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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109345
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230801BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20230801BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J175/08
C08G18/48 045
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010801
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 真生
(72)【発明者】
【氏名】武井 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】植村 由希枝
(72)【発明者】
【氏名】唐沢 久美子
【テーマコード(参考)】
4J004
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA14
4J004AB01
4J004BA02
4J004DB02
4J004EA06
4J004FA08
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CC03
4J034DB04
4J034DB05
4J034DG04
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034RA08
4J040EF131
4J040EF301
4J040JA09
4J040JB09
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA02
4J040MB05
4J040NA17
4J040NA19
4J040PA23
(57)【要約】
【課題】本発明は、高いバイオマス度と高い接着力との両立が可能な粘着テープの提供を課題とする。
【解決手段】粘着剤層を有する粘着テープであって、上記粘着剤層のバイオマス度が50質量%以上であり、上記粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含み、上記ウレタン樹脂(A)が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、上記粘着剤層は、下記の条件:
(i)ゲル分率が10質量%以上80質量%以下である;及び
(ii)応力-歪み曲線において歪み量が100%のときの応力が50N/cm2未満である;
のいずれかを満たすことを特徴とする粘着テープを提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記粘着剤層のバイオマス度が50質量%以上であり、
前記粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含み、前記ウレタン樹脂(A)が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、
前記粘着剤層のゲル分率が10質量%以上80質量%以下であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記粘着剤層のバイオマス度が50質量%以上であり、
前記粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含み、前記ウレタン樹脂(A)が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、
前記粘着剤層は、応力-歪み曲線において歪み量が100%のときの応力が50N/cm未満であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂(A)が、直鎖状バイオマスポリエーテルジオールに由来する構造単位を含む、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記ウレタン樹脂(A)が、3官能以上のポリオールに由来する構造単位を更に含む、請求項1から3の何れか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が10,000以上300,000以下であることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記架橋剤(B)が、3官能以上のポリイソシアネート化合物を含む、請求項1から5の何れか1項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
ステンレス板に対する180°ピール接着力が3N/20mm以上である、請求項1から6の何れか1項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、例えば携帯電子端末、カメラ、パソコン等の電子機器やその製造工程において、画像表示部の保護パネルと筐体との固定や、外装部品や電池等の剛体部品等の各種部品の固定に用いられている。
【0003】
このような部材固定用の粘着テープとしては、アクリル系粘着剤を用いた粘着テープが多用されている。しかし、アクリル系粘着剤を用いた粘着テープは、低コストではあるが、その原料に石油を使用することが多いため、石油資源の枯渇や、廃棄処理による二酸化炭素排出の問題がある。
【0004】
一方、近年、地球温暖化等の環境問題に対する関心が高まるにつれ、従来の石油由来の原料に代替するものとして、動植物から生まれた再生可能な有機資源(バイオマス)由来の原料を使用することが社会的に強く要求されてきている。そのため、アクリル粘着剤に代えて、バイオマス度の高い粘着剤を用いた粘着テープの開発が進められている。
【0005】
例えば特許文献1では、側鎖を有するジカルボン酸とジオールとを重縮合して得られるポリエステルポリオールと、ポリエーテルポリオールと、架橋剤とを含むポリエステル系粘着剤組成物を用いた粘着テープが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-216875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、バイオマス由来の原料を使用した粘着剤層を有する粘着テープは、従来の要求性能を満たすことが難しいという課題がある。特に粘着剤層のバイオマス度を高くすると、接着力が劣るという課題があり、高いバイオマス度を達成しながら粘着力の向上を図ることが困難である。
【0008】
なお、特許文献1に開示される粘着テープは、初期接着力及び経時接着力が1N/25mm以下の微粘着力を発現することを目的としており、十分に高い接着力を発現することが困難である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高いバイオマス度と高い接着力との両立が可能な粘着テープの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、粘着剤層を有する粘着テープであって、上記粘着剤層のバイオマス度が50質量%以上であり、上記粘着剤層が、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含み、上記ウレタン樹脂(A)が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、上記粘着剤層のゲル分率が10質量%以上80質量%以下であることを特徴とする粘着テープを提供する。
【0011】
また、本発明は、粘着剤層を有する粘着テープであって、上記粘着剤層は、バイオマス度が50%質量以上であり、上記粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含み、上記ウレタン樹脂(A)が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含み、上記粘着剤層は、応力-歪み曲線において歪み量が100%のときの応力が50N/cm未満であることを特徴とする粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高いバイオマス度と高い接着力との両立が可能な粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の粘着テープは、バイオマス度が50質量%以上の粘着剤層を有する。本発明の粘着テープにおける上記粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含み、上記ウレタン樹脂(A)が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含む。さらに本発明における上記粘着剤層は、下記の条件:
(i)ゲル分率が10質量%以上80質量%以下である;及び
(ii)応力-歪み曲線において歪み量が100%のときの応力が50N/cm未満である;
のいずれかを満たす。
【0014】
本発明の粘着テープによれば、粘着剤層が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含むウレタン樹脂(A)と、架橋剤(B)との反応物で構成され、更に上記粘着剤層が上述した条件(i)及び(ii)の何れか少なくとも一方の特定の物性を満たすことにより、高いバイオマス度と高い接着力との両立を可能とすることができる。
【0015】
1.粘着剤層
本発明における粘着剤層は、バイオマス度が50質量%以上であればよく、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。また、上記粘着剤層のバイオマス度は高いほどよいが、例えば98質量%以下とすることができ、好ましくは95質量%以下、より好ましくは92質量%以下である。
【0016】
粘着剤層のバイオマス度は、粘着剤層を構成する粘着剤組成物の総質量に対し、上記粘着剤組成物に含まれるバイオマス由来の原料の質量割合であり、以下の計算式により算出することができる。なお、各質量は不揮発分換算である。
粘着剤層のバイオマス度(質量%)=100×[粘着剤層を構成する粘着剤組成物中のバイオマス由来の原料の質量(g)]/[粘着剤層を構成する粘着剤組成物の総質量(g)]
【0017】
