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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104611
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230721BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230721BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 018
B60R16/02 623U
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005708
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB07
3H024AC03
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE02
(57)【要約】
【課題】カバー20と第2側壁部13の端部との間に電線Wを挟み込むことなく、内部に電線Wを挿通できるプロテクタ1を提供することを目的とする。
【解決手段】底面部11及び対向する一対の側壁部(第1側壁部12、第2側壁部13)を有する断面凹状のプロテクタ本体10と、底面部11に対向するプロテクタ本体10の開口を閉塞するカバー20とが備えられ、内部を挿通する電線Wを保護するプロテクタ1であって、底面部11側からプロテクタ本体10の開口側へ向かう方向を上方向として、プロテクタ本体10が、上方向に延びる略柱状で、第2側壁部13の外側面に隣接して配置された柱状部14と、柱状部14を第2側壁部13の外側面に切断容易な厚みで連結する薄肉帯状の連結部15とを備え、柱状部14が、上方向における第2側壁部13の端部に対して上方向に突出した状態で、第2側壁部13に連結されたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び対向する一対の側壁部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、前記底面部に対向する前記プロテクタ本体の開口を閉塞するカバーとが備えられ、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、
前記底面部側から前記プロテクタ本体の開口側へ向かう方向を開口方向として、
前記プロテクタ本体が、
前記開口方向に延びる略柱状で、前記側壁部の外側面に隣接して配置された柱状部と、
該柱状部を前記側壁部の前記外側面に切断容易な厚みで連結する薄肉帯状の連結部とを備え、
前記柱状部が、
前記開口方向における前記側壁部の端部に対して前記開口方向に突出した状態で、前記側壁部に連結された
プロテクタ。
【請求項2】
前記カバーに、前記プロテクタ本体の開口の閉塞に伴って前記連結部を切断する切断部が備えられた
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記切断部が、
前記カバーの主面に対して突出するとともに、先端に向かうほど先細のテーパー状に形成された
請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記柱状部は、
基端から前記開口方向に所定間隔だけ離間した位置が前記連結部によって前記側壁部に連結されるとともに、少なくとも前記基端から前記連結部との間が前記側壁部の前記外側面に対向配置された構成である
請求項2または請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記柱状部が、複数の前記連結部を介して前記側壁部に連結され、
複数の前記連結部が、
前記開口方向、及び前記開口方向に直交する方向にそれぞれ位置ズレして配置された
請求項2から請求項4のいずれか1つに記載のプロテクタ。
【請求項6】
一方の前記側壁部と前記カバーとを枢動可能に連結する枢動部が設けられ、
前記柱状部が、他方の前記側壁部に連結された
請求項2から請求項5のいずれか1つに記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記柱状部が、
前記枢動部を中心とした前記切断部の回動軌跡と交差する位置に配置された
請求項6に記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記柱状部が連結される前記側壁部に、他方の前記側壁部へ向けて膨出した膨出部分が設けられ、
前記連結部が、
前記開口方向から見て前記膨出部分に隣接する前記外側面から突出しない長さで、前記膨出部分と前記柱状部とを連結する構成である
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記膨出部分が、
前記側壁部における底面部側の一端からカバー側の一端に至る前記開口方向の範囲に形成された
請求項8に記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記開口方向から見て、前記側壁部同士が対向する方向に直交する方向を長手方向として、
前記底面部が、
前記開口方向の位置を異ならせる段付き部分を有する形状に形成され、
前記柱状部が、
前記段付き部分に略同じ前記長手方向の位置に配置された
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のプロテクタ。
【請求項11】
前記開口方向から見て、前記側壁部同士が対向する方向に直交する方向を長手方向として、
前記柱状部及び前記連結部が、前記長手方向に所定間隔を隔てて複数設けられた
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のプロテクタ。
【請求項12】
前記プロテクタ本体が、合成樹脂製である
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内部に挿通する電線を保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されている電子機器類同士は、車両に配索されている電線を介して電気的に接続されている。この車両に配索されている電線は、配索経路周辺の部材との干渉によって損傷しないように、プロテクタに挿通させて保護している。
