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特開2023-109744反りの少ない調光可能な窓ガラスおよびそれを含む断熱ガラスユニット
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  • 特開-反りの少ない調光可能な窓ガラスおよびそれを含む断熱ガラスユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109744
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】反りの少ない調光可能な窓ガラスおよびそれを含む断熱ガラスユニット
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20230801BHJP
   E06B 3/67 20060101ALI20230801BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20230801BHJP
   B32B 17/04 20060101ALI20230801BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230801BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20230801BHJP
   E06B 3/66 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
C03C27/12 N
E06B3/67 A
E06B9/24 C
B32B17/04
G02F1/13 505
G02F1/1334
E06B3/66 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061441
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2019524160の分割
【原出願日】2017-11-09
(31)【優先権主張番号】62/419,633
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス グレゴリー クイヤール
(72)【発明者】
【氏名】リサ リン グリースバッハ ホーキンス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス マーティン グロコシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ネーフ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス フリッツ ルドルフ シュロッサー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】調光可能な窓ガラスおよびそれを含む断熱ガラスユニットを提供することにある。
【解決手段】窓ガラス100は、第一ガラスシート112と、第二ガラスシート114と、当該第一ガラスシートと当該第二ガラスシートとの間に配置された液晶材料116とを含む透過制御層110を含む。第一ガラスシートおよび第二ガラスシートのそれぞれは、約1mm以下の厚さを有する。第一パネル130は、当該透過制御層の第一ガラスシートに接着される。第二パネル140は、当該透過制御層の第二ガラスシートに接着される。当該透過制御層は、当該第一パネルと当該第二パネルとの間に配置される。当該液晶材料は、当該窓ガラスの透過率を調節するために、制御可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスであって、
第一ガラスシートと、第二ガラスシートと、該第一ガラスシートと該第二ガラスシートとの間に配置されたセルと、を含む透過制御層であって、該第一ガラスシートおよび該第二ガラスシートのそれぞれが、0.5mmから0・7mmの厚さを有し、該セルが液晶材料をその中に有し、前記セルの厚さは、20μm以下であり、前記第一ガラスシートおよび前記第二ガラスシートのそれぞれは、1mm以下の厚さを有する、透過制御層と、
該透過制御層の該第一ガラスシートに接着された第一パネルと、
該透過制御層の該第二ガラスシートに接着された第二パネルと
を含み、
前記第一パネルおよび前記第二パネルのそれぞれが、4mmから6mmの厚さを有するガラスパネルであり、
該透過制御層が、該第一パネルと該第二パネルの間に配置され、
該液晶材料が、窓ガラスの透過率を調節するために制御可能であり、
前記液晶材料が、高分子分散型液晶(PDLC)材料、ゲストホスト液晶材料、コレステリック液晶材料、キラル液晶材料、ネマチック液晶材料、またはそれらの組み合わせを含み、
前記窓ガラスの厚さは、15mm以下、反りが、40mmの長さあたり0.02mm以下であり、
前記第一パネルおよび前記第二パネルは、同じまたは実質的に同じ平均熱膨張係数(CTE)、および/または応力プロファイルを有する、
窓ガラスと、
第三パネルと、
キャビティが該窓ガラスと該第三パネルとの間に配置され、スペーサーによって実質的に囲まれるように、該窓ガラスと該第三パネルとの間に配置されたスペーサーと
を含む、断熱ガラスユニット。
【請求項2】
前記窓ガラスの幅が500mm以上であり、
前記窓ガラスの長さが750mm以上である、
請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項3】
前記第一ガラスシートおよび前記第二ガラスシートのそれぞれが、フュージョン形成されたアルミノケイ酸ガラスのガラスシートである、請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項4】
前記第一ガラスシートおよび前記第二ガラスシートのそれぞれが、アルカリ金属及びアルカリ金属を含む成分を含まないか又は実質的に含まない、酸化物ベースにおいて表現される場合、0.1モル%以下のROを含む、無アルカリガラスであり、ここで、Rは、Li、Na、またはKの1以上である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項5】
前記第一パネルが、第一接着剤層によって前記透過制御層の前記第一ガラスシートに接着され、
前記第二パネルが、第二接着剤層によって該透過制御層の前記第二ガラスシートに接着され、
前記第一接着剤層および前記第二接着剤層のそれぞれが、紫外(UV)光を遮断するポリマー性接着剤を含む、請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項6】
前記透過制御層の厚さが、1.5mm以下である、請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項7】
前記セルが、6μmから10μmの厚さを有する。請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項8】
前記第三パネルが、4mmから6mmの厚さを有する強化されたガラスパネルである、請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項9】
上記キャビティの厚さが、12mm以上であり、
前記断熱ガラスユニットの厚さが、31mm以下である、請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【請求項10】
さらに、前記窓ガラスと前記第三パネルとの間に配置され、前記キャビティを囲むシール、を含み、
さらに、前記キャビティ内に配置されたガスを含む、請求項1記載の断熱ガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下、2016年11月9日に出願された米国特許仮出願第62/419633号に対する優先権の恩典を主張するものであり、なお、本出願は、当該仮出願の内容に依拠し、当該仮出願の全体が参照により本明細書に組み入れられる。
