(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108227
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ナノインプリント用組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08G 75/045 20160101AFI20230728BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20230728BHJP
C08F 2/48 20060101ALI20230728BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20230728BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20230728BHJP
【FI】
C08G75/045
C08F2/44 A
C08F2/48
B29C59/02 Z
B82Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009232
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】昆野 健理
(72)【発明者】
【氏名】森 莉紗子
【テーマコード(参考)】
4F209
4J011
4J030
【Fターム(参考)】
4F209AA44A
4F209AB04
4F209AB16B
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN09
4F209PQ14
4J011AB02
4J011AB05
4J011AC04
4J011BA04
4J011CA02
4J011CA08
4J011CC10
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4J011QA40
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4J011QA46
4J011QC01
4J011SA54
4J011SA58
4J011TA07
4J011TA08
4J011TA10
4J011UA01
4J011UA02
4J011UA10
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4J011VA04
4J011VA08
4J011WA01
4J030BA04
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4J030BA45
4J030BA49
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4J030BC43
4J030BE02
4J030BF09
4J030BG01
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4J030BG25
4J030CA02
4J030CB13
4J030CB15
4J030CC21
4J030CD11
4J030CE07
4J030CG03
4J030CG06
4J030CG19
(57)【要約】
【課題】高硬化性の硬化膜を形成することができるナノインプリント用組成物及び当該ナノインプリント用組成物を用いたパターン形成方法の提供。
【解決手段】環構造含有チオール化合物(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(D)と、金属酸化物ナノ粒子(X)とを含有する、ナノインプリント用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環構造含有チオール化合物(A)と、光重合性化合物(B)と、金属酸化物ナノ粒子(X)と、光重合開始剤(D)とを含有する、ナノインプリント用組成物。
【請求項2】
前記環構造含有チオール化合物(A)は、環構造中に窒素原子を有する、請求項1に記載のナノインプリント用組成物。
【請求項3】
前記金属酸化物ナノ粒子(X)の体積平均一次粒子径は、100nm以下である、請求項1又は2に記載のナノインプリント用組成物。
【請求項4】
基板上に、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程と、
凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、
前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程と、
前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、
を有する、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術は、半導体デバイスの製造プロセスにおけるコアテクノロジーであり、近年の半導体集積回路(IC)の高集積化に伴い、さらなる配線の微細化が進行している。微細化手法としては、より短波長の光源、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー、EUV(極端紫外光)、EB(電子線)、X線等を用いる光源波長の短波長化や、露光装置のレンズの開口数(NA)の大口径化(高NA化)等が一般的である。
【0003】
このような中、半導体の微細パターン形成方法として、所定のパターンを有するモールドを、基板上に形成された硬化性膜に押圧して、当該硬化性膜に前記モールドのパターンを転写する、ナノインプリントリソグラフィが生産性等の点から期待されている。
ナノインプリントリソグラフィでは、光(紫外線、電子線)で硬化する光硬化性化合物を含有するナノインプリント用組成物が用いられている。かかる場合、所定のパターンを有するモールドを、光硬化性化合物を含む硬化性膜に押圧し、次いで、光を照射して光硬化性化合物を硬化させ、その後、硬化膜からモールドを剥離することにより転写パターン(構造体)が得られる。
【0004】
ナノインプリントリソグラフィに用いられる組成物には、要求される特性として、加熱や露光による硬化性が挙げられる。なお、硬化性として、具体的には、硬化膜の変形しにくさが挙げられる。硬化性は、モールド押圧により形成されたパターンを所望の寸法に維持する上で重要な特性である。
【0005】
近年、自動運転用の3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路の高機能化のために、ナノインプリントリソグラフィを適用することが検討されている。3DセンサーやARグラスにおいては、デバイスの一部を構成する永久膜材料の高屈折率化が求められている。
【0006】
