(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106293
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】駆動装置および駆動方法
(51)【国際特許分類】
G05D 3/12 20060101AFI20230725BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20230725BHJP
G05B 11/36 20060101ALI20230725BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230725BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20230725BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230725BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230725BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20230725BHJP
G03B 5/04 20210101ALI20230725BHJP
【FI】
G05D3/12 W
H02P5/46 F
G05B11/36 D
G03B30/00
G03B5/00 J
G02B7/02 C
G02B7/04 E
G02B7/08 C
G03B5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177005
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2022007064
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂元 亮太
(72)【発明者】
【氏名】横堀 匠
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5H004
5H303
5H572
【Fターム(参考)】
2H044AC03
2H044BE09
2H044BE18
2H044DB02
2H044DC01
2H044DC10
2H044DE06
2K005BA42
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA40
2K005CA53
5H004GA04
5H004HA07
5H004HB07
5H004HB08
5H004KB01
5H303AA21
5H303BB03
5H303BB06
5H303CC01
5H303DD11
5H303FF03
5H303GG10
5H303KK02
5H303KK03
5H303KK04
5H303LL03
5H303MM05
5H303QQ06
5H572AA20
5H572DD05
5H572EE03
5H572GG01
5H572HC07
5H572JJ03
5H572JJ17
5H572JJ25
5H572LL32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の駆動源の間での駆動能力の不均衡によるレンズの傾きをレンズの位置に応じて補正する。
【解決手段】光学素子の検出位置と、上記光学素子の目標位置とに基づいて、上記光学素子の駆動量を演算する演算部と、上記駆動量、上記検出位置、および、上記目標位置が入力され、前記駆動量と、前記光学素子の傾きに応じたパラメータと、前記検出位置および前記目標位置のいずれかと、に基づいて前記駆動量を補正した補正駆動量を生成し、前記駆動量と前記補正駆動量を出力する補正部と、上記駆動量および上記補正駆動量のいずれか一方に応じた第1の駆動力を、上記光学素子を予め定められた方向に移動させるための複数の駆動源のうちの第1の駆動源へ与える第1の駆動部と、上記駆動量および上記補正駆動量のいずれか他方に応じた第2の駆動力を、上記複数の駆動源のうちの第2の駆動源へ与える第2の駆動部と、を備える、駆動装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子の検出位置と、前記光学素子の目標位置とに基づいて、前記光学素子の駆動量を演算する演算部と、
前記駆動量、前記検出位置、および、前記目標位置が入力され、前記駆動量と、前記光学素子の傾きに応じたパラメータと、前記検出位置および前記目標位置のいずれかと、に基づいて前記駆動量を補正した補正駆動量を生成し、前記駆動量と前記補正駆動量を出力する補正部と、
前記駆動量および前記補正駆動量のいずれか一方に応じた第1の駆動力を、前記光学素子を予め定められた方向に移動させるための複数の駆動源のうちの第1の駆動源へ与える第1の駆動部と、
前記駆動量および前記補正駆動量のいずれか他方に応じた第2の駆動力を、前記複数の駆動源のうちの第2の駆動源へ与える第2の駆動部と、
を備える、駆動装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記検出位置の関数に基づいて前記駆動量を補正する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
予め定められた第1の係数を「係数1」、および、予め定められた第2の係数を「係数2」とすると、
前記補正部は、前記演算部により演算された前記駆動量に応じた駆動電流を、数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×検出位置×係数2」を用いて補正する、
請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記検出位置と前記駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて前記駆動量を補正する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記補正部は、前記目標位置の関数に基づいて前記駆動量を補正する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
予め定められた第1の係数を「係数1」、および、予め定められた第2の係数を「係数2」とすると、
