(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109136
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及び異常放電抑制方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230731BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
H01L21/302 101R
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131484
(22)【出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】63/260,700
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2022013878
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 雄洋
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB07
2G084BB27
2G084BB30
2G084CC05
2G084CC07
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
2G084HH05
2G084HH11
2G084HH20
2G084HH28
2G084HH35
2G084HH54
2G084HH56
5F004AA16
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
5F004CA02
5F004CA07
5F004DA22
5F004DA24
(57)【要約】
【課題】異常放電の発生を抑制すること。
【解決手段】チャンバは、内部でプラズマ処理が実施される。載置台は、チャンバ内に配置され、基板及び基板の周囲にリングアセンブリが載置される。固定部は、載置台に設けられ、基板及びリングアセンブリの少なくとも一方を載置台に固定する。伝熱ガス供給部は、載置台と基板及びリングアセンブリの少なくとも一方との間に伝熱ガスを供給する。伝熱ガス排気部は、載置台と基板及びリングアセンブリの少なくとも一方との間から伝熱ガスを排気する。RF電源は、記チャンバ内にプラズマ生成用のRF(Radio Frequency)信号を供給する。制御部は、基板及びリングアセンブリの少なくとも一方を載置台に載置した場合、基板に対してプラズマ処理を実施する前に、伝熱ガス供給部から供給する伝熱ガスの圧力を、基板に対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でプラズマ処理が実施されるチャンバと、
チャンバ内に配置され、基板及び基板の周囲にリングアセンブリが載置される載置台と、
前記載置台に設けられ、前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を前記載置台に固定する固定部と、
前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給部と、
前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間から前記伝熱ガスを排気する伝熱ガス排気部と、
前記チャンバ内にプラズマ生成用のRF(Radio Frequency)信号を供給するRF電源と、
前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を前記載置台に載置した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記伝熱ガス供給部から供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する制御部と、
を有するプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
(a)前記載置台と前記リングアセンブリとの間に伝熱ガスを供給する工程と、
(b)前記載置台と前記リングアセンブリとの間に供給する伝熱ガスの圧力を、(a)よりも下げる工程と、
を実行する請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記リングアセンブリと前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うように前記伝熱ガス供給部及び前記伝熱ガス排気部を制御する
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、(a)と(b)の工程において、前記RF電源から、前記基板に対するプラズマ処理時以下かつ、前記基板の温度が200℃以上となるパワーのRF信号を供給するよう制御する
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、(b)の工程において、前記伝熱ガス供給部から前記載置台と前記リングアセンブリとの間に供給する伝熱ガスの圧力を15Torr以下に制御する
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うように前記伝熱ガス供給部を制御する
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記固定部は、前記リングアセンブリを静電吸着によって前記載置台に固定する
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記伝熱ガスは、ヘリウムガス又は水素ガスである
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記基板を前記載置台に載置した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記基板と前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うように前記伝熱ガス供給部及び前記伝熱ガス排気部を制御する
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うように前記伝熱ガス供給部及び前記伝熱ガス排気部を制御する
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記固定部は、前記基板を静電吸着によって前記載置台に固定する
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、
(a)前記チャンバ内に処理ガスを導入する工程と、
(b)前記RF電源から前記チャンバ内に、前記基板に対するプラズマ処理時よりも小さいパワーのRF信号を供給する工程と、
(c)前記載置台に前記基板を静電吸着する工程と、
(d)前記基板と前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行う工程と、
(e)前記チャンバ内に処理ガスと前記プラズマ生成用のRF信号とを供給する工程とを、実行する
請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
バイアス電源をさらに有し、
前記制御部は、(d)と(e)の工程の間に前記バイアス電源から前記載置台にバイアス信号を供給する工程を実行する、