ナノインプリント材料の高屈折率化の一つの手段として、金属酸化物ナノ粒子を添加することが知られている。例えば、特許文献1には、酸化チタン又は酸化ジルコニウム等の金属酸化物ナノ粒子を配合することにより高屈折率化を図った光硬化性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたような従来のナノインプリント用組成物は、金属酸化物ナノ粒子を配合することにより高屈折率化は図られているが、硬化性において、改善の余地がある。硬化性が不十分であると、硬化膜からモールドを剥離する際に、硬化膜が変形し、パターン欠損が生じる場合がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高硬化性の硬化膜を形成することができるナノインプリント用組成物及び当該ナノインプリント用組成物を用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために、光重合性化合物、光重合開始剤、及び、金属酸化物ナノ粒子に併用すると相乗効果が得られる添加剤について、鋭意研究を重ねた。その結果、光重合性化合物、光重合開始剤、及び、金属酸化物ナノ粒子に、環構造を有するチオール化合物を併用することで、高硬化性の硬化膜を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを採用する。
【0011】
本発明の第1の態様は、環構造含有チオール化合物(A)と、光重合性化合物(B)と、金属酸化物ナノ粒子(X)と、光重合開始剤(D)とを含有する、ナノインプリント用組成物である。
【0012】
本発明の第2の態様は、基板上に、前記第1の態様に係るナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程と、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、を有する、パターン形成方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高硬化性の硬化膜を形成することのできるナノインプリント用組成物及び当該ナノインプリント用組成物を用いたパターン形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ナノインプリントパターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
【
図2】任意工程の一例を説明する概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0016】
(ナノインプリント用組成物)
本実施形態のナノインプリント用組成物は、半導体の微細パターン形成方法として、所定のパターンを有するモールドを、基板上に形成された硬化性膜に押圧して、当該硬化性膜に前記モールドのパターンを転写する、ナノインプリントリソグラフィに用いるための組成物である。
【0017】
本実施形態のナノインプリント用組成物は、環構造含有チオール化合物(A)(以下、「(A)成分」ともいう)と、光重合性化合物(B)(以下、「(B)成分」ともいう)と、光重合開始剤(D)(以下、「(D)成分」ともいう)と、金属酸化物ナノ粒子(X)(以下、「(X)成分」ともいう)とを含有する。
【0018】
<環構造含有チオール化合物(A)>
(A)成分は、少なくとも一つの環構造と、少なくとも一つのチオール基(メルカプト基)とを有する化合物である。
【0019】
(A)成分の分子量は、100~800が好ましく、120~700がより好ましく、150~600がさらに好ましい。
【0020】
(A)成分が有するチオール基の数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましい。
【0021】
(A)成分における環構造は、芳香環であっても、脂環であってもよい。
【0022】
脂環は、モノシクロアルカン又はモノシクロアルケン等の単環の脂肪族炭化水素環であっても、ポリシクロアルカン等の多環の脂肪族炭化水素環であってもよい。また、環を形成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されている脂肪族複素環であってもよい。
【0023】
脂肪族複素環として、具体的には、イミダゾリジン構造、イミダゾリジノン構造、グリコールウリル構造、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン構造、シアヌル酸構造等が挙げられる。ここで、「イミダゾリジン構造」とは、イミダゾリジン及びその誘導体を意味する。より具体的に、「イミダゾリジン構造」とは、2つの窒素原子、及び、3つの炭素原子で五員環を形成している構造であればよく、該窒素原子、及び、炭素原子が有する水素原子が他の置換基で置換されていてもよい。他の「構造」についても同様の意味である。
【0024】
また、(A)成分が、「イミダゾリジン構造含有チオール化合物」である場合、該化合物は、2つの窒素原子、及び、3つの炭素原子で五員環を形成しており、該窒素原子、及び、炭素原子が有する水素原子の少なくとも一つが、チオール基を有する基で置換されている化合物を意味する。他の「化合物」についても同様の意味である。
【0025】
芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でもよいし、多環式でもよい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、チアゾール構造、ベンゾチアゾール構造等が挙げられる。
【0026】
(A)成分における環構造は、上記の中でも、脂肪族複素環又は芳香族複素環であることが好ましく、環構造中に窒素原子を有することがより好ましい。
(A)成分は、環構造中に窒素原子を有することにより、該(A)成分を含有するナノインプリント用組成物により形成される硬化膜がより変形しにくくなる。
【0027】
(A)成分における環構造として、具体的には、グリコールウリル構造、ベンゾチアゾール構造、又は、シアヌル酸構造であることが好ましい。
【0028】
(A)成分として、より具体的には、下記一般式(A0-1)~(A0-3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【0029】
【化1】
[式中、La
01~La
08は、それぞれ独立に、アルキレン基又は単結合である。Ra
01~Ra
04は、それぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、又は、水素原子である。Ya
01~Ya
03は、それぞれ独立に、酸素原子を含む2価の連結基又は単結合である。]
【0030】
≪化合物(A0-1)≫
化合物(A0-1)は、上記一般式(A0-1)で表される化合物である。
一般式(A0-1)中、La01~La04は、それぞれ独立に、アルキレン基又は単結合である。
La01~La04におけるアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられ、炭素数は1~10であることが好ましく、炭素数2~5がより好ましく、炭素数2又は3がさらに好ましい。
直鎖状のアルキレン基として、具体的には、メチレン基[-CH2-]、エチレン基[-(CH2)2-]、トリメチレン基[-(CH2)3-]、テトラメチレン基[-(CH2)4-]、ペンタメチレン基[-(CH2)5-]等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基として、具体的には、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-等のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-等のアルキルエチレン基;-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
