(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111491
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】感光性組成物、転写フィルム、硬化膜、半導体パッケージ、パターン形成方法、半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20230803BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230803BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G03F7/027 515
G03F7/004 501
G03F7/004 512
H05K3/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013367
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】山口 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】児玉 邦彦
【テーマコード(参考)】
2H225
5E339
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AC54
2H225AD06
2H225AE06P
2H225AE12P
2H225AE14P
2H225AE15P
2H225AM23P
2H225AM38P
2H225AM79P
2H225AM92P
2H225AN39P
2H225AN82P
2H225AP09P
2H225AP11P
2H225AP13P
2H225BA20P
2H225BA22P
2H225CA13
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
5E339AA01
5E339AB02
5E339AB05
5E339AD03
5E339BB01
5E339BC02
5E339BC03
5E339BC05
5E339BE13
5E339CC02
5E339CE16
5E339CF01
5E339DD04
5E339EE10
(57)【要約】
【課題】耐熱性が優れ、絶縁信頼性にも優れるパターンを形成できる感光性組成物、転写フィルム、硬化膜、半導体パッケージ、パターン形成方法及び半導体パッケージの製造方法の提供。
【解決手段】酸基を有する化合物Aと、露光により化合物Aが有する酸基の量を減少させる構造を有する化合物βと、を含み、化合物Aが、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び酸基とビスフェノール構造とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、感光性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸基を有する化合物Aと、露光により前記化合物Aが有する前記酸基の量を減少させる構造を有する化合物βと、を含み、
前記化合物Aが、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び酸基とビスフェノール構造とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、感光性組成物。
【請求項2】
前記化合物βが、光励起状態において前記化合物Aが有する前記酸基から電子を受容できる構造を有する化合物Bである、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記化合物Bが有する前記電子を受容できる構造の合計数が、前記化合物Aが有する前記酸基の合計数に対して、3モル%以上である、請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記化合物Aの酸価が、30~400mgKOH/gである、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記化合物βが、アクリジン、9-メチルアクリジン及び9-フェニルアクリジンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記化合物βの波長365nmにおけるモル吸光係数が、1000L/(mol・cm)超である、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項7】
更に、フィラーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記フィラーが、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、硫酸バリウム及びケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項7に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記フィラーの含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、10~80質量%である、請求項7又は8に記載の感光性組成物。
【請求項10】
前記フィラーの平均1次粒径が、10~300nmである、請求項7~9のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項11】
前記フィラーの屈折率が、1.2~1.8である、請求項7~10のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項12】
前記フィラーが、表面処理されている、請求項7~11のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項13】
前記化合物Aの含有量が感光性組成物の全固形分に対して20~98質量%であり、
前記化合物βの含有量が感光性組成物の全固形分に対して1~30質量%であり、
前記フィラーの含有量が感光性組成物の全固形分に対して10~80質量%であり、
前記化合物Aの含有量に対する前記フィラーの含有量の質量比が、0.5以上であり、
前記化合物Aの含有量に対する前記化合物βの含有量の質量比が、0.7以下であり、
前記フィラーの含有量に対する前記化合物βの含有量の質量比が、0.5以下である、請求項7~12のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項14】
更に、エポキシ化合物を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項15】
前記エポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びウレタンエポキシ型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項14に記載の感光性組成物。
【請求項16】
前記エポキシ化合物が、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有する、請求項14又は15に記載の感光性組成物。
【請求項17】
前記エポキシ化合物のエポキシ価が、90~290g/eqである、請求項14~16のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項18】
分子量が2000以下であり、エチレン性不飽和基を有し、酸基を有さない重合性化合物を含まないか、又は、前記重合性化合物を含む場合は、前記重合性化合物の含有量が感光性組成物の全固形分に対して5質量%以下である、請求項1~17のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項19】
露光及び液温25℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を用いた現像によりパターン形成できる感光性層を形成できる、請求項1~18のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項20】
仮支持体と、請求項1~19のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成される感光性層と、を有する、転写フィルム。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化して得られる、硬化膜。
【請求項22】
請求項21に記載の硬化膜を含む、半導体パッケージ。
【請求項23】
基材上に、請求項1~19のいずれか1項に記載の感光性組成物又は請求項20に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
前記感光性層をパターン露光する工程と、
露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
【請求項24】
導電層を有する基材上に、請求項1~19のいずれか1項に記載の感光性組成物又は請求項20に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
前記感光性層をパターン露光する工程と、
露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、ビアを有するパターンを形成する工程と、
前記パターン上に回路パターンを形成する工程と、
をこの順に含む、半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、転写フィルム、硬化膜、半導体パッケージ、パターン形成方法及び半導体パッケージの製造方法に関する。
【0002】
静電容量型入力装置等のタッチパネルを備えた表示装置(表示装置としては、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置等)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線等の導電パターンがタッチパネル内部に設けられている。
【0003】
一般的に、パターン化した層(以下、単に「パターン」ともいう。)の形成には感光性組成物が使用されている。
例えば、特許文献1では、所定の構成の感光性樹脂組成物(感光性組成物)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献1に記載されたような構成の感光性組成物を用いてパターンを形成して検討したところ、形成されるパターンの耐熱性及び絶縁信頼性の少なくとも一方が、低くなることを知見した。
なお、一定条件下で絶縁抵抗を経時測定した際に、絶縁抵抗が低下しにくいことを絶縁信頼性に優れるともいう。
【0006】
そこで、本発明は、耐熱性が優れ、絶縁信頼性にも優れるパターンを形成できる感光性組成物を提供することを課題とする。また、上記感光性組成物に関する、転写フィルム、硬化膜、半導体パッケージ、パターン形成方法及び半導体パッケージの製造方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
〔1〕
酸基を有する化合物Aと、露光により上記化合物Aが有する上記酸基の量を減少させる構造を有する化合物βと、を含み、
上記化合物Aが、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び酸基とビスフェノール構造とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、感光性組成物。
〔2〕
上記化合物βが、光励起状態において上記化合物Aが有する上記酸基から電子を受容できる構造を有する化合物Bである、〔1〕に記載の感光性組成物。
〔3〕
上記化合物Bが有する上記電子を受容できる構造の合計数が、上記化合物Aが有する上記酸基の合計数に対して、3モル%以上である、〔2〕に記載の感光性組成物。
〔4〕
上記化合物Aの酸価が、30~400mgKOH/gである、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔5〕
上記化合物βが、アクリジン、9-メチルアクリジン及び9-フェニルアクリジンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔6〕
上記化合物βの波長365nmにおけるモル吸光係数が、1000L/(mol・cm)超である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔7〕
更に、フィラーを含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔8〕
上記フィラーが、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、硫酸バリウム及びケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、〔7〕に記載の感光性組成物。
〔9〕
上記フィラーの含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、10~80質量%である、〔7〕又は〔8〕に記載の感光性組成物。
〔10〕
上記フィラーの平均1次粒径が、10~300nmである、〔7〕~〔9〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔11〕
上記フィラーの屈折率が、1.2~1.8である、〔7〕~〔10〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔12〕
上記フィラーが、表面処理されている、〔7〕~〔11〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔13〕
上記化合物Aの含有量が感光性組成物の全固形分に対して20~98質量%であり、
上記化合物βの含有量が感光性組成物の全固形分に対して1~30質量%であり、
上記フィラーの含有量が感光性組成物の全固形分に対して10~80質量%であり、
上記化合物Aの含有量に対する上記フィラーの含有量の質量比が、0.5以上であり、
上記化合物Aの含有量に対する上記化合物βの含有量の質量比が、0.7以下であり、
上記フィラーの含有量に対する上記化合物βの含有量の質量比が、0.5以下である、〔7〕~〔12〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔14〕
更に、エポキシ化合物を含む、〔1〕~〔13〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔15〕
上記エポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びウレタンエポキシ型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含む、〔14〕に記載の感光性組成物。
〔16〕
上記エポキシ化合物が、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有する、〔14〕又は〔15〕に記載の感光性組成物。
〔17〕
上記エポキシ化合物のエポキシ価が、90~290g/eqである、〔14〕~〔16〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔18〕
分子量が2000以下であり、エチレン性不飽和基を有し、酸基を有さない重合性化合物を含まないか、又は、上記重合性化合物を含む場合は、上記重合性化合物の含有量が感光性組成物の全固形分に対して5質量%以下である、〔1〕~〔17〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔19〕
露光及び液温25℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を用いた現像によりパターン形成できる感光性層を形成できる、〔1〕~〔18〕のいずれか1つに記載の感光性組成物。
〔20〕
仮支持体と、〔1〕~〔19〕のいずれか1つに記載の感光性組成物を用いて形成される感光性層と、を有する、転写フィルム。
〔21〕
〔1〕~〔19〕のいずれか1つに記載の感光性組成物を硬化して得られる、硬化膜。
〔22〕
〔21〕に記載の硬化膜を含む、半導体パッケージ。
〔23〕
基材上に、〔1〕~〔19〕のいずれか1つに記載の感光性組成物又は〔20〕に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
上記感光性層をパターン露光する工程と、
露光された上記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
〔24〕
導電層を有する基材上に、〔1〕~〔20〕のいずれか1つに記載の感光性組成物又は〔21〕に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
上記感光性層をパターン露光する工程と、
露光された上記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、ビアを有するパターンを形成する工程と、
上記パターン上に回路パターンを形成する工程と、
をこの順に含む、半導体パッケージの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐熱性に優れ、絶縁信頼性にも優れるパターンが形成可能である感光性組成物を提供できる。また、上記感光性組成物に関する、転写フィルム、硬化膜、半導体パッケージ、パターン形成方法及び半導体パッケージの製造方法も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】転写フィルムの層構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に詳述する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
【0013】
本明細書において、特段の断りがない限り、温度条件は25℃としてよい。例えば、上記各工程を行う際の温度は、特段の断りがない限り、25℃で行ってよい。
【0014】
本明細書において、「透明」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。
また、可視光の平均透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、日立製作所社製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
【0015】
本明細書において、「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、g線、h線、i線等の水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線及び電子線(EB)を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
【0016】
本明細書において、「露光」とは、特段の断りがない限り、水銀灯、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線、X線及びEUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0017】
