(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107781
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】研磨用組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20230727BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20230727BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230727BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20230727BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550C
C09G1/02
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
H01L21/304 622B
B24B37/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081313
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2019033240の分割
【原出願日】2019-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2018041108
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 幸信
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋平
(57)【要約】
【課題】本発明は、段差性能の向上(特に、エロージョン)に資する、新規な研磨用組成
物を提供することである。
【解決手段】研磨対象物を研磨するために用いられる、研磨用組成物であって、砥粒と、
分散媒とを含み、前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下であり、前記砥粒のうち、粒
子径0.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り20,000
個以下である、研磨用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象物を研磨するために用いられる、研磨用組成物であって、
砥粒と、分散媒とを含み、
前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下であり、
前記砥粒のうち、粒子径0.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1c
m3当り20,000個以下である、研磨用組成物。
【請求項2】
前記砥粒の平均一次粒子径が15nm以下である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記砥粒の平均一次粒子径が11nm以下である、請求項2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記砥粒のD90/D10が、2.2以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載
の研磨用組成物。
【請求項5】
前記砥粒の含有量が、0.5~2.5質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記
載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記砥粒が、酸性領域で、負のゼータ電位を有する、請求項1~5のいずれか1項に記
載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記砥粒が、表面に有機酸が固定化されてなる砥粒である、請求項1~6のいずれか1
項に記載の研磨用組成物。
【請求項8】
前記砥粒の会合度が、2.3以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨用
組成物。
【請求項9】
pHが、1~4である、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項10】
酸化剤を実質的に含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項11】
前記研磨対象物が、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、ポリシリコン膜、窒化チタン膜およ
び単結晶シリコンから選択される少なくとも1種の膜を含む、請求項1~10のいずれか
1項に記載の研磨用組成物。
【請求項12】
前記研磨対象物が、窒化ケイ素膜と;酸化ケイ素膜およびポリシリコン膜の少なくとも
一方と;を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項13】
カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、カチオン性界面活性剤、ア
ニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および糖アルコールからなる群から選択され
る少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の研磨用
組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する