前記補正部は、前記演算部により演算された前記駆動量に応じた駆動電流を、数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×目標位置×係数2」を用いて補正する、
請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記目標位置と前記駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて前記駆動量を補正する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記補正部は、前記駆動量の補正に、前記検出位置および前記目標位置のいずれかを用いるか否かを切替可能に構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記補正部は、前記第1の駆動源および前記第2の駆動源の特性に応じて、前記検出位置および前記目標位置のいずれかを用いた補正と、前記検出位置および前記目標位置を用いない補正とを切り替える切替部を有する、請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記補正部は、前記光学素子の傾きに応じたパラメータに基づいて前記複数の駆動源のうちのどの駆動源を基準にして前記駆動量を補正するかを選択する、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記傾きに応じたパラメータは、前記複数の駆動源のそれぞれに最大電流を流した場合に検出される前記光学素子の傾きを示す、請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記演算部は、前記検出位置と前記目標位置とを用いたフィードバック制御により前記駆動量を演算する、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項13】
第1の駆動源と第2の駆動源とを含む複数の駆動源を駆動する駆動方法であって、
光学素子の傾きを検出することと、
前記光学素子の傾きに応じたパラメータを生成することと、
前記光学素子の位置を検出し、検出位置を出力することと、
前記光学素子の検出位置と、前記光学素子の目標位置とに基づいて、前記光学素子の駆動量を演算することと、
前記駆動量と、前記光学素子の傾きに応じたパラメータと、前記検出位置および前記目標位置のいずれかと、に基づいて前記駆動量を補正した補正駆動量を生成することと、
前記光学素子の傾きに応じたパラメータに基づいて、前記第1の駆動源と前記第2の駆動源のどちらを前記補正駆動量に応じた駆動力で駆動するかを選択することと、
を備えた、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「前記制御器は、1つの駆動源に発生させる駆動力に所定のオフセット力を与え、他の駆動源の駆動力を前記オフセット力により生じる駆動力の不均衡を補償するように制御する。」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-045484号
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、駆動装置を提供する。上記駆動装置は、光学素子の検出位置と、上記光学素子の目標位置とに基づいて、上記光学素子の駆動量を演算する演算部を備えてよい。上記駆動装置は、上記駆動量、上記検出位置、および、上記目標位置が入力され、上記駆動量と、上記光学素子の傾きに応じたパラメータと、上記検出位置および上記目標位置のいずれかと、に基づいて上記駆動量を補正した補正駆動量を生成し、上記駆動量と上記補正駆動量を出力する補正部を備えてよい。上記駆動装置は、上記駆動量および上記補正駆動量のいずれか一方に応じた第1の駆動力を、上記光学素子を予め定められた方向に移動させるための複数の駆動源のうちの第1の駆動源へ与える第1の駆動部を備えてよい。上記駆動装置は、上記駆動量および上記補正駆動量のいずれか他方に応じた第2の駆動力を、上記複数の駆動源のうちの第2の駆動源へ与える第2の駆動部を備えてよい。
【0004】
上記補正部は、上記検出位置の関数に基づいて上記駆動量を補正してよい。
【0005】
予め定められた第1の係数を「係数1」、および、予め定められた第2の係数を「係数2」とすると、上記補正部は、上記演算部により演算された上記駆動量に応じた駆動電流を、数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×検出位置×係数2」を用いて補正してよい。
【0006】
上記補正部は、上記検出位置と上記駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて上記駆動量を補正してよい。
【0007】
上記補正部は、上記目標位置の関数に基づいて上記駆動量を補正してよい。
【0008】
予め定められた第1の係数を「係数1」、および、予め定められた第2の係数を「係数2」とすると、上記補正部は、上記演算部により演算された上記駆動量に応じた駆動電流を、数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×目標位置×係数2」を用いて補正してよい。
【0009】
上記補正部は、上記目標位置と上記駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて上記駆動量を補正してよい。
【0010】
上記補正部は、上記駆動量の補正に、上記検出位置および上記目標位置のいずれかを用いるか否かを切替可能に構成されてよい。
【0011】
上記補正部は、上記第1の駆動源および上記第2の駆動源の特性に応じて、上記検出位置および上記目標位置のいずれかを用いた補正と、上記検出位置および上記目標位置を用いない補正とを切り替える切替部を有してよい。
【0012】
上記補正部は、上記光学素子の傾きに応じたパラメータに基づいて上記複数の駆動源のうちのどの駆動源を基準にして上記駆動量を補正するかを選択してよい。
【0013】
上記傾きに応じたパラメータは、上記複数の駆動源のそれぞれに最大電流を流した場合に検出される上記光学素子の傾きを示してよい。
【0014】
