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特開2023-109854窒化ケイ素エッチング組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109854
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】窒化ケイ素エッチング組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230801BHJP
   C09K 13/04 20060101ALI20230801BHJP
   C09K 13/08 20060101ALI20230801BHJP
   C09K 13/10 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H01L21/306 E
C09K13/04 101
C09K13/08
C09K13/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023078794
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2021526685の分割
【原出願日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】62/767,904
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ビロドウ, スティーヴン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】ウー, シン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ミン-チェ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, エマニュエル アイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3D NAND構造のエッチングに特に有用である組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、リン酸と、アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシラン化合物と、水を含む溶媒と、任意選択でフッ素化合物と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リン酸と、
(b)(i)アルキルアミノアルコキシシラン及び(ii)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランであって、アルコキシ、ヒドロキシル及びフルオロから選択される少なくとも1つの部分を有する、少なくとも1つのシランと、
(c)水を含む溶媒と、任意選択で、
(d)ヘキサフルオロケイ酸以外である、フッ素化合物と、
を含む、組成物。
【請求項2】
リン酸が、組成物の総重量に基づいて50~95重量パーセントの範囲に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フッ素化合物が存在し、HF及びモノフルオロリン酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
フッ素化合物が、フッ化セシウム及びフッ化カリウムから選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
フッ素化合物が存在し、フルオロホウ酸、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、式NR’BF及びPR’BFをそれぞれ有する第四級アンモニウムテトラフルオロボラート及び第四級ホスホニウムテトラフルオロボラート(式中、R’は互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖、分岐又は環状C~Cアルキル、及び直鎖又は分岐C~C10アリールから選択される)、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBA-BF)、並びにそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物が、式
(式中、各Xは、フッ素、C~Cアルキル基、又は式-ORの基から独立して選択され、式中、Rは水素又はC~Cアルキル基であり、nは1~6の整数であり、各Rは、水素、C~Cアルキル基、又は式C~Cアルコキシ(CHn--から独立して選択される)
により表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Rがメチル又はエチルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(3-アミノプロピル)シラン-トリオール、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(N,N-ジメチル-3-アンノプロピル)トリメトキシシラン、及び3-アミノプロピルジメチルフルオロシランから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
第一級、第二級又は第三級C~Cアルキルアミン又はそれらのリン酸二水素塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物が、式
(式中、各Xは、フッ素、C~Cアルキル基、又は式-ORの基から独立して選択され、式中、Rは水素又はC~Cアルキル基であり、nは1~6の整数であり、yは1~6の整数であり、zは1~6の整数である)
により表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
Rがメチル又はエチルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
シランが、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル-シラントリオール、(3-トリメトキシシリルプロピル)デチレントリアミン、及びN-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシランから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
第一級、第二級又は第三級C~Cアルキルアミン又はそれらのリン酸二水素塩をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
(a)リン酸と、
(b)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル-シラン-トリオール又は(3-アミノプロピル)シラントリオールと、
(c)水を含む溶媒と、
を含む、組成物。
【請求項15】
HF又はモノフルオロリン酸をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
トリエチルアミン又はそのリン酸二水素塩をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
