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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111660
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】駆動装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20230803BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G15/20 535
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013614
(22)【出願日】2022-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】内藤 裕
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA21
2H033BA25
2H033BB18
2H033BB34
2H033BB35
2H033BB37
2H033CA39
2H171FA03
2H171FA04
2H171GA03
2H171GA13
2H171JA12
2H171JA14
2H171KA05
2H171KA12
2H171KA22
2H171KA25
2H171KA26
2H171LA03
2H171LA08
2H171LA17
2H171LA18
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB14
2H171QC03
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】駆動装置を装置本体に配置でき、かつ、対向部材の一方側に配置された駆動伝達部材から対向部材の他方側に配置された駆動伝達部材へ良好に駆動力を伝達することができる駆動装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動源たる加圧モータ51と駆動列を構成する複数の駆動伝達部材の一部とを備えたユニットたる加圧モータユニット80が、装置本体の本体側板たる後側板100aと対向する対向部材たる駆動ブラケット30の一方側に取り付けられている。駆動列を構成する残りの駆動伝達部材は、駆動ブラケット30の他方側に設けた固定軸31に支持されている。そして、ユニットの位置決めを行う内歯ハウジング73などのユニット用位置決め部材が、固定軸31に支持されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
複数の駆動伝達部材からなり、前記駆動源の駆動力を被駆動伝達部材に伝達する駆動列とを有する駆動装置において、
前記駆動源と前記駆動列を構成する複数の駆動伝達部材の一部とを備えたユニットが、装置本体の本体側板と対向する対向部材の一方側に取り付けられ、
前記駆動列を構成する残りの駆動伝達部材が、前記対向部材の他方側に設けた軸に支持され、
前記ユニットの被位置決め部との係合を、前記他方側または前記一方側で行う位置決め部を有し、前記軸に支持されたユニット用位置決め部材を備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記駆動列は、前記駆動源の回転速度を減速する複数の減速機構を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記複数の減速機構は、ウォームギヤと遊星歯車機構であることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動装置において、
前記ユニットに前記ウォームギヤが設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の駆動装置において、
前記軸には前記遊星歯車機構が支持されており、
前記ユニット用位置決め部材は、前記遊星歯車機構の内歯を有していることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の駆動装置において、
前記被位置決め部および前記位置決め部のいずれか一方が、前記対向部材を貫通する位置決め軸であり、他方が前記位置決め軸が嵌め込まれる位置決め孔であり、
前記位置決め孔は、前記対向部材に対して軸方向に離れた位置に設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の駆動装置において、
前記被位置決め部が、前記対向部材を貫通し、駆動伝達部材を支持する支持軸であり、
前記位置決め部が、前記支持軸が嵌め込まれる位置決め孔であることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の駆動装置において、
前記一方側は、前記対向部材に対して装置本体の外側であることを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の駆動装置において、
前記一方側は、前記対向部材に対して装置本体の内側であることを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の駆動装置において、
