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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110629
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012203
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 聖治
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA21
2H033BB01
2H033BB28
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB35
2H033BB36
2H033BB38
2H033BE00
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】カム受け部材の破損防止と、省スペース化及びコストダウンの実現とを両立することができる定着装置を提供する。
【解決手段】一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な板状の加圧レバー部材31と、一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で加圧レバー部材31を変位させるカム部材41と、加圧レバー部材31のカム部材41と対向する位置に配設され、カム部材41からの押圧力を加圧レバー部材31に伝達するカム受け部材32と、を備え、加圧レバー部材31の厚みをtとし、加圧レバー部材31の厚み方向におけるカム受け部材の寸法32であって、カム部材41と当接する面の長さをWとし、加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向におけるカム受け部材32の寸法であって、カム部材41との当接位置から一方の側面までの長さをL1としたとき、L1≧0.6×(W-t)/2+0.2の関係を満たす定着装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接離自在に相互に圧接し、記録媒体を挟持搬送する一対のローラと、
一端が軸支され、他端に弾性部材が係止され、前記一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な板状の加圧レバー部材と、
前記一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で前記加圧レバー部材を変位させるカム部材と、
前記加圧レバー部材の前記カム部材と対向する位置に配設され、前記カム部材からの押圧力を前記加圧レバー部材に伝達するカム受け部材と、を備え、
前記加圧レバー部材の厚みをtとし、
前記加圧レバー部材の厚み方向における前記カム受け部材の寸法であって、前記カム部材と当接する面の長さをWとし、
前記加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における前記カム受け部材の寸法であって、前記カム部材との当接位置から一方の側面までの長さをL1としたとき、
L1≧0.6×(W-t)/2+0.2
の関係を満たすことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
さらに、
L1≦1.3×(W-t)/2+1.25
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記カム受け部材は、
前記カム部材と対向する面と、前記加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における側面とで形成される角部の少なくとも一方が、R形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記カム受け部材が断面略コの字形状の部材であり、
前記加圧レバー部材の前記カム部材からの押圧力を受ける被押圧面と、前記加圧レバー部材の厚み方向の両側面の少なくとも一部とを覆うように嵌合することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記カム受け部材及び前記加圧レバー部材は、互いに係合する係合構造を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記加圧レバー部材は、前記カム部材からの押圧力を受ける被押圧面に対して鉛直方向に突出する壁部を有し、
前記カム受け部材は、前記壁部に嵌合する形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記加圧レバー部材の厚みをt、
前記加圧レバー部材の厚み方向における前記カム受け部材の寸法であって、前記カム部材と当接する面の長さをWとし、
前記加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における前記カム受け部材の寸法であって、前記カム部材との当接位置から前記壁部に対向する側面までの長さをL2としたとき、
L2≧0.5×(W-t)/2+0.9
の関係を満たすことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記カム受け部材は、
前記加圧レバー部材の前記カム部材からの押圧力を受ける被押圧面と、前記加圧レバー部材の厚み方向の両側面の少なくとも一部とを覆うように嵌合する凹部を有する形状であり、かつ前記被押圧面と当接する凹部の底面は、水平方向両側に延出し、かつ端部がR形状の溝部を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
前記カム受け部材の前記カム部材と対向する面は、前記加圧レバー部材の厚み方向における断面が、前記カム部材に向かって突出する略円弧形状であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の定着装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される定着装置として、加熱ローラと加圧ローラとを備え、これらが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させ、該記録媒体上の画像を熱と圧力によって定着させるものが知られている。このような定着装置においては、加熱ローラと加圧ローラを接近離間させる接離機構が設けられている。
【0003】
接離機構は、一般的に、回転することで接離部材を接近離間させるカム部材を備えている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、カム部材を回転させることで接離部材を接近離間させる接離機構であって、カム部材が回転方向の半周よりも多い領域に渡って回転中心からの距離が漸増するカム面を有し、一方向及びこれとは逆方向に回転可能な構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像形成装置では省スペース化とコストダウンが求められており、搭載される定着装置においても同様である。
省スペース化とコストダウンを実現するためには、構成部品の小型化や薄型化を図ることが考えられる。例えば、特許文献1の定着装置のように、複雑な加工を伴わない平板状の加圧レバー部材を用いることで省スペース化を実現することができる。また、カム部材及びカム部材と当接する部材を、加工が容易な樹脂材料を用い、かつ部品を小型化することで材料使用量を抑えてコストダウンを実現することができる。
