(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105703
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】排泄管理システム、排泄管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20230724BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20230724BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006695
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 健広
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】排泄予測を早期に、かつ精度よく行うことができる排泄管理システム、排泄管理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】計測装置により検知された被介護者の排泄情報を時系列データとして取得する第1取得部と、被介護者の介護記録を取得する第2取得部と、第1基準期間の被介護者の排泄情報の時系列データに基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて、第1排泄時刻を予測する第1予測部と、第1排泄時刻に基づいて、第1排泄ケアプランを作成する第1作成部と、第1取得部により取得された排泄情報、および第2取得部により取得された介護記録を、第1基準期間の被介護者の排泄情報の時系列データおよび介護記録に基づいて生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、第2排泄時刻を予測する第2予測部と、第1排泄ケアプラン、および第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成する第2作成部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置により検知された被介護者の排泄情報を時系列データとして取得する第1取得部と、
前記被介護者の介護記録を取得する第2取得部と、
第1基準期間に前記計測装置から得られた前記被介護者の排泄情報の時系列データに基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて、該被介護者の第1排泄時刻を予測する第1予測部と、
前記第1排泄時刻に基づいて、前記被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成する第1作成部と、
前記第1取得部により取得された排泄情報、および前記第2取得部により取得された介護記録を、前記第1基準期間の前記被介護者の排泄情報の時系列データおよび介護記録に基づいて生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、該被介護者の第2排泄時刻を予測する第2予測部と、
前記第1排泄ケアプラン、および前記第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成する第2作成部と、
を備えた排泄管理システム。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記第1基準期間において前記計測装置により検知された前記被介護者の排泄情報の時系列データを取得し、
前記第1取得部により取得された前記第1基準期間の排泄情報の時系列データを用いて、再帰型の深層学習のアルゴリズムにより前記第1排泄予測モデルを生成する第1生成部を、さらに備えた請求項1に記載の排泄管理システム。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記第1基準期間において前記計測装置により検知された前記被介護者の排泄情報の時系列データを取得し、
前記第2取得部は、前記第1基準期間に対応する前記被介護者の介護記録を取得し、
前記第1取得部により取得された前記第1基準期間の排泄情報の時系列データ、および前記第2取得部により取得された該第1基準期間に対応する介護記録を用いて、アンサンブル学習のアルゴリズムにより前記第2排泄予測モデルを生成する第2生成部を、さらに備えた請求項1または2に記載の排泄管理システム。
【請求項4】
前記第1取得部は、前記第1基準期間よりも短い第2基準期間において前記計測装置により検知された前記被介護者の排泄情報の時系列データを取得し、
前記第2取得部は、前記第2基準期間に対応する前記被介護者の介護記録を取得し、
前記第2予測部は、前記第1取得部により取得された前記第2基準期間における排泄情報の時系列データ、および前記第2取得部により取得された該第2基準期間に対応する介護記録を、前記第2排泄予測モデルに対して入力することにより、該被介護者の前記第2排泄時刻を予測する請求項1~3のいずれか一項に記載の排泄管理システム。
【請求項5】
前記第1作成部により作成された前記第1排泄ケアプランを、表示装置に表示させる表示制御部を、さらに備えた請求項1~4のいずれか一項に記載の排泄管理システム。
【請求項6】
前記第1作成部により作成された前記第1排泄ケアプラン、および前記第2予測部により予測された前記第2排泄時刻に基づいて、前記第2排泄ケアプランの作成の要否を判定する判定部を、さらに備え、
前記第2作成部は、前記判定部により前記第2排泄ケアプランの作成が必要と判定された場合、前記第1排泄ケアプラン、および前記第2排泄時刻に基づいて、前記第2排泄ケアプランを作成する請求項1~5のいずれか一項に記載の排泄管理システム。
【請求項7】
前記判定部により前記第2排泄ケアプランの作成が必要と判定された場合、前記第2作成部により作成された前記第2排泄ケアプランを、表示装置に表示させる表示制御部を、さらに備えた請求項6に記載の排泄管理システム。
【請求項8】
計測装置により検知された被介護者の排泄情報を時系列データとして取得する第1取得ステップと、
前記被介護者の介護記録を取得する第2取得ステップと、
第1基準期間に前記計測装置から得られた前記被介護者の排泄情報の時系列データに基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて、該被介護者の第1排泄時刻を予測する第1予測ステップと、
前記第1排泄時刻に基づいて、前記被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成する第1作成ステップと、
前記第1取得ステップで取得した排泄情報、および前記第2取得ステップで取得した介護記録を、前記第1基準期間の前記被介護者の排泄情報の時系列データおよび介護記録に基づいて生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、該被介護者の第2排泄時刻を予測する第2予測ステップと、
前記第1排泄ケアプラン、および前記第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成する第2作成ステップと、
を有する排泄管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
計測装置により検知された被介護者の排泄情報を時系列データとして取得する第1取得ステップと、
前記被介護者の介護記録を取得する第2取得ステップと、
