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特開2023-111844情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111844
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20230803BHJP
   G01M 99/00 20110101ALN20230803BHJP
【FI】
B21D28/00 Z
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195377
(22)【出願日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2022012806
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】北野 祐子
【テーマコード(参考)】
2G024
4E048
【Fターム(参考)】
2G024AD08
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA28
2G024FA06
2G024FA15
4E048AD01
4E048AD02
(57)【要約】
【課題】せん断加工するタイミングを精度良く得ること。
【解決手段】診断装置12は、貫通工具23により素材20をせん断加工するプレス装置11に設けられた加速度センサ27から振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングを検出する検出部78と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動の検知信号を取得する検知信号取得手段と、
前記検知信号に基づき、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミング、および前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを検出する検出手段と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記振動を示す振動波形の振幅に基づき、前記開始タイミング、および前記破断タイミングを検出する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記開始タイミングと前記破断タイミング、および前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差の少なくとも一方を記憶手段に記憶させる記憶制御手段を備えた請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶制御手段は、
前記検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、前記開始タイミングと前記破断タイミング、および前記時間差の少なくとも一方を前記記憶手段に記憶させる請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記開始タイミングおよび前記破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを表示部に表示させる表示制御手段を備えた請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを前記表示部に表示させる請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記信号識別情報を指定する指定操作を受け付ける指定画面で指定された前記信号識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを前記表示部に表示させる請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記信号識別情報は、せん断加工した時間を識別する時間識別情報を含む請求項4、6、7の何れか記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記開始タイミングおよび前記破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを外部装置に送信する送信手段を備えた請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを表示部に表示させる表示制御手段
を備えた情報処理装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、
せん断加工した時間を識別する時間識別情報、または前記被加工材を識別する被加工材識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを前記表示部に表示させる
請求項10記載の情報処理装置。
【請求項12】
パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを外部装置に送信する送信手段
を備えた情報処理装置。
【請求項13】
前記送信手段は、
せん断加工した時間を識別する時間識別情報、または前記被加工材を識別する被加工材識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを前記外部装置に送信する
請求項12記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記送信手段は、
前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを含む画面を示す画面情報を前記外部装置に送信する
請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】
せん断加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを第2の外部装置から受信する受信手段を備え、
前記送信手段は、
前記被加工材を識別する被加工材識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを前記外部装置に送信する
請求項12~14の何れか記載の情報処理装置。
【請求項16】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能な通信端末を備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
振動の検知信号を取得する検知信号取得手段と、
前記検知信号に基づき、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングと、前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングとを検出する検出手段と、
前記パンチが前記被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを送信する送信手段と、を備え、
前記通信端末は、
前記タイミング情報、前記時間差情報および前記比較情報の少なくとも一つを受信する受信手段と、
前記タイミング情報、前記時間差情報および前記比較情報の少なくとも一つを表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項17】
サーバと、前記サーバと通信可能な情報処理装置および通信端末を備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
振動の検知信号を取得する検知信号取得手段と、
前記検知信号に基づき、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングと、前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングとを検出する検出手段と、
せん断加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、前記パンチが前記被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを前記サーバへ送信する送信手段と、を備え、
