(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105336
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】基板搬送方法、基板処理装置、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006084
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】宮本 松太郎
(72)【発明者】
【氏名】小菅 隆一
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 真澄
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA33
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA12
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB72
5F131DB76
5F131DB82
5F131DB86
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA12
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA54
5F131KA64
5F131KB05
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】フォトコロージョンの、基板の表面への発生を防止することができる基板搬送方法が提供される。
【解決手段】基板搬送方法は、基板を、受け入れユニットに搬入し、受け入れユニットに搬送された基板によって光センサ302から照射された光が遮断されたことを検出して、基板が受け入れユニットに存在することを確認し、基板を受け入れユニットから搬出する前に、光センサ302からの光の照射を停止する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を、前記基板の受け入れユニットに搬入し、前記受け入れユニットに搬送された前記基板によって光センサから照射された光が遮断されたことを検出して、前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、
前記基板を前記受け入れユニットから搬出する前に、前記光センサからの光の照射を停止する、基板処理装置における基板搬送方法。
【請求項2】
前記基板の搬送方向において、前記受け入れユニットの前段側に配置された、前記基板を湿式処理する湿式処理モジュールで、前記基板を湿式処理し、
前記光センサによって、前記湿式処理モジュールで湿式処理された前記基板に対して光を照射する、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断された後、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、
前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項1または請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断されてから予め決められた所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項1または請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されたときに、前記光センサからの光の照射を開始し、
前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が受け入れユニットに存在することを確認し、
前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項1または請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記基板が前記受け入れユニットに搬送される前に前記光センサからの光の照射を開始して前記受け入れユニットに前記基板が存在しないことを確認した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項5に記載の基板搬送方法。
【請求項7】
基板の受け入れユニットと、
前記受け入れユニットに搬送された前記基板の有無を検出する光センサと、
前記光センサの投光動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記基板を前記受け入れユニットに搬入し、前記受け入れユニットに搬送された前記基板によって前記光センサから照射された光が遮断されたことを検出して前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、
前記基板を前記受け入れユニットから搬出する前に、前記光センサからの光の照射を停止する、基板処理装置。
【請求項8】
前記基板処理装置は、前記基板の搬送方向において、前記受け入れユニットの前段側に配置された、前記基板を湿式処理する湿式処理モジュールを備えており、
前記光センサは、前記湿式処理モジュールで湿式処理された前記基板に対して光を照射する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断された後、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、
前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項7または請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断されてから予め決められた所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項7または請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されたときに、前記光センサからの光の照射を開始し、
前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、
前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する、請求項7または請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記基板が前記受け入れユニットに搬送される前に前記光センサからの光の照射を開始して前記受け入れユニットに前記基板が存在しないことを確認した後に前記光センサからの光の照射を停止する、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記光センサは、
光を発する投光部と、
前記投光部から発せられた光を受ける受光部と、を備えており、
前記投光部は、前記受け入れユニットに搬送された前記基板の裏面側に配置されており、
