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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111580
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】チャージポンプ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
H02M3/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013494
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 竜平
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730AS04
5H730BB02
5H730BB57
5H730DD04
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】容易且つ速やかに出力電圧の調整が可能なチャージポンプ回路を提供する。
【解決手段】実施形態のチャージポンプ回路1が含む昇圧回路11は、第1駆動信号OSC1又はその反転信号OSC_invを第1入力信号I1として一端C1aで受け付ける第1キャパシタC11と、第3ノードN13の電位に応じて、第1キャパシタC11の他端C1bが接続されている第1ノードN11と、出力端Vout側の第2ノードN12との間の導通状態を切り替えるスイッチング素子Q11と、第2入力信号I2のレベルの変化を第3ノードN13に伝える第2キャパシタC12と、を含み、第2入力信号I2は、第1駆動信号OSC1がロウレベルである期間中にスイッチング素子Q11を導通状態にする第2駆動信号OSC2と、第1駆動信号OSC1がハイレベルである期間中にスイッチング素子Q11を導通状態にする第3駆動信号OSC3との間で切り替え可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端と出力端との間に直列に接続されている1以上の昇圧回路を含むチャージポンプ回路であって、前記1以上の昇圧回路は、それぞれ、
周期的にレベルを変化させる第1駆動信号又は前記第1駆動信号を反転させた反転信号を第1入力信号として一端で受け付ける第1キャパシタと、
前記第1キャパシタの他端が接続されている第1ノードと整流素子を介して接続されている第3ノードの電位に応じて、前記第1ノードと前記第1ノードよりも前記出力端側の第2ノードとの間の導通と非導通とを切り替えるスイッチング素子と、
第2入力信号を受け付けて前記第2入力信号のレベルの変化を前記第3ノードに伝える第2キャパシタと、
を含んでおり、
前記第2入力信号を、前記第1駆動信号がロウレベルである期間中に前記スイッチング素子を導通状態にさせるレベルとなる第2駆動信号と、前記第1駆動信号がハイレベルである期間中に前記スイッチング素子を導通状態にさせるレベルとなる第3駆動信号との間で切り替え可能に構成されている、チャージポンプ回路。
【請求項2】
前記第2入力信号を前記第2駆動信号と前記第3駆動信号との間で切り替える第2スイッチング素子をさらに含んでいる請求項1記載のチャージポンプ回路。
【請求項3】
前記1以上の昇圧回路は、それぞれ、前記第3ノードから前記第2ノードに向かって順方向となるように接続されている整流素子をさらに含んでいる、請求項1又は2記載のチャージポンプ回路。
【請求項4】
前記第1入力信号を前記第1駆動信号と前記反転信号との間で切り替え可能に構成されている請求項1~3のいずれか1項に記載のチャージポンプ回路。
【請求項5】
前記第1入力信号を前記第1駆動信号と前記反転信号との間で切り替える第3スイッチング素子をさらに含んでいる請求項4記載のチャージポンプ回路。
【請求項6】
前記1以上の昇圧回路は複数の昇圧回路を含み、
前記複数の昇圧回路のうち隣り合う昇圧回路の間で前記第1入力信号同士が同じになるように前記第1入力信号の切り替えが可能である、請求項4又は5記載のチャージポンプ回路。
【請求項7】
前記1以上の昇圧回路は複数の昇圧回路を含み、
前記複数の昇圧回路のうち隣り合う昇圧回路の間で前記第2入力信号同士が同じになるように前記第2入力信号の切り替えが可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載のチャージポンプ回路。
【請求項8】
前記1以上の昇圧回路は複数の昇圧回路を含み、
前記複数の昇圧回路それぞれにおける前記第2入力信号の切り替えが、前記複数の昇圧回路の全てで一斉に可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載のチャージポンプ回路。
【請求項9】
前記1以上の昇圧回路は複数の昇圧回路を含み、
前記複数の昇圧回路の全てにおいて前記第2入力信号が前記第2駆動信号又は前記第3駆動信号となるように前記第2入力信号の切り替えが可能である、請求項1~8のいずれか1項に記載のチャージポンプ回路。
【請求項10】
前記出力端は、MEMSマイクに印加される電圧を出力する、請求項1~9のいずれか1項に記載のチャージポンプ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージポンプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の電気機器の電源としてチャージポンプが用いられている。チャージポンプは、電荷を移動させることによってキャパシタに充電された電圧を入力電圧に重畳させ、その重畳を多段階に渡って繰り返すことによって、入力電圧から昇圧された所望の出力電圧を生成する。このようなチャージポンプとして特許文献1には、図9に示される単位チャージポンプからなるチャージポンプ回路が開示されている。
【0003】
図9の単位チャージポンプは、ノードN101に接続されたキャパシタC101と、ノードN102に接続されたキャパシタC102と、ノードN101とノードN102との間にダイオード接続されたトランジスタT102と、ノードN101及びノードN102にドレイン及びゲートがそれぞれ接続されてソースから出力電圧Voを出力するトランジスタT101と、を含んでいる。ノードN101と電源電圧Vccとの間にはトランジスタT103がダイオード接続の形態で接続されている。キャパシタC101には、一定周期でGNDとVccとの間で発振する信号S101が入力される。キャパシタC102には信号S101と周期及びレベルが同じでパルス幅が小さい信号S102が入力される。
【0004】