【0031】
一般式(A0-1)中、La01~La04は、上記の中でも、それぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基であることが好ましく、いずれも炭素数2~5の直鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、いずれも炭素数2又は3の直鎖状のアルキレン基であることがさらに好ましい。
【0032】
≪化合物(A0-2)≫
化合物(A0-2)は、上記一般式(A0-2)で表される化合物である。
一般式(A0-2)中、Ra01~Ra04は、それぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、又は、水素原子である。
【0033】
Ra01~Ra04におけるアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
【0034】
一般式(A0-2)中、Ra01~Ra04は、上記の中でも、いずれも水素原子であることが好ましい。
【0035】
一般式(A0-2)中、La05は、アルキレン基又は単結合である。
La05におけるアルキレン基としては、上記La01~La04におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
一般式(A0-2)中、La05は、上記の中でも、単結合であることが好ましい。
【0036】
≪化合物(A0-3)≫
化合物(A0-3)は、上記一般式(A0-3)で表される化合物である。
一般式(A0-3)中、La06~La08は、それぞれ独立に、アルキレン基又は単結合である。
La06~La085におけるアルキレン基としては、上記La01~La04におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
La06~La085は、上記の中でも、それぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基であることが好ましく、いずれも炭素数2~5の直鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、いずれも炭素数2又は3の直鎖状のアルキレン基であることがさらに好ましい。
【0037】
一般式(A0-3)中、Ya01~Ya03は、それぞれ独立に、酸素原子を含む2価の連結基又は単結合である。
Ya01~Ya03における酸素原子を含む2価の連結基としては、酸素原子(エーテル結合:-O-)、エステル結合(-C(=O)-O-)、オキシカルボニル基(-O-C(=O)-)、アミド結合(-C(=O)-NH-)、カルボニル基(-C(=O)-)、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせからなる基等が挙げられる。
【0038】
一般式(A0-3)中、Ya01~Ya03は、それぞれ独立に、該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせからなる基であることが好ましく、それぞれ独立に、エステル結合(-C(=O)-O-)又はオキシカルボニル基(-O-C(=O)-)とアルキレン基との組み合わせからなる基であることがより好ましく、いずれもエステル結合(-C(=O)-O-)又はオキシカルボニル基(-O-C(=O)-)とアルキレン基との組み合わせからなる基であることがさらに好ましい。
該アルキレン基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1~10の分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~5の分岐鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
炭素数1~5の分岐鎖状のアルキレン基の具体例としては、上記La01~La04における分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
【0039】
一般式(A0-3)中、Ya01~Ya03は、上記の中でも、いずれも、*-R00-C(=O)-O-**、又は、*-R00-O-C(=O)-**であることが好ましい。前記R00は、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。*は、チオール基との結合手を示す。**は、それぞれLa06~La08との結合手を示す。
前記R00は、炭素数1~10の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1~5の分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。
【0040】
(A)成分として、上記の中でも、上記一般式(A0-2)で表される化合物であることが好ましい。
【0041】
(A)成分として、具体的には、下記化学式(A0-1-1)~(A0-3-1)のいずれかで表される化合物が好適に挙げられる。その中でも、下記化学式(A0-2-1)で表される化合物が好ましい。
【0042】
【0043】
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
本実施形態のナノインプリント用組成物における(A)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び、(X)成分の合計100質量部に対して、1~15質量部が好ましく1~10質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましく、1~3質量部が特に好ましい。
(A)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、(A)成分による硬化を促進させる効果がより高まり、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の硬化性がより向上する。
一方、(A)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、他の成分とのバランスがとりやすくなり、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜のヤング率がより高められやすくなる。
【0045】
<光重合性化合物(B)>
(B)成分は、重合性官能基を有する光重合性化合物である。
「重合性官能基」とは、化合物同士がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。
本実施形態のナノインプリント用組成物が(B)成分を含有する場合、架橋性が向上し、耐熱性等の特性が向上しやすい。
【0046】