本明細書において、特段の断りがない限り、ポリマーの各繰り返し単位の含有比率は、モル比である。
また、本明細書において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターによって測定される値である。
【0018】
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある場合の分子量は、重量平均分子量である。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた値である。
【0019】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。
【0020】
本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
【0021】
組成物の「固形分」とは、組成物(例えば、感光性組成物等)を用いて形成される組成物層(例えば、感光性層等)を形成する成分を意味し、組成物が溶媒(例えば、有機溶媒及び水等)を含む場合、溶媒を除いた全ての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
【0022】
本明細書において、特段の断りがない限り、層の厚み(膜厚)は、0.5μm以上の厚みについては走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定される平均厚みであり、0.5μm未満の厚みにつては透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定される平均厚みである。上記平均厚みは、ウルトラミクロトームを用いて測定対象の切片を形成し、任意の5点の厚みを測定して、それらを算術平均した平均厚みである。
【0023】
[感光性組成物]
本発明の感光性組成物は、酸基を有する化合物Aと、露光により化合物Aが有する酸基の量を減少させる構造を有する化合物βと、を含み、
化合物Aが、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び酸基とビスフェノール構造とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
本発明の感光性組成物の詳細な作用機序は明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。本発明の感光性組成物を用いて形成される感光性層を露光及び現像して得られるパターン(硬化膜)は、化合物βにより化合物Aが有する酸基の含有量の低減すること及び化合物Aを含むこと、によって耐熱性に優れ、絶縁信頼性にも優れると推測される。
以下、耐熱性がより優れること及び絶縁信頼性がより優れることの少なくとも一方の効果が得られることを、「本発明の効果がより優れる」ともいう。
【0024】
以下、感光性組成物の実施形態の一例を示す。
・実施形態X-1-a1:
化合物Aと、化合物βと、を含み、かつ、重合性化合物及び光重合開始剤を実質的に含まない感光性組成物。
・実施形態X-1-a2:
化合物Aと、化合物βと、を含み、かつ、光重合開始剤を実質的に含まない感光性組成物。
・実施形態X-1-a3:
化合物Aと、化合物βと、を含み、かつ、重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性組成物。
【0025】
実施形態X-1-a1において、「重合性化合物を実質的に含まない」とは、重合性化合物の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、5質量%以下であればよく、3質量%未満が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。
実施形態X-1-a1及び実施形態X-1-a2において、「光重合開始剤を実質的に含まない」とは、光重合開始剤の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%未満であればよく、0~0.05質量%が好ましく、0~0.01質量%がより好ましい。
実施形態X-1-a1~実施形態X-1-a3において、「重合性化合物」は、後述する酸基を有さず、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物である。
実施形態X-1-a1又は実施形態X-1-a2が好ましく、実施形態X-1-a1がより好ましい。
【0026】
また、感光性組成物中の各成分の好適範囲としては、化合物Aの含有量が感光性組成物の全固形分に対して20~98質量%であり、化合物βの含有量が感光性組成物の全固形分に対して1~30質量%であり、フィラーの含有量が感光性組成物の全固形分に対して10~80質量%であり、化合物Aの含有量に対するフィラーの含有量の質量比が、0.5以上であり、化合物Aの含有量に対する化合物βの含有量の質量比が、0.7以下であり、フィラーの含有量に対する化合物βの含有量の質量比が、0.5以下であることも好ましい。なお、上記において、各種成分の好適な含有量及び質量比は、後述するとおりである。
【0027】
露光により化合物Aに由来する酸基の含有量が減少する機構としては、例えば、酸基がカルボキシ基である場合、脱炭酸による手法が挙げられる。脱炭酸により化合物Aが有するカルボキシ基の含有量が減少するとは、カルボキシ基がCO2(二酸化炭素)として脱離することをいい、エステル化等によってカルボキシ基がカルボキシ基以外に変化することは含めない。感光性組成物を用いて形成された感光性層を露光した場合、化合物Aが有するカルボキシ基の脱炭酸反応が生じ得ると推測される。
【0028】
以下、化合物Aとしてカルボキシ基を有する変性フェノール樹脂、化合物βとしてキノリンを含む形態を一例に挙げて、露光により化合物Aが有するカルボキシ基の含有量が減少する推定機構について詳述する。
以下に図示するように、上記変性フェノール樹脂のカルボキシ基とキノリンの窒素原子とは、共存下において水素結合を形成する。キノリンは、露光されると電子の受容性が増大し、上記変性フェノール樹脂が有するカルボキシ基から電子を受け渡される(step1:光励起)。上記変性フェノール樹脂が有するカルボキシ基は、キノリンに電子を受け渡すと不安定化し、二酸化炭素になって脱離する(step2:脱炭酸反応)。上述の脱炭酸反応を経ると上記変性フェノール樹脂の残基にはラジカルが発生し、ラジカル反応が進行する。ラジカル反応は、上記変性フェノール樹脂の残基同士、上記変性フェノール樹脂の残基と任意で含まれる重合性化合物(モノマー(M))、雰囲気中の水素原子との間で生じ得る(step3:極性変換・架橋・重合反応)。そして、ラジカル反応の終了後、化合物βが再生されて、再度化合物Aの脱炭酸プロセスに寄与し得る(step4:化合物β(触媒)再生)。
【0029】
【0030】
上記機構により、感光性組成物を用いて形成される感光性層は、露光部で化合物Aが有するカルボキシ基の含有量が減少することによる極性の変化が生じており、現像液に対する溶解性が変化している。つまり、露光部は、アルカリ現像液に対する溶解性が低下し、有機溶剤現像液に対する溶解性が増大する。一方で、未露光部においては現像液に対する溶解性は概ね変化していない。この結果として、感光性層は、優れたパターン形成性を有すると考えられる。
【0031】
以下、本発明の感光性組成物が含み得る各種成分について詳述する。
【0032】
〔化合物A〕
感光性組成物は、化合物Aを含む。
化合物Aは、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び酸基とビスフェノール構造とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含み、酸基を有する変性フェノール樹脂を含むことが好ましい。
【0033】
カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及び酸基を有する変性フェノール樹脂は、高分子化合物(以下、「ポリマー」又は「樹脂」ともいう。)であり、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及び酸基を有する変性フェノール樹脂の重量平均分子量は、感光性層の形成性に優れる点で、4,500以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、15,000以上が更に好ましい。上限は、任意の基材との貼り合せる際の密着性(ラミネート密着性)がより優れる点で、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物は、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよく、ポリマーであることが好ましい。
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物が低分子化合物である場合、酸基とビスフェノール構造とを有する化合物の分子量は、4,500未満が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましく、500以下が特に好ましく、400以下が最も好ましい。
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物が高分子化合物である場合、酸基とビスフェノール構造とを有する化合物の重量平均分子量は、感光性層の形成性に優れる点で、4,500以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、15,000以上が更に好ましい。上限は、任意の基材との貼り合せる際の密着性(ラミネート密着性)がより優れる点で、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。
【0034】
化合物Aが有する酸基としては、例えば、カルボキシ基、フェノール性水酸基、リン酸基及びスルホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
化合物Aが酸基としてカルボキシ基を有する場合、化合物Aが有するカルボキシ基(-COOH)の一部又は全部は、感光性組成物中でアニオン化していても、アニオン化していなくてもよい。本明細書において、「カルボキシ基」の表記は、アニオン化したカルボキシ基(-COO-)及びアニオン化していないカルボキシ基(-COOH)の両方を含む概念である。
【0035】
化合物Aは、露光により化合物Aが有する酸基の量を減少させる構造(以下、「特定構造S0」ともいう。)を含んでいてもよい。以下、特定構造S0を有さない化合物Aを「化合物Aa」ともいい、特定構造S0を有する化合物Aを「化合物Ab」ともいう。化合物Abは、ポリマーであることが好ましい。つまり、化合物Abは、特定構造S0を有するポリマーであることが好ましい。
化合物Aが特定構造S0を有さないとは、化合物Aが特定構造S0を実質的に有していなければよく、例えば、化合物Aaが有する特定構造S0の含有量は、化合物Aaの全質量に対して、1質量%未満であればよく、0~0.5質量%が好ましく、0~0.05質量%がより好ましい。
化合物Abが有する特定構造S0の含有量は、化合物Abの全質量に対して、1質量%以上が好ましく、1~50質量%がより好ましく、5~40質量%が更に好ましい。
化合物Aが化合物Abを含む場合、化合物Abの含有量は、化合物Aの全質量に対して5~100質量%が好ましい。
上記特定構造S0としては、後述する特定構造S1が好ましい。
【0036】
上述のとおり、化合物Aは、特定構造S0(好ましくは特定構造S1)を有していてもよい。化合物Aが特定構造S0(好ましくは特定構造S1)を有する場合、化合物Aは特定構造S0(好ましくは特定構造S1)を有するポリマーであることが好ましい。
【0037】
<カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂>
カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸のカルボキシ基を、母体のエポキシ樹脂のエポキシ基に開環付加させることにより(メタ)アクリロイル基を導入し、更にエポキシ基の開環により生じた水酸基の少なくとも1つに、多塩基性カルボン酸又はその無水物を付加させることによりカルボキシ基を導入して得られる、樹脂である。
つまり、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、酸基としてカルボキシ基を有する樹脂である。
【0038】
(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸は、1個以上のカルボキシ基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
上記カルボキシ基の数は、1~3個が好ましく、1個がより好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基の数は、1~3個が好ましく、1個がより好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
【0039】
母体となるエポキシ樹脂は、芳香環及び脂環等の環を有することが好ましく、芳香環を有することがより好ましく、芳香族炭化水素環を有することが更に好ましい。
芳香環は、単環及び多環のいずれであってもよい。
芳香環の炭素数は、6~30が好ましく、6~15がより好ましい。
芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環及びアントラセン環が挙げられる。
芳香環は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基及びアルキル基が挙げられる。
母体となるエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0040】
多塩基性カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、マレイン酸無水物、コハク酸、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸及びテトラヒドロフタル酸無水物が挙げられる。
【0041】
カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、式(D)で表される基を有することが好ましい。
【0042】
【0043】
式(D)中、LDは、単結合又は2価の連結基を表す。RDは、水素原子又はアルキル基を表す。
【0044】
LDは、単結合又は2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO2-、-NRN-(RNは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)、炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基及びフェニレン基等のアリーレン基等)及びこれらを組み合わせた連結基が挙げられる。
2価の連結基としては、炭化水素基が好ましく、炭素数1~10の炭化水素基がより好ましい。
【0045】
RDは、水素原子又はアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
【0046】
カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、後述するその他化合物が有し得る繰り返し単位を有していてもよい。
【0047】
カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、KAYARAD CCRシリーズ(例えば、1171等)、ZARシリーズ(例えば、1494H、2001H及び2051H等)、ZFRシリーズ(例えば、1491H及び1569H等)、ZCRシリーズ(例えば、1569H、1797H、1798H及び1761H等)及びUXEシリーズ(例えば、3000等)(いずれも、日本化薬社製)が挙げられる。
【0048】
<酸基を有する変性フェノール樹脂>
酸基を有する変性フェノール樹脂は、酸基を有する化合物を、母体のフェノール樹脂が有するフェノール性水酸基と反応させることにより酸基を導入した樹脂である。
酸基を有する変性フェノール樹脂は、上述した各種成分とは異なる樹脂である。
【0049】
酸基を有する化合物が有する酸基としては、例えば、カルボキシ基、フェノール性水酸基、リン酸基及びスルホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有する化合物が有する酸基の数は、1以上であり、1~3が好ましい。
酸基を有する化合物が有する酸基は、保護基により保護され、脱保護反応により生じる酸基であってもよい。具体的には、カルボキシ基がメチル基により保護されるメチルエステル基を有する化合物であってもよい。
酸基を有する化合物は、酸基以外に、その他基を有していてもよい。その他基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子及びヨウ素原子等)等のフェノール性水酸基と反応し得る官能基が挙げられる。
酸基を有する化合物は、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよく、低分子化合物が好ましい。具体的には、酸基を有する化合物の分子量は、4,500未満が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
【0050】
酸基を有する化合物としては、例えば、酢酸メチル、クロロ酢酸メチル、3-クロロプロピオン酸メチル及び2-クロロプロピオン酸メチルが挙げられる。
母体となるフェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル樹脂及びナフトールノボラック樹脂が挙げられる。
【0051】
酸基を有する変性フェノール樹脂は、式(E)で表される基を有することが好ましく、式(E1)で表される繰り返し単位を有することがより好ましい。
【0052】
【0053】
式(E)中、ArEは、芳香環基を表す。LEは、2価の連結基を表す。nEは、1以上の整数を表す。*は、結合位置を表す。
【0054】
ArEは、芳香環基を表す。
芳香環基としては、例えば、上述したエポキシ樹脂が有し得る芳香環基が挙げられる。
【0055】
LEは、2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、例えば、LDで表される2価の連結基が挙げられる。
2価の連結基としては、炭化水素基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
【0056】
nEは、1以上の整数を表す。
nEは、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましい。
【0057】
【0058】
式(E1)中、REは、置換基を表す。LE1は、2価の連結基を表す。nE1は、0~3の整数を表す。
【0059】
REは、置換基を表す。
REで表される置換基としては、アルキル基又は水酸基が好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。
REが複数存在する場合、RE同士は、同一又は異なっていてもよい。
【0060】
LE1は、2価の連結基を表す。
LE1は、上述したLEと同義であり、好適態様も同じである。
【0061】
nE1は、0~3の整数を表す。
nE1は、0~2の整数が好ましい。
【0062】