ことを有する、研磨方法。
【請求項15】
請求項14に記載の研磨方法を有する、半導体基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integration)の高集積化、高性能化に
伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(chemical mec
hanical polishing;CMP)法もその一つであり、LSI製造工程、
特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダ
マシン配線)形成において頻繁に利用される技術である。
【0003】
近年、デザインルールの縮小化に伴って、デバイス製造に要求される技術は年々厳しく
なっており、LSI半導体デバイスにおいて、段差性能の向上は重要な課題になっている
。中でも、エロージョンの抑制は段差性能の向上には不可欠である(例えば、特開200
4-123921号公報)。
【発明の概要】
【0004】
よって、本発明が解決しようとする課題は、段差性能の向上(特に、エロージョン)に
資する、新規な研磨用組成物を提供することである。
【0005】
本発明の上記課題を解決するための一形態は、研磨対象物を研磨するために用いられる
、研磨用組成物であって、砥粒と、分散媒とを含み、前記砥粒の平均一次粒子径が40n
m以下であり、前記砥粒のうち、粒子径0.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨
用組成物1cm3当り20,000個以下である、研磨用組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40
~50%RHの条件で測定する。
【0007】
(研磨用組成物)
本発明の一形態は、研磨対象物を研磨するために用いられる、研磨用組成物であって、
砥粒と、分散媒とを含み、前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下であり、前記砥粒の
うち、粒子径0.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り20
,000個以下である、研磨用組成物である。かかる構成によって、段差性能の向上(特
に、エロージョン)に資する、新規な研磨用組成物を提供することができる。
【0008】
(砥粒)
本発明の研磨用組成物は、砥粒を含み、前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下であ
り、前記砥粒のうち、粒子径0.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1
cm3当り20,000個以下である。本発明によれば、段差性能の向上(特に、エロー
ジョン)に資する、新規な研磨用組成物を提供することができる。エロージョンは以下の
方法で測定しうる。8インチSiN/P-TEOSパターンウェハを研磨し、パターンの
凸部について、P-TEOS層が露出する時点までSiN層を削り取り、ウェハ上にP-
TEOSとSiNとからなるパターン面を形成する。次いで、得られたパターン面につい
て、ラインアンドスペースが0.25μm/0.25μmである部分について、配線のな
い部分のP-TEOS部分を基準高さとして、配線上のP-TEOS部分との段差の高さ
の差X(Å)を、エロージョンとして、AFM(原子間力顕微鏡)(AFM WA130
0 日立建機ファインテック株式会社製)を用いて測定できる。
【0009】
砥粒の種類としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア等の
金属酸化物が挙げられる。本発明の所期の効果を効率的に奏するためにはシリカであるこ
とが好ましい。好適な例であるシリカの種類は特に限定されるものではないが、例えば、
コロイダルシリカ、フュームドシリカ、ゾルゲル法シリカ等があげられる。これらの中で
も、コロイダルシリカが好ましい。
【0010】
本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下である。前
記砥粒の平均一次粒子径が40nm超であると、本発明の所期の効果を得ることができな
い。本発明の実施形態において、前記砥粒の平均一次粒子径が30nm以下であることが
好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好
ましく、13nm以下であっても、12nm以下であっても、11nm以下であっても、
10nm以下であっても、9nm以下であっても、8nm以下であってもよい。特に、1
5nm以下、13nm以下、あるいは、11nm以下であることによって、エロージョン
の抑制効果が顕著になる。
【0011】
本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が1nm以上である。本発
明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が2nm以上である。また、本発
明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が3nm以上である。本発明の研
磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が4nm以上である。また、本発明の研
磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が5nm以上である。また、本発明の研
磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が6nm以上であり、前記砥粒の平均一