【0005】
しかしながら、構成部材の薄型化や小型化の制約は、部材の強度の低下につながるおそれがある。特に、カム部材の押圧を受けるカム受け部材は、繰り返し荷重を受けることによる変形や、経時での破損等が発生する可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、カム受け部材の破損防止と、省スペース化及びコストダウンの実現とを両立することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、接離自在に相互に圧接し、記録媒体を挟持搬送する一対のローラと、一端が軸支され、他端に弾性部材が係止され、前記一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な板状の加圧レバー部材と、前記一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で前記加圧レバー部材を変位させるカム部材と、前記加圧レバー部材の前記カム部材と対向する位置に配設され、前記カム部材からの押圧力を前記加圧レバー部材に伝達するカム受け部材と、を備え、前記加圧レバー部材の厚みをtとし、前記加圧レバー部材の厚み方向における前記カム受け部材の寸法であって、前記カム部材と当接する面の長さをWとし、前記加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における前記カム受け部材の寸法であって、前記カム部材との当接位置から一方の側面までの長さをL1としたとき、L1≧0.6×(W-t)/2+0.2の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カム受け部材の破損防止と、省スペース化及びコストダウンの実現とを両立することができる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態に係るモノクロ画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
図3】カム部材と遮光部材と光学センサとを抜き出して示す図である。
図4】本実施形態に係る接離機構の駆動系の概略構成図である。
図5】本実施形態に係る接離機構の制御系のブロック図である。
図6】カム部材による加圧ローラの離間動作を説明するための図である。
図7】カム部材による加圧ローラの接近動作を説明するための図である。
図8】カム部材の回転角度と半径との関係を示すカム線図である。
図9】加圧レバー部材に配設されるカム受け部材の一例を示す斜視図である。
図10】カム部材とカム受け部材とが当接した状態を示す説明図である。
図11】カム受け部材にかかる荷重と応力の説明図である。
図12】加圧レバー部材の厚み方向におけるカム受け部材の寸法の説明図である。
図13】(A)はカム受け部材の荷重を受ける位置を示し、(B)はカム受け部材の応力分布を示すグラフである。
図14】カム受け部材の荷重位置を変化させたときの応力値の変化を示すグラフである。
図15】ΔtとL1の値の組み合わせに対する応力解析シミュレーションの結果を示すグラフである。
図16】カム受け部材の一例を示す説明図である。
図17】カム受け部材のR形状に対する応力解析シミュレーションの結果を示すグラフである。
図18】加圧レバー部材とカム受け部材との不安定な接触状態を示す説明図である。
図19】カム受け部材と加圧レバー部材の係合構造の一例を示す説明図である。
図20】カム受け部材と加圧レバー部材の係合構造の一例を示す斜視図である。
図21】壁部を有する加圧レバー部材とカム受け部材との嵌合の一例を示す斜視図である。
図22】壁部を有する加圧レバー部材とカム受け部材との嵌合の一例を示す説明図である。
図23】加圧レバー部材とカム受け部材との隙間による姿勢の傾きを説明する図である。
図24】壁部を有する加圧レバー部材に嵌合するカム受け部材の一例を示す斜視図である。
図25】壁部を有する加圧レバー部材に嵌合するカム受け部材の寸法の説明図である。
図26】ΔtとL2の値の組み合わせに対する応力解析シミュレーションの結果を示すグラフである。
図27】加圧レバー部材に配設されるカム受け部材の一例を示す斜視図である。
図28】カム受け部材の凹部の底面のR形状と応力を示す説明図である。
図29】カム受け部材のカム部材との当接面の形状の一例を示す斜視図である。
図30】カム受け部材のカム部材との当接面の形状の一例を示す断面図である。
図31】定着ベルトを備える定着装置の概略構成図である。
図32】定着ローラが対向ローラに対して接近離間する定着装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
なお、本発明に係る定着装置の構成は、電子写真方式、インクジェット方式どちらの画像形成装置にも適用することができる。以下、電子写真方式の画像形成装置に搭載される定着装置の例を説明するが、インクジェット方式の画像形成装置においては、例えば、加熱ローラで記録媒体を加熱してインクを乾燥させる手段として適用することができる。
【0012】
また、以下の実施形態では「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は紙(用紙)だけでなくOHPシートや布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべて「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。
【0013】
また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
【0014】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
まず、図1を参照して、画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。なお、本発明が適用される画像形成装置は、プリンタのほか、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機などが含まれる。
【0015】
図1に示す画像形成装置は、モノクロ画像形成装置である。その装置本体(画像形成装置本体)100には、作像ユニットとしてのプロセスユニット1が着脱可能に装着されている。プロセスユニット1は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5等を備える。また、感光体2に対向する位置に、感光体2の表面を露光する露光手段としてのLEDヘッドアレイ6が配置されている。
【0016】
プロセスユニット1には、画像形成用の粉体であるトナーを収容する粉体収容器としてのトナーカートリッジ7が着脱可能に装着されている。トナーカートリッジ7は、未使用のトナーを収容する未使用トナー収容部8と、使用された廃トナーを収容する廃トナー収容部9とを有する。
【0017】
また、画像形成装置は、記録媒体としての用紙に画像を転写する転写装置10と、用紙を供給する給紙装置11と、用紙に転写された画像を定着させる定着装置12と、用紙を装置外へ排出する排紙装置13と、タイミングローラとしての一対のレジストローラ17とを備える。
【0018】