請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
内部でプラズマ処理が実施されるチャンバ内に配置された載置台に、基板、及び基板の周囲に載置されるリングアセンブリの少なくとも一方を載置する工程と、
前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間に供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げる工程と、
を有する異常放電抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及び異常放電抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォーカスリングの裏面側にガス供給絶縁ボスからHe、Ar、Xe等のガスを供給する構成が開示されている。また、特許文献1には、ガス供給絶縁ボスは、ガスの圧力が相対的に高いために異常放電しやすい部分であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0236751号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、異常放電の発生を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、チャンバと、載置台と、固定部と、伝熱ガス供給部と、伝熱ガス排気部と、RF電源と、制御部とを有する。チャンバは、内部でプラズマ処理が実施される。載置台は、チャンバ内に配置され、基板及び基板の周囲にリングアセンブリが載置される。固定部は、載置台に設けられ、基板及びリングアセンブリの少なくとも一方を載置台に固定する。伝熱ガス供給部は、載置台と基板及びリングアセンブリの少なくとも一方との間に伝熱ガスを供給する。伝熱ガス排気部は、載置台と基板及びリングアセンブリの少なくとも一方との間から伝熱ガスを排気する。RF電源は、記チャンバ内にプラズマ生成用のRF(Radio Frequency)信号を供給する。制御部は、基板及びリングアセンブリの少なくとも一方を載置台に載置した場合、基板に対してプラズマ処理を実施する前に、伝熱ガス供給部から供給する伝熱ガスの圧力を、基板に対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、異常放電の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプラズマ処理システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る異常放電の発生の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、比較例に係るシーズニングの際の状態の一例を概略的に示した図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るシーズニングの際の状態の一例を概略的に示した図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る不純物を除去する流れの一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る異常放電抑制方法の処理順序の一例を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る不純物を除去する流れの他の一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る異常放電抑制方法の処理順序の他の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示するプラズマ処理装置及び異常放電抑制方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示するプラズマ処理装置及び異常放電抑制方法が限定されるものではない。
【0009】
チャンバ内を減圧して基板に、プラズマエッチングなどのプラズマ処理を実施するプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置は、チャンバ内に載置台が設けられている。載置台には、基板が配置され、基板を囲むようにフォーカスリング等のリングアセンブリが載置される。基板やリングアセンブリと載置台との間には、伝熱のため、ヘリウムなどの伝熱ガスが供給される。
【0010】
ところで、プラズマ処理装置では、基板やリングアセンブリと載置台との間でアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。そこで、異常放電の発生を抑制する技術が期待されている。
【0011】
[実施形態]
[装置構成]
本開示のプラズマ処理装置の一例について説明する。以下に説明する実施形態では、本開示のプラズマ処理装置をシステム構成のプラズマ処理システムとした場合を例に説明する。
図1は、実施形態に係るプラズマ処理システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0012】
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
図1は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0013】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
基板支持部11は、固定部を有する。固定部は、基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方を固定する。本実施形態では、固定部は、基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方を静電吸着によって基板支持部11に固定する。一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。本実施形態では、静電チャック1111が本開示の固定部に対応する。静電チャック1111には、基板W及びリングアセンブリ112を静電吸着する場合、不図示の直流電源から電圧が印加される。静電チャック1111は、基板W及びリングアセンブリ112を静電吸着によって固定する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0016】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0017】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。また、基板支持部11は、リングアセンブリ112の裏面と環状領域111bとの間の間隙に伝熱ガス供給部から伝熱ガスを供給するように構成してもよい。
【0018】
