(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105792
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ジアゾ系化合物、これを含むCMPスラリー組成物及びこれを用いた研磨方法
(51)【国際特許分類】
C07D 249/14 20060101AFI20230724BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230724BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20230724BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20230724BHJP
C07D 249/18 20060101ALI20230724BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20230724BHJP
【FI】
C07D249/14 501
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
C09K3/14 550Z
C09G1/02
C07D249/18 502
C07D249/18 CSP
B24B37/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194885
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0007624
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】崔 世榮
(72)【発明者】
【氏名】金 龍國
(72)【発明者】
【氏名】沈 秀▲妍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 慈英
(72)【発明者】
【氏名】金 廷熙
(72)【発明者】
【氏名】趙 娟振
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED21
3C158ED26
5F057AA03
5F057AA08
5F057AA09
5F057AA28
5F057BA16
5F057BB16
5F057BB23
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA22
5F057EA23
5F057EA25
5F057EA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】腐食防止剤として使用されるジアゾ系化合物を提供する。
【解決手段】下記の化学式1のジアゾ系化合物又はその塩(前記化学式1において、AZ
1、AZ
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアゾール系ヘテロアリール基で、R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基、置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキル基又は置換又は非置換の炭素数3乃至20のヘテロアリール基で、n、mは、それぞれ独立して0乃至2の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1のジアゾ系化合物又はその塩:
【化1】
(前記化学式1において、
AZ
1、AZ
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアゾール系ヘテロアリール基であり、
R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基、置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数3乃至20のヘテロアリール基であり、
n、mは、それぞれ独立して0乃至2の整数である。)。
【請求項2】
前記アゾール系ヘテロアリール基は、1個乃至6個の窒素を有する単環式又は多環式のアゾール系ヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
前記アゾール系ヘテロアリール基は、ジアゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、ペンタゾール基、ベンゾジアゾール基、ベンゾトリアゾール基、又はナフトトリアゾール基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
前記化学式1の化合物は、下記の化学式1-1乃至化学式1-4のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物又はその塩:
【化2】
。
【請求項5】
前記化合物又はその塩は、CMP組成物において腐食防止剤として使用される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
極性溶媒及び非極性溶媒から選択される1種以上の溶媒;
研磨剤;及び
腐食防止剤;
を含み、
前記腐食防止剤は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項の化学式1の化合物又はその塩を含む、CMPスラリー組成物。
