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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106943
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007978
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 則康
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056JC17
(57)【要約】
【課題】液滴吐出装置を小型化する。
【解決手段】液滴を吐出する液滴吐出装置が、前記液滴を吐出する吐出部と、前記液滴を吐出すると発生する発生物を吸引する吸引部と、前記吐出部と前記吸引部をつなぎ、かつ、前記吐出部から前記吸引部に向かう吸引方向へ前記発生物を送る経路を形成する連結部と、前記経路に配置して前記発生物を回収し、かつ、前記吸引方向、又は、前記吸引方向に対し直交する直交方向の前記連結部の断面積より、前記発生物を回収する面積が広い回収部とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
前記液滴を吐出する吐出部と、
前記液滴を吐出すると発生する発生物を吸引する吸引部と、
前記吐出部と前記吸引部をつなぎ、かつ、前記吐出部から前記吸引部に向かう吸引方向へ前記発生物を送る経路を形成する連結部と、
前記経路に配置して前記発生物を回収し、かつ、前記吸引方向、又は、前記吸引方向に対し直交する直交方向の前記連結部の断面積より、前記発生物を回収する面積が広い回収部と
を備える液滴吐出装置。
【請求項2】
前記回収部を備え、かつ、前記回収部と一緒に取り外し、及び、前記回収部と一緒に取り付けが可能な取付部を更に備え、
前記取付部は、取り付けると、
前記吐出部と前記吸引部の間に前記回収部を配置でき、かつ、前記回収部が前記経路に配置される
請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記回収部は、
同一平面でない形状、複数の面を有する、又は、曲面の形状である
請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記回収部は、
1枚を折る、又は、曲げて形成される
請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記吐出部は、
前記液滴を吐出して記録媒体に画像を形成し、
前記回収部は、
前記吸引部へ空気を通過させ、かつ、前記発生物を回収するフィルタであり、
前記連結部は、
ダクトであり、
前記発生物は、
前記液滴が前記記録媒体に吐出されると発生する前記液滴の一部である
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に向けて液滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式が知られている。そして、インクジェット方式において、液滴を吐出すると、記録媒体に付着して画像を形成する液滴以外に「ミスト」と呼ばれる微小な液滴が空気中に浮遊する。このようなミストが記録媒体に付着すると画質が低下する。そこで、液滴吐出装置が、ミストを回収して画質を向上させる技術が知られている。
【0003】
具体的には、空気を吸引するファンと、ミストを捕捉する複数のフィルタとが備えられる。そして、ファンに向かう空気の流動経路のうち、本体部に対応する部分には、ファンの回転軸に平行な軸方向(吸引ファンによる空気の吸引方向である。)に、第1フィルタ、及び、第2フィルタは配置される。このような配置であると、第1フィルタ、及び、第2フィルタの面積は、それぞれ、回転動作する吸引ファンがなす面積より大きくなる。このようにして、ミストが捕捉される領域の偏りを抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、フィルタ等の配置により、液滴吐出装置のサイズが大型化する課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液滴吐出装置を小型化する目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、液滴を吐出する液滴吐出装置は、
前記液滴を吐出する吐出部と、
前記液滴を吐出すると発生する発生物を吸引する吸引部と、
前記吐出部と前記吸引部をつなぎ、かつ、前記吐出部から前記吸引部に向かう吸引方向へ前記発生物を送る経路を形成する連結部と、
