(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104718
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】挽肉含有ソースの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20230721BHJP
【FI】
A23L23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005879
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知佳子
(72)【発明者】
【氏名】菅野 明彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 知之
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LF03
4B036LH38
4B036LP01
(57)【要約】
【課題】挽肉が粒状に分散しており、喫食した際の粒状感、挽肉とソースとのバランスに優れた挽肉含有ソースを提供すること。
【解決手段】本発明の挽肉含有ソースの製造方法は、調温工程、加熱工程及び温度維持工程を有する。前記調温工程では、挽肉の品温を-5~8℃、水性液体の品温を75~90℃に調整する。前記調温工程の後に実施される前記加熱工程では、前記挽肉と前記水性液体とを混合して混合物を得、該混合物の品温を70~80℃から選択される所定の目標品温に調整する。前記温度維持工程では、前記目標品温を3分間以上維持する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挽肉の品温を-5~8℃、水性液体の品温を75~90℃に調整する調温工程と、
前記調温工程の後に、前記挽肉と前記水性液体とを混合して混合物を得、該混合物の品温を70~80℃から選択される所定の目標品温に調整する加熱工程と、
前記目標品温を3分間以上維持する温度維持工程と、を有する挽肉含有ソースの製造方法。
【請求項2】
前記混合物を得るための前記挽肉と前記水性液体との混合質量比が、挽肉:水性液体として1:19~1:1である、請求項1に記載の挽肉含有ソースの製造方法。
【請求項3】
前記温度維持工程の後に、前記混合物の品温を90℃以上に調整する追加加熱工程を有する、請求項1又は2に記載の挽肉含有ソースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の挽肉を含有する挽肉含有ソースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
挽肉は、塊肉をミンチ状に加工した食材であり、その主な喫食方法として、ハンバーグのように、挽肉を塊状に成型したものを食する方法と、そぼろのように、挽肉をばらばらの粒状にしたものを食する方法とがある。後者の喫食方法に対応した食品として従来、常温常圧で固形の粒状肉と流動性を有するソースとが一体となった挽肉含有ソースが知られており、具体例として、パスタ料理等に使用されるミートソース(ボロネーゼソース)が挙げられる。
【0003】
鶏挽肉は、それ単体でボイルするとそぼろ状にくずれず、団子状にブロック化してしまうという問題がある。特許文献1には、この問題を解決し得る鶏挽肉加熱加工品の製造方法として、生の鶏挽肉を液中に分散させてから70~100℃のボイル処理を施す工程を有するものが記載されている。また特許文献2には、鶏挽肉を配合したミートソースであるにも拘らず、こってりとしたミートソース特有の濃厚な食味が得られるミートソースの製造方法として、鶏挽肉及びエキス類を含有する混合物を60℃以上で加熱する含浸工程と、該含浸工程により得られた含浸混合物とその他のミートソース原料とを混合して加熱する工程を有するものが記載されている。また特許文献3には、大量調理においても肉の好ましい香りを有する挽肉含有ソースの製造方法として、挽肉をオーブンで品温が特定温度になるまで焼成し、その焼成物と別途ソテーした香味野菜及び水とを混合し加熱する工程を有するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-73616号公報
【特許文献2】特開2017-85981号公報
【特許文献3】特開2014-113076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
