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特開2023-109582媒体処理装置、画像形成システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109582
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】媒体処理装置、画像形成システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20230801BHJP
   B42B 5/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011165
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】亀山 琴美
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB10
3F108HA02
3F108HA43
(57)【要約】
【課題】加水してから圧着綴じする処理の生産性を向上させた媒体処理装置を提供する。
【解決手段】後処理装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された複数の媒体を支持可能なトレイと、搬送方向に直交する前記媒体の幅方向の異なる位置において、トレイに支持された少なくとも1枚の媒体に加水する複数の加水処理部(31、61)と、複数の加水処理部(31、61)の少なくとも1つによって加水された複数の媒体を加圧変形させて圧着綴じする圧着綴じ処理部(32)とを備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、
前記搬送方向に直交する前記媒体の幅方向の異なる位置において、前記トレイに支持された少なくとも1枚の前記媒体に加水する複数の加水処理部と、
複数の前記加水処理部の少なくとも1つによって加水された複数の前記媒体を加圧変形させて圧着綴じする圧着綴じ処理部とを備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
複数の前記加水処理部は、少なくとも第1加水処理部及び第2加水処理部を含み、
前記圧着綴じ処理部及び前記第1加水処理部が一体化された第1綴じ処理部と、
複数の前記媒体に針を貫通させて綴じる針綴じ処理部及び前記第2加水処理部が一体化された第2綴じ処理部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記第1綴じ処理部を前記幅方向に移動させる第1移動機構と、
前記第1綴じ処理部と独立して、前記第2綴じ処理部を前記幅方向に移動させる第2移動機構とを備えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1綴じ処理部及び前記第2綴じ処理部は、前記幅方向に延設された共通の案内軸に沿って、前記幅方向に移動することを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記第1綴じ処理部及び前記第2綴じ処理部を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、一箇所の綴じ位置で複数の前記媒体を圧着綴じする場合に、
前記搬送部によって前記トレイに搬送された少なくとも1枚の前記媒体の前記綴じ位置に対して、前記第1加水処理部に加水させ、
予め定められたN枚の前記媒体が前記トレイに支持されたことに応じて、前記圧着綴じ処理部に前記綴じ位置を圧着綴じさせ、
前記第1綴じ処理部によって加水及び圧着綴じが実行されている間、前記トレイに支持された前記媒体から前記幅方向に外れた待機位置に前記第2綴じ処理部を待機させることを特徴とする請求項3または4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記第1綴じ処理部及び前記第2綴じ処理部を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記幅方向に離間した第1綴じ位置及び第2綴じ位置を少なくとも含む複数の綴じ位置で複数の前記媒体を圧着綴じする場合に、
前記搬送部によって前記トレイに搬送された少なくとも1枚の前記媒体の、前記第1綴じ位置に対して前記第1加水処理部に加水させ、前記第2綴じ位置に対して前記第2加水処理部に加水させ、
予め定められたN枚の前記媒体が前記トレイに支持されたことに応じて、前記第1綴じ位置及び前記第2綴じ位置で前記圧着綴じ処理部に圧着綴じさせることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1綴じ位置、前記第2綴じ位置の順に、前記圧着綴じ処理部に圧着綴じさせることを特徴とする請求項6に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1綴じ位置から前記第2綴じ位置に前記第1綴じ処理部を移動させるのと並行して、前記第2綴じ位置から前記トレイに支持された前記媒体から前記幅方向に外れた待機位置に前記第2綴じ処理部を移動させることを特徴とする請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記第1綴じ処理部及び前記第2綴じ処理部を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記幅方向に離間した第1綴じ位置、第2綴じ位置、及び第3綴じ位置を少なくとも含む複数の綴じ位置で複数の前記媒体を圧着綴じする場合に、
前記搬送部によって前記トレイに搬送された少なくとも1枚の前記媒体の、前記第1綴じ位置に対して前記第1加水処理部に加水させ、前記第2綴じ位置及び前記第3綴じ位置に対して前記第2加水処理部に加水させ、
予め定められたN枚の前記媒体が前記トレイに支持されたことに応じて、前記第1綴じ位置、前記第2綴じ位置、及び前記第3綴じ位置で前記圧着綴じ処理部に圧着綴じさせることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記コントローラは、N枚目の前記媒体に対して、
前記第1綴じ位置に対して前記第1加水処理部に加水させるのと並行して、前記第2綴じ位置に対して前記第2加水処理部に加水させ、
