(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109695
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20230801BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230801BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189481
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2022011157
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】福地 健介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA00
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】圧着綴じの生産性を向上させた媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、媒体を搬送する搬送部と、媒体に液体を付与する液体付与部と、液体が付与された媒体を含む複数の媒体を圧着綴じする圧着部と、媒体の幅方向に液体付与部を移動させる移動機構と、これらを制御する制御部とを備えており、液体付与部は、待機位置と、液体付与位置との間を移動可能であり、液体付与部は、複数の前記媒体のうちの1枚が、液体付与部により液体付与される位置に搬送される前に、待機位置から液体付与位置に移動し、複数の前記媒体のうちの1枚目が、液体付与部により液体付与される位置に搬送させると、複数の前記媒体のうちの1枚に液体付与を行い、複数の媒体に対する液体付与が完了するまでは、待機位置に移動せず、複数の媒体に対する液体付与が完了した後に、待機位置に移動する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
少なくとも1枚の前記媒体の液体付与位置に液体付与を行う液体付与部と、
液体を付与された少なくとも1枚の前記媒体を含む複数の前記媒体の、前記液体付与部で液体を付与された少なくとも一部分を加圧変形させて綴じる圧着部と、
前記媒体の幅方向に前記液体付与部を移動させる移動機構と、
前記搬送部、前記液体付与部、前記圧着部、及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記液体付与部は、前記媒体の幅方向において移動を開始する前の待機位置と、前記液体付与位置との間を移動可能であり、
前記液体付与部は、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与位置に搬送される前に、前記待機位置から、前記液体付与位置に移動し、
複数の前記媒体の少なくとも1枚が前記液体付与位置に搬送されると、複数の前記媒体の少なくとも1枚に前記液体付与を行い、
複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了するまでは、前記待機位置に移動せず、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了した後に、前記待機位置に移動することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記圧着部により、予め定められたN枚の前記媒体が綴じられる圧着綴じ位置が、複数である場合において、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を行う第一のモードと、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の一部に前記液体付与を行う第二のモードと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記媒体の吸液性に応じて切り替えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記N枚の枚数に応じて切り替えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
ユーザが入力操作を行う操作部を備え、
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記入力操作に応じて切り替えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、A(A<N)枚に1枚の前記媒体に対して、前記液体付与部に前記液体付与をさせることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記圧着部が、複数の前記圧着綴じ位置に綴じを行う場合において、
前記液体付与部が複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を実行するか否かを、前記媒体の特性によって決定することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
B(B<N)枚目の前記媒体に対して、前記第1圧着綴じ位置、前記第2圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
(B+1)枚目の前記媒体に対して、前記第2圧着綴じ位置、前記第1圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
C(C<N)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(C+1)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
D(D<N-3)枚目及び(D+1)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(D+2)枚目及び(D+3)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記媒体の幅方向に沿って配置される3箇所以上の前記圧着綴じ位置に対して、前記液体付与部に液体を付与させ、前記圧着部に圧着綴じさせることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記移動機構は、前記液体付与部とともに前記圧着部も移動させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記液体付与位置は、前記圧着部が、複数の前記媒体の角部を綴じる端斜め綴じ位置に対応する位置、又は複数の前記媒体の一辺に沿って複数個所を綴じる端綴じ位置に対応する位置であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
複数の前記媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置と、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。また、媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針(ステープル針)を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着処理部を備えるものがある。
【0003】
圧着綴じには、用紙束を構成する用紙の枚数が多いほど用紙束に綴じ歯が食い込みにくくなって、綴じた用紙が剥がれ落ちるなど、綴じ状態を適切に維持することに困難さがあるという課題がある。そこで、圧着綴じを行う媒体処理装置には、綴じ強度を上げる目的で、用紙上において綴じ歯が接触する位置(以下、「綴じ位置」と表記する。)に予め加水して、綴じ歯が用紙束に食い込み易くするための加水処理部を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の媒体処理装置では、媒体の幅方向に外れた待機位置に加水処理部を待機させた状態でトレイに媒体を搬送し、加水処理部を綴じ位置に移動させて加水する処理を繰り返している。しかしながら、媒体を搬送する度に、待機位置と綴じ位置との間で加水処理部を往復移動させると、圧着綴じ処理の生産性が低下するという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、媒体束を構成する複数の媒体に液体付与してから圧着綴じする媒体処理装置において、圧着綴じ処理の生産性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、媒体を搬送する搬送部と、少なくとも1枚の前記媒体の液体付与位置に液体付与を行う液体付与部と、液体を付与された少なくとも1枚の前記媒体を含む複数の前記媒体の、前記液体付与部で液体を付与された少なくとも一部分を加圧変形させて綴じる圧着部と、前記媒体の幅方向に前記液体付与部を移動させる移動機構と、前記搬送部、前記液体付与部、前記圧着部、及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、前記液体付与部は、前記媒体の幅方向において移動を開始する前の待機位置と、前記液体付与位置との間を移動可能であり、前記液体付与部は、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与位置に搬送される前に、前記待機位置から、前記液体付与位置に移動し、複数の前記媒体の少なくとも1枚が前記液体付与位置に搬送されると、複数の前記媒体の少なくとも1枚に前記液体付与を行い、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了するまでは、前記待機位置に移動せず、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了した後に、前記待機位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙束を構成する複数の用紙に液体付与してから圧着綴じする媒体処理装置において、圧着綴じ処理の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第一実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与部側から見た模式図。
【
図6】第一実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図8】端綴じ処理部の変形例に係る液体付与圧着部を示す図。
【
図9】液体付与圧着部による液体付与動作及び圧着綴じ動作を示す図。
【
図10】ディスプレイに表示される綴じモード選択画面の表示例。
【
図12】一箇所綴じの実行中における端綴じ処理部の位置を示す図。
【
図13】綴じ強度優先モードでの二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部の位置を示す図。
【
図14】バランスモードでの二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部の位置を示す図。
【
図15】生産性優先モードでの二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部の位置を示す図。
【
図16】第二実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図17】第二実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
【
図18】第二実施形態に係る圧着部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図19】第二実施形態に係る液体付与部を用紙の厚み方向から見た図。
【
図22】第二実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図23】第二実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
【
図24】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙P(媒体)に画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0010】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されるトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、第一実施形態に係る後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙Pの束(以下、「用紙束Pb」と表記する。)を、綴じる綴じ処理である。より詳細には、本実施形態に係る綴じ処理は、圧着綴じ位置で用紙束Pbを加圧変形させる所謂「圧着綴じ」と、ステープル針で用紙束Pbを綴じる「針綴じ」とを含む。また、圧着綴じは、用紙束Pbの端を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央を綴じる中綴じ処理と含む。
【0012】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第1搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第2搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第3搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0013】
第1搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から排出トレイ21に至る経路である。第2搬送路Ph2は、搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を経由して排出トレイ26に至る経路である。第3搬送路Ph3は、搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0014】
切替爪20は、第1搬送路Ph1及び第2搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第1搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第1位置と、第1搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第2搬送路Ph2に導く第2位置とに切り替え可能に構成されている。また、第2搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Mが第3搬送路Ph3に導かれる。なお、搬送時に用紙Pの位置を検知するセンサは、
図2において、黒色で塗りつぶされた三角形(▲)で示している。
【0015】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第1搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pを載置する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0016】
