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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106922
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】欠陥判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20230726BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N29/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007935
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】古川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】門田 圭二
(72)【発明者】
【氏名】新田 誠也
(72)【発明者】
【氏名】浅井 知
(72)【発明者】
【氏名】野村 和史
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AB07
2G047BC07
2G047CA04
2G047DA02
2G047DA03
2G047EA13
2G047GA04
2G047GD01
2G047GG06
2G047GG20
2G047GG33
2G047GH06
(57)【要約】
【課題】レーザ超音波法の測定結果に基づいて溶接のビードに関する欠陥の有無を自動判定する際に、欠陥のある測定結果の教師データを準備することが困難であった。
【解決手段】欠陥判定装置1は、溶接のビードに関するレーザ超音波法の測定結果を受け付ける受付部11と、ビードの長手方向の測定位置ごとに複数の測定結果を画像に変換する画像変換部12と、画像の特徴量を含む特徴情報を画像ごとに取得する特徴取得部13と、複数の特徴情報をクラスタリングするクラスタリング部15と、クラスタリング部15によって2以上のクラスタにクラスタリングされた場合に、ビードに欠陥が存在すると判定する判定部16と、を備える。このように、クラスタリングによって判定することにより、欠陥のある測定結果の教師データを準備することなく、判定を行うことができるようになる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接のビードに関するレーザ超音波法の測定結果を受け付ける受付部と、
前記ビードの長手方向の測定位置ごとに複数の測定結果を画像に変換する画像変換部と、
画像の特徴量を含む特徴情報を画像ごとに取得する特徴取得部と、
複数の特徴情報をクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部によって2以上のクラスタにクラスタリングされた場合に、前記ビードに欠陥が存在すると判定する判定部と、を備えた欠陥判定装置。
【請求項2】
記憶部をさらに備え、
前記特徴取得部は、画像に対応する測定位置と、当該画像から取得した特徴情報とを対応付けて前記記憶部に蓄積する、請求項1記載の欠陥判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記ビードに欠陥が存在すると判定した場合に、前記記憶部において対応付けられて記憶されている特徴情報と測定位置とを用いて、欠陥に対応するクラスタに分類された特徴情報に対応する測定位置である欠陥位置を特定する、請求項2記載の欠陥判定装置。
【請求項4】
前記受付部は、溶接が行われている際に、当該溶接によって形成されたビードに関する測定結果をリアルタイムで受け付けるものであり、
前記クラスタリング部は、あらかじめ決められた個数の特徴情報が取得された際に、クラスタリングを開始し、
前記クラスタリング部及び前記判定部は、それぞれクラスタリング及び判定を繰り返して行う、請求項1から請求項3のいずれか記載の欠陥判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ超音波法の測定結果を用いて溶接のビードにおける欠陥の有無を判定する欠陥判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ超音波法(Laser Ultrasonic Technique)を用いて、溶接の検査を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。レーザ超音波法を用いることによって、非接触で溶接部の状態を測定することができるため、例えば、溶接直後のビードについても測定が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-137471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ超音波法による測定結果を、ニューラルネットワークなどの学習器に適用することによって、自動的に溶接の欠陥を見つけたいという要望がある。