【請求項7】
前記腐食防止剤は、前記CMPスラリー組成物の0.001重量%乃至5重量%の量で含まれる、請求項6に記載のCMPスラリー組成物。
【請求項8】
前記腐食防止剤は、ジアゾ基を有さない腐食防止剤をさらに含む、請求項6に記載のCMPスラリー組成物。
【請求項9】
前記ジアゾ基を有さない腐食防止剤は、トリアゾール系腐食防止剤及びテトラゾール系腐食防止剤から選択される1種以上を含む、請求項8に記載のCMPスラリー組成物。
【請求項10】
前記組成物は、錯化剤及び酸化剤から選択される1種以上をさらに含む、請求項6に記載のCMPスラリー組成物。
【請求項11】
前記組成物は、
0.001重量%乃至20重量%の前記研磨剤、
0.001重量%乃至5重量%の前記腐食防止剤、
0.01重量%乃至20重量%の前記錯化剤、
0.1重量%乃至5重量%の前記酸化剤、及び
前記溶媒
を含む、請求項10に記載のCMPスラリー組成物。
【請求項12】
前記CMPスラリー組成物は、銅膜研磨用である、請求項6に記載のCMPスラリー組成物。
【請求項13】
請求項6のCMPスラリー組成物を用いて研磨対象を研磨する段階を含む、研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアゾ系化合物、これを含むCMPスラリー組成物及びこれを用いる研磨方法に関する。より詳細には、本発明は、エロージョン(erosion)などを低下させ、研磨平坦度を高め、且つ研磨速度も高めるジアゾ系化合物、これを含むCMPスラリー組成物及びこれを用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の金属配線層である銅膜を研磨する工程は、十分な研磨速度、バリアー金属又は誘電体に比べて優れた研磨選択性、適切な研磨平坦度及び低い欠陥率を達成しなければならない。特に、パターン微細化によって配線及び層の厚さが低下することに伴って、高い平坦度を具現するCMPスラリーが要求されている。
【0003】
平坦性を改善する方法としては、一般に、腐食防止剤の増量、高分子形態膜形成剤の使用、研磨剤の大きさ及び/又は含量の低減などの方法を挙げることができる。しかし、これらの方法によると、銅研磨速度の低下効果が伴われ、研磨速度とディッシングとの間のトレードオフ(trade-off)傾向が発生していた。ここで、従来の腐食防止剤としては、トリアゾール系又はテトラゾール系化合物が使用されてきた。しかし、トリアゾール系又はテトラゾール系化合物は、多量に使用すると、ある程度の腐食防止性能を提供できるが、研磨速度が相対的に低下するという問題を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、腐食防止剤として使用することができるジアゾ系化合物を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、研磨時のエロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を高め、且つ研磨速度も高めるジアゾ系化合物を提供することにある。
【0006】
本発明の更に他の目的は、エロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を高め、且つ研磨速度も高めるCMPスラリー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点は、ジアゾ系化合物である。
【0008】
1.ジアゾ系化合物は、下記の化学式1又はその塩である:
【0009】
【化1】
(前記化学式1において、
AZ
1、AZ
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアゾール系ヘテロアリール基であり、
R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基、置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数3乃至20のヘテロアリール基であり、
n、mは、それぞれ独立して0乃至2の整数である。)
【0010】
2.1において、前記アゾール系ヘテロアリール基は、1個乃至6個の窒素を有する単環又は多環のアゾール系ヘテロアリール基であってもよい。
【0011】
3.1-2において、前記アゾール系ヘテロアリール基は、ジアゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、ペンタゾール基、ベンゾジアゾール基、ベンゾトリアゾール基、又はナフトトリアゾール基であってもよい。
【0012】
4.1-3において、前記化学式1の化合物は、下記の化学式1-1乃至化学式1-4のうちのいずれか一つで表され得る:
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
5.1-4において、前記化合物又はその塩は、CMP組成物における腐食防止剤として使用されてもよい。
【0018】
本発明の他の観点は、CMPスラリー組成物である。
【0019】
6.CMPスラリー組成物は、極性溶媒及び非極性溶媒から選択される1種以上の溶媒;研磨剤;及び腐食防止剤;を含み、前記腐食防止剤は、本発明の化学式1の化合物又はその塩を含む。
【0020】