電源電圧Vccが印加されると、ノードN101には、Vcc-(トランジスタT103の閾値電圧)である電圧が設定される。ノードN101の電圧は、トランジスタT102を介してノードN102に伝えられ、ノードN102には、Vcc-(2×閾値電圧)の電圧が設定される。なお、トランジスタT102とトランジスタT103の閾値電圧は同一であるものとして単に「閾値電圧」と表記されている。この状態で信号S101がGNDレベルからVccに遷移すると、ノードN101の電圧及びノードN102の電圧は、それぞれ、2Vcc-(閾値電圧)及び2Vcc-(2×閾値電圧)へと遷移する。そして、信号S102がGNDレベルからVccに上昇すると、ノードN102の電圧は3Vcc-(2×閾値電圧)となって、ノードN102とノードN101との電位差により、トランジスタT101がオン状態となり、電源電圧VccよりもVcc-(閾値電圧)だけ昇圧されたノードN101の電圧2Vcc-(閾値電圧)がトランジスタT101のソースへと伝えられ、出力電圧Voとして出力される。単位チャージポンプは、求められる出力電圧に応じて適宜直列接続されて、多段階に渡って昇圧が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3505324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チャージポンプ回路では、チャージポンプ回路が用いられる機器で求められる出力電圧が得られるように、入力電圧や入力信号の調整、及び/又は昇圧段数の調整が行われることがある。例えばMEMSマイクに用いられるチャージポンプ回路の出力は、MEMSマイク内の平行平板間に印加され、その電圧値はMEMSマイクの感度に影響する。MEMSマイクの感度に影響するその他の因子はMEMSマイクの製造ばらつきによって個々のMEMSマイク毎にばらつきが生じ得る。そのため、MEMSマイクに用いられるチャージポンプ回路では、所望の感度が得られるように、MEMSマイクと組み合わせた状態で出力電圧の調整が求められることがある。
【0007】
このような出力電圧の調整では、出力電圧を上昇させる方向の調整が必要になることもあれば、出力電圧を下降させる調整が必要になることもある。図9に示されるチャージポンプ回路では、例えば信号S101のハイレベル電圧を大きくしたり、電源電圧Vccを大きくしたりすることによって出力電圧Voを上昇させることは比較的容易である。しかし、図9に示されるチャージポンプ回路では、キャパシタC101から電荷を放電させる仕組みがない。そのため、出力電圧を下降させる調整では、各トランジスタのリーク電流などによってキャパシタC101が放電されるのを待つ必要があるため時間が掛かることがある。その時間の短縮のために放電経路を単に新たに設けると、本質的機能である昇圧の効率が低下する可能性がある。
【0008】
そのような効率の低下を防ぐべく、必要に応じて放電経路を接続できるようにトランジスタなどのスイッチング素子を備える放電経路を設けることは可能である。しかし、例えば多段階に渡る昇圧後の電圧が高電圧に達する場合、出力電圧に近い電圧を保持するキャパシタを放電させるべく接続するトランジスタには、高耐圧特性が必要となる。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑み、調整方向の如何を問わず、高耐圧の素子を要さずに容易且つ速やかに出力電圧の調整が可能なチャージポンプ回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のチャージポンプ回路の一実施形態は、入力端と出力端との間に直列に接続されている1以上の昇圧回路を含むチャージポンプ回路であって、前記1以上の昇圧回路は、それぞれ、周期的にレベルを変化させる第1駆動信号又は前記第1駆動信号を反転させた反転信号を第1入力信号として一端で受け付ける第1キャパシタと、前記第1キャパシタの他端が接続されている第1ノードと整流素子を介して接続されている第3ノードの電位に応じて、前記第1ノードと前記第1ノードよりも前記出力端側の第2ノードとの間の導通と非導通とを切り替えるスイッチング素子と、第2入力信号を受け付けて前記第2入力信号のレベルの変化を前記第3ノードに伝える第2キャパシタと、を含んでおり、前記第2入力信号を、前記第1駆動信号がロウレベルである期間中に前記スイッチング素子を導通状態にさせるレベルとなる第2駆動信号と、前記第1駆動信号がハイレベルである期間中に前記スイッチング素子を導通状態にさせるレベルとなる第3駆動信号との間で切り替え可能に構成されている、チャージポンプ回路。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチャージポンプ回路によれば、調整方向の如何を問わず、高耐圧の素子を要さずに容易且つ速やかに、広範囲に渡って出力電圧を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路の一例を示す回路図である。
図2】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路に入力される各駆動信号の一例を示すタイミングチャートである。
図3】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路における放電時の設定の一例を示す回路図である。
図4】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路における放電時の設定の他の例を示す回路図である。
図5】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路における昇圧段数切り替え時の設定の一例を示す回路図である。
図6】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路において出力電圧を下降させるときの出力電圧の変化の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路の他の例を示す回路図である。
図8】本発明の一実施形態のチャージポンプ回路の他の例を示す回路図である。
図9】従来のチャージポンプの一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら本発明のチャージポンプ回路の実施形態を説明する。しかし、本発明は、以下に説明される実施形態に限定されない。
【0014】
<チャージポンプ回路の構成>
図1には、一実施形態のチャージポンプ回路の一例であるチャージポンプ回路1が示されている。また、図2には、チャージポンプ回路1に入力される第1~第3駆動信号OSC1、OSC2、OSC3、及び第1駆動信号OSC1の反転信号OSC_invについてのタイミングチャートの一例が示されている。
【0015】
図1に示されるように、チャージポンプ回路1は、入力端Vinと出力端Voutとの間に直列接続されている複数の昇圧回路(昇圧回路11~13)を含んでいる。入力端Vinと、三つの昇圧回路11~13のうちの最も入力端Vin側の昇圧回路11との間には入力回路10が接続されている。図1の例では、入力端VinはGNDに接続されている。出力端VoutとGNDとの間には、キャパシタC3(第3キャパシタ)が接続されている。図1のチャージポンプ回路1は、インバータ2をさらに含んでいる。インバータ2の入力には、第1駆動信号OSC1が入力される。第1駆動信号OSC1は、図2の例示のように、ハイレベルとロウレベルとの間で周期的にレベルを変化させる信号である。インバータ2によって、第1駆動信号OSC1のハイレベルとロウレベルとを反転させた信号である反転信号OSC_invが生成される。
【0016】
昇圧回路11は、キャパシタC11(昇圧回路11の第1キャパシタ)及びキャパシタC12(昇圧回路11の第2キャパシタ)と、スイッチング素子Q11と、整流素子Q12と、を含んでいる。キャパシタC11は一端C1aと、その反対の他端C1bとを有しており、他端C1bはノードN11(昇圧回路11の第1ノード)に接続されている。キャパシタC11の一端C1aには、第1入力信号I1が印加される。キャパシタC11は、第1入力信号I1として第1駆動信号OSC1又はその反転信号OSC_invを一端C1aで受け付けて、第1入力信号I1のレベルに応じて充電又は放電される。図1の例では、スイッチング素子S5を介して第1駆動信号OSC1又はその反転信号OSC_invがキャパシタC11に入力される。
【0017】