上記演算部は、上記検出位置と上記目標位置とを用いたフィードバック制御により上記駆動量を演算してよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、駆動方法を提供する。上記駆動方法は、第1の駆動源と第2の駆動源とを含む複数の駆動源を駆動する方法であってよい。上記駆動方法は、光学素子の傾きを検出することを備えてよい。上記駆動方法は、上記光学素子の傾きに応じたパラメータを生成することを備えてよい。上記駆動方法は、上記光学素子の位置を検出し、検出位置を出力することを備えてよい。上記駆動方法は、上記光学素子の検出位置と、上記光学素子の目標位置とに基づいて、上記光学素子の駆動量を演算することを備えてよい。上記駆動方法は、上記駆動量と、上記光学素子の傾きに応じたパラメータと、上記検出位置および上記目標位置のいずれかと、に基づいて上記駆動量を補正した補正駆動量を生成することを備えてよい。上記駆動方法は、上記光学素子の傾きに応じたパラメータに基づいて、上記第1の駆動源と上記第2の駆動源のどちらを上記補正駆動量に応じた駆動力で駆動するかを選択することを備えてよい。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。
【
図2】本実施形態に係る駆動装置100がチルト補正処理を実行するフローの一例を示す。
【
図3】第2の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。
【
図4】第3の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。
【
図5】第4の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。
【
図6】第5の実施形態に係る駆動装置100における補正部130のブロック図の一例を示す。
【
図7】第6の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つのデバイスにより構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々のデバイスにより構成されていなくてもよい。他の図においても同様のことがいえる。
【0020】
また、これより先、カメラモジュール10を一例として説明するが、これに限定されるものではない。以下に説明するカメラモジュール10と同様の機能を備えたポータブル電子機器や位置制御システムが提供されてもよい。このようなものとしては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA、ポータブルコンピュータ、ラップトップ、および、ノートパスコンや、これらに内蔵、または、外付けされてレンズの位置を制御するシステム等が挙げられる。また、説明中には光学素子の一例としてレンズを挙げているが、レンズだけではなく、イメージセンサであってもよい。
【0021】
カメラモジュール10は、オートフォーカス(Autofocus:AF)やズーム(Zoom)等の処理を実行可能であってよい。本実施形態において、カメラモジュール10は、上記処理と連動して、または、上記処理とは独立して、レンズの傾きを補正するチルト補正処理を実行する。
【0022】
カメラモジュール10は、対象物20と、複数の駆動源50と、プロセッサ70と、駆動装置100と、を備える。
【0023】
対象物20は、駆動の対象となるデバイスである。これより先、対象物20がレンズ鏡筒である場合を一例として説明する。対象物20には、レンズ30と、第1の磁石40_1および第2の磁石40_2(「磁石40」と総称する。)とが一体に設けられている。
【0024】
レンズ30は、光を屈折させて集束させるための光学素子である。カメラモジュール10は、AF処理やZoom処理を実行する場合に、このようなレンズ30を光軸方向に沿って線形移動させることで、ピント合わせや像の拡大/縮小を行う。
【0025】
磁石40は、永久磁石である。本実施形態においては、磁石40として、第1の磁石40_1および第2の磁石40_2が設けられている場合を一例として示している。第1の磁石40_1および第2の磁石40_2は、例えば、レンズ30を挟んで互いに対向する位置において、レンズ30の光軸方向に沿って設けられていてよい。
【0026】
複数の駆動源50は、レンズ30を予め定められた方向、ここでは、レンズ30の光軸方向に移動させるための推力の源である。本実施形態においては、複数の駆動源50が、第1の駆動源50_1および第2の駆動源50_2を有している場合を一例として示している。複数の駆動源50のそれぞれは、例えば、コイルを含んでいてよい。第1の駆動源50_1は、第1の磁石40_1の近傍において、レンズ30の光軸方向に沿って巻かれたコイルを含んでいてよい。また、第2の駆動源50_2は、第2の磁石40_2の近傍において、レンズ30の光軸方向に沿って巻かれたコイルを含んでいてよい。このような複数の駆動源50において、例えば駆動電流や駆動電圧が供給されて駆動力が与えられると、第1の駆動源50_1と第1の磁石40_1との間、および、第2の駆動源50_2と第2の磁石40_2との間にそれぞれ磁力が発生するため、これが推力となってレンズ30の位置を移動させることができる。
【0027】
プロセッサ70は、カメラモジュール10の制御を担う処理装置である。プロセッサ70は、例えば、シリアル通信、パラレル通信、ネットワーク、および、無線通信等を介して、駆動装置100と通信可能に接続されてよい。一例として、このような通信として、I2C(Inter-Integrated Circuit)が用いられてよい。プロセッサ70は、レンズ30の目標位置を示す目標位置信号を駆動装置100へ供給してよい。また、プロセッサ70は、レンズ30の傾きを示す傾き情報を駆動装置100へ供給してよい。
【0028】
駆動装置100は、プロセッサ70から目標位置信号および傾き情報を取得する。そして、駆動装置100は、レンズ30の検出位置と目標位置とに基づいてレンズ30の駆動量を演算し、演算結果に応じた駆動力を複数の駆動源50へ与える。この際、本実施形態に係る駆動装置100は、レンズ30の位置とレンズ30の傾きとに基づいて演算した駆動量を補正する。
【0029】