前記経路に配置して前記発生物を回収し、かつ、前記吸引方向、又は、前記吸引方向に対し直交する直交方向の前記連結部の断面積より、前記発生物を回収する面積が広い回収部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液滴吐出装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る液滴吐出装置の実施形態について説明する。
図2】ヘッドの構成例を示す図である。
図3図1におけるヘッドアレイを拡大した図である。
図4】比較例のヘッドアレイの構成例を示す図である。
図5】複数の比較例のヘッドアレイの構成例を示す図である。
図6】吸引部、及び、連結部の構成例を示す図である。
図7】回収部の第1例を示す図(A視点)である。
図8】回収部の第1例を示す図(B視点)である。
図9】回収部の第2例を示す図(A視点)である。
図10】回収部の第2例を示す図(B視点)である。
図11】回収部の第2例を示す図である。
図12】取付部の構成例を示す図である。
図13】1枚のフィルタを曲げる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[液滴吐出装置の例]
図1は、本発明に係る液滴吐出装置の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1000の構成例である。以下、図1に示すインクジェットプリンタ1000を液滴吐出装置の例にして説明する。
【0011】
インクジェットプリンタ1000は、オンデマンド方式のライン走査型を採用した画像形成装置である。また、インクジェットプリンタ1000は、画像形成部210、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、記録媒体反転部250、及び、排紙部290を備える。
【0012】
まず、給紙部220において、給紙スタック221に積載する記録媒体の例である用紙W1が、エアー分離部222によって一枚ずつピックアップされる。そして、用紙W1は、画像形成部210の方向(図では左方向である。)に搬送される。次に、給紙部220から搬送された用紙W1は、レジスト調整部230に達すると、レジスト調整部230の内部に設けられたレジストローラ対231によって、搬送方向に対する用紙W1の傾きが補正される。
【0013】
レジストローラ対231において、補正(レジスト調整等である。)がされると、用紙W1は、画像形成部210に送られる。そして、用紙W1は、搬送ローラ対214によって円筒形状のドラム211の表面に送られる。
【0014】
ドラム211には、記録媒体グリッパ212が複数設けられる。そして、記録媒体グリッパ212は、用紙W1の先端を挟む。また、ドラム211の回転によって、用紙W1は、複数のヘッドアレイ100(具体的には、各種ヘッドアレイ100K乃至100Pである。以下、任意のヘッドアレイ100を単に「ヘッドアレイ100」という。)に対向する位置へ搬送される。
【0015】
画像形成部210では、円筒形状のドラム211の回転方向における表面に沿って、ヘッドアレイ100が配置される。そして、ヘッドアレイ100は、インクジェット方式により、インクを吐出する。また、ヘッドアレイ100は、所定のインク色を充填した状態で配置される。
【0016】
ヘッドアレイ100は、ドラム211の外周面の曲がり具合に合わせて、放射状の所定の位置に配置される。具体的には、ヘッドアレイ100は、ドラム211の外周面に対して、インクの吐出方向が直交する角度となるように、位置が調整される。したがって、ヘッドアレイ100は、ドラム211の回転軸からの放射方向において、各々異なる角度となる。言い換えると、吐出モジュールを構成するヘッドアレイ100は、ドラム211の回転中心に向く角度で配置される。そして、ヘッドアレイ100は、ドラム211の表面に保持された用紙W1の外周面に対し、インクを吐出するように、ドラム211への対向角度が各々調整される。
【0017】
また、ドラム211の外周面には、空吐出受け213が設けられる。空吐出受け213は、ヘッドアレイ100が用紙W1に対してインクを吐出していない場合に、空吐出されたインクを受け取る。
【0018】
画像が用紙W1上に形成されると、用紙W1は、乾燥部240に搬送される。
【0019】
乾燥部240には、乾燥ユニット241が設けられる。そして、乾燥ユニット241の下方を用紙W1が通過すると、用紙W1の水分が蒸発する。
【0020】
また、乾燥部240には、記録媒体反転機構251を含む記録媒体反転部250が設けられる。両面印刷を行う場合には、記録媒体反転部250は、用紙W1を反転する。次に、記録媒体反転部250は、再度、用紙W1を画像形成部210へ搬送する。なお、ドラム211に達する前に、画像形成部210内部に設けられたレジストローラ253によって用紙W1は、傾きが補正される。
【0021】
乾燥を終えた用紙W1は、排紙部290に搬送されて、用紙W1の端部が整合された状態で積載される。
