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特開2023-1054733相インバータの制御装置及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105473
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】3相インバータの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230724BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006322
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸二
(72)【発明者】
【氏名】山口 大輝
(72)【発明者】
【氏名】八尾 惇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA03Z
5H770HA14Z
5H770KA01Y
(57)【要約】
【課題】コモンモード電位の変動を低減する。
【解決手段】本制御装置は、3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグと第1乃至第3のレッグを補助する第4のレッグとを含む3相インバータを制御する制御装置であって、第1乃至第3のレッグのうち任意の2つのレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、第1乃至第3のレッグのうち上記任意の2つのレッグ以外のレッグと第4のレッグに対して互いに逆相となる第2のPWM信号を出力する。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグと前記第1乃至第3のレッグを補助する第4のレッグとを含む3相インバータを制御する制御装置であって、
前記第1乃至第3のレッグのうち任意の2つのレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、
前記第1乃至第3のレッグのうち前記任意の2つのレッグ以外のレッグと前記第4のレッグに対して互いに逆相となる第2のPWM信号を出力する
制御装置。
【請求項2】
前記任意の2つのレッグが、位相角の所定範囲毎に変化する
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
位相角に応じた3相分の第1の指令信号を生成する指令信号生成部と、
前記任意の2つのレッグに対応する第1及び第2相の前記第1の指令信号から補正信号を生成する補正信号生成部と、
前記補正信号を前記第1の指令信号の各々に加算して第2の指令信号を生成する加算器と、
前記第1及び第2相以外の相についての前記第2の指令信号と、前記第1相についての前記第2の指令信号とを、キャリア信号とを各々比較することで、第1及び第2のパルス信号を生成する比較器と、
前記第1及び第2のパルス信号に基づき、前記第1のPWM信号及び前記第2のPWM信号を生成するパルス発生器と、
を有する請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1及び第2相を位相角に応じて選択する選択部
をさらに有する請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1乃至第3のレッグの出力の各々は、リアクトルの一端に接続され、当該リアクトルの他端は、前記負荷及び第1のコンデンサの一端に接続され、
前記第4のレッグの出力は、第2のリアクトルの一端に接続され、当該第2のリアクトルの他端は、第2のコンデンサの一端に接続され、
前記第2のコンデンサの他端と、前記第1のコンデンサの他端が接続されている
請求項1乃至4のいずれか1つ記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1乃至第3のレッグの出力の各々は、第1乃至第4の巻き線の巻き数比が1:1:1:3であるトランスのうち前記第1乃至第3の巻き線のいずれかの一端に接続され、前記第1乃至第3の巻き線の他端は前記負荷に接続され、
前記第4のレッグの出力は、前記第4の巻き線の一端に接続され、前記第4の巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサの他端に接続され、
前記第1乃至第3の巻き線の一端と、前記第4の巻き線の一端とは極性が逆になっている
請求項1乃至4のいずれか1つ記載の制御装置。
【請求項7】
3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグと前記第1乃至第3のレッグを補助する第4のレッグとを含む3相インバータを制御する制御方法であって、
前記第1乃至第3のレッグのうち任意の2つのレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、
前記第1乃至第3のレッグのうち前記任意の2つのレッグ以外のレッグと前記第4のレッグに対して互いに逆相となる第2のPWM信号を出力する
制御方法。
【請求項8】
3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグを含む3相インバータを制御する制御装置であって、
前記第1及び第2のレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、