本発明における粘着剤層は、ゲル分率が10質量%以上80質量%以下であることにより、高いバイオマス度でありながら高い接着力を発現することができる。中でも上記粘着剤層のゲル分率は10質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましく、10質量%以上50質量%以下が更に好ましい。粘着剤層のゲル分率を上記の範囲とすることで、高いバイオマス度でありながら、より高い接着力を担保できる。
【0018】
粘着剤層のゲル分率は、以下の方法により求めることができる。まず、粘着剤層を構成する粘着剤組成物を、離型ライナー上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃2日エージングしたものを50mm角に切り取り、これを試料とする。次に、予め上記試料のトルエン浸漬前の質量(G1)を測定しておき、トルエン溶液中に23℃で24時間浸漬した後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定する。得られたG1,G2から下記の式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0019】
また、本発明における粘着剤層は、応力-歪み曲線における歪み量が100%のときの応力(S100)が50N/cm未満であることにより、高いバイオマス度であっても高い接着力を発現することができる。中でも、上記粘着剤層は、応力-歪み曲線における歪み量が100%のときの応力が45N/cm以下であることが好ましく、0.5N/cm以上35N/cm以下であることがより好ましく、0.5N/cm以上25N/cm以下であることが更に好ましい。粘着剤層の応力-歪み曲線における歪み量が100%のときの応力を上記の範囲とすることで、高いバイオマス度でありながら、より高い接着力を担保できる。
【0020】
粘着剤層の、応力-歪み曲線における歪み量が100%のときの応力は、以下の方法により求めることができる。まず、粘着剤層を構成する粘着剤組成物を、離型ライナー上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗工して粘着剤層を形成する。次に、総厚さが約400μmになるまで上記粘着剤層を積層することにより、標線間隔20mm、幅10mmの試験片を作成する。次にこの試験片を、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下で、引張試験機を用いて引張速度300mm/分で引張り、その際に測定される応力-ひずみ曲線(いわゆる、S-Sカーブ)から、歪み量が100%のときの応力を求めることができる。
【0021】
本発明における上記粘着剤層は、下記の条件:
(i)ゲル分率が所定の範囲内である;及び
(ii)応力-歪み曲線において歪み量が100%のときの応力が所定の範囲未満である;
のいずれかを満たせばよく、上記条件(i)又は(ii)の一方のみを満たしても良く、上記条件(i)及び(ii)の両方を満たしても良い。
【0022】
本発明における粘着剤層の厚みは特に限定されないが、高い接着力を発現する観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また、上記粘着剤層の厚みは好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。
【0023】
本発明における粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物を含む。換言すれば、上記粘着剤層は、ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)とを少なくとも含む粘着剤組成物の反応物(硬化物)により構成される。ウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物は、ウレタン結合を介してウレタン樹脂(A)由来の構造単位と架橋剤(B)由来の構造単位とを有する。
【0024】
上記ウレタン樹脂(A)と上記架橋剤(B)の合計の含有率は、粘着剤層(粘着剤組成物の固形分)中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。なお、粘着剤組成物の固形分とは、溶剤を除いた部分をいうものとする。
【0025】
<1>ウレタン樹脂(A)
上記ウレタン樹脂(A)は、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応物であり、ウレタン結合を介してポリオール(a1)に由来する構造単位と、ポリイソシアネート(a2)に由来する構造単位と、を有する。本発明においては、上記ウレタン樹脂(A)は、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含む。
【0026】
上記ウレタン樹脂(A)は、換言すれば、ポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを含む組成物の反応物であり、上記ポリオール(a1)がバイオマスポリエーテルポリオールを含み、上記ポリイソシアネート(a2)が芳香族ポリイソシアネートを含む。
【0027】
上記ウレタン樹脂(A)は、2つ以上の水酸基を有し、中でも末端に水酸基を有する水酸基末端ウレタン樹脂であることが好ましい。なお、粘着剤層を構成するウレタン樹脂(A)及び架橋剤(B)との反応物においては、ウレタン樹脂(A)が有する水酸基は、架橋剤(B)と架橋を形成する。
【0028】
上記ウレタン樹脂(A)の水酸基価は、架橋剤(B)との反応により架橋を形成して粘着剤層に凝集力を付与できることから、例えば0.1mgKOH/g以上、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは25mgKOH/g以下である。上記水酸基価は、JISK0070に準拠して測定することができる。
【0029】
上記ウレタン樹脂(A)に含まれるウレタン結合量は、高い接着力を発現できることから、好ましくは0.8mmol/g、より好ましくは0.85mmol/g以上であり、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり、さらに好ましくは2mmol/g以下である。
【0030】
上記ウレタン樹脂(A)の数平均分子量は、高い接着力を発現できることから、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上であり、また、上記数平均分子量は、好ましくは60,000以下、より好ましくは40,000以下、さらに好ましくは20,000以下である。
【0031】
上記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、高い接着力を発現できることから、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上であり、また、上記重量平均分子量は、好ましくは300,000以下、より好ましくは250,000以下、さらに好ましくは200,000以下である。
【0032】
上記ウレタン樹脂(A)の分子量分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.5以上であり、よりさらに好ましくは5.0以上であり、また、上記分子量分散度(Mw/Mn)は好ましくは30以下、より好ましくは25以下であり、さらに好ましくは20以下であり、よりさらに好ましくは15以下である。上記ウレタン樹脂(A)の分子量分散度が上記の範囲にあることで高い接着力を発現できる。
【0033】
ウレタン樹脂(A)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、後述する実施例の項で説明する条件により測定された、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによるポリスチレン換算値を表す。
【0034】
上記ウレタン樹脂(A)の含有率は、高い接着力を発現できることから、粘着剤層(粘着剤組成物の固形分)中、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
【0035】
<<ポリオール(a1)>>
上記ポリオール(a1)は、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物であり、上記ポリオール(a1)がバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)を少なくとも含む。上記ポリオール(a1)は、上記ウレタン樹脂(A)を形成するポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを含む組成物において主成分である。主成分とは上記組成物を構成する成分のうち最も多く含まれる成分をいう。
【0036】
上記ポリオール(a1)のバイオマス度は、粘着剤層が所定のバイオマス度を示すことが可能な範囲であればよく適宜調整することができる。例えば上記ポリオール(a1)は、バイオマス度が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。粘着剤層に含まれるウレタン樹脂(A)と架橋剤(B)との反応物において、ポリオール(a1)由来の単位骨格が占める割合が大きいため、粘着剤層のバイオマス度の向上に寄与するからである。
【0037】
上記ポリオール(a1)のバイオマス度とは、ポリオール(a1)の総質量に対し、バイオマス由来のポリオール(a1)の質量割合であり、以下の計算式により算出することができる。なお、各質量は不揮発分換算である。
ポリオール(a1)のバイオマス度(質量%)=100×[バイオマス由来のポリオール(a1)の質量(g)]/[ポリオール(a1)の総質量(g)]
【0038】
<バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)>
上記ウレタン樹脂(A)は、ポリオール(a1)由来の構造単位として、バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)に由来する構造単位を有する。バイオマスポリーテルポリオールとは、動植物から生まれた再生可能な有機資源(バイオマス)由来のポリエーテルポリオールであり、例えば、植物由来のポリエーテルポリオールをいう。上記ポリオール(a1)は、バイオマスポリエーテルポリオールを主成分に含むことで、ウレタン樹脂及び粘着剤層全体のバイオマス度を高めることができる。バイオマスポリエーテルポリオールのバイオマス度は、粘着剤層のバイオマス度を所定の範囲にできれば特に限定されないが、例えば、上述したポリオール(a1)のバイオマス度の好ましい範囲と同様に設定することができる。