また、後処理装置3は、内部トレイ22(トレイ)と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、及び端綴じ処理部25は、第2搬送路Ph2から内部トレイ22に搬送される複数の用紙Pからなる用紙束Pbに端綴じ処理を施す。ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」(
図12~15参照)、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って幅方向に離間した複数個所に綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。斜め綴じ処理で綴じられる圧着綴じ位置は「端斜め綴じ位置」の一例であり、平行綴じ処理または垂直綴じ処理で綴じられる圧着綴じ位置は「端綴じ位置」の一例である。
【0017】
排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かって用紙Pが搬送される方向を、「搬送方向」と定義する。また、「用紙(媒体)の幅」という場合は、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向(主走査方向)の長さ、及び用紙Pの搬送方向の長さが含まれるものとする。
【0018】
内部トレイ22は、第2搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙Pを一時的に載置する。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbの端部を綴じる。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。
【0019】
図3は、端綴じ処理部25を搬送方向の上流側から見た模式図である。
図4は、端綴じ処理部25を主走査方向の液体付与部31側から見た模式図である。
図3及び
図4に示すように、端綴じ処理部25は、液体付与を行う液体付与部31と、圧着綴じを行う圧着部32とを備える。液体付与部31及び圧着部32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0020】
液体付与部31は、貯液タンク43に貯留された液体(例えば、水)を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。
【0021】
ここで、「液体付与」するための貯液タンク43に貯留された液体とは、さらに詳しくは、化学式H2Oで表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていても良い。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0022】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いても良い。
【0023】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、圧着綴じとして機能させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。又、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0024】
液体付与部31は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって、圧着部32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与部31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着部32による圧着綴じを行う予定である圧着綴じ位置に対応する。よって、以下において液体付与位置と圧着綴じ位置には同一符号を付して説明する。
【0025】
図3及び
図4に示すように、液体付与部31は、下押圧板33と、上押圧板34(押圧手段)と、液体付与部移動機構35と、液体付与機構36とを備える。液体付与部31の構成部品(下押圧板33、上押圧板34、液体付与部移動機構35、液体付与機構36)は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0026】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。下押圧板33は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを下側から支持する。下押圧板33は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの上方において、用紙Pの厚み方向に移動(昇降)可能に構成されている。すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に取り付けられた液体付与部材44の先端に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。
【0027】
液体付与部移動機構35は、上押圧板34、ベースプレート40、及び液体付与部材44を用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与部移動機構35は、単一の液体付与部移動モータ37によって、上押圧板34、ベースプレート40、及び液体付与部材44を連動して移動させる。液体付与部移動機構35は、例えば、液体付与部移動モータ37と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを備える。
【0028】
液体付与部移動モータ37は、上押圧板34、ベースプレート40、及び液体付与部材44を移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、上下方向に延設されると共に、液体付与フレーム31aに回転可能に取り付けられている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ37の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ37の駆動力が伝達されて台形ネジ38が回転することによってナット39が移動する。
【0029】
ベースプレート40は、上押圧板34より上方に配置されている。また、ベースプレート40は、液体付与部材44の先端を下方に突出させた状態で、液体付与部材44を保持している。さらに、ベースプレート40は、台形ネジ38に接続されて、台形ネジ38と共に移動可能に構成されている。そして、ベースプレート40の上下方向の位置は、移動センサ40a(
図6参照)によって検知される。
【0030】
柱状部材41a、41bは、液体付与部材44の先端の周囲において、ベースプレート40から下方に突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下端で上押圧板34を保持している。又、柱状部材41a、41bの上端には、柱状部材41a、41bがベースプレート40から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下方に付勢する。
【0031】
液体付与機構36は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与機構36は、液体付与部材44の先端を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも1枚の用紙Pに液体付与する。液体付与機構36は、貯液タンク43と、液体付与部材44と、供給部材45と、ジョイント46とを備える。
【0032】
貯液タンク43は、用紙P又は用紙束Pbに供給するための液体を貯留する。貯液タンク43に貯留された液体の量は、液量センサ43aによって検知される。液体付与部材44は、貯液タンク43に貯液された液体を用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与部材44は、先端を下方に向けてベースプレート40に取り付けられている。また、液体付与部材44は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0033】
供給部材45は、基端が貯液タンク43に貯留された液体に浸漬され、先端が液体付与部材44に接続された長尺の部材である。また、供給部材45は、例えば、液体付与部材44と同様に、吸液率の高い材料で構成されている。これにより、供給部材45の基端から吸収された液体が、毛細管現象によって液体付与部材44に供給される。
【0034】
保護部材45aは、供給部材45に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、供給部材45が吸収した液体が漏れ出したり、蒸発するのを防止できる。また、供給部材45及び保護部材45aは、可撓性を有する材料で形成されている。ジョイント46は、液体付与部材44をベースプレート40に固定するものである。これにより、液体付与部材44は、液体付与部移動機構35によって移動されても、ベースプレート40から下方に突出すると共に、先端が下方を向いた状態が維持される。
【0035】
圧着部32は、用紙束Pbの液体付与部31で液体を付与された少なくとも一部分(すなわち、液体付与位置)を、凹凸状の綴じ歯32a、32bで加圧変形させることによって、用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。すなわち、圧着部32は、綴じ針を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着部32の構成部品(綴じ歯32a(上圧着歯)、綴じ歯32b(下圧着歯))は、圧着フレーム32cに設けられている。
【0036】
図5は、圧着部32の構成を示す模式図である。
図5に示すように、圧着部32は、一対の綴じ歯32a、32bを備える。一対の綴じ歯32a、32bは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟むことができるように、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。一対の綴じ歯32a、32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、一対の綴じ歯32a、32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、一対の綴じ歯32a、32bは、接離モータ32d(
図6参照)の駆動力によって接離する。
【0037】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図5(A)に示すように、一対の綴じ歯32a、32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、
図5(B)に示すように、一対の綴じ歯32a、32bが噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に載置された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、排出トレイ26に排出される。
【0038】
尚、圧着部32の構成としては、圧着機構を構成する一対の綴じ歯32a、32bが噛み合えばよいので、本実施例に限定されない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って一対の綴じ歯32a、32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であっても良いし、駆動源の回転運動を直線運動に変換するねじ機構により、一対の綴じ歯32a、32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0039】
また、
図3に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構47を備える。端綴じ処理部移動機構47は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、液体付与部31及び圧着部32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ50と、駆動力伝達機構51とを備える。
【0040】
液体付与部31及び圧着部32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。案内軸49は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に延設されている。また、案内軸49は、ベース部材48を主走査方向に移動可能に支持している。端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構51は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力を、プーリやタイミングベルトを介してベース部材48に伝達する。これにより、ベース部材48によって一体化された液体付与部31及び圧着部32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。
【0041】
本実施形態に係る端綴じ処理部移動モータ50は、例えば、移動の度に原点位置(例えば、後述する待機位置HP)に端綴じ処理部25を戻さなくても、端綴じ処理部25を目標位置(後述する圧着綴じ位置B1、B2)に停止させることができるサーボモータである。
【0042】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達したことを検知するホームポジションを検知する待機位置センサ44a(例えば、遮光型の光学センサ。
図6参照。)と、端綴じ処理部移動モータ50の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ44b(
図6参照。)とを備えている。そして、後述するコントローラ100は、待機位置センサ44aの検知結果に基づいて、端綴じ処理部25が待機位置HPに到達したことを検知する。また、コントローラ100は、エンコーダセンサ44bとから出力されるパルス信号をカウントすることによって、待機位置HPから移動した端綴じ処理部25の現在位置を把握する。
【0043】
但し、端綴じ処理部25を原点位置に戻さずに目標位置に停止させる具体的な方法は、前述の例に限定されない。他の例として、後処理装置3は、予め定められた目標位置に端綴じ処理部25が到達したことを検知するセンサを備えてもよい。
【0044】
すなわち、端綴じ処理部移動機構47は、液体付与部31が第1圧着綴じ位置B1に対面する位置と、液体付与部31が第2圧着綴じ位置B2に対面する位置との間を、待機位置HPを経由せずに、端綴じ処理部25を最短距離で移動させることができる。また、端綴じ処理部移動機構47は、圧着部32が第1圧着綴じ位置B1に対面する位置と、圧着部32が第2圧着綴じ位置B2に対面する位置との間を、待機位置HPを経由せずに、端綴じ処理部25を最短距離で移動させることができる。さらに、端綴じ処理部移動機構47は、液体付与部31が第1圧着綴じ位置B1(または、第2圧着綴じ位置B2)に対面する位置と、圧着部32が第1圧着綴じ位置B1(または、第2圧着綴じ位置B2)に対面する位置との間を、待機位置HPを経由せずに、端綴じ処理部25を最短距離で移動させることができる。