次粒子径が7nm以上であり、前記砥粒の平均一次粒子径が8nm以上であり、前記砥粒
の平均一次粒子径が9nm以上であり、前記砥粒の平均一次粒子径が10nm以上である
。前記砥粒がかような平均一次粒子径を有することによって窒化ケイ素膜を研磨する場合
、当該窒化ケイ素膜の研磨速度を向上させることができる。なお、本発明において、砥粒
の平均一次粒子径の測定方法は、実施例の記載の方法による。
【0012】
本発明の研磨用組成物において、前記砥粒のうち、粒子径0.2~1,600μmの粒
子(以下、単に、「粗大粒子」とも称する)が、前記研磨用組成物1cm3当り20,0
00個以下である。前記研磨用組成物1cm3当り20,000個超であると、本発明の
所期の効果を得ることができない。本発明の実施形態において、粗大粒子が、前記研磨用
組成物1cm3当り10,000個以下であることが好ましく、8,000個以下である
ことがより好ましく、6,000個以下であることがさらに好ましく、4,000個以下
であることがよりさらに好ましく、3,500個以下であることがよりさらに好ましく、
3,230個以下であることがよりさらに好ましく、3,000個以下であることがより
さらに好ましく、2,800個以下であることがよりさらに好ましく、2,500個以下
であることがよりさらに好ましく、2,400個以下であることがよりさらに好ましく、
2,300個以下であることがよりさらに好ましく、2,200個以下であることがより
さらに好ましい。特に、3,230個以下、3,000個以下、2,800個以下、2,
500個以下、あるいは、2,300個以下であることによって、エロージョンの抑制効
果が顕著になる。なお、下限としても特に制限されないが、現実的には、0個以上、10
0個以上、あるいは200個以上程度である。また、本発明の実施形態において、窒化ケ
イ素膜の研磨速度を向上させることを鑑みると、ある程度の粗大粒子が存在していること
も好ましく、例えば、500個程度以上、1,000個程度以上、1,500個程度以上
、2000個程度以上、存在することも好ましい。なお、本発明において、粗大粒子の粒
子径の測定方法は、実施例の記載の方法による。また、本発明の実施形態において、粗大
粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り、1,000個~3,230個存在する。かかる
実施形態によって、エロージョンの抑制効果が顕著になる。本発明の実施形態において、
粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り、1,500個~3,000個存在する。本
発明の実施形態において、粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り、2,000個~
2,300個存在する。かかる実施形態によって、エロージョンの抑制効果が顕著になる
。
【0013】
本発明の実施形態において、前記砥粒の平均二次粒子径が70nm以下であることが好
ましく、55nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ま
しく、30nm以下であることがよりさらに好ましく、20nm以下であることがよりさ
らに好ましく、15nm以下であることがよりさらに好ましい。特に、40nm以下、3
0nm以下、20nm以下、あるいは、15nm以下であることによって、エロージョン
の抑制効果が顕著になる。本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均二次粒子径が
10nm以上である。また、本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均二次粒子径
が13nm以上である。また、本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均二次粒子
径が32nm以上である。また、本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均二次粒
子径が45nm以上である。また、本発明の研磨用組成物において、前記砥粒の平均二次
粒子径が50nm以上である。なお、本発明において、砥粒の平均二次粒子径の測定方法
は、実施例の記載の方法による。
【0014】
本発明の実施形態において、研磨用組成物中の砥粒における、レーザー回折散乱法によ
り求められる粒度分布において、微粒子側から積算粒子質量が全粒子質量の90%に達す
るときの粒子の直径D90と、全粒子の全粒子質量の10%に達するときの粒子の直径D
10との比(本明細書中、単に「D90/D10」とも称する)の下限は、1.3以上で
あることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさ
らに好ましく、1.6以上であることがよりさらに好ましく、1.7以上であることがよ
りさらに好ましく、1.8以上であることがよりさらに好ましく、1.9以上であること
がよりさらに好ましく、2.0以上であることがよりさらに好ましい。特に、1.8以上
であることによって、エロージョンの抑制効果が顕著になる。本発明の実施形態において
、D90/D10の上限は、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることが
より好ましく、3.0以下であることがさらに好ましく、2.9以下であることがよりさ
らに好ましく、2.8以下であることがよりさらに好ましく、2.7以下であることがよ
りさらに好ましく、2.6以下であることがよりさらに好ましく、2.5以下であること
がよりさらに好ましく、2.4以下であることがよりさらに好ましく、2.3以下である
ことがよりさらに好ましく、2.2以下であることがよりさらに好ましい。特に、2.3