マイクロ電子デバイスから窒化ケイ素を除去する方法であって、マイクロ電子デバイスから前記窒化ケイ素材料を少なくとも部分的に除去するのに十分な条件下で十分な時間、マイクロ電子デバイスを請求項1に記載の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項18】
アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物が、式
により表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物が、式
により表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物が、式(I)
又は式(II)
により表される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングするための組成物及び方法に関し、より詳細には、特に多層半導体ウェハ構造において、高いエッチング速度、かつ酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の露出層又は下地層に対して高い選択性で窒化ケイ素の層を効果的かつ効率的にエッチングするための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子デバイスの性能の改善が引き続き必要とされ、デバイスの寸法を減少させることに引き続き重点が置かれており、デバイスの寸法を減少させることは、デバイスの密度を劇的に増加させるとともにデバイスの性能を改善するという二重の利点を提供する。デバイスの寸法が減少すると、電荷担体、例えば電子が移動する必要がある経路が短くなるため、デバイスの性能が改善される。
【0003】
例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のゲート電極は、電気的接点として、ゲート表面並びにソース領域及びドレイン領域を有する。ソース領域とドレイン領域との間の距離はゲート電極のチャネル長を形成し、したがって、デバイスの寸法を減少させることによって、チャネル長は付随して減少する。その結果、デバイスのスイッチング速度が増加する。
【0004】
デバイスの寸法を低減すると、マイクロ電子デバイスチップ上のデバイスのパッケージング密度が増加することは自明である。このパッケージング密度の増加は、デバイス間の相互接続経路の長さの急激な低減をもたらし、これらの相互接続経路がデバイス全体の性能に及ぼす相対的な悪影響(抵抗電圧の降下、クロストーク又はRC遅延など)を低減する。
【0005】
しかしながら、このような要求は、寄生容量の増加、デバイスの接点抵抗(MOSFETデバイスのゲート、ソース及びドレイン接点)、及びパターン定義の厳しい公差の問題を引き起こす。非常に小型のサブミクロン若しくはサブハーフミクロン、又はさらにはサブクォータミクロンの最新のシリコンデバイスの場合、接点をパターニングするための従来のフォトリソグラフィ技術は、限界寸法の必要な公差を満たさない。分解能及びフィーチャサイズを改善するために研究されてきた方法は、限界寸法公差の問題を解決するのに役立つ自己整合ポリシリコン(poly-Si)ゲート構造の形成を含む。この方法を使用して、ゲート電極のソース及びドレインのために形成される接点は、poly-Siゲートと自己整合する。
【0006】
自己整合ゲート構造の形成中に遭遇する1つの問題は、ポリシリコン、酸化ケイ素及び/又は金属ケイ化物材料に対する窒化ケイ素材料の選択的除去である。例えば、ゲート電極を覆う窒化ケイ素層の異方性エッチング中に、下地の酸化ケイ素層及びシリコン基板もダメージを受けることが多く、半導体装置の信頼性を低下させる。
【0007】
窒化ケイ素(Si)を選択的に除去するための従来のウェットエッチング技術は、高温(約145~180℃)リン酸(HPO)水溶液、典型的には85%のリン酸と15%の水(体積基準)との水溶液を利用してきた。未使用の熱リン酸を使用すると、典型的なSi:SiOの選択性は約40:1である。有利には、窒化物層が除去されると、水和酸化ケイ素が形成され、これはLe Chatelierの原理と一致し、デバイス表面からの酸化ケイ素のさらなる除去を阻害する。したがって、選択性は使用とともに徐々に増加する。高温リン酸エッチングの使用に関連する欠点には、金属ケイ化物材料、例えばゲート接点材料の腐食、酸化ケイ素のエッチング、及びプロセス溶液中に特定の量の水を維持することに関連した困難によるプロセス制御が含まれる。さらに、高温リン酸は、多くの製造業者によってますます好まれるようになっている単一ウェハツールに適合させるのが困難な媒体である。
【0008】
窒化ケイ素を選択的に除去する別の方法は、フッ化水素酸を含む組成物の使用を含むが、前記組成物は酸化ケイ素も除去する。約10:1のSi:SiO選択性は、希釈によって達成することができる。しかしながら、窒化ケイ素のエッチング速度が損なわれるか、又は周囲圧力を超える圧力を使用しなければならない。窒化ケイ素を除去するためのさらに別のプロセスは、ハロゲン化ガス種を使用するドライエッチング除去を含む。しかしながら、Si:SiO選択比は、前述のウェットエッチングプロセスを使用して得られるものよりもさらに悪い。
【0009】
すべての主要なメモリチップ製造業者において今日開発中の3D-NAND構造は、酸化物(PETEOS)によって規定される高アスペクト比「スリット」からの窒化ケイ素(SiN)の高選択性エッチングを必要とする。通常の熱リン酸の「熱リン」プロセスでは、一定量の窒化物を予備溶解することによって選択性が制御される。溶解した窒化ケイ素は、難溶性酸化物に変換される。エッチング中に同じことが起きるが、酸化物はすぐにスリットの開口部の近くに堆積し始め、最終的に開口部をブロックする。コロイド状シリカの堆積がマイクロ電子デバイス内のギャップ又はトレンチを「ピンチオフ」する傾向があることの説明を示す米国特許出願公開第2017/0287725号明細書、特に図1Dも参照されたい。結果として、エッチング前の酸化物濃度のプロセスウィンドウは非常に狭く、制御が困難であり、エッチング槽を非常に頻繁に交換しなければならない。したがって、酸化物の再堆積速度を最小限に抑える必要がある。
【0010】
さらに、深いスリットでは、エッチングに長い時間(典型的には1時間以上)を要する。少量のHFの添加は、エッチング速度を増加させるが、可溶性シリカ種の重合、ひいては酸化物の再堆積速度も増加させる。さらに、HF及び関連するフッ化種の揮発性は、プロセス制御を困難にする。
【0011】
平面型NAND技術では、スケーリングは主にリソグラフィによって駆動される。3D NANDのスケーリングでは、非常に高いアスペクト比(HAR)の特徴を有する複雑な3D構造を作成するために、極端な精度及びプロセスの再現性が必要とされる。したがって、3D NANDで成功を達成するには、変動性を最小限に抑える革新的なパターニングソリューションが必要となる。(3D NANDのボリューム製造における課題の克服に関しては、ソリッドステートテクノロジーのウェブサイト、http://electroig.com/blog/2017/07/overcoming-challenges-in-3d-nand-volume-manufacturing/を参照されたい。)
【0012】
極端なHAR特徴のエッチングの精度は、セルアクセスのためのチャネルホール及びトレンチ、並びにデータの読み出し、書き込み、及び消去のためにセルを周囲のCMOS回路に接続するその固有の階段構造アーキテクチャを最適化するために重要である。メモリスタックの垂直ピッチが約50nmである場合、96層のスタックは約4.8μmの高さである。これは、約100:1という困難なアスペクト比に対応する。