しかしながら、そのような学習器の学習を行うためには、欠陥のない箇所の測定結果と、欠陥の箇所の測定結果とを教師データとして用意する必要があるが、溶接の欠陥の箇所の測定結果を学習に必要な量だけ用意することが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、教師データを用いることなく、レーザ超音波法の測定結果に基づいて溶接のビードに関する欠陥の有無を自動的に判定することができる欠陥判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による欠陥判定装置は、溶接のビードに関するレーザ超音波法の測定結果を受け付ける受付部と、ビードの長手方向の測定位置ごとに複数の測定結果を画像に変換する画像変換部と、画像の特徴量を含む特徴情報を画像ごとに取得する特徴取得部と、複数の特徴情報をクラスタリングするクラスタリング部と、クラスタリング部によって2以上のクラスタにクラスタリングされた場合に、ビードに欠陥が存在すると判定する判定部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様による欠陥判定装置によれば、溶接のビードに関するレーザ超音波法の測定結果から取得された複数の特徴情報をクラスタリングすることにより、教師データを用いないで、欠陥の有無を自動的に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態によるロボット制御システムの構成を示す模式図
図2A】同実施の形態による欠陥判定装置の構成を示すブロック図
図2B】同実施の形態による欠陥判定装置の構成の他の一例を示すブロック図
図3】同実施の形態による欠陥判定装置の動作を示すフローチャート
図4】同実施の形態におけるレーザの照射点の一例を示す図
図5】同実施の形態における複数の測定結果の変換後の画像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による欠陥判定装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による欠陥判定装置は、レーザ超音波法の測定結果を用いて取得された特徴情報をクラスタリングし、そのクラスタリング結果を用いて溶接の欠陥の有無を判定するものである。
【0010】
図1は、本実施の形態によるロボット制御システム100の構成を示す模式図であり、図2Aは、本実施の形態による欠陥判定装置1の構成を示すブロック図である。図1で示されるように、ロボット制御システム100は、欠陥判定装置1と、マニピュレータ2と、ロボット制御装置3と、溶接電源4とを備える。なお、図1では、欠陥判定装置1を独立した装置として示しているが、欠陥判定装置1は、例えば、ロボット制御装置3等の他の装置に組み込まれていてもよい。
【0011】
欠陥判定装置1は、レーザ超音波法の測定結果を用いて溶接部の欠陥の有無を判定するものであり、図2Aで示されるように、受付部11と、画像変換部12と、特徴取得部13と、記憶部14と、クラスタリング部15と、判定部16と、出力部17とを備える。欠陥判定装置1は、例えば、マニピュレータ2のレーザ超音波測定装置2aや、ロボット制御装置3に接続されていてもよい。なお、欠陥判定装置1の各構成については後述する。
【0012】
マニピュレータ2は、モータによって駆動される関節によって連結された複数のアームを有している。マニピュレータ2の先端には溶接トーチが装着されている。なお、溶接に溶接ワイヤが用いられる場合には、マニピュレータ2には、溶接ワイヤを送給するためのワイヤ送給装置が装着されていてもよい。また、マニピュレータ2には、レーザ超音波測定装置2aが装着されている。なお、マニピュレータ2におけるレーザ超音波測定装置2aの装着位置は特に限定されないが、レーザ超音波測定装置2aによって、溶接箇所を所望の方向からセンシングできる位置に装着されていることが好適である。そのため、レーザ超音波測定装置2aは、例えば、マニピュレータ2の先端側に装着されていてもよい。マニピュレータ2の先端側とは、例えば、図1で示されるように溶接トーチの基端側の位置であってもよい。マニピュレータ2は特に限定されないが、例えば、垂直多関節ロボットであってもよい。
【0013】
レーザ超音波測定装置2aは、レーザ超音波法によって溶接のビードに関する測定を行うものである。レーザ超音波測定装置2aは、例えば、超音波発生部2b、及び超音波検出部2c等を備えていてもよい。レーザ超音波測定装置2aでは、超音波発生部2bから出射されたパルスレーザ光を測定対象に集光させることによって、測定対象に超音波を発生させてもよい。そして、例えば、レーザ干渉計である超音波検出部2cは、超音波検出用のレーザ光を測定対象に照射し、発生された超音波が検出用のレーザ光の照射位置に到達する際に生じる表面振動によって生じるドップラー効果をレーザ干渉計で捉えることによって超音波を検出してもよい。なお、レーザ干渉計を用いる以外の方法、例えば、ナイフエッジ法などによって超音波を検出してもよい。
【0014】