以下、あるいは、2.2以下であることによって、エロージョンの抑制効果が顕著になる
。
【0015】
本発明の実施形態においては、前記砥粒が、酸性領域で、負のゼータ電位を有する。か
かる実施形態によれば、酸性領域で、正のゼータ電位を有する研磨対象物に対する研磨速
度を高めることができる。
【0016】
本発明の実施形態においては、砥粒は、表面が修飾されたものであってもよい。かよう
な砥粒は、例えば、アルミニウム、チタンまたはジルコニウムなどの金属あるいはそれら
の酸化物を砥粒と混合して砥粒の表面にドープすることや、有機酸を固定化することによ
り得ることができる。中でも、好ましいのは、表面に有機酸が固定化されてなる砥粒であ
る。その中でも好ましいのは、有機酸を表面に化学的に結合させたシリカである。かよう
な形態であると、酸性領域で、負のゼータ電位を有する。本発明の実施形態においては、
前記有機酸は、特に制限されないが、スルホン酸、カルボン酸、リン酸などが挙げられ、
好ましくはスルホン酸である。なお、有機酸を表面に固定したシリカは、シリカの表面に
上記有機酸由来の酸性基(例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基など)が(場合
によってはリンカー構造を介して)共有結合により固定されていることになる。ここで、
リンカー構造とは、シリカの表面と、有機酸との間に介在する任意の構造を意味する。よ
って、有機酸を表面に固定したシリカは、シリカの表面に有機酸由来の酸性基が直接共有
結合により固定されていてもよいし、リンカー構造を介して共有結合により固定されてい
てもよい。これらの有機酸をシリカ表面へ導入する方法は特に制限されず、メルカプト基
やアルキル基などの状態でシリカ表面に導入し、その後、スルホン酸やカルボン酸に酸化
するといった方法の他に、上記有機酸基に保護基が結合した状態でシリカ表面に導入し、
その後、保護基を脱離させるといった方法がある。
【0017】
有機酸を表面に固定したシリカの具体的な合成方法として、有機酸の一種であるスルホ
ン酸をシリカの表面に固定するのであれば、例えば、“Sulfonic acid-f
unctionalized silica through quantitativ
e oxidation of thiol groups”, Chem. Comm
un. 246-247 (2003)に記載の方法で行うことができる。具体的には、
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング
剤をシリカにカップリングさせた後に過酸化水素でチオール基を酸化することにより、ス
ルホン酸が表面に固定化されたシリカを得ることができる。本発明の実施例のスルホン酸
が表面に修飾されているコロイダルシリカも同様にして製造している。
【0018】
カルボン酸をシリカの表面に固定するのであれば、例えば、“Novel Silan
e Coupling Agents Containing a Photo lab
ile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction
of a Carboxy Group on the Surface of Si
lica Gel”, Chemistry Letters, 3, 228-229
(2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2-ニトロベン
ジルエステルを含むシランカップリング剤をシリカにカップリングさせた後に光照射する
ことにより、カルボン酸が表面に固定化されたシリカを得ることができる。
【0019】
本発明の実施形態において、砥粒の会合度(平均二次粒子径/平均一次粒子径)は、1
.6以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましい。また、本発明の
実施形態において、砥粒の会合度(平均二次粒子径/平均一次粒子径)は、4.5以下で
あることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.7以下であることがさ
らに好ましく、2.6以下であることがよりさらに好ましく、2.5以下であっても、2
.4以下であっても、2.3以下であっても、2.2以下であってもよい。この際、砥粒
の平均一次粒子径は6nm以上であることが特に好ましい。かかる実施形態により、本発
明の効果を効率的に奏することができる。
【0020】
本発明の実施形態において、研磨用組成物中の砥粒の含有量の下限は、0.01質量%
以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%
以上であることがさらに好ましく、1.0質量%以上であることがよりさらに好ましく、
1.5質量%以上であることがよりさらに好ましく、1.8質量%以上であることがより
さらに好ましい。かような下限を有することによって、窒化ケイ素膜を研磨する場合、当
該窒化ケイ素膜の研磨速度を向上させることができる。
【0021】
本発明の実施形態において、研磨用組成物中の砥粒の含有量の上限は、30質量%以下
であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下である
ことがさらに好ましく、4質量%以下であることがよりさらに好ましく、3質量%以下で
あることがよりさらに好ましく、2.5質量%以下であることがよりさらに好ましく、2
.2質量%以下であることがよりさらに好ましい。かような上限を有することによって、
窒化ケイ素膜を研磨する場合、適切な窒化ケイ素膜の研磨速度を発揮できる。本発明の実
施形態において、前記砥粒の含有量が、0.5~2.5質量%である。かかる実施形態に
よれば、研磨用組成物中に、適切な数の砥粒が含まれることになり、本発明の所期の効果