【0013】
さらに、多層スタックの高さが増加するにつれて、メモリアレイの上部及び底部で一貫したエッチング及び堆積プロファイルを達成することがより困難になる。例えば、約100:1の比が与えられると、メモリスタック内のSiの選択的除去はウェットエッチングの課題となる。困難なのは、SiOを全くエッチングすることなく、スタックの上部及び底部において、かつウェハ全体で一貫してSiを除去することである。96層未満では、この作業は熱リン酸(約160℃)を使用して行われる。しかしながら、96層以上では、プロセスマージンを改善するために、特別に配合されたウェットエッチング化学構造が必要となる。
【発明の概要】
【0014】
一態様では、本発明は、窒化ケイ素及び酸化ケイ素を含む表面を有する基板をエッチングするのに有用な組成物であって、酸化ケイ素に対して窒化ケイ素をエッチングする選択性を有する組成物を提供する。組成物は、リン酸と、アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシラン化合物と、水を含む溶媒と、任意選択でフッ素化合物とを含む。
【0015】
図1図4は、エッチング速度対Si負荷に関する本発明のいくつかの実施例の比較を示す。窒化ケイ素及び酸化ケイ素のエッチング速度を、CVD窒化ケイ素膜及びPECVD酸化ケイ素膜を使用して測定した。少量の膜損失を測定できるように、酸化ケイ素膜をエッチング配合物に4時間曝露した。窒化ケイ素膜を5分間及び10分間エッチングした。処理前後の膜厚を分光エリプソメトリーにより測定し、これらの膜厚を使用してエッチング速度を算出した。
【0016】
具体的には、図は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】Si負荷の関数としてエッチング速度を示すグラフを示す図である。
図2】Si負荷の関数としてエッチング速度を表示するグラフを示す図である。
図3】Si負荷の関数として、85%リン酸中のエッチング速度を表示するグラフを示す図である。
図4】(「実施例B」)、(「実施例A」)及び85%HPOにおける選択性を示すグラフを示す図である。
図5】同様に記載される選択的エッチング工程の前後の、記載される例示的な基板の構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一態様は、酸化ケイ素前駆体源からの堆積されたポリシリコン(poly-Si)及び酸化ケイ素材料に対する窒化ケイ素の選択的除去に有用であり、したがって、マイクロ電子デバイスから窒化ケイ素材料を少なくとも部分的に除去するためのウェットエッチング剤として有用な組成物に関する。存在する可能性のある金属ケイ化物材料は、前記除去組成物によって実質的に腐食されるべきではない。
【0019】
本発明はまた、窒化ケイ素及び酸化ケイ素を含有する基板から窒化ケイ素を除去するためにウェットエッチング組成物を使用するための方法、プロセス、並びにシステムを提供する。組成物は、窒化ケイ素の有利に高いエッチング速度、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素の有利に高い選択性、又はこれらの性能特性の有利なバランスをもたらすことができる。
【0020】
参照を容易にするために、「マイクロ電子デバイス」は、マイクロ電子機器、集積回路、又はコンピュータチップ用途で使用するために製造された、3D NAND構造、フラットパネルディスプレイ、及び微小電気機械システム(MEMS)を含む半導体基板に対応する。「マイクロ電子デバイス」という用語は、決して限定することを意味するものではなく、負チャネル金属酸化膜半導体(nMOS)及び/又は正チャネル金属酸化膜半導体(pMOS)トランジスタを含み、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリになる任意の基板を含むことを理解されたい。
【0021】
本明細書で使用される場合、そのような窒化物材料を有するマイクロ電子デバイスから窒化ケイ素材料を除去するための「適性」は、マイクロ電子デバイスからの窒化ケイ素材料の少なくとも部分的な除去に対応する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「窒化ケイ素」及び「Si」は、純粋な窒化ケイ素(Si)、並びに結晶構造中に水素、炭素及び/又は酸素不純物を含む不純な窒化ケイ素に対応する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「酸化ケイ素」は、酸化ケイ素(SiO)、例えばSiO、「熱酸化物」(ThO)などから作製された薄膜を指す。酸化ケイ素は、任意の方法によって、例えばTEOS又は別の供給源からの化学蒸着による堆積によって、又は熱堆積によって基板上に配置することができる。酸化ケイ素は、一般に、市販の有用な低レベルの他の材料又は不純物を含有する。酸化ケイ素は、マイクロ電子デバイスの特徴として、例えば絶縁層として、マイクロ電子デバイス基板の一部として存在してもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「窒化ケイ素材料の少なくとも部分的な除去」は、露出した窒化ケイ素層の少なくとも一部の除去に対応する。例えば、窒化ケイ素材料の部分的な除去は、ゲート電極を被覆/保護してSi側壁を形成する窒化ケイ素層の異方性除去を含む。本明細書では、ポリシリコン及び/又は酸化ケイ素層に対して窒化ケイ素材料を実質的に除去するために、本発明の組成物がより一般的に使用され得ることも企図される。それらの状況では、「実質的な除去」は、一実施形態では少なくとも90%、別の実施形態では少なくとも95%、さらに別の実施形態では少なくとも99%の窒化ケイ素材料が本発明の組成物を使用して除去されると定義される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」は、記載された値の+/-5%に対応することが意図されている。
【0026】
本明細書で使用される場合、「金属ケイ化物」は、種Ni、Pt、Co、Ta、Mo、W、及びTiを含む任意のケイ化物に対応し、TiSi、NiSi、CoSi、NiPtSi、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデン、及びケイ化タングステンを含むがこれらに限定されない。
【0027】
「ケイ酸」は、一般式[SiO(OH)4-2xを有するケイ素、水素、及び酸素の化学化合物群の一般名であり、メタケイ酸((HSiO)、オルトケイ酸(HSiO)、ジケイ酸(HSi)、及びピロケイ酸(HSi)の化合物を含む。ケイ酸は、当業者に周知の多くの方法で、例えば、微細シリカ粉末(好ましくは直径1μm以下)、アルコキシシラン(例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン)、アミノ基を有するアルコキシシラン(例えば、アミノトリエトキシシラン、ヘキサエトキシジシラザン)、1つ又はそれ以上のハロゲン若しくは擬ハロゲン基を有するアルコキシシラン(例えば、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシ(イソシアナト)シラン、ジエトキシジクロロシラン)、又はそれらの組み合わせを水和させることによって得ることができる。参照を容易にするために、以下、「アルコキシシラン」は、アルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン及び1つ又はそれ以上のハロゲン又は擬ハロゲン基を有するアルコキシシランを含むものとして使用する。
