IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図1
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図2
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図3
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図4
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図5
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図6
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図7
  • 特開-定着装置及び画像形成装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110476
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011952
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 潤
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA23
2H033BB01
2H033BB28
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB35
2H033BB36
2H033BB37
2H033BB38
2H033BE00
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】省スペース化を実現するとともに構成部材の破損による耐久性の低下を防止可能な定着装置を提供する。
【解決手段】一対のローラと、一端が軸支され、他端にスプリング15が係止され、一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な加圧レバー10と、一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で加圧レバー10を変位させるカム部材20と、加圧レバー10のカム部材20により押圧される被押圧部分に配設されるカム受け部材30と、を備え、カム受け部材30は、凹部が被押圧部分を被覆するように加圧レバー10と嵌合する断面略コの字形状であり、加圧レバー10の長手方向と直交する幅方向において、カム部材20とカム受け部材30が接触する領域の長さWが加圧レバーの厚みtの3倍以上7倍以下であり、かつカム受け部材30を介したカム部材20による押圧力の荷重の中心Lが加圧レバー10の厚みの中心Cと一致する定着装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接離自在に相互に圧接し、記録媒体を挟持搬送する一対のローラと、
一端が軸支され、他端にスプリングが係止され、前記一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な加圧レバーと、
前記一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で前記加圧レバーを変位させるカム部材と、
前記加圧レバーの前記カム部材により押圧される被押圧部分に配設されるカム受け部材と、を備え、
前記カム受け部材は、凹部が前記被押圧部分を被覆するように前記加圧レバーと嵌合する断面略コの字形状であり、
前記加圧レバーの長手方向と直交する幅方向において、前記カム部材と前記カム受け部材が接触する領域の長さが前記加圧レバーの厚みの3倍以上7倍以下であり、かつ前記カム受け部材を介した前記カム部材による押圧力の荷重の中心が前記加圧レバーの厚みの中心と一致することを特徴とすることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記一対のローラは、加熱手段により加熱される加熱ローラと、前記加圧レバーにより前記加熱ローラに向かって押圧される加圧ローラからなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記カム受け部材は、前記カム部材と当接するカバー部材と、前記カバー部材の内側に配設され、前記加圧レバーと当接する中間部材と、からなることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記カム受け部材の前記カバー部材は、前記中間部材に対して着脱可能であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記カム受け部材は、前記加圧レバーと係合する凸状部を有し、前記加圧レバーは、前記カム受け部材の前記凸状部と係合する係合固定部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記加圧レバーの材質の強度をS1、前記カム部材の材質の強度をS2、前記カム受け部材の材質の強度をS3としたとき、S1>S2>S3の関係を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される定着装置として、加熱ローラと加圧ローラとを備え、これらが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させ、該記録媒体上の画像を熱と圧力によって定着させるものが知られている。