【0045】
図2に戻って、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とをさらに備える。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第3搬送路Ph3を搬送される用紙Pにより構成させた用紙束Pbに中綴じ処理を施す。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0046】
エンドフェンス27は、第3搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを排出トレイ30に排出する。
【0047】
図6は、第一実施形態に係る後処理装置3の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図6に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0048】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0049】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100(制御部)を構成する。
【0050】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、液体付与部移動モータ37、接離モータ32d、端綴じ処理部移動モータ50、移動センサ40a、液量センサ43a、待機位置センサ44a、エンコーダセンサ44b、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、液体付与部移動モータ37、接離モータ32d、端綴じ処理部移動モータ50を動作させ、移動センサ40a、液量センサ43a、待機位置センサ44a、エンコーダセンサ44bからの検知結果を取得する。なお、
図6には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0051】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。又、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0052】
次に、
図7~
図9を参照して、端綴じ処理部25の変形例である端綴じ処理部25´について説明する。第一実施形態に係る端綴じ処理部25との違いは、液体付与部31と圧着部32が一体的に構成されている点である。なお、第一実施形態に係る端綴じ処理部25と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0053】
図7は、端綴じ処理部25´を搬送方向の上流側から見た模式図である。
図8(A)は、液体付与圧着部310の斜視図である。
図8(B)は、
図8(A)のA-A矢視断面図である。
図8(C)は、
図8(A)の上圧着歯32aを下圧着歯32b側からみた平面図である。
図9(A)~(C)は、液体付与圧着部310による液体付与動作及び圧着綴じ動作を示す図で、搬送方向の下流側から見た模式図である。
【0054】
図7に示すように、端綴じ処理部25´は、第一実施形態に係る端綴じ処理部25の液体付与部31と圧着部32とを一体的に構成した液体付与圧着部310を備える。液体付与圧着部310は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。
【0055】
液体付与圧着部310は、貯液タンク43に貯留された液体LQを内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与圧着部310は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって、主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与圧着部310は、上押圧板34と、上圧着歯32aと、下圧着歯32bと、液体付与圧着部移動機構350と、液体供給機構360とを備える。液体付与圧着部310の各構成部品は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0056】
液体付与圧着部移動機構350は、電動シリンダ370によって、上押圧板34、ベースプレート40、及び上圧着歯32aを用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に連動して移動させる。ベースプレート40は、ジョイント46を介して上圧着歯保持部材32a1及び上圧着歯32aを保持する。又、ベースプレート40は、柱状部材41a、41bを介して上押圧板34を移動可能に保持している。そして、ベースプレート40は、連結部材401を介して電動シリンダ370のロッド371の先端に取り付けられている。
【0057】
柱状部材41a、41bは、下端で上押圧板34を保持している。又、コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下方に付勢する。
【0058】
液体供給機構360は、貯液タンク43と、供給ポンプ431と、供給部材45を備える。供給ポンプ431は、供給部材45を介して、
図8(A)に示すように上圧着歯保持部材32a1に設けられた液溜まり部320に液体LQを供給する。供給部材45は、基端が供給ポンプ431に接続され、先端が液溜まり部320に接続されており、長尺かつ伸縮性のある部材で構成させる。
【0059】
上圧着歯32aは、
図8(B)に示すように、上圧着歯保持部材32a1に一体的に設けられている。そして、上圧着歯保持部材32a1は、液溜まり部320と、液溜まり部320に溜められた液体LQを上圧着歯32aに供給する液体供給路321を備えている。又、上圧着歯32aの表面は、親水処理が施されており、液体供給路321から供給された液体LQが上圧着歯32aの表面に均一に行き渡るようになっている。一方、上圧着歯保持部材32a1の上圧着歯32a以外の部分は、疎水処理が施されており、液体LQが上圧着歯32aの表面に効率的に行き渡るようになっている。
【0060】
下圧着歯32bは、
図7に示すように、下圧着歯保持部材32b1に一体的に設けられているとともに、下圧着歯保持部材32b1を介してベース部材48上に取り付けられている。
【0061】
次に、
図9を用いて液体付与圧着部310による液体付与動作及び圧着綴じ動作について説明する。用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図9(A)に示すよう、上圧着歯32aと下圧着歯32bは離間している。そして、用紙Pが内部トレイ22に載置されると、電動シリンダ370を収縮させて上圧着歯32a及び上押圧板34を用紙Pに向かって移動させる。すると、
図9(B)に示すよう、上押圧板34が最初に用紙Pに当接し、その後、上圧着歯32aが上押圧板34の貫通口34aを通過して用紙Pに当接する。このとき、上圧着歯32aの表面には液体LQが行き渡っているため、上圧着歯32aを用紙Pに当接させることにより用紙Pの液体付与位置に液体が付与される。そして、液体付与位置への液体付与が完了すると、電動シリンダ370を伸長させて上圧着歯32a及び上押圧板34を用紙Pから離間する。以上説明した上圧着歯32a及び上押圧板34の用紙Pに対する接離動作(液体付与動作)を、用紙束Pbを構成する用紙Pに対して繰り返し実行する。
【0062】
その後、内部トレイ22に規定枚数の用紙Pから構成された用紙束Pbが載置されたら、電動シリンダ370を更に収縮させて上圧着歯32aを下圧着歯32bに向かって移動させる。すると、
図9(C)に示すように、上圧着歯32aと下圧着歯32bとの間に用紙束Pbが挟まれた状態で、上圧着歯32aが下圧着歯32bに向かって更に移動することになり、上圧着歯32a及び下圧着歯32bにより用紙束Pbを加圧して変形させることで用紙束Pbを圧着綴じする(圧着綴じ動作)。
【0063】
図10は、ディスプレイに表示される綴じモード選択画面の表示例である。綴じモード選択画面は、動作モード設定部としての操作パネル110に表示され、後述する綴じ処理の綴じモードを、後処理装置3のユーザに選択させるための画面である。
【0064】
綴じモードとは、複数の圧着綴じ位置を圧着する場合において、圧着綴じの生産性(スループット)と、圧着綴じの強度とを切り替えるためのものである。換言すれば、綴じモードは、圧着綴じにおける端綴じ処理部25の移動方法を切り替えるためのものである。綴じモードは、例えば、綴じ強度優先モード(「第一のモード」)と、生産性優先モード及びバランスモード(「第二のモード」)とを含む。
【0065】
生産性優先モードは、圧着綴じの強度より生産性を優先するモードである。より詳細には、生産性優先モードは、液体付与部31に液体付与させる回数を、綴じ強度優先モードより減らした綴じモードである。また、生産性優先モードは、端綴じ処理部25の移動量を、バランスモードより減らした綴じモードである。
【0066】
綴じ強度優先モードは、生産性より圧着綴じの強度を優先するモードである。液体付与を優先するので「液体付与優先モード」に相当する。より詳細には、綴じ強度優先モードは、液体付与部31に液体付与させる回数を、生産性優先モード及びバランスモードより増やした綴じモードである。
【0067】
バランスモードは、生産性と圧着綴じの強度とをバランスさせた綴じモードである。より詳細には、バランスモードは、複数の圧着綴じ位置への液体付与回数を平準化することによって、生産性優先モードより圧着綴じの強度を高めた綴じモードである。また、バランスモードは、液体付与部31に液体付与させる回数を綴じ強度優先モードより減らすことによって、綴じ強度優先モードより生産性を高めた綴じモードである。
【0068】
図10に示すように、綴じモード選択画面は、生産性優先モードに対応する[生産性優先モード]ボタンと、綴じ強度優先モードに対応する[綴じ強度優先モード]ボタンと、バランスモードに対応する[バランスモード]ボタンと、[自動]ボタンとを含む。[自動]ボタンは、綴じ処理の実行条件(例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数N、用紙Mの吸液性など)に基づいて、コントローラ100が綴じモードを決定することに対応する。
【0069】
後処理装置3のユーザは、綴じモード選択画面に含まれる複数のボタンのうち、所望の綴じモードに対応するボタンを、押下(入力操作)する。コントローラ100は、押下されたボタン(操作部を通じた入力操作)に対応する綴じモードに切り替える。なお、綴じモードは、生産性優先モード、綴じ強度優先モード、バランスモードの3つに限定されず、いずれか1つが省略されてもよい。
【0070】
図11は、綴じ処理のフローチャートである。
図11に示す綴じ処理は、綴じモード選択画面で[自動]ボタンが選択された場合に実行される。コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、綴じ処理を実行する。
【0071】
コントローラ100は、綴じ処理指示に含まれる実行条件を取得する(S701)。実行条件は、例えば、用紙Pの特性と、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、圧着綴じ位置の数とを含む。用紙Pの特性とは、例えば、用紙Pの種類(普通紙、光沢紙、インクジェット紙など)、用紙Pの厚みなど、用紙Pの吸液性を直接的または間接的に表す情報である。
【0072】
次に、コントローラ100は、圧着綴じ位置が2つか否かを判定する(S702)。そして、コントローラ100は、圧着綴じ位置が1つだと判定したことに応じて(S702:No)、一箇所綴じを実行する(S703)。一箇所綴じとは、主走査方向の一箇所で用紙束Pbを圧着綴じする処理を指す。一箇所綴じの詳細は、
図12を参照して後述する。
【0073】
一方、コントローラ100は、圧着綴じ位置が2つだと判定したことに応じて(S702:Yes)、所定枚数Nが3以上か否かを判定する(S704)。また、コントローラ100は、用紙Pの特性に基づいて、用紙Pの吸液性を判定する(S705、S706)。そして、コントローラ100は、所定枚数Nの値及び媒体の吸液性の少なくとも一方に応じて(S704~S706)、綴じモードを切り替える(S707~S710)。本実施形態に係る吸液性は、第1閾値以上の「高」と、第1閾値未満で且つ第2閾値以上の「中」と、第2閾値未満の「低」との3段階に分類される。但し、吸液性の段階は3段階に限定されない。
【0074】
コントローラ100は、所定枚数Nの値が3以上で且つ吸液性が「高」であることに応じて(S704:Yes&S705:高)、生産性優先モードで二箇所綴じを実行する(S707)。二箇所綴じとは、主走査方向の二箇所で用紙束Pbを圧着綴じする処理を指す。生産性優先モードでの二箇所綴じは、
図15を参照して後述する。
【0075】
また、コントローラ100は、所定枚数Nの値が3以上で且つ吸液性が「中」であることに応じて(S704:Yes&S705:中)、バランスモードで二箇所綴じを実行する(S708)。同様に、コントローラ100は、所定枚数Nが3未満で且つ吸液性が「高」または「中」であることに応じて(S704:No&S706:高・中)、バランスモードで二箇所綴じを実行する(S710)。バランスモードでの二箇所綴じは、
図14を参照して後述する。
【0076】
さらに、コントローラ100は、所定枚数Nの値が3以上で且つ吸液性が「低」であることに応じて(S704:Yes&S705:低)、綴じ強度優先モードで二箇所綴じを実行する(S709)。同様に、コントローラ100は、所定枚数Nが3未満で且つ吸液性が「低」であることに応じて(S704:No&S706:低)、綴じ強度優先モードで二箇所綴じを実行する(S709)。綴じ強度優先モードでの二箇所綴じは、
図13を参照して後述する。
【0077】
一方、綴じモード選択画面において、[自動]ボタン以外が選択された場合は、ステップS704~S710の処理に代えて、ユーザによって選択された綴じモードに対応する処理が実行される。すなわち、[生産性優先モード]ボタンが選択された場合は
図15の処理が実行され、[綴じ強度優先モード]ボタンが選択された場合は
図13の処理が実行され、[バランスモード]ボタンが選択された場合は
図14の処理が実行される。
【0078】
図12は、一箇所綴じの実行中における端綴じ処理部25の位置を示す図である。
図12(A)に示すように、一箇所綴じの開始時点において、端綴じ処理部25は待機位置HPに位置しているものとする。待機位置HPは、内部トレイ22に載置された用紙Pから主走査方向に外れた位置である。換言すれば、待機位置HPは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに対面しない位置である。
【0079】
まず、コントローラ100は、内部トレイ22に用紙Pが供給される前に、綴じ処理部移動モータ50を駆動して、綴じ処理指示で示される圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面し得るように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。