【0028】
本明細書に記載されるように、酸化ケイ素層は、酸化ケイ素前駆体源、例えばTEOSから堆積されてもよく、又は熱堆積された酸化ケイ素であってもよい。他の典型的な低κ材料、すなわち「低k誘電材料」は、層状マイクロ電子デバイスにおいて誘電材料として使用される任意の材料に対応し、材料は約3.5未満の誘電率を有する。特定の実施形態では、低κ誘電材料は、低極性材料、例えばケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、窒化ケイ素、炭素ドープ酸化物(CDO)又は炭素ドープガラス、例えばNovellus Systems社からのCORAL(商標)、Applied Materials社からのBLACK DIAMOND(商標)(例えば、PECVDのための名称BD1、BD2、及びBD3)、DowからのSiLK(商標)誘電体樹脂(多官能性シクロペンタジエノンとアセチレン含有材料との反応による架橋ポリフェニレンに基づいたポリマーであり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,965,679号明細書を参照のこと)、及びNanopore社のNANOGLASS(商標)(シリカエアロゲル/キセロゲル(ナノ多孔質シリカとして知られている)を含む。低κ誘電材料は、様々な密度及び様々な多孔度を有し得ることを理解されたい。
【0029】
本発明の組成物は、良好な金属適合性、例えば、相互接続金属及び/又は相互接続金属ケイ化物材料上での低いエッチング速度を有していなければならない。目的の金属には、銅、タングステン、コバルト、モリブデン、アルミニウム、タンタル、チタン及びルテニウムが含まれるがこれらに限定されない。目的のケイ化物には、種Ni、Pt、Co、Ta、Mo、W、及びTiを含む任意のシリサイドが含まれ、TiSi、NiSi、CoSi、NiPtSi、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデン、及びケイ化タングステンを含むがこれらに限定されない。
【0030】
本発明の組成物は、以下により詳細に記載されるように、多種多様な特定の配合物で具体化することができる。
【0031】
すべてのそのような組成物において、組成物の特定の構成成分はゼロ下限を含む重量パーセント範囲を参照して論じられており、そのような構成成分は組成物の様々な特定の実施形態において存在しても存在しなくてもよいこと、及びそのような構成成分が存在する場合、そのような構成成分は、そのような構成成分が採用される組成物の総重量に基づいて0.001重量パーセントという低い濃度で存在し得ることが理解されよう。
【0032】
組成物は、窒化ケイ素の所望のエッチングを生成するのに有効な量の水性リン酸(例えば、濃リン酸)を含む。「水性リン酸」という用語は、組成物の他の成分と混合又は組み合わせて組成物を形成する組成物の成分を指す。「リン酸固体」という用語は、水性リン酸成分の非水性構成成分、又は水性リン酸成分から調製される組成物の非水性成分を指す。
【0033】
組成物中に含有されるリン酸固体の量は、エッチング組成物の他の材料と組み合わせて、所望の窒化ケイ素エッチング速度及び選択性を含む所望のエッチング性能を提供する量とすることができ、典型的には比較的多量(高濃度)のリン酸固体が必要とされる。例えば、エッチング組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも約50重量パーセントの量のリン酸固体、例えば組成物の総重量に基づいて少なくとも70、又は少なくとも約80若しくは85重量パーセントのリン酸固体を含有することができる。
【0034】
所望の量のリン酸固体を提供するために、組成物は、組成物を製造するために他の成分(幾つかの形態では任意選択で水である1つの成分)と混合又は組み合わせられる成分として「濃」リン酸を含有してもよい。「濃」リン酸は、少量又は最小量の水の存在下で多量又は最大量のリン酸固体を含有し、他の成分を実質的に含有しない(例えば、0.5又は0.1重量パーセント未満の任意の非水固体材料又は非リン酸固体材料)水性リン酸成分を指す。濃リン酸は、典型的には、約15又は20重量パーセントの水に少なくとも約80又は85重量パーセントのリン酸固体を有すると考えることができる。あるいは、組成物は、水で希釈されたある量の濃リン酸、すなわちエッチング組成物の他の成分と組み合わせる前又は後にある量の水で希釈された濃リン酸、又は任意の手法で形成された等価物を含むと考えられてもよい。別の代替手段として、組成物の成分は、濃リン酸又は希釈リン酸とすることができ、エッチング組成物は、異なる成分の構成成分又は別個の水成分のいずれかとして組成物に供給される追加量の水を含有することができる。
【0035】
一例として、濃リン酸を使用して組成物を形成する場合、濃リン酸(水中85重量%)の量は、組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも60、例えば、少なくとも80又は少なくとも90、93、95又は少なくとも98重量パーセントの量とすることができる。
【0036】
組成物は、列挙された成分及び任意選択の成分の任意の組み合わせを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になることができる。本明細書を通して一般的な慣例として、特定の成分又は材料の群「から本質的になる」と言われる、記載された組成物、又はその特定の成分若しくは構成成分は、特定の成分若しくは材料を含有し、少量又はわずかな量以下、例えば5、2、1、0.5、0.1、又は0.05重量部以下の他の成分又は材料を有する組成物を指す。例えば、水性リン酸と、(i)アルキルアミノアルコキシシラン及び(ii)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシラン化合物と、水を含む溶媒と、記載される任意選択の成分とから本質的になる材料を含有する組成物は、これらの成分と、5、2、1、0.5、0.1、又は0.05重量部以下の、特定された材料以外の任意の他の溶解又は非溶解材料(個々に又は全体として)とを含有する組成物を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「フッ素化合物」は、イオン性フッ化物イオン(F)又は共有結合したフッ素を含む種に対応する。フッ化物種は、フッ化物種として含まれてもよく、又はin situで生成されてもよいことを理解されたい。特定の実施形態では、フッ化物イオンを生成することができるこの化合物は、HF、モノフルオロリン酸(MFPA)、ジフルオロリン酸(DFPA)又はヘキサフルオロリン酸から誘導される。濃リン酸組成物では、HFは主にモノフルオロリン酸(MFPA)の形態で存在する。特定の実施形態では、添加及び混和を単純化するために、低揮発性MFPA又はDFPAを組成物中で直接使用してもよい。他の実施形態では、フッ素化合物は、CsF及びKFから選択されてもよい。