前記受光部は、前記受け入れユニットに搬送された前記基板の表面側に配置されている、請求項7~請求項12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記投光部および前記受光部は、前記基板の搬送方向に対して、垂直に配置されている、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記投光部および前記受光部は、前記基板の搬送方向に対して、斜めに配置されている、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を、前記基板の受け入れユニットに搬入し、前記受け入れユニットに搬送された前記基板によって光センサから照射された光が遮断されたことを検出して前記基板が受け入れユニットに存在することを確認するステップと、
前記基板を前記受け入れユニットから搬出する前に、前記光センサからの光の照射を停止するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
前記基板の搬送方向において、前記受け入れユニットの前段側に配置された、前記基板を湿式処理する湿式処理モジュールで、前記基板を湿式処理するステップと、
前記光センサによって、前記湿式処理モジュールで湿式処理された前記基板に対して光を照射するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、請求項16に記載の記録媒体。
【請求項18】
前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断された後、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認するステップと、
前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、請求項16または請求項17に記載の記録媒体。
【請求項19】
前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断されてから予め決められた所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、請求項16または請求項17に記載の記録媒体。
【請求項20】
前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されたときに、前記光センサからの光の照射を開始するステップと、
前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認するステップと、
前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、請求項16または請求項17に記載の記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送方法と、基板処理装置と、基板処理装置の構成要件を動作させるためのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハなどの基板を処理する基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような基板処理装置では、ウェハは、様々なモジュールに搬送され、各モジュールで処理される。
【0003】
基板処理装置は、その搬送ステージ上にウェハが存在しているか否かを検出する光センサを備えている。ウェハを各モジュールに搬送するとき、ウェハは、その存在が光センサによって検出された後に、次のモジュールに搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。したがって、光センサから発せられた光がウェハに照射されると、ウェハの表面(より具体的には、デバイス面)に形成された金属が光の影響を受けてしまい、金属が腐食してしまう。言い換えれば、ウェハの表面には、フォトコロージョンが発生してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、フォトコロージョンの、基板(例えば、ウェハ)の表面への発生を防止することができる基板搬送方法、基板処理装置、および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、基板を、前記基板の受け入れユニットに搬入し、前記受け入れユニットに搬送された前記基板によって光センサから照射された光が遮断されたことを検出して、前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、前記基板を前記受け入れユニットから搬出する前に、前記光センサからの光の照射を停止する、基板処理装置における基板搬送方法が提供される。
【0008】
一態様では、前記基板の搬送方向において、前記受け入れユニットの前段側に配置された、前記基板を湿式処理する湿式処理モジュールで、前記基板を湿式処理し、前記光センサによって、前記湿式処理モジュールで湿式処理された前記基板に対して光を照射する。
一態様では、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断された後、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
一態様では、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断されてから予め決められた所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
【0009】
一態様では、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されたときに、前記光センサからの光の照射を開始し、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が受け入れユニットに存在することを確認し、前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
一態様では、前記基板が前記受け入れユニットに搬送される前に前記光センサからの光の照射を開始して前記受け入れユニットに前記基板が存在しないことを確認した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
【0010】
一態様では、基板の受け入れユニットと、前記受け入れユニットに搬送された前記基板の有無を検出する光センサと、前記光センサの投光動作を制御する制御装置と、を備える基板処理装置が提供される。前記制御装置は、前記基板を前記受け入れユニットに搬入し、前記受け入れユニットに搬送された前記基板によって前記光センサから照射された光が遮断されたことを検出して前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、前記基板を前記受け入れユニットから搬出する前に、前記光センサからの光の照射を停止する。
【0011】
一態様では、前記基板処理装置は、前記基板の搬送方向において、前記受け入れユニットの前段側に配置された、前記基板を湿式処理する湿式処理モジュールを備えており、前記光センサは、前記湿式処理モジュールで湿式処理された前記基板に対して光を照射する。
一態様では、前記制御装置は、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断された後、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
一態様では、前記制御装置は、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断されてから予め決められた所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
