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  • 特開-洗浄工程及び乾燥工程の評価方法 図1
  • 特開-洗浄工程及び乾燥工程の評価方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000110
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】洗浄工程及び乾燥工程の評価方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100739
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克佳
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA82
5F157BB01
5F157BB11
5F157CB03
5F157CB32
5F157CD15
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB11
5F157DB34
5F157DB37
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】単結晶シリコンウェーハの洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価できる方法を提供すること。
【解決手段】単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程の評価方法であって、単結晶シリコンウェーハをフッ酸により洗浄する工程、前記洗浄後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥する工程、前記乾燥後の単結晶シリコンウェーハに、水素ベークせずに、シリコンを成膜する工程、前記成膜後にヘイズのウェーハ面内分布を評価する工程、を含むことを特徴とする洗浄工程及び乾燥工程の評価方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程の評価方法であって、
単結晶シリコンウェーハをフッ酸により洗浄する工程、
前記洗浄後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥する工程、
前記乾燥後の単結晶シリコンウェーハに、水素ベークせずに、シリコンを成膜する工程、
前記成膜後にヘイズのウェーハ面内分布を評価する工程、
を含むことを特徴とする洗浄工程及び乾燥工程の評価方法。
【請求項2】
洗浄する前記単結晶シリコンウェーハとして、ヘイズの最大値が100ppm以下のものを準備することを特徴とする請求項1に記載の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法。
【請求項3】
前記成膜工程におけるシリコン成膜層の厚さを0.01μm以上かつ10μm以下とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法。
【請求項4】
前記成膜工程では、450℃以上かつ800℃以下の温度で前記シリコンを成膜することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化に伴い単結晶シリコンウェーハ上のパーティクルの低減が求められている。パーティクルは単結晶シリコンウェーハを洗浄することで除去できるが、洗浄液の流れが遅い部分ではパーティクルの除去効率が悪くなる。また、洗浄後の乾燥工程において、乾燥のムラにより乾燥し難い部分があると気相中のパーティクルが付着しやすくなったり、ウォーターマークが発生したりすることがある。ウォーターマークとは、単結晶シリコンウェーハが水により局所的に酸化された部分のことを示す。これらのように、パーティクルを低減するためには、洗浄槽の薬液の流れや乾燥ムラを把握する必要があるが、それらを調べることは困難である。例えば、洗浄槽内に導入した細かな気泡や乾燥過程の動画を取得して解析することで、薬液の流れや乾燥ムラを評価できるが、特別な設備や解析用のソフトが必要になるという問題がある。また、バッチ式の装置ではウェーハが多数枚あることによりカメラの死角となる場所が存在し、評価が困難となる場合もある。
【0003】
先行技術について言及する。特許文献1には、ウォーターマークに対するエッチング速度が基板材料よりも遅い高選択比の異方性エッチングによって半導体基板をエッチングし、エッチング表面に露出した突起状のエッチング残渣のうち、半導体基板に対するエッチング深さと等しい高さのエッチング残渣を抽出し、抽出したエッチング残渣の先端形状に基づいてウォーターマークを頂点として形成されたエッチング残渣以外の残渣を除外し、抽出したエッチング残渣の内の残ったエッチング残渣に基づいてウォーターマークを評価する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-147057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを評価する方法は従来から用いられてきた。しかし、従来の技術では、特別な設備が必要になったり、十分に評価できなかったり、複雑な評価が必要になったりするという問題があった。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の技術では、ウォーターマーク以外に起因して形成されたドライエッチング後の突起を除外するために、突起の高さを一つ一つ測定したり、突起の形状を判別したりする必要があり、複雑な評価が必要になるという問題があった。また、洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを評価する方法については何等記載されていない。