駆動装置100は、位置センサ110と、演算部120と、補正部130と、複数の駆動部140とを備える。なお、本図においては、複数の駆動部140が、第1の駆動部140_1および第2の駆動部140_2を有する場合を一例として示している。
【0030】
位置センサ110は、レンズ30の位置を検出する。位置センサ110は、例えば、磁気センサであってよく、レンズ30と一体に設けられた磁石40が発生する磁場を検出することによって、レンズ30の位置を検出してよい。このような磁気センサは、一例として、シリコンホール素子や化合物ホール素子等、ホール効果を応用し、発生する起電力から外部磁場の変化を検知するホール素子であってよい。しかしながら、これに限定されるものではない。磁気センサは、外部磁場の変化に応じて抵抗が変化するスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子等(GMR素子やTMR素子等)、磁場を検出可能な様々なセンサであってよく、これら様々なセンサのコンビネーションであってもよい。また、位置センサ110は、複数のセンサ素子から成るセンサ素子群から構成されていてもよい。また、位置センサ110は、検出した振幅電圧または電流値を1倍以上に増幅させてもよいし、A/D変換によりデジタル値に変換させてもよい。位置センサ110は、レンズ30の位置を検出した検出位置を示す検出位置信号を演算部120へ供給する。また、本実施形態においては、位置センサ110は、検出位置信号を演算部120に加えて、補正部130へ供給する。なお、本図においては、位置センサ110が駆動装置100に内蔵されている場合を一例として示しているが、位置センサ110は、駆動装置100とは別体に構成され、駆動装置100に外付けされていてもよい。
【0031】
演算部120は、光学素子(レンズ30)の検出位置と、光学素子の目標位置とに基づいて、光学素子の駆動量を演算する。この際、演算部120は、PID演算を実行してよい。ここで、PIDとは、フィードバック制御の一種で、入力値の制御を出力値と目標値との偏差とその積分及び微分の3つの要素によって行う制御である。基本的なフィードバック制御として比例制御(P制御)がある。これは入力値を出力値と目標値の偏差の一次関数として制御するものである。この偏差に比例して入力値を変化させる動作を比例動作あるいはP動作(PはProportionalの略)という。つまり、偏差のある状態が長い時間続けばそれだけ入力値の変化を大きくして目標値に近づけようとする役目を果たす。また、この偏差の積分に比例して入力値を変化させる動作を積分動作あるいはI動作(IはIntegralの略)という。このように比例動作と積分動作を組み合わせた制御をPI制御という。また、この偏差の微分に比例して入力値を変化させる動作を微分動作あるいはD動作(DはDerivativeまたはDifferentialの略)という。このような比例動作と積分動作と微分動作を組み合わせた制御をPIDという。すなわち、演算部120は、位置センサ110により検出されたレンズ30の検出位置と、プロセッサ70により指定されたレンズ30の目標位置とに基づいてPID演算を実行することによって、レンズ30の駆動量を演算する。換言すれば、演算部120は、レンズ30の位置を検出した結果に基づき、レンズ30を目標とする位置に移動させるように、クローズドループによるフィードバック制御を実行する。例えばこのようにして、演算部120は、検出位置と目標位置とを用いたフィードバック制御により駆動量を演算することができる。演算部120は、演算結果、すなわち、レンズ30の駆動量を示す情報を補正部130へ供給する。
【0032】
補正部130は、駆動量、検出位置、および、目標位置が入力され、駆動量と、光学素子(レンズ30)の傾きに応じたパラメータと、検出位置および目標位置のいずれかと、に基づいて駆動量を補正した補正駆動量を生成し、駆動量と補正駆動量を出力する。本実施形態においては、補正部130は、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいてレンズ30の駆動量を補正する。補正部130は、駆動量と駆動量を補正した補正駆動量を複数の駆動部140へ出力する。ここで、レンズ30の傾きに応じたパラメータについては、アクチュエータの検査工程等で、レンズ位置それぞれにおける傾き情報を予め取得しておき、実際の動作時に、補正部130が、その予め取得しておいた傾き情報を元に補正を実施してもよい。
【0033】
第1の駆動部140_1は、駆動量および補正駆動量のいずれか一方に応じた第1の駆動力を、レンズ30を予め定められた方向に移動させるための複数の駆動源50のうちの第1の駆動源50_1へ与える。より詳細には、第1の駆動部140_1は、演算部120により演算された駆動量、および、補正部130により生成された補正駆動量のいずれか一方に応じた駆動電流や駆動電圧を第1の駆動源50_1へ供給することによって、第1の駆動力を第1の駆動源50_1へ与える。
【0034】
第2の駆動部140_2は、駆動量および補正駆動量のいずれか他方に応じた第2の駆動力を、複数の駆動源50のうちの第2の駆動源50_2へ与える。より詳細には、第2の駆動部140_2は、演算部120により演算された駆動量、および、補正部130により生成された補正駆動量のいずれか他方に応じた駆動電流や駆動電圧を第2の駆動源50_2へ供給することによって、第2の駆動力を第2の駆動源50_2へ与える。
【0035】
複数の駆動源50において、このような駆動電流や駆動電圧が供給されると、第1の駆動源50_1と第1の磁石40_1との間、および、第2の駆動源50_2と第2の磁石40_2との間にそれぞれ磁力が発生するため、これが推力となってレンズ30の位置を移動させることができる。そして、駆動装置100は、レンズ30が移動した位置を位置センサ110で検出し、これを演算部120へフィードバックすることで、レンズ30を目的の位置へと移動させる。この際、本実施形態に係る駆動装置100によれば、補正部130において第1の駆動源50_1、および、第2の駆動源50_2のいずれか一方の駆動能力を補正するので、レンズ30が光軸に対して傾くことなく移動させることができる。
【0036】
なお、補正部130は、複数の駆動源50のうちのどの駆動源を基準にして駆動量を補正するかを選択可能であってよい。これについてフローを用いて詳細に説明する。
【0037】