【0012】
一態様では、前記制御装置は、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されたときに、前記光センサからの光の照射を開始し、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認し、前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止する。
一態様では、前記制御装置は、前記基板が前記受け入れユニットに搬送される前に前記光センサからの光の照射を開始して前記受け入れユニットに前記基板が存在しないことを確認した後に前記光センサからの光の照射を停止する。
一態様では、前記光センサは、光を発する投光部と、前記投光部から発せられた光を受ける受光部と、を備えており、前記投光部は、前記受け入れユニットに搬送された前記基板の裏面側に配置されており、前記受光部は、前記受け入れユニットに搬送された前記基板の表面側に配置されている。
【0013】
一態様では、前記投光部および前記受光部は、前記基板の搬送方向に対して、垂直に配置されている。
一態様では、前記投光部および前記受光部は、前記基板の搬送方向に対して、斜めに配置されている。
【0014】
一態様では、基板を、前記基板の受け入れユニットに搬入し、前記受け入れユニットに搬送された前記基板によって光センサから照射された光が遮断されたことを検出して前記基板が受け入れユニットに存在することを確認するステップと、前記基板を前記受け入れユニットから搬出する前に、前記光センサからの光の照射を停止するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0015】
一態様では、前記基板の搬送方向において、前記受け入れユニットの前段側に配置された、前記基板を湿式処理する湿式処理モジュールで、前記基板を湿式処理するステップと、前記光センサによって、前記湿式処理モジュールで湿式処理された前記基板に対して光を照射するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録される。
一態様では、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断された後、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認するステップと、前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録される。
一態様では、前記光センサから照射された光が前記受け入れユニットに搬入された前記基板によって遮断されてから予め決められた所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムが記録される。
一態様では、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されたときに、前記光センサからの光の照射を開始するステップと、前記基板が前記受け入れユニットの載置ステージ上に載置されてから予め決められた所定時間が経過するまでの間に前記基板が前記受け入れユニットに存在することを確認するステップと、前記所定時間が経過した後に、前記光センサからの光の照射を停止するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録される。
【発明の効果】
【0016】
基板搬送方法は、基板を受け渡しステーションに搬入し、光センサからの光を照射し、基板を受け渡しステーションから搬出する前に、光の照射を停止する。したがって、光センサからの光がウェハWに照射され続けるという問題は生じない。結果として、フォトコロージョンの、基板の表面への発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】基板処理装置の一実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は洗浄部を示す平面図であり、
図2(b)は洗浄部を示す側面図である。
【
図3】ウェハの搬送経路に配置された受け渡しステーションを示す図である。
【
図4】投光部および受光部の他の実施形態を示す図である。
【
図5】
図5(a)乃至
図5(c)は、受け渡しステーションに搬入されるウェハを示す図である。
【
図6】ウェハを受け渡しステーションに搬入するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
【
図7】ウェハを受け渡しステーションに搬入し、ウェハを受け渡しステーションから搬出する制御装置の動作の一実施形態を示す図である。
【
図8】
図8(a)および
図8(b)は、受け渡しステーションから搬出されるウェハを示す図である。
【
図9】ウェハを受け渡しステーションから搬出するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
【
図10】ウェハを受け渡しステーションから搬出する前に、ウェハの存在確認が行われる様子を示す図である。
【
図11】ウェハを受け渡しステーションから搬出する前の制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
【
図12】ウェハを受け渡しステーションに搬入するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
【
図13】ウェハを受け渡しステーションに搬入し、ウェハを受け渡しステーションから搬出する制御装置の動作の他の実施形態を示す図である。
【
図14】ウェハを受け渡しステーションに搬入するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
【
図15】ウェハを受け渡しステーションに搬入し、ウェハを受け渡しステーションから搬出する制御装置の動作の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る基板処理装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、基板処理装置の一実施形態を示す平面図である。
図1に示すように、基板処理装置は、略矩形状のハウジング1を備えている。ハウジング1の内部は、隔壁1a,1bによってロード/アンロード部2と、研磨部3と、洗浄部4と、に区画されている。
【0020】
ロード/アンロード部2、研磨部3、および洗浄部4は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。基板処理装置は、基板処理動作を制御する制御装置5を備えている。ロード/アンロード部2は、多数のウェハ(基板)をストックするウェハカセットが載置される2つ以上(本実施形態では、4つ)のフロントロード部20を備えている。
【0021】
フロントロード部20は、ハウジング1に隣接して配置されており、基板処理装置の幅方向(長手方向と垂直な方向)に沿って配列されている。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0022】
ロード/アンロード部2には、フロントロード部20の配列方向に沿って走行機構21が敷設されており、この走行機構21上にウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー)22が設置されている。搬送ロボット22は走行機構21上を移動することによってフロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスすることができる。