重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フルオロビニル基、ジフルオロビニル基、トリフルオロビニル基、ジフルオロトリフルオロメチルビニル基、トリフルオロアリル基、パーフルオロアリル基、トリフルオロメチルアクリロイル基、ノニルフルオロブチルアクリロイル基、ビニルエーテル基、含フッ素ビニルエーテル基、アリルエーテル基、含フッ素アリルエーテル基、スチリル基、ビニルナフチル基、含フッ素スチリル基、含フッ素ビニルナフチル基、ノルボルニル基、含フッ素ノルボルニル基、シリル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
【0047】
1つの重合性官能基を有する光重合性化合物(単官能化合物)としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の脂肪族多環構造を含む(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の脂肪族単環構造を含む(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の鎖状構造を含む(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p-クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート等の芳香族環構造を含む(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;片末端メタクリルシロキサン化合物等が挙げられる。
【0048】
当該単官能化合物の市販品としては、例えば、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO-1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成株式会社製);MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2-MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業株式会社製);ライトアクリレートBO-A、EC-A、DMP-A、THF-A、HOP-A、HOA-MPE、HOA-MPL、HOA(N)、PO-A、P-200A、NP-4EA、NP-8EA、IB-XA、エポキシエステルM-600A(以上、共栄社化学株式会社製);KAYARAD TC110S、R-564、R-128H(以上、日本化薬株式会社製);NKエステルAMP-10G、AMP-20G(以上、新中村化学工業株式会社製);FA-511A、FA-512A、FA-513A、FA-BZA(以上、日立化成株式会社製);PHE、CEA、PHE-2、PHE-4、BR-31、BR-31M、BR-32(以上、第一工業製薬株式会社製);VP(BASF製);ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、株式会社興人製);X-22-2404(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0049】
2つの重合性官能基を有する光重合性化合物(2官能化合物)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
当該2官能化合物の市販品としては、例えば、ライトアクリレート3EG-A、4EG-A、9EG-A、NP-A、DCP-A、BP-4EAL、BP-4PA(以上、共栄社化学株式会社製)等が挙げられる。
【0051】
3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物としては、光重合性シロキサン化合物、光重合性シルセスキオキサン化合物、3つ以上の重合性官能基を有する多官能化合物等が挙げられる。
【0052】
光重合性シロキサン化合物としては、例えば、分子内にアルコキシシリル基と重合性官能基とを有する化合物が挙げられる。
当該光重合性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の製品名「KR-513」、「X-40-9296」、「KR-511」、「X-12-1048」、「X-12-1050」等が挙げられる。
【0053】
光重合性シルセスキオキサン化合物としては、主鎖骨格がSi-O結合からなる、次の化学式:[(RSiO3/2)n](式中、Rは有機基を表し、nは自然数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
Rは、1価の有機基を示し、1価の有機基としては、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、トリル基、スチリル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
1価の炭化水素基が有してもよい置換基としては、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、イソシアナト基、アミノ基、ウレイド基等が挙げられる。また、1価の炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、カルボニル基等に置き換わっていてもよい。
但し、光重合性シルセスキオキサン化合物は、3つ以上の重合性官能基を有する。ここでの重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0054】
化学式:[(RSiO3/2)n]で表される化合物は、カゴ型、ハシゴ型又はランダム型のいずれでもよい。カゴ型のシルセスキオキサン化合物は、完全なカゴ型であってもよいし、カゴの一部が開いているような不完全なカゴ型でもよい。
【0055】
当該光重合性シルセスキオキサン化合物の市販品としては、例えば、東亜合成株式会社製の製品名「MAC-SQ LP-35」、「MAC-SQ TM-100」、「MAC-SQ SI-20」、「MAC-SQ HDM」等が挙げられる。
【0056】
3つ以上の重合性官能基を有する多官能化合物としては、例えば、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリアクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリメタクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能化合物;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能化合物;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の5官能以上の化合物等が挙げられる。
【0057】
当該多官能化合物の市販品としては、例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名「A-9300-1CL」、「AD-TMP」、「A-9550」、「A-DPH」、日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTMP-A」等が挙げられる。