本実施の形態では、図4で示されるように、複数の箇所に超音波発生用のレーザ光を照射し、それに応じて発生した超音波を、レーザ光を1箇所に照射することによって検出する場合について主に説明する。図4は、重ね継手の隅肉溶接の結果、すなわち上板のワーク5aと下板のワーク5bとの間の接合部分が溶接された結果を示す図である。図4では、ビード6の長手方向に、x軸が設けられている。そして、xの値がB1,B2,B3…の各位置において、レーザ超音波法を用いた測定が行われている。以下、xの値がB1,B2等である各位置を測定位置B1,B2等と呼ぶこともある。本実施の形態では、例えば、1つの測定位置B1について、複数の照射位置T1に超音波発生用のレーザ光が順次、照射され、そのレーザ光によって発生された超音波が、1つの照射位置R1に超音波検出用のレーザ光が照射されることによって検出されるものとする。レーザ超音波測定装置2aによる測定は、例えば、欠陥判定装置1からの測定指示に応じて行われてもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、レーザ超音波測定装置2aは、例えば、ビード6の長手方向に沿って、所定の間隔で(例えば、測定位置B1,B2ごとに)複数の照射位置に超音波発生用のレーザ光を照射することによって、複数の測定結果を取得することを繰り返してもよい。なお、図4で示されるように、レーザ光は、例えば、ビード6上に照射されてもよく、または、ワーク5a,5bに照射されてもよい。また、本実施の形態では、レーザ超音波法による測定対象のビード6が1つの溶接パスに対応するビードである場合について主に説明するが、測定対象のビードは、例えば、多層盛溶接などにおける複数の溶接パスに対応するビードの集合であってもよい。
【0015】
なお、レーザ超音波法におけるレーザ光の照射位置は、上記説明に限定されるものではない。例えば、1箇所に超音波発生用のレーザ光を照射し、それに応じて発生した超音波を、複数箇所にレーザ光を照射することによって検出してもよい。このように、超音波を発生させるためのレーザ光の照射位置は、例えば、1箇所であってもよく、複数箇所であってもよく、また、超音波を検出するためのレーザ光の照射位置は、例えば、1箇所であってもよく、複数箇所であってもよい。結果として、ビード6の長手方向に垂直な方向の複数の測定結果を、測定位置ごとに取得できるのであれば、レーザ超音波法による測定方法は問わない。なお、レーザ超音波測定装置2aは、すでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0016】
ロボット制御装置3は、マニピュレータ2を制御し、例えば、ワーク5a,5bの溶接線に沿った溶接が行われるように、マニピュレータ2や溶接電源4を制御してもよい。なお、ロボット制御装置3の構成はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0017】
溶接電源4は、溶接で用いられる高電圧を溶接トーチとワーク5a,5bとに供給する。また、溶接に溶接ワイヤが用いられる場合には、溶接電源4は、溶接ワイヤの送給に関する制御を行ってもよい。なお、溶接電源4の構成はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0018】
欠陥判定装置1の受付部11は、溶接のビードに関するレーザ超音波法の測定結果を受け付ける。受付部11は、例えば、ある箇所に超音波発生用のレーザ光が照射されている際に、別の箇所に照射された超音波検出用のレーザ光によって測定された超音波を、1個の測定結果として受け付けてもよい。本実施の形態では、この場合について主に説明する。受付部11は、例えば、溶接が行われている際に、もしくは溶接が完了した後に、溶接によって形成されたビードに関する測定結果をレーザ超音波測定装置2aからリアルタイムで受け付けてもよく、または、あらかじめレーザ超音波測定装置2aによって測定された複数の測定結果を、一括して受け付けてもよい。一括した測定結果の受け付けは、例えば、記録媒体からの複数の測定結果の読み出しであってもよく、複数の測定結果の受信であってもよい。
【0019】
受付部11は、例えば、超音波検出部2cから測定結果を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された測定結果を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された測定結果を受け付けてもよい。受付部11は、測定結果以外の情報を受け付けてもよい。受付部11は、例えば、ロボット制御装置3から、レーザ超音波測定装置2aの測定位置を受け付けてもよい。また、測定結果は、欠陥判定装置1から測定指示をレーザ超音波測定装置2aに出力することに応じて受け付けられてもよい。その測定指示は、例えば、ロボット制御装置3から受け付けられた測定位置が、あらかじめ決められた値(例えば、B1やB2など)となった場合に、出力されてもよい。その測定指示に応じて、レーザ超音波測定装置2aは、その測定位置における複数の照射点にレーザ光を照射することによって、その複数の照射点に対応する複数の測定結果を取得して欠陥判定装置1に送信してもよい。そして、その複数の測定結果が受付部11で受け付けられてもよい。なお、受付部11は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、受付部11は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0020】