【0003】
このような定着装置における加圧ローラの加圧/脱圧機構は、加圧レバーを作動させるための複数の部材で構成されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
特許文献1には、加圧機構として加圧アームおよび回動アームを有し、カムとカムフォロワで加圧脱圧動作を行い、加圧ローラが定着ローラに近づきすぎないためのストッパ機構を備え、調整レバーと調整ねじによって加圧力(軸間距離)が抑制される構成の定着装置が開示されている。
特許文献2には、加圧レバーと、解除レバーと、加圧レバーの付勢する方向に抗して加圧解除方向に回動させるための部材と、定着装置を載置台に固定する固定レバーと、解除レバーの回動に連動させる連結部材とを備え、加圧解除に連動させて定着装置の固定解除を可能にした構成が開示されている。
【0005】
近年、画像形成装置では省スペース化とコストダウンが求められており、搭載される定着装置においても同様である。しかしながら、特許文献1の定着装置では、加圧脱圧機構を構成する部品点数が多く、複雑な構成となり、これらを配置させるスペースが必要になっている。また、特許文献2の定着装置では、定着装置を取り出すときにのみ動作する圧解除レバーのために本体内のスペースを要する構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、特許文献2の定着装置では、ジャム処理時に定着装置を本体から取り出す際に、解除レバーと圧解除カムが連動して圧力を解除するよう動作して脱圧状態となるように構成されているため、装着時には定着部材および加圧部材へ連続的に負荷がかることにより部材の圧縮歪によるニップ部の変形や部品寿命など耐久性の問題があった。
【0007】
定着装置において省スペース化を実現するために、構成部品の小型化や薄型化を図ることが考えられるが、一方で強度低下等に起因した不具合を生じるおそれがある。特に、省スペースのために一枚の板金部材で加圧レバーを構成した場合、カム部材の押圧を受ける部位では、繰り返し受ける荷重によって部材の変形や破損等を招く可能性があり(図8参照)、定着装置の耐久性を低下させるという課題がある。
【0008】
そこで本発明は、省スペース化を実現するとともに構成部材の破損による耐久性の低下を防止可能な定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、接離自在に相互に圧接し、記録媒体を挟持搬送する一対のローラと、一端が軸支され、他端にスプリングが係止され、前記一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な加圧レバーと、前記一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で前記加圧レバーを変位させるカム部材と、前記加圧レバーの前記カム部材により押圧される被押圧部分に配設されるカム受け部材と、を備え、前記カム受け部材は、凹部が前記被押圧部分を被覆するように前記加圧レバーと嵌合する断面略コの字形状であり、前記加圧レバーの長手方向と直交する幅方向において、前記カム部材と前記カム受け部材が接触する領域の長さが前記加圧レバーの厚みの3倍以上7倍以下であり、かつ前記カム受け部材を介した前記カム部材による押圧力の荷重の中心が前記加圧レバーの厚みの中心と一致することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省スペース化を実現するとともに構成部材の破損による耐久性の低下を防止可能な定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
図2】加圧レバーとカム受け部材の寸法の説明図である。
図3】加圧レバーとカム受け部材の寸法の関係と破損の有無を示す表である。
図4】カバー部材と中間部材で構成されるカム受け部材の一例を示す説明図である。
図5】カバー部材と中間部材の寸法の説明図である。
図6】カバー部材と中間部材で構成されるカム受け部材の一例を示す説明図である。
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図8】従来の定着装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
[定着装置]
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成を示す側面図であり、図1(B)及び図2図1(A)中のA-Aで示す部位の断面模式図である。
本実施形態の定着装置は、図1(A)に示すように、接離自在に相互に圧接し、記録媒体を挟持搬送する一対のローラ1,2と、一端が軸支され、他端にスプリング15が係止され、一対のローラの一方(符号2で示すローラ)を他方(符号1で示すローラ)へ押圧する揺動可能な加圧レバー10と、一対のローラ1,2の圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で加圧レバー10を変位させるカム部材20と、加圧レバー10のカム部材20により押圧される被押圧部分に配設されるカム受け部材30と、を備えている。