【0039】
上記ポリオール(a1)中のバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)の含有率は、高い接着力を発現できることから、上記ポリオール(a1)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上記ポリオール(a1)中、バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)の含有率の上限は100質量%であり、98質量%以下であってもよい。
【0040】
上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)としては、バイオマス由来の材料で合成され、分子内の主骨格中に少なくとも2つ以上のエーテル結合を有する2官能以上のポリエーテルポリオールであればよく、3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールであってもよい。また、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。中でも粘着剤層の柔軟性及び接着力をより高めることができる観点から、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)は、直鎖状バイオマスポリエーテルジオールを含むことが好ましい。即ち、上記ウレタン樹脂(A)が、直鎖状バイオマスポリエーテルジオールに由来する構造単位を含むことが好ましい。
【0041】
上記直鎖状バイオマスポリエーテルジオールとしては、例えば、活性水素原子を有する基(-NH-又は-OH)を2個有する低分子化合物(例えば、分子量500未満)の1種又は2種以上を開始剤として、環状エーテルを付加重合させたもの;酸無水物を開始剤として、環状エーテルを開環重合し、メタノール等の低分子アルコールでエステル交換したものなどが挙げられる。上記直鎖状バイオマスポリエーテルジオールは、これら開始剤(活性水素原子を有する基を2個有する低分子化合物又は酸無異物)及び環状エーテル、並びに低分子アルコールのうち少なくとも1種にバイオマス由来の材料を用いることで得ることができる。例えば、活性水素原子を有する基を2個有するバイオマス由来の低分子化合物を開始剤として、バイオマス由来の環状エーテルを付加重合させた直鎖状ポリエーテルジオール;バイオマス由来の酸無水物を開始剤としてバイオマス由来の環状エーテルを開環重合し、バイオマス由来の低分子アルコールでエステル交換した直鎖状ポリエーテルジオール等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
上記活性水素原子を有する基を2個有する低分子化合物(開始剤)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA等の水酸基を2個有する汎用の化合物が挙げられる。上記活性水素原子を有する基を2個有する低分子化合物(開始剤)のうち、バイオマス由来の化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチルオクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール;ビスフェノールA;ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートグリコール、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステルや、オレイン酸、エルカ酸などから誘導されるダイマージオール、グリセロールモノステアレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0043】
上記バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオエタノールから製造することができる。上記バイオマス由来の1,3-プロパンジオールは、嫌気性菌等を利用することによりトウモロコシ等の植物を発酵分解してグルコースを得、グリセロールとした後、脱水により3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)とし、これを還元することで製造することができる。バイオマス由来の1,4-ブタンジオールは、植物からグリコールを製造し発酵することによってコハク酸を得、これに水素添加することにより製造することができる。上記1,5-ペンタンジオール、1,6-ペンタンジオールは、バイオマスからヘミセルロースを得、これの脱水反応によりフルフラール又ピランカルボアルデヒドを得、さらに水素化分解することにより製造することができる。また、これらの化合物の脱水、環化、重合等により、ポリアルキレングリコール等を製造することができる。
【0044】
上記環状エーテルとしては、例えば、エチレンオキシド、エピクロロヒドリン等のエポキシド化合物;テトラヒドロフラン等の炭素原子数4以上(好ましくは炭素原子数4~6、特に好ましくは炭素原子数4)の環状エーテルなどが挙げられる。上記環状エーテルのうち、バイオマス由来の化合物としては、エチレンオキシド等のエポキシド化合物;テトラヒドロフラン等の環状エーテルなどが挙げられる。上記環状エーテルは、低分子量ポリオールの脱水、環化により製造することができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0045】
上記直鎖状バイオマスポリエーテルジオールは、接着力を発現し易いことから、分岐を有しないものであることが好ましい。すなわち、オキシアルキレン単位中のアルキレン基が直鎖状アルキレン基であり、アルキル基等の置換基を有しないものであることが好ましい。
【0046】
上記直鎖状バイオマスポリエーテルジオールに含まれるオキシアルキレン単位の炭素原子数は、柔軟性と凝集力を両立し易いことから、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは4以下である。
【0047】
上記直鎖状バイオマスポリエーテルジオールの含有率は、より高いバイオマス度を発現できることから、上記ポリオール(a1)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、いっそう好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
【0048】
また、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)として、分岐状バイオマスポリエーテルジオールや3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールを用いても良い。これらは単独で用いても良く、他のバイオマスポリエーテルポリオール(例えば直鎖状バイオマスポリエーテルジオール)と併用しても良い。上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)が、直鎖状バイオマスポリエーテルジオール及び3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールを含む場合、3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールが後述する多官能ポリオール(a1-2)と同様の機能を発現することができる。
【0049】
上記3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を有する基(-NH-又は-OH)を3個以上有する低分子化合物(例えば、分子量50以上分子量500未満の化合物)の1種又は2種以上を開始剤として、環状エーテルを開環重合させた化合物等が挙げられ、上記低分子化合物及び環状エーテルの少なくとも一方にバイオマス由来の材料を用いることで得ることができる。例えば、バイオマス由来の低分子化合物を開始剤としてバイオマス由来の環状エーテルを開環重合させたバイオマスポリエーテルポリオールが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
上記活性水素原子を有する基を3個以上有する低分子化合物としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。また、上記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等が挙げられる。バイオマス由来の低分子化合物及び/又はバイオマス由来の環状エーテルを用いることで、3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールを得ることができる。
【0051】
バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)として具体的には、ポリ1,3-プロパンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、例えば上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の2官能型バイオマスポリエーテルポリオール、トリメチロールプロパントリポリオキシエチレンエーテル等の3官能型バイオマスポリエーテルポリオール、ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテル等の4官能型バイオマスポリエーテルポリオール、ポリトリメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレングリコール等のバイオマスポリーテルポリオール等であってもよい。
【0052】
バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)の数平均分子量は、使用するポリエーテルポリオールの種類にもよるが、柔軟性と凝集力を両立し易いことから、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
【0053】
バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)の数平均分子量(Mn)は、後述する実施例の項で説明するウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)の測定方法及び条件により測定された、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによるポリスチレン換算値を表す。
【0054】
<多官能ポリオール(a1-2)>
上記ポリオール(a1)は、凝集力を更に高めるために、バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)以外の多官能ポリオール(a1-2)を含んでいてもよい。換言すれば、上記ウレタン樹脂(a)は、ポリオール(a1)由来の構造単位として、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位の他に、バイオマスポリエーテルポリオール以外の多官能ポリオール(a1-2)に由来する構造単位を有しても良い。
【0055】
上記多官能ポリオール(a1-2)はバイオマス由来であってもよく、石油由来(非バイオマス由来)であってもよいが、バイオマス由来であることが、ポリオール(a1)及びウレタン樹脂(a)のバイオマス度を高めることができるため好ましい。
【0056】
多官能ポリオール(a1-2)としては、バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)以外の2官能以上のポリオールを用いることができ、中でもバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)との反応により高い凝集力を発現できることから3官能以上のポリオールが好ましい。特に、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)として直鎖状バイオマスポリエーテルジオールを含む場合は、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)に加えて3官能以上の多官能ポリオール(a1-2-2)を含むことで、粘着剤層の柔軟性と凝集力を両立させることができ接着力をより高めることができるためより好ましい。
【0057】
2官能のポリオール(a1-2-1)としては、非バイオマスポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール等のポリマージオール;低分子量ジオール;酸基を有するポリオールなどが挙げられる。
【0058】
上記非バイオマスポリエーテルジオールとしては、活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を2個有する低分子化合物(例えば、分子量500未満)の1種又は2種以上を開始剤として、環状エーテルを付加重合させたもの;活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を2個有する低分子化合物(例えば、分子量500未満)の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキシドを付加重合させたもの;酸無水物を開始剤として、環状エーテルを開環重合し、メタノール等の低分子アルコールでエステル交換したものなどが挙げられる。
【0059】
上記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA等の水酸基を2個有する化合物などが挙げられる。
【0060】
上記環状エーテルとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン等のエポキシド化合物;テトラヒドロフラン等の炭素原子数4以上(好ましくは炭素原子数4~6、特に好ましくは炭素原子数4)の環状エーテルなどが挙げられる。
【0061】
上記ポリエステルジオールとしては、低分子量ジオールとジカルボン酸をエステル化させた反応物;ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合物;上記エステル化反応物や開環重合物の共重合物など使用することができる。
【0062】
上記ジカルボン酸とエステル化反応してポリエステルジオールを形成しうる低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ハイドロキノン、レゾルシン;ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。
【0063】
上記ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル化物等が挙げられる。
【0064】
上記ポリカーボネートジオールとしては、例えば活性水素原子を2個有する低分子化合物(例えば、分子量50以上500未満の化合物)の1種又は2種以上を開始剤として用い、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、低分子ジオールとを反応させた反応物などが挙げられる。上記炭酸エステルとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、アルキルカーボネート(例えば、メチルカーボネート、エチルカーボネート等)、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)等の脂肪族カーボネート;シクロカーボネート等の脂環式構造を含むカーボネート(以下、「脂環式構造を含む」ことを単に「脂環式」という場合がある。);ジフェニルカーボネート等の芳香族カーボネートが挙げられる。
【0065】
上記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ジオールとしては、上記ジカルボン酸とエステル化反応してポリエステルジオールを形成しうる低分子ジオールと同様の低分子ジオールなどが挙げられる。
【0066】
上記酸基を有するポリオールとしては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等のヒドロキシ酸;及び上記カルボキシ基を有するポリオールと上記ポリカルボン酸との反応物などが挙げられる。
【0067】
3官能以上のポリオール(a1-2-2)としては、非バイオマスポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等のポリマーポリオール;分子量500未満の低分子量ポリオール等が挙げられる。
【0068】
上記非バイオマスポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を3個以上有する低分子化合物(例えば、分子量50以上分子量500未満の化合物)の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたもの;活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を3個以上有する低分子化合物(例えば、分子量50以上500未満の化合物)の1種又は2種以上を開始剤として、環状エーテルを開環重合させたものなどが挙げられる。
【0069】
上記活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を3個以上有する化合物としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0070】
上記アルキレンオキサイドとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロロヒドリン等が挙げられる。上記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0071】
上記ポリエステルポリオールとしては、活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を3個以上有する低分子化合物(例えば、分子量50以上500未満の化合物)の1種又は2種以上を開始剤として用い、低分子量ポリオールとポリカルボン酸をエステル化させた反応物;ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合物;上記エステル化反応物や開環重合物の共重合物など使用することができる。
【0072】
上記ポリカルボン酸とエステル化反応してポリエステルポリオールを形成しうる低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の脂肪族ポリオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオール;ハイドロキノン、レゾルシン;ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノール等の芳香族ポリオールなどが挙げられる。
【0073】
上記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル化物等が挙げられる。
【0074】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば活性水素原子を有する基(-NH又は-OH)を3個以上有する低分子化合物(例えば、分子量50以上500未満の化合物)の1種又は2種以上を開始剤として用い、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、低分子ポリオールとを反応させた反応物などが挙げられる。上記炭酸エステルとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、アルキルカーボネート(例えば、メチルカーボネート、エチルカーボネート等)、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)等の脂肪族カーボネート;シクロカーボネート等の脂環式構造を含むカーボネート(以下、「脂環式構造を含む」ことを単に「脂環式」という場合がある。);ジフェニルカーボネート等の芳香族カーボネートが挙げられる。
【0075】
上記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる低分子ポリオールとしては、上記ポリカルボン酸とエステル化反応してポリエステルポリオールを形成しうる低分子ポリオールと同様の低分子ポリオールなどが挙げられる。
【0076】