画像変換部12は、ビードの長手方向の測定位置ごとに、複数の測定結果を画像に変換する。ビードの長手方向に沿った測定位置は、例えば、均等な間隔で設けられていてもよい。また、画像変換部12は、例えば、図4で示される測定位置B1で測定された8個の測定結果を画像に変換してもよい。変換後の画像は、例えば、Bスコープの画像であってもよく、Cスコープの画像であってもよく、その他の2次元データであってもよい。図5は、Bスコープの画像の一例を示す図である。図5で示される変換後のBスコープの画像は、例えば、横軸が送信位置(すなわち、図4で示される上下方向の位置)を示し、縦軸が到達時間(すなわち、図4で示される超音波発生用の照射位置から超音波検出用の照射位置までの超音波の伝播距離)を示している。このBスコープの画像は、例えば、測定位置における、ビードの長手方向に直交する方向の断面に対応する画像である。画像変換部12は、例えば、1つの測定位置における複数の測定結果を、1つの画像に変換してもよい。この場合には、1つの測定位置について、1つの画像が取得されることになる。なお、測定結果を画像に変換する方法はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0021】
特徴取得部13は、画像の特徴量を含む特徴情報を画像ごとに取得する。したがって、1つの画像について、1つの特徴情報が取得されることになる。特徴情報は、例えば、1つの画像から取得された複数の特徴量を有していてもよい。特徴量は、例えば、HOG(Histogram of Oriented Gradients)であってもよく、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)であってもよく、ニューラルネットワークを用いて取得された特徴量であってもよい。なお、HOGやSIFTについてはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。特徴取得部13は、取得した特徴情報を記憶部14に蓄積してもよい。なお、記憶部14に特徴情報を蓄積する際に、例えば、測定位置に対応付けて特徴情報を蓄積してもよい。その測定位置は、特徴情報の取得に用いられた画像に対応する測定結果の測定位置であり、例えば、受付部11で受け付けられた測定位置であってもよい。
【0022】
ここで、特徴量を取得するために用いられるニューラルネットワークについて説明する。このニューラルネットワークへの入力は、画像変換部12によって変換された1個の画像である。すなわち、その画像の各画素値がニューラルネットワークに入力されてもよい。このニューラルネットワークは、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)であってもよく、全結合層から構成されるニューラルネットワークであってもよく、その他のニューラルネットワークであってもよい。特徴量の取得に用いられるCNNは、例えば、学習前のCNNや、ImageNetを用いて学習されたCNN、画像変換部12によって変換された画像を用いて学習されたCNNなどを所定の中間層(例えば、第N層)で切ったものであってもよい。そして、その第N層の各ノードの出力をそれぞれ特徴量としてもよい。この場合には、例えば、その第N層のノード全体の出力の集合が特徴情報となってもよい。画像変換部12によって変換された画像を用いた学習において教師データとして用いる出力は、例えば、すべて欠陥なしとしてもよく、または、放射線などを用いて判定した判定結果(例えば、欠陥あり、または欠陥なし)であってもよい。通常、溶接部において欠陥のある箇所は少ないため、前者のように学習してもよい。
【0023】
記憶部14では、上記のように、画像に対応する測定位置と、その画像から取得された特徴情報とが対応付けられて記憶されてもよい。また、特徴情報以外の情報が記憶部14で記憶されてもよい。なお、記憶部14は、不揮発性の記録媒体によって実現されることが好適であるが、揮発性の記録媒体によって実現されてもよい。記録媒体は、例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなどであってもよい。
【0024】
クラスタリング部15は、特徴取得部13によって取得された複数の特徴情報をクラスタリングする。なお、1個の画像から1個の特徴情報が取得されるため、画像と特徴情報には一対一の関係がある。したがって、このクラスタリングは、複数の画像をクラスタリングしていると考えることもできる。クラスタリング部15は、例えば、ウォード法、群平均法、k-means法などを用いて複数の特徴情報のクラスタリングを行ってもよく、その他の手法によって複数の特徴情報のクラスタリングを行ってもよい。なお、ウォード法、群平均法、k-means法についてはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0025】
なお、ウォード法や群平均法では閾値を設定する必要があるが、この閾値は、クラスタリングの対象である複数の特徴情報に対応する各測定位置について欠陥が存在しない場合に、クラスタリングの結果が1個のクラスタとなり、いずれかの測定位置について欠陥が存在する場合に、クラスタリングの結果が2個のクラスタとなるように設定されることが好適である。
【0026】