前記第1綴じ位置で前記圧着綴じ処理部に圧着綴じさせるのと並行して、前記第3綴じ位置に対して前記第2加水処理部に加水させることを特徴とする請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1綴じ位置から前記第3綴じ位置に前記第1綴じ処理部を移動させるのと並行して、前記第2綴じ位置から前記トレイに支持された前記媒体から前記幅方向に外れた待機位置に前記第2綴じ処理部を移動させることを特徴とする請求項10に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記コントローラは、n(n<N)枚に1枚の間隔で、前記第1加水処理部及び前記第2加水処理部に加水させることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記コントローラは、複数の前記媒体を圧着綴じする位置及び数を切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項3乃至12のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
複数の前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を圧着綴じする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の媒体処理装置とを備える画像形成システム。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項の記載の媒体処理装置に実行されることによって、前記搬送部、複数の前記加水処理部、及び圧着綴じ処理部を動作させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、画像形成システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。また、媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針(ステープル針)を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着処理部を備えるものがある。
【0003】
圧着綴じには、用紙束を構成する用紙の枚数が多いほど用紙束に綴じ歯が食い込みにくくなって、綴じた用紙が剥がれ落ちるなど、綴じ状態を適切に維持することに困難さがあるという課題がある。そこで、圧着綴じを行う媒体処理装置には、綴じ強度を上げる目的で、用紙上において綴じ歯が接触する位置(以下、「綴じ位置」と表記する。)に予め加水して、綴じ歯が用紙束に食い込み易くするための加水処理部を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体処理装置は、幅方向に離間した用紙束の複数の綴じ位置で圧着綴じすることができる。複数の綴じ位置で圧着綴じする場合、加水処理部は、用紙が搬送されてくる度に、幅方向に移動して複数の綴じ位置それぞれに加水を行う必要がある。そのため、綴じ位置が増えるほど、圧着綴じの生産性が低下するという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、用紙束を構成する複数の用紙それぞれに加水してから圧着綴じする媒体処理装置において、圧着綴じの生産性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された複数の前記媒体を支持可能なトレイと、前記搬送方向に直交する前記媒体の幅方向の異なる位置において、前記トレイに支持された少なくとも1枚の前記媒体に加水する複数の加水処理部と、複数の前記加水処理部の少なくとも1つによって加水された複数の前記媒体を加圧変形させて圧着綴じする圧着綴じ処理部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙束を構成する複数の用紙それぞれに加水してから圧着綴じする媒体処理装置において、圧着綴じの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成システムの全体構成を示す図。
図2】後処理装置の内部構造を示す図。
図3】第1綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
図4】圧着綴じ処理部の構成を示す模式図。
図5】第2綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
図6】後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
図7】一箇所の綴じ位置で用紙束を圧着綴じするステープル処理のフローチャート。
図8図7のステープル処理中における綴じ処理部の位置を示す図。
図9】主走査方向に離間した第1綴じ位置及び第2綴じ位置で用紙束を圧着綴じするステープル処理のフローチャート。
図10図9のステープル処理中における綴じ処理部の位置を示す図。
図11】主走査方向に離間した第1綴じ位置、第2綴じ位置、第3綴じ位置で用紙束を圧着綴じするステープル処理のフローチャート。
図12図11のステープル処理中における綴じ処理部の位置を示す図。
図13】ステープル針を用いたステープル処理中における綴じ処理部の位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙P(媒体)に画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0010】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを主に備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束(以下、「用紙束」と表記する。)を、綴じるステープル処理である。より詳細には、本実施形態に係るステープル処理は、綴じ位置で用紙束を加圧変形させる所謂「圧着綴じ」と、ステープル針で用紙束を綴じる「針綴じ」とを含む。また、圧着綴じは、用紙束の端を綴じる端綴じ処理と、用紙束の中央を綴じる中綴じ処理と含む。