挽肉含有ソースとしては、含有されている粒状の挽肉が個々ばらばらに分散して存在し、喫食した際に挽肉の粒状感を味わうことができ、団粒した挽肉に特有の不快な臭みが無く、挽肉とソース(挽肉含有ソースにおける喫食時に流動性を有する部分)とのバランスに優れたものが望まれる。したがって、挽肉含有ソースの製造においては、挽肉をばらばらの状態で調理し、挽肉が団粒して比較的大きな塊を形成しないようにすることが重要なポイントの1つになる。一般に、塊肉をミンチ状に加工すると肉に粘りが生じるため、そうして得られた挽肉は、粒状の挽肉どうしが団粒した状態となっている。特許文献2、3に記載の挽肉含有ソースの製造方法では、このような団粒状態の挽肉をそのまま加熱調理に供するため、加熱調理中は挽肉を根気よく攪拌してばらばらにする作業が必要となり、しかもせっかく攪拌作業をしても攪拌不十分で望ましい挽肉含有ソースが得られない場合もある。
【0006】
本発明の課題は、挽肉が粒状に分散しており、喫食した際の粒状感、挽肉とソースとのバランスに優れた挽肉含有ソースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、挽肉の品温を-5~8℃、水性液体の品温を75~90℃に調整する調温工程と、前記調温工程の後に、前記挽肉と前記水性液体とを混合して混合物を得、該混合物の品温を70~80℃から選択される所定の目標品温に調整する加熱工程と、前記目標品温を3分間以上維持する温度維持工程と、を有する挽肉含有ソースの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、挽肉が粒状に分散しており、喫食した際の粒状感、挽肉とソースとのバランスに優れた挽肉含有ソースが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の挽肉含有ソースの製造方法は、挽肉及び水性液体それぞれの品温を個別に特定範囲に調整する工程(調温工程)と、調温済みの挽肉と水性液体とを混合して品温が特定範囲にある混合物を得る工程(加熱工程)と、該混合物の品温を所定時間維持する工程(温度維持工程)とを有する。
【0010】
本発明で用いる挽肉としては、塊状の原料肉を細かく挽いたものを特に制限なく用いることができる。前記原料肉の種類は特に制限されず、通常の挽肉の原料として使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、牛、豚、羊、猪、鶏、鴨等の食用肉が挙げられる。挽肉の製造方法も特に制限されず、公知の挽肉機を用いて常法に従って製造されたものを用いることができ、細挽き、粗挽きのいずれでもよい。また本発明では、1種類の挽肉を単独で使用してもよく、合い挽肉のように、2種類以上の挽肉を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
本発明で用いる挽肉は、加熱処理、燻煙処理等の加工処理が施されていてもよいが、本発明の所定効果を一層確実に奏させるようにする観点から、実質的に加工処理が施されていない生挽肉が好ましい。ここで言う「生挽肉」には、殺菌等を目的とした限定的な加熱処理が施されたものが含まれる。前記「限定的な加熱処理」は、典型的には、肉の加工段階や流通段階上の都合により行われるもので、例えば、枝肉の表面のみを対象とした高温蒸気又は高温空気による加熱処理(殺菌処理)が挙げられる。本発明では、挽肉の全質量の90質量%までが品温40℃以上に加熱されていなければ、当該挽肉を生挽肉として扱う。
【0012】
本発明で用いる水性液体は、前記調温工程で常温以下に調温された挽肉を前記加熱工程で特定温度に加熱するためのもので、挽肉の加熱媒体(煮込み液)としての役割を担う。また、本発明で用いる水性液体は、本発明の製造方法の製造目的物である挽肉含有ソースの一部として用いることもでき、挽肉含有ソースにおける挽肉以外の全成分を含有するものであり得る。なお、本明細書において、「常温」は25℃、「常圧」は1気圧を指す。
【0013】
本発明で用いる水性液体としては、飲料水を用いることができ、具体的には例えば、清水、水道水、井戸水、酸性水、アルカリ水を例示できる。
本発明で用いる水性液体は、水及び挽肉以外の他の成分を含んでいてもよい。前記他の成分は、挽肉以外の具材と、具材以外のソース成分とに大別でき、何れもソースに通常用いられている各種食材を特に制限無く用いることができる。前記ソース成分は、挽肉含有ソースにおける、喫食時に流動性を有する部分(ソース部)の含有成分を指す。
【0014】
前記具材としては、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類;ヒラメ、カニ、エビ等の魚介類;タラコ等の魚卵類;トマト、タマネギ、ニンジン等の野菜類;マッシュルーム等のキノコ類が挙げられ、これらの1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。水性液体における前記具材の含有量は、該水性液体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは5~30質量%である。水性液体に挽肉以外の具材が含まれていると、該水性液体と挽肉とを混合した際に、該水性液体中の具材と該挽肉とが物理的に衝突する等して、該挽肉の分散性が向上し、本発明の所定の効果が一層確実に奏され得る。