【0023】
研磨部3は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域であり、第1研磨モジュール3A、第2研磨モジュール3B、第3研磨モジュール3C、および第4研磨モジュール3Dを備えている。第1研磨モジュール3A、第2研磨モジュール3B、第3研磨モジュール3C、および第4研磨モジュール3Dは、
図1に示すように、基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。
【0024】
図1に示すように、第1研磨モジュール3Aは、研磨面を有する研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Aと、ウェハを保持しかつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨するためのトップリング31Aと、研磨パッド10に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル32Aと、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ33Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ34Aと、を備えている。
【0025】
同様に、第2研磨モジュール3Bは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bと、を備えている。第3研磨モジュール3Cは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cと、を備えている。第4研磨モジュール3Dは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dと、を備えている。
【0026】
ウェハを搬送するための搬送機構について説明する。
図1に示すように、基板処理装置は、第1研磨モジュール3Aおよび第2研磨モジュール3Bに隣接して配置された第1リニアトランスポータ6を備えている。第1リニアトランスポータ6は、研磨モジュール3A,3Bの配列方向に沿った4つの搬送位置(第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4)の間でウェハを搬送する機構である。
【0027】
基板処理装置は、第3研磨モジュール3Cおよび第4研磨モジュール3Dに隣接して配置された第2リニアトランスポータ7を備えている。第2リニアトランスポータ7は、研磨モジュール3C,3Dの配列方向に沿った3つの搬送位置(第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7)の間でウェハを搬送する機構である。
【0028】
ウェハは、第1リニアトランスポータ6によって研磨モジュール3A,3Bに搬送される。第1研磨モジュール3Aのトップリング31Aは、そのスイング動作により研磨位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。したがって、トップリング31Aへのウェハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。
【0029】
同様に、第2研磨モジュール3Bのトップリング31Bは研磨位置と第3搬送位置TP3との間を移動し、トップリング31Bへのウェハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3研磨モジュール3Cのトップリング31Cは研磨位置と第6搬送位置TP6との間を移動し、トップリング31Cへのウェハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4研磨モジュール3Dのトップリング31Dは研磨位置と第7搬送位置TP7との間を移動し、トップリング31Dへのウェハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
【0030】
第1搬送位置TP1には、搬送ロボット22からウェハを受け取るためのリフタ11が配置されている。ウェハは、リフタ11を介して搬送ロボット22から第1リニアトランスポータ6に渡される。
【0031】
基板処理装置は、隔壁1aに設けられたシャッタ(図示せず)を備えている。シャッタは、リフタ11と搬送ロボット22との間に配置されている。ウェハの搬送時には、シャッタが開かれて、ウェハが搬送ロボット22からリフタ11に渡される。第1リニアトランスポータ6と、第2リニアトランスポータ7と、洗浄部4との間にはスイングトランスポータ12が配置されている。
【0032】
スイングトランスポータ12は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有している。第1リニアトランスポータ6から第2リニアトランスポータ7へのウェハの受け渡しは、スイングトランスポータ12によって行われる。ウェハは、第2リニアトランスポータ7によって第3研磨モジュール3Cおよび/または第4研磨モジュール3Dに搬送される。研磨部3で研磨されたウェハはスイングトランスポータ12によって仮置き台180を経由して洗浄部4に搬送される。すなわち、スイングトランスポータ12は、第4搬送位置TP4あるいは第5搬送位置TP5に位置するウェハを保持して、ウェハの表裏を反転させた後、仮置き台180に搬送する。これにより、ウェハは、そのデバイス面が上を向いた状態で、仮置き台180に載置される。
【0033】
図2(a)は洗浄部を示す平面図であり、
図2(b)は洗浄部を示す側面図である。
図2(a)および
図2(b)に示すように、洗浄部4は、第1洗浄室190と、第1搬送室191と、第2洗浄室192と、第2搬送室193と、乾燥室194と、に区画されている。第1洗浄室190内には、縦方向に沿って配列された上側一次洗浄モジュール201Aおよび下側一次洗浄モジュール201Bが配置されている。
【0034】
上側一次洗浄モジュール201Aは、下側一次洗浄モジュール201Bの上方に配置されている。同様に、第2洗浄室192内には、縦方向に沿って配列された上側二次洗浄モジュール202Aおよび下側二次洗浄モジュール202Bが配置されている。上側二次洗浄モジュール202Aは下側二次洗浄モジュール202Bの上方に配置されている。一次および二次洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bは、洗浄液を用いてウェハを洗浄する洗浄機である。
【0035】
上側二次洗浄モジュール202Aと下側二次洗浄モジュール202Bとの間には、ウェハの仮置き台203が設けられている。乾燥室194内には、縦方向に沿って配列された上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bが配置されている。上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bは、互いに隔離されている。
【0036】
上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bの上部には、清浄な空気を乾燥モジュール205A,205B内にそれぞれ供給するフィルタファン装置207,207が設けられている。