を効率よく奏することができる。
【0022】
(分散媒)
本発明の研磨用組成物は、研磨用組成物を構成する各成分の分散のために分散媒が用い
られる。分散媒としては、有機溶媒、水が考えられるが、その中でも水を含むことが好ま
しい。
【0023】
研磨対象物の汚染や他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含
有しない水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィ
ルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。
【0024】
(pH調整剤)
本発明の実施形態において、特に酸性または塩基性の領域へと調整するために、研磨用
組成物中に、pH調整剤を含有させてもよい。
【0025】
本発明において酸性領域とは、pHが7未満を意味し、好ましくはpH6以下であり、
より好ましくはpH0.5~5であり、より好ましくはpH1~4であり、さらに好まし
くはpH1.5~3.5である。また、本発明において中性領域とは、pH7を意味する
。また、本発明において塩基性領域とは、pH7超を意味し、好ましくはpH9~13で
あり、より好ましくはpH10~12である。なお、本発明におけるpHの値は、実施例
に記載の条件で測定した値を言うものとする。
【0026】
本発明の実施形態において、研磨用組成物は、酸性に調整されていることが好ましい。
かかる実施形態によって、窒化ケイ素膜を研磨する場合、当該窒化ケイ素膜の研磨速度を
向上させることができる。
【0027】
酸性の領域に調整するためのpH調整剤の具体例としては、無機化合物および有機化合
物のいずれであってもよいが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン
酸およびリン酸等の無機酸;クエン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル
酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、
酒石酸、および乳酸などのカルボン酸、ならびにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸お
よびイセチオン酸等の有機硫酸等の有機酸等が挙げられる。また、上記の酸で2価以上の
酸(たとえば、硫酸、炭酸、リン酸、シュウ酸など)の場合、プロトン(H+)が1つ以
上放出できるようであれば、塩の状態でもよい。具体的には、例えば、炭酸水素アンモニ
ウム、リン酸水素アンモニウムが好ましい(カウンター陽イオンの種類は基本的に何でも
よいが、弱塩基の陽イオン(アンモニウム、トリエタノールアミンなど)が好ましい)。
【0028】
塩基性の領域に調整するためのpH調整剤の具体例としては、無機化合物および有機化
合物のいずれであってもよいが、アルカリ金属の水酸化物またはその塩、第四級アンモニ
ウム、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。
【0029】
アルカリ金属の具体例としては、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。塩の具体例と
しては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
【0030】
第四級アンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアン
モニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0031】
水酸化第四級アンモニウムまたはその塩としては、具体例としては、水酸化テトラメチ
ルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等
が挙げられる。
【0032】
(その他の成分)
本発明において、研磨用組成物は、本発明の効果が妨げられない範囲で、酸化剤、キレ
ート剤、水溶性高分子、界面活性剤、防腐剤、または防カビ剤等の、研磨用組成物に用い
られ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。ただし、本発明の実施形
態によれば、研磨用組成物は、酸化剤を実質的に含まない。かかる実施形態によって、窒
化ケイ素膜を研磨する場合、当該窒化ケイ素膜の研磨速度を向上させることができる。な
お、「実質的に含まない」とは、研磨用組成物中に全く含まない概念の他、研磨用組成物
中に、0.1質量%以下含む場合を含む。
【0033】
(研磨対象物)
本発明の実施形態においては、研磨対象物が、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、ポリシリ
コン膜、窒化チタン膜および単結晶シリコンから選択される少なくとも1種の膜を含むこ
とが好ましい。かかる実施形態において、本発明の所期の効果を効率よく奏することがで
きる。本発明の実施形態においては、酸化ケイ素膜は、TEOS(オルトケイ酸テトラエ
チル)由来であることが好ましい。
【0034】
本発明の実施形態においては、本発明の研磨用組成物を、窒化ケイ素膜と;酸化ケイ素
膜およびポリシリコン膜の少なくとも一方と;を含む研磨対象物に用いることが好ましい
。よって、本発明の好ましい実施形態においては、前記研磨対象物が、窒化ケイ素膜と;
酸化ケイ素膜およびポリシリコン膜の少なくとも一方と;を含む。かかる実施形態におい
ては、酸化ケイ素膜およびポリシリコン膜の少なくとも一方に対する、窒化ケイ素膜の研
磨速度を速めることができるとの技術的効果を有する。本発明の研磨用組成物において、