【0003】
このようなプロテクタとして、例えば、互いに対向する底面部と一対の側壁部とで断面凹状に構成されたプロテクタ本体の開口から電線を挿入し、開口を塞ぐようにカバーで覆うことにより、内部に挿通された電線を保護するものがある(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、近年、車両では、安全性や操作性の向上を目的とした電気的な制御の増加に伴い、電気機器類や電子部品が増加している。このため、車両では、車両に配索される電線の数も増加している。特に電動モーターを駆動力とする電動車では、内燃機関を駆動力とする車両に比べて、より多くの電線が用いられている。
【0005】
そうすると、プロテクタに挿通させる電線の数が多くなるため、プロテクタ本体の内部に電線を収容した際、電線の一部が、プロテクタ本体の側壁部の端部に乗り上げ易くなる。このため、特許文献1のような構造のプロテクタでは、プロテクタ本体にカバーを組付ける際、カバーと側壁部の端部と間に電線が挟まるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-118612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、カバーと側壁部の端部との間に電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通できるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、底面部及び対向する一対の側壁部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、前記底面部に対向する前記プロテクタ本体の開口を閉塞するカバーとが備えられ、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、前記底面部側から前記プロテクタ本体の開口側へ向かう方向を開口方向として、前記プロテクタ本体が、前記開口方向に延びる略柱状で、前記側壁部の外側面に隣接して配置された柱状部と、該柱状部を前記側壁部の前記外側面に切断容易な厚みで連結する薄肉帯状の連結部とを備え、前記柱状部が、前記開口方向における前記側壁部の端部に対して前記開口方向に突出した状態で、前記側壁部に連結されたことを特徴とする。
【0009】
上記カバーは、一方の側壁部に柱状部が連結されたプロテクタ本体における他方の側壁部に枢動可能に連結されたもの、もしくは一方の側壁部または両方の側壁部に柱状部が連結されたプロテクタ本体とは別体で構成されたものをいう。
【0010】
上記柱状部は、略円柱状、略筒状、略三角柱状、あるいは略多角柱状などのことをいう。
上記切断容易な厚みとは、例えば素手で切断可能な厚み、あるいはプロテクタ本体の側壁部の外側面に重なり合うカバーの端部によって切断可能な厚みのことをいう。
【0011】
この発明によれば、プロテクタは、カバーと側壁部の端部との間に電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通することができる。
具体的には、開口方向における側壁部の端部に対して柱状部が開口方向に突出しているため、柱状部は、プロテクタ本体の内部に配置された電線が、側壁部の端部に乗り上げて、プロテクタ本体の外部へ飛び出すことを阻止できる。
【0012】
このため、プロテクタ本体の開口をカバーで閉塞する際、プロテクタは、側壁部の端部とカバーとの間に電線が挟まれることを、柱状部によって防止することができる。
さらに、連結部が切断容易な厚みのため、例えば作業者が素手で連結部を切断する、あるいはカバーに設けた切断部がプロテクタ本体の開口の閉塞に伴って連結部を切断することで、プロテクタは、側壁部から柱状部を容易に分離することができる。
【0013】
このため、プロテクタは、柱状部及び連結部が、プロテクタ本体の開口の閉塞を阻害することがない。
よって、プロテクタは、カバーと側壁部の端部との間に電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通させることができる。
【0014】
この発明の態様として、前記カバーに、前記プロテクタ本体の開口の閉塞に伴って前記連結部を切断する切断部が備えられてもよい。
この構成によれば、プロテクタ本体の開口の閉塞に伴って、カバーの切断部が連結部を切断するため、プロテクタは、作業者が素手で連結部を切断する場合に比べて、柱状部を効率よく分離することができる。
【0015】
さらに、プロテクタは、柱状部の分離と、プロテクタ本体の開口の閉塞とをこの順番で連続して行うことができる。このため、プロテクタは、側壁部の端部への電線の乗り上げを阻止しながら、プロテクタ本体の内部に電線を効率よく挿通することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記切断部が、前記カバーの主面に対して突出するとともに、先端に向かうほど先細のテーパー状に形成されてもよい。
この構成によれば、切断部は、先端が先細でない切断部に比べて、連結部をより容易に切断することができる。このため、プロテクタは、プロテクタ本体の開口の閉塞に伴って、柱状部を確実に分離することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記柱状部は、基端から前記開口方向に所定間隔だけ離間した位置が前記連結部によって前記側壁部に連結されるとともに、少なくとも前記基端から前記連結部との間が前記側壁部の前記外側面に対向配置された構成であってもよい。
【0018】
この構成によれば、柱状部が基端から開口方向に離間した位置で側壁部に連結されているため、連結部が切断部からの荷重によって撓み変形した際、プロテクタは、柱状部の基端を側壁部に当接させることができる。
【0019】
この際、プロテクタは、切断部からの荷重による連結部の撓み変形を、柱状部と側壁部との接触によって抑えられることができる。