7.6において、前記腐食防止剤は、前記CMPスラリー組成物の0.001重量%乃至5重量%の量で含まれてもよい。
【0021】
8.6-7において、前記腐食防止剤は、ジアゾ基を有さない腐食防止剤をさらに含むことができる。
【0022】
9.6-8において、前記ジアゾ基を有さない腐食防止剤は、トリアゾール系及びテトラゾール系腐食防止剤から選択される1種以上を含むことができる。
【0023】
10.6-9において、前記組成物は、錯化剤及び酸化剤から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0024】
11.10において、前記組成物は、前記研磨剤0.001重量%乃至20重量%、前記腐食防止剤0.001重量%乃至5重量%、前記錯化剤0.01重量%乃至20重量%、前記酸化剤0.1重量%乃至5重量%、及び前記溶媒を含むことができる。
【0025】
12.6-11において、前記CMPスラリー組成物は、銅膜研磨用であってもよい。
【0026】
本発明の研磨方法は、本発明のCMPスラリー組成物を用いて研磨対象を研磨する段階を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、腐食防止剤として使用することができるジアゾ系化合物を提供することができる。
【0028】
本発明は、研磨時のエロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を高め、研磨速度も高めるジアゾ系化合物を提供することができる。
【0029】
本発明は、エロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を高め、研磨速度も高めるCMPスラリー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、下記の化学式1で表されるジアゾ系化合物又はその塩である:
【0031】
【化6】
(前記化学式1において、
AZ
1、AZ
2は、それぞれ独立して、置換又は非置換のアゾール系ヘテロアリール基であり、
R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の炭素数1乃至10のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6乃至20のアリール基、置換又は非置換の炭素数7乃至20のアリールアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数3乃至20のヘテロアリール基であり、
n、mは、それぞれ独立して0乃至2の整数である。)
【0032】
本明細書において、「置換又は非置換の」は、該当の官能基のうちの1個以上の水素原子が炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至20のアリール基、炭素数7乃至20のアリールアルキル基、炭素数3乃至20のヘテロアリール基、炭素数3乃至10の脂環族基、水酸基、アミノ基などで置換されていてもよいことを意味する。
【0033】
化学式1の化合物は、腐食防止剤として使用することができる。前記「腐食防止剤」は、CMPスラリー組成物に含まれ、研磨対象の腐食率を低下させる機能を行う。化学式1の化合物は、2個のアゾール系ヘテロアリール基を備えており、アゾール系ヘテロアリール基がジアゾ基によって連結されることによって、エロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を大きく高めながら研磨速度の減少を最小化することができる。
【0034】
一具体例において、化学式1の化合物は、CMPスラリー組成物に腐食防止剤として含まれ、エロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を高めながら研磨速度の低下を最小化することができる。例えば、化学式1の化合物は、金属膜、例えば、銅膜の研磨において腐食防止剤として含まれてもよい。
【0035】
化学式1において、アゾール系ヘテロアリール基は、1個乃至6個の窒素を有する単環式又は多環式のアゾール系ヘテロアリール基であってもよい。前記「多環」は、2個以上のアリール基を含有し、前記アリール基のうちの少なくとも1個は、環を構成する元素として窒素を有するヘテロアリール基であり、前記2個以上のアリール基が互いに融合されているか(fused)、単一結合又は炭素数1乃至炭素数10のアルキレン基によって互いに連結されていることを意味する。アゾール系ヘテロアリール基は、リングを構成する元素として炭素を0個乃至10個有することができる。
【0036】
一具体例において、アゾール系ヘテロアリール基は、環を形成する元素として1個の窒素1個を有するヘテロアリール基、環を形成する元素として2個の窒素を有するヘテロアリール基、環を形成する元素として3個の窒素を有するヘテロアリール基、環を形成する元素として4個の窒素を有するヘテロアリール基、又は環を形成する元素として5個の窒素を有するヘテロアリール基であってもよい。前記ヘテロアリール基は、環を形成する元素として0個乃至6個の炭素を有することができる。
【0037】
