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特開2023-107568生体動作の判定方法、生体動作判定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107568
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】生体動作の判定方法、生体動作判定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230727BHJP
   A61B 5/389 20210101ALI20230727BHJP
   A61B 5/296 20210101ALI20230727BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B5/389
A61B5/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008827
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】兼田 悠
【テーマコード(参考)】
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB13
4C038VB34
4C038VC20
4C127AA04
4C127GG16
4C127LL04
(57)【要約】
【課題】被験者の被測定部位の動作が正常か異常かを判定することが可能な生体動作の判定方法を提供する。
【解決手段】本生体動作の判定方法は、被験者の被測定部位の動作を第1のセンサで検出するステップと、前記動作を司る筋肉の電位を第2のセンサで検出するステップと、前記動作が正常か否かを判定するステップと、を有し、前記判定するステップでは、前記第1のセンサにより前記動作が検出され、かつ前記第2のセンサにより前記動作を司る筋肉の電位が検出された場合に前記動作が正常であると判定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の被測定部位の動作を第1のセンサで検出するステップと、
前記動作を司る筋肉の電位を第2のセンサで検出するステップと、
前記動作が正常か否かを判定するステップと、を有し、
前記判定するステップでは、前記第1のセンサにより前記動作が検出され、かつ前記第2のセンサにより前記動作を司る筋肉の電位が検出された場合に前記動作が正常であると判定する、生体動作の判定方法。
【請求項2】
前記第1のセンサの検出出力をトリガとして、前記第2のセンサの出力を検出する、請求項1に記載の生体動作の判定方法。
【請求項3】
前記第1のセンサは触覚センサであり、前記第2のセンサは筋電センサである、請求項1又は2に記載の生体動作の判定方法。
【請求項4】
前記第1のセンサは圧力センサであり、前記第2のセンサは筋電センサである、請求項1又は2に記載の生体動作の判定方法。
【請求項5】
前記被測定部位は前記被験者の手の1又は複数の指であり、
1つの前記第1のセンサと、前記被測定部位と同数の前記第2のセンサと、を有し、
各々の前記第2のセンサは、前腕部において各々の前記被測定部位の動作を司る筋肉に対応する位置に配置される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の生体動作の判定方法。
【請求項6】
前記被測定部位は前記被験者の手の1又は複数の指であり、
前記被測定部位と同数の前記第1のセンサと、前記被測定部位と同数の前記第2のセンサと、を有し、
各々の前記第2のセンサは、前腕部において各々の前記被測定部位の動作を司る筋肉に対応する位置に配置される、請求項1、2、又は4の何れか一項に記載の生体動作の判定方法。
【請求項7】
前記判定するステップでは、前記第1のセンサで動作が検出された前記被測定部位と、前記第2のセンサで前記筋肉の電位があらかじめ定めた閾値以上に変化した前記被測定部位が一致した場合に、前記被測定部位の動作は正常であると判定する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の生体動作の判定方法。
【請求項8】
前記第1のセンサで検出するステップよりも前に、被験者データの収集を行うステップを有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の生体動作の判定方法。
【請求項9】
被験者の被測定部位の動作を検出する第1のセンサと、
前記動作を司る筋肉の電位を検出する第2のセンサと、