転写装置10は、転写部材としての転写ローラ14を備える。転写ローラ14は、プロセスユニット1を装置本体100に装着した状態で感光体2と接触するように配置されている。また、転写ローラ14は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されるようになっている。
【0019】
給紙装置11は、記録媒体としての用紙Pが収容される給紙カセット15と、給紙カセット15に収容されている用紙Pを給送する給紙ローラ16とを備えている。なお、用紙Pには、普通紙のほか、厚紙、薄紙、はがき、封筒、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。さらに、用紙以外に、OHPシートやOHPフィルム等を記録媒体として用いることも可能である。
【0020】
定着装置12は、互いに対向する一対の回転体を備える。一方の回転体は、用紙に画像を定着させる定着回転体としての定着ローラ18であり、他方の回転体は、定着ローラ18に対して加圧される加圧回転体としての加圧ローラ19である。定着ローラ18は、内部に加熱手段(例えば、ハロゲンヒータ)22が設けられている。定着ローラ18と加圧ローラ19とは互いに接触し、両ローラ18,19間に定着ニップが形成されている。
【0021】
排紙装置13は、用紙を装置外に排出する一対の排紙ローラ20を備える。また、装置本体100の外装上面部には、排紙ローラ20によって排出された用紙を載置するための排紙トレイ21が形成されている。
【0022】
また、装置本体100内には、給紙カセット15から、レジストローラ17、転写ローラ14と感光体2との間の画像転写部(転写ニップ)、定着装置12を経由して、排紙ローラ20まで用紙Pを搬送するための搬送路101が設けられている。さらに、画像形成装置100内には、両面印刷する際に定着装置12を通過した用紙Pを再度画像転写部に搬送するための両面搬送路102が設けられている。
【0023】
続いて、図1を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成装置の作像動作について説明する。
作像動作が開始されると、感光体2が回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、読取装置又はコンピュータ等からの画像情報に基づいてLEDヘッドアレイ6が感光体2の帯電面を露光し、静電潜像が形成される。そして、現像装置4によって感光体2上の静電潜像にトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0024】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転駆動を開始し、給紙カセット15から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、レジストローラ17によって搬送を一旦停止される。その後、所定のタイミングでレジストローラ17の回転駆動を開始し、感光体2上のトナー画像が画像転写部に達するタイミングに合わせて、用紙Pを画像転
写部へ搬送する。
【0025】
そして、用紙Pが画像転写部に搬送されると、転写ローラ14に所定の電圧が印加されることにより生じた転写電界によって感光体2上のトナー画像が用紙P上に転写される。また、このとき用紙Pに転写されなかった感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去され、トナーカートリッジ7の廃トナー収容部9へ回収される。
【0026】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置12へと搬送され、定着ローラ18と加圧ローラ19とによって形成される定着ニップを通過することにより加熱及び加圧されて、用紙P上のトナー画像が定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ20によって装置外に排出され、排紙トレイ21上に載置される。
【0027】
また、両面印刷を行う場合は、定着装置12を通過した用紙Pを装置外に排出せずにスイッチバックさせて両面搬送路102に送る。用紙Pは両面搬送路102を通ってレジストローラ17の手前側で搬送路101に送り込まれ、レジストローラ17によって再度画像転写部へ搬送される。そして、用紙Pの裏面に画像が転写され、定着装置12によって裏面側の画像が定着された後、用紙Pは装置外へ排出される。
【0028】
図2は、本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
以下、図2を参照しつつ、本発明が適用される定着装置12について詳しく説明する。
定着ローラ18と加圧ローラ19のそれぞれの両端部は、軸受23,24を介して一対の支持部材25によって回転可能に支持されている。装置本体に設けられた駆動源から定着ローラ18に駆動力が伝達されると、定着ローラ18は図2中の矢印Aで示す方向に回転駆動し、これに伴って、加圧ローラ19は図2中の矢印B1で示す方向に従動回転する。なお、本実施形態とは反対に、加圧ローラ19を駆動ローラとし、定着ローラ18を従動ローラとしてもよい。
【0029】
加熱手段22から発せられる輻射熱によって定着ローラ18が所定の温度にまで加熱された状態で、用紙が図2中の矢印C1で示す方向から定着ニップ80へ進入すると、回転する定着ローラ18と加圧ローラ19によって用紙は挟持されながら搬送される。このとき、用紙上の未定着画像が、定着ローラ18の熱によって加熱されると共に、定着ローラ18と加圧ローラ19とによって加圧されることで、用紙に画像が定着される。そして、画像が定着された用紙は定着ニップ80から図2中の矢印C2方向へ排出される。
【0030】
また、加圧ローラ19は、支持部材25によって定着ローラ18に対して図2中の矢印B2方向に接近離間可能に支持されている。具体的には、加圧ローラ19を支持する軸受24が、支持部材25に設けられた長方形状の孔である軸受ガイド部25bに嵌め込まれており、この軸受ガイド部25bに沿って軸受24が案内されることで、加圧ローラ19は定着ローラ18に対して接近離間する。一方、定着ローラ18を支持する軸受23は、各支持部材25に設けられた円形の孔である軸受嵌合部25aに嵌め込まれており、定着ローラ18はその軸位置が軸方向と直交する方向に移動しないように固定されている。
【0031】
また、本実施形態に係る定着装置12は、定着ローラ18に対して加圧ローラ19を加圧する加圧レバー部材31と、加圧レバー部材31を加圧方向に付勢する付勢部材としての加圧バネ36とを備えている。加圧レバー部材31及び弾性部材(以下、「加圧バネ」ともいう)36は、加圧ローラ19の両端部側にそれぞれ1つずつ設けられている。加圧レバー部材31は、その一端部31dが支持部材25の下部に設けられた支軸33に取り付けられ、支軸33を中心に図2の矢印α方向に回動可能に構成されている。各加圧バネ36は、加圧レバー部材31の他端部31b側と支持部材25の上部とに設けられた引っ掛け部31c,25cに引っ掛けて取り付けられている。これにより、加圧レバー部材31の他端部31bは、加圧バネ36によって常時図の上方へ引っ張られた状態で保持されている。
そして、加圧レバー部材31は、支持部材25の軸受ガイド部25bに嵌め込まれたパッド34を介して加圧ローラ19を支持する軸受24を押圧し、加圧ローラ19を定着ローラ18に向かって加圧している。
【0032】
また、本実施形態に係る定着装置12は、定着ローラ18に対して加圧ローラ19を接近離間させる接離機構として、カム部材41を備えている。