砥粒として、平均一次粒子径を特定の粒子径以下のものを使用し、研磨用組成物中の粗大
粒子が特定の数以下のものを使用する。砥粒の平均一次粒子径が、特に、15nm以下、
11nm以下、10nm以下、9nm以下、あるいは、8nm以下であることによって、
酸化ケイ素膜およびポリシリコン膜の少なくとも一方に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度
を顕著に高めることができる。また、特に、研磨用組成物中、粗大粒子が、3,230個
以下、3,000個以下、2,800個以下、2,500個以下、2,400個以下、2
,300個以下あるいは、2,200個以下(場合によっては、1,500個以上、ある
いは、2,000個以上)であることによって、酸化ケイ素膜およびポリシリコン膜の少
なくとも一方に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度を顕著に高めることができ、エロージョ
ン抑制も実現する。かかる実施形態においては、研磨用組成物中に、別途の添加剤を添加
しなくても、砥粒の平均一次粒子径、粗大粒子の数の調整によって、選択比の制御と、エ
ロージョン抑制とを実現する、驚くべき効果が発現する。
【0035】
本発明の実施形態においては、研磨用組成物中に、別途の添加剤を添加してもよい。当
該添加剤としては水溶性添加剤が好適である。水溶性添加剤としては、カチオン性高分子
、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤
、ノニオン性界面活性剤、糖アルコール等が好適である。これらは1種で用いてもよいし
2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは塩の形態になっていてもよい。
【0036】
これらの添加剤の具体例としては、例えば、アニオン変性ポリビニルアルコール、ラウ
リル硫酸またはその塩(例えば、ナトリウム塩)、POEアリルフェニルエーテルホスフ
ェートまたはその塩(例えばアミン塩)、ソルビトール、ラウリルジメチルアミンN-オ
キシド、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニル
ピロリドン(PVP)、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、POEソルビ
タンモノオレートおよびポリグリセリンからなる群から選択される少なくとも1種が好適
である。
【0037】
本発明の実施形態においては、水溶性添加剤として高分子(糖アルコールの高分子も含
む)を使用する場合の重量平均分子量の下限は、好ましい順に、1,000以上、1,1
00以上、1,200以上、1,300以上、1,350以上、1,400以上、1,4
50以上である。また、上限は、好ましい順に、1,000万以下、500万以下、20
0万以下、100万以下、50万以下、10万以下、1万以下、5,000以下、2,5
00以下、2,000以下、1,800以下、1,600以下である。重量平均分子量の
測定方法は実施例記載の方法による。本発明の実施形態においては、水溶性添加剤として
界面活性剤、高分子ではない糖アルコールを使用する場合の分子量は、通常、1000未
満である。
【0038】
(研磨用組成物の製造方法)
本発明の一形態の研磨用組成物の製造方法は、砥粒と、分散媒とを混合することを有し
、前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下であり、前記砥粒のうち、粒子径0.2~1
,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り20,000個以下である。
より具体的には、例えば、前記砥粒と、必要に応じて他の成分とを、前記分散媒中で攪拌
混合することを有する。各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10~40℃
が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されな
い。
【0039】
本発明の実施形態において、砥粒の平均一次粒子径が40nm以下とし、前記砥粒のう
ち、粒子径0.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り20,
000個以下とする方法にも特に制限はないが、例えば、ろ過精度が0.2μm、濾材及
びコアがポリプロピレン製のデプス型フィルタでろ過する方法によって達成することがで
きる。前記フィルタとしては、例えば、ロキテクノ社製の254L-SLF-002EF
等が好適である。本発明の一実施形態によれば、本発明の一形態の研磨用組成物を作製す
るにあたり、粗大粒子が所定の数値(あるいは所定の数値範囲)になっているかを確認す
る、確認工程を含んでもよい。
【0040】
(研磨方法)
本発明においては、前記研磨用組成物を用いて、または前記製造方法によって研磨用組
成物を得、当該研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する、研磨方法も提供される。
【0041】
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能
なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有す
る一般的な研磨装置を使用することができる。
【0042】
前記研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等
を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝
加工が施されていることが好ましい。
【0043】