スイッチング素子Q11はノードN11とノードN12(昇圧回路11の第2ノード)との間に接続されている。スイッチング素子Q11は、図1の例ではN型の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。ノードN12は、スイッチング素子Q11に関してノードN11よりも出力端Vout側に位置している。ノードN11は、スイッチング素子Q11に関してノードN12よりも入力端Vin側に位置している。スイッチング素子Q11の被制御端子(ドレイン及びソース)の一方がノードN11に接続されていて他方がノードN12に接続されている。スイッチング素子Q11の制御端子(ゲート)はノードN13(昇圧回路11の第3ノード)に接続されている。スイッチング素子Q11は、ノードN13の電位に応じて、ノードN11とノードN12との間の導通と非導通とを切り替える。なお、スイッチング素子Q11は、図1の例のようにMOSFETで構成されなくてもよい。スイッチング素子Q11は、制御端子の電圧に応じて二つの被制御端子の導通と非導通とを切り替え得る任意の素子であり得る。
【0018】
ノードN13は整流素子Q12を介してノードN11と接続されている。すなわち、整流素子Q12は、ノードN11とノードN13との間に接続されている。図1の整流素子Q12は、ドレインとゲートとを接続(ダイオード接続)されたMOSFET(例えばN型MOSFET)で構成されている。整流素子Q12は、ノードN11からノードN13へと電流を流し、一方、ノードN13からノードN11への通電を遮断する。ノードN11の電位がノードN13の電位よりも高い場合、ノードN11からノードN13へと電流が流れる。従って、整流素子Q12の順方向電圧(図1の場合は整流素子Q12を構成するMOSFETの閾値電圧)分の電圧降下を伴って、ノードN11の電位がノードN13に伝えられる。一方、ノードN13の電位がノードN11の電位よりも高い場合、ノードN13の電位はノードN11には伝わらない。
【0019】
キャパシタC12は一端C2aと、その反対の他端C2bとを有しており、一端C2aはノードN13に接続されている。他端C2bには、第2入力信号I2が印加される。キャパシタC12は、第2入力信号I2を受け付けて第2入力信号I2のレベルの変化をノードN13に伝える。
【0020】
図1の例の昇圧回路11は、さらに、整流素子Q13を含んでいる。整流素子Q13はノードN13とノードN12との間に接続されている。整流素子Q13は、ノードN13からノードN12に向かって順方向となるように接続されている。図1の整流素子Q13は、ダイオード接続されたMOSFET(例えばN型MOSFET)で構成されている。整流素子Q13は、ノードN13からノードN12へと電流を流し、ノードN12からノードN13への通電を遮断する。従って、ノードN13の電位がノードN12の電位よりも高い場合、ノードN13からノードN12へと電流が流れる。すなわち、スイッチング素子Q11を構成するMOSFETのゲート容量、及びキャパシタC12が放電される。なお、整流素子Q12、Q13は、図1の例のようにトランジスタで構成されていなくてもよく、任意のダイオードで構成されていてもよい。
【0021】
昇圧回路12及び昇圧回路13は、昇圧回路11と同一の回路で構成されている。すなわち、昇圧回路12は、昇圧回路11のキャパシタC11及びC12、スイッチング素子Q11、整流素子Q12及びQ13、並びにノードN11、N12、及びN13にそれぞれ対応する、キャパシタC21及びC22(それぞれ昇圧回路12の第1及び第2キャパシタ)、スイッチング素子Q21、整流素子Q22及びQ23、並びにノードN21、N22、及びN23(それぞれ昇圧回路12の第1、第2及び第3ノード)を含んでいる。同様に、昇圧回路13は、昇圧回路11のキャパシタC11及びC12、スイッチング素子Q11、整流素子Q12及びQ13、並びにノードN11、N12及びN13にそれぞれ対応する、キャパシタC31及びC32(それぞれ昇圧回路13の第1及び第2キャパシタ)、スイッチング素子Q31、整流素子Q32及びQ33、並びにノードN31、N32及びN33(それぞれ昇圧回路13の第1、第2及び第3ノード)を含んでいる。昇圧回路12及び昇圧回路13それぞれにおいてこれらの回路素子及びノードは、昇圧回路11における各回路素子及び各ノードと同じ態様で互いに接続されている。図1の例では、昇圧回路13のノードN32は、チャージポンプ回路1の出力端Voutに接続されている。
【0022】
入力回路10は、昇圧回路11のキャパシタC11に対応するキャパシタを含んでいない点を除いて昇圧回路11と同一の回路で構成されている。すなわち、入力回路10は、昇圧回路11のキャパシタC12、スイッチング素子Q11、整流素子Q12及びQ13、並びにノードN11、N12及びN13にそれぞれ対応する、キャパシタC2(入力回路10の第2キャパシタ)、スイッチング素子Q1、整流素子Q2及びQ3、並びにノードN1、N2及びN3(それぞれ入力回路10の第1、第2及び第3ノード)を含んでいる。入力回路10においてこれらの回路素子及びノードは、昇圧回路11における各回路素子及び各ノードと同じ態様で互いに接続されている。そして入力回路10のノードN1は、チャージポンプ回路1の入力端Vinに接続されている。入力回路10は、入力端Vinに設定される初期電位(図1の例ではGND電位)を、スイッチング素子Q1を導通状態にすることによって、昇圧回路11のノードN11に伝達する。また入力回路10は、後述する放電動作時に、昇圧回路11から入力端Vinへの放電経路を提供する。
【0023】
図1のチャージポンプ回路1では、入力回路10のノードN2と昇圧回路11のノードN11とが接続され、昇圧回路11のノードN12と昇圧回路12のノードN21とが接続され、さらに、昇圧回路12のノードN22と昇圧回路13のノードN31とが接続されている。
【0024】
そして本実施形態のチャージポンプ回路1では、昇圧回路11~13及び入力回路10に含まれる第2キャパシタ(キャパシタC12、C22、C32及びC2)に入力される第2入力信号I2が、第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で切り替えられるように構成されている。
【0025】
第2入力信号I2を切り替え可能にする手段として、図1に例示のチャージポンプ回路1は、さらに、スイッチング素子S1~S4(第2スイッチング素子)を含んでいる。スイッチング素子S1~S4は、入力回路10及び各昇圧回路それぞれの第2キャパシタ(キャパシタC2、C12、C22及びC32)に入力される第2入力信号I2を、第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で切り替える。
【0026】
例えばスイッチング素子S2の共通接点SaはキャパシタC12の他端C2bに接続され、スイッチング素子S2の二つの固定接点Sb、Scが、それぞれ、第2駆動信号OSC2及び第3駆動信号OSC3それぞれの伝送ライン31、32に接続されている。例えば、スイッチング素子S2において共通接点Saと固定接点Sbとが接続されることによって、キャパシタC12に第2入力信号I2として第2駆動信号OSC2が入力される。スイッチング素子S1、S3、及びS4も、スイッチング素子S2と同様に、それぞれ、キャパシタC2、C22及びC32と、伝送ライン31、32との間に接続されている。
【0027】
図1の例のチャージポンプ回路1では、さらに、キャパシタC11、C21及びC31(第1キャパシタ)に入力される第1入力信号I1が、第1駆動信号OSC1とその反転信号OSC_invとの間で切り替えられるように構成されている。