第1基準期間に前記計測装置から得られた前記被介護者の排泄情報の時系列データに基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて、該被介護者の第1排泄時刻を予測する第1予測ステップと、
前記第1排泄時刻に基づいて、前記被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成する第1作成ステップと、
前記第1取得ステップで取得した排泄情報、および前記第2取得ステップで取得した介護記録を、前記第1基準期間の前記被介護者の排泄情報の時系列データおよび介護記録に基づいて生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、該被介護者の第2排泄時刻を予測する第2予測ステップと、
前記第1排泄ケアプラン、および前記第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成する第2作成ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄管理システム、排泄管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加速する少子高齢化の影響により介護士の人手不足、および1人当たりの介護負担の増加に伴う高い離職率が社会的な問題となっている。介護現場において、いわゆる「排泄ケア」は、被介護者の生活の質を保つ上で最も重要な介護作業の1つである。平成25年度の内閣府の調査によると、介護経験のある696人中、62.5[%]の人が、排泄時の付き添い、または、おむつの交換に苦労したと回答している。介護施設における排泄ケアにおいては、一般的に紙おむつに尿とりパッド・シートを取り付け、定期的な巡回時間を設けることによりパッド・シートの交換を実施している。
【0003】
また、介護作業においては、介護者の負担を一部軽減することも重要であるが、被介護者の尊厳を守ることも重要である。もちろん、被介護者によっては重篤な疾患等の影響からのADL(Activities of Daily Living)が低下し、パッド・シートの使用が不可欠である場合もある。ただし、排泄行為は、元来、他者の介入を必要としなかった行為である。排泄行為に伴う排泄物の処理を他者に委ねることは、被介護者にとって羞恥心を覚えるだけでなく、自尊心を傷つける結果に繋がる可能性がある。介護施設にとっても継続してパッド・シートを購入することで生じるコストが負荷となり得る。また、パッド・シート交換のための定期巡回の遅れにより、褥瘡または弄便といった二次的なトラブルが生じる可能性もある。これらの問題を解消するためには、排泄予測を可能とする発明の創出が不可欠である。
【0004】
このような、介護作業における負担を軽減するために、近年ではセンサによる排泄行動の検知を可能とする技術が開発されてきている。このようなセンサによる排泄行動を検知する技術として、おむつのパットに後付け可能な薄型の水分検知センサによって、早期に被介護者の排泄行動を検知することによって、褥瘡または認知症等のユーザによる弄便等の二次的なトラブルを抑制し、排泄検知データを蓄積し、解析することによりユーザの排泄リズムを把握する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、近年、日常生活において急速に普及が加速しているAI(Artificial Intelligence)を排泄の予測に用いる技術についても少しずつ開発が進んでいる。このような、AIを用いた技術として、食事等の介護記録を教師データとしてAIに学習を行わせ、排泄の予測を行う技術が開示されている(例えば特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、センサによって排泄行動を検知することはできるものの、予め排泄予測をすることはできないため、予測された時刻に対応する介護作業ができないという問題がある。
【0007】
また、排泄を精度よく予測するAIモデルを構築するためには、正確かつ膨大な学習データが必要であるところ、特許文献2に記載された技術では、介護記録を学習データとして用いているため、介護記録から排泄がいつ行われたかという正確な時系列データを取得することが困難である。例えば、パッド・シートの交換のための定期的な巡回の際に、被介護者の排泄状況を確認して介護記録を作成したとしても、実際の排泄時刻と異なる場合が多い。また、高吸収性のパッド・シートを用いた場合には、被介護者が排泄したことを認識できておらず、正確な排泄時刻を取得が困難である。また、特許文献2に記載された技術では、回帰をベースとした機械学習の手法では時系列データの長期記憶に適さないため、排泄時刻の予測結果が得られるのは排泄の1時間前程度である。多くの介護施設では、当日のケアプランを始業時に伝達されるため、その際に排泄ケアプランが提示されることが望ましい。したがって、排泄予測を早期に、かつ精度よく行うことが困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、排泄予測を早期に、かつ精度よく行うことができる排泄管理システム、排泄管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、計測装置により検知された被介護者の排泄情報を時系列データとして取得する第1取得部と、前記被介護者の介護記録を取得する第2取得部と、第1基準期間に前記計測装置から得られた前記被介護者の排泄情報の時系列データに基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて、該被介護者の第1排泄時刻を予測する第1予測部と、前記第1排泄時刻に基づいて、前記被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成する第1作成部と、前記第1取得部により取得された排泄情報、および前記第2取得部により取得された介護記録を、前記第1基準期間の前記被介護者の排泄情報の時系列データおよび介護記録に基づいて生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、該被介護者の第2排泄時刻を予測する第2予測部と、前記第1排泄ケアプラン、および前記第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成する第2作成部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排泄予測を早期に、かつ精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る排泄管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1排泄予測モデルを生成する動作を説明する図である。
【
図5】
図5は、第2排泄予測モデルを生成する動作を説明する図である。
【
図6】
図6は、排泄ケアプランの表示例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る排泄管理システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例に係る排泄管理システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る排泄管理システム、排泄管理方法およびプログラムを詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0013】