【0080】
次に、コントローラ100は、
図12(B)に示すように、圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に載置する。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)。
【0081】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが載置されたことに応じて、当該用紙Pの圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。すなわち、コントローラ100は、液体付与部移動モータ37を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの圧着綴じ位置B1に液体付与部材44を接触させる。
【0082】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達するまで、搬送ローラ対10、11、14、15による用紙Pの搬送と、液体付与部31による圧着綴じ位置B1への液体付与とを繰り返す。但し、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに液体付与する必要はない。他の例として、コントローラ100は、A(A<N)枚に1枚の用紙Pの圧着綴じ位置B1に対して液体付与部31に液体を付与させてもよい。
【0083】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて、
図12(C)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、圧着部32が圧着綴じ位置B1に対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。
【0084】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに圧着綴じを施して、排出トレイ26に排出する。すなわち、コントローラ100は、接離モータ32dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの圧着綴じ位置B1を、一対の綴じ歯32a、32bに挟持させる。また、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。さらに、コントローラ100は、
図12(D)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる。
【0085】
すなわち、コントローラ100は、圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pを内部トレイ22に向けて順番に搬送させる。また、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に搬送された少なくとも1枚の用紙Pの圧着綴じ位置に対して、液体付与部31に液体付与させる。さらに、コントローラ100は、予め定められたN枚の用紙Pが内部トレイ22に載置されたことに応じて、圧着部32に圧着綴じ位置B1を圧着綴じさせる。
【0086】
図13は、綴じ強度優先モードでの二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部25の位置を示す図である。
図12を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図13(A)に示すように、綴じ強度優先モードでの二箇所綴じの開始時点において、端綴じ処理部25は待機位置HPに位置しているものとする。また、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2は、主走査方向に離間した位置である。さらに、
図13では、2枚の用紙Pを圧着綴じする(すなわち、N=2)場合を説明するが、用紙束Pbを構成する用紙Pの数はこれに限定されない。
【0087】
コントローラ100は、用紙束Pbを構成する1枚目の用紙P1が内部トレイ22に供給される前に、第1圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面し得るように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、コントローラ100は、
図13(B)に示すように、第1圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、画像形成装置2によって画像が形成された用紙P1を内部トレイ22に載置してジョギングする。
【0088】
次に、コントローラ100は、用紙P1が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P1の第1圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。次に、コントローラ100は、
図13(C)に示すように、用紙P1の第2圧着綴じ位置B2に液体付与部31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、コントローラ100は、用紙P1の第2圧着綴じ位置B2に対して、液体付与部31に液体を付与させる。
【0089】
次に、コントローラ100は、用紙P1の第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2に液体を付与したことに応じて、
図13(D)に示すように、第2圧着綴じ位置B2に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、用紙束Pbを構成する2枚目の用紙P2を内部トレイ22に載置してジョギングを行う。
【0090】
次に、コントローラ100は、用紙P2が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P2の第2圧着綴じ位置B2に対して、液体付与部31に液体を付与させる。次に、コントローラ100は、
図13(E)に示すように、用紙P2の第1圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、コントローラ100は、用紙P2の第1圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。
【0091】
すなわち、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達するまで、搬送ローラ対10、11、14、15による用紙Pの搬送と、液体付与部31による第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B22への液体付与とを繰り返す。このとき、コントローラ100は、B(B<N)枚目の用紙Pに対して、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の順で液体付与部31に液体を付与させる。また、コントローラ100は、(B+1)枚目の用紙Pに対して、第2圧着綴じ位置B2、第1圧着綴じ位置B1の順で液体付与部31に液体を付与させる。換言すれば、コントローラ100は、液体付与部31が第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2に液体付与する順序を、用紙P毎に変更する。さらに、コントローラ100は、待機位置HPを経由せずに、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2の一方から他方に綴じ処理部25を最短距離で移動させる。
【0092】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて、
図13(F)に示すように、圧着部32を第1圧着綴じ位置B1に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束の第1圧着綴じ位置B1を圧着綴じする。次に、コントローラ100は、
図13(G)に示すように、圧着部32を第2圧着綴じ位置B2に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第2圧着綴じ位置B2を圧着綴じする。
【0093】
なお、
図13の例では、最後に第1圧着綴じ位置B1に対して液体付与したので、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の順に圧着綴じしている。一方、最後に第2圧着綴じ位置B2に対して液体付与した場合は、第2圧着綴じ位置B2、第1圧着綴じ位置B1の順に圧着綴じすればよい。
【0094】
次に、コントローラ100は、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2で圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。さらに、コントローラ100は、
図13(H)に示すように、綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる。
【0095】
図14は、バランスモードでの二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部25の位置を示す図である。
図12及び
図13を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図14(A)に示すように、バランスモードでの二箇所綴じの開始時点において、端綴じ処理部25は待機位置HPに位置しているものとする。また、
図14では、4枚の用紙Pを圧着綴じする(すなわち、N=4)場合を説明するが、用紙束を構成する用紙Pの数はこれに限定されない。
【0096】
コントローラ100は、用紙束Pbを構成する1枚目の用紙P1が内部トレイ22に供給される前に、第1圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面し得るように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、コントローラ100は、
図14(B)に示すように、第1圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、画像形成装置2によって画像が形成された用紙P1を内部トレイ22に載置してジョギングする。
【0097】
次に、コントローラ100は、用紙P1が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P1の第1圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。次に、コントローラ100は、用紙P1の第2圧着綴じ位置B2に液体付与部31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。但し、コントローラ100は、用紙P1の第2圧着綴じ位置B2に対する液体付与を実施しない。
【0098】
次に、コントローラ100は、
図14(C)に示すように、第2圧着綴じ位置B2に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、用紙束Pbを構成する2枚目の用紙P2を内部トレイ22に載置してジョギングする。次に、コントローラ100は、用紙P2が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P2の第2圧着綴じ位置B2に対して、液体付与部31に液体付与させる。次に、コントローラ100は、用紙P2の第1圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。但し、コントローラ100は、用紙P2の第1圧着綴じ位置B1に対する液体付与を実施しない。
【0099】
以下同様に、コントローラ100は、
図14(D)に示すように、第1圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、3枚目の用紙P3を内部トレイ22に載置し、用紙P3の第1圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。また、コントローラ100は、
図14(E)に示すように、第2圧着綴じ位置B2に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、4枚目の用紙P4を内部トレイ22に載置し、用紙P4の第2圧着綴じ位置B2に対して、液体付与部31に液体を付与させる。
【0100】
すなわち、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達するまで、搬送ローラ対10、11、14、15による用紙Pの搬送と、液体付与部31による第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2への液体付与とを繰り返す。このとき、コントローラ100は、C(C<N)枚目の用紙Pの第1圧着綴じ位置B1のみに対して、液体付与部31に液体付与させる。また、コントローラ100は、(C+1)枚目の用紙Pの第2圧着綴じ位置B2のみに対して、液体付与部31に液体を付与させる。さらに、コントローラ100は、待機位置HPを経由せずに、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2の一方から他方に端綴じ処理部25を最短距離で移動させる。
【0101】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて、
図14(F)に示すように、圧着部32を第2圧着綴じ位置B2に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第2圧着綴じ位置B2を圧着綴じする。次に、コントローラ100は、
図14(G)に示すように、圧着部32を第1圧着綴じ位置B1に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第1圧着綴じ位置B1を圧着綴じする。
【0102】
なお、
図14の例では、最後に第2圧着綴じ位置B2に対して液体を付与したので、第2圧着綴じ位置B2、第1圧着綴じ位置B1の順に圧着綴じしている。一方、最後に第1圧着綴じ位置B1に対して液体付与した場合は、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の順に圧着綴じすればよい。
【0103】
次に、コントローラ100は、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2で圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。さらに、コントローラ100は、
図14(H)に示すように、端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる。
【0104】
図15は、生産性優先モードでの二箇所綴じの実行中における端綴じ処理部25の位置を示す図である。
図12~