例えば、アゾール系ヘテロアリール基は、イミダゾール基 、ピラゾール基 などを含むジアゾール基;1,2,3-トリアゾール基 、1,2,4-トリアゾール基 などを含むトリアゾール基、テトラゾール基、ペンタゾール基、ベンゾジアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ナフトトリアゾール基などであってもよいが、これに制限されない。好ましくは、アゾール系ヘテロアリール基は、ベンゾトリアゾール基、1,2,3-トリアゾール基 、1,2,4-トリアゾール基などであってもよい。
【0038】
アゾール系ヘテロアリール基は、少なくとも一部が水素化されてもよい。
【0039】
化学式1において、n、mは、それぞれ独立して0、1又は2であってもよい。
【0040】
化学式1において、R1、R2は、それぞれ独立して水素、置換又は非置換の炭素数1乃至5のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6乃至10のアリール基、置換又は非置換の炭素数7乃至10のアリールアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数3乃至10のヘテロアリール基であってよく、好ましくは水素であってもよい。
【0041】
一具体例において、化学式1の化合物は、炭素、窒素及び水素のみからなっていてもよい。
【0042】
例えば、化学式1の化合物は、下記の化学式1-1乃至化学式1-4のうちのいずれか一つで表され得る:
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
化学式1の化合物の塩は、化学式1の化合物に酸又は塩基を反応させることによって製造され得る。
【0048】
化学式1の化合物は、当業者に知られている通常の方法で製造されてもよい。例えば、化学式1の化合物は、アミノ基を有するアゾール系化合物をジアゾ化反応させて、前記アゾール系化合物にジアゾ基又はジアゾニウム基を形成させた後、他のアゾール系化合物とジアゾカップリング(coupling)又はジアゾニウムカップリング反応させる段階を含む方法によって製造されてもよい。
【0049】
本発明のCMPスラリー組成物は、極性溶媒及び非極性溶媒から選択される1種以上の溶媒;研磨剤;及び腐食防止剤;を含み、前記腐食防止剤は、本発明の化学式1のジアゾ系化合物又はその塩を含む。これを通じて、本発明の組成物は、エロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を高めながら研磨対象の研磨速度の低下を最小化することができる。本発明の組成物は、本発明の腐食防止剤を含まない組成物に比べて研磨平坦度は高めながら、研磨対象の研磨速度を高い状態に維持することができる。CMPスラリー組成物は、金属膜、例えば、銅膜の研磨用途において使用されてもよい。
【0050】
以下、本発明に係るCMPスラリー組成物(以下、「CMPスラリー組成物」と言う)の構成成分に対して詳細に説明する。
【0051】
腐食防止剤は、化学式1の化合物又はその塩を含む。化学式1の化合物又はその塩は、上記で説明したものと実質的に同一である。化学式1の化合物又はその塩は、従来のトリアゾール系又はテトラゾール系の腐食防止剤に比べて少量で使用されたときにも研磨平坦度を大きく高めることができる。
【0052】
化学式1の化合物又はその塩は、CMPスラリー組成物に含有される全体の腐食防止剤の1重量%乃至100重量%、例えば、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、100重量%、例えば、5重量%乃至100重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、化学式1の化合物又はその塩の添加による効果を得ることができる。
【0053】
腐食防止剤は、ジアゾ基を有さない腐食防止剤をさらに含むことができる。ジアゾ基を有さない腐食防止剤は、トリアゾール系及びテトラゾール系腐食防止剤から選択される1種以上を含むことができる。
【0054】
トリアゾール系腐食防止剤は、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾールなどのトリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールなどを含むジアミノトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾールなどを含むメチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、プロピルベンゾトリアゾール、ブチルベンゾトリアゾール、ペンチルベンゾトリアゾール、ヘキシルベンゾトリアゾールなどを含むベンゾトリアゾール系化合物などを含むことができる。トリアゾール系腐食防止剤は、トリアゾール系自体又はトリアゾール系腐食防止剤の塩の形態でCMPスラリー組成物に含まれてもよい。
【0055】
テトラゾール系腐食防止剤は、テトラゾール、5-アミノテトラゾール、5-メチルテトラゾール、及び5-フェニルテトラゾールから選択される1種以上を含み得るが、これに制限されない。テトラゾール系腐食防止剤は、テトラゾール系腐食防止剤自体又はテトラゾール系腐食防止剤の塩の形態でCMPスラリー組成物に含まれてもよい。
【0056】