カルボキシ基を有する変性フェノール樹脂は、後述するその他化合物が有し得る繰り返し単位を有していてもよい。
【0063】
<酸基とビスフェノール構造とを有する化合物>
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物は、分子中に、1個以上の酸基と、1個以上のビスフェノール構造とを有する化合物である。
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物は、上述した各種成分とは異なる化合物である。
上記酸基とビスフェノール構造とを有する化合物は、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよく、高分子化合物であることが好ましい。
低分子化合物及び高分子化合物の好適な分子量については、上述したとおりである。
【0064】
酸基としては、例えば、上述した酸基を有する変性フェノール樹脂が有する酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
【0065】
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールAに由来する構造、ビスフェノールAPに由来する構造、ビスフェノールAFに由来する構造、ビスフェノールBに由来する構造、ビスフェノールBPに由来する構造、ビスフェノールCに由来する構造、ビスフェノールCに由来する構造、ビスフェノールEに由来する構造、ビスフェノールFに由来する構造、ビスフェノールGに由来する構造、ビスフェノールMに由来する構造、ビスフェノールSに由来する構造及びビスフェノールPに由来する構造が挙げられる。
【0066】
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物は、酸基以外に、その他基を有していてもよい。その他基としては、例えば、カルボキシ基以外の酸基(例えば、フェノール性水酸基、リン酸基及びスルホン酸基等)及びハロゲン原子(例えば、塩素原子及びヨウ素原子等)が挙げられる。
酸基とビスフェノール構造とを有する化合物は、後述するその他化合物が有し得る繰り返し単位を有していてもよい。
【0067】
化合物Aの酸価は、現像性の点で、10~600mgKOH/gが好ましく、30~500mgKOH/gがより好ましい。
上記酸価は、JIS K0070(1992)に準拠して測定できる。
【0068】
化合物Aは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が高分子化合物の化合物Aを含む場合、高分子化合物の化合物Aの含有量は、化合物Aの全質量に対して、75~100質量%が好ましく、85~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
感光性組成物が低分子化合物の化合物Aを含む場合、低分子化合物の化合物Aの含有量は、化合物Aの全質量に対して、0~25質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0~5質量%が更に好ましい。
高分子化合物の化合物Aは、カルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び高分子化合物の酸基とビスフェノール構造とを有する化合物からなる群から選択される少なくとも1つを意味する。
低分子化合物の化合物Aは、低分子化合物の酸基とビスフェノール構造とを有する化合物を意味する。
【0069】
化合物Aの含有量の下限は、感光性組成物の全固形分に対して、1質量%以上の場合が多く、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、45質量%以上が特に好ましく、50質量%以上が最も好ましい。上限は、感光性組成物の全固形分に対して、100質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、95質量%以下が特に好ましい。
実施形態X-1-a1の感光性組成物においては、化合物Aの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、45~98質量%が好ましく、50~95質量%がより好ましい。
【0070】
〔化合物β〕
感光性組成物は、化合物βを含む。
化合物βは、露光により化合物Aが有する酸基の量を減少させる構造(特定構造S0)を有する化合物である。
【0071】
特定構造S0とは、露光されると、化合物Aが有する酸基の量を減少させる作用を示す構造である。特定構造S0としては、露光によって基底状態から励起状態へ遷移し、かつ、励起状態において化合物Aが有する酸基を減少させる作用を示す構造であることが好ましい。
特定構造S0としては、例えば、光励起状態において化合物Aが有する酸基から電子を受容できる構造(以下、「特定構造S1」ともいう。)が挙げられる。
【0072】
化合物βが有する特定構造S0は、化合物βの全体を構成する全体構造であってもよく、化合物βの一部分を構成する部分構造であってもよい。
化合物βは、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよく、低分子化合物であることが好ましい。
化合物βが低分子化合物である場合、化合物βの分子量は、5,000未満が好ましく、1,000未満がより好ましく、65~300が更に好ましく、75~250が特に好ましい。
【0073】
特定構造S0としては、光励起状態で化合物Aが有する酸基から電子を受容できる構造(特定構造S1)であることが好ましい。つまり、化合物βとしては、光励起状態で化合物Aが有する酸基から電子を受容できる構造(特定構造S1)を有する化合物Bであることが好ましい。化合物Bによれば、例えば、化合物Aがカルボキシ基を有する場合、カルボキシ基をCO2として脱離(脱炭酸)させることができると考えられる。
【0074】
以下、化合物β(好ましくは化合物B)について詳述する。
パターン形成能がより優れる点で、化合物β(好ましくは化合物B)としては、特定構造S0として芳香環を有する芳香族化合物が好ましい。つまり、特定構造S0は、芳香環であることが好ましく、後述するように複素芳香環であることがより好ましい。
芳香環は、化合物β(好ましくは化合物B)中に1個のみ存在していてもよく、複数存在していてもよい。複数存在する場合、例えば、上記芳香環が樹脂の側鎖等に存在していてもよい。
化合物β(好ましくは化合物B)において、芳香環は、露光により化合物Aが有する酸基の量を減少させる構造(特定構造S0(好ましくは特定構造S1))として使用可能である。
上記芳香環は、単環でも多環でもよく、多環であることが好ましい。多環の芳香環は、例えば、複数(例えば、2~5個等)の芳香環構造が縮環してなる芳香環であり、上記複数の芳香環構造のうちの少なくとも1つが環員原子としてヘテロ原子を有していることが好ましい。
上記芳香環は、複素芳香環であってもよく、環員原子としてヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等)を1個以上(例えば、1~4個等)有することが好ましく、環員原子として窒素原子を1個以上(例えば、1~4個等)有することがより好ましい。
上記芳香環の環員原子数は、5~15が好ましい。
【0075】
波長365nmにおけるモル吸光係数がより高い点で、化合物β(好ましくは化合物B)の上記芳香環としては、多環(多環芳香環)であることが好ましい。多環芳香環中の単環芳香環の数(縮環数)としては、2個以上が好ましく、波長365nmにおけるモル吸光係数がより高い点で、3個以上がより好ましい。上限は、6個以下としてもよい。
また、上記多環芳香環は、環員原子としてヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等)を有している(換言すると、多環複素芳香環である)のも好ましい。
【0076】
化合物β(好ましくは化合物B)が含む上記芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環及びトリアジン環等の単環の芳香環;キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環及びキナゾリン環等の2環が縮環した芳香環;アクリジン環、ベンゾ[f]キノリン環、ベンゾ[h]キノリン環、フェナントリジン環(ベンゾ[c]キノリン環)、ベンゾ[h]イソキノリン環、フェナントロリン環及びフェナジン環等の3環が縮環した芳香環が挙げられる。
【0077】
上記芳香環は、1個以上(例えば、1~5個等)の置換基を有していてもよく、上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。また、上記芳香環が2以上の置換基を有する場合、複数の置換基が互いに結合して非芳香環を形成していてもよい。
また、上記芳香環がカルボニル基と直接結合して、化合物β(好ましくは化合物B)中で、芳香族カルボニル基を形成していることも好ましい。複数の芳香環が、カルボニル基を介して結合していることも好ましい。
上記芳香環がイミド基と結合して、化合物β(好ましくは化合物B)中で、芳香族イミド基を形成していることも好ましい。なお、芳香族イミド基におけるイミド基は、芳香環と共にイミド環を形成していてもよいし、形成していなくてもよい。
なお、複数の芳香環(例えば、2~5個等)が、単結合、カルボニル基及び多重結合(例えば、置換基を有していてもよいビニレン基、-C≡C-及び-N=N-等)からなる群から選択される構造で結合した一連の芳香環構造を形成している場合、上記一連の芳香環構造全体で1つの特定構造とみなす。
また、上記一連の芳香環構造を構成する複数の芳香環のうちの1以上が上記複素芳香環であることが好ましい。
【0078】
パターン形成能がより優れる点で、化合物β(好ましくは化合物B)は、要件(1)~要件(4)の1つ以上(例えば、1~4つ等)を満たす化合物であることが好ましく、要件(1)及び要件(2)の少なくとも一方を満たすことがより好ましく、要件(1)及び(2)を少なくとも満たす(多環複素芳香環である)ことが更に好ましい。複素芳香環が有するヘテロ原子としては少なくとも窒素原子を有することが好ましい。
要件(1):多環の芳香環を有する。
要件(2):複素芳香環を有する。
要件(3):芳香族カルボニル基を有する。
要件(4):芳香族イミド基を有する。
【0079】
化合物β(好ましくは化合物B)としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン及びトリアジン等の単環の芳香族化合物;キノリン、イソキノリン、キノキサリン及びキナゾリン等の2環が縮合して芳香環を形成している化合物;アクリジン、ベンゾ[f]キノリン、ベンゾ[h]キノリン、フェナントリジン、ベンゾ[h]イソキノリン、フェナントロリン及びフェナジン等の3環以上が縮合して芳香環を形成している化合物;が挙げられる。
これらの化合物は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基又はニトロ基が好ましい。
【0080】
化合物β(好ましくは化合物B)としては、波長365nmにおけるモル吸光係数がより高く、波長365nmにおける感光性が優れる点で、アクリジン、ベンゾ[f]キノリン、ベンゾ[h]キノリン、フェナントリジン、ベンゾ[h]イソキノリン、フェナントロリン及びフェナジンからなる群から選択される1種以上が好ましい。これらの化合物は、更に置換基を有していてもよく、上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基又はニトロ基が好ましい。
【0081】
化合物β(好ましくは化合物B)がポリマーである場合、特定構造がポリマー主鎖と単結合又は連結基を介して結合しているポリマーであってもよい。
ポリマーである化合物β(好ましくは化合物B)は、例えば、多環複素芳香環を有する単量体(具体的にはビニル多環複素芳香環及び/又は特定構造(好ましくは多環複素芳香環)を有する(メタ)アクリレート単量体)を重合することにより得られる。必要に応じて他の単量体と共重合してもよい。
【0082】
パターン形成能がより優れる点で、化合物β(好ましくは化合物B)の波長365nmにおけるモル吸光係数は、100L/(mol・cm)以上が好ましく、500L/(mol・cm)以上がより好ましく、1,000L/(mol・cm)超が更に好ましく、4,000L/(mol・cm)以上が特に好ましい。上記モル吸光係数の上限は、20,000L/(mol・cm)以下としてもよい。
なお、上記波長365nmにおけるモル吸光係数は、化合物β(好ましくは化合物B)をアセトニトリル中に溶解して測定するモル吸光係数である。化合物β(好ましくは化合物B)がアセトニトリルに溶解しない場合、化合物β(好ましくは化合物B)を溶解させる溶媒は、適宜変更してもよい。
化合物β(好ましくは化合物B)のモル吸光係数が上記範囲内であることは、仮支持体(好ましくはPETフィルム)越しに感光性層を露光する場合に、特に利点がある。つまり、吸光係数が適度に低いため、仮支持体越しに露光しても脱炭酸による泡の発生を制御でき、パターン形状の劣化を防ぐことができる。
このような波長365nmに高いモル吸光係数を有する化合物としては、例えば、3環以上の芳香環が縮合して芳香環を形成している化合物が挙げられる。3環以上の芳香環が縮合して芳香環を形成している化合物としては、上述した化合物が挙げられる。
【0083】
化合物β(好ましくは化合物B)としては、例えば、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン、4-アセチルピリジン、4-ベンゾイルピリジン、キノリン、ベンゾ[f]キノリン、ベンゾ[h]キノリン、イソキノリン、ベンゾ[h]イソキノリン、1-メチルイソキノリン、1-フェニルイソキノリン、アクリジン、9-メチルアクリジン、フェナントリジン、フェナントロリン及びフェナジンが挙げられる。
化合物βは、アクリジン、9-メチルアクリジン及び9-フェニルアクリジンからなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0084】
化合物β(好ましくは化合物B)は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
パターン形成能がより優れる点で、化合物β(好ましくは化合物B)の含有量の下限は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、感光性組成物の全固形分に対して、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
実施形態X-1-a1の感光性層を形成するための感光性組成物においては、化合物β(好ましくは化合物B)の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましい。
【0085】
パターン形成能がより優れる点で、化合物β(好ましくは化合物B)が有する特定構造S0(好ましくは特定構造S1)の合計数は、化合物Aが有する酸基の合計数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましい。
化合物β(好ましくは化合物B)が有する特定構造S0(好ましくは特定構造S1)の合計数の上限は、得られる膜の膜質の点で、化合物Aが有する酸基の合計数に対して、200モル%以下が好ましく、100モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましい。
【0086】
化合物Aの含有量に対する化合物βの含有量の質量比は、0.7以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.05以上が好ましい。
【0087】
〔フィラー〕
感光性組成物は、フィラーを含む。
フィラーとしては、例えば、有機フィラー及び無機フィラーが挙げられ、無機フィラーが好ましい。
フィラーとしては、例えば、二酸化ケイ素(例えば、シリカ等);カオリナイト、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、及び、チアンドープ型のガラス等のガラスフィラー等、のケイ酸塩;アルミナ、硫酸バリウム、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、、リン酸ジルコニウム、コーディエライト、タングステン酸ジルコニウム及びマンガン窒化物が挙げられる。
フィラーは、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、硫酸バリウム及びケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、二酸化ケイ素を含むことがより好ましい。
【0088】
フィラーの形状は、球状及び非球状(例えば、破砕状及び繊維状)のいずれであってもよく、球状が好ましい。
フィラーは、表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、官能基の導入する処理及び公知の表面修飾剤を用いる処理が挙げられる。
表面修飾剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びシラザン化合物が挙げられる。
【0089】
フィラーとしては、例えば、SC-2050MB(アドマテックス社製、二酸化ケイ素、エポキシシラン表面処理品、固形分濃度70質量%MEK(メチルエチルケトン)スラリー)、SO-C2(アドマテックス社製、二酸化ケイ素)、シーホスターKE-S30(日本触媒社製、二酸化ケイ素、表面処理なし、固形分濃度100質量%)、NHM-3N(トクヤマ社製、二酸化ケイ素、トリメチルシリル表面処理、固形分濃度100質量%)、YA050C-MJE(アドマテックス社製、二酸化ケイ素、タクリル系表面処理品、固形分濃度50質量%MEKスラリー)、MEK-EC-2430Z(日産化学社製、エポキシシラン表面処理、固形分濃度30質量%)、硫酸バリウム(日本ソルベイ社製、表面処理なし、固形分濃度100質量%)、AZフィラー(AGC社製、表面処理なし、固形分濃度100質量%)、球状アルミナ(昭和電工社製、CB-P02(平均粒径2μm)、CB-P05(平均粒径4μm))、タルク(林化成社製、MW HS-T(平均粒径4.75μm)、KHP-25(平均粒径4.75μm))、クレー(竹原化学工業社製、カオリンクレーRC-1(平均粒径0.4μm)、雲母粉(ヤマグチマイカ社製、A-11(平均粒径3μm)及び窒化ホウ素(昭和電工社製、UHP-S1(平均粒径0.5μm))が挙げられる。
フィラーとしては、例えば、特開2019-104941号公報の段落0032~0042も挙げられる。
【0090】
フィラーの平均1次粒径は、1~5000nmが好ましく、5~1000nmがより好ましく、10~300nmが更に好ましい。
平均1次粒径は、例えば、動的散乱法分析装置を用いて測定できる。
【0091】
フィラーの屈折率は、0.5~3.0が好ましく、1.2~1.8がより好ましい。
屈折率は、上述した方法で測定できる。
【0092】
フィラーは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
フィラーの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1質量%以上の場合が多く、10~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、35~70質量%が更に好ましい。
【0093】
