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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105822
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】濃度調整システム及び濃度調整方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20230724BHJP
   B09B 101/67 20220101ALN20230724BHJP
【FI】
B09B3/30 ZAB
B09B101:67
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006399
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2022006155
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畑 雅郎
(72)【発明者】
【氏名】平岡 利夫
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA12
4D004CA13
4D004CA40
4D004DA01
4D004DA02
4D004DA07
4D004DA10
4D004DA11
4D004DA16
4D004DA20
(57)【要約】
【課題】脱水後の被処理物から所定濃度のスラリーを生成することを可能とする濃度調整システム及び濃度調整方法を提供する。
【解決手段】槽と、液体を槽に供給する第1供給路と、被処理物を槽に供給する第2供給路と、槽外に設けられ、槽内の液体及び被処理物を槽内から流入させ更に流入した液体及び被処理物を槽内に流出させる流路と、流路内における被処理物の状態を判定する状態判定器と、状態判定器の測定結果に基づき、液体の供給量及び被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽と、
被処理物を前記槽に供給する第1供給路と、
液体を前記槽に供給する第2供給路と、
前記槽外に設けられ、前記槽内の前記液体及び前記被処理物を前記槽内から流入させ更に流入した前記液体及び前記被処理物を前記槽内に流出させる流路と、
前記流路内における前記被処理物の状態を判定する状態判定器と、
前記状態判定器の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する制御装置と、を備えた、濃度調整システム。
【請求項2】
更に、前記槽に供給された前記液体及び前記被処理物の重量を測定する重量計を備え、
前記流路は、前記槽に供給された前記液体及び前記被処理物の重量が所定の範囲内に到達したことに応じて、前記槽内の前記液体及び前記被処理物を前記槽内から流入させる、請求項1に記載の濃度調整システム。
【請求項3】
前記状態判定器は、前記流路内における前記被処理物の濃度を測定する濃度測定器であり、
前記制御装置は、前記濃度測定器の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する、請求項1に記載の濃度調整システム。
【請求項4】
前記状態判定器は、前記流路内における前記液体及び前記被処理物の電気伝導度を測定する電気伝導度計であり、
前記制御装置は、前記電気伝導度計の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する、請求項1に記載の濃度調整システム。
【請求項5】
前記状態判定器は、前記流路内における前記液体及び前記被処理物の圧力を測定する圧力計であり、
前記制御装置は、前記圧力計の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する、請求項1に記載の濃度調整システム。
【請求項6】
前記濃度測定器は、
マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器または超音波を発生させる超音波発生器を有し、
前記流路内における前記被処理物の濃度を前記マイクロ波発生器が発生させたマイクロ波または前記超音波発生器が発生させた超音波によって測定し、
前記制御装置は、前記濃度測定器の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する、請求項3に記載の濃度調整システム。
