(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107637
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】固定構造、固定装置、ヘルメットシステム、撮像システム、及び、機器のヘルメットへの装着方法
(51)【国際特許分類】
A42B 3/04 20060101AFI20230727BHJP
A42B 3/30 20060101ALI20230727BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20230727BHJP
A42C 5/00 20060101ALI20230727BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
A42B3/04
A42B3/30
A44B99/00 611A
A42C5/00 A
F16B2/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008925
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆
【テーマコード(参考)】
3B107
3J022
【Fターム(参考)】
3B107BA03
3B107BA05
3B107BA07
3B107BA08
3B107DA18
3B107DA19
3B107DA21
3B107EA05
3B107EA19
3J022DA11
3J022EA41
3J022EB03
3J022EC02
3J022ED06
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA06
3J022GA12
3J022GB32
(57)【要約】
【課題】ヘルメットへの機器の装着の確実性につき改善する。
【解決手段】ヘルメットへ機器を固定するための固定構造であって、ヘルメットの側壁を第1部材310と第2部材320とによって挟んで固定する固定手段330と、第1部材310または第2部材320のうちヘルメットの外側に位置する部材に設けた、機器と接続する接続手段340と、第1部材310と第2部材320と機器のうち少なくとも2つの間の位置関係を調整する調整手段327,329とを有する。第1部材310は、ヘルメットの側壁下縁部に下方から対向する部分312を有し、当該部分の表面に側壁下縁部に接触する2つの凸部314を有してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットへ機器を固定するための固定構造であって、
ヘルメットの側壁を第1部材と第2部材とによって挟んで固定する固定手段と、
前記第1部材または前記第2部材のうち、ヘルメットの外側に位置する部材に設けた、前記機器と接続する接続手段と、
前記第1部材と前記第2部材と前記機器のうち少なくとも2つの間の位置関係を調整する調整手段と、
を有する固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の固定構造において、
前記側壁を挟むのに、前記第1部材の前記側壁の内側に位置させる部分と、前記第2部材の前記側壁の外側に位置させる部分と用い、
前記第2部材は、前記接続手段と前記調整手段とを有し、
前記調整手段は、前記機器と前記第1部材の少なくとも一方の前記第2部材に対する取り付け位置を調整することを特徴とする固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載の固定構造において、
前記第1部材は、ヘルメットの側壁下縁部に下方から対向する部分を有し、当該部分の表面に前記側壁下縁部に接触する2つの凸部を有することを特徴とする固定構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の固定構造において、
前記第2部材は、ヘルメットの側壁下縁部の鍔部に上方から接触する2つの凸部有することを特徴とする固定構造。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一に記載の固定構造において、
前記調整手段は、固定のための締結部材の貫通孔を長孔にしたものであることを特徴とする固定構造。
【請求項6】
ヘルメットに機器を装着するための固定装置であって、
請求項1乃至5の何れか一に記載の固定構造を有する固定装置。
【請求項7】
請求項6の固定装置とヘルメットとからなるヘルメットシステム。
【請求項8】
請求項7の固定装置と撮像装置とからなる撮像システム。