化合物Aの含有量に対するフィラーの含有量の質量比は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、10以下が好ましい。
フィラーの含有量に対する化合物βの含有量の質量比は、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、0.0005以上が好ましい。
【0094】
〔エポキシ化合物〕
感光性組成物は、本発明の効果がより優れる点で、エポキシ化合物を含むことが好ましい。
エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物であり、上述した各種成分とは異なる化合物である。
【0095】
エポキシ化合物は、低分子化合物及び高分子化合物のいずれであってもよく、高分子化合物が好ましい。
エポキシ化合物が低分子化合物である場合、エポキシ化合物の分子量は、4,500未満が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
エポキシ化合物が高分子化合物である場合、エポキシ化合物の分子量は、4,500以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、15,000以上が更に好ましい。上限は、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。
【0096】
エポキシ化合物は、1分子中に、1個以上のエポキシ基を有する化合物であればよく、2個以上のエポキシ基を有することが好ましい。上限は、100個以下としてもよい。
エポキシ化合物は、エポキシ基以外に、その他基を有していてもよく、その他基としては芳香環基が好ましい。
芳香環基は、単環及び多環のいずれであってもよい。芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
芳香環基の炭素数は、6~30が好ましく、6~12がより好ましい。
芳香環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基及びフルオレニル基が挙げられ、フェニル基又はビフェニル基が好ましい。
【0097】
エポキシ化合物としては、例えば、TETRAD-X(三菱ガス化学社製)、jER(登録商標)エポキシ樹脂(例えば、828及び828EL等、三菱ケミカル社製)、EPICLONシリーズ(登録商標)(例えば、N-770等、DIC社製)、TECHMORE VG3101L(プリンテック社製)及びNC-3000(日本化薬社製)が挙げられる。
【0098】
エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びウレタンエポキシ型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましい。
【0099】
エポキシ化合物のエポキシ価は、50~500g/eqが好ましく、90~290g/eqがより好ましい。
エポキシ価は、例えば、エポキシ化合物の化学構造から算出できる。具体的には、エポキシ化合物の分子量を、1分子当たりのエポキシ基の数で除することで算出できる。
【0100】
エポキシ化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物がエポキシ化合物を含む場合、エポキシ化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1~40質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましい。
【0101】
〔界面活性剤〕
感光性組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、上述した各種成分とは異なる化合物である。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0102】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、並びに、それらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート及びグリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール社製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬社製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂社製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400及び440(以上、日信化学工業社製)が挙げられる。
【0103】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖又は末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0104】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K、DS-21(以上、DIC社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC社製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、NEOS社製)及びU-120E(ユニケム社製)が挙げられる。
【0105】
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体も好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の点で、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤も好ましい。
【0106】
界面活性剤としては、例えば、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング社製)、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002、KP-101KP-103、KP-104、KP-105、KP-106、KP-109、KP-109、KP-112、KP-120、KP-121、KP-124、KP-125、KP-301、KP-306、KP-310、KP-322、KP-323、KP-327、KP-341、KP-368、KP-369、KP-611、KP-620、KP-621、KP-626、KP-652(以上、信越シリコーン社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK300、BYK306、BYK307、BYK310、BYK320、BYK323、BYK330、BYK313、BYK315N、BYK331、BYK333、BYK345、BYK347、BYK348、BYK349、BYK370、BYK377、BYK378及びBYK323(以上、ビックケミー社製)が挙げられる。
【0107】
界面活性剤としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0120~段落0125、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤も挙げられる。
【0108】
界面活性剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.0001~10質量%が好ましく、0.001~5質量%がより好ましく、0.005~3質量%が更に好ましい。
【0109】
〔エチレン性不飽和基を有し、酸基を有さない重合性化合物〕
感光性組成物は、酸基を有さず、エチレン性不飽和基を有し、酸基を有さない重合性化合物(以下、単に「重合性化合物」ともいう。)を含んでいてもよい。
重合性化合物は、酸基を有さず、1分子中にエチレン性不飽和基を1個以上(例えば、1~15個等)有する重合性化合物であり、上述した各種成分とは異なる化合物である。
【0110】
感光性組成物は、分子量が2000以下であり、エチレン性不飽和基を有し、酸基を有さない重合性化合物を含まないか、又は、上記重合性化合物を含む場合は、上記重合性化合物の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%未満であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましく、0.1質量%以下であることが最も好ましい。
【0111】
エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びスチリル基が挙げられる。
【0112】
重合性化合物としては、例えば、1分子中に、エチレン性不飽和基を1個有する重合性化合物(以下、「単官能の重合性化合物」ともいう。)、1分子中に、エチレン性不飽和基を2個有する重合性化合物(以下、「2官能の重合性化合物」ともいう。)、及び、1分子中に、エチレン性不飽和基を3個以上有する重合性化合物(以下、「3官能以上の重合性化合物」ともいう。)が挙げられる。
【0113】
2官能の重合性化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメナノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP 新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP 新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N 新中村化学工業社製)及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N 新中村化学工業社製)が挙げられる。
【0114】
3官能以上の重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
【0115】
重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(KAYARAD(登録商標)DPCA-20等:日本化薬社製、及び、A-9300-1CL等:新中村化学工業社製)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(KAYARAD RP-1040等:日本化薬社製、ATM-35E及びA-9300等:新中村化学工業社製、並びに、EBECRYL(登録商標)135等:ダイセル・オルネクス社製)及びエトキル化グリセリントリアクリレート(A-GLY-9E等:新中村化学工業社製)も挙げられる。
【0116】
重合性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート)も挙げられる。官能基数の下限は、6官能以上が好ましく、8官能以上がより好ましい。官能基数の上限は、20官能以下が好ましい。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製);UA-32P、U-15HA及びUA-1100H(いずれも新中村化学工業社製);AH-600(共栄社化学社製);UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H及びUX-5000(いずれも日本化薬社製);が挙げられる。
【0117】
重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が重合性化合物を含む場合、重合性化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、6~70質量%であってもよい。
【0118】
〔光重合開始剤〕
感光性組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。
光重合開始剤は、上述した各種成分とは異なる化合物である。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0119】
感光組成物は、光重合開始剤を実質的に含まないことが好ましい。
光重合開始剤を実質的に含まないとは、上述したとおりである。
【0120】
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル化合物(オキシムエステル構造を有する光重合開始剤)、アミノアセトフェノン化合物(アミノアセトフェノン構造を有する光重合開始剤)、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物及びビストリフェニルイミダゾール化合物が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシムエステル化合物及びアミノアセトフェノン化合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、オキシムエステル化合物及びアミノアセトフェノン化合物を含むことがより好ましい。
【0121】
オキシムエステル化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE OXE-01、IRGACUREシリーズ、BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、[8-[5-(2,4,6-トリメチルフェニル)-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾイル][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メタノン-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-03、BASF社製)、1-[4-[4-(2-ベンゾフラニルカルボニル)フェニル]チオ]フェニル]-4-メチルペンタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-04、BASF社製及び商品名:Lunar 6、DKSHジャパン社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
【0122】
アミノアセトフェノン化合物としては、例えば、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、OmniradシリーズはIGM Resins B.V.社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.社製)が挙げられる。
【0123】
光重合開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名:Omnirad 369)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(商品名:Omnirad 184)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド(商品名:Omnirad TPO H)及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名:Omnirad 819)も挙げられる。
【0124】
光重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落0031~0042及び特開2015-014783号公報の段落0064~0081に記載の光重合開始剤も挙げられる。
【0125】
光重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
【0126】
〔その他化合物〕
感光性組成物は、上述したカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂及び酸基とビスフェノール構造とを有する化合物以外に、酸基を有するその他化合物を含んでいてもよい。
以下、その他化合物が有し得る繰り返し単位について詳述する。
【0127】
<カルボキシ基を有する繰り返し単位>
カルボキシ基を有する繰り返し単位としては、式(A)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0128】
【0129】
式(A)中、RAは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。LAは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0130】
上記アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は1~5が好ましく、1がより好ましい。
上記2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO2-、-NRN-(RNは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)、炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基及びフェニレン基等ののアリーレン基等)及びこれらを組み合わせた連結基が挙げられる。
【0131】
カルボキシ基を有する繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸が挙げられ、解像性により優れる点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。つまり、カルボキシ基を有する繰り返し単位は(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位であることが好ましく、ポリマーは(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0132】
<重合性基を有する繰り返し単位>
重合性基を有する繰り返し単位は、上述した繰り返し単位とは異なる繰り返し単位である。
【0133】
重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和基(例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びスチリル基等)及び環状エーテル基(例えば、エポキシ基及びオキセタニル基等)が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、アリル基又は(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
重合性基を有する繰り返し単位としては、式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0134】
【0135】
式(B)中、XB1及びXB2は、それぞれ独立に、-O-又は-NRN-を表す。RNは、水素原子又はアルキル基を表す。Lは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。RB1及びRB2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
【0136】
XB1及びXB2は、それぞれ独立に、-O-又は-NRN-を表す。RNは、水素原子又はアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましい。
【0137】
Lは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。