【0037】
第1搬送室191には、上下動可能な第1搬送ロボット209が配置され、第2搬送室193には、上下動可能な第2搬送ロボット210が配置されている。第1搬送ロボット209および第2搬送ロボット210は、縦方向に延びる支持軸211,212にそれぞれ移動自在に支持されている。
【0038】
第1搬送ロボット209および第2搬送ロボット210は、支持軸211,212に沿って上下に移動自在である。第1搬送ロボット209は、
図2(a)の点線に示すように、仮置き台180にアクセス可能な位置に配置されている。第1搬送ロボット209が仮置き台180にアクセスするときには、隔壁1bに設けられているシャッタ(図示せず)が開くようになっている。
【0039】
第1搬送ロボット209は、仮置き台180、上側一次洗浄モジュール201A、下側一次洗浄モジュール201B、仮置き台203、上側二次洗浄モジュール202A、および下側二次洗浄モジュール202Bの間でウェハWを搬送するように動作する。
【0040】
第2搬送ロボット210は、上側二次洗浄モジュール202A、下側二次洗浄モジュール202B、仮置き台203、上側乾燥モジュール205A、下側乾燥モジュール205Bの間でウェハWを搬送するように動作する。
【0041】
図1に示す搬送ロボット22は、上側乾燥モジュール205Aまたは下側乾燥モジュール205Bからウェハを取り出し、そのウェハをウェハカセットに戻す。搬送ロボット22が乾燥モジュール205A,205Bにアクセスするときには、隔壁1aに設けられているシャッタ(図示せず)が開かれる。
【0042】
上述したように、ウェハは、ロード/アンロード部2、研磨部3、および洗浄部4をこの順に搬送される。ウェハを各モジュールに搬送するとき、ウェハは、その存在が光センサによって検出された後に、次のモジュールに搬送される。本実施形態では、研磨部3の研磨モジュール3A乃至3D、洗浄部4の洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bなどのモジュールにウェハを搬送するときに、第1搬送位置TP1乃至第7搬送位置TP7で、ウェハは、その存在が検出される。
【0043】
光センサは、ウェハWに接触することなく、ウェハWの存在を検出することができる。しかしながら、光センサから発せられた光が長時間、ウェハWに照射されると、ウェハWの表面(より具体的には、デバイス面)には、フォトコロージョンが発生してしまう。そこで、基板処理装置は、フォトコロージョンの、ウェハWの表面への発生を防止する構成を有している。
【0044】
図3は、ウェハの搬送経路に配置された受け渡しステーションを示す図である。
図3に示すように、基板処理装置は、ウェハWの搬送経路に配置された受け渡しステーション301を備えている。ウェハWの搬送経路は、1枚のウェハWがロード/アンロード部2、研磨部3、および洗浄部4に搬送されるときの、ウェハWの移動経路に相当する。受け渡しステーション301は、ウェハWを、各モジュールに受け渡すときの搬送位置(例えば、各搬送位置TP2,TP3,TP6,TP7、各仮置き台180,203が配置された空間)に相当する。
【0045】
図3に示すように、基板処理装置は、受け渡しステーション301に搬送されたウェハWの有無を検出する光センサ302と、ウェハWを載置するための載置ステージ300と、を備えている。載置ステージ300は、例えば、各仮置き台180,203に相当する。
【0046】
光センサ302は、光を発する投光部302aと、投光部302aから発せられた光を受ける受光部302bと、を備えている。投光部302aは、載置ステージ300上に載置されたウェハWの裏面側に位置するように、載置ステージ300の上端(すなわち、ウェハWの載置面)よりも下方に配置されている。受光部302bは、載置ステージ300上に載置されたウェハWの表面側に位置するように、載置ステージ300の上端よりも上方に配置されている。
図3に示す実施形態では、投光部302aおよび受光部302bは、ウェハWの搬送方向(すなわち、水平方向)に対して、垂直に配置されている。
【0047】
図4は、投光部および受光部の他の実施形態を示す図である。
図4に示すように、投光部302aおよび受光部302bは、ウェハWの搬送方向(すなわち、水平方向)に対して、斜めに配置されている。
図4に示す実施形態においても、投光部302aは、載置ステージ300上に載置されたウェハWの下方に配置されており、受光部302bは、載置ステージ300上に載置されたウェハWの上方に配置されている。
【0048】
図3および
図4に示す実施形態では、ウェハWは、その上面(すなわち、デバイス面)が上方を向いた状態で、載置ステージ300上に載置される。したがって、投光部302aから発せられた光は、ウェハWの裏面に照射される。ウェハWの裏面に投光することにより、光は、ウェハWのデバイス面には直接照射されないため、ウェハWのデバイス面に対する光の影響を軽減することができる。結果として、フォトコロージョンのウェハのデバイス面への発生を抑制することができる。
【0049】
投光部302aから発せられた光の光量(強さ)は、その距離に応じて、減衰する。
図4に示す実施形態では、斜めに照射された光は、その光量(強さ)が減衰された状態でウェハWの裏面に照射される。したがって、ウェハWのデバイス面に対する光の影響をより軽減することができ、結果として、フォトコロージョンのウェハのデバイス面への発生をより抑制することができる。
【0050】
さらに、光を斜めに照射することにより、光の、ウェハWの裏面への照射面積を大きくすることができるため、ウェハWの裏面に対する、光の、局所的な照射を防止することができる。結果として、フォトコロージョンのウェハのデバイス面への発生をより抑制することができる。
【0051】
図3および
図4に示すように、光センサ302は、制御装置5に電気的に接続されている。制御装置5は、光センサ302(より具体的には、投光部302a)の投光動作(すなわち、光の照射の開始および停止)を制御するように構成されている。
【0052】
投光部302aから発せられた光を受光部302bが受けると、受光部302bは、制御装置5に対して、検出信号を送るように構成されている。制御装置5が受光部302bからの検出信号を受けると、制御装置5は、ウェハWが載置ステージ300上に存在していないことを決定する。投光部302aから発せられた光がウェハWによって遮られると、受光部302bは投光部302aから発せられた光を検出せず、制御装置5に対する検出信号の送信は停止される。制御装置5は、検出信号の送信の停止に基づいて、ウェハWが載置ステージ300上に載置されたことを決定する。
【0053】
制御装置5は、プログラムを格納した記憶装置5aと、プログラムに従って演算を実行する処理装置5bと、を備えている。コンピュータから構成された制御装置5は、記憶装置5aに電気的に格納されたプログラムに従って動作する。プログラムは、光センサ302の投光動作を処理装置5bに実行させる。
【0054】
投光動作を処理装置5bに実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶され、記録媒体を介して制御装置5に提供される。または、プログラムは、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークを介して通信装置(図示しない)から制御装置5に入力されてもよい。記録媒体は、投光動作を処理装置5bに実行させるためのプログラムのみならず、フォトコロージョンの、ウェハWの表面への発生を防止するためのプログラム(後述する)をも記録している。