また、コンピュータソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラム、その他コンピュータによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう(以下、コンピュータソフトウェアは、ソフトウェアという)。アプリケーションソフトとは、ソフトウェアの分類のうち、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアの総称である。一方、オペレーティングシステム(OS)とは、コンピュータを制御し、アプリケーションソフト等がコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのことである。オペレーティングシステムは、入出力の制御、メモリやハードディスク等のハードウェアの管理、プロセスの管理といった、コンピュータの基本的な管理・制御を行っている。アプリケーションソフトウェアは、オペレーティングシステムが提供する機能を利用して動作する。プログラムとは、コンピュータに対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。また、プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)がプログラムに準ずるものに該当する。
【0014】
(排泄管理システムの構成)
図1は、実施形態に係る排泄管理システムの構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る排泄管理システム1の構成について説明する。
【0015】
図1に示す排泄管理システム1は、被介護者の排泄情報等に基づいて、排泄時刻を予測するための排泄予測モデルを構築し、当該排泄予測モデルを用いて、早期かつ精度よく排泄時刻を予測するためのシステムである。
図1に示すように、排泄管理システム1は、情報処理装置10と、計測装置20と、を有する。
【0016】
情報処理装置10は、計測装置20により検知された排泄情報等の時系列データに基づいて、排泄時刻を予測するための排泄予測モデルを構築し、当該排泄予測モデルを用いて排泄時刻を予測し、排泄ケアプランを作成するPC(Personal Computer)、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末またはサーバ装置等の情報処理装置である。
【0017】
計測装置20は、モニタリングの対象となる被介護者の排便または排尿のうち少なくともいずれかを、生体情報の一例としての排泄情報として検知する装置である。計測装置20は、例えば、被介護者の排便または排尿のうち少なくともいずれかを検知するセンサを備える。当該センサとしては、例えば、パッド・シートに添付するフィルム型の半導体センサであってもよく、ベッドマットレス上に配置するシート型の臭いセンサであってもよい。計測装置20は、例えば、所定周期毎に排泄情報を検知し、ユーザの操作に応じて排泄情報を検知するものとしてもよい。また、計測装置20は、被介護者の排便または排尿のうち少なくともいずれかを検知した時刻(検知時刻)を取得し、排泄情報に当該検知した旨および当該時刻を含めて出力する。これによって、排泄情報を時系列データとして取り扱うことが可能となる。なお、排泄情報は、排便または排尿のいずれかの種別を含むものとしてもよい。計測装置20は、検知した排泄情報を、情報処理装置10へ出力する。なお、計測装置20は、排泄情報を検知する方法および構成については、上述の構成に限定されるものではなく、公知の技術またはセンシング機器を用いることができ、例えば、接触式又は非接触式のセンサ等を備えていてもよい。
【0018】
なお、計測装置20により直接、排泄情報が検知されることに限定されるものではなく、1または複数のその他の生体情報を検知することによって、被介護者の排便または排尿のうち少なくともいずれかを推定するものとしてもよい。例えば、計測装置20は、被介護者の血圧および体動を生体情報として計測し、これらの生体情報から、被介護者の排便または排尿のうち少なくともいずれかを推定して排泄情報として取得するものとしてもよい。また、計測装置20は、被介護者の画像を撮像して当該画像から、排便時または排尿時のうち少なくともいずれかの骨格の動きまたは自立神経のゆらぎを生体情報として求め、排便または排尿のうち少なくともいずれかを推定し、排泄情報として取得するものとしてもよい。また、計測装置20は、被介護者のサーモ映像から得られる下腹部の熱変位等を生体情報として求め、排便または排尿のうち少なくともいずれかを推定し、排泄情報として取得するものとしてもよい。また、計測装置20は、被介護者の睡眠深度を生体情報として計測し、当該生体情報から、被介護者の排便または排尿のうち少なくともいずれかを推定して排泄情報として取得するものとしてもよい。
【0019】
また、計測装置20は、1の装置で構成されることに限定されるものではなく、複数の装置で構成されるものとしてもよい。この場合、計測装置20が複数の装置で構成される場合には、各装置から個別に排泄情報が送信される構成としてもよく、いずれかの装置に排泄情報が収集された後、当該装置から送信される構成としてもよい。
【0020】
情報処理装置10と計測装置20との通信方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を採用することが可能である。例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)またはインターネット等を介してデータ通信を行ってもよい。
【0021】
なお、
図1に示すように、排泄管理システム1は、情報処理装置10と、計測装置20と、を含む構成としたが、情報処理装置10単体で排泄管理システム1を構成するものと捉えてもよい。
【0022】
(情報処理装置のハードウェア構成)
図2は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。
【0023】
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、補助記憶装置505と、メディアドライブ507と、ディスプレイ508(表示装置の一例)と、ネットワークI/F509と、キーボード511と、マウス512と、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ514と、センサI/F515と、を備えている。
【0024】
CPU501は、情報処理装置10全体の動作を制御する演算装置である。ROM502は、情報処理装置10用のプログラムを記憶している不揮発性記憶装置である。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0025】
補助記憶装置505は、例えば、計測装置20で検知された排泄情報等の各種情報、およびプログラム等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。メディアドライブ507は、CPU501の制御に従って、フラッシュメモリ等の記録メディア506に対するデータの読み出しおよび書き込みを制御する装置である。
【0026】
ディスプレイ508は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報を表示する液晶または有機EL(Electro-Luminescence)等によって構成された表示装置である。
【0027】
ネットワークI/F509は、ネットワークを利用して情報処理装置10等の外部装置とデータを通信するためのインターフェースである。ネットワークI/F509は、例えば、イーサネット(登録商標)に対応し、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等に準拠した通信が可能なNIC(Network Interface Card)等である。