他の実施形態では、フッ素化合物は、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、アンモニウムヘキサフルオロホスファート、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、式NR’BF及びPR’BFをそれぞれ有する第四級アンモニウムテトラフルオロボラート及び第四級ホスホニウムテトラフルオロボラート(式中、各R’は互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖、分岐又は環状C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、及び直鎖又は分岐C~C10アリール(例えば、ベンジル)から選択される)、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBA-BF)、並びにそれらの組み合わせから選択されてもよい。特定の実施形態では、フッ素化合物は、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第四級アンモニウムテトラフルオロボラート(例えば、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート)、第四級ホスホニウムテトラフルオロボラート、又はそれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、フッ素化合物は、二フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、それらの複数の指示対象を含む。「含有(containing)」又は「含む(including)」という用語は、「含む(comprising)」という用語と同義であることを意図し、少なくとも指定された化合物、要素、粒子、又は方法工程などが組成物又は物品又は方法中に存在することを意味するが、特許請求の範囲で明示的に除外されない限り、他の化合物、材料、粒子、方法工程などが指定されたものと同じ機能を有する場合であっても、他の化合物、材料、粒子、方法工程などの存在を除外しない。
【0039】
一態様では、本発明は、
(a)リン酸と、
(b)(i)アルキルアミノアルコキシシラン及び(ii)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランであって、アルコキシ、ヒドロキシル及びフルオロから選択される少なくとも1つの部分を有する、少なくとも1つのシランと、
(c)水を含む溶媒と、任意選択で、
(d)ヘキサフルオロケイ酸以外である、フッ素化合物と、
を含む組成物を提供する。
【0040】
特定の実施形態では、リン酸は、組成物中に約50~約95重量パーセントで存在する。他の実施形態では、リン酸は、約70~約90重量パーセント、他の実施形態では約85重量パーセントで存在する。
【0041】
本発明の特定の実施形態では、組成物は、フッ素化合物をさらに含んでもよい。一実施形態では、フッ素化合物は、HF及びモノフルオロリン酸から選択される。他の実施形態では、フッ素化合物は、フッ化セシウム及びフッ化カリウムから選択される。他の実施形態では、フッ素化合物は、アンモニウムヘキサフルオロホスファート、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸、式NR’BF及びPR’BFをそれぞれ有する第四級アンモニウムテトラフルオロボラート及び第四級ホスホニウムテトラフルオロボラート(式中、R’は互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖、分岐又は環状C~Cアルキル、及び直鎖又は分岐C~C10アリールから選択される)、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TMA-BF)、並びにそれらの組み合わせから選択される。
【0042】
ある特定の実施形態において、アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物は、式
(式中、各Xは、フッ素、C~Cアルキル基、又は式-ORの基から独立して選択され、式中、Rは水素又はC~Cアルキル基であり、nは1~6の整数であり、各Rは、水素、C~Cアルキル基、又は式C~Cアルコキシ(CHn--から独立して選択される)
により表される。
【0043】
特定の実施形態において、アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(CAS番号919-30-2)、(3-アミノプロピル)シラントリオール(CAS番号58160-99-9)、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン(CAS番号18306-79-1)、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン(CAS番号3179-76-8)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(CAS番号3069-29-2)、(N,N-ジメチル-3-アンノプロピル)トリメトキシシラン(CAS番号2530-86-1)、及び3-アミノプロピルジメチルフルオロシラン(CAS番号153487-58-2)から選択される。
【0044】
ある特定の実施形態において、アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物は、式
(式中、各Xは、フッ素、C~Cアルキル基、又は式-ORの基から独立して選択され、式中、Rは水素又はC~Cアルキル基であり、nは1~6の整数であり、yは1~6の整数であり、zは1~6の整数である)
により表される。
【0045】
ある特定の実施形態において、アルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物は、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(CAS番号35141-30-1)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン(CAS番号5089-72-5)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール(CAS番号1760-24-3)、(3-トリメトキシシリルプロピル)デチレントリアミン(CAS番号35141-30-1)、及びN-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(CAS番号51895-58-0)から選択される。
【0046】
ある特定の実施形態において、2つのアルキルアミノ基が、2つのX基(上記で定義される通り)又は1つのX基と1つのアルキル基を有するケイ素原子に連結され、例えば、3,3’-(ジメトキシシリレン)ビス-(1-プロパンアミン)(CAS番号51749-36-1)
である。
【0047】
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上のアミノアルキル基が、3つのX基(上記で定義される通り)又は2つのX基と1つのアルキル基を有するケイ素原子に連結されたアルキル鎖又はアミノアルキル鎖から分岐し、例えば、2-[(ジメトキシメチルシリル)メチル]-1,4-ブタンジアミン(CAS番号1019109-96-6)
である。
【0048】