【請求項7】
前記濃度測定器は、
光を照射する光照射装置を有し、
前記流路内における前記被処理物の濃度を前記光照射装置が照射した光によって測定し、
前記制御装置は、前記濃度測定器の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する、請求項3に記載の濃度調整システム。
【請求項8】
請求項1に記載の濃度調整システムにおける濃度調整方法であって、
前記状態判定器の測定結果を示す値が所定の値より大きい場合、前記第1供給路から前記液体を前記槽に供給する、濃度調整方法。
【請求項9】
前記被処理物の状態を示す値が所定の値より小さい場合、前記第2供給路から前記被処理物を前記槽に供給する、請求項8に記載の濃度調整方法。
【請求項10】
前記状態判定器の測定結果を示す値が所定の値に到達した場合、前記槽内の前記液体及び前記被処理物を前記槽外に排出する、請求項8に記載の濃度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度調整システム及び濃度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、紙おむつ等の各種の再生設備では、パルプ、高吸水性高分子(SAP:Superabsorbent polymer)及びプラスチック等の有価物(以下、被処理物または回収物とも呼ぶ)に付着する汚染物質(例えば、紙おむつに残留するし尿等の汚物)の洗浄処理が行われる。
【0003】
このような洗浄処理では、通常、被処理物に付着していた多くの汚染物質が洗浄溶液に移行する。そのため、上記のような再生設備では、洗浄処理が行われた後、洗浄溶液を被処理物から分離する脱水処理が行われる(特許文献1乃至3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-135046号公報
【特許文献2】特開2020-195994号公報
【特許文献3】特開2021-041310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のような再生設備では、脱水処理の後工程を適切に行う必要性から、脱水後の被処理物を所定濃度のスラリーにすることが求められる場合がある。
【0006】
しかしながら、上記のような脱水処理は、固液分離を目的とした物理操作であるため、被処理物の状態等によって脱水後の被処理物の含水率が変動する。また、脱水後の被処理物は、固体化しているため、含水率の測定を正確に行うことができない場合がある。したがって、脱水処理の後において、脱水後の被処理物を所定濃度にすることが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような脱水後の被処理物を所定濃度のスラリーにするため、本発明における濃度調整システムは、槽と、液体を前記槽に供給する第1供給路と、被処理物を前記槽に供給する第2供給路と、前記槽外に設けられ、前記槽内の前記液体及び前記被処理物を前記槽内から流入させ更に流入した前記液体及び前記被処理物を前記槽内に流出させる流路と、前記流路内における前記被処理物の状態を判定する状態判定器と、前記状態判定器の測定結果に基づき、前記液体の供給量及び前記被処理物の供給量のうちの少なくとも1つを制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明における濃度調整システムによれば、脱水後の被処理物を所定濃度にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、濃度調整システム100の構成図である。
図2図2は、濃度調整処理の具体例について説明するグラフである。
図3図3は、濃度調整処理の具体例について説明するグラフである。
図4図4は、濃度調整システム200の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[第1の実施の形態における濃度調整システム100]
初めに、第1の実施の形態における濃度調整システム100について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における濃度調整システム100の構成図である。濃度調整システム100は、紙おむつ等の各種の再生設備に設けられる。
【0012】