例えば、基板支持部11の中央領域111aには、伝熱ガスを吐出するガス供給口111dが形成されている。また、基板支持部11の環状領域111bには、伝熱ガスを吐出するガス供給口111eが形成されている。基板支持部11には、伝熱ガスを供給する配管などの供給流路115a,115bが設けられている。供給流路115aは、ガス供給口111dと連通している。供給流路115bは、ガス供給口111eと連通している。供給流路115a,115bは、ガス供給部116に接続されている。ガス供給部116は、例えば、ヘリウム(He)ガス又は水素(H2)ガス等の伝熱ガスの流量を個別に制御して供給流路115a,115bに供給可能な構成とされている。また、ガス供給部116は、供給流路115a,115bから伝熱ガスの排気が可能に構成とされている。供給流路115aを介して供給された伝熱ガスは、ガス供給口111dから吐出されて基板Wと中央領域111aとの間の空間に供給される。供給流路115bを介して供給された伝熱ガスは、ガス供給口111eから吐出されてリングアセンブリ112と環状領域111bとの間の空間に供給される。また、基板Wと中央領域111aとの間の空間に供給された伝熱ガスは、供給流路115aを介して排気される。リングアセンブリ112と環状領域111bとの間の空間に供給された伝熱ガスは、供給流路115bを介して排気される。ガス供給部116は、本開示の伝熱ガス排気部及び伝熱ガス排気部に対応する。なお、ガス供給部116は、伝熱ガスを供給する部分と、伝熱ガスを排気する部分に分けて構成してもよい。
【0019】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0020】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0021】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0022】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0023】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0024】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0025】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0026】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0028】
次に、実施形態に係るプラズマ処理システムにより、基板Wに対してプラズマエッチングなどのプラズマ処理を実施する流れを簡単に説明する。不図示の搬送アーム等の搬送機構により基板Wが基板支持部11に載置される。プラズマ処理装置1は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する場合、排気システム40により、プラズマ処理チャンバ10内を減圧する。静電チャック1111は、基板W及びリングアセンブリ112を静電吸着によって固定する。制御部2は、静電チャック1111が静電吸着する際に、電源30から吸着用の高周波電力を基板支持部11に印加するよう制御する。例えば、制御部2は、電源30を制御して、静電チャック1111が基板W及びリングアセンブリ112の静電吸着が可能となる高周波電力を基板支持部11に印加する。プラズマ処理装置1は、ガス供給部20から処理ガスを供給してシャワーヘッド13からプラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する。そして、プラズマ処理装置1は、RF電源31から少なくとも1つのRF信号を供給してプラズマ処理空間10sにプラズマを生成し、基板Wに対して、プラズマ処理を実施する。
【0029】
ところで、プラズマ処理装置1では、基板Wやリングアセンブリ112と基板支持部11との間で不具合が発生する場合がある。例えば、基板Wやリングアセンブリ112と基板支持部11との間でアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。
【0030】
図2は、実施形態に係る異常放電の発生の一例を説明する図である。
図2には、プラズマ処理チャンバ10の基板支持部11付近が拡大して概略的に示されている。基板支持部11は、中央領域111aに基板Wが載置され、及び基板Wの周囲を囲むように環状領域111bにリングアセンブリ112が載置される。基板支持部11の中央領域111aには、ガス供給口111dが形成されている。基板支持部11の環状領域111bには、ガス供給口111eが形成されている。ガス供給口111dは、供給流路115aと連通し、供給流路115aを介してガス供給部116から伝熱ガスが供給される。ガス供給口111eは、供給流路115bと連通し、供給流路115bを介してガス供給部116から伝熱ガスが供給される。ガス供給口111d及びガス供給口111eは、ガス供給部116から供給される伝熱ガスを吐出する。
【0031】
基板支持面111aには、基板Wの外周側に沿って環状のバンドが設けられ、バンドによって、基板Wの外周を支持する。また、基板支持面111aには、基板Wを支持する不図示のドットが形成されている。基板Wと中央領域111aとの間には、伝熱ガスが流れることが可能な空間が形成されている。
【0032】
環状領域111bには、リングアセンブリ112の内周側及び外周側に沿ってそれぞれ環状のバンドが設けられ、バンドによって、リングアセンブリ112の内周及び外周を支持する。また、環状領域111bには、リングアセンブリ112を支持する不図示のドットが形成されている。リングアセンブリ112と環状領域111bとの間には、伝熱ガスが流れることが可能な空間が形成されている。
【0033】
プラズマ処理装置1では、プラズマ処理により、リングアセンブリ112が徐々に消耗する。リングアセンブリ112は、消耗すると、交換される。交換するリングアセンブリ112には、水分が付着している。プラズマ処理装置1では、リングアセンブリ112を交換した場合、水分の除去など、プラズマ処理チャンバ10内の状態を安定させるため、プラズマの生成を繰り返すシーズニング(立ち上げ処理)を行う。例えば、プラズマ処理装置1は、シーズニングを実施する場合、プラズマ処理の際と同様に、排気システム40により、プラズマ処理チャンバ10内を減圧する。静電チャック1111は、基板W及びリングアセンブリ112を静電吸着によって固定する。プラズマ処理装置1は、静電チャック1111が静電吸着する際に、電源30から吸着用の高周波電力を基板支持部11に印加する。プラズマ処理装置1は、ガス供給部20から処理ガスを供給してシャワーヘッド13からプラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する。処理ガスは、プラズマ処理と同様であってもよく、シーズニング用の特定の種類のガスであってもよい。そして、プラズマ処理装置1は、RF電源31から少なくとも1つのRF信号を供給してプラズマ処理空間10sにプラズマを生成してシーズニングを実施する。シーズニングでは、プラズマ処理チャンバ10内が安定した状態になるまでプラズマの生成を繰り返し実施する。シーズニングは、基板Wに半導体デバイスを製造する製造工程のプラズマ処理を実施する前に実施される。シーズニングは、ダミーウエハなどの基板Wを基板支持部11に配置して実施してもよい。
【0034】
しかし、シーズニングの際に、残った水分の影響により、リングアセンブリ112と基板支持部11の間などでアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。例えば、リングアセンブリ112を交換した場合、ガス供給口111e付近や、供給流路115b内でアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。
【0035】
