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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111317
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20230803BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20230803BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20230803BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20230803BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230803BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H04N1/04 101
G03B27/54 A
G03G15/01 Y
G03G15/36
B41J2/01 123
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013118
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】河崎 明博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博秋
【テーマコード(参考)】
2C056
2H109
2H270
2H300
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2C056EE17
2C056FA02
2C056FB07
2C056FB10
2H109AA11
2H270KA55
2H270KA68
2H270LB10
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270MH09
2H270PA75
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EB04
2H300EC05
2H300ED12
2H300EF06
2H300EH02
2H300EJ10
2H300EJ49
2H300EJ50
2H300FF20
2H300KK07
2H300TT03
2H300TT04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB22
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
5C072AA01
5C072BA13
5C072CA02
5C072EA05
5C072KA00
5C072LA02
5C072VA10
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】原稿上の立体画像情報を高精度に読み取る。
【解決手段】画像読取装置7は、原稿G上の可視光画像を平面画像情報として読み取る可視光画像読取部51と、原稿G上の不可視光画像を立体画像情報として読み取る不可視光画像読取部52とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿上の可視光画像を平面画像情報として読み取る可視光画像読取部と、
前記原稿上の不可視光画像を立体画像情報として読み取る不可視光画像読取部とを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記不可視光画像読取部は、前記原稿上の不可視光画像を点字画像情報として読み取る請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記不可視光画像読取部は、異なる波長領域の不可視光画像を厚みが異なる立体画像情報として読み取る請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置から得られる平面画像情報に基づいて記録媒体上に平面画像を形成する平面画像形成部と、
前記画像読取装置から得られる立体画像情報に基づいて前記記録媒体上に立体画像を形成する立体画像形成部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記立体画像形成部は、不可視光反射成分を含む立体画像形成剤を用いて立体画像を形成する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記立体画像形成部は、粒径が異なる立体画像形成剤を用いて厚みが異なる立体画像を形成する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記立体画像形成部は、異なる粒径ごとに異なる波長領域の不可視光反射成分を含む立体画像形成剤を用いて厚みが異なる立体画像を形成する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記異なる波長領域の不可視光反射成分は、紫外線反射成分と赤外線反射成分である請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複写機などの画像形成装置においては、光学センサなどを用いて原稿上の画像を読み取る画像読取装置が搭載されている。
【0003】
