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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109551
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】ミキサ
(51)【国際特許分類】
   H03D 7/00 20060101AFI20230801BHJP
   H03D 7/10 20060101ALI20230801BHJP
   H03D 7/14 20060101ALI20230801BHJP
   H04B 1/26 20060101ALI20230801BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H03D7/00 D
H03D7/00 E
H03D7/10
H03D7/14 C
H04B1/26 B
H04B1/26 D
H04B1/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011118
(22)【出願日】2022-01-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年12月18日 2021年度 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ 回路とシステム研究会 学生・若手研究会(ICD CAS)オンライン議事録 令和3年12月20日 2021年度 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ 回路とシステム研究会 学生・若手研究会(ICD CAS)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発「集積電子デバイスによる大容量映像の非圧縮低電力無線伝送技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(72)【発明者】
【氏名】藤島 実
【テーマコード(参考)】
5K020
5K060
【Fターム(参考)】
5K020AA08
5K020BB06
5K020FF12
5K020FF16
5K020MM12
5K020MM13
5K060BB08
5K060DD04
5K060EE05
5K060HH16
5K060JJ03
5K060JJ04
5K060JJ08
(57)【要約】
【課題】300GHzシリコンCMOSトランシーバに好適な雑音指数が小さいミキサを提供する。
【解決手段】トランジスタ11,12,13,14を備え、トランジスタ11,12,13,14のソースにRF信号が接続され、トランジスタ11,12,13,14のゲートにLO信号が接続され、トランジスタ11,12,13,14のドレインにIF信号が接続されたミキサ100であって、トランジスタ11,12,13,14のゲートに、RF信号の所望周波数帯に共振してRF信号を遮断する共振器21,22,23,24が付加されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを備え、前記トランジスタのソースにRF信号が接続され、前記トランジスタのゲートにLO信号が接続され、前記トランジスタのドレインにIF信号が接続されたミキサであって、
前記トランジスタのゲートに、前記RF信号の所望周波数帯に共振して前記RF信号を遮断する共振器が付加されている
ことを特徴とするミキサ。
【請求項2】
前記共振器が、インダクタンス素子とキャパシタンス素子が直列接続されてなり前記LO信号の周波数帯に共振する直列LC共振回路に、さらにキャパシタンス素子が並列接続されてなり前記RF信号の所望周波数帯に共振する直並列LC共振回路であり、
前記直並列LC共振回路の第1端が前記トランジスタのゲートに接続され、第2端に前記LO信号が接続されている、請求項1に記載のミキサ。
【請求項3】
前記トランジスタを2個備え、前記トランジスタのソースに差動のRF信号が接続され、前記トランジスタのドレインに差動のIF信号が接続されており、
前記共振器が、インダクタンス素子とキャパシタンス素子が並列接続されてなり前記RF信号の所望周波数帯に共振する並列LC共振回路であり、
前記並列LC共振回路の第1端が一の前記トランジスタのゲートに接続され、第2端が他の前記トランジスタのゲートに接続され、前記インダクタンス素子の中性点に前記LO信号が接続されている、請求項1に記載のミキサ。
【請求項4】
前記トランジスタのバックゲートに負バイアスが印加される、請求項1ないし3のいずれかに記載のミキサ。
【請求項5】
前記トランジスタが線形領域で動作するトランジスタである、請求項1ないし4のいずれかに記載のミキサ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のミキサが初段に配置されたテラヘルツ帯シリコンCMOS受信機。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のミキサが最終段に配置されたテラヘルツ帯シリコンCMOS送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサ(mixer)に関し、特に、300GHz帯シリコンCMOSトランシーバに好適なミキサに関する。