また、k-means法では分類先のクラスタの個数を設定する必要があるが、このクラスタの個数は2個に設定してもよい。そして、クラスタリング部15は、k-means法を用いた複数の特徴情報のクラスタリング結果である2個のクラスタの距離を取得し、その距離があらかじめ設定されている閾値よりも大きい場合に、k-means法のクラスタリング結果を、そのままクラスタリングの結果とし、その距離があらかじめ設定されている閾値よりも小さい場合に、すべての特徴情報を1個のクラスタにクラスタリングしてもよい。なお、1個のクラスタの距離が閾値と等しい場合には、クラスタリング部15は、複数の特徴情報を、2個のクラスタにクラスタリングしてもよく、または、1個のクラスタにクラスタリングしてもよい。このように、k-means法を用いた場合には、そのk-means法のクラスタリング結果を用いて、最終的なクラスタリングが行われてもよい。この場合にも、その閾値としては、各測定位置について欠陥が存在しないときに、最終的なクラスタリング結果が1個のクラスタとなり、いずれかの測定位置について欠陥が存在するときに、最終的なクラスタリング結果が2個のクラスタとなるように設定されることが好適である。
【0027】
このように、クラスタリングで用いられる閾値を設定する際に、欠陥の存在しないビードに関する複数の特徴情報のセットや、欠陥の存在するビードに関する複数の特徴情報のセットを用意する必要がある。しかしながら、閾値を決定するために必要な複数の特徴情報のセット数は、教師ありの機械学習で用意する必要のある教師データの個数よりも少なくてよい。したがって、溶接の欠陥について十分な量の教師データを用意できなくても、クラスタリングで用いられる閾値を設定することはできる。また、閾値をより大きい値に設定することによって、1個のクラスタに分類される可能性を高めることができ、結果として、欠陥のないビードについて、欠陥があると誤判定する可能性を低減することができる。一方、閾値をより小さい値に設定することによって、2個以上のクラスタに分類される可能性を高めることができ、結果として、小さな欠陥の存在するビードについて、欠陥がないと誤判定する可能性を低減することができる。したがって、欠陥のないビードについて欠陥があると誤判定することを避けたい場合には、閾値をより大きい値に設定し、欠陥を見落とす誤判定を避けたい場合には、閾値をより小さい値に設定すればよいことになる。
【0028】
また、リアルタイムで判定を行う場合には、クラスタリング部15は、例えば、あらかじめ決められた個数の特徴情報が取得された際に、クラスタリングを開始してもよい。あらかじめ決められた個数は、例えば、3個以上の個数であってもよい。より具体的には、あらかじめ決められた個数は、3個でもよく、5個でもよく、10個でもよい。あらかじめ決められた個数をより大きい値に設定することによって、より正確な判定を行うことができるようになる。リアルタイムで判定を行う場合には、クラスタリング部15は、例えば、あらかじめ決められた個数の特徴情報が取得された後に、クラスタリングを繰り返してもよい。このクラスタリングの繰り返しは、例えば、特徴情報が取得されるごとの繰り返しであってもよい。この場合には、例えば、N個の特徴情報が取得された際にN個の特徴情報のクラスタリングが行われ、次の新たな特徴情報が取得された際にN+1個の特徴情報のクラスタリングが行われるということが繰り返されてもよい。Nは、3以上の整数である。また、1回のクラスタリングに掛かる時間が、特徴情報の取得周期よりも長い場合には、例えば、1回のクラスタリングが終了すると、その終了の直後に、それまでに取得されているすべての特徴情報を用いた次のクラスタリングを開始することが繰り返されてもよい。
【0029】
判定部16は、複数の特徴情報がクラスタリング部15によって2以上のクラスタにクラスタリングされた場合に、ビードに欠陥が存在すると判定し、クラスタリング部15によって1個のクラスタにクラスタリングされた場合に、ビードに欠陥が存在しないと判定する。通常、欠陥が存在していない測定位置の画像や、その画像から取得された特徴情報は、類似した特徴を有する画像や特徴情報になると考えられる。一方、欠陥が存在している測定位置の画像や特徴情報は、欠陥が存在していない測定位置の画像や特徴情報とは異なる特徴を有する外れ画像や、外れ特徴情報になると考えられる。したがって、クラスタリングを行うことによって、他の特徴情報とは異なる特徴を有する特徴情報、すなわち欠陥の存在している測定位置の特徴情報は、他の特徴情報と異なるクラスタに分類されることになるため、上記のようにして、溶接部の欠陥の有無を判定することができる。
【0030】
ビードに1個の欠陥が存在する場合には、通常、クラスタリングの結果は2個のクラスタになると考えられる。一方、ビードに2個以上の欠陥が存在する場合には、クラスタリングの結果が3個以上のクラスタになることも考えられる。したがって、判定部16は、上記のように、2以上のクラスタにクラスタリングされた場合に、欠陥が存在すると判定すればよいことになる。通常、欠陥の存在する測定位置の特徴情報は少数であるため、正常に対応するクラスタは、そのクラスタに含まれる特徴情報の個数が最も多いクラスタであり、欠陥に対応するクラスタは、正常に対応するクラスタ以外のクラスタである。
【0031】
また、判定部16は、ビードに欠陥が存在すると判定した場合に、記憶部14において対応付けられて記憶されている特徴情報と測定位置とを用いて、その欠陥に対応するクラスタに分類された特徴情報に対応するビードの位置である欠陥位置を特定してもよい。例えば、ある特徴情報が欠陥に対応するクラスタに分類された場合には、その特徴情報に対応する画像を取得するために用いられた測定結果に対応する測定位置が、欠陥位置として特定されてもよい。例えば、図4で示されるように、ビード6に空洞Vが存在する場合には、測定位置B2の測定結果に対応する画像から取得された特徴情報が、欠陥に対応するクラスタに分類されることになる。したがって、この場合には、その特徴情報に対応する画像を取得するために用いられた測定結果に対応する測定位置B2が、欠陥位置として特定されてもよい。このように、欠陥位置はビード6の長手方向の位置であってもよい。