また、基板Wやリングアセンブリ112の裏面に付着した不純物などによって、不具体が発生する場合がある。例えば、基板Wやリングアセンブリ112を交換した場合、ガス供給口111d付近や、ガス供給口111e付近、供給流路115a、供給流路115b内でアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、制御部2が、基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方を交換した場合、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、ガス供給部116から供給する伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する。
【0037】
例えば、制御部2は、リングアセンブリ112を交換した場合、シーズニングの際に、ガス供給部116から基板支持部11とリングアセンブリ112の間に供給する伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げ、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時以下にするよう制御する。
【0038】
また、基板W又はリングアセンブリ112を交換した場合、制御部2は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、当該交換した基板W又はリングアセンブリ112と基板支持部11との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うようにガス供給部116を制御する。
【0039】
シリコンの表面の水分の離脱量は、200℃以上で増加し、300℃から400℃で大きくなる。よって、シーズニングの際、リングアセンブリ112の温度は、200℃以上とすることが好ましく、300℃以上とすることがより好ましい。例えば、シーズニングの際、リングアセンブリ112の温度は、300℃から400℃とすることがより好ましい。
【0040】
ここで、比較例として、プラズマ処理装置1が、シーズニングの際、ガス供給部116から供給する伝熱ガスの圧力、及び、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時と同様としてシーズニングを実施するものとする。この場合、プラズマからの入熱によりリングアセンブリ112の温度を十分に上昇させることができるため、リングアセンブリ112に付着した水分を短い時間で除去できる。
図3は、比較例に係るシーズニングの際の状態の一例を概略的に示した図である。
図3には、基板支持部11の環状領域111b付近の状態が概略的に示されている。
図3は、シーズニングの際、ガス供給部116から供給する伝熱ガスの圧力、及び、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時と同様とした場合を示している。
図3では、リングアセンブリ112の温度が350℃となっている。これにより、リングアセンブリ112から水分が急速に放出される。しかし、リングアセンブリ112から放出される水分の影響により、ガス供給口111e付近や、供給流路115b内でアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。そこで、シーズニング際、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げて異常放電の発生を抑制することが考えられる。しかし、高周波電力のパワーを下げた場合、プラズマからリングアセンブリ112への入熱が低下して、リングアセンブリ112の温度が十分に上昇しなくなる。これにより、異常放電の発生を抑制できるものの、水分の除去にかかる時間が長くなり、シーズニングの時間が長くなる。
【0041】
そこで、本実施形態では、制御部2は、リングアセンブリ112を交換した場合、シーズニングの際に、ガス供給部116から基板支持部11とリングアセンブリ112の間に供給する伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げ、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時以下にするよう制御する。
【0042】
例えば、制御部2は、シーズニングの際に、ガス供給部116から基板支持部11とリングアセンブリ112の間に供給する伝熱ガスの圧力を15Torr以下に制御する。例えば、制御部2は、ガス供給部116から伝熱ガスの供給を停止した状態、又は、伝熱ガスの供給を最も絞り、伝熱ガスの供給を最低限の状態に制御する。これにより、基板Wから基板支持部11の環状領域111bへの伝熱が減り、高周波電力のパワーを下げた場合でも、リングアセンブリ112の温度を十分に上昇させることができる。
【0043】
上述のように、シリコンの表面の水分の離脱量は、200℃以上で増加する。制御部2は、シーズニングの際に、電源30から、基板Wに対するプラズマ処理時以下かつ、基板Wの温度が200℃以上となるパワーの高周波電力を供給するよう制御する。例えば、伝熱ガスの圧力を下げた場合でも、基板Wの温度が200℃以上となる高周波電力のパワーを事前に実験やシミュレーションにより求める。一例として、基板Wの温度が300℃~400℃となる高周波電力のパワーを求める。制御部2は、事前に求めたパワーの高周波電力を電源30から供給するよう制御する。
図4は、実施形態に係るシーズニングの際の状態の一例を概略的に示した図である。
図4には、基板支持部11の環状領域111b付近の状態が概略的に示されている。
図4は、シーズニングの際、ガス供給部116から供給する伝熱ガスの圧力を基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げ、電源30から供給する高周波電力のパワーを基板Wに対するプラズマ処理時以下に下げた場合を示している。
図4では、リングアセンブリ112の温度が400℃となっている。これにより、リングアセンブリ112に付着した水分を短い時間で除去できる。また、伝熱ガスの圧力を下げたことにより、ガス供給口111e付近や、供給流路115b内でアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0044】
また、上述したように、基板Wやリングアセンブリ112の裏面に付着した不純物などによって、不具体が発生する場合がある。例えば、基板Wやリングアセンブリ112を交換した場合、ガス供給口111d付近や、ガス供給口111e付近、供給流路115a、供給流路115b内でアーキングなどの異常放電が発生する場合がある。
【0045】
そこで、本実施形態では、制御部2は、基板W又はリングアセンブリ112を交換した場合、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、当該交換した基板W又はリングアセンブリ112と基板支持部11との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うようにガス供給部116を制御する。例えば、制御部2は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うようにガス供給部116を制御する。
図5は、実施形態に係る不純物を除去する流れの一例を説明する図である。
図5には、基板支持部11の環状領域111b付近の状態が概略的に示されている。
図5の上側は、リングアセンブリ112と基板支持部11との間に伝熱ガスを供給した状態を示している。
図5の下側は、リングアセンブリ112と基板支持部11との間の伝熱ガスを排気した状態を示している。