濃度調整システム100の前段には、再生対象である被処理物1に対して脱水処理を実行する脱水機10が設けられている。また、濃度調整システム100の後段には、濃度調整後の被処理物1(換言すれば、含水率調整後の被処理物1)に対して所定の処理を実行する後工程を実行する設備が設けられている。
【0013】
脱水処理は、固液分離を目的とした物理操作であり、脱水対象物(例えば、被処理物1)を常に同じ含水率にすることは困難であることが一般的に知られている。脱水対象物が含有する回収物やその他不純物の影響により、脱水後の脱水対象物の含水率が変動する。例えば、含水率は、最大で50(%)程度変動する場合がある。また、脱水後の脱水対象物は、固体化しているために含水率の正確な測定は困難である。
【0014】
また、一般的には正確な測定を行うためには水分を蒸発させて重量を測定し元の重量との差分を水分と見なし、含水率を算出する方法が使用される。しかしながら、水分の蒸発には使用熱源のコストと時間が必要となる。含水率を測定し、測定結果に基づき、脱水後の脱水対象物の濃度を所定の濃度に調整するのはコスト面や処理効率の面で困難である。
【0015】
また、濃度調整システム100の後工程で使用される装置の中には、脱水後の被処理物1の濃度を所定の範囲内に調整しないと適切な処理が実行できない装置がある。すなわち、かかる装置は、いわゆる被処理物1の適切な濃度幅が狭い。そのため、かかる装置が、脱水後の被処理物1に対して処理を実行するためには、可能な限りこの装置が適切に処理できる目標濃度に、被処理物1の濃度を調整する必要がある。すなわち、可能な限り、脱水後の被処理物1の濃度を目標濃度にする必要がある。
【0016】
発明者は、鋭意研究の結果、脱水後の被処理物1の含水率が変動しても、簡易かつ安価な構成で、脱水後の被処理物1を所定濃度にする(いわゆる所定濃度のスラリーを生成する)濃度調整システムを発明するに至った。
【0017】
濃度調整システム100は、図1に示すように、例えば、脱水機10において脱水された被処理物1からスラリー3を生成する槽20と、槽20において生成されたスラリー3の状態を判定する状態判定器30と、槽20において生成されるスラリー3の濃度を調整する制御装置40とを有する。
【0018】
濃度調整システム100の前段である脱水機10は、例えば、被処理物1に対して洗浄溶液(図示せず)を注入することによって、被処理物1を洗浄する洗浄処理を行う。そして、脱水機10は、例えば、被処理物1の洗浄を行った後の洗浄溶液を被処理物1から分離する脱水処理を行う。具体的に、脱水機10は、例えば、被処理物1の含水率が50(%)になるように脱水処理を行って被処理物1を固体化する。その後、脱水機10は、例えば、脱水処理を行った後の被処理物1をラインL1(以下、第1供給路L1とも呼ぶ)から槽20に投入する。しかしながら、前記したように、所定の含水率になるように被処理物1を脱水するのは困難である。
【0019】
槽20において、例えば、脱水機10から投入された被処理物1に対して、ラインL2(以下、第2供給路L2とも呼ぶ)を介して液体が注入されることによって脱水後の被処理物1が希釈され、スラリー3が生成される。以下、注入される液体を希釈溶液2とも呼ぶ。
【0020】
具体的に、槽20は、例えば、被処理物1及び希釈溶液2を貯留する槽本体21と、槽本体21に貯留する被処理物1及び希釈溶液2を撹拌する複数の撹拌翼22と、撹拌翼22が取り付けられた回転軸23と、回転軸23を長軸周りに回転させるモータ24と、槽本体21が貯留する被処理物1及び希釈溶液2の重量を測定する重量計25とを有する。
【0021】
状態判定器30は、例えば、槽20において生成されたスラリー3の濃度を測定する濃度測定器(以下、濃度測定器30とも呼ぶ)である。
【0022】
制御装置40は、例えば、CPU(Computing Processing Unit)とメモリとを有するコンピュータ装置である。そして、制御装置40は、例えば、槽20において生成されるスラリー3の濃度が予め定められた目標濃度(例えば、15(%))になるように、槽20に対して供給する被処理物1の量と、希釈溶液2の量とのうちの少なくとも1つを制御する。目標濃度は、例えば、脱水処理の後工程を適切に行うために必要な濃度である。また、ここでの後工程は、例えば、被処理物1の粉砕等を行うリファイナー処理や被処理物1を含む液体内の有機物を分解するオゾン処理である。
【0023】