また、本願は、2019年11月9日に出願された、特願2019-524160号の分割出願である。
【技術分野】
【0002】
本開示は、窓ガラス(window pane)、より詳細には、調光可能な窓ガラスおよびそれを含む断熱ガラスユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
断熱ガラスユニット(IGU)は、一般的に、IGUの内側表面と外側表面との間の熱伝導を抑制する熱障壁を形成するために、エアギャップによってお互いに分離された2枚または3枚のペイン(pane)を含み、それにより、当該IGUが設置される建物の内部と外部環境との間の熱伝導を抑制する。熱伝達を抑制することによって、IGUは、建物の暖房および/または冷房コストを削減することができる。
【0004】
調光可能なIGUは、一般的に、当該IGUを通る光透過を制御するために使用することができる調光可能な層(例えば、液晶層またはエレクトロクロミック層)を含む。当該調光可能な層は、IGUにおける調光可能なペインを形成するために、ガラスシートまたはポリマーシートに接着される。
【発明の概要】
【0005】
本明細書において、調光可能な窓ガラスおよびそれを含む断熱ガラスユニットが開示される。
【0006】
本明細書において、第一ガラスシートと、第二ガラスシートと、当該第一ガラスシートと当該第二ガラスシートとの間に配置された液晶材料とを含む透過制御層を含む窓ガラスが開示される。第一ガラスシートおよび第二ガラスシートのそれぞれは、約1mm以下の厚さを有する。第一パネルは、当該透過制御層の第一ガラスシートに接着される。第二パネルは、当該透過制御層の第二ガラスシートに接着される。当該透過制御層は、当該第一パネルと当該第二パネルとの間に配置される。当該液晶材料は、当該窓ガラスの透過率を調節するために、制御可能である。
【0007】
本明細書において、窓ガラスの透過率を調節するために制御可能である透過制御材料を含む透過制御層を含む窓ガラスが開示される。第一パネルは、当該透過制御層の第一外側表面に接着される。第二パネルは、当該透過制御層の第二外側表面に接着される。当該第一パネルおよび当該第二パネルのそれぞれは、約4mmから約6mmの厚さを有するガラスパネルである。当該窓ガラスの反り(bow)は、40mmの長さあたり約0.02mm以下である。
【0008】
本明細書において、本明細書において説明されるような窓ガラスと、第三パネルと、キャビティが当該窓ガラスと当該第三パネルとの間に配置され、スペーサーによって実質的に囲まれるように、当該窓ガラスと当該第三パネルとの間に配置されたスペーサーとを含む断熱ガラスユニットが開示される。
【0009】
上述の全般的説明および以下の詳細な説明は両方とも単なる例示であり、権利請求される主題の本質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることは理解されたい。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含められており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成すものである。当該図面は、1つまたは複数の実施形態を例示するものであり、説明と共に、様々な実施形態の原理および作用を説明するのに役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】窓ガラスのいくつかの実施形態の概略断面図。
図2図1の窓ガラスの透過制御層のいくつかの実施形態の概略断面図。
図3図1の窓ガラスを含むIGUのいくつかの実施形態の断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付の図面に示される例示的実施形態について詳細に言及する。可能な限り、図面全体を通じて、同じもしくは類似の部分を指すために、同じ参照番号が使用される。当該図面における構成要素は、必ずしも原寸に比例しているわけではなく、むしろ、例示的実施形態の原理を示すことに重点を置いている。
【0012】
範囲の終点などの数値は、本明細書において、用語「約(about)」「およそ(approximately)」などによって先行される近似値として表現することができる。そのような場合、他の実施形態は、特定の数値を含む。数値が、近似値として表現されるかどうかにかかわらず、2つの実施形態:近似値として表現される実施形態、および近似値として表現されない別の実施形態、が本開示に含まれる。さらに、各範囲の終点は、別の終点との関連において、および他の終点とは無関係に、の両方において重要であることは理解されるであろう。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「反り(bow)」は、シート(例えば、窓ガラス、またはその1つまたは複数の層)によって表現される湾曲量を意味する。当該反りは、当該シートを横置きに直立または垂直に(例えば、シートの長さが水平に延び、シートの幅が垂直に延びるように)置き、平棒を、下側の隅から反対側の上側の隅へと延びるように、当該にシートの凹面にわたって対角線上に置くことによって特定される。本明細書において説明される実施形態において、当該棒は、30mmの正方形のアルミニウム棒であった。当該反りは、当該シートの中央における当該シートと当該棒との間の距離である。本明細書において説明される実施形態において、当該距離は、ノギスを使用して測定した。
【0014】
本明細書において使用される場合、用語「平均熱膨張係数」または「平均CTE」は、0℃から300℃の間での所定のガラス、セラミック、またはガラス-セラミック材料または層の平均線膨張係数を意味する。本明細書において使用される場合、用語「熱膨張係数」または「CTE」は、特に明記されない限り、平均熱膨張係数を意味する。当該CTEは、例えば、ASTM E228 「Standard Test Method for Linear Thermal Expansion of Solid Materials With a Push-Rod Dilatometer」またはISO 7991:1987 「Glass - Determination of coefficient of mean linear thermal expansion」に記載の手順を使用して特定することができる。
【0015】
本明細書において説明される様々な実施形態において、ガラス物品(例えば、シートまたはパネル)は、当該ガラス物品内の所定の深さ(例えば、当該ガラス物品の外側表面からの距離)において圧縮応力または引張応力を有する。圧縮応力値および/または引張応力値は、例えば、複屈折率ベースの測定技術、屈折近視野(refracted near-field:RNF)技術、または光弾性測定技術(例えば、旋光計を使用する)などの任意の好適な技術を使用して特定することができる。応力測定のための例示的規格としては、例えば、ASTM C1422/C1422M - 10「Standard Specification for Chemically Strengthened Flat Glass」およびASTM F218「Standard Method for Analyzing Stress in Glass」が挙げられる。ガラス物品の「応力プロファイル」は、当該ガラス物品内の深さに対する応力の関係(例えば、深さに対する応力のプロットによって表されるような関係)である。
【0016】