この種の画像読取装置は、平面画像を読み取るものが主流であるが、例えば、特許文献1(特開平11-41394号公報)においては、点字などの立体画像を読み取る画像読取装置が提案されている。特許文献1に記載の画像読取装置は、表面に複数の導体を有するローラを用いて原稿上の凹凸情報を読み取る。詳しくは、線状の導体が多数設けられたシートを、立体画像が形成された原稿上に載置し、そのシートに沿ってローラを回転させながら移動させる。このとき、ローラが、原稿の凹凸形状に倣って変形するシートの凸部分の導体に接触して、導体に接続されている端子が導通することにより、凸部分の位置座標が検出され、原稿上の立体画像が読み取られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において提案される画像読取装置によれば、原稿の凹凸情報(凸部分の位置座標)を読み取ることができる。しかしながら、この場合、回転するローラがシートを介して原稿上の凸部分に間接的に接触することにより凹凸情報を読み取る構成であるため、凹凸情報の読み取りに誤差が生じる虞があり、立体画像情報を高精度に読み取ることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置は、原稿上の可視光画像を平面画像情報として読み取る可視光画像読取部と、前記原稿上の不可視光画像を立体画像情報として読み取る不可視光画像読取部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、原稿上の立体画像情報を高精度に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】画像読取装置の構成を示すブロック図である。
図3】立体画像形成剤の拡大断面図である。
図4】立体画像形成動作を説明するための図である。
図5】画像読取装置の制御フローを示す図である。
図6】画像読取装置の他の構成を示すブロック図である。
図7】画像読取装置の他の制御フローを示す図である。
図8】立体画像として形成する部分の色を指定する印が付された原稿の図である。
図9】全ての画像を立体画像情報として読み取る印が付された原稿の図である。
図10】画像読取装置のさらに別の制御フローを示す図である。
図11】多数の立体画像形成剤から成る立体画像の拡大断面図である。
図12】粒径が異なる立体画像形成剤を示す図である。
図13】厚みが異なる立体画像の例を示す図である。
図14】画像読取装置のさらに別の制御フローを示す図である。
図15】異なる粒径ごとに紫外線反射成分の波長領域を異ならせた立体画像形成剤を示す図である。
図16】特殊トナーを用いて形成された画像を読み取る画像読取装置の構成を示すブロック図である。
図17】特殊トナーを用いた場合の制御フローを示す図である。
図18】本発明をインクジェット式の画像形成装置に適用した例を示す図である。
図19】立体画像形成部が平面画像形成部よりも用紙搬送方向の上流側に配置される例を示す図である。
図20】平面画像形成部が立体画像形成部よりも用紙搬送方向の上流側に配置される例を示す図である。
図21】立体画像形成剤の他の例を示す拡大断面図である。
図22図21に示される立体画像形成剤を用いて形成された立体画像の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。ここでは、本実施形態に係る画像形成装置を複写機として説明するが、本発明に係る画像形成装置は、複写機のほか、ファクシミリ機能などを有する複合機などであってもよい。まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び基本動作について説明する。
【0010】
図1に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取部100と、用紙などのシート状の記録媒体に平面画像を形成する平面画像形成部200と、記録媒体に立体画像を形成する立体画像形成部300と、記録媒体に画像を定着させる定着部400と、記録媒体を平面画像形成部200へ供給する記録媒体供給部500と、記録媒体を装置外へ排出する記録媒体排出部600を備えている。
【0011】
画像読取部100には、原稿上の平面画像情報と立体画像情報を区別して読み取り可能な画像読取装置7が設けられている。画像読取装置7は、原稿Gが載置されるコンタクトガラス25と、コンタクトガラス25上に載置される原稿Gを押さえる押え部材としての圧板26と、コンタクトガラス25に沿って水平方向へ移動しながら原稿G上の画像を読み取る移動読取部としてのキャリッジ27を備えている。キャリッジ27には、コンタクトガラス25上の原稿Gへ光を照射する光源(発光素子)と、原稿Gからの反射光を所定の方向へ導く反射ミラーなどが搭載されている。また、画像読取装置7は、原稿Gからの反射光を収束する集光レンズのほか、収束された反射光を電気信号に変換し画像情報として出力するCCDセンサを備えている。
【0012】
平面画像形成部200には、作像ユニットとしての4つのプロセスユニット10Y,10M,10C,10Bkと、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Bkが備える感光体2に静電潜像を形成する露光装置6と、記録媒体に画像を転写する転写装置8が設けられている。
【0013】
各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外、基本的に同じ構成である。具体的に、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Bkは、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電部材3と、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング部材5を備えている。