【0012】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第1搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第2搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第3搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0013】
第1搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第2搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を経由して排出トレイ26に至る経路である。第3搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0014】
切替爪20は、第1搬送路Ph1及び第2搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第1搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第1位置と、第1搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第2搬送路Ph2に導く第2位置とに切り替え可能に構成されている。また、第2搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第3搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、搬送時に用紙Pの位置を検知するセンサは、図2において、黒色で塗りつぶされた三角形(▲)で示している。
【0015】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第1搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを支持する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、ステープル処理が施されない用紙Pが排出される。
【0016】
また、後処理装置3は、内部トレイ22(トレイ)と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、第1綴じ処理部25及び第2綴じ処理部55(以下、これらを総称して、「綴じ処理部25、55」と表記することがある。)と、排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、及び綴じ処理部25、55は、第2搬送路Ph2を搬送される用紙Pに端綴じ処理を施す。排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束が排出される。以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かう方向を、「用紙Pの搬送方向」と定義する。また、用紙Pの表面及び用紙Pの搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0017】
内部トレイ22は、第2搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙Pを一時的に支持する。エンドフェンス23は、内部トレイ22に支持された用紙束の搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える。綴じ処理部25、55は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束の端部を綴じる。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束を排出トレイ26に排出する。
【0018】
図3は、第1綴じ処理部25を搬送方向の上流側から見た模式図である。図3に示すように、第1綴じ処理部25は、第1加水処理部31と、圧着綴じ処理部32とを主に備える。第1加水処理部31及び圧着綴じ処理部32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0019】
第1加水処理部31は、貯水タンク43に貯留された液体(例えば、水)を、内部トレイ22に支持された用紙Pに塗布(以下、「加水」と表記する。)する。第1加水処理部31によって用紙Pに加水が行われる位置(加水位置)は、圧着綴じを行う予定である綴じ位置に対応する。図3に示すように、第1加水処理部31は、下押圧板33と、上押圧板34と、昇降機構35と、加水機構36とを主に備える。
【0020】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22よりも搬送方向の下流側に配置されている。下押圧板33は、内部トレイ22に支持された用紙束を下側から支持する。上押圧板34は、内部トレイ22に支持された用紙束の上方において、昇降可能に構成されている。すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に支持された用紙束を挟んで、用紙束の厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に支持された加水部材44の先端に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。
【0021】
昇降機構35は、上押圧板34、ベースプレート40、及び加水部材44を用紙束の厚み方向に昇降させる。本実施形態に係る昇降機構35は、単一の昇降モータ37によって、上押圧板34、ベースプレート40、及び加水部材44を連動して昇降させる。昇降機構35は、例えば、昇降モータ37と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを主に備える。
【0022】
昇降モータ37は、上押圧板34、ベースプレート40、及び加水部材44を昇降させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、上下方向に延設されると共に、加水フレームに回転可能に支持されている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して昇降モータ37の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、昇降モータ37の駆動力が伝達されて台形ネジ38が回転することによってナット39が昇降する。