上記アルキレン基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキレン基の炭素数は、1~5が好ましい。
上記アリーレン基は、単環及び多環のいずれであってもよい。
上記アリーレン基の炭素数は、6~15が好ましい。
上記アルキレン基及び上記アリーレン基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、酸基が好ましい。
【0138】
RB1及びRB2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
【0139】
重合性基を有する繰り返し単位としては、アリル基を有する化合物に由来する繰り返し単位であってもよい。上記繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸アリルに由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0140】
<芳香環を有する繰り返し単位>
芳香環を有する繰り返し単位は、上述した繰り返し単位とは異なる繰り返し単位である。
【0141】
上記芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましい。
芳香環を有する繰り返し単位としては、例えば、芳香環を有する(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
芳香環を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
スチレン及び重合可能なスチレン誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、スチレンダイマー及びスチレントリマーが挙げられる。
【0142】
芳香環を有する繰り返し単位としては、式(C)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0143】
【0144】
式(B)中、RCは、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。ArCは、フェニル基又はナフチル基を表す。
【0145】
上記アルキル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
上記フェニル基及び上記ナフチル基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基が挙げられる。
ArCとしては、フェニル基が好ましい。
【0146】
芳香環を有する繰り返し単位としては、例えば、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0147】
【0148】
<脂環を有する繰り返し単位>
脂環を有する繰り返し単位は、上述した繰り返し単位とは異なる繰り返し単位である。
【0149】
脂環は、単環及び多環のいずれであってもよい。
脂環としては、例えば、ジシクロペンタニル環、ジシクロペンテニル環、イソボルニル環、アダマンタン環及びシクロヘキシル環が挙げられる。
脂環を有する繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0150】
<(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位>
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位は、上述した繰り返し単位とは異なる繰り返し単位である。
【0151】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。
アルキル基の炭素数は、1~50が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。上記アルキル基は、ヒドロキシ基等の置換基を更に有していてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルが挙げられる。
【0152】
<特定構造S0を有する繰り返し単位>
特定構造S0を有する繰り返し単位は、上述した繰り返し単位とは異なる繰り返し単位である。
特定構造S0及び特定構造S1は、化合物βが有する特定構造S0及び特定構造S1と同義であり、好適態様も同じである。
【0153】
特定構造S0(好ましくは特定構造S1)を有する繰り返し単位において、特定構造S0(好ましくは特定構造S1)は、主鎖に存在していてもよく、側鎖に存在していてもよく、側鎖に存在していることが好ましい。特定構造S0(好ましくは特定構造S1)が側鎖に存在している場合、特定構造S0(好ましくは特定構造S1)はポリマー主鎖と単結合又は連結基を介して結合している。
特定構造S0(好ましくは特定構造S1)を有する繰り返し単位は、例えば、複素芳香環を有する単量体(例えば、ビニルピリジン及びビニル(イソ)キノリン等のビニル複素芳香環、並びに、複素芳香環を有する(メタ)アクリレート単量体等)に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0154】
特定構造S0(好ましくは特定構造S1)を有する繰り返し単位としては、例えば、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0155】
【0156】
〔その他添加剤〕
感光性組成物は、上述した各種成分以外に、その他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、例えば、溶媒、不純物、可塑剤、増感剤及びアルコキシシラン化合物が挙げられる。
可塑剤、増感剤及びアルコキシシラン化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0097~0119が挙げられる。
【0157】
溶媒としては、溶媒以外の各種成分を溶解又は分散可能であれば、公知の溶媒を使用できる。
具体的には、水、アルキレングリコールエーテル溶媒、アルキレングリコールエーテルアセテート溶媒、アルコール溶媒(例えば、メタノール及びエタノール等)、ケトン溶媒(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、トルエン等)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド等)、環状エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等)、エステル溶媒(例えば、酢酸nプロピル等)、アミド溶媒、ラクトン溶媒及びこれらの2種以上を含む混合溶媒が挙げられる。
【0158】
溶媒を、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
感光性組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対し、50~1,900質量部が好ましく、100~1200質量部が更に好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
【0159】
感光性組成物は、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが好ましい。
【0160】
不純物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性組成物の全固形分に対して、0質量ppb以上の場合が多く、1質量ppb以上であっても、0.1質量ppm以上であってもよい。
【0161】
不純物の含有量を調整する方法としては、例えば、感光性組成物の各種成分の原料として不純物の含有量が少ないものを用いること、各種成分を精製すること及び感光性組成物の調製時に不純物の混入を防ぐことが挙げられる。
【0162】
不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法で定量できる。
【0163】
感光性組成物中、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。具体的には、これら化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、それぞれ、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。上記含有量の下限は、感光性組成物の全固形分に対して、それぞれ、10質量ppb以上であってもよく、100質量ppb以上であってもよい。
これら化合物は、上記不純物と同様の方法で含有量を調整できる。また、これらの化合物は、公知の測定法により定量できる。
【0164】
感光性組成物は、露光及び液温25℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液を用いた現像によりパターン形成できる感光性層を形成できることが好ましい。
露光条件等のパターン形成方法については、例えば、後述するパターン形成方法が挙げられる。
【0165】
[転写フィルム]
転写フィルムは、仮支持体と、上述した感光性組成物を用いて形成される感光性層と、を有する。
転写フィルムは、露光により、感光性層中の化合物Aが有する酸基の量が減少する。
【0166】
図1は、転写フィルムの実施形態の一例を示す断面模式図である。
図1に示す転写フィルム10は、仮支持体12と、感光性層14と、カバーフィルム16と、がこの順に積層された構成である。
図1で示す転写フィルム10はカバーフィルム16を配置した形態であるが、カバーフィルム16は、配置されなくてもよい。また、後述するとおり、中間層及び/又は熱可塑性樹脂層を更に有していてもよい。
以下、転写フィルムが有する各部材について詳述する。
【0167】
〔仮支持体〕
仮支持体は、感光性層を支持し、感光性層から剥離可能な支持体である。
仮支持体は、感光性層をパターン露光する際に仮支持体を介して感光性層を露光し得る点で、光透過性を有することが好ましい。
パターン露光とは、パターン状に露光する形態であり、露光部と未露光部とが存在する形態の露光を意味する。
また、光透過性を有するとは、露光(パターン露光でも全面露光であってもよい)に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味する。露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度がより優れる点で、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率は、大塚電子社製MCPD Seriesを用いて測定できる。
【0168】
仮支持体としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム及び紙が挙げられ、強度及び可撓性等がより優れる点で、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられ、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0169】
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性及び仮支持体の透明性の点で、仮支持体に含まれる粒子、異物及び欠陥の数は、少ない方が好ましい。具体的には、直径2μm以上の微粒子、異物及び欠陥の数は、50個/10mm2以下が好ましく、10個/10mm2以下がより好ましく、3個/10mm2以下が更に好ましい。下限は、1個/10mm2以上としてもよい。
仮支持体は、ハンドリング性をより向上させる点で、感光性層が形成される側とは反対側の面に、直径0.5~5μmの粒子が1個/mm2以上存在する層を有することが好ましく、1~50個/mm2存在することがより好ましい。
【0170】
仮支持体の厚みは、取扱い易さ及び汎用性に優れる点で、5~200μmが好ましく、10~150μmがより好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性及び最初の露光工程で要求される光透過性等の点で、材質に応じて適宜選択し得る。
【0171】
仮支持体としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落0017~0018、特開2016-027363号公報の段落0019~0026、国際公開第2012/081680号の段落0041~0057及び国際公開第2018/179370号の段落0029~0040が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0172】
仮支持体としては、例えば、コスモシャイン(登録商標)A4100(東洋紡社製)、コスモシャイン(登録商標)A4300(東洋紡社製)、コスモシャイン(登録商標)A4160(東洋紡社製)、コスモシャイン(登録商標)A4360(東洋紡社製)、ルミラー(登録商標)16FB40(東レ社製)及びルミラー(登録商標)16QS62(東レ社製)が挙げられ、厚み16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は厚み9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
仮支持体は、リサイクル品であってもよい。リサイクル品としては、例えば、使用済みフィルム等を洗浄及びチップ化し、これを材料とするフィルムが挙げられる。リサイクル品としては、例えば、東レ社製のEcouse(登録商標)シリーズが挙げられる。
【0173】
〔感光性層〕
感光性層は、上述した感光性組成物を用いて形成される層である。
感光性層は、化合物Aを含み、露光により化合物Aが有する酸基の含有量が減少する機構を有する。
感光性層における化合物Aが有する酸基の含有量の減少率は、例えば、化合物Aがカルボキシ基を有する場合、露光前後における感光性層のIR(infrared)スペクトルを測定し、1680~1720cm-1の波長域に存在する極大吸収ピークのピークトップの高さの減少率から算出できる。通常、酸基のC=O伸縮の極大吸収ピークは、通常、1680~1720cm-1の波長域に現れる。
【0174】
感光性層に含まれ得る各種成分としては、例えば、上述した感光性組成物に含まれ得る各種成分と同義であり、好適態様も同じである。
ただし、感光性層中における各種成分の含有量の好適な数値範囲は、上述した「感光性材料の全固形分に対する各種成分の含有量(質量%)」を「感光性層の全質量に対する各種成分の含有量(質量%)」に読み替えた好適範囲と同じである。具体的には、「化合物Aの含有量の下限は、感光性組成物の全固形分に対して、1質量%以上の場合が多く、15質量%以上が好ましく」との記載は、「化合物Aの含有量の下限は、感光性層の全質量に対して、1質量%以上の場合が多く、15質量%以上が好ましく」と読み替える。
【0175】
<感光性層の厚み>
感光性層の平均厚みとしては、0.5~40μmが好ましく、0.5~25μmがより好ましい。感光性層の平均厚みが40μm以下であるとパターンの解像性がより優れ、感光性層の平均厚みが0.5μm以上であると信頼性の点から好ましい。感光性層の平均厚みとしては、3~20μmがより好ましい。
【0176】
〔中間層及び熱可塑性樹脂層〕
転写フィルムは、中間層及び/又は熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
中間層及び熱可塑性樹脂層としては、例えば、国際公開第2021/166719号の段落0164~0204が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0177】
〔カバーフィルム〕
転写フィルムは、カバーフィルムを有していてもよい。
【0178】
カバーフィルムは、カバーフィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m2以下であることが好ましい。フィッシュアイとは、材料を熱溶融し、混練、押し出し及び/又は2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物及び/又は酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0179】
カバーフィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数は、30個/mm2以下が好ましく、10個/mm2以下がより好ましく、5個/mm2以下が更に好ましい。これにより、カバーフィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性層に転写されることにより生じる欠陥を抑制できる。
【0180】
カバーフィルムの表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。Raがこのような範囲内であれば、例えば、転写フィルムが長尺状である場合に、転写フィルムを巻き取る際の巻き取り性を良好にできる。また、転写時の欠陥抑制の観点から、Raは、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
【0181】
カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
カバーフィルムとしては、例えば、特開2006-259138号公報の段落0083~0087及び0093に記載のものが挙げられる。
【0182】
カバーフィルムとしては、例えば、アルファン(登録商標)FG-201(王子エフテックス社製)、アルファン(登録商標)E-201F(王子エフテックス社製)、セラピール(登録商標)25WZ(東レフィルム加工社製)及びルミラー(登録商標)16QS62(16KS40)(東レ社製)が挙げられる。
カバーフィルムは、リサイクル品であってもよい。リサイクル品としては、例えば、使用済みフィルム等を洗浄及びチップ化し、これを材料とするフィルムが挙げられる。リサイクル品としては、例えば、東レ(株)製のEcouse(登録商標)シリーズが挙げられる。
【0183】
〔その他層〕
転写フィルムは、上述した層以外に、その他層を含んでいてもよい。
その他層としては、例えば、高屈折率層が挙げられる。
高屈折率層としては、例えば、国際公開第2021/187549号の段落0168~0188が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0184】
[転写フィルムの製造方法]
転写フィルムの製造方法は、公知の製造方法を適用できる。
転写フィルムの製造方法としては、仮支持体上に、感光性層を塗布法により形成することが好ましい。
例えば、
図1に示す転写フィルム10の製造方法としては、仮支持体の表面に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性層を形成する工程、を含む方法が挙げられる。
【0185】
上述の製造方法により製造された転写フィルムの感光性層上に、カバーフィルムを圧着させることにより、
図1に示す転写フィルム10が製造される。また、
図1に示す転写フィルム10を製造後に巻き取って、ロール形態の転写フィルムとして保管してもよい。ロール形態の転写フィルムは、後述するロールツーロール方式での基板との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
【0186】
また、転写フィルムは、仮支持体と感光性層との間に、中間層及び/又は熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