【請求項9】
請求項8の撮像システムにおいて、
前記撮像装置の機器本体が中空部にヘルメットを位置させることができる一連のまたは一部切り欠きのリング形状であり、前記機器本体のヘルメットへの固定のために前記固定装置を複数備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の撮像システムとヘルメットとからなるヘルメットシステム。
【請求項11】
機器のヘルメットへの装着方法であって、
ヘルメットの側壁を固定構造の第1部材と第2部材とによって挟んで固定構造をヘルメットに固定する工程と、
接続手段によって固定構造に機器を接続する工程と、
調整手段によって、前記第1部材と前記第2部材と前記機器のうち少なくとも2つの間の位置関係を調整する工程とを備えた機器のヘルメットへの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定構造、固定装置、ヘルメットシステム、撮像システム、及び、機器のヘルメットへの装着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘルメットへ装着可能な電子機器が知られている。例えば特許文献1には係る電子機器であって、所望の画像取込位置でカメラを備えたものが記載されている。この電子機器は、ヘルメットの1つ以上の位置にフィットするよう適合された1つ以上の把持機構と、カメラマウントとを含む支持構造を備えた装着装置によりヘルメットに装着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の装置ではヘルメットへの機器の装着の確実性につき改善の余地が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、ヘルメットへ機器を固定するための固定構造であって、ヘルメットの側壁を第1部材と第2部材とによって挟んで固定する固定手段と、前記第1部材または前記第2部材のうち、ヘルメットの外側に位置する部材に設けた、前記機器と接続する接続手段と、前記第1部材と前記第2部材と前記機器のうち少なくとも2つの間の位置関係を調整する調整手段と、を有するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、機器のヘルメットへの装着の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ウェアラブルカメラのヘルメットへの装着状態の説明図。
【
図2】同ウェアラブルカメラの機器本体110の六面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を機器が電子機器であり主要部品としてカメラを備えたウェアラブルカメラ(撮像装置)に適用した実施形態について説明する。
図1はウェアラブルカメラ100のヘルメットへの装着状態の説明図であり、
図1(a)は平面図(右90°回転)、
図1(b)は前斜めからの斜視図である。このウェアラブルカメラ100は、ヘルメット200へ装着可能であり、主要部品であるカメラ101を備えた機器本体110は、中空部111にヘルメットを位置させることができるヘルメット表面の周方向に沿うリング形状である。図示の例は一連のリング形状あるが、一部切り欠きのリング形状でもよい。
【0008】
図示のヘルメット200はほぼ半球郭形状の本体部201と本体部201の下開口縁部から前方に突出した庇部202とを備えている。この庇部202はヘルメット200の左右の下開口縁部(側壁下縁部)のうち突出量が小さい鍔部203につらなる。図示の例ではヘルメット200の庇部202以外は後を含めて鍔部203が形成されている。
【0009】
本体部201の下開口部は前後が左右よりやや長い楕円形状である。人は、庇部202が前方を向くようにしてヘルメット200を被る。図示のウェアラブルカメラ100の機器本体110はヘルメット200の形状に合わせ前後が左右に比してやや長いリング状である。ウェアラブルカメラ100はコントローラ120を備える。このコントローラ120はUSBケーブル121により、機器本体110の電装部に接続されている。そして、機器本体110がヘルメット200の左右側面に位置する左右で2つの固定装置300により、ヘルメット200に固定されている。固定装置300によるヘルメット200への固定箇所は2箇所に限らないが固定操作の手間や固定状態の安定性を考慮すると2箇所が好適である。
【0010】
図2は、