前記被駆動伝達部材が、被加圧部材を加圧する加圧部材を、前記被加圧部材を加圧する加圧状態、前記加圧を解除した脱圧状態とに切り替えるカム部材であることを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源と、複数の駆動伝達部材からなり、駆動源の駆動力を被駆動伝達部材に伝達する駆動列とを有する駆動装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記駆動装置として、駆動列にウォームギヤと遊星歯車機構の2つの減速機構を設け、駆動列を収納部材たるハウジングに収納し、このハウジングを駆動モータを保持するモータ保持部材に取り付けてユニット化したものが記載されている。駆動列を構成する複数の駆動伝達部材は、モータ保持部材に支持された固定軸や回転軸に支持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動装置を、装置の本体側板の面に垂直な方向の狭い空間に配置できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、駆動源と、複数の駆動伝達部材からなり、前記駆動源の駆動力を被駆動伝達部材に伝達する駆動列とを有する駆動装置において、前記駆動源と前記駆動列を構成する複数の駆動伝達部材の一部とを備えたユニットが、装置本体の本体側板と対向する対向部材の一方側に取り付けられ、前記駆動列を構成する残りの駆動伝達部材が、前記対向部材の他方側に設けた軸に支持され、前記ユニットの被位置決め部との係合を、前記他方側または前記一方側で行う位置決め部を有し、前記軸に支持されたユニット用位置決め部材を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駆動装置を装置本体に配置でき、かつ、対向部材の一方側に配置された駆動伝達部材から対向部材の他方側に配置された駆動伝達部材へ良好に駆動力を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す概略構成図。
図2】定着装置と、定着装置周辺の部材を駆動する駆動部とを示す斜視図。
図3】定着装置の要部構成を示す概略図。
図4】加圧ローラを脱圧状態から加圧状態へ移行させるときの様子を示す図。
図5】従来の加圧駆動装置を定着装置とともに示す斜視図。
図6】本実施形態の加圧駆動装置の概略構成図。
図7】同加圧駆動装置の斜視図。
図8】同加圧駆動装置の分解斜視図。
図9】加圧モータユニットの斜視図。
図10】駆動ブラケットと後側板との間の空間に配置される下流側の駆動列の分解斜視図。
図11】駆動ブラケットを、加圧モータユニット取り付け側から見た斜視図。
図12】定着排紙モータへのコネクタの抜き差しについて説明する図。
図13】変形例の加圧駆動装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。
図1において、本実施形態の画像形成装置としてのカラープリンタは、機枠体のほぼ中央部にプロセスカートリッジ13Y,13M,13C,13K(以下、添え字Y、M、C、Kについては適宜省略する)を並べて配置している。プロセスカートリッジ13の下側には、像担持体としての感光体ドラム1に潜像を形成するための露光装置5が配置され、更にその下側には、記録媒体としての用紙Pを積載・収容する複数の給紙部(給紙トレイ)14,15が配置されている。また、プロセスカートリッジ13の上側に中間転写体としての中間転写ベルト6が設置され、その内側には中間転写ベルト6を挟んで感光体ドラム1と対向する一次転写ローラ9が配設されている。また、中間転写ベルト6の右側端部には、中間転写ベルト6上に重ね合わせて形成されたトナー像を用紙Pに一括転写する二次転写ローラ対4が配置され、その上側には用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着手段としての定着装置10が配置されている。また、定着装置10の左斜め上側には用紙Pを機外に排出するように搬送する排出手段としての排紙ローラ対12が配置されている。
【0009】
上記構成のカラープリンタにおいて、印刷ジョブが投入されると、給紙トレイ14もしくは15に積載されている用紙Pが、給紙ローラ16により給紙され、搬送ローラ対17およびレジストローラ対11を経由して図示の鉛直方向に搬送される。その際、各色の感光体ドラム1から、図示の水平方向へ搬送される中間転写ベルト6にトナー像が順次転写(中間転写)される。そして、用紙Pの先端が二次転写ローラ対4に到達するタイミングで中間転写ベルト6上のトナー像の先端も二次転写ローラ対4に到達し、トナー像が用紙P上に一括転写(二次転写)される。用紙P上のトナー像はそのままでは用紙上から剥離しやすい為、用紙Pは定着装置10に搬送されて、熱と圧力とにより定着される。トナー像が定着された用紙Pは、排紙ローラ対12により機外に排出される。
【0010】
上記定着装置10では、用紙Pとして例えば封筒などの薄紙をニップ部Nに通紙する場合には、加圧ローラ19からの加圧力が大き過ぎると用紙上にシワやよれが発生しやすくなる。これに対して、薄紙通紙時の加圧力で厚紙などをニップ部Nに通紙すると、圧力が小さ過ぎてトナー像が未定着のまま用紙が排出されることになる。また、定着装置10のニップ部Nに挟まれた状態で用紙詰まり(以下、「ジャム」ともいう。)が発生した場合は、そのジャムが発生した用紙を除去する為に第2の回転体としての加圧定着部材である加圧ローラ19の加圧力を解除(以下、「脱圧」ともいう。)する必要がある。
【0011】
このため、本実施形態に係るカラープリンタの定着装置10は、加圧ローラ19の定着ローラ18に対する押付量を調整して加圧力を調整するための加圧力調整手段たる加圧調整機構を設けている。加圧力調整機構は、被加圧部材たる定着ローラ18に対する加圧ローラ19の位置を変化させることにより、加圧力を調整する。
【0012】
図2は、定着装置10と、定着装置周辺の部材を駆動する駆動部とを示す斜視図であり、図3は定着装置10の要部構成を示す概略図である。
定着装置10は、内部に赤外線ヒータ29配置し、この赤外線ヒータ29より加熱される被加圧部材としての定着ローラ18と、定着ローラ18に圧接してニップ部としての定着ニップを形成する移動部材たる加圧ローラ19とを有している。また、定着装置10は、加圧ローラ19を、定着ローラ18に対して移動させ加圧ローラ19の定着ローラ18に対する加圧力を調整する加圧調整機構40を備えている。この加圧調整機構40は、加圧ローラ19を定着ローラ18から離間させて、加圧力なしに調整することが可能となっている。加圧調整機構40は、加圧ローラ19の定着ローラ18に対する加圧力を調整可能に支持する一対のレバー部材41、レバー部材41を介して加圧ローラ19を定着ローラ18に向けて付勢する付勢手段たる一対のスプリング43を有している。また、加圧調整機構40は、レバー部材41を介して加圧ローラ19をスプリング43の付勢力に抗して定着ローラ18から離間する方向に移動させる一対のカム部材44、このカム部材44を駆動する加圧駆動装置50なども有している。