図2は、本実施形態に係る駆動装置100がチルト補正処理を実行するフローの一例を示す。ステップS210において、駆動装置100は、複数の駆動源50に最大電流を流す。例えば、複数の駆動部140は、複数の駆動源50のそれぞれへ、最大電流となるように駆動電流を供給する。
【0038】
ステップS220において、駆動装置100は、レンズ30の傾きを示す傾き情報を取得する。例えば、補正部130は、レンズ30の傾きを示す傾き情報をプロセッサ70から取得する。この際、光学素子(レンズ30)の傾きに応じたパラメータは、複数の駆動源50のそれぞれに最大電流を流した場合に検出されるレンズ30の傾きを示すこととなる。なお、ステップS210およびステップS220は、アクチュエータの検査工程の一環として実施されてもよい。
【0039】
ステップS230において、駆動装置100は、駆動能力を確認する。例えば、補正部130は、ステップS220において取得した傾き情報に基づいて、第1の駆動源50_1および第2の駆動源50_2のどちらにレンズ30が傾いているかを確認する。一般に、駆動源50の駆動能力は、アクチュエータの機械的特性による。この際、駆動能力が高い方にレンズ30がより動くため、複数の駆動源50の駆動能力に差がある場合、レンズ30が光軸に対して傾く。ここで、駆動能力が高い方に合わせるように駆動能力が低い方を補正することは困難である。そこで、本実施形態に係る駆動装置100は、駆動能力が低い方に合わせるように駆動能力が高い方を補正する。したがって、補正部130は、光学素子(レンズ30)の傾きに応じたパラメータに基づいて複数の駆動源50のうちのどの駆動源を基準にして駆動量を補正するかを選択するとよい。
【0040】
レンズ30の傾きに基づいて第1の駆動源50_1の駆動能力の方が低いと判断された場合、駆動装置100は、処理をステップS240へ進める。一方、レンズ30の傾きに基づいて第2の駆動源50_2の駆動能力の方が低いと判断された場合、駆動装置100は、処理をステップS250へ進める。
【0041】
ステップS240において、駆動装置100は、第1の駆動源50_1を基準にして、第2の駆動源50_2の駆動能力を補正すべく、演算部120により演算された駆動量を補正する。
【0042】
本実施形態においては、補正部130は、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいて、演算部120により演算された駆動量を補正する。一例として、予め定められた第1の係数を「係数1」、および、予め定められた第2の係数を「係数2」とすると、補正部130は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流を、例えば、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×検出位置×係数2」を用いて補正する。すなわち、補正部130は、レンズ30の検出位置の関数に基づいて駆動量を補正する。より詳細には、補正部130は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流と予め定められた係数1とを変数とした関数、および、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流とレンズ30の検出位置と予め定められた係数2とを変数とした関数の和により駆動量を補正する。ここで、「係数1」および「係数2」の少なくともいずれかは、レンズ30の傾きの大きさに応じた数値となるように予め定義されていてもよい。
【0043】
なお、上述の説明では、補正部130がレンズ30の検出位置の関数に基づいて駆動量を補正する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。補正部130は、レンズ30の検出位置と駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて駆動量を補正してもよい。
【0044】
そして、補正部130は、駆動量を補正した補正駆動量を第2の駆動部140_2へ出力する。これに応じて、第2の駆動部140_2は、補正駆動量に応じた第2の駆動力を、複数の駆動源50のうちの第2の駆動源50_2へ与える。より詳細には、第2の駆動部140_2は、補正後の駆動電流を第2の駆動源50_2へ供給することによって、第2の駆動力を第2の駆動源50_2へ与える。一方、補正部130は、補正前の駆動量、すなわち、演算部120により演算された駆動量を第1の駆動部140_1へ出力する。これに応じて、第1の駆動部140_1は、補正前の駆動量に応じた第1の駆動力を、複数の駆動源50のうちの第1の駆動源50_1へ与える。より詳細には、第1の駆動部140_1は、補正前の駆動電流を第1の駆動源50_1へ供給することによって、第1の駆動力を第1の駆動源50_1へ与える。このようにして、駆動装置100は、駆動能力が最も低い第1の駆動源50_1を基準にして、第2の駆動源50_2の駆動能力を補正する。
【0045】
一方、ステップS250においては、駆動装置100は、第2の駆動源50_2を基準にして、第1の駆動源50_1の駆動能力を補正すべく、演算部120により演算された駆動量を補正する。なお、駆動量の補正については、ステップS240と同様であってよいので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0046】
そして、補正部130は、駆動量を補正した補正駆動量を第1の駆動部140_1へ供給する。これに応じて、第1の駆動部140_1は、補正後の駆動量に応じた第1の駆動力を、複数の駆動源50のうちの第1の駆動源50_1へ与える。より詳細には、第1の駆動部140_1は、補正後の駆動電流を第1の駆動源50_1へ供給することによって、第1の駆動力を第1の駆動源50_1へ与える。一方、補正部130は、補正前の駆動量、すなわち、演算部120により演算された駆動量を第2の駆動部140_2へ出力する。これに応じて、第2の駆動部140_2は、補正前の駆動量に応じた第2の駆動力を、複数の駆動源50のうちの第2の駆動源50_2へ与える。より詳細には、第2の駆動部140_2は、補正前の駆動電流を第2の駆動源50_2へ供給することによって、第2の駆動力を第2の駆動源50_2へ与える。このようにして、駆動装置100は、駆動能力が最も低い第2の駆動源50_2を基準にして、第1の駆動源50_1の駆動能力を補正する。