図1に図示のウェアラブルカメラ100の機器本体110の六面図である。この六面図は、ヘルメット200の右側面に位置する箇所を正面として描いている。符号206で示すのは後述する固定装置300の取付用固定ボルト340が螺合する螺合穴である。図示の例では、螺合穴206は左右それぞれ2箇所に形成している。ヘルメットの形状に合わせ、左右それぞれ1箇所でも3箇所以上でもよい。
【0011】
図3は機器本体110及びコントローラ120の一例に係る電装部400のブロック図である。これは、4眼のカメラを想定したブロック図である。機器本体110で、Image Sensor1~4(撮像素子)401は光電変換で光を電気信号に変換する。これが4つある。4つのカメラ101全体は周方向の360度をカバーする。SoC(System on Chipの略)402は機器本体110のメインコントローラである。SoC402は主に画像処理を行う。SoC402は入力された映像信号から全天球映像を取得する。Image Sensor401を備えたカメラ101は
図1に示す位置にある。SoC402は次の要素とつながっている。
【0012】
IMU(Inertial Measurement Unitの略)404は慣性計測装置である。具体的には加速度センサ(並進運動検出)と角速度センサ(回転運動検出)で構成されている。ウェアラブルカメラ装着者の動作や移動に関する情報を取得する。ヘルメット装着者の動作、歩く方向やお辞儀などの動作を把握できる。映像とともにその動作情報を記録できるようにする。SoC402は制御や記録のためRAM405やROM406ともつながっている。
【0013】
コントローラ120は、SoC412を備えている。このSoC412は次の要素とつながっている。GNSS(Global Navigation Satellite Systemの略)415はいわゆるGPSである。ヘルメット装着者の位置情報を取得し、映像と共に記録できるようにする。Micro SD Card416に記録する。RAM425やROM426ともつながっている。
【0014】
Wi-Fi410aやBT(Bluetooth(登録商標)の略)410bは無線通信回路である。これらは、スマートフォンと接続することで、このカメラをスマートフォンで制御できるようにする。その他、Audio(オーディオ回路)417、USB(USB端子)412、Key/LED(キー/表示回路)413なども備えている。PMIC(Power Management ICの略)409は電源回路である。全体をバッテリー420で駆動するための回路である。
【0015】
この電装部400は、4つのImage Sensor401が、
図1のように4つの各カメラ101内にある。Image Sensor401で周囲の光学像を電気信号に変換し、後段のSoC402にて動画用の信号処理あるいは静止画用の信号処理をおこなう。その後記録データとしてMicro SD Card416に記録する。平行して、IMU404からは装着者の動作や移動に関わるセンシングデータをSoC402、SoC412を介してMicro SD Card416に記録する。GNSS415では各衛星からの距離情報を使って自分の位置を演算してMicro SD Card416に記録する。
【0016】
図4は固定装置300の説明図である。
図4(a)は分解斜視図、
図4(b)は一部の背面側を示す斜視図である。
図1(b)の斜視図におけるヘルメット200の左側面に位置する固定装置300を分解した図である。ヘルメット200の右側面に位置する固定装置300も同一構造である。付記しているX軸はヘルメット200の左右方向、Y軸は同前後方向、Z軸は同鉛直上方向(ヘルメット200の高さ方向)を示す。以降の図面においても同様である。
【0017】
この固定装置300は、ヘルメット200へ機器を固定するための固定構造として、第1部材としての第1固定部材310と第2部材としての第2固定部材320とを備える。固定手段を構成する締結部材である取付用固定ボルト340と、接続手段を構成する取付用固定ボルト340も備えている。
【0018】
第1固定部材310はヘルメット200に取り付けたとき(以下、ヘルメット取付時という。)ヘルメット200の側壁内面側に位置する内側挟持部311と、ヘルメット取付時にヘルメット200の鍔部203を載置する鍔載置部312とを備えている。内側挟持部311は、ヘルメット200の側壁内面に対向する面上に固定されたシート状の弾性部材313を備えている。弾性部材313は、両面テープもしくは接着剤によって固定できる。鍔載置部312は上面317上に2本の凸条部314を備えている。2本の内側挟持部311は、Y軸方向に間隔を持ち、それぞれX軸方向、つまり、ヘルメット200の側面にほぼ垂直な方向に延在する。また、鍔載置部312は