図5の上側では、リングアセンブリ112の裏面に不純物120が付着している。伝熱ガスを排気して伝熱ガスの圧力を下げ、伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げることにより、不純物120が、
図5の下側に示したように、供給流路115bに流れて除去される。これにより、不純物120によって発生するアーキングなどの異常放電を抑制できる。
【0046】
次に、実施形態に係るプラズマ処理装置1が実施する異常放電抑制方法の処理の流れについて説明する。
図6は、実施形態に係る異常放電抑制方法の処理順序の一例を説明する図である。
図6は、リングアセンブリ112での異常放電の抑制に異常放電抑制方法の処理を適用したものである。リングアセンブリ112は、例えば、プラズマ処理装置1の新規の立ち上げ時や、プラズマ処理装置1のメンテナンス、リングアセンブリ112の消耗による交換などにより、基板支持部11に載置される。プラズマ処理装置1は、リングアセンブリ112が基板支持部11に載置されると、リングアセンブリ112のシーズニングを実施する。
図6に示す処理は、リングアセンブリ112のシーズニングを実施する際に実行される。
【0047】
制御部2は、排気システム40を制御し、排気システム40により、プラズマ処理チャンバ10内を減圧する(S10)。
【0048】
制御部2は、リングアセンブリ112を基板支持部11に固定する(S11)。例えば、制御部2は、不図示の直流電源を制御して静電チャック1111に電圧が印加すると共に、電源30を制御して電源30から吸着用の高周波電力を基板支持部11に印加して、リングアセンブリ112を静電吸着によって基板支持部11に固定する。
【0049】
制御部2は、ガス供給部116を制御し、ガス供給部116からリングアセンブリ112と基板支持部11との間の伝熱ガスを供給する(S12)。制御部2は、ガス供給部116を制御し、リングアセンブリ112と基板支持部11との間の伝熱ガスをガス供給部116により排気する(S13)。
【0050】
制御部2は、伝熱ガスの供給と排気を所定回繰り返し実施したかを判定する(S14)。所定回とする回数は、不純物120を除去可能な回数として事前に実験やシミュレーションにより定める。所定回実施していない場合(S14:No)、上述したS12の処理へ移行する。
【0051】
一方、所定回実施した場合(S14:Yes)、制御部2は、水分を除去する処理を実行する(S15)。例えば、制御部2は、ガス供給部20を制御し、ガス供給部20から処理ガスを供給してシャワーヘッド13からプラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する。また、制御部2は、ガス供給部116を制御し、ガス供給部116から基板支持部11とリングアセンブリ112の間に供給する伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げる。また、制御部2は、電源30を制御し、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時以下にする。例えば、制御部2は、電源30から、基板Wに対するプラズマ処理時以下かつ、基板Wの温度が200℃以上となるパワーのRF信号を供給するよう制御する。なお、制御部2は、S15の処理を、S12及びS13の処理と並列に実施してもよい。これにより、プラズマ処理装置1では、プラズマ処理チャンバ10内にプラズマを生成され、リングアセンブリ112から水分が除去される。
【0052】
これにより、リングアセンブリ112と基板支持部11との間でのアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0053】
なお、上記の実施形態では、シーズニングにおいて異常放電抑制方法の処理を実施する場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。基板Wを交換した際に異常放電抑制方法の処理を実施してもよい。例えば、基板Wの裏面に付着した不純物120などによって、不具体が発生する場合がある。そこで、制御部2は、基板Wを交換した場合、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、当該交換した基板Wと基板支持部11との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うようにガス供給部116を制御してもよい。
図7は、実施形態に係る不純物を除去する流れの他の一例を説明する図である。
図7には、基板支持部11の中央領域111a付近の状態が概略的に示されている。
図7の上側は、基板Wと基板支持部11との間に伝熱ガスを供給した状態を示している。
図7の下側は、基板Wと基板支持部11との間の伝熱ガスを排気した状態を示している。
図7の上側では、基板Wの裏面に不純物120が付着している。伝熱ガスを排気して伝熱ガスの圧力を下げ、伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げることにより、不純物120が、
図7の下側に示したように、供給流路115aに流れて除去される。これにより、基板Wの裏面に付着した不純物120を除去でき、不純物120によって発生するアーキングなどの異常放電を抑制できる。
【0054】
図8は、実施形態に係る異常放電抑制方法の処理順序の他の一例を説明する図である。
図8は、基板Wでの異常放電の抑制に、実施形態に係る異常放電抑制方法の処理を適用したものである。基板Wは、例えば、プラズマ処理装置1においてプラズマ処理を実施する際に、基板支持部11に載置される。プラズマ処理装置1は、基板Wが基板支持部11に載置されると、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、
図8に示す処理を実行する。
【0055】
制御部2は、排気システム40を制御し、排気システム40により、プラズマ処理チャンバ10内を減圧する(S20)。
【0056】
制御部2は、ガス供給部116を制御し、ガス供給部116からプラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する(S21)。例えば、制御部2は、ガス供給部116を制御し、ガス供給部116から処理ガスを供給してArガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入する。
【0057】
制御部2は、電源30を制御してRF電源31からプラズマ処理チャンバ10内に、基板Wに対するプラズマ処理時よりも小さいパワーのRF信号を供給する(S22)。例えば、制御部2は、RF電源31から基台1110の下部電極として機能する導電性部材に、例えば、300W等の比較的パワーの低いRF信号を供給して、弱いプラズマを発生させ、この弱いプラズマを基板Wに作用させる。
【0058】
なお、S21の処理では、処理ガスをArガスとし、Arガスのプラズマを基板Wに作用させる場合について説明した。しかし、処理ガスのガス種はこれに限るものではない。処理ガスは、例えば、O2ガス、CF4ガス、N2ガス等のガスであってもよい。但し、処理ガスは、発生させるガスによるプラズマが、基板Wに対して、及び、プラズマ処理チャンバ10の内壁に対して、エッチング等の不所望な作用の少ないガス種である必要がある。また、処理ガスは、プラズマが着火し易いガス種である必要がある。さらに、処理ガスは、プラズマ処理を行う基板Wが、前工程でどのような処理を施されたものであるかによっても、最適なガス種が変わる場合がある。処理ガスは、これらを考慮して適宜選択することが好ましい。