様々な実施形態において、窓ガラスは、第一パネルと第二パネルとの間に配置された透過制御層を含む。当該透過制御層は、透過制御材料を含む。例えば、当該透過制御材料は、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、液晶材料、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、当該透過制御層は、フォトクロミック材料(例えば、フォトクロミックガラスシートまたはフォトクロミックポリマーシート)の単層から実質的になるか、またはそのような単層からなる。他の実施形態において、当該透過制御層は、シート(例えば、ガラスシートまたはポリマーシート)を含み、当該透過制御材料は、当該シート上に配置される。例えば、当該透過制御層は、当該シート上に配置されたエレクトロクロミック材料(例えば、エレクトロクロミックポリマーコーティング)を含む。追加的に、または二者択一的に、当該透過制御層は、第一シートと、第二シートと、当該第一シートと当該第二シートとの間に配置された液晶材料とを含む。例えば、当該第一シートは、第一ガラスシートである。追加的に、または二者択一的に、当該第二シートは、第二ガラスシートである。いくつかの実施形態において、当該第一シートおよび当該第二シートは、間にセルを形成するように、お互いに対して実質的に平行に配置されかつお互いから離間され、当該液晶材料は、当該セル内に配置される。いくつかの実施形態において、当該透過制御層のシートは、約1mm以下の厚さを有する。例えば、当該第一シートおよび当該第二シートのそれぞれは、約1mm以下の厚さを有する。当該第一パネルは、当該透過制御層の第一表面に接着され、当該第二パネルは、当該透過制御層の第二表面に接着される。例えば、当該第一パネルは、当該透過制御層の当該第一シートに接着され、当該第二パネルは、当該透過制御層の当該第二シートに接着される。当該透過制御材料は、窓ガラスの透過率を調節するために制御可能である。例えば、当該透過制御層の当該液晶材料は、窓ガラスの透過率を調節するために制御可能である。
【0017】
様々な実施形態において、断熱ガラスユニット(IGU)は、本明細書において説明されるような窓ガラスと、第三パネルと、キャビティが当該窓ガラスと当該第三パネルとの間に配置され、スペーサーによって実質的に囲まれるように、当該窓ガラスと当該第三パネルとの間に配置されたスペーサーとを含む。
【0018】
本明細書において説明される透過制御層の薄い第一および第二ガラスシートは、当該窓ガラスが、その強度を損なうことなく、減じられた厚さを有することを可能にし得る。追加的に、または二者択一的に、本明細書において説明されるような第一パネルと第二パネルとの間に当該透過制御層を位置決めすることにより、第一パネルまたは第二パネルの一方が省かれた窓ガラスと比べて減じられた反りを当該窓ガラスが有することを可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態において、当該第一パネルおよび第二パネルは、同様の材料(例えば、等しいまたは実質的に等しいCTEを有するガラス材料)から形成され、および/または等しいまたは実質的に等しい厚さを有する。したがって、当該窓ガラスは、対称または実質的に対称な構成を有し、これは、反りの減少を可能にし得る。減じられた反りを有する当該窓ガラスは、本明細書において説明されるような窓ガラスを伴うIGUが、減じられた応力を示すことを可能にし得る。
【0019】
図1は、窓ガラス100のいくつかの実施形態の概略断面図である。いくつかの実施形態において、窓ガラス100は、第一パネル130と第二パネル140との間に配置された透過制御層110を含む。いくつかの実施形態において、窓ガラス100(および/またはそれらの様々な構成要素または層)は、シートとして構成される。例えば、窓ガラス100は、厚さ、幅、および長さを有し、この場合、幅は、厚さより大きく、長さは、幅より大きいかまたは等しい。そのような実施形態において、幅および長さのそれぞれは、実質的に厚さより大きくあり得る。例えば、幅および長さのそれぞれは、厚さより少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍大きい。当該シートは、平面状または実質的に平面状であり得る(例えば、平坦であり得る)。あるいは、当該シートは、非平面状であり得る(例えば、湾曲し得る)。
【0020】
図2は、透過制御層110のいくつかの実施形態の概略断面図である。透過制御層110は、第一シート112と、第二シート114と、当該第一シート112と当該第二シート114との間に配置された液晶材料116とを含む。第一シート112は、第一表面118および当該第一表面に対向する第二表面119を有する。第一シート112の厚さは、第一表面118と第二表面119との間の距離である。第二シート114は、第一表面120および当該第一表面に対向する第二表面121を有する。第二シート114の厚さは、第一表面120と第二表面121との間の距離である。
【0021】
いくつかの実施形態において、第一シート112は、比較的薄いガラスシートである。追加的に、または二者択一的に、第二シート114は、比較的薄いガラスシートである。例えば、第一シート112および/または第二シート114は、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、または約0.7mm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、第一シート112および/または第二シート114は、約0.01mm以上、約0.02mm以上、約0.03mm以上、約0.04mm以上、約0.05mm以上、約0.1mm以上、約0.2mm以上、約0.3mm以上、約0.4mm以上、または約0.5mm以上の厚さを有する。例えば、第一シート112および/または第二シート114は、約0.5mmから約0.7mmの厚さを有する。第一シート112および第二シート114の当該厚さは、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、第一シート112および/または第二シート114は、ガラス材料、セラミック材料、ガラス-セラミック材料、ポリマー性材料、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらから形成される。例えば、図2に示される実施形態において、第一シート112および第二シート114のそれぞれは、ガラス材料、セラミック材料、またはガラス-セラミック材料を含むか、またはそれらから形成される。いくつかの実施形態において、第一シート112および/または第二シート114は、アルミノケイ酸ガラスを含む。追加的に、または二者択一的に、第一シート112および/または第二シート114は、アルカリ金属およびアルカリ金属を含む成分を含有しないまたは実質的に含有しない無アルカリガラスを含む。例えば、当該無アルカリガラスは、酸化物ベースにおいて表現される場合、0.1モル%以下、0.05モル%以下、または0.01モル%以下のROを含み、この場合、Rは、Li、Na、またはKの1つまたは複数である。当該無アルカリガラスは、第一シート112および/または第二シート114から液晶材料116へのアルカリの移動を避けるのに役立ち得、結果として、アルカリ材料が、印可された電圧から液晶材料を遮蔽するのを避けることができ、液晶材料の性能を維持することができる。いくつかの実施形態において、第一シート112および/または第二シート114は、アルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物を含むアルカリ含有ガラスを含む。例えば、当該アルカリ含有ガラスは、酸化物ベースで表現される場合、1モル%以上、5モル%以上、または10モル%以上のROを含み、この場合、Rは、Li、Na、またはKの1つまたは複数である。追加的に、または二者択一的に、当該アルカリ含有ガラスは、アルカリアルミノケイ酸ガラスである。第一シート112および第二シート114の組成は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、第一シート112および第二シート114は、その間にセルを形成するようにお互いに離間され、液晶材料116は、当該セル内に配置される。追加的に、または二者択一的に、第一シート112および第二シート114は、お互いに対して実質的に平行に配置される。当該セルの厚さは、第一シート112の第二表面119と第二シート114の第一表面120との間の距離である。