【0022】
画像形成部210における液滴吐出動作は、画像形成部210が備える画像形成制御部215が制御する。なお、画像形成制御部215は、インクジェットプリンタ1000の全体の動作を制御してもよい。また、給紙部220、レジスト調整部230、及び、乾燥部240は、個別に制御部を備えてもよい。そして、各々の制御部は、画像形成制御部215と連携して、インクジェットプリンタ1000の全体の動作を制御してもよい。
【0023】
なお、インクジェットプリンタ1000は、上記に説明する構成に限られない。具体的には、インクジェットプリンタ1000は、上記に説明する以外の装置を内部、又は、外部に備えてもよい。
【0024】
[ヘッドアレイの構成例]
図2は、ヘッドの構成例を示す図である。各々のヘッドアレイ100は、図2に示すようなヘッドを複数有する構成が望ましい。また、ヘッドアレイ100には、複数のヘッドが千鳥状に配置される。具体的には、各々のヘッドアレイ100に対し、ダクト101が配置される。すなわち、各々のヘッドアレイ100に対し、フィルタが配置されない構成が望ましい。
【0025】
図2に示す矢印は、ヘッドアレイ100からインクが吐出されることによる発生物としてのインクミスト(ミスト)を回収するために、ダクト101を通じて吐出口近傍に生じさせる気流の方向を例示している。なお、以下の説明においても図面中に矢印を示しているが、いずれも、ヘッドアレイ100の吐出口近傍に浮遊したインクを回収するために、本実施形態において用いる空気の大まかな流れを例示している。本実施形態において、ミストは気流の方向(図中の矢印が示す方向)に流れて回収される。
【0026】
図3は、図1におけるヘッドアレイを拡大した図である。図3に示すように、複数のヘッドアレイ100は、ドラム211の外周面に沿って所定の間隔を維持した状態で配置される。
【0027】
図2に示すように、各々のヘッドアレイ100がフィルタのない構成であると、ヘッドアレイ100の間を狭くできる。そのため、複数のヘッドアレイ100を並べた全体も、幅を小さくできる。ゆえに、インクジェットプリンタ1000は、装置を小さくできる。
【0028】
[比較例]
ここで、図2に示した本実施形態に係るヘッドアレイ100に対する比較例として、ミストの回収機構によってインクジェットプリンタ1000が大型化しやすくなる構成例を図4に示す。
【0029】
図4は、比較例のヘッドアレイの構成例を示す図である。図2に示す構成と比較すると、比較例は、各々のヘッドアレイ100において、ヘッドアレイ100の配置方向(ドラム211の回転方向)にフィルタ102を備える点が異なる。したがって、図4の比較例では、ドラム211の回転方向におけるヘッドアレイ100の寸法において、フィルタ102を保持可能な空間を確保する必要が生ずる。すなわち、比較例では、フィルタ102を備えるために、図2に示した構成に比べると、ヘッドアレイ100のサイズが大きくなりやすい。特に、図4の例では、ヘッドアレイ100の配列方向において、個々のヘッドアレイ100の寸法が大きくなる。
【0030】
図5は、複数の比較例のヘッドアレイの構成例を示す図である。図5は、図3と同様に、図5に示す比較例のヘッドアレイをドラム211の周りに配置する例である。
【0031】
各々のヘッドアレイ100が大きいため、複数のヘッドアレイ100を並べた全体も、幅が大きくなりやすい。ゆえに、インクジェットプリンタ1000は、装置が大きくなりやすい。
【0032】
[吸引部、及び、連結部の構成例]
図6は、吸引部、及び、連結部の構成例を示す図である。図6に示すように、インクが用紙W1に付着する付近でミストが発生すると、まず、取入口601からミストが吸われる。
【0033】
取入口601から吸われたミストは、ダクト101を経路にして、吸引部の例であるファン602に向かって送られる。また、ダクト101は、吐出部の例であるヘッドアレイ100とファン602をつなぐ連結部の例である。
【0034】
なお、吸引部は、ファン602に限られない。例えば、吸引部は、羽根のない吸引器等でもよい。
【0035】
また、連結部は、上記に説明したような大きさ、形状、及び、構成でなくともよい。したがって、連結部は、上記に説明した以外の形状(例えば、図示するのとは異なる長さ、又は、形状等である。)等でもよい。
【0036】
[回収部の第1例]
図7は、回収部の第1例を示す図(A視点)である。図7は、図6における「A」の視点である。
【0037】
図8は、回収部の第1例を示す図(B視点)である。図8は、図6における「B」の視点である。
【0038】
以下、説明のために簡略にした図7及び図8に示すファン602、及び、ダクト101の配置、かつ、図7に示すダクト101の例で説明する。また、この例では、図において下から上へ向かう方向が吸引方向である。吸引方向は、ファン602が発生させる気流によってミストが流れる(流動する)方向である。