中間層形成用組成物、中間層の形成方法、熱可塑性樹脂層形成用組成物及び熱可塑性樹脂層の形成方法としては、例えば、国際公開第2021/033451号の段落0133~0136及び段落0143~0144が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0187】
<感光性層の形成方法>
感光性層を形成する方法としては、公知の方法が使用でき、例えば、感光性組成物を塗布及び乾燥することで形成する方法が挙げられる。
感光性組成物は、上述したとおり、化合物Aと化合物βとを含む。
【0188】
塗布手段としては、例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布及びインクジェット塗布が挙げられる。
感光性組成物は、更に溶媒を含むことが好ましい。溶媒は、上述した感光性組成物が含み得る溶媒と同義であり、好適態様も同じである。
【0189】
<転写フィルムの製造方法の一例>
転写フィルムにおける感光性層を形成する際、感光性組成物は、水系組成物及び有機溶媒系組成物のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂層と感光性層との間に中間層を有する転写フィルムの製造方法においては、中間層との層間混合を抑制して解像性がより優れる点で、感光性組成物は有機溶媒系組成物であることが好ましい。一方で、熱可塑性樹脂層と感光性層との間に中間層を有さない転写フィルムの製造方法においては、熱可塑性樹脂層との層間混合を抑制して解像性がより優れる点で、感光性組成物は水系組成物であることが好ましい。
【0190】
水系組成物とは、溶媒が水を含むことを意味する。
水系組成物中の溶媒としては、水単独、又は、炭素原子数1~3の低級アルコールと水との混合溶媒が好ましく、乾燥性がより優れる点で、炭素原子数1~3の低級アルコールと水との混合溶媒がより好ましく、メタノールと水との混合溶媒が更に好ましい。
水系組成物において、水の含有量は、溶媒の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%以下としてもよい。
【0191】
感光性組成物を水系組成物とする場合、溶媒への溶解性がより優れる点で、感光性組成物中、化合物Aはアンモニウム塩の形態であることが好ましい。
化合物Aのアンモニウム塩は、感光性組成物を熱可塑性樹脂層上に塗布及び乾燥して形成する際に、乾燥の際に、水よりも沸点の低いアンモニアが揮発しやすいため、酸基が再生成される。つまり、化合物Aのアンモニウム塩を開始物質としても、転写フィルム中の感光性層においては化合物Aとして含まれ得る。
【0192】
感光性組成物が化合物Aのアンモニウム塩を含む場合、感光性組成物の塗膜の乾燥処理における乾燥条件としては、例えば、40~150℃に加熱する方法が挙げられる。
【0193】
また、感光性組成物を水系組成物とする場合、アンモニウム塩構造の安定性がより優れる点で、感光性組成物のpHは、7.0~10.0が好ましく、7.0~8.5がより好ましい。
[用途]
上述した感光性組成物、上述した転写フィルム、及び、上述した感光性組成物又は上述した転写フィルムの感光性層を用いて得られるパターン(硬化膜)は、種々の用途に適用できる。例えば、電極保護膜、絶縁膜、平坦化膜、オーバーコート膜、ハードコート膜、パッシベーション膜、隔壁、スペーサ、マイクロレンズ、光学フィルター、反射防止膜、エッチングレジスト及びめっき部材に適用できる。
より具体的には、タッチパネル電極の保護膜又は絶縁膜、プリント配線板の保護膜又は絶縁膜、TFT基板の保護膜又は絶縁膜、半導体パッケージのビルドアップ基板における層間絶縁膜、カラーフィルター、カラーフィルター用オーバーコート膜、及び、配線形成のためのエッチングレジストが挙げられる。
【0194】
[パターン形成方法]
転写フィルムをパターン形成方法に用いてもよい。
パターン形成方法としては、上述の転写フィルムを用いるパターン形成方法であればよい。
具体的には、基材上に、上述した感光性組成物又は転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、上記感光性層をパターン露光する工程と、露光された上記感光性層を現像(例えば、アルカリ現像又は有機溶剤現像等)する工程と、をこの順に含むことが好ましい。
感光性組成物を用いて感光性層を形成する工程としては、例えば、上述した転写フィルムの製造方法における感光性層を形成する方法が挙げられる。上記感光性層をパターン露光する工程、及び、露光された上記感光性層を現像(例えば、アルカリ現像又は有機溶剤現像等)する工程としては、例えば、それぞれ後述するパターン形成方法における各工程が挙げられる。
なお、上記現像が有機溶剤現像である場合、得られたパターンを更に露光する工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法の実施形態としては、例えば、実施形態1及び実施形態2のパターン形成方法が挙げられる。
以下、パターン形成方法の各工程について詳述する。
【0195】
〔パターン形成方法の実施形態1〕
パターン形成方法の実施形態1は、工程X1~工程X3を有する。
工程X2は、露光により、感光性層中の化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。ただし、工程X3の現像液が有機溶剤現像液である場合、工程X3の後に更に工程X4を有することが好ましい。
【0196】
工程X1:転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと基材とを貼り合わせる工程
工程X2:感光性層をパターン露光する工程
工程X3:感光性層を、現像液(例えば、アルカリ現像液又は有機溶剤現像液等)を用いて現像する工程
工程X4:工程X3の現像工程の後に、更に、現像により形成されたパターンを露光する工程
【0197】
工程X3の現像液としてアルカリ現像液を使用する場合、上記感光性層は実施形態X-1-a1及び実施形態X-1-a2の感光性組成物を用いて形成された感光性層であることが好ましい。工程X3の現像液として有機溶剤現像液を使用する場合、上記感光性層は実施形態X-1-a1の感光性層であることが好ましい。
パターン形成方法の実施形態1は、上述した実施形態X-1-a1及び実施形態X-1-a2の感光性組成物を用いて形成された感光性層を含む転写フィルムに適用されることが好ましい。
【0198】
また、パターン形成方法の実施形態1は、工程X1と工程X2との間、工程X2と工程X3との間に、仮支持体を剥離する工程を有することが好ましい。
【0199】
<工程X1>
パターン形成方法の実施形態1は、転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと基材とを貼り合わせる工程を有する。
【0200】
(基材)
基材としては、例えば、ガラス基材、ガラスエポキシ基材、シリコン基材及び樹脂基材、並びに、導電層を有する基材が挙げられる。導電層を有する基材が含む基材としては、上述した基材が挙げられる。
上記基材は、透明であることが好ましい。
上記基材の屈折率は、1.50~1.52であることが好ましい。
上記基材は、ガラス基板等の透光性基材で構成されていてもよく、例えば、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラス等も使用できる。また、上記基材に含まれる材料としては、特開2010-086684号公報、特開2010-152809号公報及び特開2010-257492号公報に用いる材料も好ましい。
上記基材が樹脂基材を含む場合、樹脂基材としては、光学的な歪みが小さい及び/又は透明度が高い樹脂フィルムがより好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0201】
導電層を有する基材が含む基材としては、ロールツーロール方式で製造する点で、樹脂基材が好ましく、樹脂フィルムがより好ましい。
【0202】
導電層としては、例えば、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電層が挙げられる。
導電層としては、導電性及び細線形成性の点から、金属層(例えば、金属箔等)、導電性金属酸化物層、グラフェン層、カーボンナノチューブ層及び導電ポリマー層からなる群から選択される1種以上の層が好ましく、金属層がより好ましく、銅層又は銀層が更に好ましい。
また、導電層を有する基材中の導電層は、1層及び2層以上のいずれであってもよい。
導電層を有する基材が導電層を2層以上含む場合、各導電層は、互いに異なる材質の導電層であることが好ましい。
導電層の材料としては、例えば、金属単体及び導電性金属酸化物が挙げられる。
金属単体としては、例えば、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo、Ag及びAuが挙げられる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)及びSiO2が挙げられる。導電性は、体積抵抗率が1×106Ωcm未満であることを意味し、体積抵抗率が1×104Ωcm未満であることが好ましい。
【0203】
導電層を有する基材中の導電層が2層以上である場合、導電層のうち少なくとも1つの導電層は、導電性金属酸化物を含むことが好ましい。
【0204】
(工程X1の手順)
工程X1は、ロール等による加圧及び加熱による貼り合わせ工程であることが好ましい。貼り合わせには、ラミネーター、真空ラミネーター及びオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。
工程X1は、ロールツーロール方式により行われることが好ましい。転写フィルムを貼り合わせる対象となる基材は、樹脂フィルム又は導電層を有する樹脂フィルムであることが好ましい。
ロールツーロール方式とは、基材として、巻き取り及び巻き出しが可能な基材を用い、本発明のパターン形成方法に含まれるいずれかの工程の前に、基材を巻き出す工程(以下、「巻き出し工程」ともいう。)と、いずれかの工程の後に、基材を巻き取る工程(以下、「巻き取り工程」ともいう。)と、を含み、少なくともいずれかの工程(好ましくは、全ての工程又は加熱工程以外の全ての工程)を、基材を搬送しながら行う方式をいう。
巻き出し工程における巻き出し方法及び巻き取り工程における巻取り方法としては、ロールツーロール方式を適用する製造方法において、公知の方法を用いればよい。
【0205】
<工程X2>
パターン形成方法の実施形態1は、上記工程X1の後、感光性層をパターン露光する工程(工程X2)を含む。工程X2は、露光により、感光性層中の化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。より具体的には、感光性層中の化合物β(好ましくは化合物B)中の特定構造及び/又は化合物A中の特定構造を励起させる波長の光を用いて、感光性層をパターン露光することが好ましい。
【0206】
露光工程において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に制限されない。
例えば、パターン形成方法の実施形態1を回路配線の製造に適用する場合、パターン形成方法の実施形態1により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくできる点から、パターンの少なくとも一部(特に、タッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分に相当する部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
【0207】
露光に使用する光源としては、感光性層中の化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させることが可能な波長域の光(感光性層中の化合物β(好ましくは化合物B)中の特定構造及び/又は化合物A中の特定構造を励起させる波長の光。例えば、254nm、313nm、365nm及び405nm等の波長域の光が挙げられる。)を照射するものであれば、適宜選定し得る。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びLED(Light Emitting Diode)が挙げられる。
【0208】
露光量としては、10~10000mJ/cm2が好ましく、50~3000mJ/cm2がより好ましい。
【0209】
工程X2においては、感光性層から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性層とマスクとの接触によるマスク汚染の防止及びマスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずにパターン露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光であってもよいし、レーザ等を用いたダイレクト露光であってもよい。
なお、後述する工程X3の前には、感光性層から仮支持体は剥離する。
【0210】
<工程X3>
パターン形成方法の実施形態1は、上記工程X2の後、パターン露光された感光性層を、現像液(例えば、アルカリ現像液又は有機溶剤現像液等)を用いて現像する工程(工程X3)を含む。
工程X2を経た感光性層は、露光部の感光性層中のカルボキシ基の含有量が減少することにより、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が生じている。感光性層に溶解コントラストが形成されることで、工程X3においてパターンの形成が可能となる。なお、上記工程X3の現像液がアルカリ現像液である場合、上記工程X3を実施することで、未露光部が除去されてネガパターンが形成される。一方、上記工程X3の現像液が有機溶剤現像液である場合、上記工程X3を実施することで露光部が除去されてポジパターンが形成される。得られたポジパターンに対しては、後述する工程X4により、化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させる処理を実施する必要がある。
【0211】
(アルカリ現像液)
アルカリ現像液としては、例えば、感光性樹脂層の未露光部を除去できれば特に制限はなく、例えば、特開平5-072724号公報に記載の現像液等の公知の現像液を使用できる。
アルカリ現像液としては、pKaが7~13の化合物を、0.05~5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。
また、アルカリ現像液は、更に、水溶性の有機溶媒及び界面活性剤等を含んでいてもよい。アルカリ現像液としては、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が好ましい。
アルカリ現像液における水の濃度は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、85質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。上限は、100質量%未満としてもよい。
アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液及び水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が挙げられる。上記アルカリ現像液(アルカリ現像液を構成するアルカリ成分)の濃度としては、例えば、0.1質量%水溶液、1.0質量%水溶液及び2.38質量%水溶液が挙げられる。
【0212】
(有機溶剤現像液)
有機溶剤現像液としては、感光性樹脂層の露光部を除去できれば特に制限はなく、例えば、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒及び炭化水素系溶媒等の有機溶媒を含む現像液を使用できる。
有機溶剤現像液としては、例えば、シクロペンタノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
有機溶剤現像液において、有機溶媒は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶媒又は水と混合し用いてもよい。ただし、本発明の効果を十分に奏するためには、有機溶剤現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。有機溶剤現像液における有機溶媒(複数混合の場合は合計)の濃度は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、85質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。上限は、100質量%以下としてもよい。
【0213】
現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、スピン現像及びディップ現像が挙げられる。シャワー現像は、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、不要部分を除去できる。また、現像の後に、洗浄剤等をシャワーにより吹き付け、ブラシ等で擦りながら、現像残渣を除去することも好ましい。現像液の液温度は、20~40℃が好ましい。
【0214】
パターン形成方法の実施形態1は、更に、現像して得られた感光性層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよいし、有していなくてもよい。
ポストベークは8.1~121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、50.66kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、111.46kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが更に好ましい。
ポストベークの温度は、80~250℃が好ましく、110~170℃がより好ましく、130~150℃が更に好ましい。
ポストベークの時間は、1~60分が好ましく、2~50分がより好ましく、5~40分が更に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
【0215】
<工程X4>
上記工程X3の現像液が有機溶剤現像液である場合、得られたポジパターンに対して工程X4を実施する。工程X4は、工程X3で得られたポジパターンを露光し、化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。より具体的には、感光性層中の化合物B中の特定構造及び/又は化合物A中の特定構造を励起させる波長の光を用いて、感光性層をパターン露光することが好ましい。
【0216】
露光に使用する光源及び露光量としては、工程X1にて述べた光源及び露光量と同じであり、好適態様も同じである。
【0217】
〔パターン形成方法の実施形態2〕
パターン形成方法の実施形態2は、工程Y1、工程Y2P及び工程Y3をこの順で有し、更に、工程Y2Q(工程Y2Pにおいて露光された感光性層を、更に、露光する工程)を、工程Y2Pと工程Y3との間又は工程Y3の後に有する。
【0218】
工程Y1:転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと上記基材とを貼り合わせる工程
工程Y2P:感光性層を、露光する工程
工程Y3:感光性層を、現像液を用いて現像する工程
【0219】