研磨条件にも特に制限はなく、例えば、研磨定盤の回転速度は、10~500rpmが
好ましく、キャリア回転速度は、10~500rpmが好ましく、研磨対象物を有する基
板にかける圧力(研磨圧力)は、0.1~10psiが好ましい。研磨パッドに研磨用組
成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用
される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆
われていることが好ましい。
【0044】
(半導体基板の製造方法)
本発明においては、上記の研磨方法を有する、半導体基板の製造方法も提供される。本
発明の半導体基板の製造方法は、上記の研磨方法を有するので、段差性能が向上した、つ
まり、高い平坦性を実現した半導体基板を作製することができる。
【0045】
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的
ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明
らかである。
【0046】
1.研磨対象物を研磨するために用いられる、研磨用組成物であって、砥粒と、分散媒
とを含み、前記砥粒の平均一次粒子径が40nm以下であり、前記砥粒のうち、粒子径0
.2~1,600μmの粗大粒子が、前記研磨用組成物1cm3当り20,000個以下
である、研磨用組成物。
【0047】
2.前記砥粒の平均一次粒子径が15nm以下である、1.に記載の研磨用組成物。
【0048】
3.前記砥粒の平均一次粒子径が11nm以下である、1.に記載の研磨用組成物。
【0049】
4.前記砥粒のD90/D10が、2.2以下である、1.~3.のいずれか1つに記
載の研磨用組成物。
【0050】
5.前記砥粒の含有量が、0.5~2.5質量%である、1.~4.のいずれか1つに
記載の研磨用組成物。
【0051】
6.前記砥粒が、酸性領域で、負のゼータ電位を有する、1.~5.のいずれか1つに
記載の研磨用組成物。
【0052】
7.前記砥粒が、表面に有機酸が固定化されてなる砥粒である、1.~6.のいずれか
1つに記載の研磨用組成物。
【0053】
8.前記砥粒の会合度が、2.3以下である、1.~7.のいずれか1つに記載の研磨
用組成物。
【0054】
9.pHが、1~4である、1.~8.のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0055】
10.酸化剤を実質的に含まない、1.~9.のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0056】
11.前記研磨対象物が、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、ポリシリコン膜、窒化チタン
膜および単結晶シリコンから選択される少なくとも1種の膜を含む、1.~10.のいず
れか1つに記載の研磨用組成物。
【0057】
12.前記研磨対象物が、窒化ケイ素膜と;酸化ケイ素膜およびポリシリコン膜の少な
くとも一方と;を含む、1.~11.のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0058】
13.カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、カチオン性界面活性
剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および糖アルコールからなる群から選
択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、1.~12.のいずれか1つに記載の研
磨用組成物。
【0059】
14. 1.~13.のいずれか1つに記載の研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研
磨することを有する、研磨方法。
【0060】
15. 14.に記載の研磨方法を有する、半導体基板の製造方法。
【実施例0061】
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明
の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、下記実施例において
、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われ
た。
【0062】
<研磨用組成物の製造>
(実施例1~18、比較例1~4)
表1、表2に記載の、平均一次粒子径、平均二次粒子径、D90/D10、粗大粒子数
である砥粒と;pH調整剤としてマレイン酸と;(実施例、比較例によっては)添加剤と
を、砥粒濃度が2質量%となるように、また、pHが2となるように、分散媒(純水)中
で混合することにより調製した(混合温度:約25℃、混合時間:約10分)。添加剤の
含有量は、研磨用組成物1kg中、0.05gであった(ただし、添加剤としてソルビト
ールを使用した場合、2gであった)。また、表2中の、丸1、丸2は2種類の添加剤を
入れていることを示している。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)測定によるポリメタクリル酸メチル換算値として重量平均分子量(
Mw)を得た。
【0063】
なお、実施例1、2、6~18、比較例3、4で用いた砥粒は、スルホン酸が表面に修
飾されているコロイダルシリカであり、実施例3~5、比較例1、2で用いた砥粒は、表
面修飾がなされていないコロイダルシリカである。
【0064】
なお、砥粒の平均一次粒子径は、マイクロメリテックス社製の“Flow SorbI
I 2300”を用いて測定されたBET法による砥粒の比表面積と、砥粒の密度とから