【0028】
第1入力信号I1を切り替え可能にする手段として、図1に例示のチャージポンプ回路1は、さらに、スイッチング素子S5~S7(第3スイッチング素子)を含んでいる。スイッチング素子S5~S7は、各昇圧回路それぞれの第1キャパシタ(キャパシタC11、C21及びC31)に入力される第1入力信号I1を、第1駆動信号OSC1とその反転信号OSC_invとの間で切り替える。
【0029】
例えばスイッチング素子S5の共通接点SaはキャパシタC11の一端C1aに接続され、スイッチング素子S5の二つの固定接点Sb、Scが、それぞれ、第1駆動信号OSC1及び反転信号OSC_invそれぞれの伝送ライン33、34に接続されている。例えば、スイッチング素子S5において共通接点Saと固定接点Sbとが接続されることによって、キャパシタC11に第1入力信号I1として第1駆動信号OSC1が入力される。スイッチング素子S6及びS7も、スイッチング素子S5と同様に、それぞれ、キャパシタC21、C31と、伝送ライン33、34との間に接続されている。
【0030】
チャージポンプ回路1は、例えば、半導体基板上に形成されるトランジスタやキャパシタ、及びアルミニウムなどからなる金属配線層によって構成され得る。その場合、昇圧回路11~13及び入力回路10それぞれを構成する各キャパシタは、例えば、金属層と半導体層、及びその間に挟まれた酸化膜から構成される所謂MOSキャパシタであり得る。また、その場合、スイッチング素子S1~S7は、半導体基板上に形成されるMOSFETからなる所謂MOSスイッチであり得る。或いは、チャージポンプ回路1は、個別に形成されて図1のような回路を構成するように配線で互いに接続された、ディスクリートトランジスタやダイオード、キャパシタ、及びスイッチング素子S1~S7としてのメカニカルスイッチ若しくは電磁リレーなどによって構成されてもよい。チャージポンプ回路1を構成する各回路素子は、ここに例示された素子に限定されず、任意の形態及び/又は構造の素子からなり得る。
【0031】
スイッチング素子S1~S7が、MOSFETや電磁リレーなどのように、制御端子に入力される制御信号に応じて導通状態と非導通状態とを切り替える素子の場合、その制御信号は、例えば第1~第3駆動信号OSC1~OSC3の一部又は全部を生成する論理回路(図示せず)などで形成され得る。しかし、スイッチング素子S1~S7用の制御信号は、スイッチング素子S1~S7の導通状態を切り替え得る信号を生成することが可能な任意の信号生成回路(図示せず)によって形成され得る。また、スイッチング素子S1~S7がメカニカルスイッチである場合は、例えば、チャージポンプ回路1の製造者や使用者のマニュアル操作によってスイッチング素子の導通状態が切り替えられてもよい。
【0032】
図2に示されるように、第2駆動信号OSC2及び第3駆動信号OSC3は、いずれも、第1駆動信号OSC1と略同じ周期で、ハイレベルとロウレベルとの間でレベルを遷移させる信号である。第2駆動信号OSC2は、第1駆動信号OSC1がロウレベルである期間中に、入力回路10及び各昇圧回路11~13のスイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31を導通状態にさせるレベルとなる信号である。一方、第3駆動信号OSC3は、第1駆動信号OSC1がハイレベルである期間中に、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31を導通状態にさせるレベルとなる信号である。図1の例においてスイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31はN型MOSFETで構成されている。そのため図2には、第1駆動信号OSC1がロウレベルである期間中にハイレベルとなる第2駆動信号OSC2、及び、第1駆動信号OSC1がハイレベルである期間中にハイレベルとなる第3駆動信号OSC3が例示されている。
【0033】
図2の例では、第2駆動信号OSC2がハイレベルである期間は、第1駆動信号OSC1がロウレベルである期間よりも短く、第3駆動信号OSC3がハイレベルである期間は、第1駆動信号OSC1がハイレベルである期間よりも短い。すなわち、第2駆動信号OSC2は、第1駆動信号OSC1の立ち下がりよりも遅れて立ち上がり、第1駆動信号OSC1の立ち上がりよりも先に立ち下がっている。第3駆動信号OSC3は、第1駆動信号OSC1の立ち上がりよりも遅れて立ち上がり、第1駆動信号OSC1の立ち下がりも先に立ち下がっている。しかし、第2駆動信号OSC2がハイレベルである期間は、第1駆動信号OSC1がロウレベルである期間と同じでもよく、第3駆動信号OSC3がハイレベルである期間は、第1駆動信号OSC1がハイレベルである期間と同じでもよい。すなわち、第2駆動信号OSC2は、第1駆動信号OSC1の立ち下がりと略同時に立ち上がり、第1駆動信号OSC1の立ち上がりと略同時に立ち下がってもよい。第3駆動信号OSC3は、第1駆動信号OSC1の立ち上がりと略同時に立ち上がり、第1駆動信号OSC1の立ち下がりと略同時に立ち下がってもよい。
【0034】
図2の例において、第1駆動信号OSC1及び反転信号OSC_invは、ハイレベルVH1とロウレベルVL1との間で周期的にレベルを変化させている。第2駆動信号OSC2は、ハイレベルVH2とロウレベルVL2との間で周期的にレベルを変化させており、第3駆動信号OSC3は、ハイレベルVH3とロウレベルVL3との間で周期的にレベルを変化させている。ロウレベルVL1~VL3は、任意の値であり得、例えばGNDレベルであってもよい。ハイレベルVH1も任意の値をとり得る。ハイレベルVH1とロウレベルVL1との差電圧の大きさだけ、各昇圧回路において入力端Vin側から入力された電圧が昇圧される。ハイレベルVH2及びVH3も、それぞれロウレベルVL2及びVL3からの遷移によってスイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31を導通状態にし得る値でさえあれば任意の値をとり得る。ハイレベルVH1、VH2及びVH3は、互いに同じレベルであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0035】
本実施形態では、前述したように、各昇圧回路及び入力回路10に入力される第2入力信号I2を第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で切り替え可能に構成されている。そのため、第1~第3駆動信号OSC1~OSC3に応じて、出力端Voutに接続されているキャパシタC3(図1参照)の放電経路を形成することができる。従って、本実施形態のチャージポンプ回路1では、出力電圧を下降させる調整を速やかに行うことができる。図1及び図2を引き続き参照すると共に図3を参照して、図1のチャージポンプ回路1に図2の例の第1~第3駆動信号OSC1~OSC3が入力される場合の昇圧動作、及びキャパシタC3の放電動作を説明する。なお、動作が理解され易いように、各駆動信号のロウレベルは0Vであるものとして説明する。
【0036】
<昇圧動作>