【0047】
近年、レンズの大型化や重量の増加に起因してレンズの駆動力を向上させるために、レンズを移動させるにあたって複数の駆動源を用いる場合がある。しかしながら、このような場合において、複数の駆動源の間で駆動能力のバラつきが生じると、レンズが傾いてしまうことがあった。
【0048】
特許文献1には、駆動源の駆動能力の不均衡を、駆動量にオフセットを加算することで補償する技術が示されている。しかしながら、特許文献1には、駆動能力の不均衡による対象物の傾き補正に関しては何ら述べられていない。また、演算した駆動量を補正することなく、複数の駆動部に駆動電流をそのまま供給する場合、複数の駆動源の駆動能力のバラつきによって、レンズを光軸方向に移動させる際にレンズが傾き得る。また、仮に、補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+係数2などのように、レンズの位置を考慮せずに駆動量を補正したとしても、レンズの位置によって複数の駆動源の駆動能力が変化する場合には、レンズがある位置x1では傾きを補正できたとしても、別の位置x2では傾きを補正しきれないという問題があった。
【0049】
これに対して、本実施形態に係る駆動装置100は、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいて駆動量を補正する。そして、本実施形態に係る駆動装置100は、補正前の駆動量および補正後の駆動量のいずれか一方に応じた第1の駆動力を第1の駆動源へ与え、補正前の駆動量および補正後の駆動量のいずれか他方に応じた第2の駆動力を第2の駆動源へ与える。これにより、本実施形態に係る駆動装置100によれば、レンズを予め定められた方向に移動させるにあたって複数の駆動源50を用いる場合であっても、複数の駆動源50の間での駆動能力の不均衡によるレンズ30の傾きを、レンズ30の位置に応じて補正することができる。
【0050】
この際、本実施形態に係る駆動装置100は、検出位置の関数に基づいて駆動量を補正してよい。これにより、本実施形態に係る駆動装置100によれば、実際に検出されたレンズ30の位置に応じて適切な補正演算を施すことができる。また、本実施形態に係る駆動装置100は、検出位置と駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて駆動量を補正してもよい。これにより、本実施形態に係る駆動装置100によれば、検出位置に基づく補正演算の処理負荷を低減させることもできる。
【0051】
また、本実施形態に係る駆動装置100は、レンズ30の傾きに基づいて複数の駆動源50のうちのどの駆動源を基準にして駆動量を補正するかを選択してよい。この際、本実施形態に係る駆動装置100は、レンズ30の傾きとして、複数の駆動源50のそれぞれに最大電流を流した場合に検出されるレンズ30の傾きを用いてよい。これにより、本実施形態に係る駆動装置100によれば、実際に最大電流を流してみた場合におけるレンズ30の傾きに基づいて複数の駆動源50の駆動能力を確認した上で、例えば、駆動能力が低い方に合わせるように駆動能力が高い方を補正することができる。
【0052】
図3は、第2の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。本図においては、
図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。上述の実施形態においては、駆動装置100が、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいてチルト補正処理を実行する場合を一例として示した。第2の実施形態においては、駆動装置100が、レンズ30の目標位置とレンズ30の傾きとに基づいてチルト補正処理を実行する。
【0053】
第2の実施形態においては、補正部130は、位置センサ110からレンズ30の検出位置を示す検出位置信号を取得する代わりに、プロセッサ70からレンズ30の目標位置を示す目標位置信号を取得する。
【0054】
そして、第2の実施形態においては、補正部130は、レンズ30の目標位置とレンズ30の傾きとに基づいて、演算部120により演算された駆動量を補正する。一例として、補正部130は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流を、例えば、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×目標位置×係数2」を用いて補正する。すなわち、補正部130は、レンズ30の目標位置の関数に基づいて駆動量を補正する。より詳細には、補正部130は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流と予め定められた係数1とを変数とした関数、および、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流とレンズ30の目標位置と予め定められた係数2とを変数とした関数の和により駆動量を補正する。ここで、「係数1」および「係数2」の少なくともいずれかは、レンズ30の傾きの大きさに応じた数値となるように予め定義されていてもよい。
【0055】
なお、上述の説明では、補正部130がレンズ30の目標位置の関数に基づいて駆動量を補正する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。補正部130は、レンズ30の目標位置と駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて駆動量を補正してもよい。
【0056】
このように、第2の実施形態に係る駆動装置100は、検出位置ではなく目標位置の関数に基づいて駆動量を補正する。これにより、第2の実施形態に係る駆動装置100によれば、実際に検出されたレンズ30の位置ではなくプロセッサ70から指定されたレンズ30の目標位置に応じて適切な補正演算を施すことができる。また、第2の実施形態に係る駆動装置100は、目標位置と駆動量とに基づいて予め定義された補正テーブルを用いて駆動量を補正してもよい。これにより、第2の実施形態に係る駆動装置100によれば、目標位置に基づく補正演算の処理負荷を低減させることもできる。
【0057】