【0028】
キーボード511は、文字、数字、各種指示の選択、およびカーソルの移動等を行う入力装置である。マウス512は、各種指示の選択および実行、処理対象の選択、ならびにカーソルの移動等を行うための入力装置である。
【0029】
DVDドライブ514は、着脱自在な記憶媒体の一例としてのDVD-ROMまたはDVD-R(Digital Versatile Disk Recordable)等のDVD513に対するデータの読み出しおよび書き込みを制御する装置である。
【0030】
センサI/F515は、計測装置20と接続し、排泄情報を受信するためのインターフェースである。なお、情報処理装置10が無線LANまたはインターネット等を介して計測装置20とデータ通信を行う場合、情報処理装置10は、ネットワークI/F509を介して排泄情報を受信するものとすればよい。
【0031】
上述のCPU501、ROM502、RAM503、補助記憶装置505、メディアドライブ507、ディスプレイ508、ネットワークI/F509、キーボード511、マウス512、DVDドライブ514およびセンサI/F515は、アドレスバスおよびデータバス等のバス510によって互いに通信可能に接続されている。
【0032】
なお、
図2に示した情報処理装置10のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図2に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。また、情報処理装置10は、
図2に示す単一の情報処理装置で構成されていることに限定されず、複数の情報処理装置等の複数のネットワーク機器により構成されているものとしてもよい。
【0033】
(情報処理装置の機能ブロックの構成および動作)
図3は、実施形態に係る情報処理装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図4は、第1排泄予測モデルを生成する動作を説明する図である。
図5は、第2排泄予測モデルを生成する動作を説明する図である。
図6は、排泄ケアプランの表示例を示す図である。
図3~
図6を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0034】
図3に示すように、情報処理装置10は、第1取得部101と、第2取得部102と、第1生成部103と、第1予測部104と、第1作成部105と、第2生成部106と、第2予測部107と、判定部108と、第2作成部109と、表示制御部110と、表示部111と、記憶部112と、を有する。
【0035】
第1取得部101は、計測装置20により検知された排泄情報を、センサI/F515を介して取得する機能部である。第1取得部101は、取得した排泄情報を、記憶部112に記憶させる。第1取得部101によって計測装置20から順次取得した排泄情報は、当該排泄情報に含まれる検知時刻に基づいた時系列データとして取り扱うことができる。なお、第1取得部101により排泄情報が取得された時刻に基づいて、当該排泄情報を時系列データとして取り扱うものとしてもよい。
【0036】
第2取得部102は、被介護者に対する介護記録を取得する機能部である。介護記録は、排泄の記録に限られず、例えば食事および入浴等といった包括的な記録が含まれることが好ましい。また、第2取得部102は、例えば、キーボード511およびマウス512による入力操作によって介護記録を取得してもよく、または、ネットワークI/F509を介して、外部装置から介護記録を取得してもよい。第2取得部102は、取得した介護記録を、記憶部112に記憶させる。
【0037】
第1生成部103は、所定の期間である第1基準期間において第1取得部101により取得された排泄情報の時系列データを用いて、被介護者の排泄時刻を予測するための第1排泄予測モデルを生成する機能部である。例えば、第1生成部103は、過去の時系列データを記憶しておき新しい事象を処理することができる再帰型の深層学習のアルゴリズムを用いて、時系列データのデータ数に応じてネットワークの深さを調整することにより、第1排泄予測モデルを生成する。再帰型の深層学習のアルゴリズムとしては、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)等が挙げられるが、RNNよりも長期記憶に優位性があるLSTMを用いることが好ましく、LSTMを採用することによって、排泄情報の時系列データが有する長期依存性を効率よく学習することができ、排泄時刻を精度よく予測することが可能となる。ここで、第1基準期間は、例えば、1ヶ月、半年、1年の単位等で任意に決定された長期の期間であればよいが、ユーザにより任意に設定可能とすることが好ましい。ただし、被介護者が重篤な疾患等を発症した場合等、被介護者のADLまたは健康状態に大きな変化が生じた場合は、それ以前の期間の時系列データは用いない方が好ましい。
【0038】
具体的には、第1生成部103は、
図4に示すように、第1取得部101により取得された第1基準期間の排泄情報の時系列データを入力して、LSTM等の再帰型の深層学習のアルゴリズムにより、排泄時刻を予測して出力することができる第1排泄予測モデルを生成する。
【0039】
なお、第1排泄予測モデルにより出力されるのは排泄時刻としているが、第1排泄予測モデルにより出力されるのは、当該予測を行う時点の時刻から、排泄が予測される経過時間であってもよい。ただし、この場合も、当該予測を行う時点の時刻に、予測された経過時間を加算すれば、予測される排泄時刻が求まるため、排泄時刻を予測していると捉えることができる。
【0040】
第1生成部103は、生成した第1排泄予測モデルを、記憶部112に記憶させる。
【0041】
このような、排泄時刻を予測するための排泄予測モデルを生成するために、従来では介護記録に基づく排泄情報が用いられていたが、排泄の場合、正確な排泄時刻を反映した介護記録を作成することは困難である。例えば、パッド・シートの交換のための定期的な巡回の際に、被介護者の排泄状況を確認したとしても実際の排泄時刻と異なる場合が多い。また、高吸収性のパッド・シートを用いることにより、被介護者自身が排泄したことを認識できない場合もあり、正確な排泄時刻を取得が困難である。これに対して、本実施形態では、第1生成部103は、第1取得部101により計測装置20から取得した正確な排泄時刻を反映した排泄情報の時系列データを用いて、第1排泄予測モデルを生成するため、精度高く排泄時刻を予測することが可能となる。
【0042】
なお、上述の排泄情報の時系列データは、補正済みであることが好ましい。例えば、被介護者の排尿量がパット・シートの許容吸収量を超えた場合、正確な排泄時刻を取得することが難しくなるため、当該許容吸収量を超えた後に取得された排泄情報は、正確な排泄時刻が反映されていない外乱情報として影響してしまう。このような場合、排泄予測モデルを生成する上で、排泄情報の時系列データに対して、当該外乱情報を削除する等の補正をする必要がある。外乱情報の削除等の補正の方法としては、例えば予め被介護者のパット・シートの許容吸収量を登録し、排尿量を検出可能なセンサを備えるものとし、検出した排尿量が当該許容吸収量を超えた時刻からおむつの交換がされる時刻までの時系列データを削除する方法等がある。この補正処理は、計測装置20で行われてもよく、情報処理装置10で行われてもよい。排泄情報に対してこのような補正処理を行うことによって、排泄情報についての正確な時系列データを得ることができる。
【0043】