図1のチャージポンプ回路1におけるスイッチング素子S1~S7の設定では、入力回路10及び昇圧回路12に第2駆動信号OSC2が入力され、昇圧回路11、13に第3駆動信号OSC3が入力される。そして、昇圧回路11、13に第1駆動信号OSC1が入力され、昇圧回路12に反転信号OSC_invが入力される。昇圧回路11~13それぞれのノードN11、ノードN21、ノードN31が例えば0Vの状態でチャージポンプ回路1に図2に示される各駆動信号OSC1~OSC3が入力されると、時点t1で第1駆動信号OSC1がハイレベルVH1となるため、ノードN11及びノードN31の電位がVH1に上昇する。このとき、ノードN12及びノードN32の電位は、ノードN11及びノードN31の電位に対して整流素子Q12、Q13及びQ32、Q33が導通状態となるためノードN11及びノードN31の電位よりも、整流素子Q12、Q13及びQ32、Q33それぞれを構成するMOSFETの閾値電圧だけ低い電位に設定される。
【0037】
時点t2で第3駆動信号OSC3がハイレベルVH3に上昇すると、そのレベルの変化がノードN13及びノードN33それぞれに伝えられてスイッチング素子Q11、Q31が導通状態となる。ノードN11とノードN21の電位が等しくなるように、キャパシタC11に蓄えられていた電荷がキャパシタC21に移動して、キャパシタC21が充電されると共にノードN21の電位が上昇する(ノードN11の電位は電荷の移動量に応じて下降する)。同様に、ノードN31と出力端Voutの電位が等しくなるように、キャパシタC31に蓄えられていた電荷がキャパシタC3に移動してキャパシタC3が充電されると共に、出力端Voutの電位が上昇する(ノードN31の電位は電荷の移動量に応じて下降する)。なお、第2駆動信号OSC2はロウレベルのためスイッチング素子Q1、Q21は非導通状態であり、そのためキャパシタC11、C31の電荷は入力端Vin側には移動せず、キャパシタC21の電荷は出力端Vout側には移動しない。
【0038】
時点t3で第3駆動信号OSC3がロウレベルVL3に下降すると、スイッチング素子Q11、Q31が非導通状態となり、ノードN11、ノードN21、ノードN31、及び出力端Voutの電位が維持される。
【0039】
時点t4で第1駆動信号OSC1がロウレベルVL1となり、一方、その反転信号OSC_invがハイレベルVH1に上昇するため、ノードN21の電位が上昇する。ノードN22の電位が、整流素子Q22、Q23を構成するMOSFETの閾値電圧だけノードN21の電位よりも低い電位となるように、キャパシタC21の電荷がキャパシタC31に移動する。
【0040】
上述したように、時点t2でノードN11の電位はノード21への電荷の移動量に応じて下降し、時点t4までキャパシタC11の両端間の電荷が保持される。時点t4で第1駆動信号OSC1がロウレベルVL1となると、キャパシタC11に保持された電荷によりノードN11は負電圧となる。そして、時点t5で第2駆動信号OSC2がハイレベルVH2に上昇すると、そのレベルの変化がノードN3に伝えられてスイッチング素子Q1が導通状態となる。入力端VinとノードN11の電位が等しくなるように、キャパシタC11が充電される。また、時点t5で第2駆動信号OSC2がハイレベルVH2に上昇すると、そのレベルの変化がノードN23に伝えられてスイッチング素子Q21が導通状態となる。ノードN21とノードN31の電位が等しくなるように、キャパシタC21に蓄えられていた電荷がキャパシタC31に移動してキャパシタC31が充電されると共に、ノードN31の電位が電荷の移動量に応じて上昇する(ノードN21の電位は電荷の移動量に応じて下降する)。一方、第3駆動信号OSC3はロウレベルのためスイッチング素子Q11、Q31は非導通状態であり、そのためキャパシタC21の電荷は入力端Vin側には移動せず、キャパシタC31の電荷は出力端Vout側に移動しない。
【0041】
次に時点t6で第2駆動信号OSC2がロウレベルVL2に下降すると、スイッチング素子Q1、Q21が非導通状態となり、ノードN11、ノードN21及びノードN31の電位が維持される。時点t7で再度第1駆動信号OSC1がハイレベルVH1となり、反転信号OSC_invがロウレベルVL1に下降するため、時点t1と同様に、整流素子Q12、Q13及びQ32、Q33の経路による電荷の移動もあるが、ノードN11及びノードN31の電位がキャパシタC11及びキャパシタC31に保持された電荷量に応じて上昇する。一方、ノードN21の電位がキャパシタC21に保持された電荷量に応じて下降する。
【0042】
そして、時点t8で再度、第3駆動信号OSC3がハイレベルVH3に上昇するので、時点t2と同様に、スイッチング素子Q11、Q31が導通状態となる。キャパシタC21が充電されると共にノードN21の電位が上昇する。また、キャパシタC3がさらに充電され、出力端Voutの電位がさらに上昇する。
【0043】
以後、各駆動信号においてレベル遷移が繰り返される毎に、出力端Voutの電位が上昇する。ノードN31においても、時点t2などでの電位の下降を伴うものの、入力端Vin側からの電荷が出力端Vout側へとレベル遷移のたびに移動量するため、キャパシタC31の充電が進んでノードN31の電位が上昇する。ノードN21及びノードN11の電位も同様に、各駆動信号のレベル遷移の反復に伴って上昇する。そして、キャパシタC11、C21、C31それぞれが、その両端の電位差がVH1に達するまで充電され、各キャパシタ間の電荷の移動が終了する。その後、ノードN11は0VとVH1との間で、ノードN21はVH1と2×VH1との間で、そしてノードN31は2×VH1と3×VH1との間で、それぞれレベル遷移を繰り返す。キャパシタC3には3×VH1の電圧に相当する電荷が蓄積され、出力端Voutにおいて、GNDとの間に3×VH1の出力電圧が得られる。
【0044】
図1の例のチャージポンプ回路1は、複数の昇圧回路(昇圧回路11~13)を含んでいるが、本実施形態のチャージポンプ回路は、1以上の任意の数の昇圧回路11のような昇圧回路を含み得る。一つの昇圧回路でも、第1駆動信号OSC1の振幅だけ入力端Vinの電圧を昇圧することができ、多数の昇圧回路が含まれるほど、より高く入力端Vinの電圧を昇圧することができる。また、入力端Vinは、図1の例のようにGNDに接続されていなくてもよく、入力端Vinには任意の電圧が印加され得る。実施形態のチャージポンプ回路では、(直列接続される昇圧回路の数N×第1駆動信号OSC1の振幅)+(入力端Vinの電圧)で近似される出力電圧が得られる。
【0045】
なお、昇圧回路11~13及び入力回路10それぞれの整流素子Q3、Q13、Q23及びQ33は、第1駆動信号OSC1などの停止時のスイッチング素子Q1、Q11、Q21、Q31の保護素子として機能する。例えば昇圧動作後に第1駆動信号OSC1などの駆動信号の入力が停止すると、ノードN11、N21及びN31や出力端Voutの電位は、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31のリーク電流によって徐々に下降する。一方、整流素子Q3、Q13、Q23及びQ33が備わっていない場合、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31のゲートには放電経路が無いため、このゲートの電位が、やがてドレイン及びソースの電位よりも高くなり、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31が破損することがある。
【0046】
特に、前述したようにMEMSマイクにチャージポンプ回路1が用いられる場合は、出力端Vout側にESD対策として保護回路(図示せす)が接続されることがあり、そのような保護回路は大きなリーク電流特性を有することがある。その場合、出力端VoutやノードN11、N21及びN31などの電位の下降が促進されて、スイッチング素子Q31などのゲートの電位がドレイン及びソースの電位よりも相対的に高まり易くなる。すなわち、スイッチング素子Q31などが破損し易くなる。しかし、図1の例では、整流素子Q3、Q13、Q23及びQ33によってスイッチング素子Q31などのゲートの放電経路が設けられている。そのため、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31の破損を防ぐことができる。