図4(b)に示すように、固定ナット331を収容するナット収容部316を備える。ナット収容部316の外壁面部315は、挟持用固定ボルト330の先端部をナット収容部316に進入させるための外壁面部315を備える。
【0019】
第2固定部材320はヘルメット取付時に第1固定部材310の内側挟持部311とともにヘルメット200の側壁を挟持する外側挟持部321と外側挟持部321の上端縁部からX軸方向に延在する板状の機器取付部322とを備えている。機器取付部322は取付用固定ボルト340の先端部を通す貫通孔であるY軸方向に長い長孔327を備える。また、第2固定部材320は、外側挟持部321の下端縁部からX軸方向に延在する板状の鍔対向部323を備える。この鍔対向部323の下面は、ヘルメット取付時にヘルメット200の鍔部203に上方から対向する。また、第2固定部材320は、鍔対向部323のX軸方向の端縁部から下方に延在する板状の締結部324を備えている。この締結部324は挟持用固定ボルト330の先端部を通すZ軸方向に長い長孔327を備える。
【0020】
そして、第2固定部材320は、外側挟持部321のヘルメット200の側壁と対向する面と鍔対向部323の鍔部203に対向する下面とにかけて固定されたシート状の弾性部材325を備える。弾性部材325は、両面テープもしくは接着剤によって固定できる。弾性部材313や弾性部材325はヘルメット当接面を摩擦係数の高い表面性状にでき、ヘルメット表面との摩擦力によって固定力を向上できる。また、弾性部材313や弾性部材325は弾性変形により、市場に存在する各種ヘルメットの側面形状の差異を吸収できる。
【0021】
図5は固定装置300のヘルメット200への取付時の断面図である。
図5(a)は側面の下端部から下凸に湾曲し外縁が反り上がった形状の鍔部203を有するヘルメット200への取付時を示し、
図5(b)は鍔部203の反り上がりが比較的小さいヘルメット200への取付時を示す。例えば
図5(a)に示すように、第1固定部材310の内側挟持部311と第2固定部材320の外側挟持部321とでヘルメット200の側壁を挟む。この状態で、挟持用固定ボルト330と固定ナット331は第1固定部材310と第2固定部材320とを締結し、固定装置300をヘルメット200の側壁に取り付ける。挟む側壁部分は、庇部202を避けたヘルメット200の下開口部近傍の側壁部分が好適である。
図1の例のように小さな突出量の鍔部203でれば、その上方の部分でも構わない。庇部202がないヘルメット200であれば、かぶる時に前方になる側壁部分でも構わない。
【0022】
図5(a)に示すように鍔部203を鍔載置部312と鍔対向部323とで上下から挟持するように両者のZ軸方向の位置関係を決めてから挟持用固定ボルト330で固定装置300をヘルメット200に固定することが好ましい。
図5(a)と
図5(b)との比較からもわかるように、両者のZ軸方向の位置関係の調整は機器取付部322の長孔329がZ軸方向に長いことで可能である。鍔部203を上下から挟持するか否か、湾曲形状であるか否かによらず、様々なタイプのヘルメット200の縁部形状に対応することが可能となる。長孔329は調整範囲を決める。
【0023】
この固定装置300のヘルメット200への固定の後、または、固定の前に、取付用固定ボルト340により機器取付部322の上にウェアラブルカメラ100の機器本体110を接続して固定する。これにより、ウェアラブルカメラ100の固定装置300に対する位置が決まり、固定装置300のヘルメット200への固定後であれば、ウェアラブルカメラ100のヘルメット200に対する位置が決まる。この機器取付部322の長孔327は
図4(a)に示すようにY軸方向に長いので、機器取付部322上における機器本体110の固定位置を調整できる。つまり、第2固定部材320に対する機器本体110の位置を調整できる。長孔327は調整範囲を決める。
【0024】
図6は固定装置300の変形例を示す斜視図である。この変形例は第2固定部材320の機器取付部322に形成する長孔がX軸方向に長い長孔328になっている。これにより、固定装置300やヘルメット200に対するウェアラブルカメラ100のX軸方向の位置を調整できる。ヘルメット200の形状によっては、第1固定部材310および第2固定部材320の取り付け位置に制約がある場合がある。第2固定部材320の長孔327や長孔328が長孔の範囲で、ウェアラブルカメラ100の固定装置300やヘルメット200に対する位置を、ヘルメット200に対する前後方向(Y軸方向)や左右方向(X軸方向)で調整可能な構成とした。よって、このような制約に対応可能である。ヘルメット200のサイズ差を吸収するには左右方向の位置調整が特に有効である。