具体的に、制御装置40は、例えば、槽20に対する被処理物1の供給量を脱水機10に対して指示することによって、槽20に対して供給される被処理物1の量を制御する。また、制御装置40は、例えば、槽20に対して希釈溶液2を供給するラインL2に設けられた弁V1の開閉制御を行うことによって、槽20に対して供給する希釈溶液2の量を制御する。なお、制御装置40は、例えば、脱水機10、状態判定器30及び弁V1のそれぞれと通信回線L11を介して接続している。以下、槽20において生成されるスラリー3の濃度を調整する処理(以下、濃度調整処理とも呼ぶ)の具体例について説明を行う。
【0024】
[濃度調整処理の具体例]
図2及び図3は、濃度調整処理の具体例について説明するグラフである。図2及び図3に示すグラフにおける横軸は、時間(濃度調整処理の実行時間)を示しており、図2及び図3に示すグラフにおける縦軸は、槽20において生成されたスラリー3の濃度を示している。
【0025】
図2では、初回の濃度測定時におけるスラリー3の濃度(初回濃度)が、目標濃度よりも大きい場合に、徐々に希釈溶液2を供給して、スラリー3の濃度を目標濃度に近づける場合の処理を示している。図3では、初回の濃度測定時におけるスラリー3の濃度(初回濃度)が、目標濃度よりも小さい場合に、徐々に脱水後の被処理物1を供給して、スラリー3の濃度を目標濃度に近づける場合の処理を示している。
【0026】
初めに、制御装置40は、例えば、弁V1の開制御を行った後、槽20において生成されるスラリー3の濃度が予め定められた初回濃度になるように、槽20に対して脱水後の被処理物1と希釈溶液2とを供給する。なお、以下、槽20に供給された脱水後の被処理物1を単に被処理物1とも呼ぶ。そして、制御装置40は、例えば、モータ24を制御して被処理物1と希釈溶液2とを撹拌することによって、槽20に供給された被処理物1と希釈溶液2とからスラリー3を生成する。初回濃度は、図2に示すように、例えば、目標濃度よりも高い濃度である。以下、初回濃度が目標濃度よりも高い場合について説明を行う。
【0027】
具体的に、制御装置40は、例えば、槽20に供給された被処理物1の重量(重量計25が計測した被処理物1の重量)が予め定められた所定の重量になるまで、槽20に対する被処理物1の供給を脱水機10に行わせる。そして、槽20に供給された被処理物1の重量が所定の重量になった場合、制御装置40は、例えば、過去の運用時において測定された被処理物1の含水率の平均値または中央値を推定含水率として決定する。続いて、制御装置40は、例えば、脱水機10から投入された被処理物1の含水率が推定含水率である場合において、初回濃度のスラリー3の生成に必要と判断できる希釈溶液2の量(以下、必要溶液量とも呼ぶ)を決定する。その後、制御装置40は、例えば、決定した必要溶液量の希釈溶液2が槽20に供給されるように、弁V1の開閉制御を行う。
【0028】
次に、制御装置40は、例えば、弁V1の閉制御を行った後、吸引ポンプPを用いることによって、ラインL3(以下、流路L3とも呼ぶ)を介して槽20において生成されたスラリー3を濃度測定器30に供給する。そして、濃度測定器30は、例えば、槽20において生成されたスラリー3の濃度を測定する。
【0029】
その後、制御装置40は、例えば、濃度測定器30が測定したスラリー3の濃度と目標濃度とを比較する。
【0030】
その結果、例えば、スラリー3の濃度が目標濃度よりも大きい場合、制御装置40は、例えば、濃度測定器30に供給されたスラリー3を槽20に対して再度供給した後、弁V1の開制御を行い、予め定められた量の希釈溶液2を槽20に対してさらに供給する。そして、制御装置40は、槽20におけるスラリー3の生成以降の処理を再度行う。
【0031】
すなわち、制御装置40は、図2に示すように、例えば、槽20において生成されたスラリー3の濃度を徐々に小さくすることによって、スラリー3の濃度を目標濃度に徐々に近づける。
【0032】
一方、スラリー3の濃度が目標濃度よりも小さい場合、制御装置40は、図3に示したように、例えば、濃度測定器30に供給されたスラリー3を槽20に対して再度供給した後、予め定められた量(重量)の被処理物1を槽20に対してさらに供給する。そして、制御装置40は、槽20におけるスラリー3の生成以降の処理を再度行う。
【0033】
また、スラリー3の濃度が目標濃度と一致した場合、制御装置40は、濃度調整処理を終了する。すなわち、制御装置40は、この場合、槽20において目標濃度のスラリー3が生成されたものと判定する。