上記3官能以上のポリマーポリオールの官能基数は、反応の制御が比較的容易となることから、3以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。
【0077】
上記3官能以上のポリマーポリオールの分子量は、凝集力を効率良く付与できることから、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
【0078】
上記3官能以上の低分子量ポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の低分子量トリオール;ペンタエリスリトール等の低分子量テトラオール;ジペンタエリスリトール等の低分子量ヘキサオールなどが挙げられる。
【0079】
上記3官能以上の低分子量ポリオールの官能基数は、反応の制御が比較的容易となることから、3以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。
【0080】
上記3官能以上の低分子量ポリオールの分子量は、凝集力を効率良く付与できることから、好ましくは500未満であり、たとえば50以上である。
【0081】
上記多官能ポリオール(a1-2)の含有率は、特に限定されないが、上記ポリオール(a1)中に好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上である。また、多官能ポリオール(a1-2)の含有率は、上記ポリオール(a1)中に好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。多官能ポリオール(a1-2)の含有率を上記の範囲とすることで、ポリオール(a1)及び粘着剤層全体のバイオマス度の低下を抑制しつつ、ポリイソシアネート(a2)との反応による凝集力の向上を図ることが可能となるからである。中でも、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)が直鎖状ポリエーテルジオールを含む場合、3官能以上の多官能ポリオール(a1-2-2)の含有量が上記の範囲内であることがより好ましい。
【0082】
<その他>
上記ポリオール(a1)は、少なくともバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)を含んでいればよく、上述した各種ポリオールを組み合わせて含むことができる。上記ポリオール(a1)の好ましい態様として、例えば、バイオマスポリエーテルジオール(a1-1-1)と3官能以上のポリオールとを含み、上記3官能以上のポリオールが、3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1-2)及びバイオマスポリエーテルポリオール以外の3官能以上のポリオール(a1-2-2)からなる群から選択される少なくとも1種を含む組成が挙げられる。
【0083】
<<ポリイソシアネート(a2)>>
上記ポリイソシアネート(a2)は、イソシアネート基を2個以上有する化合物であり、芳香族ポリイソシアネートを少なくとも含む。
【0084】
上記ウレタン樹脂(A)は、ポリイソシアネート(a2)由来の構造単位として、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を有する。上記ポリイソシアネート(a2)は、芳香族ポリイソシアネートを主成分に含むことで、ウレタン樹脂及び粘着剤層全体で適度な凝集力を発現し、接着力を高めることができる。
【0085】
上記芳香族ポリイソシアネートの含有率は、上記ポリイソシアネート(a2)中、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。芳香族ポリイソシアネートの含有率を上記の範囲とすることで、ウレタン樹脂及び粘着剤層全体で適度な凝集力を発現できるからである。
【0086】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI;その4,4’体、2,4’体又は2,2’体、若しくはそれらの混合物)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の変性MDI、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ-ト(TDI;その2,4体、又は2,6体、若しくはそれらの混合物)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上の芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0087】
中でも上記芳香族ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体又はビウレット体から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0088】
上記ポリイソシアネート(a2)は、本発明の効果を損なわなければ、上記芳香族ポリイソシアネート以外のポリイソシアネートを含んでいてもよい。すなわち、上記ウレタン樹脂(A)が、ポリイソシアネート(a2)由来の構造単位として、芳香族ポリイソシアネート以外のポリイソシアネートに由来する構造単位を有してもよい。
【0089】
芳香族ポリイソシアネート以外のポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネートや脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。また、脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキシレン-1,2-ジカルボキシレート及び2,5-及び/又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0090】
上記ポリイソシアネート(a2)は、アダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上のポリイソシアネートを含む場合は、その含有率は、凝集力を発現できることから、上記ポリイソシアネート(a2)中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。また、上記3官能以上のポリイソシアネートの含有率は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0091】
上記ポリイソシアネート(a2)に含まれるイソシアネート基と、上記ポリオール(a1)に含まれる水酸基(後述する鎖伸長剤(a3)を含む場合、上記ポリオール(a1)に含まれるヒドロキシ基及び該鎖伸長剤(a3)に含まれる活性水素原子の合計)とのモル比(NCO/OH)は、凝集力を発現できることから、0.5以上であり、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.6以上であり、1未満、好ましくは0.9999以下である。
【0092】
上記ポリイソシアネート(a2)は、バイオマス由来のポリイソシアネート(バイオマスポリイソシアネート)であってもよく、石油由来のポリイソシアネート(非バイオマスポリイソシアネート)であってもよい。中でもバイオマスポリイソシアネートであることが、ウレタン樹脂及び粘着剤層のバイオマス度を高めることができるためより好ましい。
【0093】
<鎖伸長剤(a3)>
上記ウレタン樹脂(A)は、上記ポリオール(a1)と上記ポリイソシアネート(a2)との反応物にさらに鎖伸長剤(a3)を反応させたものであってもよい。即ち、ウレタン樹脂(A)が、上記ポリオール(a1)と上記ポリイソシアネート(a2)と鎖伸長剤(a3)とを含む組成物の反応物、より具体的には、上記ポリオール(a1)及び上記ポリイソシアネート(a2)の反応物と鎖伸長剤(a3)とを含む組成物の反応物であってもよい。
【0094】
上記鎖伸長剤(a3)としては、1種又は2種以上を用いることができ、活性水素原子を2個以上有する化合物やポリアミン等が挙げられる。上記活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3’-ジメチロールへプタン、ネオペンチルグリコール、3,3-ビス(ヒドロキシメチル)へプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の脂肪族鎖伸長剤;1,2-シクロブタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’-ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素添加ビスフェノ-ルA、1,3-アダマンタンジオール等の脂環式鎖伸長剤などが挙げられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族アルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコールなどが好ましい。また、上記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、N-ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N-エチルアミノエチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、β-セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3-セミカルバジド-プロピル-カルバジン酸エステル、セミカルバジド-3-セミカルバジドメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン等のポリアミン伸長剤などが挙げられる。
【0095】
上記鎖伸長剤(a3)は、ウレタン樹脂の凝集力を発現できることから、上記ポリオール(a1)100質量部に対して、好ましくは0~5質量部の範囲内であり、より好ましくは0~3質量部の範囲内であり、さらに好ましくは0~1質量部の範囲内である。
【0096】
上記鎖伸長剤(a3)は、石油由来であってもよく、バイオマス由来であってもよい。中でもバイオマス由来であることが、ウレタン樹脂及び粘着剤層のバイオマス度を高めることができるためより好ましい。
【0097】
<末端停止剤(a4)>