【0014】
転写装置8は、中間転写ベルト11と、一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13を備えている。中間転写ベルト11は、無端状のベルト部材であり、複数の支持ローラによって張架されている。一次転写ローラ12は、中間転写ベルト11の内側に4つ設けられている。各一次転写ローラ12が中間転写ベルト11を介して各感光体2に接触することにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11の外周面に接触し、二次転写ニップを形成している。
【0015】
立体画像形成部300には、記録媒体に粘着剤を供給する粘着剤供給装置30と、立体画像形成剤を供給する立体画像形成剤供給装置31が設けられている。立体画像形成剤は、平面画像を形成するトナーよりも大径の粒子から成り、粘着剤供給装置30から供給される粘着剤を介して記録媒体に接着される。
【0016】
定着部400には、記録媒体を加熱して記録媒体上の平面画像及び立体画像を記録媒体に定着させるための定着装置20が設けられている。定着装置20は、互いに接触して定着ニップを形成する一対の回転体21,22を備えている。一対の回転体21,22のうち、記録媒体の画像担持面側に配置される回転体21は、内部にヒータなどの加熱源23を有している。
【0017】
記録媒体供給部500には、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙カセット14と、給紙カセット14から用紙Pを送り出す給紙ローラ15が設けられている。以下、「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は、紙(用紙)だけでなくOHPシート又は布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。また、「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙及びアート紙など)、トレーシングペーパなども含まれる。
【0018】
記録媒体排出部600には、用紙Pを画像形成装置外に排出する一対の排紙ローラ17と、排紙ローラ17によって排出された用紙Pを載置する排紙トレイ18が設けられている。
【0019】
次に、図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置1の基本動作について説明する。
【0020】
まず、画像読取装置7のコンタクトガラス25上に原稿Gが載置された状態において、キャリッジ27が水平方向に移動しながら光源から原稿Gに向かって光が照射される。これにより、原稿Gから反射された反射光がCCDセンサに受光され、原稿Gの画像情報が読み取られる。
【0021】
次いで、各感光体2が回転を開始し、各帯電部材3が各感光体2の表面を均一な高電位に帯電させる。そして、上記画像読取装置7によって読み取られた原稿Gの画像情報のうち、平面画像情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面(帯電面)に露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して各現像装置4がトナーを供給し、各感光体2上に色ごとのトナー画像(平面画像)が形成される。
【0022】
その後、各感光体2上のトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像(平面画像)が形成される。なお、4色のプロセスユニット10Y,10M,10C,10Bkのうち、いずれか一つを使用して単色画像を形成したり、いずれか2つ又は3つを用いて2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、各感光体2から中間転写ベルト11へトナー画像が転写された後は、クリーニング部材5によって各感光体2上の残留トナーなどが除去される。
【0023】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像(平面画像)は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、二次転写ニップにおいて用紙P上に転写される。この用紙Pは、給紙カセット14から供給された用紙であり、給紙ローラ15が回転することにより給紙カセット14から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16によって一旦静止された後、中間転写ベルト11上のトナー画像が二次転写ニップへ到達するタイミングに合わせてタイミングローラ16により搬送される。
【0024】
トナー画像(平面画像)が転写された用紙Pは、続いて、立体画像形成部300へ搬送される。立体画像形成部300においては、上記画像読取装置7によって読み取られた画像情報のうち、立体画像情報に基づいて、粘着剤供給装置30が用紙Pに粘着剤を吐出する。次いで、立体画像形成剤供給装置31が、用紙P上の粘着剤付着部分に立体画像形成剤を供給し、立体画像を形成する。
【0025】