【0013】
定着ローラ18は、軸方向両側が、一対の側板47に回転自在に支持されている。加圧ローラ19の軸方向両側は、それぞれ加圧調整機構40のレバー部材41に回転自在に支持されている。各レバー部材41は、図3に示すように、一端に支持軸41aが設けられており、側板47に回転自在に支持されている。各レバー部材41の他端には、バネ受け41bが設けられており、このバネ受け41bに付勢手段たるスプリング43の一端が取り付けられており、スプリング43の他端は、図2に示すように、側板47に設けられたバネ受け47aに取り付けられている。レバー部材41の他端側には、カム受け42が形成されており、カム部材44は、このカム受け42と当接している。
【0014】
一対のカム部材44は、カムシャフト44aと一体的に回転するようにカムシャフト44aに取り付けられている。カムシャフト44aの奥側端部(図2の右側端部)には、加圧駆動装置50の出力ギヤ54と噛み合うカムギヤ55が、カムシャフト44aと一体的に回転するようにカムシャフト44aに取り付けられている。
【0015】
また、カムシャフト44aの手前側端部(図2の左側端部)には、カム部材44の回転角度を検出するためのフィラー45が、カムシャフト44aと一体的に回転するようにカムシャフト44aに取り付けられている。また、このフィラー45が光学センサにより検知され、カム部材44の回転角度が検出される。フィラー45は、一部が切り欠かれており、光学センサは、フォトインタラプタ(透過型光学センサ)である。
【0016】
カムシャフト44aが回転する過程において、カムシャフト44aが所定の回転角度位置に位置すると、フィラー45が光学センサの発光素子と受光素子との間に入り込んで両者間の光路を遮断する。そして、その状態から所定角度回転すると、フィラー45が光学センサの発光素子と受光素子との間から抜け、光学センサの受光素子が、発光素子の光を検知する。光学センサの受光素子は、発光素子からの光を受光すると受光信号を上述の制御部に送信する。制御部は、受光素子からの受光信号が途絶えたタイミングや、そのタイミングからの加圧モータ51の駆動量に基づいて、カムシャフト44aに固定されたカム部材44の凸部の回転角度位置を把握する。
【0017】
また、装置の奥側(図2の右側端部)には、駆動ブラケット30が設けられており、この駆動ブラケット30に加圧駆動装置50と定着ローラ18と排紙駆動ローラ12aとを回転駆動する他の駆動装置としての定着排紙駆動装置20が設けられている。
定着排紙駆動装置20は、駆動源たる定着排紙モータ21(図11参照)を有しており、定着排紙モータ21は、モータ軸21aが駆動ブラケット30を貫通するようにして、駆動ブラケット30の定着装置側と反対側の面(軸方向外側の面)に取り付けられている。駆動ブラケット30の内側面には、排紙駆動列22を構成する複数のギヤ、定着駆動列23を構成するギヤやプーリが回転自在に支持されている。
【0018】
モータ軸21aに直接設けられたモータギヤには、排紙駆動列22の入力ギヤと定着駆動列23の入力ギヤとが噛み合っている。定着排紙モータ21の駆動力は、排紙駆動列22を介して排紙駆動ローラ12aの回転軸の奥側端部に取り付けられた排紙ギヤ25に伝達され、排紙駆動ローラ12aが回転する。また、定着排紙モータ21の駆動力は、定着駆動列23を介して、定着装置10の奥側の側板に設けられた複数のギヤで構成された定着装置10の駆動列24に伝達される。そして、この定着装置10の駆動列24を介して定着ローラ18に定着排紙モータ21の駆動力が伝達され、定着ローラ18が回転する。
【0019】
本実施形態においては、定着装置10で紙詰まりが発生した場合、加圧調整機構40により加圧ローラ19を定着ローラ18から離間させ、図4に示す脱圧状態(加圧力なし)とする。具体的には、加圧駆動装置50の加圧モータ51を駆動して、カム部材44を回転させる。すると、図3に示す状態からカム部材44が、カム受け42を、スプリング43の付勢力に抗して押し込む。これにより、レバー部材41が、支持軸41aを支点にして図中反時計回りに回動し、移動部材たる加圧ローラ19が、定着ローラ18から離間する方向へ移動し、図4に示すように加圧ローラ19を定着ローラ18から離間させる状態にする。これにより、定着ニップ部に詰まった紙の除去作業を行いやすくできる。
【0020】
また、プリンタが待機状態からスリープモードに移行した場合や、電源OFFした場合、加圧調整機構40により加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力を低減することで、ニップ部におけるクリープの発生を防止することができる。また、封筒等の厚紙を通紙する際にも、加圧調整機構40により加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力を低減することで、シワを発生させることなく定着処理を行うことができる。
【0021】
スプリング43の付勢力に抗して加圧ローラ19を定着ローラ18から離間する方向に移動させるとき、カム部材44には大きな負荷トルクが加わる。この負荷トルクに抗して、カム部材44を回転駆動させるためには、加圧モータとして、駆動トルクの大きなモータを用いる必要がある。しかし、駆動トルクが大きいモータは、大きく、高価であるため、装置の大型化および装置のコストアップに繋がるという課題がある。
【0022】
そのため、加圧駆動装置50は、加圧モータ51の駆動力をカム部材44に伝達するための駆動列に、遊星歯車機構とウォームギヤの2つの減速機構を設け、大きな減速比を得るようにし、カム部材44に出力される出力トルクを大幅に高めている。これにより、加圧モータ51としてトルクの低いモータを用いても、スプリング43の付勢力に抗して加圧ローラ19を定着ローラ18から離間する方向に移動させるときの負荷トルクよりも、カム部材44に出力される出力トルクの方を大きくすることができる。よって、加圧モータ51として、安価で小型のトルクの低い駆動源を用いることができ、装置の大型化を抑制することができ、かつ、装置のコストアップを抑制できる。