【0015】
前記ソース成分としては、例えば、未加工の澱粉類;食塩、グルタミン酸ナトリウム等の調味料;動植物エキス;牛乳、生クリーム、バター、チーズ等の乳製品;水飴、デキストリン、還元デキストリン、サイクロデキストリン、ソルビトール、トレハロース等の糖類;卵黄、卵白等の卵類;食酢、クエン酸等の有機酸又はその塩;アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤;着色料;香料;甘味料;保存料;動物性又は植物性油脂;果実酒等の酒類が挙げられ、これらの1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることできる。水性液体における前記ソース成分の含有量は、該水性液体の全質量に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
【0016】
前記調温工程では、挽肉の品温を-5~8℃、好ましくは-3~5℃に調整するとともに、水性液体の品温を75~90℃、好ましくは78~85℃に調整する。挽肉と水性液体とを混合する前に、それぞれ個別に品温を前記特定範囲に調整することで、前記調温工程に続いて実施される前記加熱工程で粒状の挽肉どうしが団粒して塊を形成することが抑制され、本発明の所定の効果が奏され得る。
前記調温工程における「挽肉の品温」は、挽肉の表面温度を指し、該調温工程を経た挽肉がブロック状の場合は、その挽肉ブロックの表面温度を指す。
挽肉及び水性液体は、それぞれ、前記加熱工程の直前の時点で品温が前記特定範囲になっていればよく、該特定範囲の品温が維持される時間は特に制限されないが、挽肉については、前記調温工程による効果を一層確実に奏させるようにするとともに、該時間が長すぎることによる鮮度低下を防止する観点から、該調温工程で調温された挽肉の品温の維持時間は、1~24時間程度が好ましい。
挽肉及び水性液体の調温方法は特に制限されず、公知の方法を適用することができる。挽肉の品温を前記特定範囲に調整する方法としては、例えば、冷蔵庫、チルド保温庫等の冷却装置を用い、雰囲気温度が-5~8℃又はこれに近い温度帯にある環境下に挽肉を1~24時間保管する方法を例示できる。また、水性液体の品温を前記特定範囲に調整する方法としては、例えば、水性液体を鍋等の容器に入れて、ガスコンロ、電気コンロ、電気ヒーター等の加熱手段を用いて加熱する方法を例示できる。
【0017】
前記加熱工程では、前記調温工程で品温調整済みの挽肉と水性液体とを混合して混合物を得、該混合物の品温を70~80℃から選択される所定の目標品温に調整する。前記混合物の品温を前記目標品温に調整することで、該混合物に含まれる挽肉をはじめとする各成分の品温も該目標品温に調整される。そして挽肉は、前記加熱工程に供される直前の品温が-5~8℃であるので、該加熱工程で品温が75~90℃の水性液体と混合するだけで加熱されることになり、挽肉の品温が上昇する。
前記目標品温は、例えば75℃のように「点」で定めてもよく、あるいは例えば73~76℃のように「範囲」で定めてもよい。
混合前の挽肉及び水性液体それぞれの品温、量などを予め調整しておくことで、挽肉と水性液体とを混合するだけの操作で前記加熱工程を完了させることも可能であるが、挽肉の品温を精度よく確実に所定の目標品温に調整する観点から、挽肉と水性液体とを混合する操作に加えて、その混合物を加熱手段により加熱し、必要に応じ冷却することが好ましい。前記加熱手段は特に制限されず、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、電気ヒーターが挙げられる。前記混合物の冷却方法の一例として、該混合物が入った鍋等の容器を冷蔵庫等の冷蔵環境に保管する方法が挙げられる。前記混合物の冷却方法の他の一例として、該混合物が入った鍋等の容器を、該容器の外側に配置され且つ冷却媒体が循環する冷却ジャケットで冷却する方法が挙げられる。
【0018】
前記混合物を得るための挽肉と水性液体との混合質量比は、特に制限されないが、挽肉:水性液体として、好ましくは1:19~1:1、より好ましくは1:9~1:2である。挽肉と水性液体との量的関係をこのように調整することで、両者を混合した際の温度変化が少なくなるため、温度変化に起因する挽肉へのダメージを抑えることができ、挽肉の品温を無理なく70~80℃に調整することが可能となる。
【0019】