前記動作が正常か否かを判定する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記第1のセンサにより前記動作が検出され、かつ前記第2のセンサにより前記動作を司る筋肉の電位が検出された場合に前記動作が正常であると判定する、生体動作判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体動作の判定方法、生体動作判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体のリハビリを行う器具や方法が提案されている。例えば、被験者の指の力と手首の力のリハビリを一つの器具で可能にしながら、握力と手首の力のリハビリの程度を測定できるリハビリ器具が提案されている。このリハビリ器具は、被験者の腕に固定される固定モジュールと、この固定モジュールの一方側にヒンジ軸を有し、被験者の手首を中心として手を回転時に回転可能に連結される手首運動モジュール、及び手首運動モジュールに備えられ、被験者の握力を測定する握力運動モジュールを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-97295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のリハビリ器具では、被験者の指の動きを検出できるが、例えば、被験者の一部の指が麻痺して動かせない場合、麻痺した指がほかの指につられて動いたとしてもこれを検出することができない。つまり、被験者の被測定部位が正常に動作している場合と正常に動作していない場合とを区別できないことがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、被験者の被測定部位の動作が正常か異常かを判定することが可能な生体動作の判定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本生体動作の判定方法は、被験者の被測定部位の動作を第1のセンサで検出するステップと、前記動作を司る筋肉の電位を第2のセンサで検出するステップと、前記動作が正常か否かを判定するステップと、を有し、前記判定するステップでは、前記第1のセンサにより前記動作が検出され、かつ前記第2のセンサにより前記動作を司る筋肉の電位が検出された場合に前記動作が正常であると判定する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、被験者の被測定部位の動作が正常か異常かを判定することが可能な生体動作の判定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る生体動作判定装置を例示するブロック図である。
図2】第1のセンサについて説明する図である。
図3】第1のセンサの動作を説明する図である。
図4】第2のセンサについて説明する図である。
図5】正常に動作している指における第1のセンサ及び第2のセンサの出力を例示する図である。
図6】正常に動作していない指における第1のセンサ及び第2のセンサの出力を例示する図である。
図7】第1実施形態に係る生体動作の判定方法を例示するフローチャートである。
図8】第1実施形態の変形例1に係る第1のセンサを例示する平面図である。
図9】第1実施形態の変形例2に係る生体動作の判定方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[生体動作判定装置の構成]
図1は、第1実施形態に係る生体動作判定装置を例示するブロック図である。図1に示すように、生体動作判定装置1は、第1のセンサ10と、第2のセンサ20と、制御部30と、記憶部40と、出力部50とを有している。生体動作判定装置1は、さらに、制御部30と他の装置との信号の入出力を可能とするインターフェイス等を有してもよい。
【0011】
第1のセンサ10は、被験者の被測定部位の動作を検出することができる。第2のセンサ20は、被験者の被測定部位の動作を司る筋肉の電位を筋電信号として検出することができる。被験者の被測定部位は、例えば、被験者の手の1又は複数の指である。第1のセンサ10の検出結果、及び第2のセンサ20の検出結果は、所定の信号処理が施された後、制御部30に出力される。所定の信号処理とは、例えば、ノイズの除去、信号の増幅、A/D変換等である。第1のセンサ10及び/又は第2のセンサ20と制御部30との電気的な接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。第1のセンサ10及び第2のセンサ20の詳細については後述する。
【0012】
制御部30は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、所定の機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System On a Chip)、及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)等である。制御部30は、第1のセンサ10の検出結果及び第2のセンサ20の検出結果に基づいて、被験者の被測定部位の動作が正常か否かを判定することができる。また、制御部30は、画像や音声等を出力させるための信号を出力部50に出力することができる。
【0013】