【0059】
ここで、弱いプラズマを基板Wに作用させる理由は、以下のとおりである。プラズマ処理を行う基板Wは、前工程(例えば、CVD等の成膜工程)における処理の状態等によって、その状態が一様でない。例えば、基板Wは、内部に電荷が蓄積されている場合がある。基板Wは、内部に電荷が蓄積された状態で、強いプラズマが作用すると、表面アーキング等が生じる可能性が高い。このため、強いプラズマを作用させる前に、基板Wに弱いプラズマを作用させる。基板Wは、弱いプラズマが作用すると、基板Wの内部に蓄積された電荷の状態等が一様に調整(初期化)される。
【0060】
基板Wには、静電チャック1111に直流電圧(HV)を印加しない状態で、弱いプラズマを作用させる。これにより、基板Wの内部の電荷を移動し易くすることができる。
【0061】
このような弱いプラズマを発生させるためのRF信号の電力は、0.15W/cm2~1.0W/cm2程度、例えば、100~500W程度である。弱いプラズマを基板Wに作用させる時間は、例えば、5~20秒程度である。
【0062】
制御部2は、基板Wを静電吸着によって基板支持部11に固定する(S23)。例えば、制御部2は、不図示の直流電源を制御して静電チャック1111に電圧が印加し、基板Wを静電吸着によって基板支持部11に固定する。
【0063】
制御部2は、ガス供給部116を制御し、ガス供給部116から基板Wと基板支持部11との間の伝熱ガスを供給する(S24)。制御部2は、ガス供給部116を制御し、基板Wと基板支持部11との間の伝熱ガスをガス供給部116により排気する(S25)。
【0064】
制御部2は、伝熱ガスの供給と排気を所定回繰り返し実施したかを判定する(S26)。所定回とする回数は、不純物120を除去可能な回数として事前に実験やシミュレーションにより定める。所定回実施していない場合(S26:No)、上述したS24の処理へ移行する。
【0065】
一方、所定回実施した場合(S26:Yes)、制御部2は、水分を除去する処理を実行する(S27)。例えば、制御部2は、ガス供給部20を制御し、ガス供給部20から処理ガスを供給してシャワーヘッド13からプラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する。また、制御部2は、ガス供給部116を制御し、ガス供給部116から基板支持部11と基板Wの間に供給する伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げる。また、制御部2は、電源30を制御し、電源30から供給する高周波電力のパワーを、基板Wに対するプラズマ処理時以下にする。例えば、制御部2は、電源30から、基板Wに対するプラズマ処理時以下かつ、基板Wの温度が200℃以上となるパワーのRF信号を供給するよう制御する。なお、制御部2は、S24、S25とS27の工程の間にRF電源31から基板支持部11にバイアスRF信号を供給する。制御部2は、S27の処理を、S24及びS25の処理と並列に実施してもよい。これにより、プラズマ処理装置1では、プラズマ処理チャンバ10内にプラズマを生成され、基板Wから水分が除去される。
【0066】
これにより、基板Wと基板支持部11との間でのアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0067】
以上のように、実施形態に係るプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10と、基板支持部11(載置台)と、静電チャック1111(固定部)と、ガス供給部116(伝熱ガス供給部、伝熱ガス排気部)と、電源30(RF電源)と、制御部2とを有する。プラズマ処理チャンバ10は、内部でプラズマ処理が実施される。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置され、基板W及び基板Wの周囲にリングアセンブリ112が載置される。静電チャック1111は、基板支持部11に設けられ、基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方を基板支持部11に固定する。ガス供給部116は、基板W支持部11と基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方との間に伝熱ガスを供給する。ガス供給部116は、基板W支持部11と基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方との間から伝熱ガスを排気する。電源30は、プラズマ処理チャンバ10内にプラズマ生成用のRF信号を供給する。制御部2は、基板W及びリングアセンブリ112の少なくとも一方を基板支持部11に載置した場合、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、ガス供給部116から供給する伝熱ガスの圧力を、基板Wに対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wやリングアセンブリ112と基板支持部11との間でのアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0068】
制御部2は、(a)基板支持部11とリングアセンブリ112との間に伝熱ガスを供給する工程(S12)と、(b)基板支持部11とリングアセンブリ112との間に供給する伝熱ガスの圧力を、(a)よりも下げる工程(S13)と、を実行する。これにより、プラズマ処理装置1は、リングアセンブリ112と基板支持部11との間でのアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0069】
また、制御部2は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、リングアセンブリ112と基板支持部11との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うようにガス供給部116を制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、リングアセンブリ112の裏面に付着した不純物120を除去でき、不純物120によって発生するアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0070】
制御部2は、(a)と(b)の工程(S12とS13)において、電源30から、基板Wに対するプラズマ処理時以下かつ、基板Wの温度が200℃以上となるパワーのRF信号を供給するよう制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、リングアセンブリ112に付着した水分を速やかに除去できる。
【0071】
制御部2は、(b)の工程(S13)において、ガス供給部116から基板支持部11とリングアセンブリ112の間に供給する伝熱ガスの圧力を15Torr以下に制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10内にRF信号を供給した場合でも、リングアセンブリ112と基板支持部11との間でのアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0072】