【0014】
一対のローラ1,2は、ヒータ等の加熱手段6により加熱される加熱ローラ1と、加圧レバー10により加熱ローラ1に向かって押圧される加圧ローラ2からなる。
本実施形態の定着装置が電子写真方式の画像形成装置に搭載される態様において、加熱ローラ1は、定着ローラとよばれることがある。
【0015】
加熱ローラ3の表面近傍には、温度検知部材が配設されている。また、定着装置に搬送されてきた被搬送体である記録媒体をローラ間に導く入口ガイド板4と、ローラ間から排出された記録媒体を分離する分離爪5を備えている。
【0016】
加圧レバー10は一枚の板金部材からなり、軸支され回動中心となる支点12と、スプリング15を係止するフック部13を有している。加圧レバー10は、スプリング15の弾性力によって加圧ローラ2を押圧する。
【0017】
長手方向(図1(A)のX方向)において加圧ローラ2とフック部13との間に、カム部材20とカム受け部材30が配設されている。
加圧レバー10はカム部材20の正逆回転動作により作動する。カム部材20が加圧レバー10をスプリング15の作用に抗して回動させる(押し下げる)ことにより、加圧ローラ2への加圧が解除される。一方、カム部材20の下死点において、スプリングの15の弾性力により加圧レバー10が加圧ローラ2を押圧する。
【0018】
図1(B)、図2(A)及び図2(B)は、加圧レバー10の加圧レバー10の長手方向と直交する幅方向のA-A断面図である。
カム受け部材30は、凹部が被押圧部分を被覆するように加圧レバー10と嵌合する断面略コの字形状の部材であり、加圧レバー10の幅方向の板厚を囲むように設けられる。
また、カム受け部材30は、加圧レバー10の長手方向(図1(A)のX方向)と直交する幅方向(図1(B)のY方向)において、カム部材20とカム受け部材30が接触する領域の長さWが加圧レバー10の厚みtの3倍以上7倍以下であり、かつカム受け部材30を介したカム部材20による押圧力の荷重の中心Lが加圧レバー10の厚みの中心Cと一致するように配設される。
【0019】
図2(A)は、カム部材20とカム受け部材30が接触する領域の長さWが加圧レバー10の厚みtの3倍である例を示している。
カム受け部材30のコの字形状を構成する各辺の厚みwaは、カム受け部材30の厚みtと等しく(wa=t)、その結果、カム部材20との対向面であって接触して荷重を受ける領域の幅方向の長さがカム受け部材30の厚みの3倍(W=3t)となっている。
図2(B)は、カム部材20とカム受け部材30が接触する領域の長さWが加圧レバー10の厚みtの7倍である例を示している。
カム受け部材30のコの字形状を構成する各辺の厚みwbは、カム受け部材30の厚みtの3倍であり(wb=3t)、その結果、カム部材20との対向面であって接触して荷重を受ける領域の幅方向の長さがカム受け部材30の厚みの7倍(W=7t)となっている。
【0020】
カム受け部材30は、図2に示したように、コの字形状を構成する各辺が均一な厚みで形成されている。偏肉部を設けず均一な厚みとすることで、部材の成形時におけるそり、ひけ、及びボイド等の成形不良の発生を低減し、部材の強度低下を防止することができる。
【0021】
図8は、従来の定着装置の構成の一例を示した図である。
図8の例では、省スペース化のため一枚の板金部材で構成された加圧レバー10において、カム部材20から押圧される被押圧部に曲げ加工部35が形成されている。カム部材20による押圧力の荷重の中心Lは、本実施形態の例と異なり、加圧レバー10の厚みの中心と一致しておらず、支点12から離れているため、曲げ加工部35には矢印Bで示す方向に倒れる力が発生する。これにより、加圧レバー10の支点12には不要な負荷による引っ掛かりが生じ、加圧レバー10の円滑な動作が妨げられる。また、カム部材20の荷重を受ける部位は、繰り返し受ける荷重による強度の低下や破損等を招く可能性があり、部材の耐久性、ひいては定着装置の耐久性を低下させるおそれがある。
【0022】
これに対し、図1及び図2に示す本実施形態の構成によれば、省スペース化を実現するとともに構成部材の破損による耐久性の低下を防止可能な定着装置を提供することができる。
【0023】
図3は、加圧レバー10とカム受け部材30の寸法の関係と破損の有無を示した表である。詳しくは、加圧レバー10の長手方向と直交する方向における厚みtと、カム部材20とカム受け部材30との接触領域の長さWについて、それぞれ5段階の水準を設け、各水準の組み合わせにおいてカム部材20がカム受け部材30に一定の荷重をかけた場合のカム受け部材30の破損の発生を調べた結果を示したものである。
【0024】
加圧レバー10の厚みt(t1~t5)は、0<t1<t2<t3<t4<t5の関係を満たす値である。また、カム部材20とカム受け部材30との接触領域の長さW(W1~W5)は、0<W1<W2<W3<W4<W5の関係を満たす値である。
表中、破損が生じなかった組み合わせを「〇」、軽微な損傷・破損がみられた組み合わせを「△」、破損が生じた組み合わせを「×」で表している。