図14を参照して説明した処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図15(A)に示すように、生産性優先モードでの二箇所綴じの開始時点において、端綴じ処理部25は待機位置HPに位置しているものとする。また、
図15では、4枚の用紙Pを圧着綴じする(すなわち、N=4)場合を説明するが、用紙束を構成する用紙Pの数はこれに限定されない。
【0105】
コントローラ100は、用紙束Pbを構成する1枚目の用紙P1が内部トレイ22に供給される前に、第1圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面し得るように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、コントローラ100は、
図15(B)に示すように、第1圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、画像形成装置2によって画像が形成された用紙P1を内部トレイ22に載置してジョギングする。次に、コントローラ100は、用紙P1が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P1の第1圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。
【0106】
次に、コントローラ100は、
図15(C)に示すように、第1圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、用紙束Pbを構成する2枚目の用紙P2を内部トレイ22に載置してジョギングする。次に、コントローラ100は、用紙P2が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P2の第1圧着綴じ位置B1に対して、液体付与部31に液体を付与させる。このように、1枚目の用紙P1が内部トレイ22に載置されてから、2枚目の用紙P2が内部トレイ22に載置されるまで、液体付与部31は、第1圧着綴じ位置B1に対面したまま移動しない。
【0107】
次に、コントローラ100は、用紙P2の第2圧着綴じ位置B2に液体付与部31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。次に、コントローラ100は、
図15(D)に示すように、第2圧着綴じ位置B2に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、用紙束Pbを構成する3枚目の用紙P3を内部トレイ22に載置してジョギングする。次に、コントローラ100は、用紙P3が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P3の第2圧着綴じ位置B2に対して、液体付与部31に液体を付与させる。
【0108】
次に、コントローラ100は、
図15(E)に示すように、第2圧着綴じ位置B2に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で、用紙束Pbを構成する4枚目の用紙P4を内部トレイ22に載置してジョギングする。次に、コントローラ100は、用紙P4が内部トレイ22に載置されたことに応じて、当該用紙P4の第2圧着綴じ位置B2に対して、液体付与部31に液体を付与させる。このように、3枚目の用紙P3が内部トレイ22に載置されてから、4枚目の用紙P4が内部トレイ22に載置されるまで、液体付与部31は、第2圧着綴じ位置B2に対面したまま移動しない。
【0109】
すなわち、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達するまで、搬送ローラ対10、11、14、15による用紙Pの搬送と、液体付与部31による第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2への液体付与とを繰り返す。このとき、コントローラ100は、D(D<N-3)枚目及び(D+1)枚目の用紙Pの第1圧着綴じ位置B1のみに対して、液体付与部31に液体を付与させる。また、コントローラ100は、(D+2)枚目及び(D+3)枚目の用紙Pの第2圧着綴じ位置B2のみに対して、液体付与部31に液体付与させる。さらに、コントローラ100は、待機位置HPを経由せずに、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2の一方から他方に端綴じ処理部25を最短距離で移動させる。
【0110】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて、
図15(F)に示すように、圧着部32を第2圧着綴じ位置B2に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第2圧着綴じ位置B2を圧着綴じする。次に、コントローラ100は、
図15(G)に示すように、圧着部32を第1圧着綴じ位置B1に対面させる。次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの第1圧着綴じ位置B1を圧着綴じする。
【0111】
なお、
図15の例では、最後に第2圧着綴じ位置B2に対して液体を付与したので、第2圧着綴じ位置B2、第1圧着綴じ位置B1の順に圧着綴じしている。一方、最後に第1圧着綴じ位置B1に対して液体を付与した場合は、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の順に圧着綴じすればよい。
【0112】
次に、コントローラ100は、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2で圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。さらに、コントローラ100は、
図15(H)に示すように、端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる。
【0113】
すなわち、
図12~
図15に示すように、端綴じ処理部25(より詳細には、液体付与部31)は、複数の用紙Pに対する液体付与が完了するまでは、待機位置HPに移動せず、複数の用紙Pに対する液体付与が完了した後に、待機位置HPに移動する。
【0114】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0115】
上記の実施形態によれば、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の一方に対面し得る位置に液体付与部31を配置した状態で搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、複数の用紙Pを内部トレイ22に向けて順番に搬送させる。これにより、用紙Pが内部トレイ22に供給される度に、待機位置HPと、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2との間で端綴じ処理部25を移動させるのと比較して、端綴じ処理部25の移動量を少なくすることができる。その結果、圧着綴じの生産性を向上させることができる。
【0116】
また、上記の実施形態によれば、内部トレイ22に順番に供給されるN枚の用紙Pのうち、A枚に1枚の間隔で用紙Pに液体付与することによって、全ての用紙Pに液体付与する場合と比較して、圧着綴じの生産性がさらに向上する。
【0117】
また、上記の実施形態によれば、用紙Pの第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の一方のみに液体を付与することによって、全ての用紙Pについて第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の両方に液体を付与する場合と比較して、液体付与に要する時間を削減することができる。特に
図15に示すように、2枚の用紙P毎に液体付与する位置を変更することによって、端綴じ処理部25の移動量を削減することができる。その結果、圧着綴じの生産性がさらに向上する。
【0118】
また、上記の実施形態によれば、用紙Pの吸液性に応じて、綴じモードが切り替えられる。これにより、用紙Pに吸液性に起因する圧着力のバラツキを抑えて、用紙束Pbの綴じ強度を維持することができる。
【0119】
また、上記の実施形態によれば、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数Nに応じて、綴じモードが切り替えられる。より詳細には、用紙束Pbを構成する用紙Pが2枚のときに、生産性優先モードが選択されなくなる。これにより、第2圧着綴じ位置B2に全く液体付与されなくなることを防止することができる。
【0120】
また、上記の実施形態によれば、操作パネル110を通じたユーザの指示に応じて、綴じモードが切り替えられる。これにより、コントローラ100が選択した綴じモードで適切に圧着綴じが行われない場合に、適切な綴じモードをユーザに選択させることができる。
【0121】
なお、上記の実施形態では、用紙束Pbの1箇所または2箇所を圧着綴じする例を説明したが、本発明は、主走査方向に離間した用紙束Pbの3箇所以上を圧着綴じする場合にも適用可能である。この場合のコントローラ100は、3箇所以上の圧着綴じ位置に対して、液体付与部31に液体付与させ、圧着部32に圧着綴じさせる。3箇所以上を圧着する場合でも、本発明を適用することによって圧着綴じの生産性を向上させることができる。
【0122】
但し、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して、全ての圧着綴じ位置に液体を付与する必要はない。例えば、コントローラ100は、主走査方向に離間した3箇所の圧着綴じ位置で圧着綴じする場合において、E(E<N-2)枚目の用紙P1の3箇所の圧着綴じ位置に液体を付与し、(E+1)枚目の用紙P2の2箇所の圧着綴じ位置に液体を付与し、(E+2)枚目の用紙P2の1箇所の圧着綴じ位置に液体を付与してもよい。
【0123】
[第二実施形態]
次に、
図16~
図24を参照して、第二実施形態に係る後処理装置3Aを説明する。なお、第一実施形態と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0124】
第二実施形態に係る後処理装置3Aは、液体付与部31と圧着部32が併設された第一実施形態に係る後処理装置3とは異なり、液体付与部131のみを搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与後に用紙Pを所定枚数プレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部25の圧着部32へ搬送することができるので、圧着部32での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0125】
又、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向」と定義する。
【0126】
図16は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの内部構造を示す図である。端綴じ処理部25は、
図17に示すように、圧着部32及び針綴じ部32´を備えている。
図17に示すように、圧着部32及び針綴じ部32´は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着部32及び針綴じ部32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。さらに、圧着部32及び針綴じ部32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる回動軸線回りに回動可能に構成されている。すなわち、圧着部32及び針綴じ部32´は、コーナー斜め綴じ、平行一箇所綴じ、平行二箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0127】
また、圧着部32は、凹凸状の綴じ歯32a、32bで用紙束Pbを加圧変形させることによって、用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。一方、針綴じ部32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの圧着綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Pbを針綴じすることができる。
【0128】
図17は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。
図18は、圧着部32を搬送方向上流側から見た模式図である。
図17に示すように、圧着部32及び針綴じ部32´は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着部32は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能で、且つ内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる回動軸340を中心として、回動可能に構成されている。又、針綴じ部32´についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能で、且つ用紙束Pbの厚み方向に延びる回動軸341を中心として、回動可能に構成されている。
【0129】
より詳細には、
図18に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。圧着部32は、圧着部移動モータ238の駆動力が駆動力伝達機構51(プーリやタイミングベルト)により伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着部32の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に回動軸340が固定されている。回動軸340は、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に回転可能に保持されている。そして、圧着部32は、回動モータ239の駆動力が回動軸340に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる回動軸340を中心として回動する。ガイドレール337、圧着部移動モータ238、回動モータ239、回動軸340、及び駆動力伝達機構51は、圧着部32の駆動機構の一例を構成する。
【0130】
圧着部32は、
図17(A)に示す待機位置HPと、
図17(B)及び
図17(C)に示す圧着綴じ位置B1に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HPは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。圧着綴じ位置B1は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。但し、圧着綴じ位置B1の具体的な位置は、
図17の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0131】
また、圧着部32は、
図17(B)に示す平行綴じ姿勢と、