【0055】
図5(a)乃至
図5(c)は、受け渡しステーションに搬入されるウェハを示す図である。
図6は、ウェハを受け渡しステーションに搬入するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
図7は、ウェハを受け渡しステーションに搬入し、ウェハを受け渡しステーションから搬出する制御装置の動作の一実施形態を示す図である。
【0056】
以下に示す実施形態では、研磨部3で研磨処理されたウェハWを洗浄部4に搬送する例について、説明する。したがって、受け渡しステーション301内に配置された載置ステージ300は仮置き台180(
図1参照)に相当する。受け渡しステーション301の仮置き台180には、スイングトランスポータ12および第1搬送ロボット209(
図1参照)がアクセス可能である。
【0057】
制御装置5は、ウェハWを受け渡しステーション301に搬入し、光センサ302を操作することにより、光センサ302からの光を照射し、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出する前に、光センサ302を操作することにより、光センサ302からの光の照射を停止するように構成されている。
【0058】
より具体的には、
図5(a)および
図6のステップS101に示すように、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を開始し(投光ON)、ウェハWの搬入動作を開始する。一実施形態では、制御装置5は、前のウェハWが受け渡しステーション301から搬出された後、次のウェハWが受け渡しステーション301に搬入されるまでの間、投光部302aからの光の照射を継続してもよい。このような構成により、次のウェハWが受け渡しステーション301に搬入される前に投光部302aからの光の照射を開始するためのトリガを決定する必要はない。
【0059】
一実施形態では、制御装置5は、前のウェハWが受け渡しステーション301から搬出された後、投光部302aからの光の照射を停止し(投光OFF)、次のウェハWが受け渡しステーション301に搬入されるときに、投光部302aからの光の照射を開始してもよい(投光ON)。制御装置5は、例えば、スイングトランスポータ12がウェハWの搬入動作を開始したタイミング(より具体的には、ウェハWを保持したスイングトランスポータ12が受け渡しステーション301に方向転換したタイミング)で光の照射を開始してもよい。このような構成により、光センサ302からの光は断続的に照射されるため、光センサ302の長寿命化を実現することができる。
【0060】
図5(b)に示すように、ウェハWがスイングトランスポータ12によって受け渡しステーション301内に搬入されると、投光部302aから照射された光はウェハWによって遮断される。
図7に示す実施形態では、制御装置5は、光センサ302から照射された光が受け渡しステーション301に搬入されたウェハWによって遮断された後、ウェハWが載置ステージ300上に載置されたときに、ウェハWの存在確認を開始する。言い換えれば、制御装置5は、ウェハWの搬入動作の完了時に、ウェハWの存在確認を開始する。このような構成により、制御装置5は、ウェハWが載置ステージ300上に確実に載置されたことを決定することができる。
【0061】
載置ステージ300がウェハWを保持するチャックを有している場合には、制御装置5は、載置ステージ300のチャックの閉止をトリガとして、ウェハWの存在確認を開始する。載置ステージ300がチャックを有していない場合には、制御装置5は、スイングトランスポータ12がウェハWの搬入動作完了を示す信号を発したときに、ウェハWの存在確認を開始する。例えば、上記信号は、スイングトランスポータ12が最下降位置まで下降したときに、発せられる。
【0062】
制御装置5は、ウェハWの搬入動作が完了し(
図6のステップS102参照)、ウェハWの存在確認を開始した後、所定時間が経過するまでの間、受光部302bの受光が遮断されたか否かを判断し(
図6のステップS103参照)、所定時間が経過するまでの間、受光が遮断された場合(
図6のステップS103の「YES」参照)、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を停止すると同時に(
図5(c)および
図6のステップS104参照)、ウェハWの存在確認を終了する(
図7参照)。
【0063】
本実施形態では、所定時間は、0.3秒以下であるが、光センサ302の分解能に応じて、所定時間を設定してもよい。光センサ302が比較的高い分解能を有している場合、所定時間は、20ミリ秒以下であってもよい。
【0064】
従来では、ウェハWを受け渡しステーション301に搬入する前から、受け渡しステーション301から搬出するまでの間、光センサ302からの光は常に照射され続けられているため、ウェハWが受け渡しステーション301に滞在している間、ウェハWの外表面には、光が照射され続ける。したがって、ウェハWの外表面および内部にフォトコロージョンが発生する可能性が大きい。
【0065】
本実施形態によれば、制御装置5は、ウェハWを受け渡しステーション301に搬入し、光センサ302からの光の照射を開始し、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出する前に、光センサ302からの光の照射を停止するように構成されている。したがって、光センサ302からの光がウェハWに照射され続けるという問題は生じない。結果として、制御装置5は、フォトコロージョンの、ウェハWの外表面および内部への発生を防止することができる。
【0066】
図6に示すように、所定時間が経過するまでの間、受光が遮断されない場合(
図6のステップS103の「NO」参照)、制御装置5は、光センサ302やスイングトランスポータ12などの装置やウェハWに異常が発生していると決定し、異常アラームを発報する(
図6のステップS105参照)。その後、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を停止する(
図6のステップS106参照)。
【0067】
なお、
図6のステップS103において、所定時間が経過するまでの間に受光が遮断され続けているかを判定するようにしてもよい。それによって水など環境による外乱によってごく短時間に光が遮断された場合の誤検知を防いだり、スイングトランスポータ12のハンド上でウェハWが割れていることを検出することができる。
【0068】
図8(a)および
図8(b)は、受け渡しステーションから搬出されるウェハを示す図である。
図9は、ウェハを受け渡しステーションから搬出するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
図7および
図8(a)に示すように、載置ステージ300上に載置されたウェハWを受け渡しステーション301から搬出する場合には、制御装置5は、受け渡しステーション301に設けられたシャッタ305を開き、ウェハWの搬出動作を開始する。
【0069】
制御装置5は、シャッタ305を開いた後、第1搬送ロボット209を載置ステージ300上のウェハWにアクセスさせる。ウェハWは、第1搬送ロボット209に保持された状態で、受け渡しステーション301から搬出され、制御装置5は、シャッタ305を閉じるとともに、ウェハWの搬出動作を完了する(
図8(b)および