前記第3のレッグに対して、前記第1のPWM信号とは異なる第2のPWM信号を出力し、
前記第1乃至第3のレッグの出力の各々は、第1乃至第4の巻き線の巻き数比が1:1:1:3であるトランスのうち前記第1乃至第3の巻き線のいずれかの一端に接続され、前記第1乃至第3の巻き線の他端は前記負荷に接続され、
前記第3のレッグの出力は、さらに前記第4の巻き線の一端に接続され、前記第4の巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサの他端に接続される
制御装置。
【請求項9】
3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグを含む3相インバータを制御する制御方法であって、
前記第1及び第2のレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、前記第3のレッグに対して、前記第1のPWM信号とは異なる第2のPWM信号を出力するステップ
を含み、
前記第1乃至第3のレッグの出力の各々は、第1乃至第4の巻き線の巻き数比が1:1:1:3であるトランスのうち前記第1乃至第3の巻き線のいずれかの一端に接続され、前記第1乃至第3の巻き線の他端は前記負荷に接続され、
前記第3のレッグの出力は、さらに前記第4の巻き線の一端に接続され、前記第4の巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサの他端に接続される
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相インバータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3つのレッグ(3-leg)を有する従来の三相インバータは、例えば図1に示すような構成を有している。この三相インバータは、スイッチS及びSを含む第1のレッグと、スイッチS及びSを含む第2のレッグと、スイッチS及びSを含む第3のレッグとを含む。各レッグにおいて、上アームと下アームとは、負荷(Load)とY結線されている。
【0003】
このような従来の三相インバータでは、図2(a)に示すように、キャリア信号Cと、三角関数波の指令信号Vu*、Vv*及びVw*とを比較することで、各スイッチに対するスイッチング信号を生成する。具体的には、キャリア信号Cと指令信号Vu*とを比較することで、図2(b)の最上段に示すようなオン/オフ信号を上アームのスイッチング信号として生成する。下アームのスイッチング信号は、上アームのスイッチング信号を基本的には反転させたものである。同様に、キャリア信号Cと指令信号Vv*とを比較することで、図2(b)の2段目に示すようなオン/オフ信号を上アームのスイッチング信号として生成する。さらに、キャリア信号Cと指令信号Vw*とを比較することで、図2(b)の3段目に示すようなオン/オフ信号を下アームのスイッチング信号として生成する。このように生成されたスイッチング信号で各スイッチをスイッチングすることで、負荷側に、図2(b)に示すような電位e、電位e及び電位eが生じる。電位e、e、eは、それぞれ+Ed/2又は-Ed/2、すなわち2値のいずれかになる。また、Y結線された負荷の中性点における電位がコモンモード電位eとなる。eは以下の式で表される。
=(e+e+e)/3
コモンモード電位eは、図2(c)に示すように、+Ed/2、+Ed/6、-Ed/6、-Ed/2、すなわち4値のいずれかになる。
【0004】
電機機器が発生する高周波漏洩電流は、他の電子機器や情報通信機器に侵入して電磁障害を起こすことがあるので好ましくない。高周波漏洩電流は、コモンモード電位eとGND間に接続されるコモンモードインピーダンスZ(図示せず)に流れ、e/Zの大きさになる。コモンモードインピーダンスは容量性の特性を持っている。このため図2(c)に示すような、急峻に大きな振幅で変動するコモンモード電位eが生成される場合、高周波漏洩電流が大きくなる。高周波漏洩電流を低減させるには、コモンモード電位の急峻な変動を抑制することが有効である。
【0005】
このようなコモンモード電位の急峻な変動を抑制するために、第4のレッグを導入する技術が存在している(例えば非特許文献1)。具体的には、図3Aに示すような4レッグ三相インバータである。この図3Aは、図1に示した3レッグの三相インバータに対して、スイッチS及びSを含む第4のレッグが追加されている。そして、各レッグにおいて、上アームと下アームとの接続部分に、リアクトルL及びコンデンサCの直列回路を接続し、コンデンサCの他端を互いに接続する。そして、リアクトルLとコンデンサCとの接続点、リアクトルLとコンデンサCとの接続点、リアクトルLとコンデンサCの接続点を、それぞれ負荷に接続する。なお、第4のレッグにおいて上アームと下アームとの接続部分に生ずる電位をeとする。
【0006】
ここで、e+e+e+e=0となるような電圧eを発生させるようにスイッチS及びSをスイッチングさせることで、コモンモード電位eの急峻な変動を抑制させることが出来るようになる。しかしながら、非特許文献1の技術では、第4のレッグにおけるスイッチング周波数が、他の3つのレッグにおけるスイッチング周波数の3倍となるため、第4のレッグの負担が大きいという問題がある。
【0007】