【0058】
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本実施形態のナノインプリント用組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び、(X)成分の合計100質量部に対して、10~50質量部が好ましく、20~40質量部がより好ましく、27~30質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、本実施形態のナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の硬化性がより良好になる。また、該ナノインプリント用組成物の流動性がより良好になる。
一方、(B)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、(X)成分のナノインプリント用組成物中の分散性がより良好となる。
【0060】
本実施形態のナノインプリント用組成物における(A)成分の含有量と、(B)成分の含有量の質量比((B)成分の含有量/(A)成分の含有量)は、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、8以上が特に好ましい。
本実施形態のナノインプリント用組成物における(A)成分の含有量と、(B)成分の含有量の質量比が上記の好ましい範囲内であると、本実施形態のナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の硬化性がより良好になる。
【0061】
<金属酸化物ナノ粒子(X)>
(X)成分は、金属酸化物ナノ粒子である。
「ナノ粒子」とは、ナノメートルオーダー(1000nm未満)の体積平均一次粒子径を有する粒子を意味する。金属酸化物ナノ粒子とは、ナノメートルオーダーの平均一次粒子径を有する金属酸化物粒子である。
【0062】
(X)成分の体積平均一次粒子径は、100nm以下であることが好ましい。
(X)成分の体積平均一次粒子径は、0.1~100nmであることが好ましく、1~60nmであることがより好ましく、1~50nmであることがさらに好ましく、1~45nmであることがさらにより好ましく、1~40nmであることが特に好ましく、10~30nmであることが最も好ましい。
(X)成分の金属ナノ粒子の体積平均一次粒子径が上記好ましい範囲内であることにより、ナノインプリント用組成物中において金属酸化物ナノ粒子が良好に分散する。また、屈折率が良好となる。
前記体積平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。
【0063】
(X)成分としては、市販の金属酸化物ナノ粒子を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)又はマグネシウム(Mg)の酸化物粒子が挙げられる。なかでも、(X)成分としては、屈折率の観点から、チタニア(TiO2)ナノ粒子又はジルコニア(ZrO2)ナノ粒子が好ましい。
【0064】
本実施形態において、(X)成分としては、市販の金属酸化物ナノ粒子を用いることができる。
市販のチタニアナノ粒子としては、例えば、石原産業株式会社製TTOシリーズ(TTO-51(A)、TTO-51(C)など)、TTO-S、Vシリーズ(TTO-S-1、TTO-S-2、TTO-V-3など)、石原産業株式会社製チタニアゾルLDB-014-35、LDB-102-45、テイカ株式会社製MTシリーズ(MT-01、MT-05、MT-100SA、MT-500SAなど)、日揮触媒化成株式会社製ELECOM V-9108、堺化学工業株式会社製STR-100A-LPなどが挙げられる。
市販のジルコニアナノ粒子としては、例えば、UEP(第一稀元素化学工業株式会社製)、PCS(日本電工株式会社製)、JS-01、JS-03、JS-04(日本電工株式会社製)、UEP-100(第一稀元素化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0065】
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(X)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
本実施形態のナノインプリント用組成物における(X)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び、(X)成分の合計100質量部に対して、40~95質量部が好ましく、50~85質量部がより好ましく、60~80質量部がさらに好ましく、65~75質量部が特に好ましい。
(X)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の光学特性がより良好になる。
一方、(X)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、ナノインプリント用組成物の、モールドへの充填性がより良好になる。
【0067】
<光重合開始剤(D)>
(D)成分は、光重合開始剤である。
(D)成分には、露光により前記(B)成分の重合を開始させ、又は、重合を促進させる化合物が用いられる。(D)成分として、具体的には、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0068】
(D)成分としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン;メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパ-オキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール類;t-ブチルパ-オキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルパーオキシネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;ジn-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物類等が挙げられる。
【0069】
上記のなかでも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンが好ましい。
【0070】
(D)成分は、市販品を入手して用いることができる。
(D)成分の市販品としては、BASF社製の製品名「IRGACURE 907」、BASF社製の製品名「IRGACURE 369」、BASF社製、製品名「IRGACURE 819」、IGM Resins B.V.社製、製品名「Omnirad 184」、「Omnirad 651」、「Omnirad 819」、「Omnirad 184」等が挙げられる。
【0071】
(D)成分は、分子量が小さい方が好ましい。(D)成分の分子量が小さいと、ヘイズがより低減される傾向がある。
(D)成分の分子量は、例えば、500以下が好ましく、400以下がより好ましく、350以下がさらに好ましく、300以下が特に好ましい。