その後、用紙Pは、定着装置20へと搬送され、一対の回転体21,22の間(定着ニップ)を通過する。このとき、用紙Pが加熱及び加圧されることにより、用紙P上のトナー画像(平面画像)及び立体画像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、記録媒体排出部600へ搬送され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出される。これにより、一連の画像形成動作が終了する。なお、「画像形成」には、文字、図形、記号などの意味を持つ画像を形成するだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像の形成も含まれる。
【0026】
上記のように、本実施形態に係る画像形成装置においては、画像読取装置7によって読み取られた画像情報のうち、平面画像情報に基づいて平面画像を形成し、立体画像情報に基づいて立体画像を形成することができる。すなわち、本実施形態に係る画像読取装置7は、原稿上の画像情報を、平面画像情報と立体画像情報とに区別して読み取ることが可能である。
【0027】
以下、本実施形態に係る画像読取装置7が、平面画像情報と立体画像情報を区別して読み取りできるメカニズムについて説明する。
【0028】
図2に示されるように、本実施形態に係る画像読取装置7は、原稿G上に光を照射する光源として、可視光を照射する可視光発光部41と、不可視光を照射する不可視光発光部42を備えている。また、画像読取装置7は、原稿Gから反射された反射光を受光する受光部として、可視光を受光する可視光受光部51と、不可視光を受光する不可視光受光部52を備えている。
【0029】
また、図2に示されるように、本実施形態において用いられる原稿Gには、可視光を反射する平面画像Aと、不可視光を反射する立体画像Bが形成され得る。この平面画像Aは、上記平面画像形成部200において形成される画像であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの可視光反射成分を含むトナーを用いて形成される。一方、立体画像Bは、上記立体画像形成部300において形成される画像である。立体画像Bを形成するために用いられる立体画像形成剤には、紫外線又は赤外線などの不可視光を反射する不可視光反射成分が含まれている。
【0030】
このため、図2に示されるように、画像読取装置7の光源(可視光発光部41及び不可視光発光部42)から原稿Gへ光が照射されると、平面画像Aの部分において主に可視光が反射され、立体画像Bの部分において主に不可視光が反射される。そして、平面画像Aの部分において反射された可視光は、画像読取装置7の可視光受光部51によって受光されることにより、平面画像情報として読み取られる。また、立体画像Bの部分において反射された不可視光は、画像読取装置7の不可視光受光部52によって受光されることにより、立体画像情報として読み取られる。このように、本実施形態に係る画像読取装置7は、原稿G上の可視光画像(可視光を反射する平面画像A)を平面画像情報として読み取る可視光画像読取部としての可視光受光部51と、原稿G上の不可視光画像(不可視光を反射する立体画像B)を立体画像情報として読み取る不可視光画像読取部としての不可視光受光部52を備えている。
【0031】
また、図2に示されるように、本実施形態に係る画像読取装置7は、可視光受光部51と不可視光受光部52のそれぞれの受光信号から平面画像情報と立体画像情報とを区別して判別する画像情報判別部60を備えている。画像情報判別部60は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有するマイクロコンピュータにより構成される。この画像情報判別部60は、画像読取装置7に設けられていてもよいし、画像読取装置7とは別の画像形成装置本体に設けられていてもよい。
【0032】
画像情報判別部60において、平面画像情報と立体画像情報に区別されると、画像情報判別部60は、平面画像情報に基づき平面画像を形成するように平面画像形成部200へ指示する。また、画像情報判別部60は、立体画像情報に基づき立体画像を形成するように立体画像形成部300へ指示する。画像形成の指示を受けた平面画像形成部200は、上記のように、平面画像情報に基づき感光体2上にトナー画像を形成し、中間転写ベルト11を介してトナー画像を用紙Pに転写する。また、画像形成の指示を受けた立体画像形成部300は、上記のように、立体画像情報に基づき粘着剤供給装置30によって用紙P上に粘着剤を吐出した後、立体画像形成剤供給装置31によって用紙P上の粘着剤付着箇所に立体画像形成剤を供給し立体画像を形成する。
【0033】
ここで、本実施形態においては、立体画像形成剤として、図3に示されるような固体状の粒子を用いている。なお、立体画像形成剤は、固体状の粒子に限らず、液体状又は半液体状であってもよい。具体的に、図3に示される立体画像形成剤32は、不可視光反射成分40を含む芯材33と、芯材33の表面を覆う被覆材34によって構成されている。芯材33は、定着装置によって加熱される温度よりも溶融温度が高い材料により構成されている。このため、立体画像形成剤32が塗布された用紙が定着装置を通過しても、芯材33は溶融せず、形状がほぼ維持される。一方、被覆材34は、定着装置によって加熱される温度よりも溶融温度が低い材料により構成されているため、定着装置の加熱によって溶融する。
【0034】
図4に示されるように、用紙Pに立体画像を形成する際は、まず、粘着剤供給装置30から用紙P上に粘着剤50が吐出される。粘着剤供給装置30は、粘着剤50が収容される粘着剤容器55と、粘着剤容器55内の粘着剤50を吐出する吐出口56を有しており、吐出口56から用紙P上の立体画像形成予定部分に対して粘着剤が吐出される。なお、ここでいう「立体画像形成予定部分」とは、上記画像読取装置7によって読み取られた原稿G上の立体画像情報に基づいて決定される用紙P上の立体画像形成予定部分を意味する。