【0023】
図5は、従来の加圧駆動装置150を定着装置10とともに示す斜視図である。
図5に示すように従来の加圧駆動装置150は、遊星歯車機構とウォームギヤの2つの減速機構を備えた駆動列を、ハウジング165と加圧モータ51を保持する駆動保持部材152とで収納している。このようにして、加圧モータ51と駆動列とをユニット化しプリンタに取り付けていた。本実施形態では、画像形成装置の小型化を実現するために、対向部材たる駆動ブラケット30とこの駆動ブラケット30等を保持する駆動ブラケット30と定着装置との間に配置される本体側板たる後側板との間を狭くしている。
【0024】
しかしながら、駆動ブラケット30と後側板との間を狭めた結果、ユニット化した従来の加圧駆動装置150を後側板と駆動ブラケット30との空間に配置できないという課題が発生した。そこで、本実施形態では、加圧駆動装置の駆動列を2つに分割して、駆動ブラケット30と後側板との間のスペースと、駆動ブラケット30とプリンタの外装カバーとの間のスペースとを有効活用して加圧駆動装置を配置できるようにした。以下、図面を用いて、本実施形態の加圧駆動装置50について、具体的に説明する。
【0025】
図6は、本実施形態の加圧駆動装置50の概略構成図であり、図7は、本実施形態の加圧駆動装置50の斜視図である。また、図8は、本実施形態の加圧駆動装置50の分解斜視図である。図9は、加圧モータユニット80の斜視図であり、(a)が分解図、(b)が斜視図である。また、図10は、駆動ブラケット30と後側板100aとの間の空間に配置される下流側の駆動列の分解斜視図である。
【0026】
加圧駆動装置50の加圧モータ51の駆動力をカム部材44に伝達する駆動列は、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70の2つの減速機構を有している。ウォームギヤ60は、加圧モータユニット80に配置され、遊星歯車機構70は、駆動ブラケット30に設けられた固定軸31に配置されている。
【0027】
上記加圧モータユニット80は、ウォームギヤ60と加圧モータ51とを一体化させたユニットである。加圧モータユニット80は、図9に示すように、板金からなるモータブラケット81と、モータブラケット81にネジ止めされる樹脂材からなるモータハウジング82とを有している。
【0028】
加圧モータ51は、ブラシレスモータに比べて安価で小型なブラシモータであり、モータブラケット81に保持されている。具体的には、図9に示すように、モータブラケット81は、モータ軸に直交するモータ保持面81bを有している。モータ保持面81bには、ウォーム61が取り付けられた加圧モータ51のモータ軸を挿入するための軸挿入孔81cと、この軸挿入孔81cに連結されたモータ軸係合孔81eとを有している。また、モータ保持面81bには、加圧モータ51をネジ止めするためのネジ85が貫通する2つのネジ貫通孔81dが、モータ軸係合孔81eを挟んで設けられている。加圧モータ51のモータ保持面81bと対向する面には、2つのネジ穴51cがモータ軸を挟んで形成されている。
【0029】
加圧モータ51のウォーム61が取り付けられた加圧モータ51のモータ軸を、軸挿入孔81cに挿入していく。そして、ウォーム61が軸挿入孔81cを抜けたら、加圧モータ51を図9(a)の奥側へスライドさせ、モータ軸をモータ軸係合孔81eに係合させる。そして、モータ保持面81bのネジ貫通孔81dを貫通させたネジ85を加圧モータ51のネジ穴51cにねじ込むことで、加圧モータ51がモータブラケット81に締結される。
【0030】
また、モータブラケット81の加圧モータ51の回転軸方向(図9中の左右方向)の両側の上下方向の略中央には、モータハウジング82が締結されるハウジング固定部81gが設けられている。各ハウジング固定部81gの中央には、ネジ穴81hが設けられている。また、モータブラケット81には、加圧モータユニット80を駆動ブラケット30に締結する3つのユニット締結部81fを有している。各ユニット締結部81fの中央には、ネジ88(図6参照)が貫通するネジ貫通孔81jを有している。3つのユニット締結部81fのうち、2つは、モータブラケット81の加圧モータ51の回転軸方向の両側の下部に設けられており、残りのひとつは、上記回転軸方向におけるモータ保持面81b側と反対側の上部付近に設けられている。これら3箇所のユニット締結部81fにネジ88を貫通させ、駆動ブラケット30のネジ穴にネジ88をネジ込むことで、加圧モータユニット80が駆動ブラケット30に固定される(図6参照)。
【0031】
ウォームギヤ60は、ウォーム61とウォームホイール62とで構成され、ウォーム61は、加圧モータ51のモータ軸と一体回転するようにモータ軸に取り付けられている。ウォーム61に噛み合うウォームホイール62は、モータブラケット81に固定された支持軸81aに回転自在に支持されている。ウォームホイール62は、駆動ブラケット30の定着装置側に配置される駆動伝達方向下流側の駆動列の第二連結ギヤ71に噛み合う第一連結ギヤ62aを有している。この第一連結ギヤ62aは、駆動ブラケット30の貫通孔32を貫通し、先端側が駆動ブラケット30を後側板100aとの間の空間に突出し、この突出箇所が第二連結ギヤ71に噛み合う(図6参照)。
【0032】
モータハウジング82は、樹脂材からなり、第一連結ギヤ62aが貫通する貫通孔82cを有している。また、モータハウジング82は、加圧モータユニット80を位置決めするための被位置決め部としての位置決め凸部82bが設けられている。この位置決め凸部82bは、駆動ブラケット30の貫通孔33を貫通し、ユニット用位置決め部材としての内歯ハウジング73の位置決め部としての第二位置決め孔73cに嵌め込まれる。また、モータハウジング82の上記モータ軸の軸方向の両側の上下方向の略中央には取り付け部82dが設けられている。各取り付け部82dの中央にはネジ86が貫通するネジ貫通孔82eが設けられている。また、図9の左側の取り付け部82dは、モータブラケット81のハウジング固定部81gを覆うカバー部82fが形成されている。