【0023】
ベースプレート40は、内部トレイ22に支持された用紙束と平行な平板である。また、ベースプレート40は、上押圧板34より上方に配置されている。また、ベースプレート40は、加水部材44の先端を下方に突出させた状態で、加水部材44を支持している。さらに、ベースプレート40は、台形ネジ38に接続されて、台形ネジ38と共に昇降可能に構成されている。そして、ベースプレート40の上下方向の位置は、昇降センサによって検知される。
【0024】
柱状部材41a、41bは、加水部材44の先端の周囲において、ベースプレート40から下方に突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下端で上押圧板34を支持している。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下方に付勢する。
【0025】
加水機構36は、内部トレイ22に支持された用紙束に加水する。より詳細には、加水機構36は、加水部材44の先端を用紙束に接触させることによって、用紙束を構成する少なくとも1枚の用紙に加水する。加水機構36は、貯水タンク43と、加水部材44と、供給部材45と、ジョイント46とを主に備える。
【0026】
貯水タンク43は、用紙束に供給するための水を貯留する。貯水タンク43に貯留された水の量は、水量センサによって検知される。加水部材44は、貯水タンク43に貯水された水を用紙束に供給する。加水部材44は、先端を下方に向けてベースプレート40に支持されている。また、加水部材44は、吸水率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0027】
供給部材45は、基端が貯水タンク43に貯留された水に浸漬され、先端が加水部材44に接続された長尺の部材である。また、供給部材45は、例えば、加水部材44と同様に、吸水率の高い材料で構成されている。これにより、供給部材45の基端から吸収された水が、毛細管現象によって加水部材44に供給される。
【0028】
保護部材45aは、供給部材45に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、供給部材45が吸収した水が漏れ出したり、蒸発するのを防止できる。また、供給部材45及び保護部材45aは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント46は、加水部材44をベースプレート40に固定するものである。これにより、加水部材44は、昇降機構35によって昇降されても、ベースプレート40から下方に突出すると共に、先端が下方を向いた状態が維持される。
【0029】
圧着綴じ処理部32は、凹凸状の綴じ歯32a、32bで用紙束を加圧変形させることによって、用紙束を綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。すなわち、圧着綴じ処理部32は、ステープル針を用いずに、用紙束を綴じることができる。
【0030】
図4は、圧着綴じ処理部32の構成を示す模式図である。図4に示すように、圧着綴じ処理部32は、一対の綴じ歯32a、32bを備える。一対の綴じ歯32a、32bは、内部トレイ22に支持された用紙束を挟むことができるように、用紙束の厚み方向に対向して配置されている。一対の綴じ歯32a、32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、一対の綴じ歯32a、32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、一対の綴じ歯32a、32bは、接離モータの駆動力によって接離する。
【0031】
用紙束を構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、図4(A)に示すように、一対の綴じ歯32a、32bは互いに離間している。そして、用紙束を構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に支持されると、図4(B)に示すように、一対の綴じ歯32a、32bが噛み合って、用紙束を厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に支持された用紙束が圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束は、搬送ローラ対15によって、排出トレイ26に排出される。
【0032】
また、図3に示すように、第1綴じ処理部25は、第1移動機構47を備える。第1移動機構47は、内部トレイ22に支持された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、第1綴じ処理部25(すなわち、第1加水処理部31及び圧着綴じ処理部32)を主走査方向に移動させる。第1移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、移動モータ50と、駆動力伝達機構51とを主に備える。
【0033】
ベース部材48は、第1加水処理部31及び圧着綴じ処理部32を主走査方向に隣接させた状態で支持する。案内軸49は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に延設されている。また、案内軸49は、ベース部材48を主走査方向に移動可能に支持している。移動モータ50は、第1綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構51は、移動モータ50の駆動力を、プーリやタイミングベルトを介してベース部材48に伝達する。
【0034】
これにより、ベース部材48によって一体化された第1加水処理部31及び圧着綴じ処理部32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。第1綴じ処理部25の位置は、例えば、移動モータ50の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサによって把握することができる。