いくつかの実施形態において、当該セルは、約20μm以下、約18μm以下、約16μm以下、約14μm以下、約12μm以下、または約10μm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、当該セルは、約6μm以上の厚さを有する。例えば、当該セルは、約6μmから約10μm、または約8μmの厚さを有する。当該セルの厚さは、均一(例えば、第一シート112および第二シート114が、お互いに対して実質的に平行に配置される実施形態において)または不均一(例えば、第一シート112および第二シート114が、お互いに対して実質的に平行に配置されていない実施形態において)であり得る。液晶材料116の性能は、第一シート112と第二シート114との間の間隔に影響を受けやすくあり得る。いくつかの実施形態において、第一シート112および第二シート114は、液晶材料116の望ましい性能を可能するための正確で均一な離間を可能にするために、正確な厚さ均一性および/または表面平滑性を有する。例えば、第一シート112および/または第二シート114は、フュージョン成形されたガラスシートである。例えば、第一シート112および/または第二シート114は、Corning Incorporated社(コーニング、ニューヨーク)製のEAGLEXG(登録商標)ガラス基板として市販されているフュージョン成形されたガラスシート、またはCorning Incorporated社(コーニング、ニューヨーク)製のWillow(登録商標)ガラスとして市販されている軟質ガラスシートである。そのようなフュージョン成形されたガラスシートは、望ましい液晶材料性能を可能にする、所望の厚さ均一性および表面特性を示すことができる。フュージョン成形されたガラスシートは、その中の、成形の際に別々のガラス層が単一のガラスシートへと融合することによって生じた融合線(fusion line)の存在によって識別することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、液晶材料116は、第一シート112と第二シート114との間に配置された液晶層を形成する。いくつかの実施形態において、液晶層は、約20μm以下、約18μm以下、約16μm以下、約14μm以下、約12μm以下、または約10μm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、当該液晶層は、約6μm以上の厚さを有する。例えば、当該液晶層は、約6μmから約10μm、または約8μmの厚さを有する。当該液晶層の厚さは、均一または不均一(例えば、テーパー状)であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、液晶材料116は、高分子分散型液晶(PDLC)材料、ゲストホスト液晶材料、コレステリック液晶材料、キラル液晶材料、ネマチック液晶材料、またはそれらの組み合わせを含む。液晶材料116は、当該液晶材料の透過率を調節するために、(例えば、液晶材料を電界に晒すことによって)操作することができ、それにより、窓ガラス100の透過率を調節することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、透過制御層110は、第一シート112と液晶材料116との間に配置された第一導電層122を含む。追加的に、または二者択一的に、透過制御層110は、第二シート114と液晶材料116との間に配置された第二導電層123を含む。したがって、第一導電層122および/または第二導電層123は、第一シート112と第二シート114との間に形成されるセル内に配置することができる。いくつかの実施形態において、第一導電層122および/または第二導電層123は、透明導電体材料を含むか、または透明導電体材料から形成される。例えば、第一導電層122および/または第二導電層123は、透明導電性酸化物(TCO)、導電性ポリマー、金属グリッド、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、ナノワイヤメッシュ、極薄金属、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第一導電層122および/または第二導電層123は、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、またはそれらの組み合わせを含む。第一導電層122および第二導電層123は、液晶材料の透過率を調節するために液晶材料116を電界に晒すための電極として機能することができる。いくつかの実施形態において、第一導電層122または第二導電層123の一方または両方は、お互いに独立して減光することができる複数のゾーンに透過制御層110を分割するようにパターン形成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、透過制御層110は、第一シート112と液晶材料116との間に配置された第一配向層(alignment layer)124を含む。例えば、図2に示される実施形態において、第一配向層124は、第一導電層122と液晶材料116との間に配置される。追加的に、または二者択一的に、透過制御層110は、第二シート114と液晶材料116との間に配置された第二配向層125を含む。例えば、図2に示される実施形態において、第二配向層125は、第二導電層123と液晶材料116との間に配置される。したがって、第一配向層124および/または第二配向層125は、第一シート112と第二シート114との間に形成されるセル内に配置することができる。第一配向層124および第二配向層125は、それぞれの配向層に対して特定の角度(例えば、プレチルト角)に液晶材料116の分子を配向させるのに役立ち得る。例えば、第一配向層124および/または第二配向層125は、有機材料または無機材料から形成されるか、またはそれらを含み、当該材料上に決定された表面構造が形成され、液晶材料116を整列させるのに役立つ。
【0028】
いくつかの実施形態において、透過制御層110は、第一シート112と第二シート114との間に配置されたシーラントを含む。当該シーラントは、液晶材料116を実質的に囲み得、第一シート112および第二シート114の間に当該液晶を適所に維持するのに、および/または当該液晶材料を損傷し得る環境暴露から当該液晶材料を保護するのに、役立ち得る。例えば、当該シーラントは、当該セルの周囲の周りに配置されたポリマー材料またはガラスフリットの環を含む。
【0029】
透過制御層110の厚さは、当該透過制御層の外側表面の間の距離である。例えば、図1から図2に示される実施形態において、透過制御層110の厚さは、第一シート112の第一表面118と第二シート114の第二表面121との間の距離である。いくつかの実施形態において、透過制御層110は、約1.5mm以下、約1.4mm以下、約1.3mm以下、約1.2mm以下、約1.1mm以下、または約1mm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、透過制御層110は、約0.1mm以上、約0.2mm以上、約0.3mm以上、約0.4mm以上、約0.5mm以上、約0.6mm以上、約0.7mm以上、約0.8mm以上、約0.9mm以上、または約1mm以上の厚さを有する。比較的薄い第一シート112および第二シート114は、従来の液晶パネルと比べて減じられた厚さを透過制御層110が有することを可能にし得る。透過制御層110のそのような減じられた厚さは、窓ガラス100および/または当該窓ガラスを含むIGUにおける減じられた厚さを可能にし得る。
【0030】