制御部2は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うようにガス供給部116を制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、基板W又はリングアセンブリ112の裏面に付着した不純物120を除去できる。
【0073】
静電チャック1111は、リングアセンブリ112を静電吸着によって基板支持部11に固定する。これにより、プラズマ処理装置1は、リングアセンブリ112を基板支持部11に安定して固定できる。
【0074】
伝熱ガスは、ヘリウムガス又は水素ガスである。これにより、プラズマ処理装置1は、基板W支持部11と基板W及びリングアセンブリ112の間を安定して伝熱できる。
【0075】
制御部2は、基板Wを基板支持部11に載置した場合、基板Wに対してプラズマ処理を実施する前に、基板Wと基板支持部11との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うようにガス供給部116を制御する。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wの裏面に付着した不純物120を除去でき、不純物120によって発生するアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0076】
静電チャック1111は、基板Wを静電吸着によって基板支持部11に固定する。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wを基板支持部11に安定して固定できる。
【0077】
制御部2は、(a)プラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを導入する工程(S21)と、(b)RF電源からプラズマ処理チャンバ10内に、基板Wに対するプラズマ処理時よりも小さいパワーのRF信号を供給する工程(S22)と、(c)基板支持部11に基板Wを静電吸着する工程(S23)と、(d)基板Wと基板支持部11との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行う工程(S24、S25)と、(e)プラズマ処理チャンバ10内に処理ガスとプラズマ生成用のRF信号とを供給する工程(S26)とを、実行する。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wと基板支持部11との間でのアーキングなどの異常放電の発生を抑制できる。
【0078】
制御部2は、S24、S25とS27の工程の間にRF電源31(バイアス電源)から基板支持部11にバイアスRF信号(バイアス信号)を供給する工程を実行する。これにより、プラズマ処理装置1は、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0079】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上述した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上述した実施形態は、請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0080】
例えば、上記の実施形態では、基板Wとして半導体ウェハにプラズマ処理を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板Wは、何れであってもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、供給流路115a,115bにより、伝熱ガスの供給と排気を同じ流路で行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。伝熱ガスの供給する流路と排気する流路を分けて設けてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態では、静電チャック1111による静電吸着により基板W及びリングアセンブリ112を基板支持部11に固定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板W及びリングアセンブリ112は、フックなどの物理的な固定機構により基板支持部11に固定されてもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、プラズマ処理装置1を、プラズマ処理としてプラズマエッチングを実施する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。プラズマ処理装置1は、基板Wに対してプラズマ処理を実施する装置であれば何れであってもよい。例えば、プラズマ処理装置1は、プラズマを生成して成膜する成膜装置等であってもよい。
【0084】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0085】
なお、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0086】
(付記1)
内部でプラズマ処理が実施されるチャンバと、
チャンバ内に配置され、基板及び基板の周囲にリングアセンブリが載置される載置台と、
前記載置台に設けられ、前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を前記載置台に固定する固定部と、
前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給部と、
前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間から前記伝熱ガスを排気する伝熱ガス排気部と、
前記チャンバ内にプラズマ生成用のRF(Radio Frequency)信号を供給するRF電源と、
前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を前記載置台に載置した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記伝熱ガス供給部から供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する制御部と、
を有するプラズマ処理装置。
【0087】
(付記2)
前記制御部は、
(a)前記載置台と前記リングアセンブリとの間に伝熱ガスを供給する工程と、
(b)前記載置台と前記リングアセンブリとの間に供給する伝熱ガスの圧力を、(a)よりも下げる工程と、
を実行する付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0088】
(付記3)
前記制御部は、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記リングアセンブリと前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うように前記伝熱ガス供給部及び前記伝熱ガス排気部を制御する
付記2に記載のプラズマ処理装置。
【0089】
(付記4)
前記制御部は、(a)と(b)の工程において、前記RF電源から、前記基板に対するプラズマ処理時以下かつ、前記基板の温度が200℃以上となるパワーのRF信号を供給するよう制御する
付記2に記載のプラズマ処理装置。
【0090】
(付記5)
前記制御部は、(b)の工程において、前記伝熱ガス供給部から前記載置台と前記リングアセンブリとの間に供給する伝熱ガスの圧力を15Torr以下に制御する
