ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(東邦化学工業株式会社製、オゾバリンBC、テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタインの含有割合約20質量%)
【0043】
(B)成分の比較成分
B’-1:ラウリン酸アミドプロピルベタイン(花王株式会社製、アンヒトール20AB)
【0044】
(C)成分
C-1:アルキル(C8~18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
C-2:オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド
C-3:アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド
C-4:ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート
C-5:アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
【0045】
(D)成分
D-1:イオン交換水
【0046】
(E)成分
E-1:デシルジメチルアミンオキシド
E-2:ヘキサデシルジメチルアミンオキシド
E-3:ドデシルジメチルアミンオキシド
E-4:テトラデシルジメチルアミンオキシド
E-5:オクチルジメチルアミンオキシド
【0047】
(F)成分
F-1:2級アルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアント社製、HOSTAPUR SAS30SB)
F-2:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社製、エマール20C)
F-3:イソパルミチン酸ナトリウム(日産化学工業株式会社製、イソパルミチン酸を中和したもの)
F-4:イソステアリン酸ナトリウム(日産化学工業株式会社製、イソステアリン酸Tを中和したもの)
F-5:イソアラキン酸ナトリウム(日産化学工業株式会社製、イソアラキン酸を中和したもの)
F-6:イソアラキン酸カリウム(日産化学工業株式会社製、イソアラキン酸を中和したもの)
F-7:ラウリン酸ナトリウム(花王株式会社製、ルナック L-98を中和したもの)
F-8:ミリスチン酸ナトリウム(花王株式会社製、ルナック MY-98を中和したもの)
F-9:ミリスチン酸カリウム(花王株式会社製、ルナック MY-98を中和したもの)
【0048】
(G)成分
G-1:ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム(三洋化成工業株式会社製、レボンS)
G-2:アルキル(C12~14)ジアミノエチルグリシン塩酸塩(三洋化成工業株式会社製、レボンT-2)
【0049】
(H)その他成分
H-1:キシレンスルホン酸ナトリウム
H-2:パラトルエンスルホン酸ナトリウム
H-3:エチレンジアミン四酢酸カリウム
H-4:エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
H-5:グルタミン酸二酢酸ナトリウム
H-6:クエン酸
H-7:ポリオキシエチレン(EO6モル)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド
H-8:ポリオキシエチレン(EO15モル)アルキル(C12~14)エーテル
H-9:塩酸
【0050】
実施例1~77、比較例1~9
表1~9に示す配合に基づき発泡洗浄剤組成物を調製し、pH、洗浄性、垂直面の泡保持性、発泡性、すすぎ性、除菌性、貯蔵安定性を試験した。結果を表1~9に示す。
【0051】
※1:pHの測定方法
pHメーターの校正:
pHメーター(HORIBA製;pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製;ガラスすり合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れた。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86標準液(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86、pH9.18、pH4.01の順に校正操作を行った。
pH測定:
恒温槽内にて25℃の恒温に調整された各洗浄剤組成物100mLにpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
【0052】
※2:洗浄性試験(牛脂汚れ)
試験方法:
ステンレス片[ステンレス(SUS304)、縦70mm×横60mm×厚さ1mm]に油(牛脂5g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mLに溶解したもの)を塗布し、25℃で2時間乾燥させたものを試験片とした。尚、モデル汚れを付する前のステンレス片の重量(W1)及びモデル汚れを付した後のステンレス片の重量(W2)を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各発泡洗浄剤組成物を3質量%に希釈して調製した洗浄液200mLを、DEMA社製910 PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、垂直面に立て掛けた試験片の範囲に10秒間噴射し、5分間放置した後、イオン交換水で15秒間すすぎ、自然乾燥させた後、重量(W3)を測定した。牛脂汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の重量変化に関し、下記数式(1)より算出し、以下の基準で評価した。
[数1]
洗浄率(%)=[(W2-W1)-(W3-W1)]÷(W2-W1)×100 (1)
評価基準:
◎:洗浄率70%以上
○:洗浄率50%以上、70%未満
△:洗浄率30%以上、50%未満
×:洗浄率30%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0053】
※3:洗浄性試験(豚脂汚れ)
試験方法:
ステンレス片[ステンレス(SUS304)、縦70mm×横60mm×厚さ1mm]に油(豚脂10g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mLに溶解したもの)を塗布し、25℃で2時間乾燥させたものを試験片とした。尚、モデル汚れを付する前のステンレス片の重量(X1)及びモデル汚れを付した後のステンレス片の重量(X2)を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各発泡洗浄剤組成物を3質量%に希釈して調製した洗浄液200mLを、DEMA社製910 PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、垂直面に立て掛けた試験片の範囲に10秒間噴射し、5分間放置した後、イオン交換水で15秒間すすぎ、自然乾燥させた後、重量(X3)を測定した。豚脂汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の重量変化に関し、下記数式(2)より算出し、以下の基準で評価した。
[数2]
洗浄率(%)=[(X2-X1)-(X3-X1)]÷(X2-X1)×100・・・(2)
評価基準:
◎:洗浄率70%以上
○:洗浄率50%以上、70%未満
△:洗浄率30%以上、50%未満
×:洗浄率30%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0054】
※4:垂直面の泡保持性試験
試験方法:
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各発泡洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910 PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス板[ステンレス(SUS304)]垂直面の縦1m、横1mの範囲に対して、2cm以下の泡の厚みとなるように吹付け、3分経過後の垂直壁面への付着具合(泡が残っている面積)を目視により観察し、吹付範囲(縦1m、横1m)を100%とした場合の、泡が残っている面積の比率を、以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:泡の保持が80%以上
○:泡の保持が65%以上、80%未満
△:泡の保持が50%以上、65%未満
×:泡の保持が50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0055】
※5:発泡性試験
試験方法:
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各発泡洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910 PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス板[ステンレス(SUS304)]垂直面の縦1m、横1mの範囲に10秒間噴射し、目視により泡の状態を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:水っぽくきめ細かい泡
○:水っぽくないきめ細かい泡
△:水っぽくきめの粗い泡
×:泡にならない
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0056】
※6:すすぎ性試験(すすぎ時の泡切れ性評価試験)
試験方法:
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各発泡洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910 PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス製ボックス[ステンレス(SUS304)]の下部(縦500mm、横幅700mm)に10秒間噴霧し、一分経過後に炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水ですすぎ(シャワーノズル)を行い、泡が消えるまでのすすぎ時間について以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:120秒未満
○:120秒以上、180秒未満
△:180秒以上、240秒未満
×:240秒以上
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0057】
※7:除菌性試験(大腸菌)
試験方法:
各発泡洗浄剤組成物を炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で3質量%に希釈して調製した洗浄液10mLに、終濃度1.5×10(CFU/mL)~5.0×10(CFU/mL)となるように菌液0.1mLを添加し、25℃にて5分間保持したものを試験液とした。この試験液1mLをSCDLP寒天培地にて混和固化し、37℃で2日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、以下の基準で評価した。
供試菌株:
財団法人発酵研究所のEscherichia coli NBRC3972(10の9乗CFU/mLレベル)を用いた。
評価基準
◎:供試菌のLog reductionが5以上
○:供試菌のLog reductionが3以上、5未満
△:供試菌のLog reductionが2以上、3未満
×:供試菌のLog reductionが2未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0058】
※8:貯蔵安定性試験
試験方法:
各発泡洗浄剤組成物100gをポリプロピレン製容器に入れ、-5℃、25℃、40℃で1ヶ月静置した後に外観を観察した。
評価基準:
○:分離や濁りが見られず安定である
△:全体的な分離はないが、若干の濁りが見られる
×:分離もしくは濁りが見られる
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0059】
※9:金属腐食防止性試験
試験方法:
試験片として、縦70mm×横60mm×厚さ1mmのステンレス(SUS304)片又は縦50mm×横30mm×厚さ2mmのアルミニウム(A5052P)片を予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを使用した。炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で各液体洗浄剤組成物を5質量%に希釈して調製した希釈洗浄液60mlを70ml容量の蓋付ガラス瓶に入れ、その中に試験片を浸漬し、蓋付ガラス瓶ごと25℃の恒温器内で30分間保存した。その後、恒温器から取り出した蓋付ガラス瓶から試験片を取り出し、イオン交換水にてすすぎ、自然乾燥させて、試験片表面の状態を目視により外観観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル
×:腐食した
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】