なお、本実施形態において、カム受け部材30はPOM、PA、PPS等の樹脂材料で形成された部材である。
【0025】
表中の「〇」は、いずれも、加圧レバー10の厚みtと、カム部材20とカム受け部材30との接触領域の長さWとの比率K(=W/t)が3以上となる組み合わせであった。「△」及び「×」はいずれも、比率K(=W/t)が3未満となる組み合わせであった。
以上の結果から、カム部材20とカム受け部材30が接触する領域の長さWを加圧レバー10の厚みtの3倍以上とし、かつカム受け部材30を介したカム部材20による押圧力の荷重の中心Lが加圧レバー10の厚みの中心Cと一致するように配設することにより、構成部材の破損を防ぐことができることがわかった。
【0026】
なお、カム部材20とカム受け部材30が接触する領域の長さWを加圧レバー10の厚みtに対して大きくすることは、強度の面では好ましいが、コスト面及び省スペースの観点からは不利となる場合がある。そのため、比率K(=W/t)は3以上7以下であることが好ましい。
【0027】
図4及び図5は、カバー部材30aと中間部材30bで構成されるカム受け部材30の一例を示す説明図である。図4(A)はカム部材20により押圧される被押圧部分における加圧レバー10及びカム受け部材30の分解斜視図であり、図4(B)はその幅方向断面模式図である。また図5は各部材の寸法を説明する図である。
【0028】
図4(A)及び図4(B)に示すように、カム受け部材30は、カム部材20と当接するカバー部材30aと、カバー部材30aの内側に配設されて加圧レバー10と当接する中間部材30bと、からなる態様とすることができる。
【0029】
また図5に示すように、カム部材20とカム受け部材30とが接触する領域の長さWは、カバー部材30aの幅であり、中間部材30bがカバー部材30aと当接する領域の幅はwcである。また、カバー部材30aと中間部材30bは、それぞれ断面略コの字形状の部材であり、コの字形状を構成する各辺が均一な厚みで形成されている。
また、カバー部材30aと中間部材30bは、いずれもPOM、PA、PPS等の樹脂材料で形成されている。
【0030】
このように、樹脂製の部材を複数組み合わせることによって、全体として肉厚を増加させることができる。また、中間部材30bを設けることにより、カム部材20と当接するカバー部材30aが加圧レバー10から受ける負荷を低減することができ、破損を防止し、部品の耐久性を向上させることができる。
【0031】
また図4(A)に示すように、加圧レバー10のカム部材20による被押圧部分は、カム受け部材30が嵌合する溝状部10bとすることができる。
【0032】
カム受け部材30は、カム部材20から繰返し受ける負荷によって万一破損した場合でも、容易に交換することができるよう、加圧レバー10に対して着脱可能に配設されることが好ましい。
カム受け部材30がカバー部材30aと中間部材30bから構成される態様においても、カバー部材30aは、中間部材30bに対して着脱可能であることが好ましく、同様に、中間部材30bも、加圧レバー10に対して着脱可能であることが好ましい。
【0033】
図6は、カバー部材30aと中間部材30bで構成されるカム受け部材30の他の例を示す説明図であり、図6(A)はカム部材20により押圧される被押圧部分における加圧レバー10及びカム受け部材30の分解斜視図であり、図6(B)はその幅方向断面模式図である。
図6に示す例では、カバー部材30aは中間部材30bに対して着脱可能であり、中間部材30bも加圧レバー10に対して着脱可能な構成となっている。
加圧レバー10のカム部材20による被押圧部分は、カム受け部材30が嵌合する溝状部10bとすることができる。
【0034】
カム受け部材30は、加圧レバー10と係合する凸状部を有し、加圧レバー10は、カム受け部材30の凸状部と係合する係合固定部10aを有する構成とすることができる。
図6の例では、中間部材30bが加圧レバー10の係合固定部10aと係合する凸状部33を有している。
なお、係合固定部10aは、加圧レバー10を厚み方向に貫通する開口であってもよく、貫通していない溝状の凹部であってもよい。
また、図6に示すように、カバー部材30aは、中間部材30bの端面32に係合する突起部31が設けられている。
【0035】
このように、加圧レバー10、カバー部材30a、及び中間部材30bが相互に係合する構造を有することにより、取付けられた状態においては安定性を有しつつ、交換時には容易に着脱の操作を行うことが可能となる。
【0036】
本実施形態において、加圧機構を構成する加圧レバー10、カム部材20、及びカム受け部材30について、それぞれ十分な強度を有する材料からなることが好ましい。
また、加圧レバー10の材質の強度をS1、カム部材20の材質の強度をS2、カム受け部材30の材質の強度をS3としたとき、S1>S2>S3の関係を満たすことが好ましい。
【0037】
カム部材20をカム受け部材30(カバー部材30a及び中間部材30b)よりも曲げ強さ及び引張強さの高い材料で構成することで、カム部材20がカム受け部材30よりも先にクリープや疲労により破壊されるのを防止することができる。
カム部材20を交換する場合は、カム受け部材30よりも多くの点数の部品の取外し作業が必要となるため、部材の破損による交換の作業性の観点から、カム部材20の破損が防止されることが好ましい。