【0032】
なお、受付部11が、溶接が行われている際に、または溶接が完了した後に、その溶接によって形成されたビードに関する測定結果をリアルタイムで受け付ける場合には、クラスタリング部15及び判定部16は、それぞれクラスタリング及び判定の処理を繰り返して行ってもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、リアルタイムでクラスタリングや判定が行われることになる。また、後者の場合には、例えば、リアルタイムでの受け付けが終了した後に、クラスタリング及び判定の処理が1回だけ行われてもよい。
【0033】
出力部17は、判定結果を出力してもよい。出力部17は、欠陥が存在する旨の判定結果を出力する際には、その判定結果と共に、欠陥位置を出力してもよい。なお、リアルタイムでの判定が繰り返して行われる場合には、出力部17は、例えば、判定結果の出力を繰り返してもよい。この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部17は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部17は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0034】
次に、欠陥判定装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受付部11は、レーザ超音波測定装置2aから測定結果を受け付けたかどうか判断する。そして、受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、測定結果を受け付けるまでステップS101の処理を繰り返す。なお、受け付けられた測定結果は、図示しない記録媒体で一時的に記憶されてもよい。
【0035】
(ステップS102)画像変換部12は、1列の探査が完了したかどうか判断する。そして、1列の探査が完了した場合には、ステップS103に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、画像変換部12は、ある測定位置について、すべての照射位置の測定結果が受け付けられた場合に、1列の探査が完了したと判断してもよい。例えば、図4で示されるように測定が行われる場合には、画像変換部12は、ある測定位置(例えば、測定位置B1など)について8個の測定結果が受け付けられたときに、1列の探査が完了したと判断してもよい。
【0036】
(ステップS103)画像変換部12は、それまでに受け付けられた1列分の測定結果を1個の画像に変換する。その画像は、例えば、図5で示されるものであってもよい。
【0037】
(ステップS104)特徴取得部13は、画像変換部12によって変換された画像から、特徴量を取得することによって特徴情報を取得する。特徴取得部13は、取得した特徴情報を記憶部14に蓄積してもよい。
【0038】
(ステップS105)クラスタリング部15は、複数の特徴情報についてクラスタリングを行うかどうか判断する。そして、クラスタリングを行う場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、クラスタリング部15は、例えば、記憶部14で記憶されている特徴情報の個数が所定の個数以上となった場合に、クラスタリングを行うと判断してもよい。
【0039】
(ステップS106)クラスタリング部15は、複数の特徴情報をクラスタリングする。
【0040】
(ステップS107)判定部16は、クラスタリングの結果に基づいて、ビードに欠陥があるかどうかを判定する。より具体的には、複数の特徴情報が2以上のクラスタにクラスタリングされた場合には、ビードに欠陥があると判定され、そうでない場合には、欠陥がないと判定されてもよい。また、欠陥がある場合に、例えば、欠陥の位置が特定されてもよい。
【0041】
(ステップS108)出力部17は、判定部16による判定結果を出力する。なお、判定結果と共に、欠陥の位置が出力されてもよい。
【0042】
(ステップS109)クラスタリング部15は、クラスタリングの処理を終了するかどうか判断する。そして、クラスタリングの処理を終了する場合には、溶接の欠陥を判定する一連の処理は終了となり、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、ビードの端部までレーザ超音波法を用いた測定が完了した場合に、クラスタリングの処理を終了すると判断されてもよい。
【0043】
なお、図3のフローチャートにおいて、欠陥が存在すると判定された場合には、測定結果の受け付けや画像変換等の一連の処理を終了してもよい。また、レーザ超音波測定装置2aが測定指示に応じて測定を行う場合には、図3のフローチャートに、測定指示をレーザ超音波測定装置2aに出力する処理が含まれてもよい。この測定指示は、例えば、欠陥判定装置1の図示しない指示部が出力してもよい。この場合には、受付部11は、その測定指示の出力に応じて、測定結果を受け付けてもよい。また、図3のフローチャートにおいて、判定結果の出力は、一連の処理を終了する際に、1回のみ行われてもよい。また、図3のフローチャートは、溶接中にリアルタイムで判定を行う場合について示しているが、そうでなくてもよい。リアルタイムでの判定を行わない場合には、例えば、測定位置ごとにステップS103,S104の処理が行われ、その処理が終了した後に、複数の特徴情報について、S106~S108の処理が1回だけ行われてもよい。また、図3のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。