図9のステップS201参照)。
【0070】
図7および
図8(b)に示すように、制御装置5は、シャッタ305の閉止をトリガとして、投光部302aからの光の照射を開始し、ウェハWの存在確認を開始する(
図9のステップS202参照)。
図9のステップS203に示すように、制御装置5は、ウェハWの存在確認の開始から所定時間が経過するまでの間、受光が遮断されるか否かを判断する。この場合においても、所定時間は、光センサ302の分解能に応じて、極めて短時間に決定される(例えば、0.3秒以下、20ミリ秒以下)。
【0071】
受光が所定時間、遮断されない場合(
図9のステップS203の「NO」参照)、制御装置5は、載置ステージ300上にウェハWが存在していないことを決定し、ウェハWの存在確認を終了するとともに、投光部302aからの光の照射を停止する(
図9のステップS204参照)。この動作により、制御装置5は、ウェハWの載置ステージ300からの取りこぼしを防止することができる。
【0072】
受光が遮断された場合(
図9のステップS203の「YES」参照)、例えば、第1搬送ロボット209がウェハWを取りこぼした場合、制御装置5は、載置ステージ300上にウェハWが存在していることを決定し、異常アラームを発報する(
図9のステップS205参照)。その後、投光部302aからの光の照射を停止する(
図9のステップS206参照)。
【0073】
図10は、ウェハを受け渡しステーションから搬出する前に、ウェハの存在確認が行われる様子を示す図である。
図11は、ウェハを受け渡しステーションから搬出する前の制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
図10および
図11に示すように、制御装置5は、載置ステージ300上に載置されたウェハWを受け渡しステーション301から搬出するときに、ウェハWの存在確認を行ってもよい。
【0074】
より具体的には、制御装置5は、シャッタ305の開放をトリガとして、投光部302aからの光の照射を開始し(
図10および
図11のステップS301参照)、ウェハWの存在確認を開始する。制御装置5は、ウェハWの存在確認の開始から所定時間が経過するまでの間、受光部302bの受光が遮断されるか否かを判断する(
図11のステップS302参照)。受光が遮断される場合には(
図11のステップS302の「YES」参照)、制御装置5は、ウェハWが載置ステージ300上に載置されていることを決定し、ウェハWの存在確認を終了する。このとき、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を終了する(
図11のステップS303参照)。その後、制御装置5は、
図9のステップS201乃至ステップS203と同様の動作を行う。
【0075】
所定時間が経過するまでの間、受光が遮断されない場合(
図11のステップS302の「NO」参照)、制御装置5は、光センサ302などの装置やウェハWに異常が発生していると決定し、異常アラームを発報する(
図11のステップS304参照)。その後、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を終了する(
図11のステップS305参照)。
【0076】
図10に示す実施形態では、制御装置5は、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出する前に、ウェハWが載置ステージ300上に存在しているか否かを確認する。制御装置5は、載置ステージ300上に載置されたウェハWの存在を決定した後、ウェハWは第1搬送ロボット209によって受け渡しステーション301から搬出される。このような構成により、第1搬送ロボット209によるウェハWの搬出時に、載置ステージ300上にウェハWが存在していないという事態を避けることができる。
【0077】
図12は、ウェハを受け渡しステーションに搬入するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
図13は、ウェハを受け渡しステーションに搬入し、ウェハを受け渡しステーションから搬出する制御装置の動作の他の実施形態を示す図である。
【0078】
図12のステップS401および
図13に示すように、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を開始し、ウェハWの搬入動作が開始する。その後、制御装置5は、ウェハWによる光の遮断を検出した後、それをトリガとして、所定時間が経過した後、投光部302aからの光の照射を停止する(
図13参照)。
【0079】
制御装置5は、投光部302aから光を照射した状態で(ステップS401参照)、ウェハWの存在確認を開始し、受光部302bの受光が遮断されたか否かを判断する(
図12のステップS402参照)。
【0080】
スイングトランスポータ12がウェハWを受け渡しステーション301に搬入すると、ウェハWのエッジによって光が遮断され、受光部302bの受光が遮断される(ステップS402の「YES参照」)。受光部302bの受光が遮断されたことを検出した後(すなわち、ステップS402の「YES」の後)、制御装置5は、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS403参照)。この判断は、所定時間が経過するまで継続される(ステップS403の「NO」参照)。所定時間が経過した場合(ステップS403の「YES」参照)、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を停止する(ステップS404参照)。
【0081】
スイングトランスポータ12のハンドが載置ステージ300に向かって伸びているにもかかわらず、受光部302bの受光が遮断されない場合(ステップS402の「NO」参照)、制御装置5は、異常アラームを発報し(ステップS405参照)、投光部302aからの光の照射を停止する(ステップS406参照)。なお、所定時間が経過する前に、受光部302bが再び受光した場合には、制御装置5は、異常アラームを発報してもよく、再び、ステップS402に戻ってもよい。
【0082】
なお、
図13においては、ウェハの存在確認の開始と受光遮断の開始が同じタイミングになっているが、ウェハの存在確認の開始を、実際にウェハによって受光が遮断される少し手前から行っても良い。
【0083】
このような構成により、光センサ302からの光がウェハWに照射される時間をさらに短縮することができるため、制御装置5は、フォトコロージョンの、ウェハWの表面への発生をより確実に防止することができる。
【0084】
図10に示す実施形態は
図13に示す実施形態にも適用可能である。より具体的には、
図13に示す実施形態においても、制御装置5は、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出する前に、ウェハWが載置ステージ300上に存在しているか否かを確認してもよい。
【0085】
図14は、ウェハを受け渡しステーションに搬入するときの制御装置による光センサの投光動作の制御フローを示す図である。
図15は、ウェハを受け渡しステーションに搬入し、ウェハを受け渡しステーションから搬出する制御装置の動作の他の実施形態を示す図である。
【0086】
図14のステップS501,S502および
図15に示すように、制御装置5は、スイングトランスポータ12がウェハWの搬入動作を開始したタイミングで光の照射を開始するとともに、ウェハWの存在確認を開始する。