また、コモンモード電圧の急峻な変動を抑制する他の技術としては、特許文献1で示すような技術が存在する。この技術は、図3Bに示すように、インバータの出力端にコモンモードキャンセラを接続しており、このコモンモードキャンセラは、インバータの三相交流出力端にスター結線されて仮想コモンモード電位e=(e+e+e)/3を検出するコンデンサと、その中性点より得られる仮想コモンモード電位eを電力増幅するコンプリメンタリのトランジスタを用いたプッシュプル形のエミッタホロワ回路と、このエミッタホロワ回路の出力e=eをコンデンサを介して一次側コイルに入力し、その二次側コイルを三相ケーブルに設けたコモンモードトランスとを備えている。トランスの各巻き線の端子電圧をv、v、v、vとすると、以下の式が成り立つ。
=(e+e+e)/3
=e
=e-v
=v=v=v
’=e-v
’=e-v
’=e-v
コモンモード電位eは、e’、e’及びe’の中性点であるから、以下の式が成り立つ。
=(e’+e’+e’)/3=((e-v)+(e-v)+(e-v)/3=v
そして、仮想コモンモード電位eと同じ大きさの電位eをエミッタホロワ回路で発生して、e-vをインバータの出力にコモンモードトランスで重畳させてコモンモード電位を相殺している。vはコンデンサ端子間電圧なので、急峻な電圧変化はない。本技術では、eに対して4値の電位(+Ed/2,+Ed/6,-Ed/6,-Ed/2)を出力する必要があるためエミッタフォロワ回路を用いているが、この回路は導通損失が大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-94244号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Di Han, Silong Li, Wooyoung Choi, Bulent Sarlioglu, “Design, implementation, and evaluation of a GaN-based four-leg inverter with minimal common mode voltage generation” ECCE 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、一側面として、コモンモード電位の変動を低減する新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る制御装置は、3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグと第1乃至第3のレッグを補助する第4のレッグとを含む3相インバータを制御する制御装置であって、第1乃至第3のレッグのうち任意の2つのレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力し、第1乃至第3のレッグのうち上記任意の2つのレッグ以外のレッグと第4のレッグに対して互いに逆相となる第2のPWM信号を出力する。
【0012】
本発明の第2の態様に係る制御装置は、3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグを含む3相インバータを制御する制御装置であって、第1及び第2のレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、第3のレッグに対して、第1のPWM信号とは異なる第2のPWM信号を出力する。なお、第1乃至第3のレッグの出力の各々は、第1乃至第4の巻き線の巻き数比が1:1:1:3であるトランスのうち第1乃至第3の巻き線のいずれかの一端に接続され、第1乃至第3の巻き線の他端は負荷に接続され、第3のレッグの出力は、さらに第4の巻き線の一端に接続され、第4の巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサの他端に接続される。
【発明の効果】
【0013】
一側面によれば、コモンモード電位の変動を低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の従来技術を説明するための図である。
図2図2は、第1の従来技術における信号波形を示す図である。
図3A図3Aは、第2の従来技術を説明するための図である。
図3B図3Bは、第3の従来技術を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施の形態に係る全体構成例を示す図である。
図5図5は、PWM信号生成装置の構成例を示す図である。
図6A図6Aは、第1の実施の形態に係る信号波形の例を示す図である。
図6B図6Bは、第1の実施の形態に係るシミュレーション結果を示す図である。
図7A図7Aは、第2の実施の形態に係る信号波形の例を示す図である。
図7B図7Bは、第2の実施の形態に係るシミュレーション結果を示す図である。
図8図8は、第2の実施の形態に係る全体構成例を示す図である。
図9A図9Aは、第2の実施の形態に係る第1のシミュレーション結果を示す図である。
図9B図9Bは、第2の実施の形態に係る第2のシミュレーション結果を示す図である。
図10図10は、第3の実施の形態に係る全体構成例を示す図である。
図11図11は、第3の実施の形態に係る信号波形の例を示す図である。
図12図12は、第3の実施の形態に係るシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態1]
図4に、本実施の形態に係る全体装置の構成例を示す。3相インバータ2000は、スイッチS及びSを含む第1のレッグ(U相とも呼ぶ)と、スイッチS及びSを含む第2のレッグ(V相とも呼ぶ)と、スイッチS及びSを含む第3のレッグ(W相とも呼ぶ)と、スイッチS及びSを含む第4のレッグ(A相とも呼ぶ)とを有している。なお、第1乃至第4のレッグの上アームには、+Ed/2の電圧が印加されており、第1乃至第4のレッグの下アームには、-Ed/2の電圧が印加されているものとする。