【背景技術】
【0002】
第6世代移動通信システム(6G)では、300GHz帯を使用して100Gb/s以上のデータレートを実現することを目指している。一般的に受信機は、初段の低雑音増幅器でアンテナの受信電波(RF信号)を増幅し、後段のミキサで局部発振周波数信号(LO信号)とミキシングして中間周波数信号(IF信号)生成するように構成されるが、300GHz帯シリコンCMOS受信機では初段に低雑音増幅器が使えないため初段にミキサを配置するミキサファーストの構成にされる。300GHz帯シリコンCMOS送信機では最終段に電力増幅器が使えないため最終段にミキサを配置するミキサラストの構成にされる。300GHz帯シリコンCMOSトランシーバ用のミキサとして、図8に示したような4個のトランジスタ11,12,13,14で構成され、RF信号、LO信号、IF信号がすべて差動信号であるようなダブルバランスミキサがよく用いられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-195057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信機の重要な性能指標の一つに、入力での所望信号電力と雑音信号電力の比(S/N比)が出力でどれだけ悪化したかを表す雑音指数(NF)がある。フリスの式から、多段回路のNFは最初の数段が支配的となり、初段回路のNFと利得の影響を最も受ける。特に初段ミキサが線形領域で動作するトランジスタで構成された時変抵抗ミキサ(以下、TVRミキサという。)である場合、当該ミキサのNFは入力信号の有能電力Sinと出力信号の有能電力Soutの比Sin/Soutで表される変換損失と等しくなる。したがって、300GHz帯シリコンCMOS受信機のNFを向上させるには初段ミキサのNFをいかに小さくするかが鍵となる。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明は、雑音指数の小さいミキサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るミキサは、トランジスタを備え、前記トランジスタのソースにRF信号が接続され、前記トランジスタのゲートにLO信号が接続され、前記トランジスタのドレインにIF信号が接続されたミキサであって、前記トランジスタのゲートに、前記RF信号の所望周波数帯に共振して前記RF信号を遮断する共振器が付加されているものである。
【0007】
一例として、前記共振器が、インダクタンス素子とキャパシタンス素子が直列接続されてなり前記LO信号の周波数帯に共振する直列LC共振回路に、さらにキャパシタンス素子が並列接続されてなり前記RF信号の所望周波数帯に共振する直並列LC共振回路であり、前記直並列LC共振回路の第1端が前記トランジスタのゲートに接続され、第2端に前記LO信号が接続されている。
【0008】
別例として、前記トランジスタが2個あり、前記トランジスタのソースに差動のRF信号が接続され、前記トランジスタのドレインに差動のIF信号が接続されており、前記共振器が、インダクタンス素子とキャパシタンス素子が並列接続されてなり前記RF信号の所望周波数帯に共振する並列LC共振回路であり、前記並列LC共振回路の第1端が一の前記トランジスタのゲートに接続され、第2端が他の前記トランジスタのゲートに接続され、前記インダクタンス素子の中性点に前記LO信号が接続されている。
【0009】
好ましくは、前記トランジスタのバックゲートに負バイアスが印加されているものとする。また、好ましくは、前記トランジスタが線形領域で動作するトランジスタであるものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ミキサにおいてトランジスタのゲートに付加した共振器によりトランジスタのゲート酸化膜容量を通じたRF信号の漏れが抑制され、これによりミキサの変換損失が小さくなり雑音指数が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るミキサの回路図である。
図2】ミキサを構成するトランジスタのゲートに共振器を付加することによる効果を説明する図である。
図3】ミキサを構成するトランジスタのバックゲートに負バイアスを印加することによる効果を説明する図である。
図4】各種構成のミキサの変換損失および雑音指数を比較したグラフである。
図5】本発明の第2の実施形態に係るミキサの回路図である。
図6】変形例に係るミキサの回路図である。
図7】別の変形例に係るミキサの回路図である。