【0034】
このように、制御装置40は、例えば、槽20において生成したスラリー3を槽20と濃度測定器30との間において循環させながら徐々に濃度調整を行うことで、脱水後の被処理物1の含水率が不明である場合であっても目標濃度のスラリー3を生成することが可能になる。また、制御装置40は、例えば、槽20において生成するスラリー3の濃度が最初から目標濃度になるように濃度調整を行う代わりに、槽20において生成したスラリー3を槽20と濃度測定器30との間において循環させながら徐々に濃度調整を行うことで、スラリー3の濃度についてのチャタリング幅の抑制や発散の防止が可能になる。
【0035】
なお、制御装置40は、例えば、スラリー3の濃度が目標濃度よりも大きく、かつ、スラリー3の濃度と目標濃度との差が所定以上である場合に、希釈溶液2のさらなる供給を行うものであってもよい。また、制御装置40は、例えば、スラリー3の濃度が目標濃度よりも小さく、かつ、スラリー3の濃度と目標濃度との差が所定以上である場合に、被処理物1のさらなる供給を行うものであってもよい。さらに、制御装置40は、例えば、スラリー3の濃度と目標濃度との差が所定未満である場合に、濃度調整処理を終了するものであってもよい。
【0036】
[濃度調整システム100の変形例(1)]
次に、濃度調整システム100の第1の変形例について説明を行う。
【0037】
図1から図3に示す例では、状態判定器30がスラリー3の濃度を測定する濃度測定器30である場合について説明を行ったが、状態判定器30は、例えば、流路内におけるスラリー3の電気伝導度を測定する電気伝導度計(以下、電気伝導度計30とも呼ぶ)であってもよい。
【0038】
そして、制御装置40は、この場合、電気伝導度計30が複数回計測した電気伝導度の変化に従って、濃度調整処理を行うものであってもよい。
【0039】
すなわち、スラリー3が流動するラインL3内では、スラリー3に含まれる固形物の量によって液中のイオンの移動が阻害される。言い換えれば、スラリー3の濃度に応じて、流路内におけるスラリー3の電気伝導度が変化する。そのため、制御装置40は、ラインL3内におけるスラリー3の電気伝導度の変化に従うことによっても、濃度調整処理の実行が可能になる。
【0040】
[濃度調整システム100の変形例(2)]
次に、濃度調整システム100の第2の変形例について説明を行う。
【0041】
図1から図3に示す例では、状態判定器30がスラリー3の濃度を測定する濃度測定器30である場合について説明を行ったが、状態判定器30は、例えば、流路内におけるスラリー3の圧力を測定する圧力計(以下、圧力計30とも呼ぶ)であってもよい。
【0042】
そして、制御装置40は、この場合、圧力計30が複数回計測した圧力の変化に従って、濃度調整処理を行うものであってもよい。
【0043】
すなわち、スラリー3が流動するラインL3内では、スラリー3に含まれる固形物の量によってスラリー3の粘性や摩擦抵抗が増加する。言い換えれば、スラリー3の濃度に応じて、流路内におけるスラリー3の圧力が変化する。そのため、制御装置40は、ラインL3内におけるスラリー3の圧力の変化に従うことによっても、濃度調整処理の実行が可能になる。
【0044】
[濃度調整システム100の変形例(3)]
次に、濃度調整システム100の第3変形例について説明を行う。
【0045】
図1から図3に示す例では、状態判定器30がスラリー3の濃度を測定する濃度測定器30である場合について説明を行ったが、濃度測定器30は、例えば、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器(図示せず)を有するものであってもよい。そして、濃度測定器30は、この場合、例えば、流路内におけるスラリー3の濃度をマイクロ波発生器が発生させたマイクロ波によって測定するものであってもよい。
【0046】
また、濃度測定器30は、例えば、超音波を発生させる超音波発生器(図示せず)を有するものであってもよい。そして、濃度測定器30は、この場合、例えば、流路内におけるスラリー3の濃度を超音波発生器が発生させた超音波によって測定するものであってもよい。
【0047】