(D)成分の分子量の下限値は、特に限定されないが、100以上、150以上、又は200以上が挙げられる。(D)成分に分子量は、例えば、100~500とすることができ、150~500が好ましく、150~400がより好ましく、150~350がさらに好ましく、150~300が特に好ましい。
【0072】
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(D)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
本実施形態のナノインプリント用組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び、(X)成分の合計100質量部に対して、0.01~3質量部であることが好ましく、0.1~1質量部であることがより好ましく、0.1~0.8質量部であることがさらに好ましい。
(D)成分の含有量が、前記の好ましい範囲内であると、光硬化性がより向上する。
【0074】
<任意成分>
本実施形態のナノインプリント用組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、(X)成分、及び、(D)成分に加えて、他の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、溶剤(S)(以下、「(S)成分」ともいう)、界面活性剤(E)(以下、「(E)成分」ともいう)、混和性のある添加剤(例えば、劣化防止剤、離型剤、希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、難燃剤、可塑剤、及び、その他硬化膜の特性を改良するための添加剤等)等が挙げられる。
【0075】
≪溶剤(S)≫
(S)成分は、溶剤である。
(S)成分は、本実施形態のナノインプリント用組成物が含有する各成分を溶解又は分散させ、混合するために用いられる。
【0076】
(S)成分としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ペンチルアルコール、s-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、2-メチル-1-プロパノール、2-エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、1-プロパノール、n-ヘキサノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、5-メチル-1-ヘキサノール、6-メチル-2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール等の鎖状構造のアルコール類;シクロペンタンメタノール、1-シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6-テトラヒドロベンジルアルコール、exo-ノルボルネオール、2-メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5-ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピオネール等の環状構造を有するアルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい]などが挙げられる。
【0077】
上記のなかでも、(S)成分としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)がより好ましい。
【0078】
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(S)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
(S)成分の使用量は、特に限定されず、ナノインプリント用組成物の塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。
例えば、(A)成分、(B)成分、及び、(X)成分の合計100質量部に対して、80~500質量部程度となるように用いることができる。
【0080】
≪界面活性剤(E)≫
(E)成分は、界面活性剤である。
本実施形態のナノインプリント用組成物は、塗布性等を調整するため、界面活性剤を含有してもよい。
【0081】
界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK-077、BYK-085、BYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-335、BYK-341、BYK-344、BYK-345、BYK-346、BYK-348、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358、BYK-361、BYK-370、BYK-371、BYK-375、BYK-380、BYK-390(以上、BYK Chemie社製)等を用いることができる。
【0082】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、F-114、F-177、F-410、F-411、F-450、F-493、F-494、F-443、F-444、F-445、F-446、F-470、F-471、F-472SF、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-480SF、F-482、F-483、F-484、F-486、F-487、F-172D、MCF-350SF、TF-1025SF、TF-1117SF、TF-1026SF、TF-1128、TF-1127、TF-1129、TF-1126、TF-1130、TF-1116SF、TF-1131、TF-1132、TF-1027SF、TF-1441、TF-1442(以上、DIC株式社製);ポリフォックスシリーズのPF-636、PF-6320、PF-656、PF-6520(以上、オムノバ社製)等を用いることができる。
【0083】
本実施形態のナノインプリント用組成物中、界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
本実施形態のナノインプリント用組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び、(X)成分の合計100質量部に対して、0.01~3質量部であることが好ましく、0.02~1質量部であることがより好ましく、0.03~0.5質量部であることがさらに好ましい。
(E)成分の含有量が、前記の好ましい範囲内であると、ナノインプリント用組成物の塗布性がより良好になる。
【0085】
本実施形態のナノインプリント用組成物により形成される硬化膜は、通常、波長940nmにおける屈折率が1.78以上である。
硬化膜の屈折率は、分光エリプソメーターにより測定することができる。
【0086】
本実施形態のナノインプリント用組成物は、高硬化性、かつ、高屈折率の硬化膜を形成できるため、3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路等の用途に好適に用いることができる。
【0087】