図8】一般的なミキサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。また、図面に描かれた各部材の寸法、細部の詳細形状などは実際のものとは異なることがある。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るミキサの回路図である。本実施形態に係るミキサ100は、トランジスタ11,12,13,14と、これらトランジスタのゲートに付加された共振器21,22,23,24とを備え、差動のRF信号を差動のLO信号でダウンコンバートして差動のIF信号を生成する、あるいは差動のIF信号を差動のLO信号でアップコンバートして差動のRF信号を生成するダブルバランスミキサである。例えば、本実施形態に係るミキサ100は、300GHzから3000GHz程度のテラヘルツ帯、一例として300GHz帯シリコンCMOS受信機の初段ミキサ、あるいは300GHz帯シリコン送信機の最終段ミキサとして用いることができる。
【0014】
トランジスタ11のソースとトランジスタ12のソースは互いに接続されて共通化されており、この共通ソースに差動のRF信号のうちの正相信号が接続される。トランジスタ13のソースとトランジスタ14のソースは互いに接続されて共通化されており、この共通ソースに差動のRF信号のうちの逆相信号が接続される。
【0015】
トランジスタ11のゲートに共振器21の一端が接続されており、共振器21の他端に差動のLO信号のうちの正相信号が接続される。トランジスタ12のゲートに共振器22の一端が接続されており、共振器22の他端に差動のLO信号のうちの逆相信号が接続される。トランジスタ13のゲートに共振器23の一端が接続されており、共振器23の他端に差動のLO信号のうちの逆相信号が接続される。トランジスタ14のゲートに共振器24の一端が接続されており、共振器24の他端に差動のLO信号のうちの正相信号が接続される。
【0016】
トランジスタ11のドレインとトランジスタ13のドレインは互いに接続されて共通化されており、この共通ドレインに差動のIF信号の正相信号が接続される。トランジスタ12のドレインとトランジスタ14のドレインは互いに接続されて共通化されており、この共通ドレインに差動のIF信号の逆相信号が接続される。
【0017】
トランジスタ11,12,13,14はいずれも線形領域で動作するトランジスタである。このようなトランジスタは線形抵抗のような振る舞いをし、増幅機能は持たない。また、主な雑音は熱雑音とフリッカ雑音である。このようにミキサ100はTVRミキサである。また、トランジスタ11,12,13,14のバックゲートにはグランド電位ではなく負バイアス(例えば、?1V)が印加されている。
【0018】
共振器21,22,23,24はいずれも同じ回路構成をしている。代表的に共振器21の構成を説明する。共振器21は、インダクタンス素子31とキャパシタンス素子32が直列接続されてなる直列LC共振回路に、さらにキャパシタンス素子33が並列接続されてなる直並列LC共振回路である。ここで、インダクタンス素子31とキャパシタンス素子32からなる直列LC共振回路はLO信号の周波数帯(一例として225GHz)に共振するようにパラメータ調整されている。そして、この直並列LC共振回路にキャパシタンス素子33が並列接続された直並列LC共振回路はRF信号の所望周波数帯(一例として285GHz)に共振するようにパラメータ調整されている。すなわち、共振器21は全体としてLO信号の周波数帯225GHzは通過するがRF信号の所望周波数帯285GHzは遮断するようになっている。
【0019】
ミキサ、特にTVRミキサではRF信号がトランジスタのゲートやバックゲートに漏れることが変換損失増大の一因である。しかし、本実施形態に係るミキサ100は上記構成によりRF信号の漏れを抑制して変換損失を小さく保っている。以下、上記構成による変換損失低減の効果について説明する。
【0020】
図2はミキサを構成するトランジスタのゲートに共振器を付加することによる効果を説明する図である。左側図に例示したようにトランジスタのゲートに共振器が接続されていない場合、RF信号の一部がトランジスタのゲート酸化膜容量を通じてチャネルからゲートへと漏れ変換損失が増大する。一方、右側図に例示したようにトランジスタ(代表的にトランジスタ11)のゲートに共振器(代表的に共振器21)が接続されていると、LO信号の周波数帯は共振器21を通過してトランジスタ11のゲートにLO信号が印加されるがRF信号の所望周波数帯は遮断されてゲート酸化膜容量へのRF信号の漏れが抑制される。これにより変換損失を小さくすることができる。
【0021】
図3はミキサを構成するトランジスタのバックゲートに負バイアスを印加することによる効果を説明する図である。左側図に例示したようにトランジスタのバックゲートをグランド電位(0V)にしているとRF信号の一部がトランジスタの空乏層容量を通じてバックゲートへと漏れ変換損失が増大する。一方、右側図に例示したようにトランジスタ(代表的にトランジスタ11)のバックゲートに負バイアス(-1V)を印加するとトランジスタ11の空乏領域が増加してバックゲートへのRF信号の漏れが抑制される。これにより変換損失を小さくすることができる。
【0022】