具体的に、本変形例における濃度測定器30が有するマイクロ波発生器(以下、単にマイクロ波発生器とも呼ぶ)は、例えば、スラリー3にマイクロ波を透過させるものであってもよい。そして、本変形例における濃度測定器30は、この場合、例えば、マイクロ波発生器から発生したマイクロ波(送信波)に対するスラリー3を透過した後のマイクロ波(受信波)の減衰状況から、スラリー3の濃度を測定するものであってもよい。
【0048】
また、本変形例における濃度測定器30が有する超音波発生器(以下、単に超音波発生器とも呼ぶ)は、例えば、スラリー3に超音波を透過させるものであってもよい。そして、本変形例における濃度測定器30は、この場合、例えば、超音波発生器から発生した超音波のスラリー3中の一定の距離における走時時間(音速)から、スラリー3の濃度を測定するものであってもよい。
【0049】
さらに具体的に、本変形例における濃度測定器30は、例えば、マイクロ波の送信波と受信波との位相差を用いることよって、スラリー3の濃度を測定するものであってもよい。この場合、本変形例における濃度測定器30は、例えば、スラリー3の濃度が0(%)である場合における送信波と受信波との位相(θ1)と、測定対象のスラリー3における送信波と受信波との位相(θ2)とをそれぞれ算出し、算出した位相(θ1)と位相(θ2)との位相差を用いることによって、スラリー3の濃度を測定するものであってもよい。
【0050】
すなわち、発明者らは、例えば、スラリーが汚染物質(例えば、紙おむつに残留するし尿等の汚物、つまり排泄物由来の有機物等)を含んでいる場合であっても、マイクロ波や超音波の送信波と受信波との位相差に対する影響が小さいこと、また、超音波の走時時間に対する影響が小さいことを見出した。そして、発明者らは、例えば、スラリーが汚染物質を含んでいる場合であっても、スラリーの濃度を安定的にかつ正しく測定できることを確認した。
【0051】
そのため、本変形例における濃度測定器30では、例えば、スラリー3の濃度をマイクロ波や超音波を用いて測定することで、スラリー3の汚染状態に依らず、スラリー3の濃度を安定的に測定することが可能になる。したがって、本変形例における濃度測定器30では、例えば、スラリー3に汚染物質が含まれる場合であっても、スラリー3を濃度が所定の濃度になるように調整を行うことが可能になる。
【0052】
[濃度調整システム100の変形例(4)]
次に、濃度調整システム100の第4変形例について説明を行う。
【0053】
図1から図3に示す例では、状態判定器30がスラリー3の濃度を測定する濃度測定器30である場合について説明を行ったが、濃度測定器30は、例えば、光を照射する光照射装置(図示せず)を有するものであってもよい。そして、濃度測定器30は、この場合、例えば、流路内におけるスラリー3の濃度を光照射装置が照射した光によって測定するものであってもよい。
【0054】
具体的に、本変形例における濃度測定器30が有する光照射装置(以下、単に光照射装置とも呼ぶ)は、例えば、スラリー3に光(例えば、近赤外線光)を透過させるものであってもよい。そして、濃度測定器30は、この場合、例えば、光照射装置が照射した光の透過率からスラリー3の濃度を測定するものであってもよい。
【0055】
すなわち、発明者らは、例えば、汚染物質に起因するスラリーの着色が処理毎や処理対象物毎に変化する場合であっても、光照射装置(例えば、近赤外線を光源とする光照射装置や波長の異なる複数の光源を備えた光照射装置)から照射された光を用いることで、スラリーの濃度を安定的にかつ正しく測定できることを確認した。
【0056】
そのため、本変形における濃度測定器30では、例えば、光照射装置から照射された光を用いてスラリー3の濃度を測定することで、スラリー3の着色状況に依らず、スラリー3の濃度を安定的に測定することが可能になる。したがって、本変形例における濃度測定器30では、例えば、汚染物質に起因する着色物(例えば、紙おむつに残留するし尿等の汚物に起因する着色物)がスラリー3に含まれる場合であっても、スラリー3の濃度が所定の濃度になるように調整を行うことが可能になる。
【0057】
また、本変形例における濃度測定器30では、例えば、スラリー3に気泡が含まれる可能性がある場合であっても、スラリー3を濃度が所定の濃度になるように調整を行うことが可能になる。
【0058】
[第2の実施における濃度調整システム200]
次に、第2の実施の形態における濃度調整システム200について説明を行う。図4は、第2の実施の形態における濃度調整システム200の構成図である。以下、図1で説明した濃度調整システム100と異なる点について説明を行う。
【0059】