カム部材41は、一対の支持部材25によって回転可能に支持される回転軸42の両端部側にそれぞれ設けられている。回転軸42が回転すると、一対のカム部材41は回転軸42と一体的に回転する。また、カム部材41は、回転中心からの距離が回転方向に向かって変化するカム面41aを有する。加圧レバー部材31が加圧バネ36によって引っ張られることで、加圧レバー部材31に設けられたカム受け部材32がカム面41aに対して接触した状態で保持されている。この状態で、カム部材41が一方向に回転すると、加圧レバー部材31がカム面41aによって図の下方へ押し動かされることで、加圧ローラ19が定着ローラ18に対して離間し、カム部材41が逆回転すると、加圧レバー部材31が図の上方へ戻されることで、加圧ローラ19が定着ローラ18に対して接近するように構成されている。なお、カム部材41による詳しい接離動作については後述する。
【0033】
また、本実施形態に係る定着装置12は、カム部材41の回転位置(回転角度)を検知する回転位置検知手段として、光学センサ51と、遮光部材52とを備えている。光学センサ51は、透過型の光学センサであり、光を照射する投光部と、投光部から照射された光を受ける受光部とを有する。遮光部材52は、カム部材41と一体的に回転することで、光学センサ51の照射光を遮蔽又は透過し、受光の有無を切り換えることにより光学センサ51によって回転位置が検知される被検知部材である。光学センサ51及び遮光部材52は、2つあるカム部材41のうちの片方のカム部材41側にのみ設けられている。
【0034】
図3は、カム部材と遮光部材と光学センサとを抜き出して示す図である。
図3に示すように、カム部材41に設けられたカム面41aは、回転中心からの距離が図における時計回りに漸増するように形成されている。そして、カム面41aは、回転方向の半周(180°)よりも多い領域に渡って設けられている。具体的に、本実施形態では、カム面41aの回転中心からの距離が最も小さい最下点e1から、カム面41aの回転中心からの距離が最も大きい最上点e2まで、約270°の範囲に渡って設けられている。
【0035】
遮光部材52は、回転方向に長い(回転方向の長さがJ1である)被検知領域としての長遮光部52aと、長遮光部52aよりも回転方向に短い(回転方向の長さがJ2である)被検知領域としての短遮光部52bとを有する。長遮光部52aと短遮光部52bは、いずれも回転に伴って光学センサ51の光照射部Hを通過することで照射光を遮蔽する。また、長遮光部52aと短遮光部52bとの間には、光学センサ51の照射光を透過させる孔部(透光部)52jが形成されている。
【0036】
図4は、本実施形態に係る接離機構の駆動系の概略構成図である。
図4に示すように、駆動系は、駆動源としてのモータ43と、モータ43からの駆動力をカム部材41や遮光部材52に伝達するギア列44とを備える。本実施形態では、モータ43として、小型で安価なDCブラシモータを用いている。ギア列44は、モータ43の出力軸に取り付けられた第1のウォームギア45と、第1のウォームギア45と噛み合う第2のウォームギア46と、第2のウォームギア46と一体に設けられた第1の平歯車47と、第1の平歯車47と噛み合うと共に遮光部材52と一体に設けられた第2の平歯車48とで構成される。モータ43の出力軸が一方向又はこれと逆方向に回転すると、各ウォームギア45,46と各平歯車47,48が回転し、第2の平歯車48と遮光部材52が一体的に回転することで、回転軸42を介して各カム部材41が一方向(図3中の矢印Fで示す方向)又はこれとは逆方向(図3中の矢印Gで示す方向)に回転する。
【0037】
図5は、本実施形態に係る接離機構の制御系のブロック図である。
図5に示すように、制御系は、カム部材41の回転を制御する制御部60と、カム部材41の回転位置を検知するための上記光学センサ51、及び、カム部材41の回転時間を計測するタイマー70を備える。
制御部60は、例えば、画像形成装置本体に設けられたCPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。制御部60は、光学センサ51によって検知された信号やタイマー70によって計測された時間に基づいてモータ43の駆動を制御してカム部材41の回転を制御する。また、制御部60は、光学センサ51によって検知された信号に基づいてタイマー70による時間計測開始のタイミングや時間計測停止のタイミングを制御するようにも設定されている。
【0038】
本実施形態に係る定着装置では、加圧ローラ19を定着ローラ18に対して接近離間可能にすることで、定着ニップ80における加圧力を変更できるようにしている。
以下、図6及び図7に基づきカム部材41による加圧ローラ19の接離動作(通常の加圧力から脱圧する場合の脱圧動作と、通常の加圧力に戻す場合の加圧動作)について説明する。
【0039】
図6(A)は、加圧レバー部材31に配設されたカム受け部材32がカム面41aに対して最下点e1側で接触している状態を示す。この状態では、図2に示す加圧ローラ19が定着ローラ18に対して接近し、通常の加圧力で加圧されている。
【0040】
図6(A)に示す状態から、図6(B)に示すように、カム部材41を図における反時計回りに回転させると、カム面41aがカム受け部材32に対して摺動し、カム面41aに対するカム受け部材32の接触位置が最下点e1側から最上点e2側へ相対的に移動する。これに伴って、カム受け部材32がカム面41aによって図における下方へ押し動かされ、加圧レバー部材31が加圧ローラ19の軸受から退避することで、加圧ローラ19が定着ローラ18に対して離間する方向に移動する。
【0041】
そして、図6(C)に示すように、カム面41aに対するカム受け部材32の接触位置が最上点e2側へ至ると、定着ローラ18に対する加圧ローラ19の離間動作が完了し、定着ニップにおける加圧力が通常の加圧よりも小さくなった脱圧状態となる。この時点で、カム部材41の回転を停止させる。
【0042】
一方、図7(A)に示す脱圧状態から、図7(B)に示すように、カム部材41を図における時計回り(上記脱圧移行時の回転方向とは逆方向)に回転させると、カム面41aがカム受け部材32に対して摺動し、カム面41aに対するカム受け部材32の接触位置が最上点e2側から最下点e1側へ相対的に移動する。これに伴って、カム受け部材32が加圧バネ36の付勢力によって図における上方へ引き上げられ、加圧レバー部材31が加圧ローラの軸受を押圧することで、加圧ローラ19が定着ローラ18に対して接近する方向に移動する。
【0043】
そして、図7(C)に示すように、カム面41aに対するカム受け部材32の接触位置が最下点e1側へ至ると、定着ローラ18に対する加圧ローラ19の接近動作が完了し、定着ニップ80における加圧力が増加した通常の加圧状態に戻される。この時点で、カム部材41の回転を停止させる。
【0044】
このように、本実施形態に係る定着装置においては、加圧ローラ19と定着ローラ18を離間させるときはカム部材41を一方向に回転させ、加圧ローラ19を定着ローラ18に接近させるときはカム部材41を逆方向に回転させることで、加圧レバー部材31を押し動かすのと戻すのとを同じカム面41aを用いて行っている。
【0045】
図8は、カム部材41の回転角度と半径との関係を示すカム線図である。
カム部材41を円滑に動作させるために、カム面41aは一般的に図8に示すような正弦曲線に構成される。このように、カム面41aにかかる負荷が大きくなるにつれてカム面41aの変化量を小さくすることで、急激な負荷変動を防ぎ、動作を安定させ、駆動モータの負荷を低減し、異常音の発生を防止することができる。