【0016】
3相インバータ2000に含まれる各スイッチのスイッチングを制御するPWM信号は、PWM信号生成装置1000が生成する。このPWM信号生成装置1000の詳細については、後に説明する。なお、PWM信号生成装置1000は、3相インバータ2000に対する制御装置とも呼ぶ。
【0017】
第1のレッグにおいて上アームと下アームとの接続部分には、リアクトルLの一端が接続され、リアクトルLの他端と負荷301との接続点に対してY結線されたコンデンサCが設けられている。同様に、第2のレッグにおいて上アームと下アームとの接続部分には、リアクトルLの一端が接続され、リアクトルLの他端と負荷302との接続点に対してY結線されたコンデンサCが設けられている。さらに、第3のレッグにおいて上アームと下アームとの接続部分には、リアクトルLの一端が接続され、リアクトルリアクトルLの他端と負荷303との接続点に対してY結線されたコンデンサCが設けられている。コンデンサC、C及びCの他端は互いに接続されている。そして、第4のレッグにおいて上アームと下アームとの接続部分は、リアクトルL及びコンデンサVの直列回路を介して、コンデンサC、C及びCの他端に接続されている。負荷301乃至303もY結線されている。
【0018】
第1のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分に、第1のレッグの出力電位eが生じる。また、第2のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分に、第2のレッグの出力電位eが生じる。さらに、第3のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分に、第3のレッグの出力電圧eが生じる。そして、第4のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分に、第4のレッグの出力電位eが生じる。
【0019】
本実施の形態では、
+e+e+e=0
となるように、PWM信号生成装置1000でPWM信号を生成し、この状態を、リアクトルL、L、L及びLとコンデンサC、C、C及びCとで負荷301乃至303に伝えるようになっている。
【0020】
特に、本実施の形態では、U相、V相及びW相のうちの任意の2相については、出力電位が同値の符号違いになるようにし、U相、V相及びW相のうちの残余の1相とA相の出力電位が同値の符号違いになるように、3相インバータ2000を動作させることが特徴となる。
【0021】
本実施の形態に係るPWM信号生成装置1000は、基本的には、第1乃至第3のレッグのうちいずれか2つのレッグの出力電位を互いに逆相にし、第1乃至第3のレッグのうち残余のレッグに対する出力電位と第4のレッグの出力電位を互いに逆相にするように、第1乃至第4のレッグに対するPWM信号を生成する。これによってコモンモード電位の発生を抑制している。
【0022】
図5に、PWM信号生成装置1000の構成例を示す。PWM信号生成装置1000は、位相角θを表す信号を生成する位相信号生成部100と、振幅指令V*を生成する振幅指令生成部101と、位相角θ及び振幅指令V*に応じた指令信号Vu*、Vv*及びVw*を生成する指令信号生成部102と、位相角θに応じて選択信号Sを生成する選択信号生成部110と、指令信号Vu*、Vv*及びVw*と選択信号Sから補正信号Zを演算する補正信号生成部111と、指令信号Vu*、Vv*及びVw*の各々に補正信号Zを加算して指令信号Vu**、Vv**及びVw**を出力する加算器113A乃至113Cと、指令信号Vu**、Vv**及びVw**と選択信号Sから基準波形Vx*及びVy*の演算を行う波形演算器112と、例えば三角波であるキャリア信号Cを生成するキャリア信号生成部105と、波形演算器112の出力Vx*及びVy*とキャリア信号Cとを比較し比較結果eX及びeYを出力する比較器103A及び103Bと、比較器103A及び103Bの出力eX及びeYから相電位の基となるパルス信号eA,eU,eV及びeWを生成するパルス発生器104とを有する。
【0023】
本実施の形態に係るPWM信号生成装置1000の動作について、図6A(a)乃至(f)を用いて説明する。本実施の形態では、指令信号生成部102は、振幅指令V*と位相角θに応じて3相の指令信号Vu*、Vv*及びVw*を生成する。図6A(a)に示すように、三角関数状の指令信号を出力する。
Vu*=V*・sin(θ)
Vv*=V*・sin(θ-120度)
Vw*=V*・sin(θ+120度)
【0024】
選択信号生成部110は、入力された位相角θに応じて、任意の2つの相を表す選択信号Sを出力する。ここでは説明を簡約化するため、第1の選択相をV相、第2の選択相をW相とし、選択信号SとしてV及びWが出力されるものとする。選択信号Sについては、図6A(a)と(b)との間に、V及びWと示されている。
【0025】
補正信号生成部111は、Vu*、Vv*及びVw*と選択信号Sとから補正信号Zを演算する。ここでは選択信号Sを、(第1の選択相=V,第2の選択相=W)とする。そうすると、補正信号Zは以下のように計算される。
Z=-(Va*+Vb*)/2
但し、Va*は第1の選択相(ここではV相)についての指令信号(ここではVv*)、Vb*は第2の選択相(ここではW相)についての指令信号(ここではVw*)である。このように計算された補正信号Zは、例えば図6A(b)に示されるような信号である。