透過制御層110は、第一シート112と第二シート114との間に配置された液晶材料116を含むように、本明細書において説明されるが、他の実施形態も本開示に含まれる。他の実施形態において、当該透過制御層は、透過制御材料を含み、それらは、液晶材料を含んでいても、または含んでいなくてもよい。例えば、当該透過制御材料は、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、液晶材料、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、当該透過制御層は、フォトクロミック材料(例えば、フォトクロミックガラスシートまたはフォトクロミックポリマーシート)の単層から実質的になるか、またはそのような単層からなる。他の実施形態において、当該透過制御層は、シートを含み、当該透過制御材料は、当該シート上に配置される。例えば、当該透過制御層は、当該シート上に配置されたエレクトロクロミック材料(例えば、エレクトロクロミックポリマーコーティング)を含む。様々な実施形態において、当該透過制御層は、本明細書において説明されるような第一パネル130と第二パネル140との間に配置され、それらは、本明細書において説明されるような窓ガラスにおける減じられた反りを可能にし得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、透過制御層110は、図1に示されるように、第一パネル130と第二パネル140との間に配置される。例えば、第一パネル130は、第一シート112(例えば、当該第一シートの第一表面118)に接着される。追加的に、または二者択一的に、第二パネル140は、第二シート114(例えば、当該第二シートの第二表面121)に接着される。いくつかの実施形態において、第一パネル130は、シートとして構成される。したがって、第一パネル130は、第一表面131および当該第一表面に対向する第二表面132を有する。第一パネル130の厚さは、第一表面131と第二表面132との間の距離である。追加的に、または二者択一的に、第二パネル140は、シートとして構成される。したがって、当該第二パネル140は、第一表面141および当該第一表面に対向する第二表面142を有する。第二パネル140の厚さは、第一表面141と第二表面142との間の距離である。
【0032】
いくつかの実施形態において、第一パネル130は、比較的厚いパネルである。追加的に、または二者択一的に、第二パネル140は、比較的厚いパネルである。例えば、第一パネル130および/または第二パネル140は、約1mm以上、約1.5mm以上、約2mm以上、約2.5mm以上、約3mm以上、約3.5mm以上、または約4mm以上の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、第一パネル130および/または第二パネル140は、約10mm以下、約9.5mm以下、約9mm以下、約8.5mm以下、約8mm以下、約7.5mm以下、約7mm以下、約6.5mm以下、または約6mm以下の厚さを有する。例えば、第一パネル130および/または第二パネル140は、約4mmから約6mmの厚さを有する。第一パネル130および第二パネル140の厚さは、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、第一パネル130は、ガラス材料、セラミック材料、ガラス-セラミック材料、ポリマー性材料、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらから形成される。追加的に、または二者択一的に、第二パネル140は、ガラス材料、セラミック材料、ガラス-セラミック材料、ポリマー性材料、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらから形成される。いくつかの実施形態において、第一パネル130および/または第二パネル140は、アルミノケイ酸ガラスを含む。そのような実施形態のいくつかにおいて、第一パネル130および/または第二パネル140は、アルカリアルミノケイ酸ガラスを含む。例えば、第一パネル130および/または第二パネル140は、Corning Incorporated社(コーニング、ニューヨーク)製のGorilla(登録商標)ガラスまたはソーダ石灰ガラスのような市販されているガラスを含む。第一パネル130および第二パネル140の組成は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、第一パネル130は、強化されたガラスパネルである。追加的に、または二者択一的に、第二パネル140は、強化されたガラスパネルである。例えば、第一パネル130および/または第二パネル140は、熱強化されたガラスパネルである。追加的に、または二者択一的に、第一パネル130および/または第二パネル140は、化学強化またはイオン交換されたガラスパネルである。そのような強化されたガラスパネルは、当該パネルの外側表面の一方または両方に圧縮応力を、ならびに当該パネルの中間領域に引張応力を有することができる。当該圧縮応力は、当該パネル内に亀裂が伝搬するのを防ぐのに役立ち得る。強化された第一パネル130および/または第二パネル140は、当該パネルの厚さを減じることを可能にし得、それにより、当該強化されたパネルを含む窓ガラス100および/またはIGUが従来の窓ガラスおよび/またはIGUと比べて減じられた厚さを有することを可能にし、それにより、減じられた重量を可能にし得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、第一パネル130は、第一接着剤層134によって第一シート112に接着される。追加的に、または二者択一的に、第二パネル140は、第二接着剤層144によって第二シート114に接着される。いくつかの実施形態において、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、ポリマー性接着剤を含む。例えば、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー、イオノプラスト(ionoplast)、またはそれらの組み合わせを含む。追加的に、または二者択一的に、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、紫外(UV)光を遮断する。いくつかの実施形態において、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、10nmから380nmの波長範囲において、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下の平均透過率を有する。例えば、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、Eastman Chemical Company(キングズポート、テネシー)製のSaflex(登録商標)のような市販されている中間層材料を含む。いくつかの実施形態において、液晶材料116は、UV遮蔽性第一接着剤層134とUV遮蔽性第二接着剤層144との間に配置される。そのような実施形態において、窓ガラス100は、UV遮蔽性第一接着剤層134が、窓ガラスに入射する日光中に存在するUV光によって液晶材料116が損傷されるのを防ぐのに役立つように、ならびにUV遮蔽性第二接着剤層144が、窓ガラスに入射する人工の建物光(蛍光灯)中に存在するUV光によって液晶材料116が損傷されるのを防ぐのに役立つように、本明細書において説明されるような建物に設置される。したがって、UV遮蔽性接着剤層の間に液晶材料を位置することにより、窓ガラスの対向する表面に入射するUV光から液晶材料を保護するのに役立ち得る。
【0036】
第一パネル130は、好適なラミネーションプロセスを使用して第一ガラスシート112に接着することができる。例えば、第一接着剤層134は、ロールコーティング、カーテンコーティング、または別の好適なコーティングまたは印刷プロセスによって第一パネル130および/または第一シート112に塗り付けられ、当該第一パネル、当該第一接着剤層、および当該第一シートがスタック状に配置される。追加的に、または二者択一的に、第二接着剤層144は、第二パネル140および/または第二シート114に塗り付けられ、当該第二パネル、当該第二接着剤層、および当該第二シートがスタック状に配置される。いくつかの実施形態において、透過制御層110が形成された後に、当該層に第一パネル130および/または第二パネル140が当該透過制御層に接着される。したがって、当該スタックは、第一パネル130、第一接着剤層134、第一シート112、液晶材料116、第二シート114、第二接着剤層144、および第二パネル140を含む。いくつかの実施形態において、当該スタックは、フラットベッドラミネータ(例えば、脱気および粘着プロセスにおいて)または別の好適なラミネータを使用して、事前にラミネートされる。追加的に、または二者択一的に、当該スタックは、オートクレーブあるいは別の好適な加熱および/または加圧機器において接着される。