【0047】
<放電動作>
本実施形態のチャージポンプ回路1は、第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で第2入力信号I2の切り替えが可能なように構成されているので、キャパシタC3の放電が必要な場合、第2入力信号I2が昇圧動作時から切り替えられる。例えば図3に示されるように、スイッチング素子S1~S4が、それぞれの共通接点が図1の例で接続されている固定接点と逆の固定接点と接続されるように切り替えられる。すなわち、昇圧回路11及び昇圧回路13に第2駆動信号OSC2が入力され、入力回路10及び昇圧回路12に第3駆動信号OSC3が入力される。
【0048】
図3の例のように各スイッチング素子が設定されてキャパシタC3が充電されているチャージポンプ回路1に図2の例の各駆動信号が入力されると、時点t1で第1駆動信号OSC1がハイレベルVH1となるため、ノードN11及びノードN31の電位がVH1だけ上昇する。一方、反転信号OSC_invがロウレベルVL1となるためノードN21の電位がVH1だけ下降する。
【0049】
時点t2で第3駆動信号OSC3がハイレベルVH3に上昇すると、スイッチング素子Q11、Q31ではなくスイッチング素子Q1、Q21が導通状態となる。キャパシタC31に蓄えられていた電荷がキャパシタC21に移動して、キャパシタC31が放電されると共にノードN31の電位が下降する(ノードN21の電位は上昇する)。同様に、キャパシタC11に蓄えられていた電荷が入力端Vinを介してGNDへと流れ込み、キャパシタC11が放電されると共にノードN11の電位が下降する。なお、第2駆動信号OSC2はロウレベルのためスイッチング素子Q11、Q31は非導通状態であり、そのためキャパシタC11及びC31の電荷は出力端Vout側には移動しない。
【0050】
時点t3で第3駆動信号OSC3がロウレベルVL3に下降すると、スイッチング素子Q1、Q21が非導通状態となり、ノードN11、ノードN21、ノードN31、及び出力端Voutの電位が維持される。次に時点t4で第1駆動信号OSC1がロウレベルVL1となり、一方、その反転信号OSC_invがハイレベルVH1に上昇するため、整流素子Q2、Q3及びQ22、Q23の経路による電荷の移動もあるが、ノードN21の電位がキャパシタC21に保持された電荷量に応じて上昇し、ノードN11及びノードN31の電位はそれぞれキャパシタC11及びキャパシタC31に保持された電荷量に応じて下降する。
【0051】
時点t5で第2駆動信号OSC2がハイレベルVH2に上昇すると、スイッチング素子Q11、Q31が導通状態となる。キャパシタC3に蓄えられていた電荷がキャパシタC31に移動してキャパシタC3が放電されると共に、出力端Voutの電位が下降する(ノードN31の電位は上昇する)。同様に、キャパシタC21に蓄えられていた電荷がキャパシタC11に移動してキャパシタC21が放電されると共に、ノードN21の電位が下降する(ノードN11の電位は上昇する)。一方、第3駆動信号OSC3はロウレベルのためスイッチング素子Q1、Q21は非導通状態であり、そのためキャパシタC11、C31の電荷は入力端Vin側には移動しない。
【0052】
次に時点t6で第2駆動信号OSC2がロウレベルVL2に下降してスイッチング素子Q1、Q31が非導通状態となり、ノードN11、ノードN21及びノードN31の電位が維持されたまま、時点t7で再度第1駆動信号OSC1がハイレベルVH1となって反転信号OSC_invがロウレベルVL1に下降する。時点t1と同様に、ノードN11及びノードN31の電位がVH1だけ上昇する。一方、ノードN21の電位がVH1だけ下降する。
【0053】
時点t8で再度、第3駆動信号OSC3がハイレベルVH3に上昇するので、時点t2と同様に、スイッチング素子Q1、Q21が導通状態となる。キャパシタC11、C31が放電されると共にノードN11、N31の電位が下降する。その後、時点t9では時点t3と同様に各ノードの電位が維持され、時点t10では時点t4と同様に、各ノードの電位が上昇又は下降する。
【0054】
そして時点t11で再度、第2駆動信号OSC2がハイレベルVH2に上昇すると、時点t5と同様に、スイッチング素子Q11、Q31が導通状態になり、キャパシタC21が放電されると共に、ノードN21の電位が下降する。同様に、キャパシタC3がさらに放電されると共に、出力端Voutの電位がさらに下降する。
【0055】
以後、各駆動信号においてレベル遷移が繰り返される毎に、キャパシタC3が放電されて、出力端Voutの電位が下降する。ノードN31においても、時点t5などでの電位の上昇を伴うものの、時点t8でのQ21の導通に伴いキャパシタC31の放電が進んでノードN31の電位が下降する。ノードN21及びノードN11の電位も同様に、各駆動信号のレベル遷移の反復に伴って下降する。各駆動信号の入力が継続されれば、キャパシタC3、C11、C21、C31それぞれが完全に放電される。そして、出力端Voutの電位は入力端Vinの電位(図3の例ではGND)まで下降する。
【0056】
このように、本実施形態では、第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で第2入力信号I2の切り替えが可能なように構成されているので、昇圧動作だけでなく、出力端の容量(図3では主にキャパシタC3)の放電経路を意図的に形成することができる。従って、出力端Voutの電位を速やかに下降させることができる。換言すれば、昇圧回路それぞれにおいて第1入力信号I1のハイレベルが入力されている期間中に、各昇圧回路のスイッチング素子を導通状態にさせるレベルとなる第2入力信号I2を各昇圧回路に入力することによって、各昇圧回路内の電荷を出力端Vout側に移動させ、昇圧動作を行うことができる。一方、昇圧回路それぞれにおいて第1入力信号I1のロウレベルが入力されている期間中に、各昇圧回路のスイッチング素子を導通状態にさせるレベルとなる第2入力信号I2を各昇圧回路に入力することによって、各昇圧回路内の電荷及び出力端Voutの容量内の電荷を入力端Vin側に移動させ、出力端Voutの電位を速やかに下降させることができる。
【0057】
図3の例では、出力端VoutのキャパシタC3の放電のために、図1に示される昇圧動作のための設定から、スイッチング素子S1~S4全部の接続状態が切り替えられている。すなわち各昇圧回路11~13及び入力回路10において、第2入力信号I2が一斉に、第2駆動信号OSC2から第3駆動信号OSC3へと、又は第3駆動信号OSC3から第2駆動信号OSC2へと切り替えられている。このように、本実施形態では、複数の昇圧回路11~13及び入力回路10それぞれにおける第2入力信号I2の切り替えが、複数の昇圧回路11~13及び入力回路10の全てで一斉に可能であってもよい。
【0058】