これにより、プロテクタは、切断部からの荷重を引張荷重として連結部に効率よく作用させることができる。このため、プロテクタは、柱状部が側壁部に当接しない場合に比べて、連結部をより確実に切断することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記柱状部が、複数の前記連結部を介して前記側壁部に連結され、複数の前記連結部が、前記開口方向、及び前記開口方向に直交する方向にそれぞれ位置ズレして配置されてもよい。
【0021】
この構成によれば、複数の連結部が開口方向とは逆方向へ向けて順番に切断されるため、柱状部は、連結部の切断に伴って所定方向へ向けて傾倒することになる。換言すると、プロテクタは、柱状部が傾倒する方向を、複数の連結部によって制御することができる。
【0022】
これにより、プロテクタは、所望される方向へ向けて柱状部を分離することができる。このため、プロテクタは、例えば所望される方向に配置した回収箱への柱状部の投入を容易にして、分離した柱状部の回収作業性を向上することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、一方の前記側壁部と前記カバーとを枢動可能に連結する枢動部が設けられ、前記柱状部が、他方の前記側壁部に連結されてもよい。
この構成によれば、プロテクタは、連結部及び柱状部を一方の側壁部に設けることを不要にできるとともに、電線が一方の側壁部の上端に乗り上げることを枢動部によって阻止できる。
【0024】
さらに、プロテクタは、一対の側壁部の双方に柱状部を設けた場合に比べて、分離される柱状部の数量を軽減することができる。このため、例えば分離した柱状部を破棄する場合、プロテクタは、破棄物の削減を図ることができる。
【0025】
加えて、プロテクタ本体とカバーとが枢動部で連結されているため、プロテクタは、枢動部を中心にカバーを回動させるだけで、連結部を切断することができる。
【0026】
これにより、プロテクタは、切断部と連結部との位置合わせを不要にできるとともに、連結部の切断とプロテクタ本体の開口の閉塞とをこの順番で効率よく行うことができる。
よって、プロテクタは、プロテクタ本体の内部に電線を効率よく挿通することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記柱状部が、前記枢動部を中心とした前記切断部の回動軌跡と交差する位置に配置されてもよい。
この構成によれば、枢動部を中心とするカバーの回動に伴って、切断部が柱状部を側壁部から離間する方向へ押圧するため、プロテクタは、切断部との接触による荷重と、切断部によって押圧された柱状部からの荷重とを、引張荷重として連結部に作用させることができる。
【0028】
このため、プロテクタは、切断部の回動軌跡と柱状部とが交差しない場合に比べて、連結部に作用する引張荷重を大きくすることができる。このため、プロテクタは、例えば切断部の先端を鋭利な形状にすることなく、連結部を効率よく切断することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記柱状部が連結される前記側壁部に、他方の前記側壁部へ向けて膨出した膨出部分が設けられ、前記連結部が、前記開口方向から見て前記膨出部分に隣接する前記外側面から突出しない長さで、前記膨出部分と前記柱状部とを連結する構成であってもよい。
【0030】
この構成によれば、側壁部の膨出部分により、プロテクタは、膨出部分を設けた側壁部から電線を離間させることができる。このため、プロテクタは、膨出部分を設けた側壁部の上端に電線が乗り上げることを阻止できる。
【0031】
さらに、連結部が膨出部分に隣接する外側面から突出しない長さで柱状部と膨出部分とを連結しているため、プロテクタは、柱状部が分離した際、プロテクタ本体に残る連結部のバリが、膨出部分から突出することを防止できる。このため、プロテクタは、連結部のバリによる意図しない不具合を防止することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記膨出部分が、前記側壁部における底面部側の一端からカバー側の一端に至る前記開口方向の範囲に形成されてもよい。
この構成によれば、プロテクタは、膨出部分のカバー側を、柱状部分が配置される部分として利用し、膨出部分の底面部側を、例えば組付け治具にプロテクタ本体を載置する際の位置決め部として有効利用することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記開口方向から見て、前記側壁部同士が対向する方向に直交する方向を長手方向として、前記底面部が、前記開口方向の位置を異ならせる段付き部分を有する形状に形成され、前記柱状部が、前記段付き部分に略同じ前記長手方向の位置に配置されてもよい。
【0034】
この構成によれば、プロテクタは、長手方向の一端側での電線の位置と、長手方向の他端側での電線の位置とを、底面部の段付き部分によって開口方向に異ならせることができる。このため、プロテクタは、所望される配策方向が開口方向に変化する電線を容易に保護することができる。
【0035】
ところで、カバーが開放された状態において、電線は、底面部の段付き部分によって配索方向が変更され、一対の側壁部の端部よりも開口方向に突出し易くなる。
そこで、段付き部分に略同じ長手方向の位置に柱状部を配置したことにより、プロテクタは、一対の側壁部の端部よりも開口方向に突出した電線が、側壁部の端部に乗り上げることを柱状部によって阻止することができる。
これにより、プロテクタは、底面部に段付き部分を有する場合でも、カバーと側壁部の端部との間への電線の噛み込みを防止することができる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記開口方向から見て、前記側壁部同士が対向する方向に直交する方向を長手方向として、前記柱状部及び前記連結部が、前記長手方向に所定間隔を隔てて複数設けられてもよい。
【0037】