【0033】
各取り付け部82dのネジ貫通孔82eにネジ86を貫通させ、ネジ86をモータブラケット81のハウジング固定部81gのネジ穴81hにネジ86をねじ込むことで、モータハウジング82がモータブラケット81に締結される。これにより、ウォームギヤ60が、モータハウジング82とモータブラケット81とに収納される。
【0034】
遊星歯車機構70は、第二連結ギヤ71に設けられた太陽歯車72、キャリア75、キャリア75に回転自在に支持され、太陽歯車72に噛み合う3つの遊星歯車74、これら遊星歯車74に噛み合う内歯ハウジング73に設けられた内歯73aとで構成されている。遊星歯車機構70を構成する太陽歯車72およびキャリア75は、駆動ブラケット30に設けられた固定軸31に回転自在に支持されている。また、内歯73aを有する位置決め部材としての内歯ハウジング73は、遊星歯車74をおよび太陽歯車72を介して固定軸31に支持される。さらに、遊星歯車機構70から駆動力が伝達される出力ギヤ54もこの固定軸31に回転自在に支持される。このように、加圧駆動装置50の駆動ブラケット30と後側板100aとの間に配置される部材は、すべてこの固定軸31に支持されている。
【0035】
キャリア75には、図8図10に示すように、固定軸31に支持するための筒状の被支持部75aを有しており、この被支持部75aの外周面には、出力ギヤ54と駆動連結する駆動連結凸部175が、120°の間隔を開けて3つ設けられている。一方、出力ギヤ54には、被支持部75aが挿入される筒状部56を有しており、この筒状部56の内周面には、上記駆動連結凸部175が嵌合する溝部156が120°の間隔を開けて3つ設けられている。上記駆動連結凸部175を溝部156に嵌合することで、キャリア75から出力ギヤ54に駆動力が伝達される。
【0036】
本実施形態の遊星歯車機構70は、太陽歯車72が入力、内歯73aが固定、キャリア75が出力となっている。太陽歯車72を入力、内歯73aを固定、キャリア75を出力とすることで、遊星歯車機構70の入力と固定と出力の組み合わせの中で、最も大きき減速比を得ることができる。
【0037】
内歯73aを有する内歯ハウジング73は、駆動ブラケット30に固定するための複数のブラケット固定部73dを有している。各ブラケット固定部73dには、ネジ78が貫通するネジ貫通孔73eが設けられている。このネジ貫通孔73eにネジ78を貫通させ、駆動ブラケット30に設けられたネジ穴にネジ78をねじ込むことで、内歯ハウジング73が駆動ブラケット30にネジ止される。内歯ハウジング73は、内歯ハウジング73の内歯73aを太陽歯車72に噛み合あっている遊星歯車74に噛み合わせ、内歯ハウジング73が固定軸31に支持された状態で、駆動ブラケット30に締結される。
【0038】
また、内歯ハウジング73は、加圧モータユニット80が位置決めされる位置決め部としての第一位置決め孔73bと第二位置決め孔73cとを有している。第一位置決め孔73bは、図6に示すように、内歯ハウジング73の駆動ブラケット30離れた部分に設けられている。第一位置決め孔73bは、丸孔であり、位置決めの主基準であり、第二位置決め孔73cは、長孔であり位置決めの従基準となっている。
【0039】
加圧モータユニット80の被位置決め部たる支持軸81aの先端が第一位置決め孔73bに嵌め込まれ、加圧モータユニット80の被位置決め部たる位置決め凸部82bの先端が第二位置決め孔73cに嵌め込まれることで、加圧モータユニット80が内歯ハウジング73に位置決めされる。加圧モータユニット80は、内歯ハウジング73に位置決めした後、駆動ブラケット30に締結される。
【0040】
このように、本実施形態では、加圧モータユニット80を固定軸31に支持されている内歯ハウジング73に位置決めすることで、固定軸31に支持されている第二連結ギヤ71と加圧モータユニット80の第一連結ギヤ62aとを良好に噛み合わせることができる。これにより、加圧駆動の駆動力を良好にカム部材44に伝達することができる。特に、本実施形態では、第一連結ギヤ62aを回転自在に支持する支持軸81aを、第二連結ギヤ71を支持する固定軸31に支持されている内歯ハウジング73に位置決めするための位置決め軸として用いている。よって、支持軸81aと固定軸31との位置関係を精度よく決めることができ、支持軸81aに支持されている第一連結ギヤ62aと固定軸31に支持されている第二連結ギヤ71とを精度よく噛み合わせることができる。
【0041】
また、本実施形態では、位置決めの主基準である第一位置決め孔73bが、駆動ブラケット30から離れた位置に設けられている。これにより、以下の利点を得ることができる。すなわち、加圧モータユニット80を、内歯ハウジング73に位置決めしたときに、第一位置決め孔73bと、駆動ブラケット30の貫通孔32と、第二位置決め孔73cの3点で加圧モータユニット80を支持できる。これにより、加圧モータユニット80を駆動ブラケット30と内歯ハウジング73とにより仮保持できる。よって、加圧モータユニット80を内歯ハウジング73に位置決めした後に行う、加圧モータユニット80の駆動ブラケット30への締結作業時に、加圧モータユニット80を手で支持しながら行う必要がなくなり、締結作業性を向上することができる。
【0042】
なお、上述では、加圧モータユニット80に位置決め軸、内歯ハウジング73に位置決め孔を設けているが、内歯ハウジング73に位置決め軸、加圧モータユニット80に位置決め孔を設け、加圧モータユニット側で位置決めを行う構成でもよい。また、かかる構成でも加圧モータユニット80の2つの位置決め孔のひとつを駆動ブラケットから離して設けることで、加圧モータユニット80を駆動ブラケット30と内歯ハウジング73とにより仮保持できる。
【0043】