【0035】
次に、用紙Pは、立体画像形成剤供給装置31へ搬送され、立体画像形成剤供給装置31によって用紙P上の粘着剤付着箇所に立体画像形成剤32が供給される。図4に示される例においては、立体画像形成剤供給装置31が、立体画像形成剤32を収容する立体画像形成剤容器45と、立体画像形成剤32を表面に担持可能な担持体46と、担持体46上の立体画像形成剤32の量を規制する規制部材47を備えている。担持体46が回転すると、担持体46上に担持される立体画像形成剤32が規制部材47を通過することにより、立体画像形成剤32の量が所定の量に規制され、用紙P上の粘着剤付着箇所に立体画像形成剤32が供給される。
【0036】
その後、用紙Pは、定着装置へ搬送されることにより、加熱及び加圧される。このとき、用紙P上の立体画像形成剤32が加熱されることにより、被覆材34が溶融する。そして、用紙Pが定着装置を通過した後、被覆材34が固化することにより、立体画像形成剤32(芯材33)が用紙Pに対して定着される。また、立体画像形成剤32の定着性をさらに向上させるため、立体画像形成剤供給装置31と定着装置20との間に、保護剤あるいは結着剤などのコート剤を供給する装置を配置してもよい。
【0037】
このように、本実施形態に係る画像形成装置によって出力された用紙上の立体画像は、不可視光反射成分を含む立体画像形成剤32によって形成されているため、読取対象の原稿として用いれば、画像読取装置7によって原稿上の立体画像を読み取ることができる。そして、読み取られた立体画像情報に基づいて用紙に立体画像を複製することが可能である。
【0038】
すなわち、図5に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置においては、画像読取装置7によって原稿上の画像が読み取られた結果、原稿上に不可視光画像があった場合(立体画像形成剤32に含まれる不可視光反射成分と同じ波長の不可視光の反射が検出された場合)は、不可視光画像情報に基づいて立体画像が用紙に形成される。また、原稿上に、不可視光画像のほか、可視光画像があった場合(トナーの可視光反射成分と同じ波長の可視光の反射が検出された場合)は、不可視光画像情報に基づく立体画像に加え、可視光画像情報に基づく平面画像が用紙に形成される。一方、原稿上に不可視光画像が無かった場合は、読み取られた可視光画像の情報に基づき、用紙に対して平面画像のみが形成される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置においては、画像読取装置7が、原稿上の可視光画像を平面画像情報として読み取る可視光画像読取部と、原稿上の不可視光画像を立体画像情報として読み取る不可視光画像読取部とを備えていることにより、原稿上の平面画像情報と立体画像情報を確実に区別して認識することができる。また、画像読取装置7によって原稿上の立体画像情報を光学的に読み取るので、特許文献1に記載のようなローラを用いて立体画像情報を読み取る構成に比べて、精度良く立体画像情報を読み取ることができる。このため、読み取られた画像情報に基づいて複製される立体画像の再現性を向上させることができる。
【0040】
ところで、本実施形態に係る画像形成装置においては、不可視光反射成分が含まれる立体画像形成剤を用いて最初の原稿さえ作製すれば、作製された原稿上の不可視光画像を読み取ることにより用紙に立体画像を複製することが可能である。なお、最初の原稿は、コンピュータあるいは端末機器から送られる印刷画像情報に基づいて本実施形態に係る画像形成装置により作製される必要がある。
【0041】
しかしながら、一般的に作製される点字などの立体画像原稿においては、立体画像部分に不可視光反射成分が含まれていないため、そのままでは、本実施形態に係る読取装置7によって立体画像情報を読み取ることができない。従って、利便性を向上させるには、このような原稿上の立体画像情報も複製できるようにすることが好ましい。
【0042】
続いて説明する例は、不可視光反射成分を含まない一般的な原稿を用いた場合でも、立体画像を形成できるようにした例である。
【0043】
図6に示されるように、この例における画像形成装置は、画像情報を平面画像情報と立体画像情報とに区別して判別する上記画像情報判別部60のほか、原稿上の可視光画像のうち立体画像として形成される部分の色を指定する色指定部61を備えている。色指定部61は、例えば、画像形成装置の制御パネルなどに設けられる入力部であり、原稿上の可視光画像のうち、使用者が立体画像として形成したい部分の色を指定する際に操作される。
【0044】
図7に示されるように、この例においては、原稿上の画像の読み取りが行われると、画像形成装置において立体画像形成モードが選択されているか否か判定される。立体画像形成モードは、例えば画像形成装置に設けられた制御パネルなどにより使用者が選択できる。
【0045】
そして、立体画像形成モードが選択されている場合は、続いて、上記画像情報判別部60によって、原稿上に不可視光画像があるか否か判定される。その結果、原稿上に不可視光画像があった場合は、不可視光画像情報に基づいて立体画像が用紙に形成される。また、原稿上に、不可視光画像のほか、可視光画像があった場合は、不可視光画像情報に基づく立体画像に加え、可視光画像情報に基づく平面画像が用紙に形成される。
【0046】