パターン形成方法の実施形態2としては、感光性層が、更に、光重合開始剤及び重合性化合物を含む場合に適用可能な態様に該当する。したがって、実施形態2のパターン形成方法は、上述した実施形態X-1-a3の感光性組成物を用いて形成された感光性層を含む転写フィルムに適用されることが好ましい。
以下、パターン形成方法の実施形態2について説明するが、工程Y1及び工程Y3については、工程X1及び工程X3とそれぞれ同様であり、説明を割愛する。
なお、工程Y3は、少なくとも工程Y2Pよりも後に実施されていればよく、工程Y2Pと工程Y2Qとの間に工程Y3が実施されていてもよい。
なお、パターン形成方法の実施形態2は、工程Y3の後、更に、現像して得られた感光性層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していても、有していなくてもよい。ポストベーク工程については、上述したパターン形成方法の実施形態1が有していてもよいポストベーク工程と同様の方法により実施できる。工程Y2Pと工程Y2Qとの間に工程Y3が実施される場合、ポストベーク工程は、工程Y3の後に実施されていれば、工程Y2Qの前に実施されていてもよいし、工程Y2Qの後に実施されていてもよい。
【0220】
また、パターン形成方法の実施形態2は、工程Y1と工程Y2Pとの間、工程Y2Pと工程Y3との間に、仮支持体を剥離する工程を有することが好ましい。
【0221】
<工程Y2P、工程Y2Q>
パターン形成方法の実施形態2は、工程Y1を経た感光性層を露光する工程(工程Y2P)と、露光された感光性層を、更に、露光する工程(工程Y2Q)とを含む。
露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)のうち一方は、主に、露光により化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光であり、露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)のうち他方は、主に、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光に該当する。また、露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)は、それぞれ、全面露光及びパターン露光のいずれであってもよいが、露光処理のうちのいずれかはパターン露光である。
例えば、工程Y2Pが露光により化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させるためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液はアルカリ現像液であってもよく有機溶剤現像液であってもよい。ただし、有機溶剤現像液で現像をする場合、工程Y2Qは、通常、工程Y3の後に実施され、現像された感光性層(パターン)において、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起されると共に、化合物Aが有するカルボキシ基の含有量が減少する。
また、例えば、工程Y2Pが光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液は通常アルカリ現像液である。この場合、工程Y2Qは、工程Y3の前後のいずれで実施されてもよく、工程Y3の前に実施される場合の工程Y2Qは、通常パターン露光である。
【0222】
工程Y2P及び工程Y2Qにおいて、露光に使用する光源としては、上述した工程X2における光源が挙げられる。
【0223】
感光性層中の化合物Aが有するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光において、露光量としては、10~10000mJ/cm2が好ましく、50~3000mJ/cm2がより好ましい。
感光性層中の光重合開始剤に基づく重合性化合物の反応を生起させるための露光において、露光量としては、5~200mJ/cm2が好ましく、10~150mJ/cm2がより好ましい。
【0224】
工程Y2P及び工程Y2Qにおいては、上述した工程X2と同様に、感光性層から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。
【0225】
露光工程において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズとしては、例えば、工程X2における態様が挙げられる。
【0226】
〔好適態様〕
パターン形成方法としては、工程Y1、工程Y2A及び工程Y3をこの順に有しているのも好ましい。また、工程Y3の後に、更に、工程Y2Bをこの順に有しているのも好ましい。なお、工程Y2A及び工程Y2Bは、一方が、露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程であり、他方が、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程であることも好ましい。
【0227】
工程Y1:転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと上記基材とを貼り合わせる工程
工程Y2A:感光性層をパターン露光する工程
工程Y3:感光性層を、アルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された感光性層を形成する工程
工程Y2B:パターン化された感光性層を露光する工程
【0228】
また、上記パターン形成方法は、工程Y1と工程Y2Aとの間、工程Y2Aと工程Y3との間に、仮支持体を剥離する工程を有することが好ましい。
【0229】
上記工程Y2Aは、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程であることが好ましく、上記工程Y2Bは、露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程であることが好ましい。
【0230】
〔パターン形成方法が有していてもよい任意の工程〕
パターン形成方法(実施形態1、実施形態2又は上記好適態様のパターン形成方法等)は、上述した以外の任意の工程(例えば、その他工程等)を含んでいてもよい。例えば、以下のような工程が挙げられ、これらの工程に制限されない。
【0231】
<カバーフィルム剥離工程>
上記パターン形成方法は、転写フィルムがカバーフィルムを有する場合、上記転写フィルムのカバーフィルムを剥離する工程(以下、「カバーフィルム剥離工程」ともいう。)を含むことが好ましい。カバーフィルムを剥離する方法は、公知の方法を適用できる。
【0232】
<可視光線反射率を低下させる工程>
基板が導電層を有する基板である場合、上記パターン形成方法は、更に、導電層の可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。なお、上記基板が複数の導電層を有する基板である場合、可視光線反射率を低下させる処理は、一部の導電層に対して実施してもよいし、全ての導電層に対して実施してもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理が挙げられる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好適態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0233】
<エッチング工程>
基板が導電層を有する基板である場合、上記パターン形成方法は、工程X3(又は工程X4)及び工程Y3(又は工程Y2B)により形成されたパターンをエッチングレジスト膜として、このエッチングレジスト膜が配置されていない領域における導電層をエッチング処理する工程(エッチング工程)を含むことが好ましい。
エッチング処理の方法としては、特開2010-152155号公報の段落0048~0054等に記載のウェットエッチングによる方法及び公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法等を適用できる。
【0234】
例えば、エッチング処理の方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸及びリン酸等の酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と塩化第二鉄、フッ化アンモニウム又は過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を用いてもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を用いてもよい。
【0235】
エッチング液の温度は、45℃以下が好ましい。本発明の回路配線の製造方法において、エッチングレジスト膜として使用される、工程X3(又は工程X4)及び工程Y3により形成されたパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。上記構成により、エッチング工程中にエッチングレジスト膜が剥離することが防止され、エッチングレジスト膜の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、エッチング処理された基板を洗浄する洗浄工程及び洗浄された基板を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。
【0236】
<その他実施形態>
上記パターン形成方法は、両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有する基板を用い、両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時にパターン形成することも好ましい。
このような構成により、基板の一方の表面に第1の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成できる。ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
【0237】
[回路配線の製造方法]
転写フィルムを回路配線の製造に用いてもよい。
回路配線の製造方法は、上述の転写フィルムを使用した回路配線の製造方法であればよく、上述した転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を、導電層を有する基板中の導電層に接触させて、転写フィルムと導電層を有する基板とを貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、貼り合わせた転写フィルムにおける感光性層をパターン露光する工程(第1の露光工程)と、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化されたエッチングレジスト膜を形成する工程(エッチングレジスト膜形成工程)と、エッチングレジスト膜が配置されていない領域における上記導電層をエッチング処理する工程(エッチング工程)と、パターンを剥離する工程(剥離工程)と、を含むことが好ましい。
【0238】
本発明の回路配線の製造方法において、貼り合わせ工程、第1の露光工程及びアルカリ現像工程は、いずれも上述したパターン形成方法の実施形態1の工程X1、工程X2及び工程X3と同様の手順により実施できる。
また、本発明の回路配線の製造方法は、貼り合わせ工程と第1の露光工程との間又は第1の露光工程とエッチングレジスト膜形成工程との間に、更に仮支持体剥離工程を有していることが好ましい。
【0239】
また、感光性層が実施形態X-1-a3の感光性組成物を用いて形成された感光性層の場合、上記エッチングレジスト膜形成工程では、現像処理の後に、第1の露光工程と現像処理を経て得られたパターンを、更に露光する処理(第2の露光処理)実施してもよい。第2の露光処理は、上述したパターン形成方法の実施形態2の工程Y2Qと同様の手順により実施できる。
【0240】
また、本発明の回路配線の製造方法において使用される導電層を有する基板は、上述した工程X1で使用される導電層を有する基板と同様である。また、本発明の回路配線の製造方法は、上述の工程以外のその他工程を有していてもよい。その他工程としては、パターン形成方法の実施形態1及び実施形態2が有していてもよい任意の工程と同様のものが挙げられる。
【0241】
本発明の回路配線の製造方法は、上記貼り合わせ工程からエッチング工程までの工程を1セットとして、複数回繰り返す態様であることも好ましい。
エッチングレジスト膜として使用した膜は、形成された回路配線の保護膜(永久膜)としても使用できる。
【0242】
[半導体パッケージの製造方法]
半導体パッケージの製造方法としては、例えば、ビルドアップ基板の製造方法等の公知の製造方法が挙げられる。
具体的には、工程Z1~工程Z4をこの順で含む製造方法が挙げられる。
工程Z1:導電層を有する基材上に、感光性組成物又は転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
工程Z2:感光性層をパターン露光する工程
工程Z3:露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、ビアを有するパターンを形成する工程
工程Z4:上記パターン上に回路パターンを形成する工程
【0243】
工程Z1における、導電層を有する基板、感光性組成物、転写フィルム及び感光性層を形成する方法は、上述したとおりである。
工程Z2としては、例えば、工程X2が挙げられる。
【0244】
〔工程Z3〕
工程Z3は、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、ビアを有するパターンを形成する工程である。
アルカリ現像液を用いて現像する方法としては、例えば、工程X3におけるアルカリ現像液を用いて現像する方法が挙げられる。
【0245】
上記パターンが有するビアの形状は、例えば、断面形状として四角形、台形及び逆台形;正面形状(ビア低が見える方向からビアを観察した際の形状)として円形及び四角形;が挙げられる。
上記パターンが有するビアの形状としては、めっき銅のビア壁面への付き回り性が高くなる点で、断面形状として逆台形が好ましい。
上記ビアサイズ(直径)は、300μm以下の場合が多く、200μm以下が好ましく、40μm未満がより好ましく、30μm以下がより一層好ましく、20μm以下が更に好ましく、10μm以下が特に好ましく、5μm以下が最も好ましい。下限は、15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。
上記ビアの数は、1又は2以上であってもよく、2以上が好ましい。
【0246】
〔工程Z4〕
工程Z4は、上記パターン上に回路パターンを形成する工程である。
回路パターンの形成方法としては、微細配線形成できる点で、セミアディティブプロセスが好ましい。
セミアディティブプロセスとしては、まず、上記工程Z3後のビア底、ビア壁面及びパターンの表面全体にパラジウム触媒等を用いた上で無電解銅めっき処理を施してシード層を形成する。
上記シード層は電解銅めっきを施すための給電層を形成するためのものであり、シード層の厚みは、0.1~2.0μmが好ましい。上記シード層の厚みが0.1μm以上であれば、電解銅めっき時の接続信頼性が低下するのを抑制できる傾向にあり、上記シード層の厚みが2.0μm以下であれば、配線間のシード層をフラッシュエッチする際のエッチング量を大きくする必要がなく、エッチングの際に配線に与えるダメージを抑えられる傾向にある。
無電解銅めっき処理は、銅イオンと還元剤の反応により、ビアを有するパターンの表面に金属銅が析出することで行われる。
無電解めっき処理方法及び電解めっき処理方法としては、例えば、公知のめっき処理方法が挙げられる。
無電解めっき処理工程の触媒としては、パラジウム-スズ混合触媒が好ましい。上記混合触媒の平均1次粒子径は、10nm以下が好ましい。また、無電解めっき処理工程のめっき組成としては、還元剤として次亜リン酸を含むことが好ましい。
無電解銅めっき液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「MSK-DK」、上村工業社製「スルカップ(登録商標)PEA ver.4」シリーズが挙げられる。
【0247】
無電解銅めっき処理を施した後、無電解銅めっき上に、ロールラミネーターにて転写フィルムの感光性層の仮支持体とは反対側の表面を熱圧着することが好ましい。
上記感光性層の厚みは、電気銅めっき後の配線高さよりも高くできる点で、5~30μmが好ましい。
転写フィルムの熱圧着後、例えば、所望の配線パターンが描画されたマスクを通して感光性層の露光を行う。上記露光方法としては、例えば、工程X2における露光方法が挙げられる。
露光後、転写フィルムの支持体を剥離し、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する。また、上記パターンを形成した後に、プラズマ等を用いて感光性層の現像残渣を除去してもよい。
現像後、電気銅めっきを行うことにより、銅の回路層の形成及びビアフィリングを行う。
電気銅めっき後、アルカリ水溶液又はアミン系剥離剤を用いてパターンの剥離を行う。
パターンの剥離後、配線間のシード層の除去(フラッシュエッチング)を行う。
フラッシュエッチングとしては、例えば、硫酸と、過酸化水素等の酸性溶液と、酸化性溶液とを用いて行われる。具体的には、JCU社製の「SAC」、三菱ガス化学社製の「CPE-800」が挙げられる。フラッシュエッチング後、必要に応じて配線間の部分に付着したパラジウム等の除去を行う。パラジウムの除去は、硝酸及び塩酸等の酸性溶液を用いて行うことができる。
【0248】
パターンの剥離後又はフラッシュエッチング工程の後、ポストベーク処理を行うことが好ましい。ポストベーク処理は、未反応の熱硬化成分を十分に熱硬化し、更にそれによって電気絶縁信頼性、硬化特性及びめっき銅との接着強度を向上させる。
熱硬化条件としては、硬化温度が150~240℃、硬化時間が15~500分が好ましい。
【0249】
半導体パッケージの製造方法は、ビアを有するパターンを粗化処理する粗化工程を含んでいてもよい。上記粗化工程は、上記工程Z3後、上記工程Z4前に実施することが好ましい。
粗化工程を実施することで、上記パターン表面を粗化して回路配線との密着性を向上できる。また、同時にスミアの除去もできる。
粗化工程としては、例えば、公知のデスミア処理が挙げられ、粗化液を接触させる処理が好ましい。
粗化液としては、例えば、クロム及び硫酸を含む粗化液、アルカリ過マンガン酸塩を含む粗化液(例えば、過マンガン酸ナトリウム粗化液等)、フッ化ナトリウム、クロム及び硫酸を含む粗化液が挙げられる。
【0250】
上述した各工程を、必要な層の数に応じて、繰り返して行うことで、半導体パッケージを製造できる。また、最外層には、ソルダーレジストを形成することが好ましい。
【0251】
[タッチパネルの製造方法]
転写フィルムをタッチパネルの製造に用いてもよい。
タッチパネルの製造方法は、上述の転写フィルムを使用したタッチパネルの製造方法であればよく、上述した転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を、導電層(好ましくはパターン化された導電層であり、具体的には、タッチパネル電極パターン又は配線等の導電パターン)を有する基板中の導電層に接触させて、転写フィルムと導電層を有する基板とを貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、貼り合わせた転写フィルムにおける感光性層をパターン露光する工程(第1の露光工程)と、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、上記導電層のパターン化された保護膜又は絶縁膜を形成する工程(保護膜又は絶縁膜形成工程)と、を含むことが好ましい。