以上説明した本実施形態のナノインプリント用組成物は、環構造含有チオール化合物(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(D)と、金属酸化物ナノ粒子(X)とを含有する。
本実施形態のナノインプリント用組成物は、環構造含有チオール化合物(A)を含有するため、光重合性化合物(B)及び光重合開始剤(D)による重合反応が、促進されている。さらに、環構造含有チオール化合物(A)と、光重合性化合物(B)とのチオール-エン反応により、それらを含有するナノインプリント用組成物により形成される硬化膜の膜密度が高められている。加えて、環構造含有チオール化合物(A)は、環構造を有するため、該硬化膜の硬化性を高めることができ、該硬化膜をより変形しにくくすることができる。
したがって、本実施形態のナノインプリント用組成物によれば、高硬化性の硬化膜を形成することができる。よって、例えば、本実施形態のナノインプリント用組成物により形成される硬化膜は、モールドを剥離する際に、該硬化膜が変形しにくく、パターン欠損が生じにくい。
また、本実施形態のナノインプリント用組成物は、金属酸化物ナノ粒子(X)を含有するため、該ナノインプリント用組成物を用いて形成される硬化膜の屈折率が高められている。
【0088】
(パターン形成方法)
本実施形態のパターン形成方法は、基板上に、上述した実施形態のナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程(以下「工程(i)」という)と、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程(以下「工程(ii)」という)と、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程(以下「工程(iii)」という)と、前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程(以下「工程(iv)」という)と、を有する。
【0089】
図1は、パターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
【0090】
[工程(i)]
工程(i)では、基板上に、上述したナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する。
図1(A)に示すように、基板1に、上述したナノインプリント用組成物を塗布し、光硬化性膜2を形成する。尚、
図1(A)においては、光硬化性膜2の上空にモールド3が配置されている。
【0091】
基板1は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコン、窒化シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。
また、基板1の形状は、特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、基板1としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、又は非光透過性のものを選択することができる。
【0092】
基板1にナノインプリント用組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、スプレー法、インクジェット法、ロールコート法、回転塗布法等が挙げられる。
光硬化性膜2は、その後に行われてもよい基板1のエッチング工程でマスクとして機能するため、基板1に塗布されたときの膜厚が均一であることが好ましい。この点から、基板1にナノインプリント用組成物を塗布する際には、スピンコート法が好適である。
光硬化性膜2の膜厚は、用途によって適宜選択すればよく、例えば、0.05~30μm程度とすればよい。
【0093】
[工程(ii)]
工程(ii)では、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する。
図1(B)に示すように、光硬化性膜2が形成された基板1に、表面に微細な凹凸パターンを有するモールド3を、光硬化性膜2に対向して押し当てる。これにより、光硬化性膜2を、モールド3の凹凸構造に合わせて変形させる。
【0094】
モールド3の押圧時の光硬化性膜2に対する圧力は、10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、1MPa以下がさらに好ましい。
モールド3を光硬化性膜2に押圧することにより、モールド3の凸部に位置する光硬化性膜2は、モールド3の凹部の側に容易に押しのけられるため、モールド3の凹凸構造が光硬化性膜2に転写される。
【0095】
モールド3が有する凹凸パターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成できる。
モールド3は、光透過性モールドが好ましい。
光透過性モールドの材料は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂膜、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
【0096】
[工程(iii)]
工程(iii)では、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する。
図1(C)に示すように、モールド3を光硬化性膜2に押圧した状態で、凹凸パターンが転写された光硬化性膜2に露光を行う。具体的には、紫外線(UV)などの電磁波が光硬化性膜2に照射される。露光により、モールド3が押圧された状態で光硬化性膜2が硬化し、モールド3の凹凸パターンが転写された硬化膜(硬化パターン)が形成される。
なお、
図1(C)におけるモールド3は、電磁波に対して透過性を有する。
【0097】
光硬化性膜2を硬化させるために用いられる光は、特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外線、遠紫外線、可視光線、赤外線等の領域の波長の光又は放射線が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUV、LED、半導体レーザー光、または248nmのKrFエキシマレーザー光もしくは193nmのArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
【0098】
[工程(iv)]
工程(iv)では、前記硬化膜から前記モールドを剥離する。
図1(D)に示すように、硬化膜からモールド3を剥離する。これにより、凹凸パターンが転写された硬化膜からなるパターン2’(硬化パターン)が基板1上にパターニングされる。
【0099】
以上説明した本実施形態のパターン形成方法においては、上述した(A)成分、(B)成分、(X)成分、及び、(D)成分を含有するナノインプリント用組成物を用いる。かかるナノインプリント用組成物を用いるため、高硬化性の硬化膜を形成することができる。このため、本実施形態のパターン形成方法においては、硬化膜からモールドを剥離する際に、硬化膜が変形しにくく、パターン欠損が生じにくい。
【0100】
本実施形態においては、モールド3の光硬化性膜2と接する面31に、離型剤を塗布してもよい(