【0026】
加算器113A乃至113Cは、指令信号Vu*、Vv*及びVw*の各々と補正信号Zを加算して指令信号Vu**、Vv**及びVw**を出力する。
Vu**=Vu*+Z
Vv**=Vv*+Z
Vw**=Vw*+Z
ここで、第1の選択相であるV相のVv**と第2の選択相であるW相のVw**が、同振幅で符号違いになることが重要である。このようにして得られた指令信号Vu**、Vv**及びVw**は、例えば図6A(C)に示すような信号である。
【0027】
波形演算器112は、指令信号Vu**、Vv**及びVw**と選択信号Sが入力されて、Vx*及びVy*を出力する。Vx*は、選択信号Sで示されていない相(ここではU相)の指令信号(ここではVu*)であり、Vy*は、第1の選択相(ここではV相)の指令信号(ここではVv**)とする。
【0028】
第1の出力Vx*は、図6A(d)に示すように変化する。なお、図6A(d)には、キャリア信号Cも併せて示されている。比較器103Aは、第1の出力Vx*とキャリア信号Cとを比較して、第1の出力Vx*がキャリア信号Cを超える場合には1を出力し、そうでない場合には-1を出力する。すなわち、Vx*>CであればeX=1、それ以外であればeX=-1とする。そうすると、図6A(e)の上段に示すパルス信号eXが生成される。
【0029】
同様に、第2の出力Vy*は、図6A(d)に示すように変化する。比較器103Bは、第2の出力Vy*とキャリア信号Cとを比較して、第2の出力Vy*がキャリア信号Cを超える場合には1を出力し、そうでない場合には-1を出力する。すなわち、Vy*>CであればeY=1、それ以外であればeY=-1とする。そうすると、図6A(e)の下段に示すパルス信号eYが生成される。
【0030】
本実施の形態では、パルス発生器104は、選択信号Sに応じて以下のルールでeU、eV、eW及びeAを出力する。
・第4相(A相)のパルス信号
eA=-eX
・第1の選択相(ここではV相)のパルス信号
eV=+eY
・第2の選択相(ここではW相)のパルス信号
eW=-eY
・それ以外の相(ここではU相)のパルス信号
eU=+eX
すなわち、第1の選択相と第2の選択相の出力が符号違いになり、A相と残りの相の出力が符号違いになる。
【0031】
図6A(f)の最下段は、パルス信号eAの変化を表しており、最上段はパルス信号eUの変化を表しており、2段目はパルス信号eVの変化を表しており、3段目はパルス信号eWの変化を表している。ここでパルス信号が+1であれば、上アームのオン、下アームのオフを指示するもので、パルス信号が-1であれば、上アームのオフ、下アームのオンを指示するものである。すなわち、このようなパルス信号がPWM信号に対応する。これによって、上アームがオンで下アームがオフであれば+Ed/2が出力され、下アームがオンで上アームがオフであれば-Ed/2が出力される。
【0032】
本実施の形態では、上で述べた動作によって、電位について、e+e+e+e=0が実現されている。具体的には、(e+w)+(e+e)=0+0=0となるように、第4のレッグのスイッチングが制御されている。但し、第1乃至第3のレッグのスイッチング周波数と、第4のレッグのスイッチング周波数は同じであり、第4のレッグのスイッチングについての負担が少なくなっている。
【0033】
図6Bに、シミュレーションの結果を示す。図6B(a)には、コモンモード電位eと、キャパシタCの両端電圧vとを示しており、(b)には、キャパシタCの両端電圧v、キャパシタCの両端電圧v、キャパシタCの両端電圧vとを示している。また、(c)には、リアクトルLに流れる電流i、リアクトルLに流れる電流i、リアクトルLに流れる電流iを表している。(d)はパルス信号eAを表しており、(e)はパルス信号eUを表しており、(f)はパルス信号eVを表しており、(g)はパルス信号eWを表している。なお、シミュレーション結果は、コモンモード電位eの変動を認識できる時間幅で示されており、スイッチングの制御を説明するために示す時間幅とは異なる。シミュレーション結果で示す時間幅については、以下同じである。
【0034】
電流Iu*、Iv*及びIw*は120度位相差の正弦波状になっていることから、バランスのとれた電流を負荷に供給できる。コモンモード電位eは、変動しているが、急峻な変動とはなっていない。なお、本実施の形態で振幅指令V*の最大値は0.66で、それ以上の場合、図6A(a)におけるVx*がキャリア信号Cの振幅を超えるため、交流波形に歪みが発生する。
【0035】
このように、コモンモード電位eの急峻な変動を抑制し、追加された第4のレッグのスイッチング周波数も抑えることが出来るようになる。また、本実施の形態では比較器103が2つで済むなど、従来例よりも制御が簡単になる。
【0036】
[実施の形態1の変形例]
本変形例では、第1の実施の形態における選択信号生成部110の動作のみが異なる。具体的には、選択信号生成部110は、位相角θに応じて、以下の信号を出力する。
0≦θ< 30度 第1の選択相=W,第2の選択相=V
30≦θ< 90度 第1の選択相=U,第2の選択相=V
90≦θ<150度 第1の選択相=U,第2の選択相=W
150≦θ<210度 第1の選択相=V,第2の選択相=W
210≦θ<270度 第1の選択相=V,第2の選択相=U
270≦θ<330度 第1の選択相=W,第2の選択相=U
330≦θ<360度 第1の選択相=W,第2の選択相=V