カム面41aは、負荷が小さいときは曲率が大きく、負荷が大きいときは曲率が小さくなっているため、図8のカム線図においてカム部材41の外径が大きくなるにつれその傾きが小さくなっているのがわかる。
【0046】
本発明に係る定着装置が備えるカム受け部材32は、カム部材41との当接部及び加圧レバー部材31との当接部に基づき、必要な強度を満たしつつ小型化された寸法及び形状が設計される。これにより部材のサイズ及び配置を最適化することができ、さらに適切な材料を選定することで、省スペース化、低コスト化、及び耐久性の向上を実現することができる。以下、本発明に係る定着装置のカム受け部材32の設計に係る構成を説明する。
【0047】
本発明に係る定着装置は、接離自在に相互に圧接し、記録媒体を挟持搬送する一対のローラ(例えば、図2に示す加圧ローラ19及び定着ローラ18)と、一端が軸支され、他端に弾性部材(加圧バネ)36が係止され、一対のローラの一方を他方へ押圧する揺動可能な板状の加圧レバー部材31と、一対のローラの圧接状態を保持する位置と解除する位置の間で加圧レバー部材31を変位させるカム部材41と、加圧レバー部材31のカム部材41と対向する位置に配設され、カム部材41からの押圧力を加圧レバー部材31に伝達するカム受け部材32と、を備え、加圧レバー部材31の厚みをtとし、加圧レバー部材31の厚み方向におけるカム受け部材32の寸法であって、カム部材41と当接する面の長さをWとし、加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向におけるカム受け部材32の寸法であって、カム部材41との当接位置から一方の側面までの長さをL1としたとき、下記式(1)の関係を満たす。
L1≧0.6×(W-t)/2+0.2・・・式(1)
【0048】
以下、式(1)中の符号について図10図11及び図12に基づき説明する。
図10はカム部材41とカム受け部材32とが当接した状態を示す説明図であり、図11はカム受け部材32にかかる荷重と応力の説明図である。
図10に示すように、カム受け部材32は、図の上方からはカム部材41との当接位置32bに荷重Mを受け、図の下方からは加圧レバー部材31との当接面受け面で荷重Nを受けている。
なお、図10は、図2に示す定着装置12における設置態様に基づきカム受け部材32の配設面及び加圧レバー部材31との当接面が傾斜して示されているが、以下の説明ではこれらを水平に表した図で説明する。
【0049】
図11に示すように、「D」は加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向(図中x方向)におけるカム受け部材32の全体の長さである。
「L1」は加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向(図中X方向)におけるカム受け部材32の寸法であって、カム部材41との当接位置32aから一方の側面(図11では左側面32c)までの長さである。
なお、カム受け部材32とカム部材41との当接部位が、加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向(図中X方向)において幅を有する場合、当接位置32aは、カム部材41と当接する領域のX方向の中央を基準とする。
【0050】
図12は、加圧レバー部材31の厚み方向におけるカム受け部材32の寸法の説明図である。
図12に示すように、「W」は加圧レバー部材31の厚み方向(図中Y方向)におけるカム受け部材32のカム部材41と当接する面(当接する領域)の全体の長さである。
なお、カム受け部材32のカム部材41と対向する面の形状によってカム部材41と当接する面積が異なるため、「W」の値はカム受け部材のY方向における全長とは必ずしも一致しない。
「t」は加圧レバー部材31の厚みである。なお、加圧レバー部材31の厚みとは、加圧レバー部材31を構成する平板状の板金部材の板厚をいう。
「Δt」は、式(1)中の「(W-t)/2」で表される変数であり、カム部材41と当接する領域(長さW)のうち、加圧レバー部材31と当接する領域32fの外側部分にあたるY方向の片側の長さである。
【0051】
図11中の「Sc」は、カム受け部材32のカム部材41との当接位置32aに発生している負荷応力値であって、シミュレーションにより算出される値である。
また「St」は、カム受け部材32の左端面32cの上端角部、すなわちクラックが発生しやすく部材破損の起点となる部位に発生している負荷応力値であって、シミュレーションにより算出される値である。
これらのシミュレーションに係るグラフを図13に示す。
【0052】
図13(A)はシミュレーションを行ったカム受け部材32の荷重を受ける位置(M1、M2、M3)を説明する図であり、図13(B)は各位置に対応した応力分布を示すグラフである。
図13(A)に示すように、カム部材41との当接位置32aについて、X方向左右(長さD)の中央部とした場合の荷重をM1、片側端部(左側面32c)近傍とした場合の荷重をM3、これらの中間の位置とした場合の荷重をM2で示している。なお、M1、M2及びM3の荷重はいずれも等しい。これらのX方向(長さD)にわたる応力分布を図13(B)に示している。
【0053】
図13(B)のグラフからわかるように、いずれの場合も、カム部材41との当接位置32aにあたる部位における応力値「Sc」が最も高くなっている。また、M1、M2、M3の荷重は同じであるが、当接位置32aがX方向の端部側に近い順に、応力が大きくなっている(M1が最大である)ことがわかる。
また、応力値「St」は、グラフ中の最も左側の値(左側面32cの上端角部における値)であるが、Scと同様、当接位置32aがX方向の端部側に近い順に、応力が大きくなっている(M1が最大である)ことがわかる。
【0054】
図14は、カム受け部材32のカム部材41との当接位置32a(荷重Mの位置)をX方向左端から右端へ変化させたときの応力値の変化を示すグラフである。なお、荷重の値は一定である。
横軸Lは、カム受け部材32のカム部材41との当接位置当接位置32aから左端(左側面32c)までの長さであり、当接位置32aが左端(左側面32c)側にある場合をL=0とし、当接位置32a右端(右側面32d)側へ移動するにつれてLの値が大きくなる。
図14のグラフからわかるように、L=0の近傍でSc及びStの値が最大であり、かつScとStの値は近似している。Scの値は、Lの値が大きくなるにつれて小さくなり、Lx以降は破線の円で囲んだ値で一定となる。Stの値もLの値が大きくなるにつれて小さくなり、Lx以降も破線の円で囲んだ値よりもさらに小さくなる。すなわち、Lx以降の位置ではScとStの値の乖離が大きくなる。
【0055】
実際のカム受け部材32におけるクラックの発生状況を調べたところ、Lが0からLxとなる範囲において早期のクラック発生が観察された。これは、カム受け部材32のカム部材41との当接位置32aから左端面32cの上端角部までの領域で応力が高い状態が維持され、クリープ疲労が進行しやすくなっているためであると考えられる。
そこで、ScとStの値が近似した値となるLの範囲(0からLx)よりもLが大きくなる位置にカム部材41の当接位置32aを設けることにより、クラックの発生を防止し、部材のクリープ破壊を防止することができると考えられる。
【0056】
一方、Lに対応してScの値とStの値が乖離する場合と乖離しない場合とに分かれる条件(閾値)に寄与するのは、図12に示す「Δt」の値である。「Δt」は、式(1)中の「(W-t)/2」で表される変数である。