この構成によれば、プロテクタは、電線が側壁部の端部に乗り上げることを、複数の柱状部によって阻止することができる。このため、プロテクタは、例えば長手方向の一端から他端に至る範囲において、カバーと側壁部の端部との間への電線の噛み込みを防止することができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記プロテクタ本体が、合成樹脂製であってもよい。
この構成によれば、プロテクタは、金属製のプロテクタ本体に比べて、連結部の引張強度を小さくできるため、柱状部の分離をより容易にすることができる。
さらに、プロテクタ本体が合成樹脂製のため、プロテクタは、例えば側壁部から分離した柱状部のリサイクルを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、カバーと側壁部の端部との間に電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通できるプロテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】カバーが開放された状態のプロテクタの外観を示す外観斜視図。
図2図1中のA-A矢視断面図。
図3】複数の電線を挿通した状態におけるプロテクタの外観を示す外観斜視図。
図4】電線を挿通した状態におけるプロテクタのA-A矢視断面図。
図5】連結部の外観を示す側面図。
図6】柱状部近傍の外観を平面視で示す平面図。
図7】組付け工程の概略をA-A矢視断面で説明する概略図。
図8】連結部の切断工程の概略をA-A矢視断面で説明する概略図。
図9】別の実施形態における連結部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態のプロテクタ1は、複数本の電線Wを挿通可能な内部空間を備えた閉断面形状のプロテクタである。このようなプロテクタ1について、図1から図8を用いて説明する。
なお、図1はカバー20が開放された状態のプロテクタ1の外観斜視図を示し、図2図1中のA-A矢視断面図を示し、図3は複数の電線Wを挿通した状態におけるプロテクタ1の外観斜視図を示している。
【0042】
さらに、図4は電線Wを挿通した状態におけるプロテクタ1のA-A矢視断面図を示し、図5は連結部15の外観の側面図を示し、図6は柱状部14近傍の外観の平面図を示している。
さらにまた、図中において、図示を明確にするため、電線Wを二点鎖線で図示するとともに、図5中において柱状部14を二点鎖線で図示している。
【0043】
また、図1中の上側をプロテクタ1の上方向、図1中の下側をプロテクタ1の下方向として、図中の矢印Xはプロテクタ1の内部に挿通された電線Wの長手方向に沿った方向(以降、長手方向Xと呼ぶ)を示し、矢印Yは長手方向Xに平面視直交する方向(以降、短手方向Yと呼ぶ)を示している。
【0044】
本実施形態のプロテクタ1は、合成樹脂製であって、図1及び図2に示すように、長手方向Xに延びる断面凹状のプロテクタ本体10と、プロテクタ本体10における上方の開口を閉塞するカバー20と、プロテクタ本体10に対してカバー20を枢動可能に連結するヒンジ部30とを備えている。
【0045】
このプロテクタ1は、図3及び図4に示すように、複数本の電線Wが短手方向Yに並置されたプロテクタ本体10の開口をカバー20で閉塞することで、正面視略矩形の閉断面形状を形成するとともに、閉断面形状の内部空間に収容された複数本の電線Wを保護している。
なお、プロテクタ1は、図3に示すように、粘着テープ2を巻着してプロテクタ本体10にカバー20を固定している。
【0046】
このようなプロテクタ1のプロテクタ本体10は、図1及び図2に示すように、プロテクタ本体10の底部をなす底面部11と、底面部11を挟んで短手方向Yで対向する第1側壁部12及び第2側壁部13とを備えている。
【0047】
さらに、プロテクタ本体10は、図1及び図2に示すように、カバー20が開放された状態において、第2側壁部13に隣接して配置された柱状部14と、柱状部14を第2側壁部13に連結する3つの連結部15とを備えている。
【0048】
詳述すると、プロテクタ本体10の底面部11は、図1及び図4に示すように、複数本の電線Wを並置可能な短手方向Yの長さを有するとともに、長手方向Xに長い平面視略矩形に形成されている。この底面部11は、図1に示すように、長手方向Xの一端側と長手方向Xの他端側とが、上下方向に段付きした段付き形状に形成されている。
【0049】
具体的には、底面部11は、図1及び図5に示すように、長手方向Xの一方から他方へ向けて延設された下段部分11aと、下段部分11aの端部から上方へ向けて起立した起立部分11bと、起立部分11bの上端から長手方向Xの他方へ向けて延設された上段部分11cとで段付き形状に構成されている。
【0050】
なお、底面部11は、図5に示すように、下段部分11a及び上段部分11cが、上下方向に厚みを有する略平板状に形成され、起立部分11bが長手方向Xに厚みを有する略平板状に形成されている。
【0051】
また、プロテクタ本体10の第1側壁部12は、図2に示すように、短手方向Yにおける底面部11の一端から略直角に上方へ向けて立設された略平板状であって、短手方向Yに厚みを有するとともに、底面部11と略同じ長手方向Xの長さを有している。
【0052】
この第1側壁部12は、下端が底面部11に沿った段付き形状に形成され、上端が略水平な端面となるように形成されている。
なお、短手方向Yで対向する第1側壁部12の2つの主面のうち、第2側壁部13に対向する一方の主面を第1側壁部12の内側面とし、内側面に対向する他方の主面を第1側壁部12の外側面とする。
【0053】
また、プロテクタ本体10の第2側壁部13は、図2に示すように、短手方向Yにおける底面部11の他端から略直角に上方へ向けて立設された略平板状であって、短手方向Yに厚みを有するとともに、第1側壁部12と略同じ大きさに形成されている。
【0054】
さらに、第2側壁部13は、第1側壁部12と同様に、下端が底面部11に沿った段付き形状に形成され、上端が略水平な端面となるように形成されている。
なお、短手方向Yで対向する第2側壁部13の2つの主面のうち、第1側壁部12に対向する一方の主面を第2側壁部13の内側面とし、内側面に対向する他方の主面を第2側壁部13の外側面とする。
【0055】