【0044】
次に、本実施の形態による欠陥判定装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、マニピュレータ2による溶接を行いながら、順次、レーザ超音波測定装置2aによる測定結果を用いた欠陥の有無の判定を欠陥判定装置1によって行う場合について説明する。この具体例では、特徴情報が3個以上となった場合に、クラスタリングの処理が行われるものとする。
【0045】
まず、受付部11は、測定位置B1に対応する照射位置T1のそれぞれについての測定結果を順次、受け付ける(ステップS101,S102)。そして、受け付けられた測定結果の個数が1列の探査に相当する8個になると、画像変換部12は、8個の測定結果をBスコープの画像に変換する(ステップS103)。また、特徴取得部13は、そのBスコープの画像から特徴量を取得することによって特徴情報を取得し、その特徴情報を記憶部14に蓄積する(ステップS104)。なお、この時点では、1個の特徴情報しかないため、クラスタリングを行わないと判断される(ステップS105)。
【0046】
次に、測定位置B2の各測定結果の受け付けや、それらの測定結果の画像変換、及び特徴情報の取得が行われる(ステップS101~S104)。この場合にも、2個の特徴情報しかないため、クラスタリングは行われないと判断される(ステップS105)。
【0047】
その後、測定位置B3の各測定結果の受け付けや、それらの測定結果の画像変換、及び特徴情報の取得が行われる(ステップS101~S104)。この時点では、3個の特徴情報が記憶部14で記憶されているため、クラスタリング部15は、クラスタリングを行うと判断し、3個の特徴情報をクラスタリングする(ステップS105、S106)。また、この場合には、図4で示されるように、測定位置B2に空洞Vが存在しているため、測定位置B1,B3に対応する2個の特徴情報と、測定位置B2に対応する1個の特徴情報とがそれぞれ異なるクラスタにクラスタリングされたとする。すると、判定部16は、2個のクラスタへのクラスタリングが行われたため、ビード6に欠陥が存在すると判定する(ステップS107)。そして、出力部17は、その判定結果を出力する(ステップS109)。例えば、その出力に応じて溶接が中断されてもよい。なお、本具体例では、欠陥が空洞である場合について説明したが、欠陥は空洞以外のビード下割れなどのその他の欠陥であってもよい。
【0048】
以上のように、本実施の形態による欠陥判定装置1によれば、溶接の欠陥について十分な量の教師データを用意できなくても、教師なし学習であるクラスタリングを行うことによって、溶接の欠陥の有無を判定することができるようになる。さらに、欠陥に対応するクラスタに分類された特徴情報に対応するビードの位置である欠陥位置を特定することによって、欠陥の位置も知ることができるようになる。また、溶接中にリアルタイムで受け付けられた測定結果に応じて特徴情報の取得やクラスタリング等を行うことによって、溶接を行っている途中に、欠陥の有無について知ることができ、例えば、欠陥が存在する場合には、溶接を中断することによって、それ以降の不必要な作業を行わないようにすることもできる。
【0049】
なお、本実施の形態による欠陥判定装置1において、クラスタリング対象の特徴情報の次元を削減してもよい。この場合には、例えば、欠陥判定装置1は、図2Bで示されるように、次元削減部18をさらに備えていてもよい。そして、次元削減部18は、クラスタリングが行われる前に、特徴取得部13によって取得された特徴情報の次元を削減してもよい。また、クラスタリング部15は、次元削減部18によって次元の削減された複数の特徴情報をクラスタリングしてもよい。通常、特徴情報の情報量が多いほど、クラスタリングの処理負荷が大きくなり、クラスタリングに時間が掛かることになる。したがって、次元削減部18によって特徴情報の次元を削減することによって、クラスタリングの処理負荷や処理時間を低減することができる。
【0050】
次元削減部18には、削減後の次元数が設定されてもよい。この次元数としては、特徴取得部13が取得する特徴情報の次元数よりも小さい数が設定されることが好適である。なお、次元削減部18は、例えば、主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)によって次元を削減してもよく、t-SNE(T-distributed Stochastic Neighbor Embedding)によって次元を削減してもよく、UMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)によって次元を削減してもよく、その他の方法によって次元を削減してもよい。なお、主成分分析、t-SNE、UMAPについてはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0051】