図15ΔtとLの値の組み合わせに対する応力解析シミュレーションの結果を図15に示す。
【0057】
図15のグラフにおいて、横軸をΔt(=(W-t)/2)、縦軸をLとして、Scの値とStの値とが乖離し始めるLの値(例えば、図14におけるLx)をプロットした結果を「●」で示している。「●」から得た直線について近似式で表すと、下記式(2)となった。
L=0.6×Δt+0.2・・・式(2)
【0058】
カム受け部材32の設計において、平板状の板金部材で構成される加圧レバー部材31の厚みtからΔtの値が決まれば、カム部材41との当接位置32aを、カム受け部材32の一方の端面(加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における一方の側面)から式(2)で求めたLよりも大きくなる位置に設定することで、クラックの発生を防止することができる。
すなわち、本実施形態の定着装置において、カム部材41との当接位置32aから一方の側面までの長さをL1としたとき、L1≧0.6×(W-t)/2+0.2とすることにより、クラックの発生を防止することができる。
【0059】
式(2)に示すとおり、Scの値とStの値との乖離を決定するのが変数Δtであるため、カム受け部材32とカム部材41との当接位置32a関係にのみ着目して最適形状を決定することができる。最適形状を決定したうえで、カム受け部材32を構成する材料や、カム部材41から受ける応力の大きさを考慮すればよく、その結果、必要以上の強度が得られる材料を選択し使用する必要がなくなり、コストアップを防止することができる。
【0060】
図14のグラフに示したように、Stの値はLの値が大きくなるにつれて小さくなり、Lの最大値付近ではほぼ0となる。Stの値が0に近い場合は、カム受け部材32にクラックが発生する可能性は極めて低いため、設計にあたってLの値をそれ以上大きくする必要が無い。
Stの値が0となる場合のLの値の組み合わせに対する応力解析シミュレーションの結果を図15に示す。
【0061】
図15のグラフにおいて、横軸をΔt(=(W-t)/2)、縦軸をLとして、Stの値が0となるLの値をプロットした結果を「▲」で示している。「▲」から得た直線について近似式で表すと、下記式(3)となった。
L=1.3×Δt+1.25・・・式(3)
【0062】
図15において、式(2)の直線及び式(3)の直線で囲まれる範囲Laが、Δtの適正範囲である。
【0063】
カム受け部材32の設計において、平板状の板金部材で構成される加圧レバー部材31の厚みtからΔtの値が決まれば、カム部材41との当接位置32aを、カム受け部材32の一方の端面(加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における一方の側面)から式(3)で求めたLよりも小さくなる位置、かつ式(2)で求めたLよりも大きくなる位置に設定することでクラックの発生防止と部材の小型化の両立が可能となる。
すなわち、本実施形態の定着装置において、カム部材41との当接位置32aから一方の側面までの長さをL1としたとき、さらにL1≦1.3×(W-t)/2+1.25の関係を満たすことによりクラックの発生防止と部材の小型化を両立することができる。
【0064】
図15において、式(2)の直線及び式(3)の直線で囲まれる範囲Laが、Δtの適正範囲である。
【0065】
また、式(3)は式(2)と同様に変数Δtを考慮すればよく、カム受け部材32とカム部材41との当接位置32aの関係にのみ着目して最適形状を決定することができる。最適形状を決定したうえで、カム受け部材32を構成する材料や、カム部材41から受ける応力の大きさを考慮すればよく、その結果、必要以上の強度が得られる材料を選択し使用する必要がなくなり、コストアップを防止することができる。
Lの値の最適範囲をさらに絞り込む場合は、カム受け部材32の材料の強度やカム部材41から受ける応力の大きさを考慮することができる。
【0066】
このように、LとΔtの関係を考慮することによりカム受け部材32を必要以上に大きく設計することを抑制でき、簡易な構成の加圧脱圧機構において、コストと強度の適正な材料を選定することができ、部品の大きさと配置の最適化を達成することができ、その結果、省スペース化とコストダウンを実現することができる。さらに部材の破損を防止することにより、定着装置の耐久性向上を達成することができる。
【0067】
次に、カム受け部材32の外形形状の例について説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の例を図16に示す。
図16はカム受け部材32の外形形状の例を示す側面図である。
カム受け部材32は、カム部材41と対向する面と、加圧レバー部材31の厚み方向における左右の外側面とで形成される角部(32h、32g)の少なくとも一方が、R形状であることが好ましい。
R形状とする角部は、図16に示すように左端面32cの上端角部32h、すなわちクラックが発生しやすく部材破損の起点となる角部が好ましい。
【0068】
図17は、図16に示した角部32hのR形状の大きさを変化させたときの負荷応力Stの変化について、応力解析シミュレーションを行った結果を示すグラフである。
なお、カム部材41からの荷重Mの大きさと荷重の位置(カム部材41との当接位置32a)は一定としている。
図17に示すように、R0.5~R2の範囲において角部32hに発生する応力は、R形状でない場合と比較して小さくなっていることがわかる。このように角部をR形状とすることにより、クラックが発生しやすい箇所の負荷応力Stを低減することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
本実施形態の礼を図9及び図12に示す。
図9は、加圧レバー部材31に配設されるカム受け部材32の一例を示す斜視図である。また、図9のカム受け部材32の加圧レバー部材31の厚み方向における断面図を図12に示す。
図9及び図12に示すように、カム受け部材32は断面略コの字形状の部材であり、加圧レバー部材31のカム部材41からの押圧力を受ける被押圧面41aと、加圧レバー部材31の厚み方向の両側面の少なくとも一部とを覆うように嵌合する形状であることが好ましい。また、カム受け部材32の断面略コの字形状の凹部の幅と、加圧レバー部材31の厚みとの差異が少ないことが好ましい。
【0070】
図18は、加圧レバー部材31とカム受け部材32との不安定な接触状態の例を示す説明図である。
カム受け部材32は、図18(A)に示すように加圧レバー部材31の厚み方向の両側面を覆う形状を有しない形状である場合や、図18(B)に示すように、覆う形状を有していても加圧レバー部材31との隙間が大きい場合には、加圧レバー部材31との接触が不安定になることがある。部分的な接触となる結果、図中32jで示す当接部位に局所的な負荷がかかり、当該部位を起点として破損に至ることがある。
【0071】
カム受け部材32を図9及び図12に示すような形状とすることにより、加圧レバー部材31に嵌合した状態においてガタつきが無く、安定した装着状態となるため、異常な応力負荷の発生を防止し、早期の破損等の不具合の発生を防止することができる。
また、装置の使用時のみならず、部品の組立て時における脱落等の不具合の発生も防止することができる。
【0072】
(第3の実施形態)
本実施形態の例を図19及び図20に示す。