図1(A))。これにより、モールドと硬化膜との離型性を高められる。
ここでの離型剤としては、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系離型剤が好ましい。
例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤を好適に用いることができる。
離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0101】
また、本実施形態においては、基板1と光硬化性膜2との間に有機物層を設けてもよい。これにより、光硬化性膜2及び有機物層をマスクとして基板1をエッチングすることで、基板1上に所望のパターンを簡便かつ確実に形成することができる。有機物層の膜厚は、基板1が加工(エッチング)される深さに応じて適宜調整すればよく、例えば0.02~2.0μmが好ましい。有機物層の材料は、ナノインプリント用組成物に比べて酸素系ガスに対するエッチング耐性が低く、かつ、基板1よりもハロゲン系ガスに対するエッチング耐性が高いものが好ましい。有機物層を形成する方法は、特に限定されないが、例えばスパッタ法やスピンコート法が挙げられる。
【0102】
第2の態様のパターン形成方法は、工程(i)~(iv)に加えて、さらに、その他の工程(任意工程)を有してもよい。
任意工程としては、エッチング工程(工程(v))、エッチング処理後の硬化膜(硬化パターン)除去工程(工程(vi))等が挙げられる。
【0103】
[工程(v)]
工程(v)では、例えば、上述の工程(i)~(iv)で得られたパターン2’をマスクとして基板1をエッチングする。
図2(E)に示すように、パターン2’が形成された基板1に対して、プラズマおよび反応性イオンの少なくとも一方を照射すること(矢印で図示)により、パターン2’側に露出した基板1部分を、所定深さまでエッチングにより除去する。
工程(v)で使用されるプラズマまたは反応性イオンのガスは、ドライエッチング分野で通常用いられているガスであれば、特に限定されるものではない。
【0104】
[工程(vi)]
工程(vi)では、工程(v)におけるエッチング処理後に残存する硬化膜を除去する。
図2(F)に示すように、基板1のエッチング処理後、基板1上に残存する硬化膜(パターン2’)を除去する工程である。
基板1上に残存する硬化膜(パターン2’)を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、硬化膜が溶解する溶液を用いて基板1を洗浄する処理等が挙げられる。
【実施例0105】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0106】
<ナノインプリント用組成物の調製>
表1及び2に示す各成分を配合して、各例のナノインプリント用組成物をそれぞれ調製した。
【0107】
【0108】
【0109】
表1~2中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、(A)成分(比較例においては、チオール化合物)、(B)成分、及び、(X)成分の合計が100質量部となるように割合を表記している。
【0110】
・(A)成分:環構造含有チオール化合物
(A)-1:下記化学式(A0-1-1)で表される環構造含有チオール化合物(分子量:438)。
(A)-2:下記化学式(A0-2-1)で表される環構造含有チオール化合物(分子量:167.25)。
(A)-3:下記化学式(A0-3-1)で表される環構造含有チオール化合物(分子量:567.7)。
【0111】
【0112】
(M)-1:下記化学式(M-1)で表される鎖状チオール化合物。
(M)-2:下記化学式(M-2)で表される鎖状チオール化合物。
【0113】
【0114】
・(B)成分:光重合性化合物
(B)-1:多官能アクリレート、日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」。
(B)-2:トリメチロルプロパントリアクリレート、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTMP-A」。
【0115】
・(X)成分:金属酸化物ナノ粒子
(X)-1:チタニア粒子、石原産業株式会社製、製品名「LDB-102-45」。体積平均一次粒子径15nm。
【0116】
・(D)成分:光重合開始剤
(D)-1:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、IGM Resins B.V.社製、製品名「Omnirad 651」。分子量256.3。
【0117】
・(E)成分:界面活性剤
(E)-1:フッ素系界面活性剤、OMNOVA社製、製品名「PolyFox PF656」。
【0118】
・(S)成分:溶剤
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)。
【0119】
<硬化性の評価>
[ヤング率の測定]
各例のナノインプリント用組成物を、Eagle XGガラス基板上に、膜厚3μmの硬化膜になるように調整してスピンコート塗布した。次いで、プレベークを100℃で1分間行い、東芝機械社製インプリント装置ST-200を用いて、露光量1J/cm2(真空200Pa雰囲気下)で光硬化処理を行い、硬化膜を得た。
得られた膜厚2μmの硬化膜について、ISO14577に準拠し、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープHM2000を用いて、圧力1mN、測定時間20秒間の条件によりヤング率(GPa)を測定した。
その結果を、表3及び4に示した。
なお、ヤング率が高いほど変形のしにくく、高硬化性の硬化膜であることを意味する。
【0120】
【0121】
【0122】
表3及び4に示す通り、実施例のナノインプリント用組成物を用いて形成された硬化膜は、比較例のナノインプリント用組成物を用いて形成された硬化膜よりもヤング率が高いため、変形しにくく、高硬化性の硬化膜であることが確認できた。
【0123】
実施例1~4のナノインプリント用組成物と、比較例1のナノインプリント用組成物との対比により、環構造含有チオール化合物(A)の有無により、ヤング率の値が大きく変化することが確認できた。
また、実施例1~4のナノインプリント用組成物と、比較例2及び3のナノインプリント用組成物との対比により、単にチオール基を有する化合物を含有すればよいのではなく、環構造を有するチオール化合物を用いることで、ヤング率の向上が図れることが確認できた。
【0124】
環構造含有チオール化合物(A)を3質量部含有する実施例3のナノインプリント用組成物と、環構造含有チオール化合物(A)を5質量部含有する実施例4のナノインプリント用組成物との対比により、環構造含有チオール化合物(A)の含有量を増やすほどヤング率が向上するのではなく、特定の含有量の環構造含有チオール化合物(A)を含有することで、ヤング率の向上がより図れることが分かった。
【0125】
実施例1~3のナノインプリント用組成物の対比により、ヤング率の向上を図る観点からは、環構造含有チオール化合物(A)として、特に、上記化学式(A0-2-1)で表される環構造含有チオール化合物が好ましいことが分かった。