【0087】
制御装置5は、ウェハWの存在確認を開始した後、所定時間が経過するまでの間、受光部302bの受光が遮断されたか否かを判断し(
図14のステップS503参照)、所定時間が経過するまでの間、受光が遮断されない場合(
図14のステップS503の「NO」参照)、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を停止すると同時に(
図14のステップS504参照)、ウェハWが載置ステージ300上に存在しないことを確認する(
図15参照)。
【0088】
所定時間が経過するまでの間、受光が遮断される場合(
図14のステップS503の「YES」参照)、制御装置5は、載置ステージ300上に前のウェハWが存在していると決定し、異常アラームを発報する(
図14のステップS505参照)。その後、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を終了する(
図14のステップS506参照)。
【0089】
図14のステップS504の後、制御装置5は、ウェハWの搬入動作が完了したタイミングで(
図14のステップS507参照)、言い換えれば、ウェハWが載置ステージ300上に載置されたときに、光センサ302からの光の照射を開始する(
図14のステップS508参照)。制御装置5は、光センサ302から照射された光が載置ステージ300上に載置されたウェハWによって遮断されたときに、ウェハWの存在確認を開始する(
図15参照)。このような構成により、制御装置5は、ウェハWが載置ステージ300上に確実に載置されたことを決定し、かつ光センサ302からの光がウェハWに照射される時間をさらに短縮することができる。
【0090】
制御装置5は、ウェハWの存在確認を開始した後、所定時間が経過するまでの間、受光部302bの受光が遮断されたか否かを判断し(
図14のステップS509参照)、所定時間が経過するまでの間、受光が遮断された場合(
図14のステップS509の「YES」参照)、制御装置5は、投光部302aからの光の照射を停止すると同時に(
図14のステップS510参照)、ウェハWの存在確認を終了する(
図15参照)。
【0091】
所定時間が経過するまでの間、受光が遮断されない場合(
図14のステップS509の「NO」参照)、制御装置5は、異常アラームを発報し(
図14のステップS511参照)、投光部302aからの光の照射を停止する(
図14のステップS512参照)。
【0092】
その後、制御装置5は、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出するときの動作フロー(
図9参照)と同様の動作フローを行って、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出する。
【0093】
図10に示す実施形態は
図15に示す実施形態にも適用可能である。より具体的には、
図15に示す実施形態においても、制御装置5は、ウェハWを受け渡しステーション301から搬出する前に、ウェハWが載置ステージ300上に存在しているか否かを確認してもよい。
図5から
図10に示す実施形態の場合、ウェハWの存在確認において、制御装置5は、ウェハWにより受光部302bの受光が遮断されれば、ウェハWは存在する、遮断されなければウェハWは存在しないとの決定をする。
【0094】
上述した実施形態では、受け渡しステーション301を介して、ウェハWを研磨部3から洗浄部4に搬送するときの、制御装置5による光センサ302の投光動作の制御について説明したが、光センサ302の投光動作の制御は、上述した実施形態には限定されない。
【0095】
一実施形態では、制御装置5による光センサ302の投光動作の制御は、ウェハWをロード/アンロード部2から研磨部3に搬送するときに行われてもよい。より具体的には、ウェハWの存在の有無は、各搬送位置TP1乃至搬送位置TP7におけるリニアトランスポータ上で、確認される。
【0096】
一実施形態では、光センサ302の投光動作の制御は、ウェハWを第1洗浄室190(洗浄モジュール201A,201B)または第2洗浄室192(洗浄モジュール202A,202B)または乾燥室194(乾燥モジュール205A,205B)に搬送するときに行われてもよい。
【0097】
上述した実施形態では、ウェハWを各モジュールに受け渡すときの搬送位置に相当する受け渡しステーション301における光センサ302の投光動作の制御について、説明したが、光センサ302の投光動作の制御は、リフタ11、第1搬送位置TP1乃至第4搬送位置TP4における第1リニアトランスポータ6上で行われてもよい。
【0098】
光センサ302の投光動作の制御は、第5搬送位置TP5乃至第7搬送位置TP7における第2リニアトランスポータ7上で行われてもよく、仮置き台180、仮置き台203、洗浄部4の各モジュール(一次洗浄モジュール201、二次洗浄モジュール202、乾燥モジュール205)で行われてもよい。このように、光センサ302の投光動作の制御は、必ずしも、受け渡しステーション300で行われる必要はなく、各モジュールで行われてもよい。光センサ302の投光動作の制御が行われる受け渡しステーション300および各モジュールは、総称して、受け入れユニットと呼ばれる。
【0099】
フォトコロージョンは、特にウェハWが濡れている場合に発生しやすい。したがって、光センサ302の投光動作の制御による効果は、ウェハWが湿式処理された後の工程において、特に発揮される。ウェハWを湿式処理する湿式処理モジュールとして、研磨モジュール3A乃至3Dおよび洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bを挙げることができる。
【0100】
湿式処理モジュールは、ウェハWの搬送方向において、受け渡しステーション301の前段側に配置されており、光センサ302は、湿式処理モジュールで湿式処理されたウェハWに対して光を照射するように構成されている。このような構成により、基板処理装置は、フォトコロージョンの、ウェハWの表面への発生をより効果的に防止することができる。
【0101】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0102】
1 ハウジング
1a,1b 隔壁
2 ロード/アンロード部
3 研磨部
3A,3B,3C,3D 研磨モジュール
4 洗浄部
5 制御装置
6 第1リニアトランスポータ
7 第2リニアトランスポータ
10 研磨パッド
11 リフタ
12 スイングトランスポータ
20 フロントロード部
21 走行機構
22 搬送ロボット
30A,30B,30C,30D 研磨テーブル
31A,31B,31C,31D トップリング
32A,32B,32C,32D 研磨液供給ノズル
33A,33B,33C,33D ドレッサ
34A,34B,34C,34D アトマイザ
TP1,TP2,TP3,TP4,TP5,TP6,TP7 搬送位置
190 第1洗浄室
191 第1搬送室
192 第2洗浄室
193 第2搬送室
194 乾燥室
201A 上側一次洗浄モジュール
201B 下側一次洗浄モジュール
202A 上側二次洗浄モジュール
202B 下側二次洗浄モジュール
203 仮置き台
205A 上側乾燥モジュール
205B 下側乾燥モジュール
207 フィルタファン装置
209 第1搬送ロボット
210 第2搬送ロボット
211,212 支持軸
300 載置ステージ
301 受け渡しステーション
302 光センサ
302a 投光部
302b 受光部
305 シャッタ