その他の構成要素における作用と効果は実施の形態1と同じである。
【0037】
図7Aに各種信号の波形例を示す。図7A(a)は、第1の実施の形態についての図6A(a)と同じである。なお、図7A(a)と(b)との間に、選択信号Sの変化が示されている。また、図7A(b)には、補正信号Zが示されている。選択信号Sが位相角θに応じて変化するので、図6A(b)とは異なる信号となっている。さらに、図7A(c)には、指令信号Vu**、Vv**及びVw**を示す。補正信号Zが異なっているので、指令信号Vu**、Vv**及びVw**も異なる波形となっている。Vu**は、30°から150°で0.5程度となり、210°から330°で-0.5程度となる波形である。Vv**は、0°から90°と330°から360°で-0.5程度となり、150°から270°で0.5程度となる波形である。Vw**は、0°から30°と270°から360°で0.5程度となり、90°から210°で-0.5程度となる波形である。そして、図7A(d)には、キャリア信号Cと、Vx*及びVy*とが示されている。Vx*及びVy*は、上で述べたように選択信号Sも指令信号Vu**、Vv**及びVw**も異なっているので、異なる波形となっている。Vy*は、三角関数状であり、Vx*は、おおよそ0.5で小さく変動する波形となっている。従って、図7A(e)に示すように、キャリア信号Cとの比較結果であるパルス信号eX及びeYについても異なる波形となる。結果として、図7A(f)に示すようなパルス信号eU、eV、eW及びeAとが得られるようになる。
【0038】
図7Bに、シミュレーションの結果を示す。図7B(a)には、コモンモード電位eと、キャパシタCの両端電圧vとを示しており、(b)には、キャパシタCの両端電圧v、キャパシタCの両端電圧v、キャパシタCの両端電圧vとを示している。また、(c)には、リアクトルLに流れる電流i、リアクトルLに流れる電流i、リアクトルLに流れる電流iを表している。(d)はパルス信号eAを表しており、(e)はパルス信号eUを表しており、(f)はパルス信号eVを表しており、(g)はパルス信号eWを表している。
【0039】
電流Iu*、Iv*及びIw*は120度位相差の正弦波状になっていることから、バランスのとれた電流を負荷に供給できる。本変形例でも、コモンモード電位eは変動しているが、急峻な変動とはなっていない。なお、本変形例では、振幅指令V*が1.15を超えると図7B(d)で示したVx*の最大値がキャリア信号Cの振幅を超えて交流波形に歪みが発生する。すなわち、本変形では、実施の形態1よりも大きな電圧を出力することができる。
【0040】
このように、コモンモード電位eの急峻な変動を抑制し、追加された第4のレッグのスイッチング周波数も抑えることが出来るようになる。
【0041】
[実施の形態2]
図8に、本実施の形態に係る装置全体の構成例を示す。図4に示したものと同じ構成要素については、同じ符号が付されている。すなわち、3相インバータ2000、負荷301乃至303、及びPWM信号生成装置1000は、第1の実施の形態と同様の構成を有している。但し、3相インバータ2000と負荷301乃至303との接続形態が異なっている。
【0042】
具体的には、巻き数比が1:1:1:3となっているトランス400が新たに導入されている。第1のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分と、第2のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分と、第3のレッグにおける上アームと下アームの接続部分とが、トランス400において巻き数比が1:1:1となっている巻き線の端子のいずれかに接続される。これに対して、第4のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分は、トランス400において3倍巻かれている巻き線の端子に接続されている。
【0043】
トランス400において巻き数比が1:1:1となっている巻き線の他端は、負荷301乃至303のいずれかに接続される。一方、トランス400において3倍巻かれている巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサCの他端に接続されている。なお、巻き線の極性は、3倍巻かれている巻き線(A相分)のみ逆転している。
【0044】
このような構成においても、3相インバータ2000の制御については、第1の実施の形態又はその変形例と同じである。すなわち、以下の数式が成立する。
+e+e+e=0
=v-e=v+(e+e+e
【0045】
このようにすれば、第1乃至第3のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分の電圧e、e及びeのそれぞれから、(e+e+e+v)/3を減算することで、コモンモード電位eに発生していた急峻な変動を低減することができる。
【0046】
図9Aに、第1の実施の形態における図6B(d)乃至(g)に示すようなパルス信号eA、eU、eV及びeWで3相インバータ2000を駆動した場合における各種信号の波形を示す。図9A(a)は、コモンモード電圧eと、キャパシタCの両端の電圧vとを表し、(b)は、トランス400におけるA相用の巻き線端子間電圧vを表し、(c)は、トランス400におけるU相、V相及びW相のそれぞれについての巻き線に流れる電流i、i及びiを表す。なお、図9A(d)乃至(g)は、図6B(d)乃至(g)と同じである。
【0047】