図4は各種構成のミキサの変換損失および雑音指数を比較したグラフである。グラフの横軸はRF周波数、縦軸は変換損失および雑音指数である。各種構成のミキサとは、図8に示した一般的なミキサ(以下、従来ミキサという)、従来ミキサにおいてトランジスタのゲートに共振器を付加しただけのミキサ(以下、共振器付加ミキサという)、従来ミキサにおいてトランジスタのバックゲートに負バイアスを印加しただけのミキサ(以下、負バイアスミキサという)、本実施形態に係るミキサ100、すなわち、トランジスタのゲートに共振器を付加するとともにバックゲートに負バイアスを印加したミキサをいう。いずれの構成も40nmプロセスCMOS集積回路を用いており、LO周波数は225GHz、RFパワーは-40dBm、LOパワーは3dBmとしている。なお、RF信号、LO信号、IF信号の各ポートには、所望RF周波数を285GHzとして最適化チューニングされた整合回路が接続されているものとする。
【0023】
図4のグラフからわかるように、所望RF周波数285GHzにおいて、従来ミキサに対して共振器付加ミキサは0.56db、負バイアスミキサは0.63dbだけNFが改善している。本実施形態に係るミキサ100だと従来ミキサに対してNFが1.36dBも改善される。
【0024】
(第2の実施形態)
図8の一般的なミキサには、トランジスタ11のゲートからトランジスタ14のゲートへと通じるパス、およびトランジスタ12のゲートからトランジスタ13のゲートへと通じるパスが存在する。RF信号が各トランジスタのゲート酸化膜容量を通じてLO側に漏れると、これらパスを通じてRF信号の正相信号と逆相信号が短絡され、このことが変換損失を増大させる一因になると考えられる。そこで、RF信号の正相信号と逆相信号が短絡されないようにこれらパスの途中に共振器を付加してもよい。
【0025】
図5は本発明の第2の実施形態に係るミキサの回路図である。変実施形態に係るミキサ200は、図1のミキサ100の共振器21,22,23,24に替えて共振器25,26を備えたものである。以下、ミキサ100と同じ構成については説明を省略する。
【0026】
共振器25,26はいずれも同じ回路構成をしている。代表的に共振器25の構成を説明する。共振器25は、インダクタンス素子34とキャパシタンス素子35が並列接続されてなる並列LC共振回路である。この並列LC共振回路はRF信号の所望周波数帯(一例として285GHz)に共振するようにパラメータ調整されている。すなわち、共振器25はRF信号の所望周波数帯を遮断するようになっている。
【0027】
トランジスタ11のゲートに共振器25の一端が接続され、トランジスタ14のゲートに共振器25の他端が接続され、共振器25を構成するインダクタンス素子34の中性点に差動のLO信号のうちの正相信号が接続される。トランジスタ12のゲートに共振器26の一端が接続され、トランジスタ13のゲートに共振器26の他端が接続され、共振器26を構成するインダクタンス素子34の中性点に差動のLO信号のうちの逆相信号が接続される。このように、インダクタンス素子34の中性点にLO信号を接続することにより、LO信号は共振器25,26に遮断されることなくトランジスタ11,12,13,14のゲートに入力される。
【0028】
このような本実施形態に係るミキサ200も図1のミキサ100と同様に従来ミキサに比べてNF改善効果がある。
【0029】
(変形例)
図1のミキサ100においてRF信号、LO信号、およびIF信号をすべてシングル構成にしてもよい。その場合、図5に示したような1個のトランジスタ11と1個の共振器21を備えたミキサ300に変形できる。
【0030】
同様に、図5のミキサ200においてLO信号をシングル構成にしてもよい。その場合、図6に示したような2個のトランジスタ11,14と1個の共振器25を備えたミキサ400に変形できる。
【0031】
その他の変形例として、ミキサ100,200,300,400のトランジスタ11,12,13,14のバックゲートに負バイアスを印加せずにゲートに共振器21,22,23,24,25,26を付加するだけの共振器付加ミキサに変形してもよい。逆に、ミキサ100,200,300,400から共振器21,22,23,24,25,26を省略してトランジスタ11,12,13,14のバックゲートに負バイアスを印加するだけの負バイアスミキサに変形してもよい。共振器付加ミキサおよび負バイアスミキサのいずれも従来ミキサに比べてNF改善効果がある。
【0032】
トランジスタ11,12,13,14は線形領域で動作するものではなく飽和領域で動作するものであってもよい。そのようなトランジスタは制御電流源として動作するためTVRミキサと比べてトランジスタのゲートやバックゲートへのRF信号の漏れ抑制による変換損失低減の効果は小さいが一定程度のNF改善効果がある。
【0033】
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るミキサは雑音指数に優れるため、300GHzから3000GHz程度のテラヘルツ帯シリコンCMOS受信機の初段ミキサやテラヘルツ帯シリコンCMOS送信機の最終段ミキサとして利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
100,200,300,400 ミキサ
11,12,13,14 トランジスタ
21,22,23,24,25,26 共振器
31,34 インダクタンス素子
32,33,35 キャパシタンス素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8