【0035】
図5は、第2綴じ処理部55を搬送方向の上流側から見た模式図である。図5に示すように、第2綴じ処理部55は、第2加水処理部61と、針綴じ処理部62とを主に備える。第2加水処理部61及び針綴じ処理部62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0036】
第2加水処理部61は、貯水タンク73に貯留された液体(例えば、水)を、内部トレイ22に支持された用紙Pに塗布(以下、「加水」と表記する。)する。第2加水処理部61によって用紙Pに加水が行われる位置(加水位置)は、圧着綴じを行う予定である綴じ位置に対応する。図5に示すように、第2加水処理部61は、下押圧板63と、上押圧板64と、昇降機構65と、加水機構66とを主に備える。昇降機構65は、例えば、昇降モータ67と、台形ネジ68と、ナット69と、ベースプレート70と、柱状部材71a、71bと、コイルバネ72a、72bとを主に備える。加水機構66は、貯水タンク73と、加水部材74と、供給部材75と、ジョイント76とを主に備える。第2加水処理部61の構成は、第1加水処理部31と共通するので、再度の説明は省略する。
【0037】
針綴じ処理部62は、ステープル針を用いて用紙束を綴じる(以下、「針綴じ」と表記する。)。より詳細には、針綴じ処理部62は、針綴じ部62aに装填されたステープル針を、用紙束に貫通させることによって、用紙束を綴じる。針綴じ処理部62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0038】
また、図5に示すように、第2綴じ処理部55は、第2移動機構77を備える。第2移動機構77は、内部トレイ22に支持された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、第2綴じ処理部55(すなわち、第2加水処理部61及び針綴じ処理部62)を主走査方向に移動させる。第2移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを主に備える。第2移動機構77の構成は、第1移動機構47と共通するので、再度の説明は省略する。
【0039】
なお、綴じ処理部25、55は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、移動機構47、77は、共通の案内軸49に沿って綴じ処理部25、55を主走査方向に移動させる。さらに、移動機構47、77は、綴じ処理部25、55を独立して移動させる。
【0040】
図8図10図12、及び図13に示すように、第1綴じ処理部25は、第1待機位置HP1と、内部トレイ22に支持された用紙Pに対面し得る位置との間を、主走査方向に移動する。第1待機位置HP1は、内部トレイ22に支持された用紙Pから主走査方向の一方側(右側)に外れた位置である。また、圧着綴じ処理部32は、主走査方向の一方側において、第1加水処理部31に隣接して配置されている。
【0041】
また、図8図10図12、及び図13に示すように、第2綴じ処理部55は、第2待機位置HP2と、内部トレイ22に支持された用紙Pに対面し得る位置との間を、主走査方向に移動する。第2待機位置HP2は、内部トレイ22に支持された用紙Pから主走査方向の他方側(左側)に外れた位置である。また、針綴じ処理部62は、主走査方向の他方側において、第2加水処理部61に隣接して配置されている。
【0042】
図2に戻って、後処理装置3は、エンドフェンス27と、第3綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とをさらに備える。エンドフェンス27、第3綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第3搬送路Ph3を搬送される用紙Pに中綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束が排出される。
【0043】
エンドフェンス27は、第3搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束の中央を、第3綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。第3綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束の中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に支持された用紙束を半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束を排出トレイ30に排出する。
【0044】
図6は、後処理装置3の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。図6に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0045】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0046】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0047】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、綴じ処理部25、55、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、及び綴じ処理部25、55を動作させる。なお、図6には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0048】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0049】
コントローラ100は、例えば、画像形成装置2からステープル処理の実行指示(以下、「ステープル指示」と表記する。)を取得したことに応じて、ステープル処理を実行する。ステープル指示は、例えば、用紙束を構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ位置の数及び主走査方向の位置とを含む。
【0050】