【0007】
上述のように、従来の技術では、ウォーターマークを測定することはできたが、複雑な評価が必要であった。そのため、洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価できる方法が必要である。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程の評価方法であって、
単結晶シリコンウェーハをフッ酸により洗浄する工程、
前記洗浄後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥する工程、
前記乾燥後の単結晶シリコンウェーハに、水素ベークせずに、シリコンを成膜する工程、
前記成膜後にヘイズのウェーハ面内分布を評価する工程、
を含むことを特徴とする洗浄工程及び乾燥工程の評価方法を提供する。
【0010】
このような評価方法によれば、洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価することができる。
【0011】
また、洗浄する前記単結晶シリコンウェーハとして、ヘイズの最大値が100ppm以下のものを準備することが好ましい。
【0012】
このようなウェーハを用いることで、より確実に洗浄工程における薬液流れ及び乾燥工程における乾燥ムラに起因したヘイズを評価することができる。
【0013】
また、前記成膜工程におけるシリコン成膜層の厚さを0.01μm以上かつ10μm以下とすることができる。
【0014】
このように成膜層の厚さが0.01μm以上であれば、洗浄工程における薬液流れ及び乾燥工程における乾燥ムラに起因したヘイズをより確実に評価することができる。また、10μm以下とすることで成膜に時間がかかり過ぎるのを防止することができる。
【0015】
また、前記成膜工程では、450℃以上かつ800℃以下の温度で前記シリコンを成膜することができる。
【0016】
このような温度範囲であれば、成膜工程中にウォーターマークが除去されてしまうことをより確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法によれば、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価することができる。
【0018】
また、本発明の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法による評価結果に基づいて洗浄工程及び乾燥工程の条件を調整することにより、単結晶シリコンウェーハ上のパーティクルの低減を簡便に且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法の一例のフローを示す図である。
図2】実施例1-1、実施例1-2、比較例1及び比較例2におけるヘイズマップである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述のように、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価できる方法が求められていた。
【0021】
本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程の評価方法であって、単結晶シリコンウェーハをフッ酸により洗浄する工程、前記洗浄後に乾燥する工程、前記乾燥後の単結晶シリコンウェーハに水素ベークせずにシリコンを成膜する工程、前記成膜後にヘイズのウェーハ面内分布を評価する工程、を含むことを特徴とする洗浄工程及び乾燥工程の評価方法により、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを簡便に評価できることを見出し、本発明を完成した。
【0022】
即ち、本発明は、単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程の評価方法であって、
単結晶シリコンウェーハをフッ酸により洗浄する工程、
前記洗浄後に、前記単結晶シリコンウェーハを乾燥する工程、
前記乾燥後の単結晶シリコンウェーハに、水素ベークせずに、シリコンを成膜する工程、
前記成膜後にヘイズのウェーハ面内分布を評価する工程、
を含むことを特徴とする洗浄工程及び乾燥工程の評価方法である。
【0023】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
図1に、本発明に係る単結晶シリコンウェーハの洗浄工程及び乾燥工程(洗浄工程における薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラ)の評価方法の一例のフローを示す。
【0025】