記憶部40は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ソリッド・ステート・ドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ等である。記憶部40は、各種プログラムを記憶することができる。また、記憶部40は、第1のセンサ10及び第2のセンサ20の検出結果を一時的に又は永久に記憶することができる。
【0014】
出力部50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の画像出力装置、スピーカー等の音声出力装置、良/不良を示す発光ダイオード等の発光装置などである。出力部50は、制御部30の指令に基づいて所定の出力を行う。
【0015】
制御部30、記憶部40、及び出力部50は、例えば、パーソナルコンピュータの一部であってもよい。
【0016】
[第1のセンサ10]
ここでは、被験者の被測定部位の動作を検出する第1のセンサ10として触覚センサモジュールを例示する。また、以降では、被験者の被測定部位として手の指を例に挙げて説明する。
【0017】
図2は、第1のセンサについて説明する図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は正面図である。図2を参照すると、第1のセンサ10は、基板11と、触覚センサ12と、筐体13とを有する触覚センサモジュールである。筐体13は、センサ固定部14と、可動部15と、連結部16とを備えている。可動部15は、連結部16を軸として矢印方向に可動することができる。筐体13は、例えば、ゴムのような変形可能な材料から形成することができる。
【0018】
筐体13において、センサ固定部14の可動部15側の面には、ガラスエポキシ基板等の基板11に実装された触覚センサ12が配置されている。触覚センサ12は、主にスポンジ等の柔らかい材料で形成され、スポンジ等を通過する光の量の変化に基づいて、スポンジ等が押圧されたことを検出できる。触覚センサ12の一例としては、タッチエンス社製のショッカクキューブ(商標)が挙げられる。
【0019】
図3は、第1のセンサの動作を説明する図であり、図3(a)は、第1のセンサ10の可動部15が指300で矢印方向に押圧されて可動した様子を示す側面図である。図示は省略するが、ここでは、図2(b)の方向から視て、触覚センサ12の中央よりもX-側を指300が押圧している。
【0020】
図3(b)は、図3(a)の状態における第1のセンサ10の出力を出力部50に表示した様子を示している。図3(b)において相対的に色が薄い部分が押圧されている部分である。図3(b)の表示から、触覚センサ12の中央よりもX-側を指300が押圧していることがわかる。例えば、図2(b)の方向から視て、触覚センサ12の中央よりもX+側を指300が押圧すれば、図3(b)においてX+側の色が薄くなる。
【0021】
このように、第1のセンサ10は、触覚センサ12のどの領域が押圧されたかを検出することができる。例えば、センサ固定部14の上の予め定めた位置に複数の指を置いて順番に押した場合、どの指が動作したかを検出することができる。つまり、第1のセンサ10は、1つの触覚センサ12で複数の指(例えば、5本の指)の動きを検出できる。
【0022】
[第2のセンサ20]
ここでは、被験者の被測定部位の動作を司る筋肉の電位を検出する第2のセンサ20として筋電センサを例示する。
【0023】
図4は、第2のセンサについて説明する図であり、図4(a)は第2のセンサ20を例示する模式図である。図4(a)を参照すると、第2のセンサ20は、正極21と、負極22と、参照電極23とを有する筋電センサである。参照電極23は、必要に応じて設けられる。正極21、負極22、及び参照電極23は、被験者の皮膚の表面に貼り付けて使用される。正極21、負極22、及び参照電極23は、被験者の被測定部位の動作を司る筋肉が収縮する際に生じる電気信号(筋電信号)を取得することができる。
【0024】
指の動作を司る筋肉は前腕部の別々の位置に配置されている。そのため、被測定部位である指と同数の第2のセンサ20が必要である。例えば、人差し指の動作を司る筋肉の電位を検出する場合は、前腕部の人差し指の動作を司る筋肉に対応する位置に第2のセンサ20を配置する。中指の動作を司る筋肉の電位を検出する場合は、前腕部の中指の動作を司る筋肉に対応する位置に第2のセンサ20を配置する。5本の指の動作を司る筋肉の電位をすべて検出する場合は、各々の第2のセンサ20は、前腕部において各々の指の動作を司る筋肉に対応する位置に配置される。
【0025】
図4(b)は、第2のセンサ20の出力を出力部50に表示した様子を模式的に示している。具体的には、前腕部の5本の指の動作を司る筋肉に対応する位置にそれぞれ第2のセンサ20を配置し、人差し指のみを動かした場合の信号を示している。図4(b)に示すように、前腕部の人差し指の動作を司る筋肉に対応する位置に配置した第2のセンサ20の出力が、他の第2のセンサ20の出力よりも大きくなっていることがわかる。
【0026】
[生体動作判定装置の動作]