より詳しくは、第2側壁部13は、図1及び図5に示すように、底面部11の下段部分11aから立設された下壁部分13aと、底面部11の起立部分11bに沿って立設された膨出部分13bと、底面部11の上段部分11cから立設された上壁部分13cとで構成されている。
【0056】
下壁部分13a及び上壁部分13cは、長手方向Xに長い側面視略矩形の略平板状であって、下壁部分13aに対して上壁部分13cが上下方向に短い形状に形成されている。なお、下壁部分13aの外側面と上壁部分13cの外側面とは、短手方向Yの同じ位置に位置している。
【0057】
また、膨出部分13bは、図1及び図6に示すように、底面部11の起立部分11bに略同じ長手方向Xの位置において、下壁部分13aと上壁部分13cとの境界を第1側壁部12へ向けて平面視略円弧状に膨出させた形状に形成されている。
【0058】
具体的には、膨出部分13bは、図6に示すように、平面視において、底面部11の下段部分11aと底面部11の上段部分11cとに跨るような半径の平面視略円弧状に形成されている。なお、膨出部分13bは、図5に示すように、第2側壁部13の下端から上端に至る範囲に形成されている。
【0059】
また、プロテクタ本体10の柱状部14は、図1及び図2に示すように、膨出部分13bの外側面よりも小径で上下方向に延びる略円柱状の下柱部分14aと、下柱部分14aから上方向へ延びるとともに、上方向へ向かうほど小径となる略円錐台状の上柱部分14bとで、上下方向に延びる柱状体に形成されている。
【0060】
この柱状部14は、図6に示すように、上下方向に延びる中心軸が、下壁部分13aの外側面及び上壁部分13cの外側面よりも第1側壁部12側に位置し、かつ外周面が、後述するカバー20の切断部22の回動軌跡に重なり合う位置に配置されている。
【0061】
より詳しくは、柱状部14の下柱部分14aは、図2及び図6に示すように、膨出部分13bの外側面に近接して対面配置されるとともに、下端から上方向に所定間隔だけ離間した位置が、第2側壁部13の膨出部分13bに連結されている。
【0062】
つまり、柱状部14は、下端から連結部15との間が第2側壁部13に対向配置されるとともに、上柱部分14bが第2側壁部13の上端よりも上方向に突出した状態で、第2側壁部13の膨出部分13bに連結されている。
【0063】
さらに、柱状部14は、図2及び図4に示すように、連結部15によって膨出部分13bに連結され、カバー20がプロテクタ本体10の開口を閉塞する過程において、プロテクタ本体10から切り離し可能に支持されている。
【0064】
また、プロテクタ本体10の3つの連結部15は、図5及び図6に示すように、それぞれ上下方向の略同じ位置において、柱状部14の下柱部分14aを、第2側壁部13の膨出部分13bに連結している。
なお、3つの連結部15は、平面視において、下壁部分13aの外側面、及び上壁部分13cの外側面から突出しない長さで、膨出部分13bと柱状部14とを連結している。
【0065】
より詳しくは、3つの連結部15は、図2図5、及び図6に示すように、上下方向に厚みを有する薄肉帯状であって、後述するカバー20の切断部22によって切断容易な厚みに形成されている。
【0066】
この3つの連結部15は、図5及び図6に示すように、膨出部分13bの外側面の周方向に所定間隔を隔てた位置において、膨出部分13bから柱状部14へ向けて延設されている。換言すると、3つの連結部15は、平面視において、柱状部14の外周面から膨出部分13bの外側面へ向けて放射線状に配置されている。
【0067】
また、プロテクタ1のカバー20は、図1から図4に示すように、プロテクタ本体10における上方の開口を覆う略平板状のカバー本体21と、プロテクタ本体10の開口の閉塞に伴って、プロテクタ本体10の連結部15を切断する切断部22とで構成されている。
【0068】
なお、カバー20がプロテクタ本体10の開口を閉塞した状態において、プロテクタ本体10の底面部11に対向するカバー本体21の主面を内面とし、カバー本体21の内面に対向する主面をカバー本体21の外面とする。
【0069】
より詳しくは、カバー20のカバー本体21は、図3及び図4に示すように、プロテクタ本体10の開口を閉塞した状態において、上下方向に厚みを有する略平板状に形成されている。このカバー本体21には、プロテクタ本体10の膨出部分13bに重なり合う部分を、膨出部分13bの外側面に沿って略半円状に切り欠いた切欠き部分(符号省略)が設けられている。
【0070】
また、カバー20の切断部22は、図1から図4に示すように、カバー本体21の切欠き部分に沿った略円弧状であって、カバー本体21の内面に突設されている。この切断部22は、プロテクタ本体10の開口を閉塞する過程において、柱状部14及び連結部15にこの順番で接触するように形成されている。
【0071】
具体的には、切断部22は、図4に示すように、カバー本体21の内面から延設された円弧部分22aと、円弧部分22aから延設されたテーパー部分22bとで一体形成されている。
円弧部分22aは、膨出部分13bの外側面よりも小径の外径と、柱状部14の下柱部分14aよりも大径の内径とを有する形状に形成されている。
一方、テーパー部分22bは、円弧部分22aから先端へ向かうほど漸次、先細になるように内周面及び外周面が傾斜したテーパー形状に形成されている。
【0072】
また、プロテクタ1のヒンジ部30は、図2及び図4に示すように、プロテクタ本体10の第1側壁部12よりも薄肉の板状であって、カバー20を、長手方向Xを回転軸とする回転方向へ回転可能な状態でプロテクタ本体10に連結している。
なお、ヒンジ部30は、プロテクタ本体10に略同じ長手方向Xの長さで形成されている。
【0073】
より詳しくは、ヒンジ部30は、図4に示すように、プロテクタ本体10の開口がカバー20で閉塞された状態において、第1側壁部12の外側面の上端から短手方向Yの一方側へ向けて延設された先端を、短手方向Yの他方側へ向けて折り返した形状に形成されている。
【0074】
次に、上述した構成のプロテクタ1に、複数の電線Wを収容して挿通状態となるように組付ける工程について、図7及び図8を用いて説明する。
なお、図7は組付け工程の概略をA-A矢視断面で説明する概略図を示し、図8は連結部15の切断工程の概略をA-A矢視断面で概略図を示している。