前記加熱工程において、挽肉と水性液体との混合時から該挽肉の品温が所定の目標品温に達するまでの時間(目標品温到達時間)は特に制限されないが、目標品温到達時間が短すぎると、挽肉が団粒して塊を形成するおそれがあり、目標品温到達時間が長すぎると、挽肉が細かく分散しすぎて挽肉含有ソースの粒状感が低減するおそれがある。このようなことを考慮すると、目標品温到達時間は、2分間以上が好ましく、3分間以上がより好ましい。また、10分間以内が好ましく、8分間以内がより好ましい。
【0020】
前記温度維持工程では、前記加熱工程で得られた混合物の品温(70~80℃の範囲の目標品温)を3分間以上維持する。すなわち、前記加熱工程で達成した混合物の目標品温を維持する時間(温度維持時間)は3分間以上であることを要する。これにより、粒状の挽肉どうしが団粒して塊を形成することが抑制され、本発明の所定の効果が奏され得る。
前記温度維持時間は、好ましくは3~15分間、より好ましくは3~8分間である。前記温度維持時間が3分間未満では本発明の所定の効果が奏されず、逆に長すぎると、挽肉に火が通り過ぎてしまい、挽肉に水分がなくなり、挽肉の食味が悪化するおそれがある。
前記混合物の品温の維持方法は特に制限されず、前記加熱工程で使用可能な各種の温度調整手段(加熱手段、冷却手段)を用いて常法に従って行うことができる。
【0021】
本発明の挽肉含有ソースの製造方法は、前記温度維持工程の後に、前記混合物の品温を90℃以上に調整する追加加熱工程を有していてもよい。前記追加加熱工程を実施することで、挽肉が団粒して塊を形成する不都合が一層確実に防止され得る。前記追加加熱工程は、ガスコンロ、電気コンロ、電気ヒーター等の加熱手段を用いて常法に従って前記混合物を加熱することで実施できる。前記追加加熱工程で調整する前記混合物の品温は、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上である。
また、前記追加加熱工程において前記混合物の品温90℃以上を維持する時間は特に制限されないが、該追加加熱工程による効果を一層確実に奏させるようにする観点から、該品温が90℃以上105℃未満の場合は30~180分間、該品温が105℃以上115℃未満の場合は20~130分間、該品温が115℃以上130℃未満の場合は20~80分間とすることが好ましい。
【0022】
前記追加加熱工程は、前記混合物を一旦冷却してから、すなわち前記混合物の品温を前記温度維持工程で維持していた品温(前記加熱工程における目標品温)未満にしてから実施してもよく、あるいは前記温度維持工程で維持していた品温未満にしないように、該温度維持工程に続けて実施してもよい。前者の場合、前記温度維持工程と前記追加加熱工程との時間間隔は特に制限されず、例えば、数分間、数時間又は数日間であり得る。
また、前記追加加熱工程は、前記温度維持工程の後に実施することを前提として、該追加加熱工程の後に他の工程(例えば、前記混合物に挽肉含有ソースの残りの原料を投入して加熱する工程)を実施してもよく、本発明の挽肉含有ソースの製造方法の最終工程として実施してもよい。挽肉の団粒を効果的に抑制する観点から、前記追加加熱工程は、本発明の挽肉含有ソースの製造方法の最終工程として実施することが好ましい。
【0023】
前記追加加熱工程は、加熱殺菌工程を兼ねていてもよい。すなわち前記追加加熱工程は、挽肉の団粒抑制及び殺菌の双方の目的で実施され得る。この場合、例えば、前記温度維持工程を経た前記混合物を耐圧性のレトルト容器に充填後密封して、該レトルト容器を該混合物の品温が90℃以上になるように加熱(レトルト加熱)すればよく、斯かるレトルト加熱が前記追加加熱工程である。斯かるレトルト加熱を経て得られた挽肉含有ソースは、長期保存が可能なレトルトソースとなり得る。
【0024】
前述した各工程を経て製造された、挽肉及び水性液体を含む混合物は、そのまま製造目的物である挽肉含有ソースとして使用することもできるし、該混合物に原料を添加し、必要に応じて加熱するなどして、製造目的物である挽肉含有ソースとしてもよい。また、前記混合物から挽肉のみを取り出して、別途用意した原料(挽肉以外の具材、ソース成分等)とともに常法に従って挽肉含有ソースを製造してもよい。
本発明の製造方法によって製造された挽肉含有ソースにおいては、最大差し渡し長さが好ましくは0.5~1.5cm程度の粒状の挽肉が分散しており、最大差し渡し長さが2cm以上の団粒状挽肉が実質的に存在しないため、該挽肉含有ソースは、喫食した際の粒状感、挽肉とソースとのバランスに優れ、該団粒状挽肉の臭みを知覚し難い。
【0025】
本発明が適用可能な挽肉含有ソースの種類は特に制限されず、例えば、ミートソース、ボロネーゼソース、サルサソース、カレーソース、デミグラスソース、そぼろソース、あんかけソース(例えば、麻婆あん、挽肉あん)を例示できる。
【実施例0026】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1~3:ミートソースの製造〕