第1予測部104は、記憶部112に記憶された、第1生成部103により生成された第1排泄予測モデルを用いて、被介護者の排泄時刻(第1排泄時刻)を予測する機能部である。ただし、第1排泄予測モデルを用いた排泄時刻の予測は、比較的長い未来の期間における排泄時刻の予測が可能であるが、当該予測時の直前(介護業務の当日または前日等)の排泄情報および介護記録を反映した予測ではないため、予測精度に欠ける場合がある。そのため、本実施形態では、後述するように、第2生成部106により生成され、予測時の直前の排泄情報および介護記録を反映した排泄時刻を予測することができる第2排泄予測モデルを用いる。第1予測部104は、予測した排泄時刻を、第1作成部105へ送る。
【0044】
第1作成部105は、第1予測部104により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成する機能部である。これによって、長期期間である第1基準期間の排泄情報に基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて予測された排泄時刻に基づいて、業務開始前に予め第1排泄ケアプランを作成しておくことができ、介護者による排泄ケアおよびタスク調整、ならびに被介護者の自立支援のプランを、例えば介護者の業務開始前に業務に組み込むことが可能となる。第1作成部105は、作成した第1排泄ケアプランを、判定部108へ送る。
【0045】
第2生成部106は、上述の第1基準期間において第1取得部101により取得された排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された当該第1基準期間に対応する介護記録を用いて、被介護者の排泄時刻を予測するための第2排泄予測モデルを生成する機能部である。例えば、第2生成部106は、重回帰分析等の複数の説明変数と目的変数の関係を予測可能な統計的手法、または、ランダムフォレスト等のアンサンブル学習のアルゴリズムを用いて、第2排泄予測モデルを生成する。
【0046】
具体的には、第2生成部106は、
図5に示すように、第1取得部101により取得された第1基準期間の排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された当該第1基準期間に対応する介護記録して、上述の統計的手法またはアンサンブル学習のアルゴリズムにより、排泄時刻を予測して出力することができる第2排泄予測モデルを生成する。
図5に示す第2排泄予測モデルの例は、ランダムフォレスト等のアンサンブル学習のアルゴリズムを用いて生成されたモデルを示している。すなわち、各時刻に応じた排泄情報および介護記録の組み合わせをデータセット(1)、データセット(2)、・・・、データセット(n)を入力として、学習処理によりそれぞれ対応する決定木(1)、決定木(2)、・・・、決定木(n)を生成する。
【0047】
なお、第2排泄予測モデルにより出力されるのは排泄時刻としているが、第2排泄予測モデルにより出力されるのは、当該予測を行う時点の時刻から、排泄が予測される経過時間であってもよい。ただし、この場合も、当該予測を行う時点の時刻に、予測された経過時間を加算すれば、予測される排泄時刻が求まるため、排泄時刻を予測していると捉えることができる。
【0048】
第2生成部106は、生成した第2排泄予測モデルを、記憶部112に記憶させる。
【0049】
このように、本実施形態では、第2生成部106は、第1取得部101により計測装置20から取得した正確な排泄時刻を反映した排泄情報の時系列データを用いて、第2排泄予測モデルを生成するため、精度高く排泄時刻を予測することが可能となる。
【0050】
また、ランダムフォレスト等のアンサンブル学習のアルゴリズムを用いて、第2排泄予測モデルを生成することによって、介護記録および排泄情報の時系列データが有する因果関係を活用することができ、排泄時刻を精度よく予測することが可能となる。
【0051】
なお、第2生成部106による第2排泄予測モデルの生成に用いられる介護記録に基づく説明変数として、少なくとも食事内容、摂取カロリーおよび水分摂取量が用いられることが好ましい。また、当該食事内容、摂取カロリーおよび水分摂取量は、被介護者の食事、水分摂取後、速やかに、介護者または被介護者により介護記録して蓄積されることが好ましい。これによって、第2排泄予測モデルにより、被介護者の状態に応じた排泄時刻を予測することが可能となる。
【0052】
また、第2生成部106による第2排泄予測モデルの生成に用いられる生体情報に基づく説明変数として、体重、活動量、血圧変位、体温を含めることが好ましく、さらに夜間における睡眠深度の変位を含めることが好ましい。この場合、これらの計測には、計測装置20を用いるものとすればよい。説明変数に用いるこれらのデータについては、第1予測部104により予測された排泄時刻に対して少なくとも前後3時間以内に取得されることが好ましい。これによって、第2排泄予測モデルにより、被介護者の状態に応じた排泄時刻を予測することが可能となる。
【0053】
また、夜間における睡眠深度の変位には周期性があることが知られている。多くの場合、1.5時間の周期で浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)とを繰り返す。これらの睡眠周期と排泄との関連に、例えば、夜尿症(おねしょ)がある。夜尿症はしばしば夢をみている(レム睡眠中)に起こると思われがちだが、多くは深い眠りから浅い眠りに推移する頃が最も多いことが知られている。したがって、第2生成部106による第2排泄予測モデルの生成のために、生体情報としての睡眠深度の変位を説明変数として用いてもよく、これによって、より精度の高い第2排泄予測モデルの構築が可能となる。
【0054】
第2予測部107は、所定の期間である第2基準期間において第1取得部101により取得された排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された当該第2基準期間に対応する介護記録を、第2生成部106により生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、被介護者の排泄時刻(第2排泄時刻)を予測する機能部である。ここで、第2基準期間は、例えば、1時間、半日、1日の単位等で任意に決定された期間であればよいが、少なくとも業務当日を含む期間であるものであり、上述の第1基準期間よりも短い期間である。ただし、被介護者が重篤な疾患等を発症した場合等、被介護者のADLまたは健康状態に大きな変化が生じた場合は、それ以前の期間の時系列データは用いない方が好ましい。
【0055】
このように、第2予測部107では、第1基準期間よりも短い期間(予測の直前の期間)である第2基準期間の排泄情報および介護記録を用いて、第2排泄予測モデルにより排泄時刻を予測するため、被介護者の直近の状態を反映して排泄時刻を予測することが可能となる。
【0056】
第2予測部107は、予測した排泄時刻を、判定部108へ送る。
【0057】
判定部108は、第1作成部105により作成された第1排泄ケアプラン、および第2予測部107により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画の作成の要否を判定する機能部である。判定部108は、例えば、第1排泄ケアプランが示す排泄時刻と、第2予測部107により予測された排泄時刻との時間差分が所定の閾値以上であるか否かを判定し、当該閾値以上である場合、被介護者の排泄ケアの計画の作成が必要であると判定する。判定部108は、判定結果を第2作成部109へ送る。
【0058】