なお、上述の説明では、検出位置に基づくチルト補正処理と、目標位置に基づくチルト補正処理とを、それぞれ別の実施形態として示した。しかしながら、これらのチルト補正処理は、併用されてもよい。すなわち、駆動装置100は、レンズの検出位置と目標位置とレンズの傾きとに基づいてチルト補正処理を実行してもよい。これにより、駆動装置100によれば、実際に検出されたレンズ30の位置と、プロセッサ70から指定されたレンズ30の目標位置との両者に応じて補正演算を施すことができる。
【0058】
図4は、第3の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。本図においては、
図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。上述の実施形態においては、カメラモジュール10が、2つの駆動源を用いてレンズ30を移動させる場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。カメラモジュール10は、3つ以上の駆動源を用いてレンズ30を移動させてもよい。
【0059】
第3の実施形態においては、複数の駆動源50が、第1の駆動源50_1および第2の駆動源50_2に加えて、第3の駆動源50_3を有している場合を一例として示している。また、それに対応して、複数の駆動部140は、第1の駆動部140_1および第2の駆動部140_2に加えて、第3の駆動部140_3を有している。第3の駆動部140_3は、駆動量および補正駆動量のいずれかに応じた第3の駆動力を、複数の駆動源50のうちの第3の駆動源50_3へ与える。より詳細には、第3の駆動部140_3は、演算部120により演算された駆動量、および、補正部130により生成された補正駆動量のいずれかに応じた駆動電流や駆動電圧を第3の駆動源50_3へ供給することによって、第3の駆動力を第3の駆動源50_3へ与える。
【0060】
このように、複数の駆動源50が3つ以上の駆動源を有する場合であっても、補正部130は、どの駆動源を基準にして駆動量を補正するかを選択可能であってよい。すなわち、駆動装置100は、複数の駆動源50のそれぞれに最大電流を流し、複数の駆動源50の駆動能力を確認する。そして、第1の駆動源50_1の駆動能力が最も低いと判断された場合、補正部130は、第1の駆動源50_1を基準にして、第2の駆動源50_2および第3の駆動源50_3の駆動能力を補正する。
【0061】
そのため、第3の実施形態においては、補正部130は、補正対象となる複数の駆動源50に対応した複数のブロック、上述の例では、第2の駆動源50_2の駆動能力を補正するブロックと、第3の駆動源50_3の駆動能力を補正するブロックとの2つのブロックが必要となる。そこで、第3の実施形態においては、補正部130は、第1の補正部130_1と第2の補正部130_2とを有する。
【0062】
第1の補正部130_1は、補正対象となる複数の駆動源50のうちの一方、上述の例では、第2の駆動源50_2の駆動能力を補正すべく、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいて、演算部120により演算された駆動量を補正する。一例として、第1の補正部130_1は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流を、例えば、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×検出位置×係数2」を用いて補正する。第1の補正部130_1は、駆動量を補正した補正駆動量を、補正対象となる複数の駆動源50のうちの一方に対応した駆動部140、上述の例では、第2の駆動部140_2へ出力する。
【0063】
第2の補正部130_2は、補正対象となる複数の駆動源50のうちの他方、上述の例では、第3の駆動源50_3の駆動能力を補正すべく、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいて、演算部120により演算された駆動量を補正する。一例として、予め定められた第3の係数を「係数3」、および、予め定められた第4の係数を「係数4」とすると、第2の補正部130_2は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流を、例えば、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数3+駆動電流×検出位置×係数4」を用いて補正する。ここで、「係数3」および「係数4」の少なくともいずれかについても、「係数1」および「係数2」と同様、レンズ30の傾きの大きさに応じた数値となるように予め定義されていてもよい。第2の補正部130_2は、駆動量を補正した補正駆動量を、補正対象となる複数の駆動源50のうちの他方に対応した駆動部140、上述の例では、第3の駆動部140_3へ出力する。
【0064】
4つ以上の駆動源を用いてレンズ30を移動させる場合においても、同様に補正部130と複数の駆動部50とにサブブロックを追加することができる。このように、第3の実施形態に係る駆動装置100は、複数の駆動源50のうちの1つ(例えば、第1の駆動源50_1)を基準にして、補正対象となる複数の駆動源50(例えば、第2の駆動源50_2および第3の駆動源50_3)の駆動能力を補正する。これにより、第3の実施形態に係る駆動装置100によれば、3つ以上の駆動源を用いてレンズ30を移動させる場合においても、複数の駆動源50の間での駆動能力の不均衡によるレンズ30の傾きを、実際に検出されたレンズ30の位置に応じて補正することができる。
【0065】
図5は、第4の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。本図においては、
図4と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。第3の実施形態においては、駆動装置100が、レンズ30の検出位置とレンズ30の傾きとに基づいてチルト補正処理を実行する場合を一例として示した。第4の実施形態においては、第2の実施形態と同様、駆動装置100が、レンズ30の目標位置とレンズ30の傾きとに基づいてチルト補正処理を実行する。
【0066】