【0075】
まず、プロテクタ1が載置される載置台100の一例について説明する。載置台100は、図7に示すように、プロテクタ1の底面部11が当接する面が傾斜した凹溝形状に形成されている。さらに、載置台100には、プロテクタ1の膨出部分13bが嵌合する略半円状の位置決め部101が、第2側壁部13が当接する面に突設されている。
【0076】
このような載置台100に対して、作業者または組立装置は、図7に示すように、カバー20を開いた状態のプロテクタ1を載置する。この際、作業者または組立装置は、柱状部14が下方に位置するように傾けたプロテクタ1を、位置決め部101に嵌合させながら載置台100に載置する。
【0077】
その後、作業者または組立装置は、図7に示すように、プロテクタ本体10の内部に電線Wを収容したのち、ヒンジ部30を中心にカバー20を回動させることで、プロテクタ本体10の開口の閉塞を開始する。
【0078】
プロテクタ本体10の開口の閉塞が開始されると、ヒンジ部30を中心としたカバー20の回動に伴って、カバー20の切断部22が、図8に示すように、柱状部14に接触して、第1側壁部12から第2側壁部13へ向かう短手方向Yへ柱状部14を押圧する。
このため、柱状部14は、連結部15との連結箇所を中心とする回転方向へ回動するように傾倒を開始する。この際、連結部15には、柱状部14の傾倒による荷重が作用する。
【0079】
ヒンジ部30を中心としたカバー20の回動が進行すると、柱状部14は、その下端が第2側壁部13の外側面に接触することで、傾倒が規制された状態となる。
そして、ヒンジ部30を中心としたカバー20の回動がさらに進行すると、切断部22が、柱状部14から連結部15に移動して、連結部15をカバー20の回転方向へ向けて押圧開始する。
【0080】
この際、切断部22からの荷重による連結部15の撓み変形が、傾倒が規制された柱状部14によって抑制されるため、柱状部14の傾倒に伴う荷重、及び切断部22からの荷重が、引張荷重として連結部15に作用する。
【0081】
この引張荷重により連結部15が切断されることで、プロテクタ1は、プロテクタ本体10から柱状部14を分離させる。なお、分離した柱状部14は、所定の回収箱に落下し、リサイクルされる。
【0082】
柱状部14がプロテクタ本体10から分離すると、プロテクタ本体10の開口がカバー20によって閉塞されるため、作業者または組立装置は、粘着テープ2をプロテクタ1に巻着して、プロテクタ本体10に対してカバー20を固定する。
このようにして、作業者または組立装置は、プロテクタ1の内部に電線Wを挿入するとともに、プロテクタ本体10にカバー20を固定する。
【0083】
以上のように、本実施形態のプロテクタ1は、底面部11及び対向する一対の側壁部(第1側壁部12、第2側壁部13)を有する断面凹状のプロテクタ本体10と、底面部11に対向するプロテクタ本体10の開口を閉塞するカバー20とが備えられ、内部を挿通する電線Wを保護するものである。
【0084】
さらに、プロテクタ本体10が、上方向に延びる略柱状で、第2側壁部13の外側面に隣接して配置された柱状部14と、柱状部14を第2側壁部13の外側面に切断容易な厚みで連結する薄肉帯状の連結部15とを備えたものである。
そして、柱状部14が、第2側壁部13の上端に対して上方向に突出した状態で、第2側壁部13に連結されたものである。
【0085】
この構成によれば、プロテクタ1は、カバー20と第2側壁部13の上端との間に電線Wを挟み込むことなく、内部に電線Wを挿通することができる。
具体的には、第2側壁部13の上端に対して柱状部14が上方向に突出しているため、柱状部14は、プロテクタ本体10の内部に配置された電線Wが、第2側壁部13の上端に乗り上げて、プロテクタ本体10の外部へ飛び出すことを阻止できる。
【0086】
このため、プロテクタ本体10の開口をカバー20で閉塞する際、プロテクタ1は、第2側壁部13の上端とカバー20との間に電線Wが挟まれることを、柱状部14によって防止することができる。
さらに、カバー20の切断部22がプロテクタ本体10の開口の閉塞に伴って連結部15を切断するため、プロテクタ1は、第2側壁部13から柱状部14を容易に分離することができる。
【0087】
このため、プロテクタ1は、柱状部14及び連結部15が、プロテクタ本体10の開口の閉塞を阻害することがない。
よって、プロテクタ1は、カバー20と第2側壁部13の上端との間に電線Wを挟み込むことなく、内部に電線Wを挿通させることができる。
【0088】
また、プロテクタ1は、カバー20に、プロテクタ本体10の開口の閉塞に伴って連結部15を切断する切断部22が備えられたものである。
この構成によれば、プロテクタ本体10の開口の閉塞に伴って、カバー20の切断部22が連結部15を切断するため、プロテクタ1は、作業者が素手で連結部15を切断する場合に比べて、柱状部14を効率よく分離することができる。
【0089】
さらに、プロテクタ1は、柱状部14の分離と、プロテクタ本体10の開口の閉塞とをこの順番で連続して行うことができる。このため、プロテクタ1は、第2側壁部13の上端への電線Wの乗り上げを阻止しながら、プロテクタ本体10の内部に電線Wを効率よく挿通することができる。
【0090】
また、切断部22が、カバー20の主面に対して突出するとともに、先端に向かうほど先細のテーパー状に形成されたものである。
この構成によれば、切断部22は、先端が先細でない切断部に比べて、連結部15をより容易に切断することができる。このため、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の開口の閉塞に伴って、柱状部14を確実に分離することができる。
【0091】
また、柱状部14は、下端から上方向に所定間隔だけ離間した位置が連結部15によって第2側壁部13に連結されるとともに、少なくとも下端から連結部15との間が第2側壁部13の外側面に対向配置された構成である。
【0092】
この構成によれば、柱状部14が下端から上方向に離間した位置で第2側壁部13に連結されているため、連結部15が切断部22からの荷重によって撓み変形した際、プロテクタ1は、柱状部14の下端を第2側壁部13に当接させることができる。