【0038】
加圧レバー10は金属材料からなり、カム部材20及びカム受け部材30は樹脂材料からなる。
カム受け部材30を構成するカバー部材30a及び中間部材30bは、それぞれ同じ樹脂材料からなる態様であってもよく、異なる樹脂材料であってもよい。いずれも場合であっても、カバー部材30a及び中間部材30bよりもカム部材20の強度が高いことが好ましい。
【0039】
[画像形成装置]
図7は、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の一実施形態としてのレーザプリンタの要部構成の説明図であり、原理を単純化して図示したものである。
なお、本発明に係る定着装置の構成は、電子写真方式、インクジェットどちらの画像形成にも適用することができる。インクジェット方式で画像を形成する画像形成装置においては、例えば、加熱ローラで記録媒体を加熱してインクを乾燥させる手段として適用することができる。
【0040】
以下の実施形態では「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は紙(用紙)だけでなくOHPシートや布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべて「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。
【0041】
また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
【0042】
図7に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、給紙手段と、レジストローラ対60と、像担持体としての感光体ドラム80と、転写手段110と、定着装置100とを備えている。
【0043】
給紙手段は、記録媒体(用紙)Pが積載状態で収容される給紙トレイ140と、給紙トレイ140に収容された用紙Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して送り出す給紙コロ116を有している。
給紙コロ116によって送り出された用紙Pはレジストローラ対60で一旦停止され、姿勢ずれを矯正された後、感光体ドラム80の回転に同期するタイミングで、すなわち、感光体ドラム80上に形成されたトナー像の先端と用紙Pの搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイミングでレジストローラ対60により転写部位111へ送られる。
【0044】
感光体ドラム80の周りには、矢印で示す回転方向順に、帯電手段としての帯電ローラ118と、図示しない露光手段の一部を構成するミラー128と、現像ローラ122aを備えた現像手段122と、転写手段110と、クリーニングブレード124aを備えたクリーニング手段124が配置されている。
【0045】
帯電ローラ118と現像手段122の間において、ミラー128を介して感光体ドラム80上の露光部126に露光光Lbが照射され、走査されるようになっている。
プリンタにおける画像形成動作は公知の動作と同様に行われる。
すなわち、感光体ドラム80が回転を始めると、感光体ドラム80の表面が帯電ローラ118により均一に帯電され、画像情報に基づいて露光光Lbが露光部126に照射、走査されて作成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
この静電潜像は感光体ドラム80の回転により現像手段122へ移動し、ここでトナーが供給されて可視像化され、トナー像が形成される。
【0046】
感光体ドラム80上に形成されたトナー像は、所定のタイミングで転写部位111に進入してきた用紙P上に転写手段110による転写バイアス印加により転写される。
トナー像を担持した用紙Pは定着装置100へ向けて搬送され、定着装置100で定着された後、図示しない排紙トレイへ排出・スタックされる。
【0047】
転写部位111で転写されずに感光体ドラム80上に残った残留トナーは、感光体ドラム80の回転に伴ってクリーニング手段124に至り、このクリーニング手段124を通過する間にクリーニングブレード124aにより掻き落とされて清掃される。
その後、感光体ドラム80上の残留電位が図示しない除電手段により除去され、次の作像工程に備えられる。
【0048】
本実施形態の画像形成装置は、上述の本発明に係る定着装置を備えているため、省スペース化とコスト低減が実現されるとともに、ジャム処理時の操作性の向上と耐久性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 加熱ローラ
2 加圧ローラ
10 加圧レバー
13 フック部
15 スプリング
20 カム部材
30 カム受け部材
30a カバー部材
30b 中間部材
100 定着装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特許第3896235号公報
【特許文献2】特許第3404453号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8