図5は、正常に動作している指における第1のセンサ及び第2のセンサの出力を例示する図である。図5(a)は、第1のセンサ10を中指が押圧している場合の第1のセンサ10の出力である。図5(b)は、前腕部の5本の指の動作を司る筋肉に対応する位置に5つの第2のセンサ20を配置し、中指の動作を司る筋肉に対応する位置に配置した第2のセンサ20の出力を表示したものである。図5(a)及び図5(b)から、中指が正常に動作していることがわかる。
【0027】
図6は、正常に動作していない指における第1のセンサ及び第2のセンサの出力を例示する図である。図6(a)は、麻痺等により中指自体が正常に動作していないが、人差し指に巻き込まれて中指が動いている場合の第1のセンサ10の出力である。図6(b)は、前腕部の5本の指の動作を司る筋肉に対応する位置に5つの第2のセンサ20を配置し、中指の動作を司る筋肉に対応する位置に配置した第2のセンサ20の出力を表示したものである。図6(a)の表示は、図5(a)の表示と大きな差がない。したがって、この結果からは、中指が正常に動作しているか否かは判定できない。一方、図6(b)の信号は図5(b)の信号の1/5程度の振幅であり、中指が正常に動作してないと判断することができる。
【0028】
このように、人差し指に巻き込まれて中指が動いている場合に、第2のセンサ20が出力する筋電信号を見ることで、中指が正常に動作していないことを判定できる。筋電信号が正常か否かの判定は、例えば、筋肉の電位があらかじめ定めた閾値以上に変化したか否かで判定できる。あるいは、筋電信号の積分値に基づいて判定してもよいし、筋電信号の周波数スペクトルを解析することで判定してもよい。
【0029】
図7は、第1実施形態に係る生体動作の判定方法を例示するフローチャートである。ここでは、一例として被験者の中指の動作が正常か否かを判定する方法について説明する。
【0030】
まず、ステップS101では、第2のセンサ20を被験者の中指の動作を司る筋肉に対応する位置に配置する。例えば、第2のセンサ20を被験者の中指の動作を司る筋肉に対応する位置に貼り付ける。そして、被験者に中指で第1のセンサ10を押圧してもらい、中指の動作を第1のセンサ10で検出する。例えば、第1のセンサ10の検出結果は制御部30に送られ、記憶部40に一時的に記憶される。
【0031】
次に、ステップS102では、中指の動作を司る筋肉の電位を第2のセンサ20で検出する。例えば、第1のセンサ10の検出出力をトリガとして、第2のセンサ20の出力を検出する。これにより、良好なタイミングで第1のセンサ10の検出が可能となる。例えば、第2のセンサ20の検出結果は制御部30に送られ、記憶部40に一時的に記憶される。
【0032】
次に、ステップS103では、制御部30は、指の動作が正常か否かを判定する。制御部30は、記憶部40から必要な情報を読み出し、ステップS101における第1のセンサ10の検出結果に基づいて、中指が動作したかを判断する。例えば、図5(a)に示すような信号が得られれば、中指が動作したと判断できる。また、制御部30は、記憶部40から必要な情報を読み出し、ステップS102における第2のセンサ20の検出結果に基づいて、中指の動作を司る筋肉の電位が検出されたかを判断する。例えば、図5(b)に示すような信号が得られれば、中指の動作を司る筋肉の電位が検出されたと判断できる。
【0033】
そして、制御部30は、第1のセンサ10により中指の動作が検出され、かつ第2のセンサ20により中指の動作を司る筋肉の電位が検出された場合に、中指の動作が正常であると判定する。例えば、図5(a)及び図5(b)に示すような信号が得られれば、制御部30は、中指の動作が正常であると判定する。一方、制御部30は、第1のセンサ10により中指の動作が検出され、かつ第2のセンサ20により中指の動作を司る筋肉の電位が検出されなかった場合に、中指の動作が異常であると判定する。例えば、図6(a)及び図6(b)に示すような信号が得られれば、制御部30は、中指の動作が異常であると判定する。筋肉の電位の判定方法については、前述のとおりである。なお、制御部30は、第1のセンサ10により中指の動作が検出されず、かつ第2のセンサ20により中指の動作を司る筋肉の電位が検出されなかった場合にも、当然に中指の動作が異常であると判定する。
【0034】
ステップS103において、制御部30が中指の動作は正常であると判定した場合(YESの場合)、ステップS104に移行し、制御部30は出力部50に指令を出し、出力部50は、例えば、『正常』の表示を出す。ステップS103において、制御部30が中指の動作は異常であると判定した場合(NOの場合)、ステップS105に移行し、制御部30は出力部50に指令を出し、出力部50は、例えば、『異常』の表示を出す。必要に応じ、ステップS101に戻り、同じ指で動作を繰り返してもよいし、5本の指を順番に動作させてもよい。出力部に『異常』が表示された場合は、以降の動作を中止してもよい。
【0035】
このように、本実施形態に係る生体動作の判定方法では、被験者の被測定部位の動作が正常か異常かを判定することが可能である。したがって、例えば、生体動作判定装置1を用いて指のリハビリを行う場合に、正しいリハビリが行われているか否かを容易に判定できる。