図17(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢変化(回動)する。平行綴じ姿勢とは、一対の綴じ歯32a、32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着部32の姿勢である。又、斜め綴じ姿勢とは、一対の綴じ歯32a、32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着部32の姿勢である。
【0132】
なお、斜め綴じ姿勢における回動角度(主走査方向に対する一対の綴じ歯32a、32bの角度)は、
図17(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに一対の綴じ歯32a、32bが対面していれば、任意の角度でよい。
【0133】
後処理装置3Aは、液体付与部131と、パンチ孔穿設部132(処理部)とを備える。液体付与部131及びパンチ孔穿設部132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与部131及びパンチ孔穿設部132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。本実施形態に係る液体付与部131及びパンチ孔穿設部132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。但し、液体付与部131及びパンチ孔穿設部132の配置は、
図16の例に限定されない。例えば、
図24に示すように画像形成装置2と後処理装置3Aの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与部131を後処理装置3Aの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Aに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙または仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0134】
又、搬送ローラ対11は、
図19(A)に示すように、液体付与部131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、液体付与位置B1を押圧することにより液体付与位置B1の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与部31よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着部32に到達した時点で、液体付与位置B1の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で液体付与位置B1の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0135】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化したり、そのことが原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。尚、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの液体付与位置B1と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0136】
液体付与部131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体(例えば、水)を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設部132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与部131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設部132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0137】
図19は、第二実施形態に係る液体付与部131を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図20は、
図19のXXV-XXVにおける断面図である。
図21は、
図19のXXVI-XXVIにおける断面図である。
図19~
図21に示すように、液体付与部131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与部移動モータ137と、待機位置センサ138と、液体付与ユニット140とを備える。
【0138】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Aの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0139】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸線回りに回転可能に、後処理装置3Aのフレームに支持されている。
【0140】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部35aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与部移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与部移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0141】
液体付与部移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与部移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0142】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述するコントローラ100(
図22参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置の液体付与ユニット140は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。但し、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0143】
図20に示すように、後処理装置3A内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0144】
図19~
図21に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、回転モータ150と、移動モータ151(
図22参照)と、待機角度センサ152(
図22参照)とを備える。
【0145】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部35aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を支持している。
【0146】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸線回りに回動可能にベース部材141の下面に支持されている。また、回転ブラケット142は、回転モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを支持している。
【0147】
待機角度センサ152は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号をコントローラ100に出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。但し、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0148】
尚、
図19(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与部131より下流側の圧着部32が平行綴じする際の状態を示している。又、
図19(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与部131より下流側の圧着部32が斜め綴じ(角綴じ)する際の状態を示している。
【0149】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に支持されている。また、移動手段144は、移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0150】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145に対して下方に付勢する。
【0151】
図20(A)及び
図21(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は開口の位置または開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの液体付与位置B1が開口に対面する位置で停止すると、移動モータ151を第1方向に回転させる。これにより、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、液体付与位置B1とは、端綴じ処理部25によって圧着綴じされる予定の位置(すなわち、圧着綴じ位置)である。
【0152】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も移動モータ151を第1方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、
図20(B)及び
図21(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0153】
さらに、
図20(C)及び
図21(C)に示すように、移動モータ151をさらに第1方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与部131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0154】
一方、移動モータ151を第1方向と逆向きの第2方向に回転させることによって、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、
図20(A)及び
図21(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与部131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0155】
図22は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図22に示すように、後処理装置3Aは、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0156】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3A全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0157】
後処理装置3Aは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Aの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Aに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Aの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3Aの動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0158】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、圧着部移動モータ238、回動モータ239、接離モータ32d、液体付与部移動モータ137、回転モータ150、移動モータ151、待機位置センサ138、待機角度センサ152、パンチ孔穿設部132、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、圧着部移動モータ238、回動モータ239、接離モータ32d、液体付与部移動モータ137、回転モータ150、移動モータ151、及びパンチ孔穿設部132の動作を制御する。
又、コントローラ100は、I/F105を通じて、待機位置センサ138、待機角度センサ152からの検知結果を取得する。なお、
図22には端綴じ処理を実行する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0159】
操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。
【0160】
図23は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの後処理のフローチャートである。具体的には、
図23は、
図12に示す一箇所綴じを実行する際のフローチャートである。すなわち、
図23は、
図11の綴じ処理フローチャートのステップS703に相当する工程を詳細に説明するものである。
【0161】
コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、
図23に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、圧着綴じ位置B1(液体付与位置B1に相当)及び綴じ角度(液体付与角度に相当)と、液体付与と並行して実行される動作(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP(
図12の待機位置HPに相当する位置)に位置し、回転ブラケット142は待機角度に保持されているものとする。
【0162】
まず、コントローラ100は、液体付与部移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HPから液体付与位置B1(
図12の圧着綴じ位置B1に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、コントローラ100は、回転モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から液体付与角度に回転させる(S801)。液体付与ヘッド146が液体付与位置B1に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与部移動モータ137及び回転モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0163】
又、コントローラ100は、圧着部移動モータ238を駆動することによって、