図3の例のようにスイッチング素子S1~S4の接続状態を設定すると、前述したように、各駆動信号のレベル遷移毎にキャパシタC31などの各昇圧回路のキャパシタが順次放電される。そのため、放電開始直後においても、昇圧による高電圧に基づく過剰な電圧が、スイッチング素子Q31などの各昇圧回路のスイッチング素子に掛かり難い。例えば、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31それぞれを構成するMOSFETの間でオン抵抗特性のばらつきがあっても、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31の全てが一斉に導通状態にならないので、各スイッチング素子の特性に応じて昇圧後の高電圧が各スイッチング素子に分配されることがない。そのため、特定のスイッチング素子に過剰な電圧がかかり難い。これらのスイッチング素子は、理論上、第1駆動信号OSC1の振幅の2倍以上の耐圧を有していればよい。従って、スイッチング素子Q31などには、昇圧動作だけを行う場合と比べて特段に大きな耐圧は求められず、スイッチング素子Q31などの選択について高い自由度が得られる。しかし、出力端Voutの電位を下降させるスイッチング素子S1~S4の設定は、図3の例に限定されない。
【0059】
<放電のためのスイッチング素子S1~S4の設定の他の例>
図4には、出力端Voutの電位を下降させる、すなわちキャパシタC3を放電させるスイッチング素子S1~S4の設定の他の例が示されている。図4の例では、図1に示される昇圧動作のための設定から、スイッチング素子S1及びS3の接続状態だけが切り替えられている。その結果、昇圧回路11~13及び入力回路10の全てに、第2入力信号I2として第3駆動信号OSC3が入力される。そのため、例えば図2の例の各駆動信号において時点t2や時点t8などで第3駆動信号OSC3がハイレベルVH3に上昇すると、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31が一斉に導通状態となる。そして、キャパシタC3内の電荷、並びに各昇圧回路内のキャパシタC11、C21及びC31内の電荷が一斉に入力端Vin側に移動し、これら全てのキャパシタが一斉に放電される。従って、一層速やかに、キャパシタC3を放電させることができ、出力端Voutの電圧を一層速やかに下降させることができる。また、図4の例のようなスイッチング素子S1~S4の設定でキャパシタC3を放電させる場合、図3の例のような設定で放電させる場合と比べて、スイッチング素子S1~S4の制御信号を生成する論理回路をシンプルな構成で実現できることがある。
【0060】
なお、図4の例では、昇圧回路11~13及び入力回路10の全てに、第2入力信号I2として第3駆動信号OSC3が入力されるようにスイッチング素子S1~S4が設定されているが、昇圧回路11~13及び入力回路10の全てに、第2入力信号I2として第2駆動信号OSC2が入力されるようにスイッチング素子S1~S4が設定されてもよい。この場合も、例えば図2の例の各駆動信号において時点t5や時点t11などで第2駆動信号OSC2がハイレベルVH2に上昇すると、スイッチング素子Q1、Q11、Q21及びQ31が一斉に導通状態となって、図3の例よりも速やかに出力端Voutの電圧を下降させることができる。
【0061】
このように本実施形態では、複数の昇圧回路11~13及び入力回路10の全てにおいて第2入力信号I2が第2駆動信号OSC2又は第3駆動信号OSC3となるように第2入力信号I2の切り替えが可能であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、スイッチング素子S1~S4に関する、図1に示される昇圧動作のための設定から図4に示される設定への切り替えのように、第2入力信号I2の切り替えが、複数の昇圧回路11~13及び入力回路10それぞれにおいて個別に切り替え可能であってもよい。すなわち、第2入力信号I2を、複数の昇圧回路11~13及び入力回路10それぞれの間で互いに独立して、第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で切り替え可能に構成されていてもよい。
【0063】
<昇圧段数の切り替え>
前述した特許文献1のような単位チャージポンプがn個直列接続されたn段チャージポンプ回路では、(n-x)段(xはnよりも小さい整数)の昇圧で得られる出力電圧への調整が求められることがある。その場合、例えば、n個の単位チャージポンプのいずれかの出力をGNDとショートすることによって、初段からその単位チャージポンプまでの段数分の昇圧を含まない電圧をn段チャージポンプ回路の出力電圧として得ることができる。しかし、この場合、単位チャージポンプのいずれかの出力をGNDとショートするために、例えばトランジスタのようなスイッチング素子が必要になる。そして、そのスイッチング素子には、削減する段数分の昇圧に応じた耐圧が求められる。製造プロセスなどでの制約のために十分な耐圧を有さないスイッチング素子しか選択できない場合、チャージポンプ回路の出力電圧(昇圧段数)の調整範囲が制限されることとなる。
【0064】
これに対して、前述したように図1図4に示されるチャージポンプ回路1では、第2入力信号I2が切り替え可能であることに加えて、第1入力信号I1(図1参照)が、第1駆動信号OSC1とその反転信号OSC_invとの間で切り替えられるように構成されている。そのため、図1などの例のように三つの昇圧回路11~13で3段に渡って昇圧を行うようにチャージポンプ回路1が構成されていても、その昇圧段数を3段から切り替える、すなわち1段から3段の間で昇圧段数を調整することができる。図5には、本実施形態のチャージポンプ回路1の昇圧段数切り替え時のスイッチング素子S1~S7の設定の一例が示されている。
【0065】
図5の例では、スイッチング素子S1及びスイッチング素子S5が、それぞれの共通接点が図1の例で接続されている固定接点と逆の固定接点と接続されるように切り替えられている。すなわち、昇圧回路11及び昇圧回路12の両方に、第1駆動信号OSC1の反転信号OSC_invが第1入力信号I1として入力され、入力回路10及び昇圧回路11の両方に、第2入力信号I2として第3駆動信号OSC3が入力される。図5の例のように第1入力信号I1及び第2入力信号I2が切り替えられたチャージポンプ回路1では、昇圧回路11での昇圧が行われず、昇圧回路12及び昇圧回路13によって2段階の昇圧が行われる。
【0066】
すなわち、図2に例示の反転信号OSC_invがハイレベルVH1となってノードN11の電位が上昇する時点t4から時点t7までの期間では、第3駆動信号OSC3がロウレベルのためキャパシタC11の電荷は出力端Vout側に移動しない。そして時点t7で反転信号OSC_invがロウレベルVL1に下降すると、ノードN11の電位は時点t4の前の電位に戻るため、時点t8で第3駆動信号OSC3がハイレベルVH3に上昇してスイッチング素子Q1が導通状態になっても、入力端Vin側からキャパシタC11への電荷の移動は生じない。そのため、昇圧回路11において昇圧は行われず、昇圧回路12及び昇圧回路13のみによって2段階の昇圧が行われる。
【0067】
なお、図5のスイッチング素子S1~S7全ての設定を、それぞれの共通接点が図5の例で接続されている固定接点と逆の固定接点と接続されるように切り替えても、昇圧回路12及び昇圧回路13だけによる2段階の昇圧動作を得ることができる。また、図5のスイッチング素子S3、S4及びS7の設定を、それぞれの共通接点が図5の例で接続されている固定接点と逆の固定接点と接続されるように切り替えることによって、昇圧回路13だけによる1段階の昇圧動作を得ることができる。さらに、その設定からスイッチング素子S1~S7全ての設定を逆に切り替えても、昇圧回路13だけによる1段階の昇圧動作を得ることができる。
【0068】