図19及び図20は、カム受け部材32と加圧レバー部材31の係合構造35の一例を示す説明図である。図19は加圧レバー部材31の厚み方向の断面図であり、図20図19(B)の態様の斜視図である。
カム受け部材32及び加圧レバー部材31は、互いに係合する係合構造35を有していることが好ましい。係合構造35は、例えば、脱落防止機構として機能する。
【0073】
図19は、上段にカム受け部材32と加圧レバー部材31とが嵌合した状態、下段にカム受け部材32と加圧レバー部材31が嵌合する前の状態をそれぞれ示している。
図19(A)及び図19(B)は、加圧レバー部材31が係合凹部35bを有し、カム受け部材32の係合凸部35aと係合する例を示している。
図19(C)及び図19(D)は、カム受け部材32の係合凸部35aが加圧レバー部材31の底部と係合する例を示している。
【0074】
加圧レバー部材31に設けられる係合凹部35bの形状は、カム受け部材32の係合凸部35aと係合するものであれば特に限定されず、加圧レバー部材31の厚み方向を貫通する開口であってもよく、溝状の構造であってもよい。
また、カム受け部材32に設けられる係合凸部35aの形状は特に限定されず、図19(A)及び図19(C)に示すような突起状のものであってもよく、図19(B)及び図19(C)に示すような断面三角形の爪状のものであってもよい。
いずれの形状であっても、部材の強度低下を招くことが無く、かつ複雑な加工を必要としないことが好ましい。
【0075】
本実施形態のようにカム受け部材32と加圧レバー部材31が係合する構造を有することにより、上述の第2の実施形態と同様、安定した装着状態となるため、異常な応力負荷の発生を防止し、早期の破損等の不具合の発生を防止することができ、装置の使用時のみならず、部品の組立て時における脱落等の不具合の発生も防止することができる。
【0076】
(第4の実施形態)
本実施形態の例を図21図25に示す。
図21に示すように、加圧レバー部材31は、カム部材41からの押圧力を受ける被押圧面31aに対して鉛直方向に突出する壁部31kを有する形状とすることができる。また、カム受け部材32は、壁部31kに嵌合する形状(壁部嵌合部32k)を有する形状とすることができる。なお、カム受け部材32は、第2の実施形態と同様、加圧レバー部材31の厚み方向の両側面の少なくとも一部とを覆うように嵌合する形状であることが好ましい。
【0077】
カム受け部材32は、加圧レバー部材31の厚み方向において被押圧面31aと嵌合し、加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向において壁部31kと嵌合するため、装着状態がより安定し、異常な応力負荷の発生を防止し、早期の破損等の不具合の発生を防止することができる。
【0078】
図22(A)は図21のX方向断面図であり、図22(B)はカム受け部材32が加圧レバー部材31に取付けられた状態を示す同断面図である。図22(C)は比較のために示す第2の実施形態の例の断面図である。
図22(B)に示すように、カム受け部材32の壁部嵌合部32kと、加圧レバー部材31の壁部31kとは、図の上下方向においてK1よりも長いK2の長さで重なっている。
【0079】
図23は、図21及び図22(B)のY方向断面図であり加圧レバー部材31とカム受け部材と32の隙間uによる姿勢の傾きを説明する図である。図23(A)及び図23(B)は、図22(B)の左側から見た断面図であり、図23(C)及び図23(D)は図22(B)の右側からみた断面図である。
加圧レバー部材31とカム受け部材32とが嵌合した状態において生じる隙間uは小さいことが好ましい。隙間がまったく無い状態では正常に動作しなくなるおそれがあるため、部品間の寸法ばらつき等も考慮して、嵌合状態において一定量の隙間uが設けられることが好ましい。
【0080】
一方、隙間uが大きいと、図23(B)及び図23(D)に示すように傾きが生じ、図中矢印で示す部位に局所的な応力がかかるおそれがある。この傾き量は、図23(A)及び図23(C)の上下方向においてK1及びK2で示されるカム受け部材32と加圧レバー部材31との重なりの長さによって決まる。
重なりがK1の長さからK2の長さとなることで傾きが軽減され、その結果、図中矢印で示す局所的な応力も低減される。
【0081】
図24は本実施形態のカム受け部材32の斜視図であり、図24(B)は図24(A)の図中後方(壁部31k側)からみた図である。
図25(A)は本実施形態におけるカム受け部材32のX方向断面図であり、図25(B)は本実施形態におけるカム受け部材32のカム部材41と対向する面の平面図である。
本実施形態において、カム受け部材32がカム部材41から負荷を受ける面の形状は、延出した壁部嵌合部32kにより水平方向断面の形状が略コの字型となる凹部を有し、凹部の底面両側に隅部32mを有している。なお、図中壁部嵌合部32kの上端角部の隅部以外の部分を32nで表している。
【0082】
本実施形態のカム受け部材32において、図15に示したものと同様のΔtとLの値の組み合わせに対する応力解析シミュレーションを行った。
Δtの値によって変化するScの値とStの値とが乖離する閾値となるLの値が、壁部嵌合部32kの上端角部において隅部32mとそれ以外の部分を32nとで異なり、隅部32mの方が大きな値となった。
【0083】
シミュレーションの結果結果を図26に示す。
横軸をΔt(=(W-t)/2)、縦軸をLとして、Scの値とStの値とが乖離し始めるLの値をプロットした結果を「■」で示している。「■」から得た直線について近似式で表すと、下記式(4)となった。
L=0.5×Δt+0.9・・・式(4)
【0084】
カム受け部材32の設計において、平板状の板金部材で構成される加圧レバー部材31の厚みtからΔtの値が決まれば、カム部材41との当接位置32aを、カム受け部材32の加圧レバー部材の厚み方向と直交する方向における壁部31kに対向する側面から式(4)で求めたLよりも大きくなる位置に設定することで、クラックの発生を防止することができる。
なお、カム受け部材31が壁部31kに「対向する側面」とは、カム受け部材31が加圧レバー部材31に設置された状態において壁部31kと対向または当接する側面をいう。
すなわち、加圧レバー部材31の厚み方向と直交する方向におけるカム受け部材32の寸法であって、カム部材41との当接位置32aから壁部31kに対向する側面までの長さをL2としたとき、L2≧0.5×(W-t)/2+0.9とすることにより隅部32mにおけるクラックの発生を防止することができる。
【0085】
式(4)も同様に変数Δtを考慮すればよく、カム受け部材32とカム部材41との当接位置32aの関係にのみ着目して最適形状を決定することができる。最適形状を決定したうえで、カム受け部材32を構成する材料や、カム部材41から受ける応力の大きさを考慮すればよく、その結果、必要以上の強度が得られる材料を選択し使用する必要がなくなり、コストアップを防止することができる。
【0086】
(第5の実施形態)
本実施形態の例を図27及び図28に示す。図28の上段はカム受け部材32と加圧レバー部材31との嵌合状態の断面模式図であり、図28の下段はカム受け部材の加圧レバー部材31との当接部の拡大図である。
図27及び図28(A)に示すように、カム受け部材32は、加圧レバー部材31のカム部材41からの押圧力を受ける被押圧面31aと、加圧レバー部材31の厚み方向の両側面の少なくとも一部とを覆うように嵌合する凹部を有する形状であり、かつ被押圧面31aと当接する凹部の底面は、水平方向両側に延出し、かつ端部がR形状の溝部32rを有していることが好ましい。