腐食防止剤は、CMPスラリー組成物の0.001重量%乃至5重量%、例えば、0.001重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.15重量%、0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、0.45重量%、0.5重量%、0.55重量%、0.6重量%、0.65重量%、0.7重量%、0.75重量%、0.8重量%、0.85重量%、0.9重量%、0.95重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、5重量%、好ましくは、0.005重量%乃至0.5重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、研磨時のエロージョンなどを低下させ、平坦度を大きく高め、研磨速度を高めることができる。
【0057】
極性溶媒及び非極性溶媒から選択される1種以上は、研磨対象を研磨剤で研磨したとき、研磨対象に対する研磨剤の摩擦を減少させることができる。極性溶媒及び非極性溶媒から選択される1種以上は、水(例えば、超純水)、有機アミン、有機アルコール、有機アルコールアミン、有機エーテル、有機ケトンなどであってもよく、好ましくは、超純水、すなわち、脱イオン水であってもよい。極性溶媒及び非極性溶媒から選択される1種以上は、CMPスラリー組成物のうち、残量、例えば、30重量%乃至98重量%で含まれてもよい。
【0058】
研磨剤は、研磨に使用される通常の研磨剤を含むことができる。例えば、研磨剤は、金属又は非金属の酸化物研磨粒子であってもよい。研磨剤は、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカなどを含むシリカ、アルミナ、セリア、チタニア及びジルコニアから選択される1種以上を含むことができる。一具現例によると、研磨剤は、シリカ(例えば、コロイド状シリカ)であってもよいが、これに限定されない。
【0059】
研磨剤は、球形又は非球形の粒子であって、一次粒子の平均粒径(D50)が10nm乃至150nm、例えば、20nm乃至70nmになってもよい。前記範囲で、研磨対象に対する研磨速度を出すことができ、スクラッチの発生を防止することができ、研磨後の平坦度を高めることができる。前記「平均粒径(D50)」は、当業者に知られている通常の粒径を意味し、体積を基準にして研磨剤を最小から最大まで分布させたとき、50体積%に該当する粒子の粒径を意味する。
【0060】
研磨剤は、表面改質されていてもよく、又は表面改質されていなくてもよい。表面改質された粒子は、CMP組成物中の研磨剤の分散安定性をさらに高めたり、研磨速度をさらに高めることができる。表面改質は、研磨剤を表面改質用化合物で処理することによって行われ得る。表面改質用化合物としては、シラン系化合物を挙げることができる。シラン系化合物は、研磨剤がシリカである場合、表面改質を容易にすることができる。シラン系化合物は、メルカプト基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、及び炭素数1乃至10のアルキル基を有するアルキル基含有アルコキシシランから選択される1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0061】
研磨剤は、CMPスラリー組成物の0.001重量%乃至20重量%、好ましくは0.005重量%乃至10重量%の量、さらに好ましくは0.01重量%乃至5重量%、最も好ましくは0.05重量%乃至3重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、研磨対象を十分な研磨速度で研磨することができ、スクラッチの発生を防止することができ、組成物の分散安定性を良好にすることを促進することができる。
【0062】
CMPスラリー組成物は、錯化剤及び酸化剤から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0063】
錯化剤は、研磨対象の研磨時に発生する金属陽イオンをキレート化し、生成された金属酸化物をキレート化させる。これを通じて、金属酸化物が被研磨層である研磨対象に再び吸着することを抑制し、研磨対象に対する研磨速度を増加させ、表面欠陥を減少させることができる。
【0064】
錯化剤は、有機酸、有機酸の塩、アミノ酸、アミノ酸の塩、ジアルコール、トリアルコール、ポリアルコールなどのアルコール類、アミン含有化合物、リン酸、及びリン酸塩から選択される一つ以上を含むことができ、好ましくは、錯化剤としてアミノ酸を使用することができる。前記「有機酸」は、アミノ酸に比べてアミノ基(-NH2)を有さない酸を意味する。錯化剤としてアミノ酸を使用する場合、有機酸又は有機酸の塩、リン酸塩を使用した場合に比べて研磨対象の研磨速度を高めることができる。
【0065】
有機酸は、カルボン酸基を1個又は2個以上有する有機カルボン酸を含むことができる。例えば、有機酸は、グリコール酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ギ酸、サリチル酸、ジメチル酪酸、オクタン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などの飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、クエン酸などを含むことができる。例えば、有機酸の塩は、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどを含むことができる。
【0066】
アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン、グルタミン酸、プロリン、オキシプロリン、アルギニン、シスチン、ヒスチジン、チロシン、ロイシン、リシン、メチオニン、バリン、イソロイシン、トリオニン、トリプトファン、及びフェニルアラニンから選択される一つ以上を含むことができる。好ましくは、アミノ酸としてグリシンを使用することによって、銅膜の研磨速度がさらに改善され得る。
【0067】
リン酸塩は、リン酸三アンモニウム、リン酸三アンモニウム三水和物などを使用することができる。
【0068】
錯化剤は、CMPスラリー組成物の0.01重量%乃至20重量%、好ましくは0.1重量%乃至10重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、研磨対象に対する研磨速度、組成物の分散安定性、研磨対象の表面特性が良好になり得る。
【0069】
酸化剤は、研磨対象を酸化させ、研磨対象に対する研磨を容易にし、研磨対象の表面を均一にし、研磨後にも表面粗さを良好にすることができる。
【0070】
酸化剤は、無機過化合物、有機過化合物、臭素酸又はその塩、硝酸又はその塩、塩素酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ヨウ素酸又はその塩、鉄又はその塩、銅又はその塩、希土類金属酸化物、遷移金属酸化物、及び二クロム酸カリウムから選択される一つ以上を含むことができる。前記「過化合物」は、一つ以上の過酸化基(-O-O-)を含むか、最高酸化状態の元素を含む化合物である。好ましくは、酸化剤として過化合物を使用することができる。例えば、過化合物は、過酸化水素、過ヨウ素酸カリウム、過硫酸カルシウム、及びフェリシアン化カリウムから選択される一つ以上、好ましくは過酸化水素であってもよい。
【0071】
酸化剤は、CMPスラリー組成物の0.1重量%乃至5重量%、好ましくは0.5重量%乃至3重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、優れた研磨効果があり得る。
【0072】
CMPスラリー組成物は、pH調節剤をさらに含むこともできる。pH調節剤は、有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを含むことができる。pH調節剤は、無機酸、例えば、硝酸、リン酸、塩酸及び硫酸のうちの一つ以上を含むことができる。pH調節剤は、CMPスラリー組成物の0重量%乃至1重量%の量で含まれてもよい。
【0073】
CMPスラリー組成物は、界面活性剤、分散剤、改質剤、表面活性剤などの通常の添加剤をさらに含むことができる。
【0074】
CMPスラリー組成物は、pHが5乃至9、好ましくは6乃至8であってもよい。
【0075】
本発明の研磨方法は、本発明のCMPスラリー組成物を用いて研磨対象を研磨する段階を含む。
【0076】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈することはできない。
【実施例0077】
実施例1
【0078】
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール0.084g(0.001mol)を蒸留水100gに溶解させ、HCl 0.101g(36wt%、0.001mol)を投入し、氷水槽を用いて0℃乃至5℃で強く撹拌した。NaNO2 1.3g(5wt%、0.001mol)をゆっくり滴下した後、1時間にわたって維持及び撹拌することによってジアゾ塩を製造した。エタノール50g及び超純水50gに5-メチルベンゾトリアゾール0.133g(0.001mmol)を溶解させ、NaOH 2.5Mの水溶液4gを追加した後、30分間かけて前記ジアゾ塩が入っている反応器に滴下した。滴下後、1時間にわたって撹拌・維持した後、減圧乾燥することによって0.217gの前記化学式1-1を収得した。製造した化合物のNMR結果は次の通りであり、これを通じて、化学式1-1の化合物が製造されたことを確認した:NMR結果:1H NMR、2.4ppm 3H、7.0ppm 1H、7.6ppm 1H、7.7ppm 1H、8.0ppm 1H
【0079】
CMPスラリー組成物の総重量に対して、研磨剤(コロイダルシリカ、NP60、平均粒径:50nm)0.33重量%、錯化剤としてグリシン(固相、JL Chem社)1.3重量%、腐食防止剤として、前記製造した化学式1-1の化合物0.02重量%及び3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール0.3重量%を含有し、超純水を含ませ、CMPスラリー組成物を製造した。pH調節剤(硝酸又は水酸化カリウム)を使用してCMPスラリー組成物のpHをpH7.3に調節した。pH調節後、酸化剤として過酸化水素(液相、Dongwoo Fine Chemistry社)1.00重量%を追加し、下記の表1のCMPスラリー評価組成を確保した。下記の表1において、「-」は、該当の成分が含まれないことを意味する。
【0080】
実施例2
【0081】