一方、原稿上に不可視光画像が無かった場合は、さらに、上記色指定部61において色指定が行われているか否か判定される。その結果、色指定があった場合は、原稿上の可視光画像のうち、指定された色の部分のみが立体画像として用紙に形成される。なお、指定された色以外の色部分は、平面画像として用紙に形成される。また、原稿上の画像の読み取りが行われた結果、原稿上に不可視光画像もなく、色指定も無い場合は、読み取られた可視光画像の全ての部分が、平面画像として用紙に形成される。
【0047】
このように、図7に示される例においては、立体画像として形成したい部分の色を指定すれば、不可視光反射成分を含まない一般的な原稿であっても、その原稿から立体画像を形成するが可能である。例えば、原稿上に、不可視光反射成分を含まない点字が形成されている場合、その点字部分を黒色に着色し、色指定にて黒色を選択すれば、黒色の点字部分を立体画像(点字)として用紙に形成することができる。同様に、平面画像のみが形成されている原稿であっても、立体画像形成モードを選択し、色指定を行えば、指定された色の部分を立体画像として形成できる。
【0048】
また、立体画像を形成する必要が無い場合は、立体画像形成モードを選択せず、通常の平面画像形成モードを選択すればよい。その場合、読み取られた画像が、可視光画像のみの場合に限らず、不可視光画像のみの場合、可視光画像と不可視光画像の両方を含む場合のいずれの場合も、読み取られた全ての画像が平面画像として用紙に形成される。
【0049】
図7に示される例においては、原稿上の不可視光画像の有無を、色指定の有無よりも優先的に判断するようにしているが、反対に、色指定の有無を、原稿上の不可視光画像の有無より優先的に判断してもよい。また、原稿上の不可視光画像の有無の判断と色指定の有無の判断を並行して行い、不可視光画像の部分と色指定されている部分の両方を立体画像として形成する制御を行ってもよい。
【0050】
また、図7に示される例においては、制御パネルなどの色指定部61により使用者が色指定を行うようにしているが、これに代えて、図8に示されるように、色指定を表す印70をあらかじめ原稿Gに付すようにしてもよい。すなわち、可視光画像が形成された原稿Gの一部(角部など)に、記号又は文字などから成る印70を付しておき、画像読取装置7によって原稿G上の画像が読み取られる際に一緒に印70が読み取られることにより、立体画像として形成したい部分の色を自動的に判別できるようにする。印70は、可視光画像により形成されてもよいし、不可視光画像により形成されてもよい。また、指定する色ごとに異なる印70を複数用意しておけば、色指定の幅が広がるので、利便性が向上する。
【0051】
続いて、図9に示される例は、原稿G上に、全ての画像を立体画像情報として読み取る印71が付されている例である。
【0052】
この場合、図10に示されるように、画像読取装置によって原稿上の画像が読み取られた結果、原稿上に図9に示される印71があった場合は、印71を除く原稿G上の全ての画像が、可視光画像であるか不可視光画像であるかに関わらず立体画像として用紙に形成される。なお、印71は、可視光画像でもよいし、不可視光画像でもよい。
【0053】
このような例は、例えば、すでに印刷されているポスターなどの用紙に、点字などの立体画像を重ねて形成したい場合に利用できる。あらかじめ印刷されたポスターを画像形成装置の給紙カセットに設置し、点字部分を示す黒点と上記印71とが付された原稿G(図9参照)を画像読取装置によって読み取ると、読み取られた黒点部分が立体画像として認識され、給紙されたポスター上に黒点部分に対応する点字が形成される。このように、原稿G上の画像を全て立体画像情報として読み取る印71があれば、立体画像にしたい部分を色指定しなくてもよいため、立体画像の形成が簡便になる。
【0054】
なお、図10において、立体画像として読み取る印71が無い場合の制御は、図7に示される原稿上の不可視光画像の有無の制御及び色指定の有無の制御と基本的に同じであるので説明を省略する。
【0055】
本発明に係る画像形成装置は、点字を形成する用途に用いることができるほか、油絵などの凹凸を有する絵画など、点字以外の立体画像を形成する場合にも用いることができる。本発明に係る画像形成装置を点字用途に用いる場合は、図11中の(a)に示されるように、多数の上記立体画像形成剤32から成る立体画像B(点字)の厚みtを0.3[mm]~0.5[mm]にする必要があるため、立体画像形成剤32の芯材33の粒径d(図3参照)は0.3[mm]~0.5[mm]であることが好ましい。また、図11中の(b)に示されるように、立体画像形成剤32を重ねて、油絵などのより複雑な凹凸面を有する立体画像を形成する場合は、立体画像形成剤32の芯材33の粒径dが0.1[mm]~0.5[mm]であることが好ましい。なお、ここでいう立体画像の「厚み」、及び以下の説明中の立体画像の「厚み」は、立体画像Bが原稿G又は用紙Pの画像形成面から突出する方向の高さを意味する。
【0056】
上記実施形態においては、一種類の立体画像形成剤32(図3参照)を用いて立体画像を形成する場合について説明したが、立体画像形成剤は、粒径が異なる二種類以上の粒子含むものであってもよい。
【0057】
例えば、図12に示される例のように、立体画像形成剤32は、小径粒子32aと、小径粒子32aよりも大径の大径粒子32bの、二種類の粒子を含むものであってもよい。
【0058】
このように、粒径が互いに異なる立体画像形成剤を用いることにより、厚みが異なる立体画像を形成できるようになる。例えば、図13中の(a)示されるような小径粒子32aのみから成る立体画像と、(b)に示されるような大径粒子32bのみから成る立体画像と、(c)に示されるような小径粒子32aと大径粒子32bの両方から成る立体画像を形成できる。従って、粒径が異なる立体画像形成剤を用いれば、油絵などの複雑な質感の立体画像を形成できるようになる。