【0025】
図7は第1固定部材310の凸条部314の形状の説明図である。
図7(a)はX軸方向から見た図、
図7(b)はY軸方向から見た図である。
図4(a)はヘルメット200の鍔最下部204が2つの凸条部314の両方に当接する状態で固定装置300がヘルメット200に固定された状態を示す。図示の例は鍔最下部204が直線状である。つまりヘルメット200の縁部が前後方向に真っ直ぐタイプのヘルメット200の例である。図示の例では、2つの凸条部314それぞれは、断面が上側弧状の凸形状(かまぼこ状の凸形状)をしており、凸部の先端がヘルメットの縁部と当接する。2つの凸条部314により、ヘルメット縁部を2点で支持することが可能となる。
【0026】
図8は第1固定部材310の凸条部314の機能の説明図である。
図8(a)はX軸方向から見た図、
図8(b)は凸条部314を設けない比較例をX軸方向から見た図である。
図8(a)の実線で示す鍔最下部204は下側に凸になるように湾曲した形状である。二点鎖線で示す鍔最下部205は上側に凸になるように湾曲した形状である。このようなヘルメット200の形状であっても、2つの凸条部314により、ヘルメット縁部を2点で支持することが可能となる。つまり、2つの当接凸部を設けることにより、幅広いヘルメット200の形状に対応する安定した支持(固定)が可能となる。
【0027】
図8(b)に示すように、仮に当接凸部が無い場合、ヘルメット挟持部分を中心Cとした矢印Aで示すような回転の作用が発生する際、ヘルメット縁部が第1固定部材310の鍔載置部312の上面317にいわば1点の点接触となり、安定した固定が困難になる。なお、凸条部314はX軸方向に延在するため鍔部203のX軸方向の位置が互いに異なる種々のヘルメット200に対応可能であるが、対応ヘルメットに制約を設ける場合には、延在長さが短いか、または点状の凸部であっても構わない。
【0028】
図9は固定装置300の他の変形例の説明図である。
図9(a)はX軸方向から見た図、
図9(b)及び
図9(c)は、
図5(a)及び
図5(b)に対応する断面図である。この変形例は、第2固定部材320の鍔対向部323の下面にも2つの凸条部326を備えている。2つの凸条部326の形状は第1固定部材310の2つの凸条部314と同一でよい。大きさや形状を変更してもよい。ヘルメットの縁部が上凸形状タイプの場合でも、上側から当接する第2固定部材320に2つの凸条部326を設けられていることで、2点で支持することが可能となる。これにより、第2固定部材320に当接凸部が無い場合の点接触に伴う回転作用を抑制することができる。
【0029】
凸条部314や凸条部326の当接凸部についてまとめると次のようになる。鍔最下部204が真っ直ぐなタイプのヘルメットのみならず、
・第1固定部材310に当接凸部があると、下凸形状タイプのヘルメット200に有効、
・第2固定部材320に当接凸部があると、上凸形状タイプのヘルメット200に有効、
・第1固定部材310と第2固定部材320いずれにも当接凸部があると、両タイプのヘルメット200に有効、
となる。
【0030】
実施形態に係る電子機器は、機器本体110や固定装置300はヘルメット200に装着された状態でヘルメット200の天頂部よりも上方に突出しない高さに設定されている。これにより、上方に突出する場合に比して、ヘルメット装着者の頭部よりも上方にある障害部などに機器が衝突することや、衝突して機器が落下することにより、機器が損傷することなどを防止できる。
【0031】
本実施形態のウェアラブルカメラ100は、機器本体110が中空部にヘルメット200を位置させることができる一連のまたは一部切り欠きのリング形状であるため、次のようにしてヘルメット200に装着できる。固定装置300がヘルメット200に固定または仮固定されている状態で、機器本体110をヘルメット200の上方から装着できる。装着にあたっては、機器本体110の下面部に形成した取付用固定ボルト340の螺合穴206(
図2参照)を、固定装置300の取付用固定ボルト340に対向させる姿勢を取らせる。螺合穴206が2箇所以上場合、取り付けに適した螺合穴206を選択して使用する。必要であれば、挟持用固定ボルト330による締結をゆるめてヘルメット200に対する固定装置300の位置を調整する。また、ヘルメット200に取り付ける前の固定装置300に取付用固定ボルト340でヘルメット200を固定または仮固定する。この状態で、固定装置300付の機器本体110をヘルメット200の上方から装着する。必要であれば、挟持用固定ボルト330による締結をゆるめてヘルメット200に対する固定装置300の位置を調整したり、取付用固定ボルト340による締結をゆるめて固定装置300に対する機器本体110の位置を調整したりする。