【0039】
なお、フィルタ102は、吸引方向において、ファン602より上流(図では、ファン602の位置が最も下流となり、下が上流である。)であり、かつ、ダクト101が形成する経路上であれば位置は問わない。
【0040】
ファン602、及び、フィルタ102は、ヘッドアレイ100が用紙W1に画像形成を行う領域より外側に配置するのが望ましい。すなわち、ファン602及びフィルタ102は用紙W1の幅方向の外側に配置されることが望ましい。
【0041】
図7に示す配置において、ファン602が吸引を開始すると、ファン602が空気等を排出するため、ファン602の周辺(図では、ファン602の下側の領域である。)は、気圧が下がる。そのため、ファン602の周辺は、いわゆる「負圧」となる。ゆえに、空気等が下から上へ流れる。
【0042】
図7では、ファン602によって、ミスト、及び、空気等が流れる方向が下から上へとなり、吸引方向は、全体的には下から上への方向となる。また、図では、白抜きの矢印で吸引方向を示す。このように、吸引方向は、ファン602の配置で定まる。
【0043】
このような流れの中で、ミストを含む空気は、フィルタ102を経由してファン602に向かって流れる。そして、経路上にフィルタ102が配置されているため、フィルタ102はミストを回収できる。
【0044】
フィルタ102は、ミストを含む気流を濾過するために設けられるものであるから、ミストを含む気流が通過する流路に設ける。例えば、ダクト101(図6参照)を通じて回収されてきたミストを含む空気は、図7に示すように、ファン602によって排出される方向へと流動する。
【0045】
この場合、フィルタ102は、ミストの吸引方向と交差する方向に面を向けた状態で配置されることが望ましい。そして、吸引方向に対して直交する方向(以下単に「直交方向」という。)にフィルタ面を向けるように配置する、または、直交方向に対して傾斜した状態でフィルタ面を向けるように配置する。
【0046】
図7は、直交方向の仮想面に対してフィルタ面が同一平面にはならない配置を例示する。言い換えると、図7の配置例は、図6におけるA矢視においてローマ字の「V」字を模した形状になるような配置例である。このように、ファン602から排出されるミストの気流方向に対して、フィルタ102のフィルタ面(濾過面)が傾斜するように配置することで、フィルタ102により濾過機能を得られる面積を広くできる。
【0047】
なお、形状は、凹凸等の曲面でもよい。フィルタ102の一部を曲面にしても、単一の面より発生物を回収する面積が広くできる。このように、フィルタ102の一部を加工して、面積を広くしてもよい。
【0048】
例えば、図8において、吸引方向の断面は、「第1断面701」である。
【0049】
同様に、図7において、直交方向の断面は、「第2断面702」である。
【0050】
例えば、第1断面701の断面積が「0.007m」であり、かつ、第2断面702の断面積が「0.0084m」であるのに対して、図7に示すように、フィルタ102の形状が「V」の字の形状であると、フィルタ102の面積は「0.012m」となる。すなわち、この例では、フィルタ102の面積は、第1断面701の断面積、及び、第2断面702の断面積に対し、1.2乃至1.5倍程度広い面積である。
【0051】
なお、フィルタ102の面積は、第1断面701の断面積、及び、第2断面702の断面積より広ければよい。したがって、フィルタ102の面積、又は、面積の比率等は、上記の例に限られない。
【0052】
フィルタ102は、図7に示すように、「V」の字の形状が望ましい。このような形状であると、面積を広くでき、かつ、フィルタ102が簡易な形状であるため、取り出しやすい形状であってフィルタ102を交換する作業が行いやすくできる。
【0053】
図7が示すように、液滴吐出装置は、吐出部が液滴を吐出する位置から、吸引部までの経路を連結部で形成する。そして、液滴吐出装置は、吸引方向に向かって形成される経路において、吸引部より、吐出部が液滴を吐出する側の位置に回収部を配置する。そして、回収部は、吸引方向等の方向に凹凸等があって「V」の字等の形状である。このような形状であることにより、回収部は、連結部の断面積より広い面積となる。このように、面積が広い回収部を用いると、液滴吐出装置は、圧力損失を少なくして吸収部を小さくすることができ、全体としても装置を小型化できる。
【0054】
[回収部の第2例]
フィルタ102は、以下のような形状でもよい。
【0055】
図9は、回収部の第2例を示す図(A視点)である。図9は、図6における「A」の視点である。図9の例は、フィルタ102をファン602が気流を排出する方向に沿って、気流方向に長尺となる筒状にしたものである。図9のフィルタ102では、ダクト101を介して回収されてきたミストが、フィルタ102の外周面を通過してファン602へと流動するときの、ファン602の気流方向と直交する方向の平面積を大きくすることができる。