【0093】
この際、プロテクタ1は、切断部22からの荷重による連結部15の撓み変形を、柱状部14と第2側壁部13との接触によって抑えられることができる。
これにより、プロテクタ1は、切断部22からの荷重を引張荷重として連結部15に効率よく作用させることができる。このため、プロテクタ1は、柱状部14が第2側壁部13に当接しない場合に比べて、連結部15をより確実に切断することができる。
【0094】
また、プロテクタ1は、第1側壁部12とカバー20とを枢動可能に連結するヒンジ部30が設けられたものである。そして、柱状部14が、第2側壁部13に連結されたものである。
この構成によれば、プロテクタ1は、連結部15及び柱状部14を第1側壁部12に設けることを不要にできるとともに、電線Wが第1側壁部12の上端に乗り上げることをヒンジ部30によって阻止できる。
【0095】
さらに、プロテクタ1は、第1側壁部12及び第2側壁部13の双方に柱状部14を設けた場合に比べて、分離される柱状部14の数量を軽減することができる。このため、例えば分離した柱状部14を破棄する場合、プロテクタ1は、破棄物の削減を図ることができる。
【0096】
加えて、プロテクタ本体10とカバー20とがヒンジ部30で連結されているため、プロテクタ1は、ヒンジ部30を中心にカバー20を回動させるだけで、連結部15を切断することができる。
【0097】
これにより、プロテクタ1は、切断部22と連結部15との位置合わせを不要にできるとともに、連結部15の切断とプロテクタ本体10の開口の閉塞とをこの順番で効率よく行うことができる。
よって、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の内部に電線Wを効率よく挿通することができる。
【0098】
また、柱状部14が、ヒンジ部30を中心とした切断部22の回動軌跡と交差する位置に配置されたものである。
この構成によれば、ヒンジ部30を中心とするカバー20の回動に伴って、切断部22が柱状部14を第2側壁部13から離間する方向へ押圧するため、プロテクタ1は、切断部22との接触による荷重と、切断部22によって押圧された柱状部14からの荷重とを、引張荷重として連結部15に作用させることができる。
【0099】
このため、プロテクタ1は、切断部22の回動軌跡と柱状部14とが交差しない場合に比べて、連結部15に作用する引張荷重を大きくすることができる。このため、プロテクタ1は、例えば切断部22の先端を鋭利な形状にすることなく、連結部15を効率よく切断することができる。
【0100】
また、プロテクタ本体10は、柱状部14が連結される第2側壁部13に、第1側壁部12へ向けて膨出した膨出部分13bが設けられたものである。そして、連結部15が、上方向から見て下壁部分13aの外側面、及び上壁部分13cの外側面から突出しない長さで、膨出部分13bと柱状部14とを連結する構成である。
【0101】
この構成によれば、第2側壁部13の膨出部分13bにより、プロテクタ1は、膨出部分13bを設けた第2側壁部13から電線Wを離間させることができる。このため、プロテクタ1は、膨出部分13bを設けた第2側壁部13の上端に電線Wが乗り上げることを阻止できる。
【0102】
さらに、連結部15が下壁部分13aの外側面、及び上壁部分13cの外側面から突出しない長さで柱状部14と膨出部分13bとを連結しているため、プロテクタ1は、柱状部14が分離した際、プロテクタ本体10に残る連結部15のバリが、膨出部分13bから突出することを防止できる。このため、プロテクタ1は、連結部15のバリによる意図しない不具合を防止することができる。
【0103】
また、膨出部分13bが、第2側壁部13の下端から上端に至る上下方向の範囲に形成されたものである。
この構成によれば、プロテクタ1は、膨出部分13bの上部を、柱状部14分が配置される部分として利用し、膨出部分13bの下部を、載置台100にプロテクタ本体10を載置する際の位置決め部として有効利用することができる。
【0104】
また、プロテクタ1は、底面部11が、上下方向の位置を異ならせる起立部分11bを有する形状に形成され、柱状部14が、起立部分11bに略同じ長手方向Xの位置に配置されたものである。
【0105】
この構成によれば、プロテクタ1は、長手方向Xの一端側での電線Wの位置と、長手方向Xの他端側での電線Wの位置とを、底面部11の起立部分11bによって上下方向に異ならせることができる。
【0106】
このため、プロテクタ1は、所望される配策方向が上下方向に変化する電線Wを容易に保護することができる。
ところで、カバー20が開放された状態において、電線Wは、底面部11の起立部分11bよって配索方向が変更され、第2側壁部13の上端よりも上方向に突出し易くなる。
【0107】
そこで、起立部分11bに略同じ長手方向Xの位置に柱状部14を配置したことにより、プロテクタ1は、第2側壁部13の上端よりも上方向に突出した電線Wが、第2側壁部13の上端に乗り上げることを柱状部14によって阻止することができる。
これにより、プロテクタ1は、底面部11に起立部分11bを有する場合でも、カバー20と第2側壁部13の上端との間への電線Wの噛み込みを防止することができる。
【0108】
また、プロテクタ本体10が、合成樹脂製である。
この構成によれば、プロテクタ1は、金属製のプロテクタ本体10に比べて、連結部15の引張強度を小さくできるため、柱状部14の分離をより容易にすることができる。
さらに、プロテクタ本体10が合成樹脂製のため、プロテクタ1は、例えば第2側壁部13から分離した柱状部14のリサイクルを容易にすることができる。
【0109】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の一対の側壁部は、実施形態の第1側壁部12及び第2側壁部13に対応し、
以下同様に、
開口方向は、上方向に対応し、
柱状部の基端は、柱状部14の下端に対応し、
枢動部は、ヒンジ部30に対応し、
段付き部分は、起立部分11bに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0110】