特定の実施形態では、酸素架橋によって連結された2つ以上のケイ素原子が、少なくとも1つのアミノアルキル基及び少なくとも1つの上記の「X」基のすべてを有し、残りのケイ素置換基がアルキルアミン、「X」又はアルキルであり、例えば、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン(CAS番号17907-78-7)
、及びそのメトキシ類似体、すなわち1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン(CAS番号76712-65-7)
である。
【0049】
本発明の組成物中のアルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物の量は、エッチング組成物の他の材料と組み合わせて、所望の窒化ケイ素エッチング速度及び選択性を含む所望のエッチング性能を提供する量とすることができる。例えば、エッチング組成物は、組成物の総重量に基づいて約20~10,000ppm(すなわち、0.0020~1.0重量パーセント)、又は組成物の総重量に基づいて約20~2,000、4,000、若しくは5,000ppm(すなわち、0.002~0.2、0.4、又は0.5重量パーセント)の範囲の量のアルキルアミノアルコキシシラン及びアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物を含有することができ、これらは単一種又は2つ以上の種の組み合わせであってもよい。
【0050】
構成成分(c)は、水を含む溶媒である。場合によっては、溶媒は、1つ又はそれ以上の水混和性溶媒、例えばピロリジノン、グリコール、アミン、及びグリコールエーテルをさらに含んでもよい。水混和性溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及び高級アルコール(C~Cジオール及びC~Cトリオール)、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、ハロゲン化アルコール(3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノールなど)、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、N-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロピオフェノン(propriophenone)、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDE)、二塩基性エステル、グリセリンカーボネート、N-ホルミルモルホリン、リン酸トリエチル、及びそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。アルコキシシラン添加剤を使用する場合、その加水分解は少量のアルコール、例えばメタノール又はエタノールを生成し、これはアルコール自体又はそのリン酸モノエステルとして配合に組み込まれ、典型的なプロセス温度ではほとんどが蒸発する。さらに、有機溶媒は、他の両親媒性種、すなわち、界面活性剤と同様の親水性部分及び疎水性部分の両方を含有する種を含んでもよい。
【0051】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、低分子量アミン及びアミンリン酸塩をさらに含む。他の実施形態では、低分子量アミン及びアミンリン酸塩は、第一級、第二級又は第三級C1~アルキルアミン又はそのリン酸塩である。例としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。そのようなアミン又はそれらの水溶液を濃HPO組成物に添加すると、アミンリン酸塩が形成されることが理解されるであろう。
【0052】
一実施形態では、組成物は、(a)リン酸と、(b)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオールと、(c)水を含む溶媒とを含む。さらなる実施形態では、組成物は、HF又はモノフルオロリン酸をさらに含む。さらなる実施形態では、組成物は、トリエチルアミン又はそのリン酸二水素塩をさらに含む。
【0053】
組成物は、場合によっては、組成物の性能を改善するための界面活性剤(本明細書の他の任意選択の又は必要な成分とは異なる)を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる有機化合物、典型的には、疎水性基(例えば、炭化水素(例えば、アルキル)「尾部」)及び親水性基を含む有機両親媒性化合物を指す。好ましい界面活性剤は、熱的に安定であり、本発明のエッチングプロセスの条件などの強酸性条件下でイオン性のままである。例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸及び長鎖第四級アンモニウム化合物(例えばドデシルトリメチルアンモニウム硫酸水素塩)が挙げられる。フッ化非イオン性界面活性剤、例えばChemours’ Capstone(登録商標)FS-31/FS-35も使用することができる。非イオン性非フッ化界面活性剤、例えばポリ(エチレングリコール)-ポリ(プロピレングリコール)共重合体(「PEG-PPG」)などのも使用することができ、低酸性組成物(例えばHPOが75%以下)及び130℃以下での操作により適している。
【0054】
組成物中の界面活性剤の量は、エッチング組成物の他の材料と組み合わせて、所望の全体的な性能を提供する量とすることができる。例えば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.001~約10重量パーセント、例えば、約0.01~約0.5、1、2、7、又は7重量パーセントの範囲にあり得る量の界面活性剤を含有することができる。
【0055】
場合によっては、組成物は、ある量のカルボン酸化合物、すなわち少なくとも1つのカルボン酸基を含有する有機化合物を含有することができる。本発明によれば、記載の組成物中のカルボン酸化合物の存在は、酸化ケイ素の再堆積又はその粒子の形成を阻害することによって性能を改善することができる。特定の実施形態では、組成物に使用するためのカルボン酸化合物には、酢酸、マロン酸、コハク酸、2-メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、サリチル酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸(別名トリカルバリル酸)、2-ホスホノ酢酸、3-ホスホノプロパン酸、及び2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTCA)が含まれ、これらのいずれも、単独で、互いに組み合わせて、又は異なるカルボン酸化合物と組み合わせて使用することができる。
【0056】
組成物中に含有されるカルボン酸化合物(その誘導体を含む)の量は、組成物の他の材料と組み合わせて、エッチング組成物の性能又は化学安定性に影響を与えずに所望のエッチング性能を提供する量とすることができる。例えば、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.01~約10重量パーセント、又は組成物の総重量に基づいて約0.1~約5若しくは8重量パーセントの範囲の量のカルボン酸化合物を含有することができ、カルボン酸化合物は単一種又は2つ以上の種の組み合わせであってもよい。
【0057】