そして、コントローラ100は、ステープル指示に含まれる綴じ位置の数に応じて、図7図9、及び図11に示すステープル処理を実行する。すなわち、コントローラ100は、用紙束を圧着綴じする位置及び数を切り替え可能に構成されている。
【0051】
図7は、一箇所の綴じ位置P1で用紙束を圧着綴じするステープル処理のフローチャートである。図8は、図7のステープル処理中における綴じ処理部25、55の位置を示す図である。なお、ステープル処理の開始時点において、第1綴じ処理部25は第1待機位置HP1に位置し、第2綴じ処理部55は第2待機位置HP2に位置しているものとする。
【0052】
まず、コントローラ100は、図8(A)に示すように、移動モータ50を駆動して、第1加水処理部31が綴じ位置P1に対面するように、第1綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S701)。一方、コントローラ100は、第2綴じ処理部55を第2待機位置HP2に待機させる。
【0053】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S702)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)。
【0054】
次に、コントローラ100は、直前のステップS702で内部トレイ22に支持された用紙Pの綴じ位置P1に対して、第1加水処理部31に加水させる(S703)。すなわち、コントローラ100は、昇降モータ37を駆動して、内部トレイ22に支持された用紙Pの綴じ位置P1に加水部材44を接触させる。
【0055】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙の数が、ステープル指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S704)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙の数が所定枚数Nに達していないと判定したことに応じて(S704:No)、ステップS702~S703の処理を再び実行する。
【0056】
すなわち、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS702~S703の処理を実行する。但し、用紙束を構成する全ての用紙Pに加水する必要はない。他の例として、コントローラ100は、n(n<N)枚に1枚の間隔で、綴じ位置P1に対して第1加水処理部31に加水させてもよい。
【0057】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて(S704:Yes)、図8(B)に示すように、移動モータ50を駆動して、圧着綴じ処理部32が綴じ位置P1に対面するように、第1綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S705)。
【0058】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束に圧着綴じを施して、排出トレイ26に排出する(S706)。すなわち、コントローラ100は、接離モータを駆動して、内部トレイ22に支持された用紙束の綴じ位置P1を、一対の綴じ歯32a、32bに挟持させる。また、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束を排出トレイ26に排出する。
【0059】
そして、コントローラ100は、図8(C)に示すように、移動モータ50を駆動して、第1綴じ処理部25を第1待機位置HP1に移動させる(S707)。一方、コントローラ100は、第1綴じ処理部25によって用紙束に加水及び圧着綴じが実行されている間(すなわち、S702~S707が実行されている間)、第2綴じ処理部55を第2待機位置HP2に待機させる。
【0060】
図9は、主走査方向に離間した第1綴じ位置P1及び第2綴じ位置P2で用紙束を圧着綴じするステープル処理のフローチャートである。図10は、図9のステープル処理中における綴じ処理部25、55の位置を示す図である。第1綴じ位置P1は、主走査方向の一方側の綴じ位置である。第2綴じ位置P2は、主走査方向の他方側の綴じ位置である。なお、図7及び図8を参照して説明したステープル処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0061】
まず、コントローラ100は、図10(A)に示すように、第1加水処理部31を第1綴じ位置P1に対面させ、第2加水処理部61を第2綴じ位置P2に対面させる(S901)。
【0062】
次に、コントローラ100は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容し、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える(S902)。
【0063】
次に、コントローラ100は、直前のステップS902で内部トレイ22に支持された用紙Pの綴じ位置P1、P2に対して、加水処理部31、61に加水させる(S903)。
【0064】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙の数が所定枚数Nに達していないと判定したことに応じて(S904:No)、ステップS902~S903の処理を再び実行する。
【0065】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて(S904:Yes)、図10(B)に示すように、圧着綴じ処理部32を第1綴じ位置P1に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束の第1綴じ位置P1を、圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる(S905)。
【0066】
次に、コントローラ100は、図10(C)に示すように、圧着綴じ処理部32を第2綴じ位置P2に対面させる。また、コントローラ100は、第2綴じ処理部55を第2待機位置HP2に移動させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束の第2綴じ位置P2を、圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる(S906)。次に、コントローラ100は、圧着綴じされた用紙束を排出トレイ26に排出する。次に、コントローラ100は、図10(D)に示すように、第1綴じ処理部25を第1待機位置HP1に移動させる(S907)。