上記ウレタン樹脂(A)は、上記ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)及び必要に応じて用いる鎖伸長剤(a3)の反応物に、さらに末端停止剤(a4)を反応させたものであってもよい。末端停止剤(a4)を用いることで、イソシアネート基を失活させることができる。
【0098】
上記末端停止剤(a4)としては、アルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1官能アルコール;1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の2官能アルコール;多官能ポリオール;アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン等)、アルカノールジアミン(例えば、ジエタノールアミン等)などのアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
【0099】
上末端停止剤(a4)は、石油由来であってもよく、バイオマス由来であってもよい。中でもバイオマス由来であることが、ウレタン樹脂及び粘着剤層のバイオマス度を高めることができるためより好ましい。
【0100】
<その他>
上記ウレタン樹脂(A)は、ポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を共重合反応させ、必要に応じてさらに鎖伸長剤(a3)及び/又は末端停止剤(a4)を反応させることで製造することができる。上記反応は、有機溶剤の存在下で行ってもよく、上記反応の際は、ウレタン化触媒を共存させてもよい。
【0101】
上記有機溶剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、3-ペンタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチルカルビトール等のエーテル溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶剤;メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド溶剤などが挙げられる。
【0102】
上記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩、ジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物などを用いることができる。
【0103】
上記ウレタン樹脂(A)は、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含むが、3官能以上のポリオールに由来する構造単位を更に含んでいてもよい。上記ウレタン樹脂(A)に含まれる3官能以上のポリオールに由来する構造単位としては、例えば、3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位であってもよく、バイオマスポリエーテルポリオール以外の3官能以上の多官能ポリオール(a1-2)に由来する構造単位であってもよく、その両方であってもよい。
【0104】
上述した構造単位を有する上記ウレタン樹脂(A)としては、例えば以下の態様が挙げられる。1つの態様は、上記ウレタン樹脂(A)が、3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)を含むポリオール(a1)と、芳香族ポリイソシアネート(a2)を含むポリイソシアネート(a2)と、を少なくとも含む組成物の反応物とすることができる。また、別の態様の一例としては、上記ウレタン樹脂(A)が、2官能又は3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)、及びバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)以外の3官能以上の多官能ポリオール(a1-2)を含むポリオール(a1)と、芳香族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート(a2)とを少なくとも含む組成物の反応物とすることができる。中でも、上記ウレタン樹脂(A)が、直鎖状バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1-1)、並びに3官能以上のバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1-2)及びバイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)以外の3官能以上の多官能ポリオール(a1-2)の少なくとも一方を含むポリオール(a1)と、上記芳香族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート(a2)とを少なくとも含む組成物の反応物とすることができる。
【0105】
また、上記ウレタン樹脂(A)は、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位の他に、鎖伸長剤(a3)に由来する構造単位を更に含んでいてもよい。上述した構造単位を有する上記ウレタン樹脂(A)として、例えば上記ウレタン樹脂(A)が、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)含むポリオール(a1)と上記芳香族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート(a2)と鎖伸長剤(a3)とを含む組成物の反応物、より具体的には、上記バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)を含むポリオール(a1)及び上記芳香族ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート(a2)の反応物と鎖伸長剤(a3)とを含む組成物の反応物とすることができる。
【0106】
<2>架橋剤(B)
上記架橋剤(B)は、ウレタン樹脂(A)と反応して反応物(硬化物)を形成できればよく、1分子中に、水酸基と反応しうる基を2個以上有する化合物が好ましい。このような架橋剤(B)としては、例えば、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物;1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物等が挙げられる。中でも高い接着力を発現できることから、イソシアネート化合物を含むことが好ましい。
【0107】
上記イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等を用いることができる。イソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0108】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0109】
上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの脂環式ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0110】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えばジフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI;その4,4’体、2,4’体又は2,2’体、若しくはそれらの混合物)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の変性MDI、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ-ト(TDI;その2,4体、又は2,6体、若しくはそれらの混合物)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体等の3官能以上の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0111】
中でも、イソシアネート化合物としては、ウレタン樹脂(A)との反応により粘着剤層が高い接着力を発現できることから、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートが好ましく、上記粘着剤層の接着力をより高めることが可能となることから3官能以上の芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0112】
上記イソシアネート化合物の含有量は、上記ウレタン樹脂(A)中の水酸基と上記イソシアネート架橋剤のイソシアネート基との当量比が、高い接着力を発現できることから、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.2以上となる量であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下となる量である。
【0113】
上記エポキシ化合物としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、ビス-(p-ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、2,2-ビス-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、トリス-(p-ヒドロキシフェニル)メタンポリグリシジルエーテル、1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンポリグリシジルエーテル、ラウリルアルコール(EO)15グリシジルエーテル等の脂肪族、脂環式又は芳香族ポリオール化合物のジグリシジルエーテル;グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等の脂肪族、脂環式又は芳香族ポリオール化合物のポリグリシジルエーテル;N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ビス-(p-アミノフェニル)メタン等のアミン化合物のポリグリシジルエーテル;テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸ポリグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル等の脂肪酸又は芳香族酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル;トリグリシジルアミノフェノール;トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート;、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシなどが挙げられる。