【0056】
図10は、回収部の第2例を示す図(B視点)である。図10は、図6における「B」の視点である。図示するように、フィルタ102は、留め具等で固定されてもよい。
【0057】
図11は、回収部の第2例を示す図である。図11は、図6と同様の視点である。
【0058】
図10及び図11等が示すように、フィルタ102は、曲面を含む形状でもよい。また、フィルタ102は、円柱、又は、複数の面を有するといった形状、又は、構成でもよい。
【0059】
フィルタ102は、1枚を折る、又は、曲げて設置されるのが望ましい。1枚を折ると、フィルタ102は、例えば、図7に示すように、「V」の字の形状にできる。同様に、1枚を曲げると、フィルタ102は、例えば、「U」の字等の形状にできる。
【0060】
1枚のフィルタ102であると、一体であるため、取り付け、又は、取り外しするのに、作業が容易にできる。
【0061】
一方で、複数枚のフィルタ102であると、交換部品が増える。また、フィルタ102の交換時期も異なる場合がある。このようなフィルタ102を用いると、ユーザは、フィルタ102を交換する作業の負荷が大きくなる。また、ファン602に対して、フィルタ102の面積を大きくするのに、ダクトが大きくなるため、装置が大型化してしまう。
【0062】
さらに、複数のフィルタを吸引方向において直列に配置する構成と比較して、圧力損失が少なくできる。また、複数のフィルタを吸引方向において直列に配置すると、圧力損失が大きくなりやすい。ゆえに、ミストを回収できるように、強力なファンを設置するといった対策がされると、装置が大型化しやすい。
【0063】
また、フィルタがファンに近いと、フィルタが目詰まりしやすくなる。すなわち、ファンにフィルタが近接していると、ファンの面積分のフィルタしかミストを捕集できない。そのため、実質的なフィルタの面積が小さくなるため、フィルタは目詰まりしやすくなる。そのため、交換頻度も高くなり、ユーザは、作業負荷が大きくなる。
【0064】
一方で、フィルタ前後の圧力損失は、フィルタの面積が大きいほど、同じ流量に対して単位面積当たりの流量を減らせるため、フィルタ全体としての圧力損失が低くなる。ゆえに、本実施形態は、フィルタ102の前後における圧力損失を減らすことができる。そのため、ファンを小型化しやすく、全体としても装置を小型化できる。また、本実施形態のように、面積が広いと、フィルタ102を交換する周期を長くできる。
【0065】
[第2実施形態]
インクジェットプリンタ1000は、以下のような取付部を更に備える構成が望ましい。
【0066】
図12は、取付部の構成例を示す図である。例えば、取付部は、図12に示す保持部材121である。
【0067】
保持部材121は、実用金属、又は、高分子材料等を素材とする。また、保持部材121は、ダクトから、フィルタ102と一緒に着脱が可能な機構である。
【0068】
保持部材121に対し、フィルタ102が設置される。このように、保持部材121とフィルタ102が一緒になっている構造であると、ユーザは、保持部材121を取り付け、又は、取り外す作業をすると、一緒にフィルタ102を取り付け、又は、取り外すことができる。したがって、保持部材121を備えると、ユーザは、フィルタ102を交換する作業の作業性を向上できる。
【0069】
図13は、1枚のフィルタを曲げる例を示す図である。図13に示すように、フィルタ102は、1枚を折る、又は、曲げて複数面を形成し、かつ、保持部材121に対しフィルタ102が設置されるのが望ましい。
【0070】
図13が示すように、1枚のフィルタ102を曲げると、折り曲げ部分122ができ、1枚のフィルタ102で複数の面が形成できる。
【0071】
このように、フィルタ102が1枚であると、ユーザは、フィルタ102を交換する作業の作業性を向上できる。
【0072】
[その他の実施形態]
液滴は、インク以外の種類でもよい。例えば、液滴は、無色の液体等でもよい。すなわち、液滴吐出装置は、インク以外の液滴を用いて、画像形成以外の処理を行ってもよい。
【0073】
発生物は、ミスト以外を含んでもよい。例えば、発生物は、粉末等でもよい。
【0074】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
100 :ヘッドアレイ
101 :ダクト
102 :フィルタ
121 :保持部材
601 :取入口
602 :ファン
701 :第1断面
702 :第2断面
1000 :インクジェットプリンタ
W1 :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2017-226095号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13