組成物は、1つ又は複数の供給源からの水を含有してもよい。例えば、水は水性リン酸成分中に存在する。さらに、エッチング組成物の1つ又はそれ以上の他の成分の担体として水を使用してもよく、水を単独でそれ自体の成分として添加してもよい。水の量は、組成物が、有用な(十分に高い)窒化ケイ素エッチング速度を含む所望の又は好ましい又は有利なエッチング性能特性を示すことができるように十分に低くなければならない。水の存在の増加は、窒化ケイ素のエッチング速度を増加させる傾向があるが、エッチング組成物の沸点を低下させ、それによりエッチング組成物の動作温度を低減させて逆効果となる可能性もある。エッチング組成物中のすべての供給源からの水の量の例は、約50、40、又は30重量パーセント未満、例えば組成物の総重量に基づいて約5重量パーセント~約25重量パーセントの範囲、又は組成物の総重量に基づいて約10~20重量パーセントの範囲とすることができる。
【0058】
場合によっては、記載されるこれら及び他の例示的な組成物は、リン酸、アミノヒドロキシルシラン又はアミノアルコキシシラン、及び特定された任意選択の成分の任意の1つ又は任意の組み合わせを含有するか、それらからなるか、又はそれらから本質的になることができる。本発明の組成物の特定の実施形態は、エッチング組成物に典型的には含まれない他の種類の成分(本明細書で可能性のある成分として言及される酸以外)、例えば、pH調整剤、及び研磨粒子などの固体材料を必要とせず、排除することができる。
【0059】
以下の表は、本発明の実施に有用であると考えられる例示的な組成物を重量パーセントで含有する。
【0060】
本明細書で使用される場合、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(CAS番号919-30-2)は「APTES」、(3-アミノプロピル)シラントリオール(CAS番号58160-99-9)は「APST」、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール(CAS番号1760-24-3)は「N2APST」、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン)は「N3APTMS」、3,3’-(ジメトキシシリレン)ビス-(1-プロパンアミン)(CAS番号51749-36-1)は「DMSBP」、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン(CAS番号17907-78-7)は「BAPTEDS」、N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(CAS番号51895-58-0)は「AHAPTMS」、そして、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)は「BC」と、簡略化された参照が行われる。
【0061】
さらに別の態様では、本発明は、マイクロ電子デバイスから窒化ケイ素を除去するための方法を提供し、前記方法は、マイクロ電子デバイスから前記窒化ケイ素材料を少なくとも部分的に除去するのに十分な条件下で十分な時間、マイクロ電子デバイスを本発明の組成物と接触させることを含む。
【0062】
例えば、窒化ケイ素材料は、金属及び金属ケイ化物相互接続材料を実質的に損傷することなく除去することができる。したがって、本発明は、本明細書に記載の組成物を使用して、ポリシリコン及び/又は酸化ケイ素材料に対して窒化ケイ素材料を、それを有するマイクロ電子デバイスの表面から選択的かつ実質的に除去するための方法を提供する。存在する金属ケイ化物材料は、前記方法を使用する前記除去組成物によって実質的に腐食されない。
【0063】
エッチング塗布では、組成物は、任意の適切な手法で、例えば、デバイスの表面に除去組成物を噴霧することによって、窒化ケイ素材料を含むデバイスの(除去組成物の静的又は動的容積への)ディッピングによって、デバイスを、除去組成物が吸収された別の材料、例えばパッド又は繊維状吸着剤アプリケータ要素と接触させることによって、窒化ケイ素材料を含むデバイスを循環除去組成物と接触させることによって、又は除去組成物を窒化ケイ素材料と除去接触させる任意の他の適切な手段、手法若しくは技術によって、窒化ケイ素材料をその上に有するマイクロ電子デバイスの表面に塗布される。塗布は、動的又は静的洗浄のためのバッチ又は単一ウェハ装置中で行われてもよい。一実施形態では、マイクロ電子デバイスの表面への除去組成物の塗布は、制御された攪拌であり、それにより、組成物は前記組成物を収容する容器中を循環する。
【0064】
本発明の組成物は、マイクロ電子デバイス構造上に存在し、組成物に曝され得る他の材料、例えば金属被覆、ポリシリコン、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素材料へのそれらの選択性のおかげで、窒化ケイ素材料の少なくとも部分的な除去を高効率かつ高選択的に達成する。
【0065】
窒化ケイ素材料を有するマイクロ電子デバイス構造から窒化ケイ素材料を除去するための本発明の組成物の使用において、組成物は、典型的には、単一ウェハツールに対して約1分~約200分、一実施形態では約15分~約100分、又は約1分~約3分の十分な時間、一実施形態では約120℃~約180℃の範囲の温度を含むがこれらに限定されない十分な条件でマイクロ電子デバイス構造と接触する。そのような接触時間及び温度は例示であり、本発明の実施内で、窒化ケイ素材料をデバイス構造から少なくとも部分的に除去するのに有効な任意の他の適切な時間及び温度条件を採用してもよい。
【0066】
所望の除去作用の達成に続いて、除去組成物は、本発明の組成物の所与の最終的な使用用途で所望され、かつ有効であり得るように、例えば、すすぎ、洗浄、又は他の除去工程によって、以前に塗布されたマイクロ電子デバイスから容易に除去される。例えば、デバイスは、脱イオン水を含むすすぎ溶液ですすぎ、及び/又は乾燥させることができる(例えば、スピンドライ、N、蒸気乾燥など)。
【0067】
本発明の除去組成物は、金属及び/又は金属ケイ化物相互接続材料の実質的な腐食を引き起こすことなく、マイクロ電子デバイスの表面からpoly-Si及び酸化ケイ素に対して窒化ケイ素材料を選択的にエッチングする。例えば、本発明の除去組成物の存在下での酸化ケイ素に対する窒化ケイ素の選択性は、一実施形態では40~100℃、別の実施形態では60~95℃、さらに別の実施形態では75~90℃の温度において、一実施形態では、約10:1~約7,000:1、別の実施形態では約30:1~約3,000:1、別の実施形態では約100:1~約2000:1の範囲である。ケイ酸源がアルコキシシラン、例えばTEOSを含む場合、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素の選択性は、一実施形態では約20:1~無限大まで、別の実施形態では約20:1~約7,000:1の範囲に調整することができる。実際、酸化物膜の厚さがシリカの沈殿によって非常にわずかであるが測定可能な程度に増加するという事実を反映して、いくつかの使用可能な配合物では選択性は形式的に負である。
【0068】
本明細書のエッチング工程は、任意の種類の基板の表面から窒化ケイ素材料をエッチングするのに有用であり得る。特定の実施形態によれば、基板は、基板の構造的特徴として、窒化ケイ素層と酸化ケイ素との交互の薄膜層を含む、窒化ケイ素の交互の薄膜層を含むことができる。酸化ケイ素層は、酸化ケイ素の層間に配置された窒化ケイ素層を含有する高アスペクト比構造である。