本実施形態では、加圧駆動装置50の駆動列を駆動ブラケット30を基準にして装置の内側と外側に分割配置した。具体的には、駆動列の2つの減速機構のうちのひとつであるウォームギヤ60を、駆動ブラケット30を基準にして装置の外側に配置した。これにより、定着排紙駆動装置20の排紙駆動列22や定着駆動列23が配置されている画像形成装置の駆動ブラケット30と後側板100aとの間の空間と、定着排紙モータ21(図11参照)が配置された駆動ブラケット30とプリンタの外装カバーとの間の空間を有効活用して加圧駆動装置50を配置できる。これにより、画像形成装置を大型化することなく、駆動列に複数の減速機構を有する加圧駆動装置50を配置することができた。
【0044】
また、加圧モータ51とウォームギヤ60とを有する加圧モータユニット80としてユニット化している。これにより、加圧モータ51とウォームギヤ60とをそれぞれ個別に駆動ブラケット30に組み付ける場合に比べて、装置への組み付け作業性を向上することができる。
【0045】
また、本実施形態では、加圧駆動装置50の駆動列の駆動ブラケット30よりも装置の内側に配置した駆動伝達部材の駆動伝達時の騒音を駆動ブラケット30により遮断し、装置の外側に漏れるのを抑制できる。これにより、画像形成装置の低騒音化を図ることができるという利点もある。
【0046】
加圧モータ51が回転駆動すると、ウォームギヤ60により減速された後、遊星歯車機構70の太陽歯車72が回転駆動する。太陽歯車72が回転駆動すると、太陽歯車72に噛み合う遊星歯車74が、自転しながら、太陽歯車72の周りを公転する。遊星歯車74が太陽歯車72の周りを公転することで、キャリア75が回転し、キャリア75と係合している出力ギヤ54がキャリア75とともに回転する。そして、出力ギヤ54と噛み合うカムギヤ55に駆動力が伝達され、カム部材44が回転駆動する。
【0047】
本実施形態では、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70の2つの減速機構を設けることで、高い減速比を得ることができ、加圧モータ51の回転速度を大幅に減速させることができる。これにより、カム部材44に出力される出力トルクを、加圧モータ51の駆動トルクに対して大幅に上昇させることができる。その結果、加圧モータ51として、駆動トルクが低いモータを用いても、カム部材44への出力トルクを、カム部材44の負荷トルクよりも大きくできる。よって、加圧モータ51として、駆動トルクが低い安価で小型のブラシモータを用いても、良好にカム部材44を回転駆動させることができ、加圧ローラ19の定着ローラ18に対する加圧力を調整することができる。これにより、定着ローラ18を駆動するモータとは別に、カム部材44を駆動する駆動モータを用いても、装置の大型化が抑制され、さらに、装置のコストアップも抑制できる。
【0048】
また、定着ローラ18を駆動するモータとは別に、カム部材44を駆動する駆動モータを設けることで、以下の利点を得ることができる。すなわち、スリープモードなどからの復帰時において、加圧ローラ19の加圧力上昇と、定着ローラ18を回転駆動して定着ローラ18を所定の温度に立ち上げる動作とを同時に行うことができる。これにより、装置の立ち上げ時間の短縮化を図ることができるという利点である。
【0049】
また、減速機構としてウォームギヤ60と遊星歯車機構70とを用いることで、大口径ギヤを用いずとも、大きな減速比を得ることができ、ギヤ列で大きな減速比を得る場合に比べて、装置の大型化を抑制することができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、高い減速比を得ることができるので、加圧モータ51の駆動量に対するカム部材44の回転角度を小さくすることができる。これにより、細かくカム部材44の回転角度の調整が可能となり、細かい加圧力の調整を行うことができる。
【0051】
さらには、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70の2つの減速機構を用いて高い減速比を得ることで、次の利点も得ることができる。カム部材44の回転軸中心から外周面までの距離が最大となるカム部材44の上死点がカム受け42に当接した状態からカム部材44を回転させた場合、カム部材44には、カム部材44の回転方向にスプリング43の付勢力が働く。その結果、スプリング43の付勢力によりカム部材44を回転方向に押し込み、カム部材44を回転させようとする。しかし、本実施形態においては、高い減速比が得られるように構成しているので、カム部材44側でカム部材44を回転させるには、大きな力が必要となる。その結果、スプリング43の付勢力によりカム部材44が回転方向に押し込まれても、カム部材44の回転速度が瞬間的に速まることがない。これにより、カム部材44とカム受け42とが瞬間的に離れることがなく、カム部材44とカム受け42とが再度、当接したときの衝撃音を低減することができる。
【0052】
また、ウォームギヤ60を加圧モータユニット80に配置することで、加圧モータ51のモータ軸を駆動ブラケット30と平行に配置することができる。これにより、加圧モータ51のモータ軸が駆動ブラケット30と直交する場合に比べて、軸方向に大型化するのを抑制することができる。よって、モータと駆動列の一部とを、駆動ブラケット30と外装カバーとの隙間に配置することができる。
【0053】
図11は、駆動ブラケット30の加圧モータユニット80取り付け側から見た斜視図であり、図12は、定着排紙モータ21へのコネクタ27aの抜き差しについて説明する図である。
図11に示すように、定着排紙モータ21の近傍で加圧モータユニット80が駆動ブラケット30に取り付けられる。定着排紙モータ21には、コネクタ21bが設けられており、このコネクタ21bに定着排紙モータ21に信号を入力するハーネス27のコネクタ27aを差し込んでいる。図12に示すように、加圧モータユニット80のモータブラケット81のハウジング固定部81gが、ハーネス27のコネクタ27aを抜き差しする方向で定着排紙モータ21のコネクタ21bに対向している。
【0054】
装置のメンテンス時に図12の矢印に示すように、定着排紙モータ21のコネクタ21bからハーネス27のコネクタ27aを抜き差しすることがある。定着排紙モータ21のコネクタ21bからハーネス27のコネクタ27aを抜くときに力を入れすぎると、手がモータブラケット81のハウジング固定部81gにぶつかるおそれがある。モータブラケット81は、板金からなり、厚みが薄くエッジ状となっている。そのため、このハウジング固定部81gに手がぶつかったときに手に切り傷ができるおそれがある。