【0037】
第一接着剤層134および第二接着剤層144の厚さは、それぞれの接着剤層の外側表面の間の距離である。例えば、図1に示される実施形態において、第一接着剤層134の厚さは、第一パネル130の第二表面132と第一シート112の第一表面118との間の距離である。追加的に、または二者択一的に、第二接着剤層144の厚さは、第二パネル140の第一表面141と第二シート114の第二表面121との間の距離である。いくつかの実施形態において、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、または約0.5mm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、約0.1mm以上、約0.2mm以上、約0.3mm以上、約0.4mm以上、約0.5mm以上、約0.6mm以上、または約0.7mm以上の厚さを有する。例えば、第一接着剤層134および/または第二接着剤層144は、約0.6mmから約0.7mmの厚さを有する。第一接着剤層134および第二接着剤層144の厚さは、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0038】
窓ガラス100の厚さは、当該窓ガラスの外側表面の間の距離である。例えば、図1に示される実施形態において、窓ガラス100の厚さは、第一パネル130の第一表面131と第二パネル140の第二表面142との間の距離である。いくつかの実施形態において、窓ガラス100は、約15mm以下、約14mm以下、約13mm以下、約12mm以下、約11mm以下、または約10mm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、窓ガラス100は、約8mm以上、約9mm以上、または約10mm以上の厚さを有する。
【0039】
第一パネル130と第二パネル140との間における透過制御層110の位置は、当該窓ガラス100が、第一パネルまたは第二パネルの一方が省かれた窓ガラスと比べて減じられた反りを有することを可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態において、窓ガラス100は、約0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、0.05mm以下、0.04mm以下、0.03mm以下、または0.02mm以下の反りを有する。いくつかの実施形態において、当該反りは、長さの単位あたりで正規化することができる。例えば、いくつかの実施形態において、窓ガラス100は、40mmの長さあたり約0.2mm以下、40mmの長さあたり約0.18mm以下、40mmの長さあたり約0.16mm以下、40mmの長さあたり約0.14mm以下、40mmの長さあたり約0.12mm以下、40mmの長さあたり約0.1mm以下、40mmの長さあたり約0.08mm以下、40mmの長さあたり約0.06mm以下、40mmの長さあたり約0.04mm以下、40mmの長さあたり約0.02mm以下、40mmの長さあたり約0.01mm以下、40mmの長さあたり約0.005mm以下、40mmの長さあたり約0.004mm以下、40mmの長さあたり約0.003mm以下、40mmの長さあたり約0.002mm以下、または40mmの長さあたり約0.001mm以下の反りを有する。
【0040】
窓ガラスの幅および/または長さが増加するに従って、反りも増加する傾向にある。いくつかの実施形態において、窓ガラス100の幅は、約350mm以上、約400mm以上、約450mm以上、約500mm以上、約600mm以上、約700mm以上、約800mm以上、約900mm以上、約1000mm以上、約1500mm以上、約2000mm以上、または約2500mm以上である。追加的に、または二者択一的に、窓ガラス100の当該幅は、約5000mm以下、約4000mm以下、または約3000mm以下である。追加的に、または二者択一的に、窓ガラス100の長さは、約350mm以上、約400mm以上、約450mm以上、約500mm以上、約600mm以上、約700mm以上、約800mm以上、約900mm以上、約1000mm以上、約1500mm以上、約2000mm以上、または約2500mm以上である。追加的に、または二者択一的に、窓ガラス100の長さは、約5000mm以下、約4000mm以下、または約3000mm以下である。窓ガラス100の幅および窓ガラス100の長さは、同じであってもまたは異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、窓ガラス100は、大きい幅および/または長さにもかかわらず、本明細書において説明される低い反りを有する。そのような低い反りは、本明細書において説明されるような、第一パネル130と第二パネル140との間における透過制御層110の位置によって可能にし得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、窓ガラス100は、対称な構成を含む。例えば、第一パネル130および第二パネル140は、同じまたは実質的に同じ厚さ、組成、CTE、および/または応力プロファイルを有する。そのような対称な構成は、窓ガラス100における減じられた反りを可能にし得る。例えば、第一パネルまたは当該第二パネルの一方を省略した窓ガラスは、残りのパネルおよび透過制御層における異なる膨張または収縮により、温度変化によって歪み得る。対照的に、本明細書において説明される窓ガラス100における対称な構成は、第二パネル140と比べて異なる第一パネル130の膨張または収縮を減じるまたは排除することによって、そのような歪みを防ぐのに役立ち得る。
【0042】
図3は、窓ガラス100を含むIGU200のいくつかの実施形態の断面概略図である。IGU200は、第三パネル260および、窓ガラスと第三パネルとの間にキャビティ280が配置されるように、窓ガラス100と第三パネルの間に配置されたスペーサー270を含む。いくつかの実施形態において、第三パネル260は、第一パネル130および/または第二パネル140に関して本明細書において説明されるように構成することができる。例えば、第三パネル260は、第一表面261と、当該第一表面に対向する第二表面262と、当該第一表面と第二表面との間に広がる厚さとを有するシートである。追加的に、または二者択一的に、第三パネル260は、本明細書において説明されるような比較的厚いパネルであり得る。追加的に、または二者択一的に、第三パネル260は、強化されたガラスシートまたは強化されていないガラスシートであり得る。いくつかの実施形態において、IGU200は、単一の透過制御層(例えば、透過制御層110)および/または単一の液晶層(例えば、液晶材料116によって形成される)を含む。したがって、窓ガラス100は、追加の透過制御層および/または液晶層を含み得ない。そのような単一の透過制御層および/または液晶層は、本明細書において説明されるような第一ガラスシート112および/または第二ガラスシート114の均一な厚さおよび/または表面特性によって可能となり得る、透過制御層110および/または液晶材料116における改良された性能(例えば、厚さの減少にもかかわらず、より良好な着色または透過の減少を達成することができる)によって可能となり得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、スペーサー270は、キャビティ280を実質的に囲む。例えば、スペーサー270は、窓ガラス100および第三パネル260の縁付近に配置された、キャビティ280の周囲の周りを実質的に完全にまたは完全に囲んで延在するフレームを含む。