第2作成部109は、判定部108により被介護者の排泄ケアの計画の作成が必要であると判定された場合、第1排泄ケアプラン、および第2予測部107により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画である第2排泄ケアプランを作成する機能部である。この場合、第2作成部109は、第1排泄ケアプランを変更、修正、編集することにより、第2排泄ケアプランを作成するものとしてもよい。すなわち、上述のように、第1作成部105により予め作成された第1排泄ケアプランに対して、予測直前の直近の短い期間である第2基準期間の排泄情報および介護記録を用いて第2排泄予測モデルにより精度よく予測された排泄時刻を用いて、第1排泄ケアプランに対する簡易な変更、修正、編集により第2排泄ケアプランを作成することが可能となる。
【0059】
表示制御部110は、第1作成部105により作成された第1排泄ケアプラン、または第2作成部109により作成された第2排泄ケアプランを、表示部111に表示させる機能部である。表示部111は、表示制御部110の制御に従って、第1排泄ケアプランまたは第2排泄ケアプランを表示する機能部である。表示部111は、
図2に示すディスプレイ508によって実現される。
【0060】
例えば、
図6(b)に、表示部111であるディスプレイ508が、第1排泄ケアプランまたは第2排泄ケアプランを表示している例を示す。なお、表示部111は、ディスプレイ508によって実現されることに限定されず、例えば、
図6(a)に示す被介護者が携帯するスマートウォッチ508a(表示装置の一例)であってもよい。この場合、表示部111は、
図6(a)に示すように、第1排泄ケアプランまたは第2排泄ケアプランを、スマートウォッチ508aに表示させる。また、第1排泄ケアプランおよび第2排泄ケアプランは、介護者向けのものと被介護者向けのものがあるものとし、介護者向けのものはディスプレイ508に表示され、被介護者向けのものはスマートウォッチ508aに表示されるものとしてもよい。これによって、介護者が効率的に排泄支援を行えるだけでなく、被介護者の自発的な排泄行為を促すことが可能となり、また、排泄行為の失敗時においても、従来では排泄をしたこと自体を認識できなかったのに対して、被介護者自身が排泄の失敗を認識することができるため、被介護者の排泄の自立に繋がることが期待できる。
【0061】
記憶部112は、第1取得部101により取得された排泄情報、第2取得部102により取得された介護記録、第1生成部103により生成された第1排泄予測モデル、および第2生成部106により生成された第2排泄予測モデル等を記憶する機能部である。なお、記憶部112は、第1予測部104および第2予測部107により予測された排泄時刻、ならびに、第1作成部105により作成された第1排泄ケアプランおよび第2作成部109により作成された第2排泄ケアプラン等を記憶するものとしてもよい。記憶部112は、
図2に示したRAM503または補助記憶装置505によって実現される。
【0062】
上述の第1取得部101、第2取得部102、第1生成部103、第1予測部104、第1作成部105、第2生成部106、第2予測部107、判定部108、第2作成部109および表示制御部110は、例えば、
図2に示したCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路(集積回路)によって実現されてもよい。
【0063】
また、
図3に示す情報処理装置10の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図3に示す情報処理装置10で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図3に示す情報処理装置10で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0064】
また、上述では、情報処理装置10により第1排泄予測モデルおよび第2排泄予測モデルが生成されるものとしているが、これに限定されるものではなく、クラウド等における外部装置によりこれらのモデルが生成されるものとし、情報処理装置10は、当該モデルを用いて排泄時刻を予測するものとしてもよい。具体的には、第1基準期間および第2基準期間における第1取得部101の排泄情報の取得機能、第2基準期間に対応する第2取得部102の介護記録の取得機能、第1生成部103による第1排泄予測モデルの生成機能、ならびに、第2生成部106による第2排泄予測モデルの生成機能が、外部装置によって実現されるものとしてもよい。
【0065】
(排泄管理システムによる動作の流れ)
図7は、実施形態に係る排泄管理システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図7を参照しながら、本実施形態に係る排泄管理システム1の動作の流れについて説明する。
【0066】
<ステップS11>
情報処理装置10の第2取得部102は、第1基準期間に対応する被介護者に対する介護記録を取得する。第2取得部102は、取得した介護記録を、記憶部112に記憶させる。そして、ステップS12へ移行する。
【0067】
<ステップS12>
情報処理装置10の第1取得部101は、第1基準期間おいて計測装置20により検知された被介護者の排泄情報を、センサI/F515を介して取得する。第1取得部101は、取得した排泄情報を、記憶部112に記憶させる。そして、ステップS13へ移行する。
【0068】
なお、ステップS11およびS12は、当該順番により処理される必要はなく、並列に処理してもよい。
【0069】
<ステップS13>
情報処理装置10の第1生成部103は、記憶部112に記憶された、第1取得部101により取得された第1基準期間の排泄情報の時系列データを用いて、被介護者の排泄時刻を予測するための第1排泄予測モデルを生成する。例えば、第1生成部103は、過去の時系列データを記憶しておき新しい事象を処理することができる再帰型の深層学習のアルゴリズムを用いて、時系列データのデータ数に応じてネットワークの深さを調整することにより、第1排泄予測モデルを生成する。
【0070】
また、情報処理装置10の第2生成部106は、記憶部112に記憶された、第1取得部101により取得された第1基準期間の排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された当該第1基準期間に対応する介護記録を用いて、被介護者の排泄時刻を予測するための第2排泄予測モデルを生成する。例えば、第2生成部106は、重回帰分析等の複数の説明変数と目的変数の関係を予測可能な統計的手法、または、ランダムフォレスト等のアンサンブル学習のアルゴリズムを用いて、第2排泄予測モデルを生成する。そして、ステップS14へ移行する。
【0071】
<ステップS14>
情報処理装置10の第1予測部104は、記憶部112に記憶された、第1生成部103により生成された第1排泄予測モデルを用いて、被介護者の排泄時刻を予測する。そして、ステップS15へ移行する。
【0072】
<ステップS15>
情報処理装置10の第1作成部105は、第1予測部104により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成する。そして、情報処理装置10の表示制御部110は、第1作成部105により作成された第1排泄ケアプランを、表示部111に表示させる。そして、ステップS16へ移行する。
【0073】
<ステップS16>
第2取得部102は、第2基準期間に対応する被介護者に対する介護記録を取得する。第2取得部102は、取得した介護記録を、記憶部112に記憶させる。そして、ステップS17へ移行する。
【0074】
<ステップS17>