このように本実施形態では、図1に例示のスイッチング素子S1~S7の設定から、隣り合う昇圧回路の両方に、第1入力信号I1として同じ信号(第1駆動信号OSC1又はその反転信号OSC_inv)が入力され、第2入力信号I2として同じ信号(第2駆動信号OSC2又は第3駆動信号OSC3)が入力されるように、各スイッチング素子が切り替えられてもよい。すなわち本実施形態では、複数の昇圧回路11~13のうち隣り合う昇圧回路の間で第1入力信号I1同士が同じになるように第1入力信号I1の切り替えが可能であってもよい。また、複数の昇圧回路11~13のうち隣り合う昇圧回路の間で第2入力信号I2同士が同じになるように第2入力信号I2の切り替えが可能であってもよい。また図1に例示の設定から図5に例示の設定への切り替えのように、入力回路10と、入力回路10と隣り合う昇圧回路11との間で第2入力信号I2同士が同じになるように第2入力信号I2の切り替えが可能であってもよい。
【0069】
さらに本実施形態では、第1入力信号I1を、複数の昇圧回路11~13それぞれの間で互いに独立して、第1駆動信号OSC1とその反転信号OSC_invとの間で切り替え可能であってよい。また、各昇圧回路において、第1入力信号I1が第1駆動信号OSC1と反転信号OSC_invの何れであるかに依らず、第2入力信号I2を第2駆動信号OSC2及び第3駆動信号OSC3の何れにも切り替え可能であってよい。同様に、各昇圧回路において、第2入力信号I2が第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3の何れであるかに依らず、第1入力信号I1を第1駆動信号OSC1及び反転信号OSC_invの何れにも切り替え可能であってよい。
【0070】
図6には、図1の例の設定による3段の昇圧後に、図5の例の設定による2段の昇圧に切り替える場合の、出力端Voutの電圧(出力電圧Vo)の変化の一例が示されている。図6の例において、時点taから図1に例示の設定で3段の昇圧が開始される。出力電圧Voは徐々に上昇し、時点tbにおいて略昇圧が完了する。その後、2段昇圧の出力電圧Voを得るべく、時点tcでスイッチング素子S1~S7(図1参照)のいずれかの設定が切り替えられる。
【0071】
この際、図1の設定から直接図5の設定に切り替えると、出力端Voutの容量(図1のキャパシタC3など)の放電に時間が掛かり、図6に二点鎖線Lで示されるように出力電圧Voが容易に低下しない。そのため、スイッチング素子S1~S4が、一旦、例えば図3に例示の設定に切り替えられ、キャパシタC3などが放電される。キャパシタC3などの放電に伴って、時点tcから出力電圧Voが速やかに下降し、時点tdで略0Vまで低下する。
【0072】
その後、時点teにて、スイッチング素子S2~S5が図5に例示の設定に切り替えられる。時点teから2段の昇圧が開始され、時点tfで略2段の昇圧が完了する。段数の切り替え(段数の削減)を含むか否かに依らず、出力電圧Voを下降させる場合に、このようにキャパシタC3などを一旦意図的に放電させることによって、下降後の所望の出力電圧Voを速やかに得ることができる。
【0073】
<本実施形態のチャージポンプ回路の他の例>
図7及び図8には、本実施形態のチャージポンプ回路の他の例であるチャージポンプ回路1a、1bが、それぞれ示されている。図7のチャージポンプ回路1aは、図1の例において備えられているスイッチング素子S5~S7を含んでいない。すなわち、昇圧回路11のキャパシタC11及び昇圧回路13のキャパシタC31は、第1駆動信号OSC1の伝送ライン33に直接接続されており、昇圧回路12のキャパシタC21は、反転信号OSC_invの伝送ライン34に直接接続されている。図7のチャージポンプ回路1aのように本実施形態のチャージポンプ回路は、第1入力信号I1の切り替えが必ずしも可能でなくてもよい。その場合でも、スイッチング素子S5~S7それぞれの設定が同じである図1図3とを参照して説明したように、キャパシタC3を意図的に放電させて出力端Voutの電位を速やかに下降させることができる。
【0074】
図8のチャージポンプ回路1bは、図1の例において備えられているスイッチング素子S1~S7の全てを含んでいない。昇圧回路11~13それぞれのキャパシタC11、C21及びC31、並びに、入力回路10及び昇圧回路11~13それぞれのキャパシタC2、C12、C22及びC32は、信号生成回路4に接続されている。信号生成回路4は、求められる昇圧段数に応じて、昇圧回路11、12、13それぞれの第1入力信号In11、In12、In13として第1駆動信号OSC1又は反転信号OSC_invを昇圧回路11、12、13それぞれに対して生成すると共に出力する。さらに信号生成回路4は、チャージポンプ回路1bで求められる動作(昇圧動作又は放電動作)及び/又は昇圧段数に応じて、入力回路10、昇圧回路11、12、13それぞれの第2入力信号In20、In21、In22、In23として、第2駆動信号OSC2又は第3駆動信号OSC3を、入力回路10及び昇圧回路11~13それぞれに対して生成すると共に出力する。
【0075】
すなわち、各昇圧回路の第1入力信号In11~In13は、図1の例のスイッチング素子S5~S7ではなく、信号生成回路4によって、第1駆動信号OSC1と反転信号OSC_invとの間で切り替えられる。また、入力回路10及び各昇圧回路の第2入力信号In20~In23は、図1の例のスイッチング素子S1~S4ではなく、信号生成回路4によって、第2駆動信号OSC2と第3駆動信号OSC3との間で切り替えられる。なお、信号生成回路4は、例えば発振回路と適切な論理回路との組み合わせによって構成され得る。このように本実施形態では、第1入力信号及び第2入力信号の切り替え手段として、スイッチング素子S1~S7のような信号線路の接続の切り替え手段を備えていなくてもよい。信号生成回路4のような信号生成手段が備えられ、その信号生成手段による生成信号の切り替えによって、第1入力信号及び第2入力信号が切り替えられてもよい。なお、本実施形態において、第1入力信号及び第2入力信号の切り替え手段は、図1及び図8の例に限定されず、任意の切り替え手段が用いられ得る。
【0076】
本実施形態のチャージポンプ回路は、その用途について特に限定されず、昇圧を必要とする各種の電気機器に用いられる。従って、その出力端(例えば図1のチャージポンプ回路1の出力端Vout)は、任意の電気機器に印加される電圧を出力し得る。特に出力端の電圧を速やかに下降させ得る本実施形態のチャージポンプ回路は、出力電圧の調整が求められるMEMSマイクの電圧源として適することがある。従って、本実施形態のチャージポンプ回路の出力端は、MEMSマイクに印加される電圧を出力してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1、1a、1b チャージポンプ回路
10 入力回路
11~13 昇圧回路(単位チャージポンプ)
C11、C21、C31 キャパシタ(第1キャパシタ)
C1a 一端
C1b 他端
C2、C12、C22、C32 キャパシタ(第2キャパシタ)
I1 第1入力信号
I2 第2入力信号
N1、N11、N21、N31 ノード(第1ノード)
N2、N12、N22、N32 ノード(第2ノード)
N3、N13、N23、N33 ノード(第3ノード)
OSC1 第1駆動信号
OSC_inv 反転信号
OSC2 第2駆動信号
OSC3 第3駆動信号
Q1、Q11、Q21、Q31 スイッチング素子
Q2、Q12、Q22、Q32 整流素子
Q3、Q13、Q23、Q33 整流素子
S1~S4 スイッチング素子(第2スイッチング素子)
S5~S7 スイッチング素子(第3スイッチング素子)
Vin 入力端
Vout 出力端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9