また、溶接と測定を並行して行った場合には、図4において、例えば、ある測定位置で複数の照射位置に順次、レーザ光を照射している間に、レーザ光の照射位置がx軸方向に少しずつずれることもあり得る。この場合には、例えば、レーザ光の複数の照射位置T1がx軸に対して垂直ではない方向に並ぶことになり、照射位置R1もx軸方向に並ぶ複数の点となり得る。このように、ビード6の長手方向に垂直ではない方向の複数の測定結果が、測定位置ごとに取得されて画像に変換されてもよい。この場合には、その測定位置は、例えば、所定の幅を有する測定位置(例えば、x軸の値がB1からB1までの測定位置など)であってもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、1個のビードから取得された測定結果について処理が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、同形状の継手について、同様の溶接が繰り返して行われることもある。この場合には、異なるビードであっても、同様の形状になるため、例えば、第1のビードから取得された特徴情報と、第2のビードから取得された特徴情報とについてクラスタリングが行われてもよい。このようにすることで、例えば、第2のビードについて1個目の特徴情報が取得された際にも、その1個の特徴情報と、第1のビードから取得された複数の特徴情報とをクラスタリングすることによって、第2のビードの1個目の特徴情報に関する判定を行うこともできる。このように、レーザ超音波法による測定の対象のビードや欠陥の有無の判定対象のビードは、例えば、1個のビードであってもよく、または、隣接していない2個以上のビードであってもよい。
【0053】
また、判定部16は、正常に対応するクラスタに含まれる複数の特徴情報のばらつきの程度に応じた予測を行ってもよい。例えば、そのばらつきが閾値よりも大きい場合に、溶接に用いられるチップが消耗していることが予測されてもよい。複数の特徴情報のばらつきの程度とは、例えば、各特徴情報間の距離の代表値によって示されてもよい。代表値は、例えば、平均値や、中央値、最大値、最小値などであってもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、測定結果を画像に変換し、その画像から取得された特徴情報をクラスタリングする場合について説明したが、そうでなくてもよい。測定結果そのものをクラスタリングしてもよい。この場合には、ビードの長手方向の測定位置ごとの複数の測定結果を一つの測定結果セットとしてもよい。そして、クラスタリング部15は、複数の測定結果セットをクラスタリングしてもよい。クラスタリングの対象が特徴情報から測定結果セットに変わる以外は、上記説明と同様である。したがって、例えば、欠陥に対応するクラスタに分類されたクラスタセットに対応するビードの位置である欠陥位置が特定されてもよい。この場合には、欠陥判定装置1は、画像変換部12や特徴取得部13を備えていなくてもよい。
【0055】
また、欠陥判定装置1では、測定結果から取得された特徴情報をクラスタリングしてもよい。この場合には、ビードの長手方向の測定位置ごとの複数の測定結果を一つの測定結果セットとしてもよい。そして、特徴取得部13は、複数の測定結果の特徴量を含む特徴情報を測定結果セットごとに取得してもよい。すなわち、一つの測定結果セットから一つの特徴情報が取得されてもよい。この特徴情報の取得も、画像からの特徴情報の取得と同様に行われてもよい。例えば、特徴取得部13は、測定結果セットに含まれる各データをニューラルネットワークに入力することによって特徴情報を取得してもよい。このニューラルネットワークは、例えば、複数の全結合層を有するものであってもよく、その他のニューラルネットワークであってもよい。また、このニューラルネットワークは、例えば、学習後のニューラルネットワークを所定の中間層(例えば、第N層)で切ったものであってもよい。そして、その第N層の各ノードの出力をそれぞれ特徴量としてもよい。この場合には、画像に代えて測定結果セットから特徴情報が取得される以外は、上記説明と同様である。このように、測定結果セットから直接、特徴情報が取得される場合には、欠陥判定装置1は、画像変換部12を備えていなくてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、溶接トーチを有しているマニピュレータ2によって溶接が行われる場合について主に説明したが、マニピュレータ2は、レーザ超音波測定装置2aを移動させるためのものであり、溶接を行わなくてもよい。この場合には、マニピュレータ2は、溶接トーチを備えていなくてもよく、ロボット制御システム100は、溶接電源4を備えていなくてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、またはソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0058】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 欠陥判定装置、11 受付部、12 画像変換部、 13 特徴取得部、 14 記憶部、 15 クラスタリング部、 16 判定部、 17 出力部、 18 次元削減部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5