第1取得部101は、第2基準期間おいて計測装置20により検知された排泄情報を、センサI/F515を介して取得する。第1取得部101は、取得した排泄情報を、記憶部112に記憶させる。そして、ステップS18へ移行する。
【0075】
なお、ステップS16およびS17は、当該順番により処理される必要はなく、並列に処理してもよい。
【0076】
<ステップS18>
情報処理装置10の第2予測部107は、記憶部112に記憶された、第1取得部101により取得された第2基準期間における排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された当該第2基準期間に対応する介護記録を、第2生成部106により生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、被介護者の排泄時刻を予測する。そして、ステップS19へ移行する。
【0077】
<ステップS19>
情報処理装置10の判定部108は、第1作成部105により作成された第1排泄ケアプラン、および第2予測部107により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画の作成の要否を判定する。判定部108は、例えば、第1排泄ケアプランが示す排泄時刻と、第2予測部107により予測された排泄時刻との時間差分が所定の閾値以上であるか否かを判定し、当該閾値以上である場合、被介護者の第1排泄ケアプランの修正が必要であると判定する。第1排泄ケアプランの修正が必要であると判定された場合(ステップS19:Yes)、ステップS20へ移行し、必要でないと判定された場合(ステップS19:No)、ステップS14へ戻る。
【0078】
<ステップS20>
情報処理装置10の第2作成部109は、判定部108により第1排泄ケアプランの修正が必要であると判定された場合、第1排泄ケアプラン、および第2予測部107により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画である第2排泄ケアプランを作成する。この場合、第2作成部109は、第1排泄ケアプランを変更、修正、編集することにより、第2排泄ケアプランを作成するものとしてもよい。そして、表示制御部110は、第2作成部109により作成された第2排泄ケアプランを、表示部111に表示させる。そして、ステップS14へ戻る。
【0079】
なお、ステップS15で第1排泄ケアプランを表示する代わりに、ステップS19において、第1排泄ケアプランの修正が必要でないと判定された場合に、表示制御部110は、第1排泄ケアプランを、表示部111に表示させるものとしてもよい。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置10では、第1取得部101は、計測装置20により検知された被介護者の排泄情報を時系列データとして取得し、第2取得部102は、被介護者の介護記録を取得し、第1予測部104は、第1基準期間に計測装置20から得られた被介護者の排泄情報の時系列データに基づいて生成された第1排泄予測モデルを用いて、当該被介護者の第1排泄時刻を予測し、第1作成部105は、第1排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成し、第2予測部107は、第1取得部101により取得された排泄情報、および第2取得部102により取得された介護記録を、第1基準期間の被介護者の排泄情報の時系列データおよび介護記録に基づいて生成された第2排泄予測モデルに対して入力することにより、当該被介護者の第2排泄時刻を予測し、第2作成部109は、第1排泄ケアプラン、および第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成するものとしている。これによって、排泄予測を早期に、かつ精度よく行うことができる。
【0081】
また、第1取得部101は、第1基準期間において計測装置20により検知された被介護者の排泄情報の時系列データを取得し、第1生成部103は、第1取得部101により取得された第1基準期間の排泄情報の時系列データを用いて、再帰型の深層学習のアルゴリズムにより第1排泄予測モデルを生成するものとしている。これによって、排泄情報の時系列データが有する長期依存性を効率よく学習することができ、排泄時刻を精度よく予測することが可能となる。
【0082】
また、第1取得部101は、第1基準期間において計測装置20により検知された被介護者の排泄情報の時系列データを取得し、第2取得部102は、第1基準期間に対応する被介護者の介護記録を取得し、第2生成部106は、第1取得部101により取得された第1基準期間の排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された第1基準期間に対応する介護記録を用いて、アンサンブル学習のアルゴリズムにより第2排泄予測モデルを生成するものとしている。これによって、介護記録および排泄情報の時系列データが有する因果関係を活用することができ、排泄時刻を精度よく予測することが可能となる。
【0083】
また、第1取得部101は、第1基準期間よりも短い第2基準期間において計測装置20により検知された被介護者の排泄情報の時系列データを取得し、第2取得部102は、第2基準期間に対応する被介護者の介護記録を取得し、第2予測部107は、第1取得部101により取得された第2基準期間における排泄情報の時系列データ、および第2取得部102により取得された第2基準期間に対応する介護記録を、第2排泄予測モデルに対して入力することにより、被介護者の第2排泄時刻を予測するものとしている。これによって、被介護者の直近の状態を反映して排泄時刻を予測することが可能となる。
【0084】
また、判定部108は、第1作成部105により作成された第1排泄ケアプラン、および第2予測部107により予測された第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランの作成の要否を判定し、第2作成部109は、判定部108により第2排泄ケアプランの作成が必要と判定された場合、第1排泄ケアプラン、および第2排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成するものとしている。これによって、第1排泄ケアプランに含まれる第1排泄時刻と、予測された第2排泄時刻とに乖離がある場合、被介護者の直近の状態を反映した第2排泄時刻を用いた排泄ケアウランを作成することができる。
【0085】
また、表示制御部110は、判定部108により第2排泄ケアプランの作成が必要と判定された場合、第2作成部109により作成された第2排泄ケアプランを、ディスプレイ508、スマートウォッチ508a等に表示させるものとしている。これによって、介護者が効率的に排泄支援を行えるだけでなく、被介護者の自発的な排泄行為を促すことが可能となり、また、排泄行為の失敗時においても、従来では排泄をしたこと自体を認識できなかったのに対して、被介護者自身が排泄の失敗を認識することができるため、被介護者の排泄の自立に繋がることが期待できる。
【0086】
なお、上述の実施形態では、情報処理装置10のディスプレイ508、またはスマートウォッチ508aに対して、介護者向けの排泄ケアプランと、被介護者向けの排泄ケアプランとを表示させるものとしていたが、これに限らず、計測装置20または別の装置に対して排泄ケアプランを表示させるものとしてもよい。また、ネットワークI/F509を介して、ネットワークカメラまたはスピーカ等に接続し、特定の音等で排泄時刻を被介護者に報知するものとしてもよい。
【0087】
(変形例)