スペーサー270は、窓ガラス100と第三パネル260との間の分離を維持するのに役立ち得る。したがって、スペーサー270の厚さは、キャビティ280の厚さに実質的に等しくあり得る。いくつかの実施形態において、スペーサー270は、金属材料、ポリマー性材料、ガラス材料、セラミック材料、ガラス-セラミック材料、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、スペーサー270は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む。いくつかの実施形態において、スペーサー270は、デシカント材を含む。例えば、スペーサー270は、当該スペーサー中に(例えば、キャビティ280に面する内側表面上に)形成された溝を含み、当該デシカント材は当該溝内に配置される。当該デシカント材は、窓ガラス100および/または第三パネル260の内側を向いた表面(例えば、第二パネル140の第二表面142および/または第三パネル260の第一表面261)上での結露の形成を防ぐために、キャビティ280から湿気を除去するのに役立ち得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、IGU200の外縁の周りに配置されたスペーサー270および/またはフレームは、平面状態または実質的に平面状態において、窓ガラス100を維持することができる。したがって、本明細書において説明されるような窓ガラス100における減じられた反りは、IGU200のスペーサー270および/またはフレームに加わる力を減らすことができ、これによりIGUの機械的な一体性を向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、キャビティ280は、当該キャビティ内に配置されたガスを含む。例えば、キャビティ280は、当該キャビティ内に配置された、空気、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態において、キャビティ280は、当該キャビティ内に引かれた少なくとも部分的真空を含む。キャビティ280内のガスまたは真空は、当該キャビティを通る熱伝導を減じることができ、それにより、IGU200を通る熱伝導を減じることができる。そのような減じられた熱伝導は、当該IGUの断熱効率を増加させることができ、それは、建築用途(例えば、建物の外側の窓)において有益であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、キャビティ280の厚さは、第二パネル140の第二表面142と第三パネル260の第一表面261(または本明細書において説明されるような第三パネル上に配置された低放射線率コーティングの、内側を向いた表面)との間の距離である。いくつかの実施形態において、キャビティ280は、約15mm以下、約14mm以下、約13mm以下、約12mm以下、約11mm以下、または約10mm以下の厚さを有する。追加的に、または二者択一的に、キャビティ280は、約9mm以上、約10mm以上、約11mm以上、約12mm以上、約13mm以上、または約14mm以上の厚さを有する。例えば、キャビティ280は、約10mmから約14mm、または約12mmの厚さを有する。キャビティ280の当該厚さは、当該キャビティを通る減じられた熱伝導を可能にし得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、IGU200は、シール290を含む。例えば、シール290は、窓ガラス100と第三パネル260との間に配置される。追加的に、または二者択一的に、シール290は、キャビティ280および/またはスペーサー270を囲むかまたは実質的に囲む。シール290は、キャビティ280内のガスがキャビティから抜けるのを防ぐため、および/または大気ガスおよび/または液体が当該キャビティ内に侵入するのを防ぐために役立ち得、それにより、IGU200の断熱特性を維持するために役立ち得る。いくつかの実施形態において、シール290は、シリコーン材料を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、IGU200は、低放射率コーティング層264を含む。そのような実施形態のいくつかにおいて、低放射率コーティング層264は、第三パネル260の表面上に配置される。例えば、低放射率コーティング層264は、第三パネル260の第一表面261上に配置される。他の実施形態において、当該低放射率コーティング層は、窓ガラス(例えば、第二パネル140の第二表面142)上に配置される。窓ガラスにおける内側を向いた表面上または第三層上(例えば、当該IGUのキャビティ内)に当該低放射率コーティング層を配置することは、環境暴露から当該低放射率コーティング層を保護すること、ならびに/あるいは当該IGUの外側表面を耐スクラッチ性および/または化学的耐性を維持することに役立ち得る。
【0049】
IGU200の厚さは、当該IGUの外側表面の間の距離である。例えば、図3に示される実施形態において、IGU200の厚さは、第一パネル130の第一表面131と第三パネル260の第二表面262との間の距離である。比較的薄い窓ガラス100は、IGU200が、より厚い窓ガラスを伴うIGUと比較して減じられた厚さを有することを可能にし得る。いくつかの実施形態において、キャビティ280の厚さは、約12mm以上であり、IGU200の厚さは、約37mm以下、約36mm以下、約35mm以下、約34mm以下、約33mm以下、約32mm以下、約31mm以下、または約30mm以下である。
【実施例0050】
以下の実施例により、様々な実施形態をさらに明確となるであろう。
【0051】
実施例1
図1に示される基本的構成を有する窓ガラスを形成した。当該透過制御層は、図2に示される基本的構成を有した。当該透過制御層の第一シートおよび第二シートのそれぞれは、0.7mmの厚さ、500mmの幅、および750mmの長さを有する無アルカリアルミノケイ酸ガラスシートであった。当該液晶層は、8.5μmの厚さを有した。当該第一パネルおよび当該第二パネルのそれぞれは、4mmの厚さ、506mmの幅、および754mmの長さを有する、アニール処理された(例えば、強化されていない)ソーダ石灰ガラスシートであった。当該第一パネルおよび第二パネルを、0.76mmの厚さのPVB接着剤によって当該透過制御層に接着した。
【0052】
当該窓ガラスの平均反りは、0.02mm、または40mmの長さあたり0.001mmであった。
【0053】
比較例1
窓ガラスを、当該窓ガラスが非対称な構成を有するように第二パネルを省略した以外、実施例1において説明したとおりに形成した。
【0054】
当該窓ガラスの平均反りは、0.56mm、または40mmの長さあたり0.03mmであった。
【0055】
権利請求される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、様々な変更および変形を為すことができることは、当業者には明白であろう。したがって、権利請求される主題は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物を考慮することを除いて、制限されるものではない。
【0056】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0057】
実施形態1
第一ガラスシートと、第二ガラスシートと、当該第一ガラスシートと当該第二ガラスシートとの間に配置された液晶材料とを含む透過制御層であって、当該第一ガラスシートおよび当該第二ガラスシートのそれぞれが、約1mm以下の厚さを有する、透過制御層と、
当該透過制御層の当該第一ガラスシートに接着された第一パネルと、
当該透過制御層の当該第二ガラスシートに接着された第二パネルと
を含み、
当該透過制御層が、当該第一パネルと当該第二パネルの間に配置され、
当該液晶材料が、窓ガラスの透過率を調節するために制御可能である、