付記2に記載のプラズマ処理装置。
【0091】
(付記6)
前記制御部は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うように前記伝熱ガス供給部を制御する
付記3に記載のプラズマ処理装置。
【0092】
(付記7)
前記固定部は、前記リングアセンブリを静電吸着によって前記載置台に固定する
付記1~付記6の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0093】
(付記8)
前記伝熱ガスは、ヘリウムガス又は水素ガスである
付記1~付記7の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0094】
(付記9)
前記制御部は、前記基板を前記載置台に載置した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記基板と前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うように前記伝熱ガス供給部及び前記伝熱ガス排気部を制御する
付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0095】
(付記10)
前記制御部は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うように前記伝熱ガス供給部及び前記伝熱ガス排気部を制御する
付記9に記載のプラズマ処理装置。
【0096】
(付記11)
前記固定部は、前記基板を静電吸着によって前記載置台に固定する
付記1~付記10の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0097】
(付記12)
前記制御部は、
(a)前記チャンバ内に処理ガスを導入する工程と、
(b)前記RF電源から前記チャンバ内に、前記基板に対するプラズマ処理時よりも小さいパワーのRF信号を供給する工程と、
(c)前記載置台に前記基板を静電吸着する工程と、
(d)前記基板と前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行う工程と、
(e)前記チャンバ内に処理ガスと前記プラズマ生成用のRF信号とを供給する工程とを、実行する
付記11に記載のプラズマ処理装置。
【0098】
(付記13)
バイアス電源をさらに有し、
前記制御部は、(d)と(e)の工程の間に前記バイアス電源から前記載置台にバイアス信号を供給する工程を実行する、
付記12に記載のプラズマ処理装置。
【0099】
(付記14)
内部でプラズマ処理が実施されるチャンバ内に配置された載置台に、基板、及び基板の周囲に載置されるリングアセンブリの少なくとも一方を載置する工程と、
前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間に供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げる工程と、
を有する異常放電抑制方法。
【0100】
(付記15)
内部でプラズマ処理が実施されるチャンバと、
チャンバ内に配置され、基板及び基板の周囲にリング状のリングアセンブリが載置される載置台と、
前記載置台に設けられ、前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を固定する固定部と、
前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間に伝熱ガスを供給する供給部と、
前記チャンバ内にプラズマを生成するための高周波電力を供給する電源部と、
前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を交換した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記供給部から供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げるよう制御する制御部と、
を有するプラズマ処理装置。
【0101】
(付記16)
前記供給部は、前記載置台と前記リングアセンブリの間に伝熱ガスを供給し、
前記制御部は、前記リングアセンブリを交換した場合、前記チャンバ内のシーズニングの際に、前記供給部から前記載置台と前記リングアセンブリの間に供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げ、前記電源部から供給する高周波電力のパワーを、前記基板に対するプラズマ処理時以下にするよう制御する
付記15に記載のプラズマ処理装置。
【0102】
(付記17)
前記制御部は、前記基板又は前記リングアセンブリを交換した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、当該交換した前記基板又は前記リングアセンブリと前記載置台との間に伝熱ガスの供給と排気を少なくとも1回行うように前記供給部を制御する
付記16又は付記17に記載のプラズマ処理装置。
【0103】
(付記18)
前記制御部は、前記シーズニングの際に、前記電源部から、前記基板に対するプラズマ処理時以下かつ、前記基板の温度が200℃以上となるパワーの高周波電力を供給するよう制御する
付記16に記載のプラズマ処理装置。
【0104】
(付記19)
前記制御部は、前記シーズニングの際に、前記供給部から前記載置台と前記リングアセンブリの間に供給する伝熱ガスの圧力を15Torr以下に制御する
付記16~付記18の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0105】
(付記20)
前記制御部は、伝熱ガスの供給と排気を交互に複数回行うように前記供給部を制御する
付記17に記載のプラズマ処理装置。
【0106】
(付記21)
前記固定部は、前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を静電吸着によって前記載置台に固定する
付記15~付記20の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0107】
(付記22)
前記電源部は、前記載置台に高周波電力を供給可能とし、
前記制御部は、前記固定部が静電吸着する際に、前記電源部から吸着用の高周波電力を載置台に印加するよう制御する
付記21に記載のプラズマ処理装置。
【0108】
(付記23)
前記伝熱ガスは、ヘリウムガス又は水素ガスである
付記15~付記22の何れか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0109】
(付記24)
内部でプラズマ処理が実施されるチャンバ内に配置された載置台に載置される基板及び基板の周囲に載置されるリング状のリングアセンブリの少なくとも一方を交換する工程と、
前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方を交換した場合、前記基板に対してプラズマ処理を実施する前に、前記載置台と前記基板及び前記リングアセンブリの少なくとも一方との間に供給する伝熱ガスの圧力を、前記基板に対するプラズマ処理時よりも下げる工程と、
を有する異常放電抑制方法。
【符号の説明】
【0110】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
30 電源
112 リングアセンブリ
116 ガス供給部
1111 静電チャック
W 基板