図17(A)、(B)に示すように、圧着部32を待機位置HPから圧着綴じ位置B1に対面し得る位置に移動させる(S801)。また、コントローラ100は、回動モータ239を駆動することにより、圧着部32を待機角度から圧着綴じ角度に回転させる(S801)。圧着部32が、圧着綴じ位置B1に対面し得る位置、及び圧着綴じ角度に達したことは、圧着部移動モータ238及び回動モータ239のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0164】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S802)。コントローラ100は、用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面するまで(S803:No)、搬送ローラ対10、11の駆動を継続する。そして、コントローラ100は、用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面したことに応じて(S803:Yes)、搬送ローラ対10、11を停止する(S804)。用紙Pの液体付与位置B1が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0165】
コントローラ100は、液体付与部131によって用紙Pの液体付与位置B1に液体を付与する処理と、パンチ孔穿設部132によって用紙Pにパンチ孔を穿設させる処理とを並行して実行する(S805)。より詳細には、コントローラ100は、移動モータ151を第1方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの液体付与位置B1に当接させる。また、コントローラ100は、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、移動モータ151の回転量)を変更する。
【0166】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、コントローラ100は、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、移動モータ151の回転量は、移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0167】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S806)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング)。
【0168】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が、後処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S807)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達していないと判定したことに応じて(S807:No)、ステップS802~S806の処理を再び実行する。
【0169】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて(S807:Yes)、液体付与部131によって液体を付与された用紙束Pbの圧着綴じ位置B1(液体付与位置B1に相当)を、圧着部32に圧着綴じさせる。さらに、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する(S808)。そして、コントローラ100は、液体付与部移動モータ137を駆動して液体付与部131を待機位置HPに移動させるとともに、圧着部移動モータ238を駆動して圧着部32を待機位置HPに移動させる。
【0170】
以上では、第二実施形態に係る後処理装置3Aが、
図12に示す一箇所綴じを実行する際の処理動作について説明したが、第二実施形態に係る後処理装置3Aが、
図13~
図15の綴じ強度優先モードでの二箇所綴じ、バランスモードでの二箇所綴じ、及び生産性優先モードでの二箇所綴じを行う場合も、
図11の綴じ処理フローチャートを適用して、上記と同様に綴じ処理を実行することが可能である。
【0171】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25のみならず、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28にも適用することができる。
【0172】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0173】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0174】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 媒体を搬送する搬送部と、
少なくとも1枚の前記媒体の液体付与位置に液体付与を行う液体付与部と、
液体を付与された少なくとも1枚の前記媒体を含む複数の前記媒体の、前記液体付与部で液体を付与された少なくとも一部分を加圧変形させて綴じる圧着部と、
前記媒体の幅方向に前記液体付与部を移動させる移動機構と、
前記搬送部、前記液体付与部、前記圧着部、及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記液体付与部は、前記媒体の幅方向において移動を開始する前の待機位置と、前記液体付与位置との間を移動可能であり、
前記液体付与部は、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与位置に搬送される前に、前記待機位置から、前記液体付与位置に移動し、
複数の前記媒体の少なくとも1枚が前記液体付与位置に搬送されると、複数の前記媒体の少なくとも1枚に前記液体付与を行い、
複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了するまでは、前記待機位置に移動せず、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了した後に、前記待機位置に移動することを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記圧着部により、予め定められたN枚の前記媒体が綴じられる圧着綴じ位置が、複数である場合において、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を行う第一のモードと、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の一部に前記液体付与を行う第二のモードと、を備えることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記媒体の吸液性に応じて切り替えることを特徴とする前記<1>または前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記N枚の枚数に応じて切り替えることを特徴とする前記<1>乃至前記<3>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<5> ユーザが入力操作を行う操作部を備え、
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記入力操作に応じて切り替えることを特徴とする前記<1>乃至前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<6> 前記制御部は、A(A<N)枚に1枚の前記媒体に対して、前記液体付与部に前記液体付与をさせることを特徴とする前記<1>乃至前記<5>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<7> 前記制御部は、前記圧着部が、複数の前記圧着綴じ位置に綴じを行う場合において、
前記液体付与部が複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を実行するか否かを、前記媒体の特性によって決定することを特徴とする前記<2>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<8> 複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
B(B<N)枚目の前記媒体に対して、前記第1圧着綴じ位置、前記第2圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
(B+1)枚目の前記媒体に対して、前記第2圧着綴じ位置、前記第1圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする前記<2>乃至前記<7>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<9> 複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
C(C<N)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(C+1)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする前記<2>乃至前記<8>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<10> 複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
D(D<N-3)枚目及び(D+1)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(D+2)枚目及び(D+3)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする前記<2>乃至前記<9>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<11> 前記制御部は、前記媒体の幅方向に沿って配置される3箇所以上の前記圧着綴じ位置に対して、前記液体付与部に液体を付与させ、前記圧着部に圧着綴じさせることを特徴とする前記<2>乃至前記<10>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<12> 前記移動機構は、前記液体付与部とともに前記圧着部も移動させることを特徴とする前記<1>乃至前記<11>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<13> 前記液体付与位置は、前記圧着部が、複数の前記媒体の角部を綴じる端斜め綴じ位置に対応する位置、又は複数の前記媒体の一辺に沿って複数個所を綴じる端綴じ位置に対応する位置であることを特徴とする前記<1>乃至前記<12>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<14> 複数の前記媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置と、
前記<1>乃至前記<13>のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0175】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
10~19 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21,26,30 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23,27 :エンドフェンス
24L,24R :サイドフェンス
25 :端綴じ処理部
28 :中綴じ処理部
29 :用紙折りブレード
31 :液体付与部
32 :圧着部
32a,32b :綴じ歯
33 :下押圧板
34 :上押圧板
34a :貫通口
35 :液体付与部移動機構
36 :液体付与機構
37 :液体付与部移動モータ
38 :台形ネジ
39 :ナット
40 :ベースプレート
41a,41b :柱状部材
42a,42b :コイルバネ
43 :貯液タンク
44 :液体付与部材
45 :供給部材
45a :保護部材
46 :ジョイント
47 :端綴じ処理部移動機構
48 :ベース部材
49 :案内軸
50 :端綴じ処理部移動モータ
51 :駆動力伝達機構
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
132 :パンチ孔穿設部
133a,133b :ガイド軸
134a,134b :プーリ
135,136 :無端環状ベルト
137 :液体付与部移動モータ
138 :待機位置センサ
140 :液体付与ユニット
141 :ベース部材
142 :回転ブラケット
144 :移動手段
145 :保持部材
146 :液体付与ヘッド
148 :押圧板
150 :回転モータ
152 :待機角度センサ
238 :圧着部移動モータ
331 :下押圧板保持体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0176】
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
少なくとも1枚の前記媒体の液体付与位置に液体付与を行う液体付与部と、
液体を付与された少なくとも1枚の前記媒体を含む複数の前記媒体の、前記液体付与部で液体を付与された少なくとも一部分を加圧変形させて綴じる圧着部と、
前記媒体の幅方向に前記液体付与部を移動させる移動機構と、
前記搬送部、前記液体付与部、前記圧着部、及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記液体付与部は、前記媒体の幅方向において移動を開始する前の待機位置と、前記液体付与位置に対面する位置との間を移動可能であり、
前記液体付与部は、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与部により液体付与される位置に搬送される前に、前記待機位置から、前記液体付与位置に対面する位置に移動し、
複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与部により液体付与される位置に搬送されると、複数の前記媒体の少なくとも1枚に前記液体付与を行い、
複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了するまでは、前記待機位置に移動せず、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了した後に、前記待機位置に移動することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記圧着部により、予め定められたN枚の前記媒体が綴じられる圧着綴じ位置が、複数である場合において、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を行う第一のモードと、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の一部に前記液体付与を行う第二のモードと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記媒体の吸液性に応じて切り替えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記N枚の枚数に応じて切り替えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