【0055】
そのため、本実施形態では、樹脂材からなるモータハウジング82の取り付け部82dにハウジング固定部81gを覆うカバー部82fを設けている。これにより、ハーネス27のコネクタ27aを抜くときに手がモータブラケット81のハウジング固定部81gにぶつかるのを防止できる。また、カバー部82fは、樹脂材であり、カバー部82fの形状は円弧形状でエッジがない形状である。従って、ハーネス27のコネクタ27aを抜くときに手がカバー部82fにぶつかっても、手に切り傷が生じることはない。
【0056】
次に、加圧駆動装置500の変形例について説明する。
図13は、変形例の加圧駆動装置500の概略構成図である。
この変形例の加圧駆動装置500は、加圧モータユニット80を駆動ブラケット30と後側板100aとの間に配置し、遊星歯車機構70等で構成された駆動列の駆動伝達方向下流側の駆動伝達部材を駆動ブラケット30と外装カバーとの間に配置したものである。
【0057】
この変形例では、加圧モータ51のモータ音を駆動ブラケット30により駆動ブラケット30により遮断し、装置の外側に漏れるのを抑制できる。これにより、画像形成装置の低騒音化を図ることができる。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
加圧モータ51などの駆動源と、複数の駆動伝達部材からなり、駆動源の駆動力をカム部材44などの被駆動伝達部材に伝達する駆動列とを有する加圧駆動装置50などの駆動装置において、駆動源と駆動列を構成する複数の駆動伝達部材の一部(本実施形態では、ウォームギヤ60および第一連結ギヤ62a)とを備えた加圧モータユニット80などのユニットが、装置本体の後側板100aなどの本体側板と対向する駆動ブラケット30などの対向部材の一方側に取り付けられ、駆動列を構成する残りの駆動伝達部材(第二連結ギヤ71、遊星歯車機構70および出力ギヤ54)が、対向部材の他方側に設けた固定軸31などの軸に支持され、ユニットの被位置決め部(本実施形態では、支持軸81aおよび位置決め凸部82b)との係合を、他方側または一方側で行う位置決め部(第一位置決め孔73bおよび第二位置決め孔73c)を有し、軸に支持された内歯ハウジング73などのユニット用位置決め部材を備える。
画像形成装置には、複数の駆動装置が配置されており、これら駆動装置は、一般的に次のようにして画像形成装置内に構成されている。すなわち、画像形成装置の後側板100aなどの本体側板に対向配置された駆動ブラケット30などの対向部材の本体側板と対向する対向面とは反対側の面に駆動源を取り付ける。対向部材から駆動源の駆動軸を貫通させて、駆動軸を本体側板と対向部材との間の空間に位置させる。そして、本体側板と対向部材との間の本体側板の面に垂直な方向の狭い空間に駆動列を配置する構成である。
駆動源と駆動列とを一体にしてユニット化した特許文献1に記載の駆動装置を画像形成装置に配置するには、それなりの配置スペースが必要となる。その結果、画像形成装置の装置構成によっては、対向側板と本体側板との間の空間に特許文献1のユニット化した駆動装置を配置できないという課題が発生した。
そこで、この駆動装置の駆動列を構成する複数の駆動伝達部材の一部を加圧モータ51などの駆動源と一体的に構成し加圧モータユニット80などのユニットとして、駆動ブラケット30などの対向部材の一方側に取り付け、残りの駆動伝達部材を対向部材の他方側に設けた固定軸31などの軸に取り付け、駆動列を2つに分割した。本体側板の面に直交する方向において、対向部材と本体側板との間の空間からはみ出てしまう駆動列の駆動伝達部材を対向部材の本体側板側と反対側に配置することで、駆動列にウォームギヤや遊星歯車機構などの減速機構を複数備える駆動装置を、装置本体に設置することが可能となる。しかし、ユニットの対向部材への組み付け誤差等によりユニットに設けられた駆動伝達部材と、対向部材の軸に支持された駆動伝達部材との間に位置ズレが発生し、良好な駆動伝達が行えないという新たな課題が発生した。
この新たな課題を解決するために、態様1では、ユニットを位置決めする内歯ハウジング73などの位置決め部材を設け、この位置決め部材を残りの駆動伝達部材を支持している軸に支持した。このように、位置決め部材を残りの駆動伝達部材を支持している軸に支持し、ユニットをこの軸に支持された位置決め部材に位置決めすることで、軸に支持されている残りの駆動伝達部材と、ユニットに設けられた駆動伝達部材との間の位置精度を高めることができる。これにより、良好にユニット側の駆動伝達部材から駆動ブラケットの軸に支持されている駆動伝達部材へ駆動力を伝達することができる。
【0059】
(態様2)
態様1において、駆動列は、加圧モータ51などの駆動源の回転速度を減速する複数の減速機構(本実施形態では、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70)を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動列の減速比を大幅に高めることができ、加圧モータ51などの駆動源の回転速度を大幅に減速させることができる。これにより、カム部材44など被駆動伝達部材に出力される出力トルクを、駆動源の駆動トルクに対して大幅に上昇させることができる。その結果、駆動源として、駆動トルクが低いモータを用いても、所望の出力トルクを得ることができ、被駆動伝達部材を回転させるのに必要なトルクが高くても、良好に被回転部材を回転駆動させることができる。
【0060】
(態様3)
態様2において、複数の減速機構は、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70である。
これによれば、実施形態で説明したように、大口径ギヤを用いずとも、大きな減速比を得ることができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0061】