算出した。また、砥粒の平均二次粒子径は、Microtrac社製の“UPA-UT1
51”を用いて測定された動的光散乱法により算出した。
【0065】
また、研磨用組成物(液温:25℃)のpHは、pHメータ(株式会社 堀場製作所製
型番:LAQUA)により確認した。
【0066】
また、粗大粒子(粒子径0.2μm以上1,600μm以下)の数は、以下のように測
定した。
【0067】
[測定機・測定条件]
(測定機)
液中パーティクル測定器(KS-41B:リオン株式会社製)
(条件)
・Data correction time : 60sec
・Sample dilution target : 2000 count/mL
・Sample flow rate : 10mL/min。
【0068】
<研磨性能評価>
研磨対象物として、
・200mmウェハ(TEOS(酸化ケイ素膜))、
・200mmウェハ(SiN(窒化ケイ素膜))、
を準備し、上記で得られた研磨用組成物を用いて、各ウェハを以下の研磨条件で研磨し、
研磨レートを測定した。また選択比を算出した。ここで、TEOSとは、オルトケイ酸テ
トラエチルを意味し、酸化ケイ素膜が、オルトケイ酸テトラエチル由来の酸化ケイ素膜で
あることを示す。
【0069】
(研磨条件)
研磨機:200mmウェハ用CMP片面研磨機(MIRRA:AMAT社製)
研磨パッド:硬質発泡ポリウレタン製パッド(IC1010:ロームアンドハース社製
)
圧力:3psi(約20.7kPa)
プラテン(定盤)回転数:90rpm
ヘッド(キャリア)回転数:87rpm
研磨用組成物の流量:130ml/min
研磨時間:1分間。
【0070】
(研磨レート)
研磨レート(Removal Rate; R.R.)は、以下の式により計算した。
【0071】
【0072】
膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(ケーエルエー・テンコール(KLA)株式会社製 型
番:ASET)によって求めて、その差を研磨時間で除することにより評価した。結果を
表1、表2に示す。
【0073】
(選択比)
SiN(窒化ケイ素膜)の研磨レート(Å/min)から、TEOS(酸化ケイ素膜)
の研磨レート(Å/min)を除した値を算出し、選択比とした。結果を表1、表2に示
す。
【0074】
(エロージョン)
窒化ケイ素からなる部分と、高密度プラズマCVD酸化シリコンからなる部分とを有す
る直径200mmの窒化ケイ素/HDPパターンウェーハ(以下のSiN/P-TEOS
パターンウェハと同じ)を、上記の研磨条件で研磨した。研磨後のパターンウェーハにつ
いて、0.25μm幅の窒化ケイ素部分が0.25μm間隔で形成されている領域で、原
子間力顕微鏡を用いて、エロージョン(Å)を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0075】
より詳しくは、以下のとおりである。
【0076】
エロージョンについては、以下の構成を有する8インチSiN/HDPパターンウェハ
を研磨し、パターンの凸部について、HDP層が露出する時点までSiN層を削り取り、
ウェハ上にHDPとSiNとからなるパターン面を形成した。当該研磨条件については上
記のとおりである。
【0077】
〔8インチSiN/P-TEOSパターンウェハ〕
仕様
1層目:SiN 厚さ700Å(パターン有、パターンは1層目と対応、段差600Å
)
2層目:HDP 厚さ1000Å(パターン有、段差600Å)
3層目:Bare-Si。
【0078】
なお、上記のうち1層目が研磨面側に相当する。
【0079】
次いで、得られたパターン面について、ラインアンドスペースが0.25μm/0.2
5μmである部分について、配線のない部分のHDP部分を基準高さとして、配線上のH
DP部分との段差の高さの差X(Å)を、エロージョンとして、AFM(原子間力顕微鏡
)(AFM WA1300 日立建機ファインテック株式会社製)を用いて測定した。
【0080】
(スクラッチ)
スクラッチ測定前に、洗浄処理工程を行った。具体的には、以下のとおりである。
【0081】
0.05%程度のアンモニア水を用いて、洗浄ブラシであるポリビニルアルコール(P
VA)製スポンジで圧力をかけながら下記条件で各研磨済研磨対象物をこする洗浄方法に
よって、各研磨済研磨対象物を洗浄した。
【0082】
洗浄装置一体型研磨装置:アプライドマテリアルズ社製 MirraMesa
洗浄ブラシ回転数:100rpm
研磨済研磨対象物回転数:50rpm
後洗浄処理用組成物の種類:水(脱イオン水)
後洗浄処理用組成物供給量:1000mL/分
洗浄時間:60秒間。
【0083】
[スクラッチ数の評価]
上記洗浄処理をした後の研磨済研磨対象物について、スクラッチの数を、株式会社日立
製作所製Review SEM RS6000を使用したSEM観察によって測定した。
まず、SEM観察にて、研磨済研磨対象物の片面の外周端部から幅5mmの部分(外周端
部を0mmとしたときに、幅0mmから幅5mmまでの部分)を除外した残りの部分に存
在するディフェクトを100個サンプリングした。次いで、サンプリングした100個の
ディフェクトの中からSEM観察にて目視にてパーティクル残渣を判別し、その個数を確
認することで、ディフェクト中のパーティクル残渣の割合(%)を算出した。そして、上
述のディフェクト数の評価にてKLA TENCOR社製SP-2を用いて測定した0.
13μm以上のディフェクト数(個)と、前記SEM観察結果より算出したディフェクト
中のスクラッチの割合(%)との積を、スクラッチ数(個)として算出した。
【0084】
【0085】
【0086】
本出願は、2018年3月7日に出願された日本特許出願番号第2018-04110
8号に基づいており、その開示内容は、その全体が参照により本明細書に組みこまれる。