【0032】
以上、本実施形態によれば、ヘルメット200の側壁を第1部材と第2部材とによって挟んで固定する固定手段と、前記機器と接続する接続手段と、前記第1部材と前記第2部材と前記機器のうち少なくとも2つの間の位置関係を調整する調整手段と、を有する。よって、次の効果を奏する。すなわち、形状や大きさが種々ある多くの種類のヘルメット200に取り付け可能である。完全な固定ではなく取り付け取り外しができる。工事現場使用で上方の障害物にぶつかったときなどに衝撃で簡単にはずれて落下することを防止できる。安全基準があって加工ができないヘルメット200自体はそのままに機器本体の構造により種々のヘルメット200に装着できる。構造も簡易で、頭につけても重くならず、またコスト的にも安価に実現できる。
【0033】
特に建築現場では、比較的狭い足場での作業や、建築中のむき出しとなっている建築材料が存在する現場での作業などにおいて、ヘルメット装着者の作業姿勢は多岐にわたることが考えられる。本実施形態に係る固定装置300が存在しない場合、ヘルメット装着者が下を向いたり前かがみになったりした際、機器がヘルメット200からヘルメット上方に抜け落ちてしまうことが想定される。このような作業姿勢であっても、固定装置300はヘルメット200と機器を安定して固定することが可能である。
【0034】
また、 実施形態に係る電子機器は、ヘルメット200の上方から下方に向けて装着しており、装着方向はヘルメット通常使用時の重力方向となる。つまり、電子機器は固定装置300の機器取付部322の上に重力方向に沿って接続される。よって、機器取付部322で電子機器の重さを受けた状態で、接続手段としての取付用固定ボルト340で接続できる。これとは異なり、通常使用時に重力に逆らった方向に沿って接続される態様(例えば機器取付部322に対して吊り下げるように電子機器を接続する態様)の場合は、接続手段が常に電子機器の重力を受け続けることになる。したがって、機器取付部322の上に重力方向に沿って接続する本実施形態の方がより安定的な接続が可能となる。
【0035】
また、接続手段を、前記第1部材または前記第2部材のヘルメット200の外側に位置する箇所に設けたので、接続や位置調整の操作を簡便なものにできる。上記実施形態では、外側挟持部321を有する部材に接続手段や位置調整手段を設けたが、内側挟持部311を有する部材に一体としてヘルメット200の外側に位置する箇所を形成し、この箇所に接続手段や位置調整手段を設けてもよい。
【0036】
また、本実施形態の固定構造を備える固定装置は種々の態様でシステムとして流通させることができる。まず固定装置単体である。また、固定装置とヘルメットとからなるヘルメットシステムである。システムの要素である定装置とヘルメットは互いに固定した状態、分離した状態、何れの状態でも流通させることができる。使用時には互いに固定する。また、固定装置と撮像装置とからなる撮像システムである。また、この撮像システムとヘルメットとからなるヘルメットシステムである。いずれのシステムでもシステム要素を固定した状態、分離した状態、何れの状態でも流通させることができる。
【0037】
以上は主要部品がカメラである電子機器の例であるが、その他の電子機器や、電子機器以外の機器をヘルメットに固定するための固定構造なども適用できる。
【符号の説明】
【0038】
100 :ウェアラブルカメラ
101 :カメラ
110 :機器本体
111 :中空部
120 :コントローラ
121 :USBケーブル
200 :ヘルメット
201 :本体部
202 :庇部
203 :鍔部
204 :鍔最下部
205 :鍔最下部
206 :螺合穴
300 :固定装置
310 :第1固定部材
311 :内側挟持部
312 :鍔載置部
313 :弾性部材
314 :凸条部
315 :外壁面部
316 :ナット収容部
317 :上面
320 :第2固定部材
321 :外側挟持部
322 :機器取付部
323 :鍔対向部
324 :締結部
325 :弾性部材
326 :凸条部
327 :長孔
328 :長孔
329 :長孔
330 :挟持用固定ボルト
331 :固定ナット
340 :取付用固定ボルト
400 :電装部
405 :RAM
406 :ROM
420 :バッテリー
425 :RAM
426 :ROM
A :矢印
C :中心
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】