【0114】
上記エポキシ化合物の含有量は、高い接着力を発現できることから、上記ウレタン樹脂(A)中の水酸基と、上記エポキシ化合物中のエポキシ基の当量比が、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上となる量であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下となる量である。
【0115】
上記イソシアネート化合物の含有率は、高い接着力を発現できることから、上記架橋剤(B)中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%、すなわち架橋剤(B)がイソシアネート架橋剤である。
【0116】
上記架橋剤(B)の含有量は、粘着剤層が上述した物性を達成できる量であればよく、上記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上7質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上5質量部以下であることが更に好ましい。ウレタン樹脂(A)と反応する架橋剤(B)の量を上記の範囲とすることで、粘着剤層のゲル分率や応力-歪み曲線において歪み量が100%のときの応力を所定の範囲に調整でき、高い接着力を発現できる。
【0117】
上記架橋剤(B)は、石油由来であってもよく、バイオマス由来であってもよい。中でも架橋剤(B)はバイオマス由来であることが、ウレタン樹脂及び粘着剤層のバイオマス度を高めることができるためより好ましい。
【0118】
<3>任意の成分
上記粘着剤層(粘着剤組成物)は、さらに硬化触媒を含んでいてもよい。上記硬化触媒としては、ウレタン化触媒として例示した化合物と同様の化合物が挙げられる。上記硬化触媒を含む場合、その含有量は、上記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、さらに好ましくは0.05質量部以下である。
【0119】
上記粘着剤層(粘着剤組成物)は、さらに、他の添加剤として、可塑剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、防錆剤、チキソ性付与剤、増感剤、重合禁止剤、レベリング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、難燃剤等を含んでいてもよい。
【0120】
2.任意の構成
本発明の粘着テープは、少なくとも上述した粘着剤層を有すればよいが、必要に応じて任意の構成を有することができる。
【0121】
<基材>
本発明の粘着テープは、基材を有することができる。上記基材は、粘着テープにおいて粘着剤層を支持する機能を有する。上記基材としては、樹脂フィルム、発泡体、織布、不織布、金属箔、ガラスシート、紙類、これらを複合した構成の複合基材等を用いることができる。なお、樹脂フィルムは非発泡である点で発泡体と区別される。中でも上記基材は、バイオマス由来の原料割合が50質量%以上であることが、粘着テープ全体でのバイオマス度を向上させることができるため、より好ましい。
【0122】
上記樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレー等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリプロピレンエチレンビニルアルコール;ポリビニルアルコール樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂などを用いて得られるシート又はフィルムを使用することができる。上記樹脂フィルムの表面は、帯電防止処理、コロナ処理等が施されていてもよい。
【0123】
上記発泡体としては、例えばポリオレフィン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、アクリル系発泡体、その他のゴム系発泡体等を使用することができる。上記発泡体基材の表面は、帯電防止処理、コロナ処理等が施されていてもよい。
【0124】
上記織布又は不織布としては、例えば、マニラ麻、木材パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊維)、ポリアミド繊維等の化学繊維、およびこれらの混合物等を用いて得られる織布又は不織布が挙げられる。
【0125】
上記紙類としては、和紙、上質紙、クラフト紙、クレープ紙等が挙げられる。また、上記金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
【0126】
上記複合基材としては、例えば、金属箔や金属スパッタ層、金属蒸着層、金属メッキ層等の金属層や金属酸化物層と上記樹脂フィルムとの積層シート、ガラスクロス等の無機繊維で強化された樹脂シート等が挙げられる。
【0127】
上記基材は、中間層や下塗り層などをさらに有していてもよい。
【0128】
上記基材の厚さは、その材質や形態などに応じて、適宜選択することができるが、例えば、1000μm以下が好ましく、1μm~1000μm程度であることがより好ましく、2μm~500μm程度が特に好ましくは、更に好ましくは3μm~300μm程度であり、特に好ましくは5μm~250μm程度である。
【0129】
<離型ライナー>
本発明の粘着テープは、粘着剤層の表面に離型ライナーを有することが好ましい。粘着テープの使用時まで、粘着剤層の表面を保護して保存することができ、作業性等においても有用である。
【0130】
離型ライナーとしては、特に限定されず、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、離型ライナー用基材の少なくとも片面に、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤等の離型剤(剥離剤)等がコーティングされたものを用いることができる。離型ライナー用基材は、単層、複数層のいずれの形態も用いることができる。
【0131】
上記離型ライナー用基材としては、プラスチックフィルム、紙、発泡体、金属箔等の各種薄葉体等を用いることができ、特に好ましくは、プラスチックフィルムである。また、プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、バイオマス由来の原料から得られるポリ乳酸やポリエステル、ポリアミドなどからなるプラスチックフィルムや、紙を好適に用いることができる。
【0132】
上記離型ライナーは、粘着テープの少なくとも片側の接着面に設けられることが好ましく、粘着テープの両方の接着面に設けられても良い。
【0133】
<その他の構成>
本発明の粘着テープは、その用途等に応じて任意の層を構成に有することができる。
【0134】
3.粘着テープのその他性状
本発明の粘着テープは、粘着剤層の対向する主面がそれぞれ粘着テープの接着面となる、いわゆる基材レスの粘着テープであってもよく、基材の片面又は両面に直接又は他の層を介して粘着剤層が設けられた片面粘着テープ又は両面粘着テープであってもよい。基材を有する両面粘着テープの場合、基材の少なくとも片面に設けられる粘着剤層が、上記「1.粘着剤層」の項で説明した粘着剤層であればよく、基材の両面に設けられる粘着剤層が、上記「1.粘着剤層」の項で説明した粘着剤層であることが、粘着テープ全体のバイオマス度を高める観点からより好ましい。また、本発明の粘着テープが基材を有する場合は、上記「1.粘着剤層」の項で説明した粘着剤層が粘着テープの接着面となることが好ましい。
【0135】
本発明の粘着テープの形態は特に限定されず、ロール体であってもよく枚葉であってもよい。また、本発明の粘着テープの総厚は特に限定されず、用途等に応じて適宜設定することができる。
【0136】
本発明の粘着テープは、高いバイオマス度であっても高い接着力を発現する観点から、ステンレス板に対する180°ピール接着力が、3N/20mm以上であることが好ましく、中でも5N/20mm以上であることがより好ましく、8N/20mm以上であることが更に好ましい。
【0137】
本発明の粘着テープの、ステンレス板に対する180°ピール接着力は、以下の方法により測定することができる。まず、粘着テープの片面を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちし、20mm幅に切断したものを試験片とする。次に、上記試験片を、接着面積が20mm×60mmとなるように、清潔で平滑なステンレス板の表面に貼付し、その上面で2kgローラーを1往復させて加圧して、2kgロールで1往復して貼り付ける。加圧後、JISZ-0237に準じて上記試験片を23℃及び50%RHの条件下で1時間放置した後、23℃及び50%RHの雰囲気下で引張試験機を用いて、剥離方向:180°、引張速度:0.3m/minの条件で引き剥がすことで、ステンレス(SUS)板に対する接着テープの180°ピール接着力を測定することができる。
【0138】
4.粘着テープの製造方法
本発明の粘着テープの製造方法は、特に限定されず、粘着テープの構成に応じて公知の方法を用いることができる。例えば基材レスの粘着テープの製造方法としては、上記粘着剤成物を離型ライナー上に塗工し、乾燥及び硬化させて粘着剤層を形成し、必要に応じて上記粘着剤層の他方の主面に離型ライナーを貼合する方法が挙げられる。また、基材を有する粘着テープの製造方法としては、例えば、基材の片面または両面に上記粘着剤組成物を塗工し、乾燥等することによって製造する方法(直接法)、または、離型ライナーの表面に粘着剤組成物を塗工し乾燥等することによって粘着剤層を形成した後、上記粘着剤層を、上記基材の片面または両面に転写することによって製造する方法(転写法)が挙げられる。
【0139】
上記粘着テープの製造において、上記粘着剤組成物は、必要に応じて公知の溶剤と混合して粘着剤組成物の溶液として用いても良い。また、上記粘着剤組成物を塗工する方法としては、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、スプレーコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター等による塗工方法が挙げられる。