第2の実施の形態における制御装置40は、弁V1の開閉制御に加え、濃度測定器30において濃度測定を行ったスラリー3を槽20に対して再度供給するラインL3に設けられた弁V2の開閉制御と、槽20において生成されたスラリー3を他の装置(例えば、次工程を行う装置)に供給するラインL4に設けられた弁V3の開閉制御とを行う。なお、第2の実施の形態における制御装置40は、脱水機10、状態判定器30、弁V1、弁V2及び弁V3のそれぞれと通信回線L11を介して接続している。
【0060】
[濃度調整処理の具体例]
次に、第2の実施の形態のおける濃度調整処理の具体例について説明を行う。以下、第1の実施の形態における濃度調整処理と異なる点について説明を行う。
【0061】
初めに、制御装置40は、例えば、弁V1の開制御を行った後、槽20において生成されるスラリー3の濃度が予め定められた初回濃度になるように、槽20に対して被処理物1と希釈溶液2とを供給する。そして、制御装置40は、例えば、モータ24を制御して被処理物1と希釈溶液2とを撹拌することによって、槽20に供給された被処理物1と希釈溶液2とからスラリー3を生成する。
【0062】
続いて、制御装置40は、例えば、弁V1の閉制御を行った後、吸引ポンプPを用いることによって、ラインL3を介して槽20において生成されたスラリー3を濃度測定器30に供給する。そして、濃度測定器30は、槽20において生成されたスラリー3の濃度を測定する。
【0063】
その後、制御装置40は、濃度測定器30が測定したスラリー3の濃度と目標濃度とを比較する。
【0064】
その結果、例えば、スラリー3の濃度が目標濃度よりも大きい場合、制御装置40は、例えば、弁V2の開制御を行い、濃度測定器30に供給されたスラリー3を槽20に対して再度供給した後、弁V1の開制御を行い、予め定められた量の希釈溶液2を槽20に対してさらに供給する。そして、制御装置40は、スラリー3の生成以降の処理を再度行う。
【0065】
一方、スラリー3の濃度が目標濃度よりも小さい場合、制御装置40は、例えば、弁V2の開制御を行い、濃度測定器30に供給されたスラリー3を槽20に対して再度供給した後、予め定められた量の被処理物1を脱水機10から槽20に対してさらに供給する。そして、制御装置40は、スラリー3の生成以降の処理を再度行う。
【0066】
また、スラリー3の濃度が目標濃度と一致した場合、制御装置40は、例えば、弁V3の開制御を行い、吸引ポンプ(図示せず)を用いることによって、ラインL4を介してスラリー3を濃度測定器30から他の装置(例えば、次工程を行う装置)に供給する。
【0067】
すなわち、制御装置40は、この場合、槽20において目標濃度のスラリー3が生成されたものと判定し、槽20において生成されたスラリー3を他の装置に供給する。
【0068】
これにより、制御装置40は、槽20において生成されたスラリー3の濃度が目標濃度と一致した場合、槽20において生成したスラリー3を槽20と濃度測定器30との間においてさらに循環させることなく、槽20の外に排出することが可能になる。そのため、制御装置40は、槽20におけるスラリー3の生成を連続的に行うことが可能になる。
【0069】
このように、第1の実施の形態における濃度調整システム100及び第2の形態における濃度調整システム200によれば、脱水後の被処理物1の含水率が変動しても、スラリー3の濃度を測定することで、所定の濃度のスラリー3を生成することができる。再生設備では、被処理物1の性状が一定ではなく変動し、脱水後の被処理物1の含水率を一定にすることが困難である。そして、再生設備では、脱水後の被処理物1に更に処理を行う際に、脱水後の被処理物1の濃度(スラリー3の濃度)を所定の範囲内に調整する必要がある。このように含水率を一定することが困難であり、脱水後の被処理物1の濃度を所定の範囲内に調整する必要がある場合であっても、簡易な構成で、脱水後の被処理物1の濃度を調整することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:被処理物 2:希釈溶液
3:スラリー 10:脱水機
20:槽 21:槽本体
22:撹拌翼 23:回転軸
24:モータ 25:重量計
30:状態判定器 40:制御装置
100:濃度調整システム 200:濃度調整システム
L1:ライン L2:ライン
L3:ライン L4:ライン
L11:通信回線 P:吸引ポンプ
V1:弁 V2:弁
V3:弁
図1
図2
図3
図4