例えば上述した実施形態において、プロテクタ1の内部に複数の電線Wを挿通したが、これに限定せず、複数の電線Wを束ねたワイヤーハーネスをプロテクタ1の内部に挿通してもよい。あるいは、複数の電線と複数のワイヤーハーネスとをプロテクタ1の内部に挿通してもよい。
また、合成樹脂製のプロテクタ1としたが、これに限定せず、金属製のプロテクタであってもよい。
【0111】
また、粘着テープ2を巻着してプロテクタ本体10にカバー20を固定したが、これに限定せず、例えば結束バンドを用いてプロテクタ本体10にカバー20を固定してもよい。
あるいは、プロテクタ本体10にカバー20が係止されることで、プロテクタ本体10にカバー20が固定される構成であってもよい。
【0112】
さらに、プロテクタ本体10にカバー20が係止される構成の場合、柱状部14の分離、プロテクタ本体10の開口の閉塞、及びカバー20の固定をこの順番で連続して行うことができるため、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の内部に電線Wをさらに効率よく挿通することができる。
【0113】
また、プロテクタ本体10の底面部11が、起立部分11bによって段付き形状に形成された構成としたが、これに限定せず、プロテクタ本体10の底面部11が、略平坦な面で構成されてもよい。
【0114】
また、プロテクタ本体10とカバー20とがヒンジ部30を介して連結されたプロテクタ1としたが、これに限定せず、プロテクタ本体10とカバー20とが別体のプロテクタであってもよい。この際、プロテクタ本体10が合成樹脂製で、カバー20が金属製であってもよい。
さらに、プロテクタ本体10とカバー20とが別体の場合、プロテクタ本体10は、第1側壁部12及び第2側壁部13の双方に柱状部14が連結された構成、あるいは第1側壁部12及び第2側壁部13のいずれか一方に柱状部14が連結された構成とする。
【0115】
また、プロテクタ本体10の膨出部分13bを平面視略円弧状としたが、これに限定せず、平面視略長楕円弧の膨出部分、あるいは平面視略凹溝形状の膨出部分などであってもよい。この際、カバー20の切断部は、プロテクタ本体10の膨出部分に応じた形状に形成する。
【0116】
また、プロテクタ本体10の第2側壁部13は、膨出部分13bが設けられた形状に限定せず、膨出部分13bが設けられていない形状であってもよい。この場合、柱状部14は、連結部15を介して第2側壁部13の外側面に直接的に連結する。
【0117】
また、長手方向Xの略同じ位置に柱状部14と膨出部分13bとを設けたが、これに限定せず、柱状部14と膨出部分13bとが長手方向Xの異なる位置に設けられてもよい。
また、膨出部分13bが第2側壁部の下端から上端に至る範囲に形成された構成としたが、これに限定せず、柱状部14と対向する上下方向の範囲に膨出部分13bが形成された構成であってもよい。
【0118】
また、薄肉板状のヒンジ部30としたが、これに限定せず、長手方向Xに延びる軸部と、軸部が挿通される軸筒とで構成されたヒンジ部であってもよい。
また、プロテクタ本体10の柱状部14を略円柱状としたが、これに限定せず、上下方向に延びる柱状体であれば、略筒状の柱状部、略三角柱状の柱状部、あるいは略多角柱状の柱状部であってもよい。
【0119】
また、カバー20に連結部15を切断する切断部22を備えた構成としたが、これに限定せず、カバー20に切断部22が設けられていない構成であってもよい。この場合、連結部15は、例えば作業者が素手で切断可能な肉厚の帯状に形成する。
あるいは、プロテクタ本体10の第2側壁部13の外側面に重なり合うように、カバー本体21の縁端から下方へ向けて延設した延設部をカバー20に設け、カバー20の延設部の端部で、プロテクタ本体10の連結部15を切断する構成であってもよい。
【0120】
また、1つの柱状部14が連結されたプロテクタ本体10としたが、これに限定せず、柱状部14及び連結部15が、長手方向Xに所定間隔を隔てて複数設けられたプロテクタ本体であってもよい。
【0121】
この構成によれば、プロテクタ1は、電線Wが第2側壁部13の上端に乗り上げることを、複数の柱状部14によって阻止することができる。このため、プロテクタ1は、例えば長手方向Xの一端から他端に至る範囲において、カバー20と第2側壁部13の上端との間への電線Wの噛み込みを防止することができる。
【0122】
また、3つの連結部15が上下方向の略同じ位置に形成された構成としたが、これに限定せず、複数の連結部15が、上下方向にオフセットして形成された構成であってもよい。
例えば、別の実施形態における連結部15の側面図を示す図9のように、3つの連結部15が、側面視において、上下方向に所定間隔を隔てて形成された構成であってもよい。
【0123】
より詳しくは、3つの連結部15のうち、1つ目の連結部15が最も上方に形成され、2つ目の連結部15が、1つ目の連結部15に対して、下方の所定間隔を隔てるとともに、膨出部分13bの外周面の周方向にオフセットした位置に形成されている。
【0124】
さらに、3つの連結部15のうち、3つ目の連結部15が、2つ目の連結部15に対して、下方の所定間隔を隔てるとともに、膨出部分13bの外周面の周方向にオフセットした位置に形成されている。
【0125】
この構成によれば、1つ目の連結部15、2つ目の連結部15、3つ目の連結部15の順番に切断されるため、柱状部14は、連結部15の切断に伴って所定方向へ向けて傾倒することになる。換言すると、プロテクタ1は、柱状部14が傾倒する方向を、複数の連結部15によって制御することができる。
【0126】
これにより、プロテクタ1は、所望される方向へ向けて柱状部14を分離することができる。このため、プロテクタ1は、例えば所望される方向に配置した回収箱への柱状部14の投入を容易にして、分離した柱状部14の回収作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0127】
1…プロテクタ
10…プロテクタ本体
11…底面部
11b…起立部分
12…第1側壁部
13…第2側壁部
13b…膨出部分
14…柱状部
15…連結部
20…カバー
22…切断部
30…ヒンジ部
W…電線
X…長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9