【0252】
[半導体装置の製造方法]
半導体装置の製造方法は、公知の製造方法を適用できる。
具体的には、上述したパターン形成方法又は上述した半導体パッケージの製造方法を含む半導体装置の製造方法が挙げられる。
半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)に供される、半導体パッケージ等の各種半導体装置が挙げられる。
【0253】
[半導体パッケージ]
半導体パッケージは、上述した感光性組成物又は上述した転写フィルムの感光性層を用いて得られるパターン(硬化膜)を含んでいれば、特に制限されない。
硬化膜は、絶縁膜として用いてもよく、いわゆるビルドアップ基板における絶縁膜として用いてもよい。
【実施例0254】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に詳述する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
以下の実施例において、特段の断りがない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0255】
[感光性組成物の調製]
以下の表に示すとおりに、各種成分を混合して混合液を得た。更に、上記混合液を固形分:MEK(メチルエチルケトン):PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)=36質量%:50質量%:14質量%となるように希釈した。なお、シリカがスラリーではない場合、シリカは20質量%MEK溶液で分散してスラリーとしてから、最後に混合した。
【0256】
また、得られた混合液を、PGMEAを用いて100倍希釈(質量基準)で希釈し、粒径測定用サンプルを作製した。作製した粒径測定用サンプルを用いて、ゼータサイザーナノZS(粒径測定範囲0.3nm~10μm、ピークモードレンジ0.6nm~8.9μm、測定原理:動的光散乱法)によりフィラーの粒径が、表1記載の粒径±5%以内であることを確認した。目的の粒状でない場合、超音波ホモジナイザー(Sonifier450、出力400W、周波数20Hz)を用いて分散し、粒径測定用サンプルを作製した。
【0257】
〔化合物A〕
ZFR-1491H:KAYARAD ZFR-1491H、ビスフェノールF型のカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(Mw=12000、酸価98mgKOH/g、粘度50Pa・s、固形分濃度67.5質量%PGMEA溶液)、日本化薬社製
・CCR-1171:KAYARAD CCR-1171、クレゾールノボラック型のカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(Mw=7500、酸価99mgKOH/g、粘度39Pa・s、固形分濃度65質量%PGMEA溶液)、日本化薬社製
・ZCR-1569H:KAYARAD ZCR-1569H、ビフェニル型のカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(Mw=4500、酸価99mgKOH/g、粘度37Pa・s、固形分濃度69質量%PGMEA溶液)、日本化薬社製
・ZCR-1797H:KAYARAD ZCR-1797H、ビフェニル型のカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(Mw=8000、酸価101mgKOH/g、粘度10Pa・s、固形分濃度61質量%PGMEA溶液)、日本化薬社製
・ZAR-2051H:KAYARAD ZAR-2051H、ビスフェノールA型のカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(Mw=9500、酸価71mgKOH/g、粘度37Pa・s、固形分濃度67.5質量%PGMEA溶液)、日本化薬社製
・樹脂X1:以下に示す樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂(Mw=7000、酸価342mgKOH/g)
樹脂X1は、「H4」(フェノールノボラック樹脂、リグナイト社製、分子量5000~8000)とクロロ酢酸メチルとを塩基性条件下反応させ、エステル結合を加水分解することで合成した。得られた樹脂XをPGMEAを用いて希釈することで、40質量%PGMEA溶液を調製して感光性組成物の調製に用いた。
・樹脂X2:以下に示す樹脂、酸基を有する変性フェノール樹脂(Mw=12000、酸価315mgKOH/g)
「TR4020G」(クレゾールノボラック樹脂、リグナイト社製)とクロロ酢酸メチルとを塩基性条件下反応させ、エステル結合を加水分解することで合成した。得られた樹脂X2をPGMEAを用いて希釈することで、40質量%PGMEA溶液を調製して感光性組成物の調製に用いた。なお、樹脂X2は、以下に示す繰り返し単位が取り得る構造の混合物である。
【0258】
【0259】
〔比較用化合物〕
・樹脂C1:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル=12質量%/58質量%/30質量%の樹脂(Mw=65,000、酸価78mgKOH/g)
・樹脂C2:以下に示す化合物(Mw=55,000、酸価67mgKOH/g、特開平01-032255号公報に記載)
【0260】
【0261】
〔化合物β〕
・9-メチルアクリジン:東京化成工業社製
・アクリジン:東京化成工業社製
・9-フェニルアクリジン:東京化成工業社製
【0262】
〔フィラー〕
・KE-S30:シーホスターKE-S30、球状シリカ、表面処理なし、固形分濃度100質量%、日本触媒社製
・NHM-3N:球状シリカ、トリメチルシリル表面処理、固形分濃度100質量%、トクヤマ社製
・YA050C-MJE:球状シリカスラリー、メタクリル系表面処理品、固形分濃度50質量%MEKスラリー、アドマテックス社製
・MEK-EC-2430Z:球状シリカスラリー、エポキシシラン表面処理、固形分濃度30質量%、日産化学社製
・ASA:硫酸バリウム、表面処理なし、固形分濃度100質量%、日本ソルベイ社製
・AZ:AZフィラー、チタンドープ型球状ガラスフィラー、表面処理なし、固形分濃度100質量%、AGC社製
【0263】
〔エポキシ化合物〕
・jER828EL:ビスフェノールA型エポキシ化合物、三菱ケミカル社製
・EPICLON N-770:フェノールノボラック型エポキシ化合物、DIC社製
・TETRAD-X:4官能エポキシ化合物、三菱ガス化学社製
・NC-3000:2官能ビスフェニル型エポキシ化合物、日本化薬社製
・TECHMORE VG3101L:ビスフェノールA型3官能エポキシ化合物、プリンテック社製
【0264】
〔その他成分〕
・DPHA:ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート、東京化成工業社製
・Irgacure OXE01:波長365nmにおけるモル吸光係数が2400(L/(mol・cm)、BASF社製
【0265】
[転写フィルムの作製]
仮支持体(PETフィルム、ルミラー16FB40、厚さ16μm、東レ社製)上に、得られた感光性組成物を塗布及び乾燥して感光性層を形成した。上記感光性層の厚みは、以下の表に示す膜厚になるように調整した。
次いで、感光性層上にカバーフィルム(ポリプロピレンフィルム、FG-201、厚さ30μm、王子エフテックス社製)を設け、各転写フィルムを得た。
【0266】
[各種評価]
〔化合物βのモル吸光係数〕
化合物βの波長365nmにおけるモル吸光係数は、以下の手順で測定した。
アセトニトリル(500mL)に化合物β(10mg)を添加し、500rpmで20分間撹拌して測定溶液を得た。上記測定溶液を適当量使用し、分光光度計UV-2400PC(島津製作所社製)を用いて吸光度測定を行った。得られた波長365nmにおける吸光度から、ランベルトベールの法則に則って、波長365nmにおけるモル吸光係数を算出した。この時、ブランクとしてアセトニトリルのみの吸光度を測定し、測定溶液の波長365nmにおける吸光度から差し引くことで、化合物βの波長365nmにおけるモル吸光係数を算出した。化合物βがアセトニトリルに溶解しない場合、化合物βを溶解させる溶媒は、適宜変更してよい。
【0267】
〔耐熱性〕
感光性組成物を、ガラス(コーニングガラス、縦5cm×横5cm×厚さ1.1mm)上に、乾燥後の厚さ10umがなるように塗布及び乾燥して感光性層を形成した。
得られた感光性層を超高圧水銀灯を用いて露光した。この時、波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、500mJ/cm2であった。
露光後30分間静置し、現像液として炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温:25℃)を用いて60秒間現像した。現像後、20秒間純水でリンスし、更にエアを吹きかけて水分を除去した。現像後のサンプルを、高圧水銀ランプを用いて、仮支持体の逆側から全面を露光した。この時は、波長365nmの照度計で計測した積算露光量は1000mJ/cm2であった。
露光後に、160℃で240分間加熱処理を行った。加熱処理後のサンプルを片刃を用いてカキトリ、評価用サンプルを合計500mg採取した。評価用サンプルを、TG-DTA装置(TG/DTA6200、セイコーインスツル社製)を用いて評価した。室温~300℃(300℃で30分間保持)の範囲で最終的な熱重量減少率を測定した(昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下)。3回測定した時の平均値を算出した。得られた熱重量減少率を以下の基準で評価した。
【0268】
(耐熱性評価基準)
A:熱重量減少率が、5.0%以下
B:熱重量減少率が、5.0%超、10.0%以下
C:熱重量減少率が、10.0%超
【0269】
〔絶縁信頼性〕
シリコンウエハ上に、銅厚5μmの銅ライン/スペース=10μm/10μmになるように櫛型の配線を形成したものに、感光性組成物を厚さ10umになるように塗布及び乾燥して感光性層を形成した。得られた感光性層を超高圧水銀ランプを用いて露光した。この時、波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、500mJ/cm2であった。
露光後30分間静置し、現像液として炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温:25℃)を用いて60秒間現像した。現像後、20秒間純水でリンスし、更にエアを吹きかけて水分を除去した。現像後のサンプルを、高圧水銀ランプを用いて、感光性層のシリコンウエハとは反対側から全面露光した。この時、波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、1000mJ/cm2であった。
露光後に、160℃で240分間加熱処理を行った。加熱処理後のサンプルを130℃85%RHの条件下、電圧3.3Vを一定時間印加させ、同条件下で絶縁抵抗を測定した。
初めに電圧3.3Vを印加した際の絶縁抵抗と、一定時間経過後の絶縁抵抗とを比較して、以下の基準で評価した。
【0270】
(絶縁信頼性)
A:絶縁抵抗が、200時間経過後でも低下しなかった
B:絶縁抵抗が120時間までは低下しなかったが、その後200時間経過前に絶縁抵抗が低下した
C:絶縁抵抗が70時間までは低下しなかったが、その後120時間経過前に絶縁抵抗が低下した
D:絶縁抵抗が、70時間経過前に絶縁抵抗が低下した
【0271】
〔脱炭酸反応〕
感光性組成物をシリコンウェハ基材上に、乾燥後の厚さ10.0μmになるように塗布し、75℃で150秒間乾燥して感光性層を形成した。その後、感光性層を感光性層の基材とは反対側から超高圧水銀ランプを用いて全面露光し、0.9質量%炭酸ナトリウム水溶液で25℃で40秒間現像した。露光において、波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、500mJ/cm2であった。
この時、露光前の感光性層及び現像後の硬化膜のIRスペクトルをそれぞれ測定し、1700cm-1付近にあるピークの両者を比較した際の変化率について、以下の基準に基づいて評価した。
【0272】
(脱炭酸反応評価基準)
A:露光前のピークに対する現像後のピークの変化率が、10%以上
B:露光前のピークに対する現像後のピークの変化率が、5%以上10%未満
C:露光前のピークに対する現像後のピークの変化率が、5%未満
【0273】
〔フォトリソグラフィ性〕
1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、フォトリソグラフィ性を評価した。
感光性組成物を、ガラス(コーニングガラス、縦5cm×横5cm×厚さ1.1mm)上に、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布及び乾燥して感光性層を形成した。
得られた感光性層を超高圧水銀ランプを用いてパターン露光した。この時、φ10μmの円形の複数の遮光部を有する露光マスクを使用した。上記露光マスクの円形の遮光部の間隔(円の中心から円の中心までの距離)は、300μmであった。この時、波長365nmの照度計で計測した積算露光量は、200mJ/cm2であった。
露光後30分間静置し、現像液として炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温:30℃)を用いて40秒間現像した。現像後、20秒間純水でリンスし、更にエアを吹きかけて水分を除去し、ホール(非露光部)を形成した。得られたサンプルにおいて、非露光部の膜厚及び露光部の膜厚を3点ずつ測定し、それぞれの差(ホール深さに該当する)の平均値を求めて、以下の基準で評価した。
【0274】
(フォトリソグラフィ性評価基準)
A:非露光部の膜厚と露光部の膜厚との差が、7μm以上10μm以下
B:非露光部の膜厚と露光部の膜厚との差が、4μm以上7μm未満
C:非露光部の膜厚と露光部の膜厚との差が、4μm未満
【0275】
以下、各種成分の含有量及び評価結果を示す。
「固形分濃度(質量%)」欄は、感光性組成物中に全固形分に対する各種成分の固形分濃度(質量%)を示す。
「モル吸光係数(365nm)」欄は、化合物βの波長365nmにおけるモル吸光係数(L/(mol・cm))を示す。
「粒径」は、フィラーの平均1次粒径を示す。
「酸基に対するモル%」欄は、化合物Aが有する酸基の合計数に対する化合物Bが有する電子を受容できる構造の合計数(モル%)を示す。
【0276】
【0277】
【0278】
化合物Aが酸基を有する変性フェノール樹脂を含む場合、絶縁信頼性がより優れることが確認された(実施例1~14等)。
感光性組成物がフィラー及びエポキシ化合物を含む場合、絶縁信頼性がより優れることが確認された(実施例1~8及び15~19等)。
フィラーの平均1次粒径が10~300nmである場合、脱炭酸反応がより進行し、かつ、フォトリソグラフィ性にも優れることが確認された(実施例30~34等)。
【0279】
[実施例1A~実施例42A]
転写フィルムの作製に使用した仮支持体及びカバーフィルムを下記材料に変更した以外は、それぞれ実施例1~実施例42と同様にして各転写フィルムを作製した。
・仮支持体:製品名「コスモシャイン(登録商標)A4160」、東洋紡社製、厚さ50μm、PETフィルム
・カバーフィルム:製品名「アルファン(登録商標)E-210F」、王子エフテックス社製、厚さ50μm、ポリプロピレンフィルム
【0280】
[実施例1B~実施例42B]
転写フィルムの作製に使用した仮支持体及びカバーフィルムを下記材料に変更した以外は、それぞれ実施例1~実施例42と同様にして各転写フィルムを作製した。
・仮支持体:製品名「コスモシャイン(登録商標)A4360」、東洋紡社製、厚さ38μm、PETフィルム
・カバーフィルム:製品名「アルファン(登録商標)FG-201」、王子エフテックス社製、厚さ30μm、ポリプロピレンフィルム
【0281】
[実施例1C~実施例42C]
転写フィルムの作製に使用した仮支持体及びカバーフィルムを下記材料に変更した以外は、それぞれ実施例1~実施例42と同様にして各転写フィルムを作製した。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)#38-U48」、東レ社製、厚さ38μm、PETフィルム
・カバーフィルム:製品名「アルファン(登録商標)E-210F」、王子エフテックス社製、厚さ50μm、ポリプロピレンフィルム
【0282】
[実施例1D~実施例42D]
転写フィルムの作製に使用した仮支持体及びカバーフィルムを下記材料に変更した以外は、それぞれ実施例1~実施例42と同様にして各転写フィルムを作製した。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)#75-U34」、東レ社製、厚さ75μm、PETフィルム
・カバーフィルム:製品名「アルファン(登録商標)FG-201」、王子エフテックス社製、厚さ30μm、ポリプロピレンフィルム
【0283】
[実施例1E~実施例42E]
転写フィルムの作製に使用した仮支持体及びカバーフィルムを下記材料に変更した以外は、それぞれ実施例1~実施例42と同様にして各転写フィルムを作製した。
・仮支持体:製品名「ルミラー(登録商標)16KS40」、東レ社製、厚さ16μm、PETフィルム
・カバーフィルム:製品名「アルファン(登録商標)E-210F」、王子エフテックス社製、厚さ50μm、ポリプロピレンフィルム
【0284】
[実施例101]
実施例1の転写フィルムを、回路パターンを形成したガラスエポキシ基材(CCL-EL190T、厚さ1.0mm、三菱瓦斯化学社製)の両面にラミネートを行い、感光性層をガラスエポキシ基材の両面に形成した。この時、真空ラミネーターを用いた。ラミネートは、MCK社製真空ラミネーターを用いて、基板の温度:40℃、ゴムローラー温度100℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件で行った。
形成した感光性層に対して、ビアの径が異なること以外は上記〔フォトリソグラフィ性〕と同様の方法で、所定の位置にビアを有するパターン(φ60μm)を形成後、粗化液として過マンガン酸ナトリウム水溶液で残渣を除去し、無電解めっき処理を行った。次に、公知のドライフィルムレジストを用いて所定の位置にパターンを形成し、電解めっき処理を行った。次に、シード層エッチング処理を行った。最後に、レジストを剥離液によりパターンを剥離し、加熱処理(160℃、1時間)を行うことで硬化膜上に銅配線を形成した。
上記ラミネートから加熱処理までの工程を計3回行い、最後に最外層としてソルダーレジストを形成し、更に半導体素子を封止及び搭載することで、半導体パッケージを作製した。得られた半導体パッケージをプリント配線板の所定の位置に搭載することで、半導体パッケージ基板を得た。得られた半導体パッケージ基板は、正常に動作することを確認した。
【0285】
実施例101において実施例1の転写フィルムを、実施例2~42、実施例1A~42A、実施例1B~42B、実施例1C~42C、実施例1D~42D及び実施例1E~42Eの各転写フィルムに変更した以外は、同様の手順で、半導体パッケージを作成し、半導体パッケージ基板を得た。得られた半導体パッケージ基板は、いずれも正常に動作することを確認した。