【0059】
小径粒子32aと大径粒子32bの粒径比は、2倍程度であることが好ましい。特に、粒子を三段以上に重ねて立体画像を形成する場合は、粒径比を3倍又は4倍などにしてもよい。また、粒径が異なる粒子を三種類以上用いることにより、より複雑な質感の画像を形成できるようになる。
【0060】
ここで、小径粒子32a及び大径粒子32bには、互いに異なる波長領域の不可視光反射成分が含まれている。具体的に、小径粒子32aは、波長領域380[nm]以下の紫外線反射成分を含み、これに対して、大径粒子32bは、波長領域780[nm]以上の赤外線反射成分を含んでいる。
【0061】
このため、画像読取装置が、互いに異なる波長領域の不可視光反射成分を区別して読み取り可能であれば、これらの粒子32a,32bを用いて形成される立体画像を識別できる。すなわち、画像読取装置が、紫外線の波長領域(380[nm]以下)の反射光を受光する紫外線受光部(第一の不可視光受光部)と、赤外線の波長領域(780[nm]以上)の反射光を受光する赤外線受光部(第二の不可視光受光部)を備えていればよい。
【0062】
これにより、画像読取装置は、図13の(a)(b)(c)に示されるような厚みが異なる立体画像を区別して読み取ることができる。この場合、図14に示されるように、画像読取装置が原稿を読み取った際に、紫外線と赤外線の両方が受光された部分については、小径粒子32aと大径粒子32bの両方から成る立体画像として識別され、紫外線のみが受光された部分については、小径粒子32aのみから成る立体画像として識別され、赤外線光のみが受光された部分については、大径粒子32bのみから成る立体画像として識別される。なお、紫外線と赤外線のいずれも受光されなかった場合は、立体画像が無いと判別される。
【0063】
このように、画像読取装置が、異なる波長領域の不可視光反射成分を読取可能に構成されていることにより、厚みが異なる立体画像を判別できるようになるので、複雑な質感の立体画像の複製が可能となる。
【0064】
上記の例においては、紫外線反射成分を含む粒子を小径粒子32aとし、赤外線反射成分を含む粒子を大径粒子32bとしているが、図15に示される例のように、紫外線反射成分を含む粒子を、2つの波長領域に分けて粒径を異ならせてもよい。例えば、波長領域が360[nm]~400[nm]の紫外線反射成分を含む粒子を小径粒子32cとし、波長領域が280[nm]~320[nm]の紫外線反射成分を含む粒子を大径粒子32dとする。
【0065】
また、これに合わせて画像読取装置も、360[nm]~400[nm]の波長領域の紫外線反射成分と、280[nm]~320[nm]の波長領域の紫外線反射成分を、区別して読取可能にすることにより、各粒子32c,32dのいずれか一方又は両方から成る立体画像を識別できるようになる。
【0066】
粒径ごとに分ける紫外線反射成分の波長領域は、3つ以上であってもよい。さらに、赤外線反射成分を含む粒子も、同じように2つ以上の波長領域に分けて粒径を異ならせてもよい。粒径ごとに紫外線反射成分の波長領域と赤外線反射成分の波長領域を異ならせることにより、粒径同士の組み合わせによる立体画像の厚みが多様化するため、立体画像の質感をより細かく再現できるようになる。
【0067】
また、本発明において用いられる立体画像形成剤は、上記のような芯材33と被覆材34から成る粒子に限らず、特許第4356714号公報に記載されるような発泡剤を有する粒子であってもよい。発泡剤は、例えば熱分解によりガスを発生する物質を主原料とする発泡剤から成る。発泡剤が含まれる粒子を用いて用紙上に画像を形成し、その用紙が定着装置に搬送されて加熱されると、発泡剤が発泡することにより、用紙上の画像が立体画像として形成される。このような発泡剤を有する粒子においても、不可視光反射成分が含まれるようにすれば、上記実施形態に係る立体画像形成剤と同じように、画像読取装置によって立体画像を光学的に読み取ることができるようになり、読取精度が向上すると共に、読み取られた画像情報に基づく立体画像の再現性も向上する。
【0068】
上記実施形態においては、可視光反射成分を含むトナーを用いて平面画像を形成し、不可視光反射成分を含む立体画像形成剤を用いて立体画像を形成するようにしているが、ブラックのトナーの種類によっては、可視光反射成分のほか、不可視光反射成分が含まれるものも存在する。このような特殊なトナーを用いた場合、本来平面画像として判別されるところ、立体画像として判別されることになる。
【0069】
そのため、不可視光反射成分も含む特殊なトナーによって形成された平面画像については、平面画像として判別するか、あるいは立体画像として判別するかを選択できるようにすることが好ましい。例えば、図16に示されるように、可視光反射成分のほかに不可視光反射成分も含む特殊トナーによって形成された平面画像Cが画像読取装置7の読み取られた場合、すなわち、可視光受光部51がその特殊トナーの色に対応する可視光を受光すると共に、不可視光受光部52が不可視光を受光した場合は、画像情報判別部60において、特殊トナーによって形成された平面画像Cであると判別される。そして、その場合は、画像情報判別部60からの情報に基づき、ユーザなどの操作者が画像形成装置に設けられた選択部62によって、平面画像として形成するか、立体画像として形成するかを選択する。その結果、立体画像が選択された場合は、立体画像として形成され、平面画像が選択された場合は、平面画像として形成される。なお、特殊トナー以外のトナーの可視光のみが受光された場合は、通常のトナーにより形成された平面画像であるので、平面画像として形成され、不可視光のみが受光された場合は、立体画像形成剤を用いて形成された立体画像であるので、立体画像として形成される。この一連のフローを図17に示す。