ユーザが入力操作を行う操作部を備え、
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記入力操作に応じて切り替えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、A(A<N)枚に1枚の前記媒体に対して、前記液体付与部に前記液体付与をさせることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記圧着部が、複数の前記圧着綴じ位置に綴じを行う場合において、
前記液体付与部が複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を実行するか否かを、前記媒体の特性によって決定することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
B(B<N)枚目の前記媒体に対して、前記第1圧着綴じ位置、前記第2圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
(B+1)枚目の前記媒体に対して、前記第2圧着綴じ位置、前記第1圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
C(C<N)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(C+1)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
D(D<N-3)枚目及び(D+1)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(D+2)枚目及び(D+3)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記媒体の幅方向に沿って配置される3箇所以上の前記圧着綴じ位置に対して、前記液体付与部に液体を付与させ、前記圧着部に圧着綴じさせることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記移動機構は、前記液体付与部とともに前記圧着部も移動させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記液体付与位置は、前記圧着部が、複数の前記媒体の角部を綴じる端斜め綴じ位置に対応する位置、又は複数の前記媒体の一辺に沿って複数個所を綴じる端綴じ位置に対応する位置であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
複数の前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、媒体を搬送する搬送部と、少なくとも1枚の前記媒体の液体付与位置に液体付与を行う液体付与部と、液体を付与された少なくとも1枚の前記媒体を含む複数の前記媒体の、前記液体付与部で液体を付与された少なくとも一部分を加圧変形させて綴じる圧着部と、前記媒体の幅方向に前記液体付与部を移動させる移動機構と、前記搬送部、前記液体付与部、前記圧着部、及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、前記液体付与部は、前記媒体の幅方向において移動を開始する前の待機位置と、前記液体付与位置に対面する位置との間を移動可能であり、前記液体付与部は、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与部により液体付与される位置に搬送される前に、前記待機位置から、前記液体付与位置に対面する位置に移動し、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与部により液体付与される位置に搬送されると、複数の前記媒体の少なくとも1枚に前記液体付与を行い、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了するまでは、前記待機位置に移動せず、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了した後に、前記待機位置に移動することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
切替爪20は、第1搬送路Ph1及び第2搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第1搬送路Ph1を通じて用紙Pを排出トレイ21に排出する第1位置と、第1搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第2搬送路Ph2に導く第2位置とに切り替え可能に構成されている。また、第2搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙
Pが第3搬送路Ph3に導かれる。なお、搬送時に用紙Pの位置を検知するセンサは、
図2において、黒色で塗りつぶされた三角形(▲)で示している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
液体付与部31は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって、圧着部32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与部31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着部32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である圧着綴じ位置に対応する。よって、以下において液体付与位置と圧着綴じ位置には同一符号を付して説明する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
まず、コントローラ100は、内部トレイ22に用紙Pが供給される前に、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、綴じ処理指示で示される圧着綴じ位置B1に液体付与部31が対面し得るように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
すなわち、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達するまで、搬送ローラ対10、11、14、15による用紙Pの搬送と、液体付与部31による第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2への液体付与とを繰り返す。このとき、コントローラ100は、B(B<N)枚目の用紙Pに対して、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2の順で液体付与部31に液体を付与させる。また、コントローラ100は、(B+1)枚目の用紙Pに対して、第2圧着綴じ位置B2、第1圧着綴じ位置B1の順で液体付与部31に液体を付与させる。換言すれば、コントローラ100は、液体付与部31が第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2に液体付与する順序を、用紙P毎に変更する。さらに、コントローラ100は、待機位置HPを経由せずに、第1圧着綴じ位置B1及び第2圧着綴じ位置B2の一方から他方に端綴じ処理部25を最短距離で移動させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
次に、コントローラ100は、第1圧着綴じ位置B1、第2圧着綴じ位置B2で圧着綴じされた用紙束Pbを排出トレイ26に排出する。さらに、コントローラ100は、
図13(H)に示すように、
端綴じ処理部25を待機位置HPに移動させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与部移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与部移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0145
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0145】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を支持している。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0174】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 媒体を搬送する搬送部と、
少なくとも1枚の前記媒体の液体付与位置に液体付与を行う液体付与部と、
液体を付与された少なくとも1枚の前記媒体を含む複数の前記媒体の、前記液体付与部で液体を付与された少なくとも一部分を加圧変形させて綴じる圧着部と、
前記媒体の幅方向に前記液体付与部を移動させる移動機構と、
前記搬送部、前記液体付与部、前記圧着部、及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記液体付与部は、前記媒体の幅方向において移動を開始する前の待機位置と、前記液体付与位置に対面する位置との間を移動可能であり、
前記液体付与部は、複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与部により液体付与される位置に搬送される前に、前記待機位置から、前記液体付与位置に対面する位置に移動し、
複数の前記媒体の少なくとも1枚が、前記液体付与部により液体付与される位置に搬送されると、複数の前記媒体の少なくとも1枚に前記液体付与を行い、
複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了するまでは、前記待機位置に移動せず、複数の前記媒体に対する前記液体付与が完了した後に、前記待機位置に移動することを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記圧着部により、予め定められたN枚の前記媒体が綴じられる圧着綴じ位置が、複数である場合において、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を行う第一のモードと、
前記液体付与部が、複数の前記液体付与位置の一部に前記液体付与を行う第二のモードと、を備えることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記媒体の吸液性に応じて切り替えることを特徴とする前記<1>または前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記N枚の枚数に応じて切り替えることを特徴とする前記<1>乃至前記<3>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<5> ユーザが入力操作を行う操作部を備え、
前記制御部は、前記第一のモードと、前記第二のモードとを、前記入力操作に応じて切り替えることを特徴とする前記<1>乃至前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<6> 前記制御部は、A(A<N)枚に1枚の前記媒体に対して、前記液体付与部に前記液体付与をさせることを特徴とする前記<1>乃至前記<5>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<7> 前記制御部は、前記圧着部が、複数の前記圧着綴じ位置に綴じを行う場合において、
前記液体付与部が複数の前記液体付与位置の全てに前記液体付与を実行するか否かを、前記媒体の特性によって決定することを特徴とする前記<2>乃至前記<6>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<8> 複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
B(B<N)枚目の前記媒体に対して、前記第1圧着綴じ位置、前記第2圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
(B+1)枚目の前記媒体に対して、前記第2圧着綴じ位置、前記第1圧着綴じ位置の順で前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする前記<2>乃至前記<7>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<9> 複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
C(C<N)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(C+1)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする前記<2>乃至前記<8>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<10> 複数の前記圧着綴じ位置は、少なくとも第1圧着綴じ位置及び第2圧着綴じ位置を含み、
前記制御部は、
D(D<N-3)枚目及び(D+1)枚目の前記媒体の前記第1圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
(D+2)枚目及び(D+3)枚目の前記媒体の前記第2圧着綴じ位置のみに対して、前記液体付与部に液体を付与させ、
前記第1圧着綴じ位置及び前記第2圧着綴じ位置の一方から他方に、前記液体付与部を最短距離で移動させることを特徴とする前記<2>乃至前記<9>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<11> 前記制御部は、前記媒体の幅方向に沿って配置される3箇所以上の前記圧着綴じ位置に対して、前記液体付与部に液体を付与させ、前記圧着部に圧着綴じさせることを特徴とする前記<2>乃至前記<10>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<12> 前記移動機構は、前記液体付与部とともに前記圧着部も移動させることを特徴とする前記<1>乃至前記<11>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<13> 前記液体付与位置は、前記圧着部が、複数の前記媒体の角部を綴じる端斜め綴じ位置に対応する位置、又は複数の前記媒体の一辺に沿って複数個所を綴じる端綴じ位置に対応する位置であることを特徴とする前記<1>乃至前記<12>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<14> 複数の前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記<1>乃至前記<13>のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備える画像形成システムである。