図1のS11工程は、単結晶シリコンウェーハを準備する工程である。
ここで、基板の製造方法は特に限定されない。チョクラルスキー法(Czochralski Method:以下CZ法という)により製造された基板を用いても良いし、フローティングゾーン法(Floating Zone Method:以下FZ法という)により製造された基板を用いても良い。また、CZ法及びFZ法により製造された単結晶シリコン基板上に単結晶シリコンをエピタキシャル成長させた基板を用いても良い。
【0026】
準備する単結晶シリコンウェーハのヘイズの最大値を100ppm以下とすることが好ましい。このような最初にヘイズがほとんど形成されていないウェーハであれば、より確実に洗浄工程における薬液流れ及び乾燥工程における乾燥ムラに起因したヘイズを評価することができる。ヘイズの下限値は特にない。
【0027】
ここで、ヘイズとは単結晶シリコンウェーハの表面に入射したレーザー光が散乱した低周波かつ低振幅の成分であり、入射レーザー光強度に対する表面の散乱強度の比率で表される。
【0028】
図1のS12工程は、フッ酸(フッ化水素酸)による洗浄工程である。単結晶シリコンウェーハを疎水面とすることで、ウォーターマークが形成されやすくなり、洗浄工程及び乾燥工程の評価が可能となる。フッ酸としては、バッファードフッ酸のような他の成分を含む薬液を用いてもよい。フッ酸の濃度は単結晶シリコンウェーハが疎水面となる濃度であることが好ましく、例えば0.1%以上かつ60%以下とすることができる。フッ酸の温度は10℃以上かつ50℃以下とすることができる。10℃以上であればフッ酸処理後のウェーハに結露が生じることをより効果的に抑制できる。また、温度が50℃以下であれば揮発するフッ酸の量を適切な範囲とできるため安全性を高くできる。
【0029】
フッ酸による洗浄時間は撥水性が確認できるまでとすることができるが、例えば、1秒以上かつ1時間以下とすることができる。1秒以上であれば確実に撥水性にできる。また、1時間以下とすることで時間が掛かり過ぎるのを防止することができる。
【0030】
フッ酸洗浄は、洗浄槽に複数のウェーハを浸漬するバッチ式の洗浄装置を用いても良いし、又は枚葉式で一枚づつスピン洗浄する洗浄装置を用いても良い。
【0031】
また、フッ酸洗浄後に純水でリンスしても良い。すなわち、本発明における洗浄工程は、リンスを含むこともできる。
【0032】
純水の温度は10℃以上かつ100℃以下とすることができる。10℃以上であれば、純水リンス後のウェーハに結露が生じることをより効果的に抑制できる。また、温度は水の沸点の100℃以下とすることができる。
【0033】
純水でリンスする時間は1秒以上かつ1時間以下とすることができる。1秒以上であればより確実に単結晶シリコンウェーハに付着したフッ酸を除去することができる。また、1時間以下とすることで時間が掛かり過ぎるのを防止することができる。
【0034】
純水リンスは、バッチ式の洗浄装置を用いても良いし、又は枚葉式の洗浄装置を用いても良い。
【0035】
図1のS13は、上記洗浄後に単結晶シリコンウェーハを乾燥する工程である。
乾燥は大気中で実施してもよいし、不活性ガス雰囲気で実施してもよい。また、乾燥時の温度は、例えば、室温以上かつ300℃以下とすることができる。室温以上であれば確実に乾燥する。また、300℃以下とすることで、汎用的な加熱装置を用いることができる。
【0036】
乾燥後のウェーハを成膜工程に搬送する際の環境は、搬送中の酸化を防ぐために窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気中や真空中とすることができるが、密閉された大気中でも何ら問題はない。大気中での酸化は、気流が遅いほど遅く進行するため、密閉された環境であれば酸化の進行を防ぐことができる。例えば、単結晶シリコンウェーハの搬送に一般的に使用されるFOUP(Front Opening Unified Pod)やFOSB(Front Opening Shipping Box)に乾燥後のウェーハを入れて搬送することができる。
【0037】
また、ウェーハを搬送する際の環境の湿度は、結露が生じないような湿度であることが好ましく、例えば、70%以下とすることができる。湿度の下限は特にない。
【0038】
また、ウェーハを搬送する際の環境の温度は、室温程度であることが好ましく、例えば、10℃以上かつ40℃以下とすることができる。このような温度範囲であれば、汎用的なウェーハ搬送容器を用いることができる。
【0039】
乾燥後のウェーハを成膜工程に搬送するまでの時間は1日以内とすることができる。1日以内であれば、搬送工程における酸化の影響はない。また、搬送時間の下限値は特にない。
【0040】
図1のS14工程は単結晶シリコンウェーハに、水素ベークせずに、シリコンを成膜する工程である。
【0041】
例えば、エピタキシャル成長により、単結晶シリコンウェーハ上にシリコンを成膜することができるが、シリコンの成膜方法はこれに限定されない。
【0042】
成膜条件は、ウォーターマークがないベアなシリコン面上で単結晶シリコンが成膜できる条件が好ましい。成長に使うガスとして、モノシランやジシランを使うことができる。キャリアガスとして窒素や水素を使用しても良い。また、エピタキシャル成長を行うチャンバーの圧力は、気相中で微小シリコン結晶が生じない圧力であることが好ましい。例えば、133Pa以上かつ13300Pa以下の圧力とすることができる。エピタキシャル成長装置としては、バッチ式を使用しても良いし、又は枚葉式を使用しても良い。