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール0.084g(0。001mol)を蒸留水100gに溶解させ、HCl 0.101g(36wt%、0.001mol)を投入し、氷水槽を用いて0℃~5℃で強く撹拌した。NaNO2 1.3g(5wt%、0.001mol)をゆっくり滴下した後、1時間にわたって維持・撹拌することによってジアゾ塩を製造した。エタノール50g及び超純水50gにベンゾトリアゾール0.119g(0.001mmol)を溶解させ、NaOH 2.5Mの水溶液4gを追加し、30分間かけて前記ジアゾ塩が入っている反応器に滴下した。滴下後、1時間にわたって撹拌・維持した後、減圧乾燥することによって0.203gの前記化学式1-2を収得した。
【0082】
製造した化合物のNMR結果は次の通りであり、これを通じて、化学式1-2の化合物が製造されたことを確認した:NMR結果:1H NMR、6.6ppm 2H、7.4ppm 2H 7.6ppm 1H
【0083】
実施例1において各成分の種類及び含量を下記の表1(単位:重量%)のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0084】
実施例3
【0085】
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール0.084g(0.001mol)を蒸留水100gに溶解させ、HCl 0.101g(36wt%、0.001mol)を投入し、氷水槽を用いて0℃~5℃で強く撹拌した。NaNO2 1.3g(5wt%、0.001mol)をゆっくり滴下した後、1時間にわたって維持・撹拌することによってジアゾ塩を製造した。超純水100gに3-アミノ-1,2,4-トリアゾール0.084g(0.001mmol)を溶解させ、NaOH 2.5Mの水溶液4gを追加し、30分間かけて前記ジアゾ塩が入っている反応器に滴下した。滴下後、1時間にわたって撹拌・維持した後、減圧乾燥することによって0.170gの前記化学式1-3を収得した。製造した化合物のNMR結果は次の通りであり、これを通じて、化学式1-3の化合物が製造されたことを確認した:NMR結果:1H NMR、8.1ppm 2H
【0086】
実施例1において各成分の種類及び含量を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0087】
実施例4
【0088】
3-アミノ-1,2,4-トリアゾール0.084g(0.001mol)を蒸留水100gに溶解させ、HCl 0.101g(36wt%、0.001mol)を投入し、氷水槽を用いて0℃~5℃で強く撹拌した。NaNO2 1.3g(5wt%、0.001mol)をゆっくり滴下した後、1時間にわたって維持・撹拌することによってジアゾ塩を製造した。超純水100gに4-アミノ-1,2,4-トリアゾール0.084g(0.001mmol)を溶解させ、NaOH 2.5Mの水溶液4gを追加し、30分間かけて前記ジアゾ塩が入っている反応器に滴下した。滴下後、1時間にわたって撹拌・維持した後、減圧乾燥することによって0.170gの前記化学式1-4を収得した。製造した化合物のNMR結果は次の通りであり、これを通じて、前記化学式1-4の化合物が製造されたことを確認した:NMR結果:1H NMR、7.4ppm 1H、7.7ppm 1H、8.2ppm 1H
【0089】
実施例1において各成分の種類及び含量を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0090】
比較例1乃至比較例3
【0091】
実施例1において各成分の種類及び含量を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0092】
実施例及び比較例で製造したスラリー組成物に対して下記の表1の物性を評価し、その結果を下記の表1に示した。
【0093】
(1)銅研磨速度(単位:Å/分):
【0094】
シリコン酸化膜に銅膜が積層された直径300mmのブランケットウェハー(blanket wafer)研磨対象に対して下記の条件で研磨させた後、研磨前後の面抵抗変化をエッチングされた厚さに換算することによって研磨速度を計算した。
【0095】
研磨機:Reflexion LK 300mm(AMAT社)
【0096】
研磨パッド:IC1000
【0097】
研磨時間:ブランケット研磨量によって研磨時間を変更する。
【0098】
Head rpm:87rpm
【0099】
Platen rpm:98rpm
【0100】
流速(Flow rate):200mL/min
【0101】
圧力(Pressure):1.0psi
【0102】
研磨量の測定:面抵抗測定機
【0103】
(2)エロージョン(単位:nm):60℃で研磨液を1時間放置した。(1)と同一の方法で研磨した後、パターンのプロファイルをInSight CAP Compact Atomic Profiler(bruker社)で測定した。エロージョンは、研磨したウェハーの0.18/0.18μmのパターン領域でperi oxideとcell oxideとの高さ差で計算した。スキャン速度は100μm/秒にし、スキャン長さは2mmにした。
【0104】
【0105】
前記表1のように、本発明の化学式1の化合物は、研磨時のエロージョンなどを低下させ、研磨平坦度を大きく高め、研磨速度も高めたCMPスラリー組成物を提供した。
【0106】
その一方で、本発明の化学式1の化合物を含まない組成物を使用した比較例は、研磨平坦度が高くなく、銅研磨速度も高くなかった。
【0107】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。