【0067】
すなわち、コントローラ100は、ステップS905、S906において、第1綴じ位置P1、第2綴じ位置P2の順に、圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる。また、コントローラ100は、ステップS906において、第1綴じ位置P1から第2綴じ位置P2に第1綴じ処理部25を移動させるのと並行して、第2綴じ位置P2から第2待機位置HP2に第2綴じ処理部55を移動させる。
【0068】
図11は、主走査方向に離間した第1綴じ位置P1、第2綴じ位置P2、第3綴じ位置P3で用紙束を圧着綴じするステープル処理のフローチャートである。図12は、図11のステープル処理中における綴じ処理部25、55の位置を示す図である。第3綴じ位置P3は、主走査方向における第1綴じ位置及び第2綴じ位置の間の綴じ位置である。なお、図7図10を参照して説明したステープル処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0069】
まず、コントローラ100は、図12(A)に示すように、第1加水処理部31を第1綴じ位置P1に対面させ、第2加水処理部61を第2綴じ位置P2に対面させる(S1101)。
【0070】
次に、コントローラ100は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容し、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える(S1102)。
【0071】
次に、内部トレイ22に収容された用紙の数が所定枚数Nに達していないと判定したことに応じて(S1103:No)、直前のステップS1102で内部トレイ22に支持された用紙Pの綴じ位置P1、P2、P3に対して、加水処理部31、61に加水させる(S1104)。
【0072】
まず、コントローラ100は、用紙Pの綴じ位置P1、P2に対して、加水処理部31、61に加水させる。次に、コントローラ100は、図12(B)に示すように、第2加水処理部61を第3綴じ位置P3に対面させる。次に、コントローラ100は、用紙Pの第3綴じ位置P3に対して、第2加水処理部61に加水させる。そして、コントローラ100は、ステップS1102以降の処理を再び実行する。
【0073】
なお、コントローラ100は、第2加水処理部61に加水させる順番を用紙P毎に切り替えてもよい。すなわち、コントローラ100は、第2加水処理部61に、奇数枚目の用紙Pに対して第2綴じ位置P2、第3綴じ位置P3の順に加水させ、偶数枚目の用紙Pに対して第3綴じ位置P3、第2綴じ位置P2の順に加水させてもよい。
【0074】
また、コントローラ100は、第2加水処理部61に加水させる位置を用紙P毎に切り替えてもよい。すなわち、コントローラ100は、第2加水処理部61に、奇数枚目の用紙Pに対して第2綴じ位置P2のみに加水させ、偶数枚目の用紙Pに対して第3綴じ位置P3のみに加水させてもよい。
【0075】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて(S1103:Yes)、内部トレイ22に支持されたN枚目の用紙Pの綴じ位置P1、P2に対して、加水処理部31、61に加水させる(S1105)。
【0076】
次に、コントローラ100は、図12(C)に示すように、圧着綴じ処理部32を第1綴じ位置P1に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束の第1綴じ位置P1を、圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる。また、コントローラ100は、第2加水処理部61を第3綴じ位置P3に対面させ、第3綴じ位置P3に対して第2加水処理部61に加水させる(S1106)。
【0077】
次に、コントローラ100は、図12(D)に示すように、圧着綴じ処理部32を第3綴じ位置P3に対面させ、第3綴じ位置P3を圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる。また、コントローラ100は、第2加水処理部61を第3綴じ位置P3から第2待機位置HP2に移動させる。次に、コントローラ100は、図12(E)に示すように、圧着綴じ処理部32を第2綴じ位置P2に対面させ、第2綴じ位置P2を圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる(S1107)。
【0078】
次に、コントローラ100は、圧着綴じされた用紙束を排出トレイ26に排出する。次に、コントローラ100は、図12(F)に示すように、第1綴じ処理部25を第1待機位置HP1に移動させる(S1108)。
【0079】
すなわち、コントローラ100は、ステップS1106、S1107において、第1綴じ位置P1、第3綴じ位置P3、第2綴じ位置P2の順に、圧着綴じ処理部32に圧着綴じさせる。また、コントローラ100は、ステップS1105において、第1加水処理部31に第1綴じ位置P1に加水させるのと並行して、第2加水処理部61に第2綴じ位置P2に加水させる。また、コントローラ100は、ステップS1106において、圧着綴じ処理部32に第1綴じ位置P1を圧着綴じさせるのと並行して、第3綴じ位置P3に対して第2加水処理部61に加水させる。さらに、コントローラ100は、ステップS1107において、圧着綴じ処理部32を第1綴じ位置P1から第3綴じ位置P3に移動させるのと並行して、第2綴じ処理部55を第3綴じ位置P3から第2待機位置HP2に移動させる。
【0080】
図13は、ステープル針を用いたステープル処理中における綴じ処理部25、55の位置を示す図である。図13では、主走査方向に離間した第1綴じ位置P1及び第2綴じ位置P2を針綴じする例を示す。なお、図7及び図8を参照して説明したステープル処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0081】