変形例に係る排泄管理システムについて、上述の実施形態に係る排泄管理システム1と相違する点を中心に説明する。上述の実施形態では、情報処理装置10は、計測装置20から直接、排泄情報を取得し、第1排泄予測モデルおよび第2排泄予測モデルを生成するものとしていた。本変形例では、計測装置20により検知された排泄情報を、オンプレミスサーバを介してクラウドにアップロードされる構成について説明する。なお、本変形例に係る情報処理装置10のハードウェア構成は、上述の実施形態で説明した構成と同様である。
【0088】
図8は、変形例に係る排泄管理システムの構成の一例を示す図である。
図8を参照しながら、本変形例に係る排泄管理システム1aの構成について説明する。
【0089】
図8に示す排泄管理システム1aは、被介護者の排泄情報等に基づいて、排泄時刻を予測するための排泄予測モデルを構築し、当該排泄予測モデルを用いて、早期かつ精度よく排泄時刻を予測するためのシステムである。
図8に示すように、排泄管理システム1aは、情報処理装置10aと、計測装置20と、クラウド30と、オンプレミスサーバ40と、を有する。
【0090】
オンプレミスサーバ40は、計測装置20により検知された排泄情報を収集するサーバ装置である。例えば、オンプレミスサーバ40は、第1基準期間の排泄情報を収集する。オンプレミスサーバ40は、収集した排泄情報を、クラウド30のAPI(Application Program Interface)を介して当該クラウド30に送信(アップロード)する。また、オンプレミスサーバ40は、第1基準期間に対応する介護記録を、クラウド30のAPIを介して当該クラウド30へ送信(アップロード)する。
【0091】
クラウド30は、オンプレミスサーバ40から受信した第1基準期間の排泄情報および介護記録に基づいて、第1排泄予測モデルおよび第2排泄予測モデルを生成する。
【0092】
情報処理装置10aは、オンプレミスサーバ40から、第2基準期間における計測装置20により検知された排泄情報、および介護記録を取得し、第1排泄予測モデルおよび第2排泄予測モデルを用いて予測された排泄時刻を取得し、それぞれの排泄時刻に基づいて、第1排泄ケアプランおよび第2排泄ケアプランを作成して、表示するPC、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末またはサーバ装置等の情報処理装置である。すなわち、情報処理装置10aは、まず、オンプレミスサーバ40から、第2基準期間における計測装置20により検知された排泄情報、および介護記録を取得し、クラウド30のAPIを介して当該クラウド30に送信(アップロード)する。次に、クラウド30は、生成した第1排泄予測モデルを用いて、被介護者の排泄時刻を予測し、受信した第2基準期間の排泄情報の時系列データ、および当該第2基準期間に対応する介護記録を、生成した第2排泄予測モデルに対して入力することにより、被介護者の排泄時刻を予測する。次に、クラウド30は、第1排泄予測モデルおよび第2排泄予測モデルにより予測したそれぞれの排泄時刻を、情報処理装置10aへ送信する。そして、情報処理装置10aは、第1予測部104により予測された排泄時刻に基づいて、被介護者の排泄ケアの計画である第1排泄ケアプランを作成し、当該第1排泄ケアプラン、および第2排泄予測モデルにより予測された排泄時刻に基づいて、第2排泄ケアプランを作成する。
【0093】
以上のような本変形例に係る排泄管理システム1aの構成では、オンプレミスサーバ40が、上述の実施形態の情報処理装置10の第1取得部101および第2取得部102の機能を担い、クラウド30が、第1生成部103、第1予測部104、第2生成部106、第2予測部107、判定部108および記憶部112の機能を担い、情報処理装置10aが、第1作成部105、第2作成部109、表示制御部110および表示部111の機能を担っている。このような、本変形例に係る排泄管理システム1aの構成によって、上述の実施形態と同様の効果を奏することに加え、排泄情報等のプライベートな情報を、ローカルの情報処理装置10aに取得させることなく、クラウド30へ送信して管理させることにより、個人情報の流出の抑制し、およびセキュリティ対策の観点からも好ましい構成とすることができる。
【0094】
なお、上述の
図3に示した情報処理装置10の各機能部の情報処理装置10a、クラウド30およびオンプレミスサーバ40に対する振り分けは、上記のものに限定されるものではない。例えば、情報処理装置10の第1作成部105および第2作成部109の機能も、クラウド30によって担われるものとしてもよい。
【0095】
また、情報処理装置10aが担う各機能を実現するプログラムは、
図8に示すように、ネイティブアプリケーション(ネイティブアプリ)であってもよく、クラウド30およびオンプレミスサーバ40で実行されるWebアプリと協働して実行されるWebブラウザであってもよい。
【0096】
また、上述の実施形態および変形例の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上述した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)、GPU(Graphics Processing Unit)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0097】
また、上述の実施形態および変形例において、情報処理装置10、10a、クラウド30およびオンプレミスサーバ40の各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態および変形例において、情報処理装置10、10a、クラウド30およびオンプレミスサーバ40で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、DVDまたはSD(Secure Digital)カード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および変形例において、情報処理装置10、10a、クラウド30およびオンプレミスサーバ40で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態および変形例において、情報処理装置10、10a、クラウド30およびオンプレミスサーバ40で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態および変形例において、情報処理装置10、10a、クラウド30およびオンプレミスサーバ40で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0098】
1、1a 排泄管理システム
10、10a 情報処理装置
20 計測装置
30 クラウド
40 オンプレミスサーバ
101 第1取得部
102 第2取得部
103 第1生成部
104 第1予測部
105 第1作成部
106 第2生成部
107 第2予測部
108 判定部
109 第2作成部
110 表示制御部
111 表示部
112 記憶部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
505 補助記憶装置
506 記録メディア
507 メディアドライブ
508 ディスプレイ
508a スマートウォッチ
509 ネットワークI/F
510 バス
511 キーボード
512 マウス
513 DVD
514 DVDドライブ
515 センサI/F
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2011-019726号公報
【特許文献2】特開2019-139693号公報