【0069】
本発明のさらに別の態様は、マイクロ電子デバイスを含む物品を製造する方法に関し、前記方法は、窒化ケイ素材料を有するマイクロ電子デバイスの表面から窒化ケイ素材料をエッチング除去するのに十分な時間、マイクロ電子デバイスを本発明の組成物と接触させることと、前記マイクロ電子デバイスを前記物品に組み込むこととを含む。
【0070】
本明細書に記載の組成物は、それぞれの成分の単純な添加及び均一な状態への混合によって容易に配合される。さらに、組成物は、使用時点で混合される単一パッケージ配合物又はマルチパート配合物、好ましくはマルチパート配合物として容易に配合することができる。マルチパート配合物の個々のパートは、ツールにおいて、又はツールの上流の貯蔵タンクにおいて混合することができる。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍数で広く変化、すなわち、より希釈又はより濃縮されてもよい。本明細書に記載の組成物は、本明細書の開示と一致する成分の任意の組み合わせを様々かつ代替的に含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなることができることが理解されよう。
【0071】
本発明の別の態様は、1つ又はそれ以上の容器に、本明細書に記載の組成物を形成するように適合された1つ又はそれ以上の構成成分を含むキットに関する。一実施形態では、キットは、1つ又はそれ以上の容器内に、製造工場又は使用時点で水と組み合わせるために、上記構成成分(a)~(c)の少なくとも1つの組み合わせを含む。キットの容器は、前記洗浄組成物構成成分を貯蔵及び輸送するのに適していなければならず、例えば、NOWPak.(登録商標)容器(米国コネチカット州ダンベリーのAdvanced Technology Materials社)である。第1の洗浄組成物の構成成分を収容する1つ又はそれ以上の容器は、混和及び分配のために前記1つ又はそれ以上の容器内の構成成分を流体連通させるための手段を含むことが好ましい。例えば、NOWPak.(登録商標)容器を参照すると、前記1つ又はそれ以上の容器内のライナーの外側にガス圧を加えて、ライナーの内容物の少なくとも一部を排出させ、したがって混和及び分配のための流体連通を可能にすることができる。あるいは、従来の加圧容器のヘッドスペースにガス圧を加えてもよいし、ポンプを使用して流体連通を可能にしてもよい。さらに、システムは、混和した洗浄組成物をプロセスツールに分配するための分配ポートを含むことが好ましい。
【0072】
前記1つ又はそれ以上の容器用のライナーを製造するために、実質的に化学的に不活性で、不純物がなく、可撓性で弾力性のあるポリマーフィルム材料、例えば高密度ポリエチレンを使用してもよい。望ましいライナー材料は、共押出又はバリア層を必要とせずに、かつライナー内に配置される構成成分の純度要件に悪影響を及ぼし得る顔料、UV阻害剤、又は加工剤なしで加工される。望ましいライナー材料のリストには、バージン(無添加)ポリエチレン、バージンポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンなどを含むフィルムが含まれる。そのようなライナー材料の例示的な厚さは、約5ミル(0.005インチ)~約30ミル(0.030インチ)の範囲、例えば20ミル(0.020インチ)の厚さである。
【0073】
キット用の容器に関して、以下の特許及び特許出願の開示は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS」と題する米国特許第7,188,644号明細書、「RETURNABLE AND REUSABLE,BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」と題する米国特許出願第6,698,619号、及びJohn E.Q.Hughes氏名義で2007年5月9日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題する米国特許出願第60/916,966号、及びAdvanced Technology Materials社名義で2008年5月9日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題するPCT/US08/63276号。
【0074】
したがって、さらなる態様では、本発明は、マイクロ電子デバイスから窒化ケイ素を除去するのに適した構成成分を内部に有する1つ又はそれ以上の容器を含むキットを提供し、前記キットの1つ又はそれ以上の容器は、(a)リン酸、(b)本明細書に記載の(i)アルキルアミノアルコキシシラン及び(ii)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシラン化合物、及び(c)水を含む溶媒、並びに任意選択で、(d)ヘキサフルオロケイ酸以外である、フッ素化合物を含有する。
【0075】
本発明は、その特定の実施形態の以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に例示の目的で含まれ、特に明記しない限り本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【実施例0076】
高アスペクト比構造を処理して、最初に、露出した窒化ケイ素から酸化膜を除去した。次いで、所望の温度において沸騰フラスコ内で撹拌しながら、配合物中で構造を処理した。ケイ酸塩負荷が指定されている条件については、テトラメチルアンモニウムケイ酸塩(TMAS)又はシリカナノ粒子のいずれかを添加した。実施例16及び17では、TMASを使用し、負荷はppm Siとして提供される。他のすべての例では、SiOナノ粒子が使用され、ケイ酸塩負荷はppm SiOとして提供される。構造を、SiNを完全に除去するのに十分な時間、典型的には45分~2時間処理した。配合物中での処理後、構造を熱脱イオン水ですすぎ、流動窒素で乾燥させた。示されているエッチング速度は、ブランケットフィルムを処理することによって同様に得られ、厚さは分光エリプソメトリーによって測定された。
【0077】
実施例12~14と比較して、85%HPOは、酸化物に対する選択性が低い(0ppmシリカで約40:1、表3)ことか、又は過剰な酸化物再堆積(100及び200ppmシリカにおいて、表2)を引き起こすことに留意されたい。
【0078】
処理中に溶解ケイ酸塩を添加すると、窒化物エッチング速度を実質的に変化させることなく、酸化ケイ素エッチング速度を低減させる。
【0079】
十分に高い溶解ケイ酸塩濃度では、シリカに富む沈殿物が3D NAND構造内のSiO表面に再堆積する。
【0080】
この場合、負荷ウィンドウは、ローエンドは選択性が1000超である場合により、ハイエンドは再堆積の開始により定義される。異なる選択性対象物は、異なる幅の負荷ウィンドウをもたらす。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リン酸と、
(b)(i)アルキルアミノアルコキシシラン及び(ii)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランであって、アルコキシ、ヒドロキシル及びフルオロから選択される少なくとも1つの部分を有する、少なくとも1つのシランと、
(c)水を含む溶媒と、任意選択で、
(d)ヘキサフルオロケイ酸以外である、フッ素化合物と、
を含む、組成物。
【外国語明細書】