以下の手順で挽肉含有ソースの一種であるミートソースを製造した。
100gの生挽肉(牛肉の粗挽き肉)を縦5cm、横5cm、厚さ2cmの直方体形状に成形し、これを樹脂製フィルムで包装して庫内温度2℃の冷蔵庫に24時間保管し、挽肉ブロックを製造した。また別途、下記表1の組成の水性液体300gを鍋に入れ、該鍋を電磁調理器(加熱手段)で加熱して、該水性液体の品温を82℃に調整した(以上、調温工程)。次いで、前記鍋の内容物に前記挽肉ブロックを1個投入し、該挽肉ブロックを軽くしゃもじで崩しながら前記電磁調理器で加熱して、該挽肉ブロックの投入時点から5分後に該内容物(挽肉と水性液体との混合物)の品温(表1の「混合物の目標品温」)が75℃となるように、すなわち目標品温の到達時間が5分間となるようにした(以上、加熱工程)。次いで、前記電磁調理器を適宜用いて、前記混合物の品温(目標品温と同じ温度)を5分間維持した(以上、温度維持工程)。前記温度維持工程では、1分に1回、しゃもじで静かに前記鍋の内容物の全体をかき混ぜた。前記温度維持工程の終了後、前記鍋の内容物をざるに通して、挽肉のみを取り出した。
以上の工程を経て得られた挽肉(加熱処理済み挽肉)100gを、下記方法により製造した品温85℃のトマトソース200gに加え、該トマトソース全体をしゃもじで静かに1回かき混ぜて、目的のミートソースを製造した。
【0028】
(トマトソースの製造方法)
フライパンに、サラダ油、にんにくのかけらを順次投入し、強火で2分間炒めた後、該フライパンに、みじん切りにした玉ねぎ、人参、セロリを投入し、焦がさないように弱火で10分間加熱した。ここに、コンソメスープ、ローリエの葉及び缶入りのホールトマトを投入し、しゃもじで該トマトをつぶしながら弱火で10分間煮込み、塩、胡椒、砂糖で味付けした後、汁気がなくなるまで軽く煮込むことで、目的のトマトソースを製造した。
【0029】
〔比較例1~4:ミートソースの製造〕
以下の点以外は実施例1と同様にしてミートソースを製造した。
比較例1では、前記調温工程において、挽肉及び水性液体を雰囲気温度25℃の環境に所定時間静置することでこれらの品温を25℃に調整した。
比較例2では、前記調温工程において、水性液体を雰囲気温度25℃の環境に所定時間静置することでその品温を25℃に調整した。また比較例3では、前記調温工程において、挽肉を雰囲気温度25℃の環境に所定時間静置することでその品温を25℃に調整した。そして比較例2、3では、前記温度維持工程を実施せず、前記加熱工程で挽肉の品温が所望の温度(95℃)に達した時点で前記鍋から加熱処理済み挽肉を取り出した。
比較例4では、前記温度維持工程を実施せず、前記加熱工程で挽肉の品温が所望の温度(75℃)に達した時点で前記鍋から加熱処理済み挽肉を取り出した。
【0030】
〔実施例4~11、比較例5~8:ミートソースの製造〕
前記調温工程において、挽肉の品温を下記表2のように変更するか、又は水性液体の品温を下記表3のように変更した以外は、実施例1と同様にしてミートソースを製造した。
【0031】
〔実施例12~17:ミートソースの製造〕
実施例1と同様に製造したミートソースを、製造後速やかに耐熱性のアルミパウチ袋(レトルト容器)に100g充填し、脱気して密封した。このパウチ袋をオートクレーブ装置に入れて、該パウチ袋内のミートソース(挽肉と水性液体との混合物)の品温が所定の目標品温で所定時間維持されるように、該パウチ袋を加熱した(追加加熱工程)。以上の点以外は実施例1と同様にしてミートソースを製造した。
【0032】
〔試験例〕
各実施例及び比較例で製造されたミートソース(挽肉含有ソース)について、品温を60℃に調整したものを10名の専門パネラーに食してもらい、下記評価基準により挽肉の状態をそれぞれ評価してもらった。その結果を10名の評価点の平均値として下記表1~4に示す。
【0033】
<挽肉の評価基準>
5点:挽肉が全て粒状に分散しており、挽肉とソース(挽肉含有ソースにおける喫食時に流動性を有する部分)とのバランスが非常に優れていて、極めて良好。
4点:挽肉がほぼ全て粒状に分散しており、挽肉とソースとのバランスが優れていて、良好。
3点:挽肉含有ソースに含まれる全挽肉の5質量%未満が団粒状挽肉であるが、挽肉が概ね粒状に分散しており、挽肉とソースとのバランスがあり、やや良好。
2点:挽肉含有ソースに含まれる全挽肉の5質量%以上20質量%未満が団粒状挽肉であり、肉の臭みがやや感じられ、不良。
1点:挽肉含有ソースに含まれる全挽肉の20質量%以上が団粒状挽肉であり、肉の臭みが感じられ、極めて不良。
なお、前記「団粒状挽肉」とは、最大差し渡し長さが2cm以上の挽肉を指す。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】