【0140】
上記粘着剤組成物を塗工後、乾燥させる方法としては、例えば、50℃~140℃で30秒~10分間乾燥させる方法が挙げられる。また、乾燥後、硬化反応を促進する点から、30℃~50℃の範囲で更にエージングを行ってもよい。
【0141】
5.用途
本発明の粘着テープは、高いバイオマス度と高い接着力との両立が可能であり、特に、携帯電子端末、カメラ、パソコン等の電子機器やその製造工程において、画像表示部の保護パネルと筐体との固定、あるいは、外装部品や電池等の剛体部品等の固定に用いられる粘着テープとして有用である。
【0142】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例0143】
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0144】
ウレタン樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、以下のGPC測定方法で測定した。
[GPC測定方法]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
(1)TSK-GEL HXL-H(ガードカラム)
(2)TSK-GEL GMHXL
(3)TSK-GEL GMHXL
(4)TSK-GEL GMHXL
(5)TSK-GEL GMHXL
サンプル濃度:4mg/mLとなるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
注入量:100μL
カラム温度:40℃
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-850」
【0145】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、直鎖状バイオマスポリエーテルポリオール(a1-1)としてバイオマスポリ(1,3-プロパンジオール)(「PPD-1」)を847質量部、多官能ポリオール(a1-2)としてポリプロピレングリコールグリセリルエーテル(「ユニオール TG-330」、日油社製、3官能ポリオール、数平均分子量:330)を20質量部、ポリイソシアネート(a2)としてトリレンジイソシアネート(TDI)を133質量部、メチルエチルケトン(MEK)を428質量部添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、オクチル酸スズ(「ネオスタン U-28」、日東化成社製)を0.2質量部添加し、1時間かけて75℃まで昇温した。その後、75℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、1,3-ブタンジオール(1,3-BG)を1.1質量部で反応を停止し、MEKを571質量部加えウレタン樹脂(A-1)のMEK溶液(固形分50質量%)を得た。得られたウレタン樹脂(A-1)の数平均分子量は4,300、重量平均分子量は14,200であった。
【0146】
ウレタン樹脂(A-1) 100質量部に架橋剤(B)としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(D-100K)を2.7質量部配合し、さらに硬化触媒としてジオクチル錫ジネオデカネート0.02質量部を配合し、粘着剤組成物(1)を得た。
【0147】
離型ライナー(両面が離型処理された厚さ125μmの剥離紙)S1の重剥離処理面に、上記粘着剤組成物(1)を塗布し、85℃で3分間乾燥した。粘着剤組成物(1)の乾燥後塗膜に別の離型ライナー(両面が離型処理された厚さ125μmの剥離紙)S2の軽剥離処理面を貼り合わせ、40℃で48時間養生し、厚み50μmの基材レスの粘着テープ(1)を得た。
【0148】
(実施例2~23、比較例1~12)
実施例1におけるウレタン樹脂(A-1)の合成に用いた化合物及びその配合量を、表1に示す化合物及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして、ウレタン樹脂(A-2)~(A-13)のMEK溶液(固形分50質量%)を得た。続いて、ウレタン樹脂(A-2)~(A-13)の固形分100質量部に対し、架橋剤(B)として表1に示す化合物及び配合量を用いて反応させたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物(2)~(35)を得た。次に、粘着剤組成物(1)に代えて粘着剤組成物(2)~(35)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの基材レスの粘着テープ(2)~(35)を得た。
【0149】
〔評価1:粘着剤層のバイオマス度〕
実施例及び比較例で得た粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤組成物の総質量に対し、上記粘着剤組成物に含まれるバイオマス由来の原料の質量割合を、以下の計算式により算出した。なお、各質量は不揮発分換算(固形分換算)である。
粘着剤層のバイオマス度(質量%)=100×[粘着剤層を構成する粘着剤組成物中のバイオマス由来の原料の質量(g)]/[粘着剤層を構成する粘着剤組成物の総質量(g)]
【0150】
〔評価2:粘着剤層のゲル分率〕
実施例及び比較例で得た粘着テープの粘着剤層の形成に用いた粘着剤組成物(固形分)を、離型ライナー上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃2日エージングしたものを50mm角に切り取り、これを試料とする。次に、予め上記試料のトルエン浸漬前の質量(G1)を測定しておき、トルエン溶液中に23℃で24時間浸漬した後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求めた。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
【0151】
〔評価3:応力-歪み曲線における上記粘着剤層の歪み量が100%のときの応力〕
実施例及び比較例で得た各粘着テープを、粘着剤層の総厚さが約400μmになるまで積層することにより標線間隔20mm、幅10mmの試験片を作成した。この試験片を、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下で、引張試験機を用いて引張速度300mm/分で引張り、その際に測定される応力-ひずみ曲線(いわゆる、S-Sカーブ)から、歪み量が100%のときの応力を求めた。
【0152】
〔評価4:ステンレス(SUS)板に対する接着テープの180°ピール接着力〕
実施例及び比較例で得た各粘着テープから離型ライナーS2を剥離した後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちし、20mm幅に切断したものを試験片とした。上記試験片の離型ライナーS1を剥離し、接着面積が20mm×60mmとなるように、清潔で平滑なステンレス板の表面に貼付し、その上面で2kgローラーを1往復させて加圧して、2kgロールで1往復して貼り付けた。加圧後、JISZ-0237に準じて上記試験片を23℃及び50%RHの条件下で1時間放置した後、23℃及び50%RHの雰囲気下で引張試験機を用いて引き剥がすことで、ステンレス(SUS)板に対する接着テープの180°ピール接着力(剥離方向:180°、引張速度:0.3m/min)を測定した。
【0153】
上記で得た粘着剤組成物(1)~(35)の組成及び評価結果を表1~表3に示す。なお表中、各略号は、それぞれ以下の化合物を表す。
<ポリエーテルポリオール>
・「PPD-1」:バイオマスポリ(1,3-プロパンジオール)(数平均分子量;1000、水酸基価;105.2mgKOH/g)
・「PPD-2」:バイオマスポリ(1,3-プロパンジオール)(数平均分子量;2000、水酸基価;55.1mgKOH/g)
<多官能ポリオール>
「TG-330」:ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル(「ユニオール TG-330」、日油社製、数平均分子量;330、水酸基価;502mgKOH/g)
「TMP」:トリメチロールプロパン
<ポリイソシアネート>
「HDI」:ヘキサメチレンジイソシアネート
「TDI」:トリレンジイソシアネート
「MDI」:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
「T1890/100」:イソホロンジイソシアネートのイソシアネートを3つ以上有するイソシアヌレート体(「VESTANAT T1890/100」、Evonik社製、NCO%;17.1質量%)
<鎖伸長剤>
「14BG」:1,4-ブチレングリコール<架橋剤>
「D-100K」:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(「FINETACK HARDENER D-100K」、DIC株式会社製、NCO%;21.8質量%)
「D-40」:トリレンジイソシアネートのアダクト体(「バーノックD-40」、DIC株式会社製、NCO%;7.1質量%)
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
上記の評価結果から、実施例の粘着テープは、粘着剤層が、バイオマスポリエーテルポリオールに由来する構造単位及び芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を少なくとも含むウレタン樹脂(A)と、架橋剤(B)との反応物で構成され、更に上記粘着剤層が特定の物性を満たすことにより、高いバイオマス度と高い接着力との両立が可能であることが明らかになった。
【0158】
一方、比較例の粘着テープは、ウレタン樹脂(A)が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を含まない場合では、ゲル分率や応力-歪み曲線における粘着剤層の歪み量が100%のときの応力が条件を満たしていても、接着力が低いことが示された。また、ウレタン樹脂(A)が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造単位を含む場合でも、ゲル分率や応力-歪み曲線における粘着剤層の歪み量が100%のときの応力が条件を満たさなければ、接着力が低いことが示された。