窓ガラス。
【0058】
実施形態2
反りが、40mmの長さあたり約0.02mm以下である、実施形態1に記載の窓ガラス。
【0059】
実施形態3
幅が約500mm以上であり、
長さが約750mm以上である、
実施形態2に記載の窓ガラス。
【0060】
実施形態4
上記第一ガラスシートおよび上記第二ガラスシートのそれぞれが、フュージョン形成されたガラスシートである、実施形態1から3のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0061】
実施形態5
上記第一パネルが、第一接着剤層によって上記透過制御層の上記第一ガラスシートに接着され、
上記第二パネルが、第二接着剤層によって当該透過制御層の上記第二ガラスシートに接着される、
実施形態1から4のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0062】
実施形態6
上記第一接着剤層および上記第二接着剤層のそれぞれが、紫外(UV)光を遮断するポリマー性接着剤を含む、実施形態5に記載の窓ガラス。
【0063】
実施形態7
上記透過制御層の上記第一ガラスシートおよび上記第二ガラスシートが、間にセルを形成するようにお互いに対して実質的に平行に配置されかつお互いから離間され、上記液晶材料が、当該セル内に配置される、実施形態1から6のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0064】
実施形態8
上記セルが、約25μm以下の厚さを有する、実施形態7に記載の窓ガラス。
【0065】
実施形態9
上記セルが、約6μmから約10μmの厚さを有する、実施形態8に記載の窓ガラス。
【0066】
実施形態10
上記第一ガラスシートおよび上記第二ガラスシートのそれぞれが、約0.5mmから約0.7mmの厚さを有する、実施形態1から9のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0067】
実施形態11
上記第一パネルおよび上記第二パネルのそれぞれが、約3mm以上の厚さを有する、実施形態1から10のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0068】
実施形態12
上記第一パネルおよび上記第二パネルのそれぞれが、約4mmから約6mmの厚さを有する、実施形態11に記載の窓ガラス。
【0069】
実施形態13
上記第一パネルおよび上記第二パネルのそれぞれが、ガラスパネルである、実施形態1から12のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0070】
実施形態14
上記第一パネルまたは上記第二パネルの少なくとも一方が、強化されたガラスパネルである、実施形態13に記載の窓ガラス。
【0071】
実施形態15
上記第一パネルおよび上記第二パネルのそれぞれが、強化されたガラスパネルである、実施形態14に記載の窓ガラス。
【0072】
実施形態16
上記透過制御層が、
上記第一ガラスシートと上記液晶材料との間に配置された第一導電層と、
上記第二ガラスシートと当該液晶材料との間に配置された第二導電層と、
を含む、実施形態1から15のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0073】
実施形態17
上記透過制御層が、
上記第一ガラスシートと上記液晶材料との間に配置された第一配向層と、
上記第二ガラスシートと当該液晶材料との間に配置された第二配向層と
を含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0074】
実施形態18
上記液晶材料が、高分子分散型液晶(PDLC)材料、ゲストホスト液晶材料、コレステリック液晶材料、キラル液晶材料、ネマチック液晶材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から17のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0075】
実施形態19
上記透過制御層の厚さが、約1.5mm以下である、実施形態1から18のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0076】
実施形態20
厚さが約15mm以下である、実施形態1から19のいずれか1つに記載の窓ガラス。
【0077】
実施形態21
窓ガラスの透過率を調節するために制御可能である透過制御材料を含む透過制御層と、
当該透過制御層の第一外側表面に接着された第一パネルと、
当該透過制御層の第二外側表面に接着された第二パネルと、
を含み、
当該第一パネルおよび当該第二パネルのそれぞれが、約4mmから約6mmの厚さを有するガラスパネルであり、
反りが、40mmの長さあたり約0.02mm以下である、
窓ガラス。
【0078】
実施形態22
上記透過制御材料が、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、液晶材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態21に記載の窓ガラス。
【0079】
実施形態23
実施形態1から22のいずれか1つに記載の窓ガラスと、
第三パネルと、
キャビティが当該窓ガラスと当該第三パネルとの間に配置され、スペーサーによって実質的に囲まれるように、当該窓ガラスと当該第三パネルとの間に配置されたスペーサーと
を含む断熱ガラスユニット。
【0080】
実施形態24
上記第三パネルが、約3mm以上の厚さを有する、実施形態23に記載の断熱ガラスユニット。
【0081】
実施形態25
上記第三パネルが、約4mmから約6mmの厚さを有する、実施形態24に記載の断熱ガラスユニット。
【0082】
実施形態26
上記第三パネルがガラスパネルである、実施形態23から25のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット。
【0083】
実施形態27
上記第三パネルが、強化されたガラスパネルである、実施形態26に記載の断熱ガラスユニット。
【0084】
実施形態28
上記第三パネルが、ラミネートされたガラスパネルである、実施形態26に記載の断熱ガラスユニット。
【0085】
実施形態29
さらに、上記第三パネルの表面上に低放射率コーティングを含む、実施形態23から28のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット。
【0086】
実施形態30
上記キャビティの厚さが、約10mm以上である、実施形態23から29のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット。
【0087】
実施形態31
上記キャビティの厚さが、約12mm以上であり、
厚さが、約31mm以下である、
実施形態23から30のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット。
【0088】
実施形態32
さらに、上記窓ガラスと上記第三パネルとの間に配置され、上記キャビティを囲むシール、を含む、実施形態23から31のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット。
【0089】
実施形態33
さらに、上記キャビティ内に配置されたガスを含む、
【符号の説明】
【0090】
100 窓ガラス
110 透過制御層
112 第一シート
114 第二シート
116 液晶材料
118、120、131、141 第一表面
119、121、132、142 第二表面
122 第一導電層
123 第二導電層
124 第一配向層
125 第二配向層
130 第一パネル
134 第一接着剤層
140 第二パネル
144 第二接着剤層
200 IGU
260 第三パネル
261 第一表面
262 第二表面
264 低放射率コーティング層
270 スペーサー
280 キャビティ
290 シール
図1
図2
図3