【0043】
また、成膜温度を450℃以上かつ800℃以下とすることができる。このような温度で成膜することにより、成膜ガスが分解して生じた水素や、キャリアガスで使用される水素によりウォーターマークが除去されることを防ぐことができる。
【0044】
成膜層の厚さは0.01μm以上かつ10μm以下とすることができる。成膜層の厚さを0.01μm以上とすることでより確実に洗浄工程の薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを評価することができる。また、10μm以下とすることで、成膜に時間が掛かりすぎるのを防止することができる。
【0045】
なお、単結晶シリコンの成膜を行う場合、通常は成膜の直前に、基板表面の自然酸化膜の除去や清浄化のための水素ベークが行われるが、本発明に係る評価方法における成膜工程では、水素ベークを行わず、所定の成長温度に達したところで成膜を開始することが好ましい。これは、水素によりウォーターマークが除去されてしまうことを防ぐためである。ここで言う水素ベークとは、水素雰囲気中で単結晶シリコンウェーハを800℃以上で一定時間保持することを意味している。800℃未満ではウォーターマークは除去されないので、800℃未満であれば成膜前にキャリアガスとして水素を流しても何ら問題はない。
【0046】
成膜によりウォーターマークが顕在化する理由としては、ベアなシリコン面とウォーターマーク上での成膜速度が異なることにより、膜厚に違いが生じて凸凹が発生しているためと考えることができる。
【0047】
図1のS15はヘイズのウェーハ面内分布を評価する工程である。
ヘイズの評価は汎用的なレーザー散乱光により欠陥を検出する欠陥検査装置で行うことができる。例えば、KLA-Tencor社製のSurfScanシリーズで評価できる。
【0048】
リンス時の酸化は、流速が速いほど速く進行するため、流速分布を反映したウェーハ全面のマップを取得することができる。また、乾燥時に乾燥が遅い場所はウォーターマークが形成されるため、乾燥のムラも評価することができる。
【0049】
欠陥の面内分布を用いても、洗浄工程における薬液の流れ及び乾燥工程における乾燥ムラを評価することができるが、ヘイズの面内分布の方が分解能は高い。
【0050】
以上に例を示して説明したように、本発明の洗浄工程及び乾燥工程の評価方法によれば、洗浄工程における薬液流れ及び乾燥工程における乾燥ムラに起因したヘイズを簡便に評価することができる。この評価結果に基づいて洗浄工程及び乾燥工程の条件を調整することにより、単結晶シリコンウェーハ上のパーティクルの低減を簡便に且つ確実に行うことができる。
【実施例0051】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
[実施例1-1及び実施例1-2]
準備した単結晶シリコンウェーハの導電型、直径、結晶面方位及びヘイズの最大値は以下の通りである。
ウェーハの導電型:p型
直径:300mm
結晶面方位:(100)
ヘイズの最大値:0.5ppm
【0053】
次に、準備した単結晶シリコンウェーハを、複数枚のウェーハを浸漬するバッチ式(実施例1-1)又は1枚づつスピン洗浄する枚葉式(実施例1-2)の装置でフッ酸により洗浄した。洗浄後、純水でリンスした。その後、実施例1-1及び1-2では、水素ベーク処理を行わずに、単結晶シリコンウェーハ上にシリコンの成膜を行った。このとき、圧力は4000Pa、成膜温度は580℃、膜厚は100nmとした。これにより、実施例1-1及び実施例1-2の評価対象の単結晶シリコンウェーハを得た。
【0054】
[比較例1及び比較例2]
比較例1では、バッチ式の装置で洗浄後、シリコンの成膜を行わなかったこと以外は実施例1-1と同様の手順で、比較例1の評価対象の単結晶シリコンウェーハを得た。
【0055】
また、比較例2では、バッチ式の装置で洗浄後、水素ベーク処理を行ってからシリコンの成膜を行ったこと以外は実施例1-1と同様の手順で、比較例2の評価対象の単結晶シリコンウェーハを得た。
【0056】
比較例2において、水素ベーク処理の温度は1150℃とし、時間は1分とした。
【0057】
[ヘイズのウェーハ面内分布の評価]
実施例1-1、実施例1-2、比較例1及び比較例2の評価対象の単結晶シリコンウェーハについて、その後、KLA-Tencor社製のSurfScan SP5のDW2(Darkfield Wide)モードでヘイズを測定した。その結果を図2に示す。
【0058】
図2に示すように、比較例1および比較例2では、洗浄工程及び乾燥工程に由来する分布は見られなかったが、水素ベークせずにシリコンを成膜し、その後にヘイズを測定した実施例1-1及び1-2では洗浄工程又は乾燥工程に由来する分布が見られた。バッチ式の装置の場合である実施例1-1では、対流の模様が観察され、枚葉式の場合である実施例1-2では同心円状の模様が観察された。なお、比較例1で見られる同心円状の分布は測定装置に由来する分布である。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2