【0036】
また、本実施形態に係る生体動作の判定方法では、超音波画像診断装置やCT等の大型装置を使用せず、触覚センサや筋電センサ等の2種類のセンサを組み合わせる小型で簡易な構成により、被験者の被測定部位の動作が正常か異常かを判定することが可能である。
【0037】
また、生体動作判定装置1では、筋電信号が得られるため、得られた筋電信号の振幅の情報から筋量評価も可能である。
【0038】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、第1実施形態とは異なるセンサを用いる例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
【0039】
図8は、第1実施形態の変形例1に係る第1のセンサを例示する平面図である。図8に示す第1のセンサ10Aは、基板11と、圧力センサ12a~12eとを有する圧力センサモジュールである。圧力センサ12a~12eを覆うようにスポンジ等の柔軟な部材を設けてもよい。圧力センサは、被測定部位と同数であることが好ましい。圧力センサ12a~12eとしては、例えば、ピエゾ抵抗を用いたセンサや、電気容量、電磁気、光、電位差等の変化を検出するセンサが挙げられる。
【0040】
図8の例は、被測定部位が右手の5本の指の場合である。圧力センサ12aは親指で押圧しやすい位置に配置され、圧力センサ12bは人差し指で押圧しやすい位置に配置され、圧力センサ12cは中指で押圧しやすい位置に配置されている。また、圧力センサ12dは薬指で押圧しやすい位置に配置され、圧力センサ12eは小指で押圧しやすい位置に配置されている。特定の指の動作のみを検出する場合には、必要な個数の圧力センサを設ければよい。例えば、中指の動作のみを検出する場合には、基板11上に圧力センサ12cのみを設ければよい。
【0041】
このように、第1のセンサ10としては、被験者の被測定部位の動作を検出できるセンサであれば、触覚センサ以外のセンサを用いてもかまわない。
【0042】
なお、第2のセンサ20として圧力センサを用いた場合には、被験者の被測定部位の動作に加え、被験者の被測定部位の押圧力の測定が可能である。例えば、生体動作判定装置1を用いて指のリハビリを行う場合に、リハビリにより押圧力が継時変化したことを把握できる。
【0043】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、事前にデータ収集を行う例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。
【0044】
図9は、第1実施形態の変形例2に係る生体動作の判定方法を例示するフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップS100が追加された点が、図7に示すフローチャートと相違する。
【0045】
ステップS100では、被験者データの収集を行う。例えば、被験者の中指の動作を検出する場合、第2のセンサ20は中指の動作を司る筋肉に対応する位置に配置する必要がある。中指の動作を司る筋肉に対応する位置は、人間であればおおよそ決まっている。そのため、図7のフローチャートのように、事前に被験者データの収集を行わなくても、データベース等に保存されたデータに基づいて第2のセンサ20を配置する位置を決めることができる。
【0046】
しかし、ステップS100で被験者データの収集を行うことにより、より適切な位置に第2のセンサ20を配置することができる。具体的には、所定の位置に第2のセンサ20を配置して中指を動作させたときの第2のセンサ20の出力の振幅を確認する。次に、第2のセンサを配置する位置を少しずつ動かしながら、中指を動作させたときの第2のセンサ20の出力の振幅を確認し、最も大きな振幅が得られた位置を第2のセンサ20を配置する位置に決定する。また、最も大きな振幅の例えば1/2を閾値として定めることができる。複数の指の動作を検出する場合には、各指について、同様に被験者データの収集を行うことができる。また、第1のセンサ10についても、被験者データの収集を行い、指が動作したときの第1のセンサ10の出力振幅(表示される色の濃さ)等の確認を行ってもよい。
【0047】
このように、実際に被験者の被測定部位の動作を検出する前に、被験者データの収集を行うことで、各センサによる検出精度を向上することができる。
【0048】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 生体動作判定装置
10,10A 第1のセンサ
11 基板
12 触覚センサ
12a,12b,12c,12d,12e 圧力センサ
13 筐体
14 センサ固定部
15 可動部
16 連結部
20 第2のセンサ
21 正極
22 負極
23 参照電極
30 制御部
40 記憶部
50 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9