(態様4)
態様3において、加圧モータユニット80などのユニットにウォームギヤ60が設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、加圧モータ51などの駆動源のモータ軸などの駆動軸が、駆動ブラケット30のユニット取り付け面と平行になるように駆動源を配置することができ、駆動源の駆動軸が駆動ブラケット30のユニット取り付け面と直交する場合に比べて、軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0062】
(態様5)
態様3または4において、固定軸31などの軸には遊星歯車機構70が支持されており、内歯ハウジング73などのユニット用位置決め部材は、遊星歯車機構70の内歯73aを有している。
これによれば、実施形態で説明したように、内歯ハウジング73などの位置決め部材を、遊星歯車機構70の遊星歯車74および太陽歯車72を介して固定軸31などの軸に支持することができる。
【0063】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、被位置決め部および位置決め部のいずれか一方が、駆動ブラケット30などの対向部材を貫通する位置決め軸であり、他方が位置決め軸が嵌め込まれる位置決め孔であり、位置決め孔は、対向部材に対して軸方向に離れた位置に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、第一位置決め孔73bなどの位置決め孔と、駆動ブラケット30とにより、加圧モータユニット80などのユニットを仮保持することが可能となる。ユニットを手で支持せずとも、ユニットを駆動ブラケット30に取り付けることができ、ユニットの取り付け作業性を向上することができる。
【0064】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、被位置決め部が、駆動ブラケット30などの対向部材を貫通し、ウォームホイール62および第一連結ギヤ62aなどの駆動伝達部材を支持する支持軸であり、位置決め部が、支持軸が嵌め込まれる第一位置決め孔73bなどの位置決め孔である
これによれば、実施形態で説明したように、支持軸81aと駆動ブラケット30の固定軸31などの軸との位置関係を精度よく決めることができ、ユニット側の駆動伝達部材から、駆動ブラケット30と後側板100aとの空間に配置された駆動伝達部材への駆動伝達を良好に行うことができる。
【0065】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、一方側は、駆動ブラケット30などの対向部材に対して装置本体の外側である。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動源たる加圧モータのメンテンスを容易に行うことができる。また、固定軸31などの軸に支持された駆動伝達部材の騒音を駆動ブラケットで遮断することができる。
【0066】
(態様9)
態様1乃至7いずれかにおいて、一方側は、駆動ブラケット30などの対向部材に対して装置本体の内側である。
これによれば、変形例で説明したように、加圧モータ51などの駆動源の騒音を駆動ブラケット30により遮断することができる。
【0067】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、被駆動伝達部材が、定着ローラ18などの被加圧部材を加圧する加圧ローラ19などの加圧部材を、被加圧部材を加圧する加圧状態、加圧を解除した脱圧状態とに切り替えるカム部材44である。
これによれば、実施形態で説明したように、定着ローラ18などの被加圧部材を回転駆動する定着排紙駆動装置20などの他の駆動装置の駆動ブラケット30に干渉することなく、駆動装置を配置することができる。
【0068】
(態様11)
画像形成装置は、態様1乃至10いずれかの駆動装置を備える。
これによれば、装置の大型化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 :定着装置
12 :排紙ローラ対
12a :排紙駆動ローラ
18 :定着ローラ
19 :加圧ローラ
20 :定着排紙駆動装置
21 :定着排紙モータ
21a :モータ軸
21b :コネクタ
22 :排紙駆動列
23 :定着駆動列
25 :排紙ギヤ
27 :ハーネス
27a :コネクタ
30 :駆動ブラケット
31 :固定軸
32 :貫通孔
33 :貫通孔
40 :加圧調整機構
41 :レバー部材
41a :支持軸
41b :バネ受け
42 :カム受け
43 :スプリング
44 :カム部材
44a :カムシャフト
45 :フィラー
47 :側板
47a :バネ受け
50 :加圧駆動装置
51 :加圧モータ
51c :ネジ穴
54 :出力ギヤ
55 :カムギヤ
56 :筒状部
60 :ウォームギヤ
61 :ウォーム
62 :ウォームホイール
62a :第一連結ギヤ
70 :遊星歯車機構
71 :第二連結ギヤ
72 :太陽歯車
73 :内歯ハウジング
73a :内歯
73b :第一位置決め孔
73c :第二位置決め孔
73d :ブラケット固定部
73e :ネジ貫通孔
74 :遊星歯車
75 :キャリア
75a :被支持部
78 :ネジ
80 :加圧モータユニット
81 :モータブラケット
81a :支持軸
81b :モータ保持面
81c :軸挿入孔
81d :ネジ貫通孔
81e :モータ軸係合孔
81f :ユニット締結部
81g :ハウジング固定部
81h :ネジ穴
81j :ネジ貫通孔
82 :モータハウジング
82b :位置決め凸部
82c :貫通孔
82d :取り付け部
82e :ネジ貫通孔
82f :カバー部
85 :ネジ
86 :ネジ
88 :ネジ
100a :後側板
156 :溝部
175 :駆動連結凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2018-123951号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13