【0070】
このように、読み取られた画像中に、不可視光反射成分も含む特殊トナーによって形成された平面画像がある場合は、読み取られた画像を平面画像として形成するか、立体画像として形成するか選択できるようにすることによって、使用可能なトナーの幅が広がり、利便性が向上する。なお、このような機能を搭載しない画像読取装置においては、不可視光反射成分を含まないトナーを用いることが好ましい。
【0071】
また、本発明に係る画像読取装置が搭載される画像形成装置は、上記のようなトナーを用いて平面画像を形成する電子写真式の画像形成装置に限らず、インクを用いて平面画像を形成するインクジェット式の画像形成装置であってもよい。
【0072】
図18に、本発明に係る画像読取装置をインクジェット式の画像形成装置に搭載した例を示す。
【0073】
図18に示されるインクジェット式の画像形成装置80は、原稿Gの画像を読み取る画像読取装置81と、液状のインクを用いて用紙に平面画像を形成するインク吐出ヘッド82と、用紙に粘着剤を供給する粘着剤供給装置83と、立体画像形成剤を供給する立体画像形成剤供給装置84と、給紙カセット85に収容される用紙Pを供給する給紙ローラ86と、用紙を装置外へ排出する排紙ローラ87などを備えている。インク吐出ヘッド82は、主走査方向(用紙幅方向)に移動しながらインクを吐出する、いわゆるシリアル型でもよいし、主走査方向に並ぶ複数のインク吐出ヘッドを移動させずにインクを吐出する、いわゆるライン型であってもよい。インクジェット式の画像形成装置80が備える画像読取装置81、粘着剤供給装置83、立体画像形成剤供給装置84、給紙カセット85、給紙ローラ86、排紙ローラ87は、図1に示される画像形成装置1が備える画像読取装置7、粘着剤供給装置30、立体画像形成剤供給装置31、給紙カセット14、給紙ローラ15、排紙ローラ17と、基本的に構成及び機能が同じであるので詳しい説明は省略する。
【0074】
図18に示されるインクジェット式の画像形成装置80においては、画像読取装置81によって原稿Gの画像情報が読み取られると、読み取られた画像情報のうち、立体画像情報に基づいて粘着剤供給装置83が給紙カセット85から送られてきた用紙Pに対して粘着剤を吐出する。次いで、立体画像形成剤供給装置84が、用紙P上の粘着剤付着部分に対して立体画像形成剤を供給し、立体画像を形成する。
【0075】
そして、用紙Pは、インク吐出ヘッド82の下方へ搬送され、画像読取装置81によって読み取られた画像情報のうち、平面画像情報に基づいてインク吐出ヘッド82が用紙P上にインクを吐出し平面画像を形成する。その後、用紙Pは、排紙ローラ87によって装置外に排出される。
【0076】
このように、平面画像をインクにより形成するインクジェット式の画像形成装置80においても、本発明を適用することにより、立体画像を読み取る読取精度の向上と、読み取られた画像情報に基づく立体画像の再現性の向上を期待できる。
【0077】
また、インクジェット式の画像形成装置の場合は、図19に示されるように、用紙Pに形成された立体画像Bの上に、インクを吐出して平面画像Aを形成できるので、立体画像形成剤供給装置84(立体画像形成部)をインク吐出ヘッド82(平面画像形成部)よりも用紙搬送方向の上流側に配置できる。また、この場合、インクが立体画像Bの上に付着するため、インクの視認性を良好に確保できる。
【0078】
これに対して、電子写真式の画像形成装置の場合は、立体画像の上にトナー画像(平面画像)を重ねて転写しにくいため、図20に示されるように、先にトナー画像を用紙Pに転写して平面画像Aを形成してから、立体画像Bを形成する方が好ましい。また、この場合は、立体画像Bの下に存在するトナーの視認性を確保するため、立体画像形成剤は透明の材料により構成されることが好ましい。
【0079】
また、本発明において用いられる立体画像形成剤は、図21に示されるような、不可視光反射成分40と色成分(可視光反射成分)39とを含む芯材33と、芯材33の表面を覆う粘着剤親和性を有する被覆材35によって構成されてもよい。この場合、立体画像形成剤が用紙上の粘着剤付着箇所に供給されると、立体画像形成剤32の被覆材35が粘着剤親和性を有していることにより粘着剤と結合し、図22に示されるように、芯材33が用紙P上の粘着剤50中に埋没するようにして接着される。その後、粘着剤50が固化することにより、立体画像形成剤32(芯材33)が用紙Pに固着される。この場合、芯材33が色成分39を含んでいるため、別途インクなどを塗布しなくても可視立体画像を形成できる。また、粘着剤50は、空気に触れて自然に固化するものであってもよいし、紫外線に反応して固化する成分を含むものであってもよい。粘着剤50に紫外線固化成分が含まれる場合は、粘着剤付着箇所に立体画像形成剤32が供給された後、粘着剤50に対して紫外線照射装置から紫外線が照射されることにより、粘着剤50の固化を促進させることができる。
【0080】
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
7 画像読取装置
32 立体画像形成剤
51 可視光受光部(可視光画像読取部)
52 不可視光受光部(不可視光画像読取部)
100 画像読取部
200 平面画像形成部
300 立体画像形成部
G 原稿
P 用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開平11-41394号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22