【0087】
上述の第2の実施形態の例と同様、カム受け部材32は断面略コの字形状の部材である。このような形状のカム受け部材32において、加圧レバー部材31と当接する領域32f(凹部の底面)の角部は応力が高くなり、破損が発生しやすい部位となっている。当該部位の応力低減のためにR形状を設ける場合、その形状の態様によっては課題が解決できず、他の不具合を生じるおそれがある。
【0088】
図27(C)は、凹部の底面の両端をR形状とした例である。図27(C)の例について応力解析シミュレーションを行った結果、未加工の例と比較して、発生する応力が30%程度低減されることがわかった。
しかしながら、図27(C)の例では、加圧レバー部材31の当接面の角部がカム受け部材32のR形状32rと干渉してしまうため、加圧レバー部材31と嵌合するカム受け部材32の凹部の幅を広くする必要が生じる。すると、図23(A)及び図23(B)の例で示したように、カム受け部材32と加圧レバー部材31の姿勢安定性が得られにくくなるという不具合が生じる。また、加圧レバー部材31と当接する領域32fの両端部32qに高い応力が発生することがあり、破損が発生しやすくなるおそれがある。
【0089】
一方、図27(B)は、凹部の底面の両端に上方に突出するR形状を設けた例である。図27(B)の例について応力解析シミュレーションを行った結果、(C)と同様、未加工の例と比較して発生する応力が30%程度低減されることがわかった。
しかしながら、図27(B)の例では、加圧レバー部材31の当接面の角部が干渉することは無いが、加圧レバー部材31と当接する領域32fの両端部32qで示す部位に高い応力が発生することがあり、破損が発生しやすくなるおそれがある。
【0090】
図28(A)は、凹部の底面は、水平方向両側に延出し、かつ端部が半円状のR形状である、いわゆる逃し形状様の溝部32rを有している。
図28(A)に示すような形状とすることで、加圧レバー部材31の側面とカム受け部材32の接触面は適正な隙間と幅を持って接触することができ、お互いの位置関係の姿勢が安定する。
図28(A)の下段に示すように、底面は加圧レバー部材31と当接する領域32fの水平方向両側に延出する平面部32pを有し、加圧レバー部材31の幅tよりも十分長くなっているため、局所的に応力が高くなる部位が生じるのを防ぐことができる。
【0091】
図27(A)の例について応力解析シミュレーションを行った結果、未加工の例と比較して発生する応力が84%低減されることがわかった。凹部底面が長い平面部を有することで応力の集中を防止し、底面全体について応力が低い状態を維持できるためであると考えられる。よって、本実施形態としてカム受け部材32は図27(A)に示す形状とすることが好ましい。このように、破損の発生しやすい箇所の負荷応力を低減できる形状とすることで、早期の部品破損を防止でき、耐久性の向上を実現することができる。
【0092】
(第6の実施形態)
本実施形態の例を図29及び図30に示す。
図29はカム受け部材32のカム部材41との当接面の形状の一例を示す斜視図である。図29に示すように、カム受け部材32のカム部材41と対向する面は、加圧レバー部材31の厚み方向(Y方向)における断面が、カム部材41に向かって突出する略円弧形状であることが好ましい。
【0093】
図29(A)及び図29(C)は、カム部材41と対向する面のY方向の中央がカム部材41の方向に凸となる形状である。このような形状とすることにより、対向する面全体が平面である場合と比較して、カム部材41と当接する面(領域)のY方向における長さWが小さくなる。
図29(B)及び図29(D)は、カム部材41と対向する面のY方向の両端部がR形状となっている。このような形状とすることにより、図29(A)及び(C)と同様に、対向する面が平面である場合と比較して、カム部材41と当接する面(領域)のY方向における長さWが小さくなる。
【0094】
いずれの場合も、Wが小さくなることでΔtが小さくなり、上述の式(1)~(4)から得られるLの値も小さくなる。すなわち、より小さなLの設定でカム受け部材32に発生するクラックを防止することができる。
ただし、Wが小さくなる(カム部材41の当接領域が小さくなる)一方で、接触圧が増すという課題がある。そのため、接触圧の増加に起因した早期の部材の破壊リスクや、カム部材41による摩耗による影響を考慮した対応が必要となる場合がある。
【0095】
図30は、カム部材41、カム受け部材32、及び加圧レバー部材31がそれぞれ当接した状態を示すY方向断面図である。図30(B)は図29(A)と対応し、図30(C)は図29(B)と対応し、図30(E)は図29(C)と対応し、図30(F)は図29(B)と対応している。なお、図30(A)及び図30(D)は、比較のためにカム部材41と対向する面が平面である例を示したものである。
いずれの例においても、カム受け部材32のカム部材41と対向する面が、カム部材41に向かって突出する形状、特に略円弧形状であることにより、カム部材41と当接する面(領域)のY方向における長さWが小さくなっている。
【0096】
図30(B)及び図30(E)の例では、カム受け部材32はカム部材41に向かって突出した略円弧形状であり、理論上カム部材41とは中央の1点での接触であるが、樹脂製部材であることから、剛性や摩耗等の影響によりカム部材41と当接する面(領域)のY方向における長さWは変化することがある。しかしながら、図30(A)及び図30(D)のような平面で当接する場合と比較して、Wは十分小さい値であり、Wを小さくすることによる効果は得られると考えられる。
【0097】
本実施形態の定着装置は、上述の構成により加圧ローラの加圧力を変更可能である。加圧ローラの加圧力は、紙種に応じて変更する場合に限定されず、定着ニップから詰まった紙を取り除きやすくするために加圧力を低減する場合や、加圧による加圧ローラと定着ローラの塑性変形を抑制するために通紙後に加圧力を低減する場合などにおいても適用可能である。また、脱圧状態としたときに定着ローラに対して加圧ローラが完全に離間した状態(非接触状態)となる定着装置においても適用可能である。
【0098】
また、本発明を適用可能な定着装置としては、図2に示したような一対のローラ(定着ローラ及び加圧ローラ)を備える定着装置に限定されない。
例えば、図31に示すように、定着ローラに代えて無端状の定着ベルト83を備える定着装置12であってもよい。図31に示す構成では、定着ベルト83の内周側に加熱手段22とニップ形成部材81が配置されており、定着ベルト83に対して加圧ローラ19がニップ形成部材81の位置で加圧されることで定着ニップ80が形成されている。
【0099】
さらに、本発明を適用可能な定着装置としては、図2に示したような加圧ローラが定着ローラに対して接近離間する定着装置に限定されない。
例えば、図32に示すように、定着ローラ18がこれと対向する対向ローラ82に対して接近離間する定着装置12であってもよい。
また、本発明に係る接離機構は、定着装置だけでなく、用紙等の記録媒体に画像を転写する転写装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0100】
12 定着装置
31 加圧レバー部材
32 カム受け部材
35 係合構造
41 カム部材
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2018-072792号公報
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