図9A(a)に示すように、コモンモード電位eは、変動しているが、急峻な変動とはなっていない。
【0048】
同様に、図9Bに、第1の実施の形態の変形例における図7B(d)乃至(g)に示すようなパルス信号eA、eU、eV及びeWで3相インバータ2000を駆動した場合における各種信号の波形を示す。図9B(a)は、コモンモード電圧eと、キャパシタCの両端の電圧vとを表し、(b)は、トランス400におけるA相用の巻き線端子間電圧vを表し、(c)は、トランス400におけるU相、V相及びW相のそれぞれについての巻き線に流れる電流i、i及びiを表す。なお、図9B(d)乃至(g)は、図7B(d)乃至(g)と同じである。
【0049】
この例でも、コモンモード電位eは、変動しているが、急峻な変動とはなっていない。このように、コモンモード電位eの急峻な変動を抑制し、追加された第4のレッグのスイッチング周波数も抑えることが出来るようになる。また、特許文献1のようにエミッタフォロワを用いていないので、導通損失が抑制されている。
【0050】
[実施の形態3]
上で述べた実施の形態で示した技術事項を3レッグの三相インバータ2000bに応用した場合を考える。図10に、本実施の形態に係る装置全体の構成例を示す。
【0051】
三相インバータ2000bは、3つのレッグのみ含む。第1のレッグ(U相)における上アームと下アームとの接続部分(e出力部分)と、第2のレッグ(V相)における上アームと下アームとの接続部分(e出力部分)と、第3のレッグ(W相)における上アームと下アームの接続部分(e出力部分)とが、トランス400bにおいて巻き数比が1:1:1となっている巻き線の端子のいずれかに接続される。さらに、本実施の形態では、第1のレッグにおける上アームと下アームとの接続部分は、さらにトランス400bにおいて3倍巻かれている巻き線の端子に接続される。
【0052】
トランス400bにおいて巻き数比が1:1:1となっている巻き線の他端は、負荷301乃至303のいずれかに接続される。一方、トランス400bにおいて3倍巻かれている巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサCの他端に接続されている。
【0053】
一方、第2の実施の形態に係る構成を示す図8と比較すると、トランス400bにおいて3倍巻かれている巻き線の極性が逆になっており、本実施の形態は第4のレッグが存在しないので、第1のレッグ(U相)の出力、すなわちeは、3倍巻かれている巻き線にも入力されている。言い換えると、本実施の形態では、トランス400bに含まれる4つの巻き線は、同じ極性で3相インバータ2000bの各レッグの出力に接続される。
【0054】
PWM信号生成装置1000bは、基本動作は同じであるが、パルス信号eAは生成しない。すなわち、U相、V相及びW相におけるスイッチのスイッチング信号は、第1及び第2の実施の形態(図6A)におけるパルス信号eU、eV及びeWと同じである。具体的には、図11に示すように、PWM信号生成装置1000bは、パルス信号eA以外は、同じような動作にてスイッチング信号を生成する。
【0055】
このように、トランス400bにおいて3倍巻かれている巻き線端子間電圧vも、図9Aと同じになるので、図9Aと同じくコモンモード電位eの急峻な変化を抑制することができる。
【0056】
図12に、シミュレーション結果を示す。第2の実施の形態における図9Aとほぼ同じであるが、図12A(a)において、キャパシタCの両端の電圧vは、第2の実施の形態における巻き線の極性とは逆になっているので、逆相で変動するようになっている。その他は、パルス信号eAが存在しないこと以外は、ほぼ同様であり、コモンモード電位eは、変動しているが、急峻な変動とはなっていない。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、PWM信号生成装置1000及び1000bについては、専用の回路にて実施するようにしても良いし、上記機能を実現するためのプログラムをプロセッサに実行させるようにしても良い。または、専用の回路とプログラムを実行するプロセッサとの組み合わせにて実施するようにしても良い。プログラムを利用する場合、PWM信号生成装置1000及び1000bは、不揮発性メモリと揮発性メモリとプロセッサとを有し、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを、揮発性メモリに読み出して、そのプログラムをプロセッサが実行する。
【0058】
また、各実施の形態の任意の技術的事項を削除したり、いずれかの実施の形態の技術的事項を任意に組み合わせることも可能である。なお、トランス400及び400bの巻き数比1:1:1:3は、トランス400及び400bのA巻き線の漏れインダクタンスが無視できるときの巻き数比である。A巻き線の漏れインダクタンスが大きい、または同巻き線に直列に外付けリアクトルを挿入する場合はA巻き線の巻き数が3よりも小さく設定する。具体的には、A巻き線と直列に挿入されるリアクトル(漏れインダクタンスを含む)をLS、励磁インダクタンスをLMとした場合、巻き数比は1:1:1:(3・LM/LS+LM)となる。
【0059】
なお、上記の実施の形態については、3相モータに加えて、系統連携インバータ、力率改善回路(PFC(Power Factor Correction)回路、PWM整流器)などに適用可能である。コモンモード電位の変動はコモンモード電流の脈動の原因となり、EMI(Electro Magnetic Interference)ノイズとなって機器に悪影響を及ぼすことがある。特に近年SiCにより電力変換器の高周波化が進んでいるのでノイズの問題はより顕在化する傾向にある。このような状況で、上記の実施の形態を様々なパワーエレクトロニクス機器に用いた場合には、コモンモード電位の変動を低減でき、EMIノイズの低減に有効である。