まず、コントローラ100は、図13(A)に示すように、針綴じ処理部62を第1綴じ位置P1に対面させる。一方、コントローラ100は、第1綴じ処理部25を第1待機位置HP1に待機させる。次に、コントローラ100は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容し、内部トレイ22に支持された用紙束の主走査方向の位置を揃える。
【0082】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したことに応じて、用紙束の第1綴じ位置P1を針綴じ部62aに針綴じさせる。次に、コントローラ100は、図13(B)に示すように、針綴じ処理部62を第2綴じ位置に対面させる。次に、コントローラ100は、用紙束の第2綴じ位置P2を針綴じ部62aに針綴じさせる。
【0083】
なお、針綴じの順序は、上記の例に限定されず、第2綴じ位置P2、第1綴じ位置P1の順でもよい。また、用紙束の一箇所を針綴じする場合は、図13(B)の処理を省略すればよい。
【0084】
次に、コントローラ100は、針綴じされた用紙束を、排出トレイ26に排出する。次に、コントローラ100は、図13(C)に示すように、第2綴じ処理部55を第2待機位置HP2に移動させる。一方、コントローラ100は、針綴じ処理部62によって用紙束に針綴じが実行されている間、第1綴じ処理部25を第1待機位置HP1に待機させる。
【0085】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0086】
上記の実施形態によれば、複数の加水処理部31、61を備えることによって、図9のステップS903、図11のステップS1104、S1105において、複数の綴じ位置に同時に加水することができる。その結果、単一の加水処理部を備える場合と比較して、後処理装置3の生産性を向上させることができる。なお、後処理装置3は、3つ以上の加水処理部を備えてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態によれば、後処理装置3に従来から搭載されている針綴じ処理部62に第2加水処理部61を併設し、後処理装置3に従来から搭載されている第2移動機構77で第2加水処理部61を移動させ、共通の案内軸49に沿って綴じ処理部25、55を移動させる。このように、既存の構成部品に第2加水処理部61を取り付けることによって、後処理装置3の低コスト化及び小型化を実現できる。但し、第2加水処理部61は、針綴じ処理部62とは独立して移動してもよい。また、綴じ処理部25、55は、異なる案内軸に沿って移動してもよい。
【0088】
また、上記の実施形態によれば、綴じ位置が一箇所の場合のステープル処理において、第2綴じ処理部55を第2待機位置HP2に待機させることによって、後処理装置3の省エネを実現できる。また、第2加水処理部61の使用回数を抑えることによって、長寿命化が実現できる。
【0089】
また、上記の実施形態によれば、図9のステップS905、S906において、第1綴じ位置P1、第2綴じ位置P2の順に圧着綴じすることによって、第1綴じ処理部25の移動時間を短縮することができる。これにより、後処理装置3の生産性がさらに向上する。図11のステップS1106、S1107において、第1綴じ位置P1、第3綴じ位置P3、第2綴じ位置P2の順に圧着綴じすることによっても、同様の作用効果を得ることができる。また、本発明は、綴じ位置が4箇所以上の場合にも適用することができる。
【0090】
また、上記の実施形態によれば、図9のステップS906において、綴じ処理部25、55を並行して移動させることによって、綴じ処理部25、55を順番に移動させる場合と比較して、後処理装置3の生産性がさらに向上する。図11のステップS1106、S1107において、綴じ処理部25、55を並行して移動させることによっても、同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
また、上記の実施形態によれば、内部トレイ22に順番に供給されるN枚の用紙Pのうち、n枚に1枚の間隔で用紙Pに加水することによって、全ての用紙Pに加水する場合と比較して、後処理装置3の生産性がさらに向上する。また、用紙Pの紙厚に応じてnの値を増減させることによって、紙厚に合わせた適切な加水量に調整することができる。さらに、上記の実施形態によれば、綴じ位置の数及び主走査方向の位置を切り替え可能に構成することによって、様々なサイズの用紙Pに対応することができる。
【0092】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0093】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
10~19 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21,26,30 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23,27 :エンドフェンス
24L,24R :サイドフェンス
25 :第1綴じ処理部
28 :第2綴じ処理部
29 :用紙折りブレード
31 :第1加水処理部
32 :圧着綴じ処理部
32a,32b :綴じ歯
33,63 :下押圧板
34,64 :上押圧板
34a,64a :貫通口
35,65 :昇降機構
36,66 :加水機構
37,67 :昇降モータ
38,68 :台形ネジ
39,69 :ナット
40,70 :ベースプレート
41a,41b,71a,71b :柱状部材
42a,42b,72a,72b :コイルバネ
43,73 :貯水タンク
44,74 :加水部材
45,75 :供給部材
45a,75a :保護部材
46,76 :ジョイント
47 :第1移動機構
48,78 :ベース部材
49 :案内軸
50,80 :移動モータ
51,81 :駆動力伝達機構
55 :第2綴じ処理部
61 :第2加水処理部
62 :針綴じ処理部
62a :針綴じ部
77 :第2移動機構
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2015-101009号公報
図1
図2
図3
図4
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図9
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図13