第1の補正部130_1は、補正対象となる複数の駆動源50のうちの一方、上述の例では、第2の駆動源50_2の駆動能力を補正すべく、レンズ30の目標位置とレンズ30の傾きとに基づいて、演算部120により演算された駆動量を補正する。一例として、第1の補正部130_1は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流を、例えば、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×目標位置×係数2」を用いて補正する。
【0067】
第2の補正部130_2は、補正対象となる複数の駆動源50のうちの他方、上述の例では、第3の駆動源50_3の駆動能力を補正すべく、レンズ30の目標位置とレンズ30の傾きとに基づいて、演算部120により演算された駆動量を補正する。一例として、第2の補正部130_2は、演算部120により演算された駆動量に応じた駆動電流を、例えば、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数3+駆動電流×目標位置×係数4」を用いて補正する。
【0068】
このように、第4の実施形態に係る駆動装置100は、検出位置ではなく目標位置の関数に基づいて駆動量を補正する。これにより、第4の実施形態に係る駆動装置100によれば、3つ以上の駆動源を用いてレンズ30を移動させる場合においても、複数の駆動源50の間での駆動能力の不均衡によるレンズ30の傾きを、実際に検出されたレンズ30の位置ではなくプロセッサ70から指定されたレンズ30の目標位置に応じて補正することができる。
【0069】
図6は、第5の実施形態に係る駆動装置100における補正部130のブロック図の一例を示す。上述の実施形態においては、駆動量を補正するにあたって、レンズ30の検出位置または目標位置の少なくとも何れかを必ず用いる場合を一例として示した。しかしながら、アクチュエータ(複数の駆動源50)の構造等によっては、レンズの検出位置や目標位置を用いずに補正演算した方が好ましい場合があり得る。したがって、第5の実施形態においては、補正部130は、駆動量の補正に、検出位置および目標位置のいずれかを用いるか否かを切替可能に構成される。補正部130は、切替部135を有する。
【0070】
切替部135は、駆動量を補正する補正方法を切り替える。例えば、補正部130は、補正方法1として、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+係数2」を用いて駆動量を補正可能であったとする。また、補正部130は、補正方法2として、次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×検出位置or目標位置×係数2」を用いて駆動量を補正可能であったとする。
【0071】
このような場合に、切替部135は、アクチュエータの構造等に応じて、駆動量を補正する補正方法を、補正方法1と補正方法2との間で切り替える。このように、第5の実施形態においては、補正部130は、第1の駆動源50_1および第2の駆動源50_2の特性に応じて、検出位置および目標位置のいずれかを用いた補正(例えば、補正方法2。すなわち、数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+駆動電流×検出位置or目標位置×係数2」を用いた補正)と、検出位置および目標位置を用いない補正(例えば、補正方法1。すなわち、数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1+係数2」を用いた補正)とを切り替える切替部135を有してよい。これにより、第5の実施形態に係る駆動装置100によれば、アクチュエータの特性に応じて最適な方法を選択して駆動量を補正することができる。
【0072】
図7は、第6の実施形態に係る駆動装置100を備えてよいカメラモジュール10のブロック図の一例を示す。本図においては、
図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。上述の実施形態においては、光学素子の傾きを示す情報が予め取得済みである場合を一例として示した。第6の実施形態においては、光学素子の傾きが実動作中に都度検出される。
【0073】
第6の実施形態において、カメラモジュール10は、傾き検出器60を更に備える。そして、プロセッサ70は、例えば、シリアル通信、パラレル通信、ネットワーク、および、無線通信等を介して、当該傾き検出器60と通信可能に接続される。
【0074】
なお、本図においては、傾き検出器60が駆動装置100の外部に設けられている場合を一例として示しているが、傾き検出器60は、駆動装置100に内蔵されていてもよい。
【0075】
傾き検出器60は、光学素子(レンズ30)の傾きを検出する。傾き検出器60は、検出したレンズの傾きを示す情報をプロセッサ70へ供給する。
【0076】
第6の実施形態においては、補正部130は、傾き検出器60が検出したレンズ30の傾きを示す情報をプロセッサ70から取得する。そして、補正部130は、予め定められた係数を「係数1'」とすると、駆動電流を、傾き情報を直接使用する次の数式「補正後の駆動電流=駆動電流×係数1'+傾き情報×F(検出位置)」を用いて補正してもよい。ここで、F(検出位置)は検出位置によって変化する値である。補正部130は、例えばこのようにして、実動作中に検出されたレンズの傾きが予め定められた閾値以下(好ましくは、ゼロ)となるようにフィードバックをかけて、レンズ30の傾き補正を実施してもよい。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0078】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0079】
10 カメラモジュール
20 対象物
30 レンズ
40 磁石
40_1 第1の磁石
40_2 第2の磁石
50 複数の駆動源
50_1 第1の駆動源
50_2 第2の駆動源
50_3 第3の駆動源
60 傾き検出器
70 プロセッサ
100 駆動装置
110 位置センサ
120 演算部
130 補正部
130_1 第1の補正部
130_2 第2の補正部
135 切替部
140 複数の駆動部
140_1 第1の駆動部
140_2 第2の駆動部
140_3 第3の駆動部