【0060】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0061】
本実施の形態における第1の態様に係る制御装置は、3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグと第1乃至第3のレッグを補助する第4のレッグとを含む3相インバータを制御する制御装置であって、第1乃至第3のレッグのうち任意の2つのレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、第1乃至第3のレッグのうち上記任意の2つのレッグ以外のレッグと第4のレッグに対して互いに逆相となる第2のPWM信号を出力する。
【0062】
このようにすることで、上記任意の2つのレッグの出力電位を加算すれば0になり、上記任意の2つのレッグ以外のレッグと第4のレッグの出力電位を加算すれば0となるので、コモンモード電位も低減されるようになる。
【0063】
なお、上で述べた任意の2つのレッグが、位相角の所定範囲毎に変化するようにしても良い。このようにすれば、負荷に対して大きな電圧を出力可能となる。但し、任意の2つのレッグは位相角に対して固定であっても良い。
【0064】
上記制御装置は、(A)位相角に応じた3相分の第1の指令信号を生成する第1の指令信号生成部(例えば指令信号生成部102)と、(B)上記任意の2つのレッグに対応する第1及び第2相の第1の指令信号から補正信号を生成する補正信号生成部(例えば補正信号生成部111)と、(C)補正信号を第1の指令信号の各々に加算して第2の指令信号を生成する第2の加算器(例えば加算器113A乃至113C)と、(D)第1及び第2相以外の相についての第2の指令信号と、第1相についての第2の指令信号とを、キャリア信号とを各々比較することで、第1及び第2のパルス信号を生成する比較器(例えば比較器103A及び103B)と、(E)第1及び第2のパルス信号に基づき、第1のPWM信号及び第2のPWM信号を生成するパルス発生器(例えばパルス発生器104)とを有するようにしても良い。このような具体的な構成により、上で述べた特徴を有する適切なPWM信号が生成できる。
【0065】
なお、補正信号は、例えば、第1相についての第1の指令信号と第2相についての第1の指令信号との平均に関する信号である。
【0066】
上記制御装置は、第1及び第2相を位相角に応じて選択する選択部(例えば選択信号生成部110)をさらに有するようにしても良い。
【0067】
なお、第1の実施の形態のように、3相インバータと負荷の間には、以下のような構成要素が含まれている場合もある。すなわち、第1乃至第3のレッグの出力の各々は、リアクトルの一端に接続され、当該リアクトルの他端は、負荷及び第1のコンデンサの一端に接続され、第4のレッグの出力は、第2のリアクトルの一端に接続され、当該第2のリアクトルの他端は、第2のコンデンサの一端に接続され、第2のコンデンサの他端と、第1のコンデンサの他端が接続されているようにしても良い。
【0068】
また、第2の実施の形態のように、3相インバータと負荷の間には、以下のような構成要素が含まれている場合もある。すなわち、第1乃至第3のレッグの出力の各々は、第1乃至第4の巻き線の巻き数比が1:1:1:3であるトランスのうち第1乃至第3の巻き線のいずれかの一端に接続され、第1乃至第3の巻き線の他端は負荷に接続され、第4のレッグの出力は、第4の巻き線の一端に接続され、第4の巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサの他端に接続され、第1乃至第3の巻き線の一端と、第4の巻き線の一端とは極性が逆になっているようにしても良い。
【0069】
本実施の形態における第2の態様に係る制御装置は、3相の負荷に対する第1乃至第3のレッグを含む3相インバータを制御する制御装置であって、第1及び第2のレッグに対して互いに逆相となる第1のPWM信号を出力し、第3のレッグに対して、第1のPWM信号とは異なる第2のPWM信号を出力する。そして、第1乃至第3のレッグの出力の各々は、第1乃至第4の巻き線の巻き数比が1:1:1:3であるトランスのうち第1乃至第3の巻き線のいずれかの一端に接続され、第1乃至第3の巻き線の他端は負荷に接続され、第3のレッグの出力は、さらに第4の巻き線の一端に接続され、第4の巻き線の他端は、一端が接地されているコンデンサの他端に接続される。
【0070】
このように3つのレッグを含む3相インバータであっても、4つの巻き線を有するトランスを活用して、上で述べたようなPWM信号を生成することで、コモンモード電位を低減させることが出来るようになる。
【符号の説明】
【0071】
1000,1000b PWM信号生成装置
2000及び2000b 三相インバータ
400,400b トランス
301-303 負荷
100 位相信号生成部 101 振幅指令生成部
102 指令信号生成部 110 選択信号生成部
111 補正信号生成部 113A~113C 加算器
112 波形演算器 105 キャリア信号生成部
103A,103B 比較器 104 パルス発生器
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12