前記サーバは、
前記時間識別情報に対応付けて、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一方を前記情報処理装置から受信する受信手段と、
前記被加工材を識別する被加工材識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報、および前記比較情報の少なくとも一つを前記通信端末へ送信する送信手段と、を備え、
前記通信端末は、
前記被加工材識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報および前記比較情報の少なくとも一つを受信する受信手段と、
前記被加工材識別情報に対応付けて、前記タイミング情報、前記時間差情報および前記比較情報の少なくとも一つを表示部に表示させる表示制御手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項18】
振動の検知信号を取得する検知信号取得ステップと、
前記検知信号に基づき、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミング、および前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを検出する検出ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項19】
パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを表示部に表示させる表示ステップ
を実行する情報処理方法。
【請求項20】
パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングおよび前記パンチが前記被加工材を破断する破断タイミングを示すタイミング情報、前記開始タイミングと前記破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および前記時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを外部装置に送信する送信ステップ
を実行する情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータに、請求項18~20の何れか記載の情報処理方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高速プレス加工機のパンチ部又はダイ部に振動加速度センサを取り付け、該センサによりパンチ打撃時の振動を検出するとともに、帯状域フィルタを通して所望の振動波形を抽出し、同振動波形の位相と予め設定された正常プレス加工時における打撃振動波形の位相とを比較することにより、所定の範囲を超えているときは打撃タイミングが不良であると判定するパンチの打撃タイミング検出方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、貫通工具にかかる荷重の経時的変化に基づき特定される、貫通工具が素材に接触した接触時と、貫通工具が素材を貫通した貫通時に、プレス装置の振動に対応するスペクトログラムの特徴に基づきプレス装置の異常の種類を判定する判定部と、を備える診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平07‐098280号公報
【特許文献2】特開2021―146368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パンチにより被加工材を加工するタイミングを精度良く得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、振動の検知情報を取得する検知情報取得部と、検知情報に基づき、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングと、パンチ部が被加工材を破断する破断タイミングとを検出する検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1によれば、パンチにより被加工材を加工するタイミングを精度良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る管理システムの全体構成図である。
図2】本実施形態に係るせん断加工の説明図である。
図3】本実施形態に係るプレス装置のコントローラのハードウエア構成図である。
図4】本実施形態に係る診断装置のハードウエア構成図である。
図5】本実施形態に係る通信端末、管理サーバのハードウエア構成図である。
図6】本実施形態に係る管理システムの機能ブロック図である。
図7】本実施形態に係る振動データ管理テーブルの一例を示す概念図である。
図8】本実施形態に係る部品データ管理テーブルの一例を示す概念図である。
図9】本実施形態に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
図10】本実施形態に係る検出・判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本実施形態に係る実施例と比較例の比較表である。
図12】本実施形態に係る実施例と比較例3の振動波形およびスペクトルを説明する図である。
図13】本実施形態に係る診断装置における表示画面の説明図である。
図14】本実施形態に係る通信端末における表示画面の説明図である。
図15】本実施形態の変形例に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システムの全体構成図である。本実施形態の管理システム1は、プレス装置11に接続された診断装置12、通信端末3、および管理サーバ5によって構築されている。
【0010】
診断装置12、通信端末3、および管理サーバ5は、それぞれ情報処理装置の一例であり、管理サーバ5は診断装置12に対する外部装置の一例であり、通信端末3は管理サーバ5に対する外部装置の一例であり、診断装置12は管理サーバ5に対する第2の外部装置の一例である。
【0011】
通信端末3は、プレス装置11および診断装置12と同じ工場内に設置されていてもよく、遠隔地に設置されていても良い。
【0012】
診断装置12、通信端末3、および管理サーバ5は、通信ネットワーク100を介して通信することができる。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(LocalAreaNetwork)等によって構築されている。通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、3G(3rdGeneration)、WiMAX(WorldwideInteroperabilityforMicrowaveAccess)、LTE(LongTermEvolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。
【0013】
プレス装置11は、金属板等の素材20に工具を圧接することにより素材20を変形させるプレス加工を行う装置である。プレス装置11は下型21、上型22、貫通工具23、モータ24、加速度センサ27及びコントローラ28を有する。
【0014】
素材20は下型21と上型22との間に固定される。貫通工具23はモータ24の駆動力により図中上下方向に変位する。本実施形態に係るプレス装置11は貫通工具23が素材20を貫通して下型21に形成された孔部内に入り込むように下降することにより、素材20に穴を形成するせん断加工を行うものである。
【0015】
加速度センサ27はプレス装置11の振動(素材20の振動も含む)を検知するセンサである。本実施形態に係る加速度センサ27は上型22の一部に設置されているが、これに限定されるものではない。加速度センサ27の設置位置はプレス加工中に発生するプレス装置11又は素材20の振動を検知可能な位置であればよく、プレス装置11から離間した位置でもよく、素材20に設置されていてもよい。
【0016】
加速度センサ27はセンサアンプを介して診断装置12に通信可能に接続されている。 加速度センサ27及びセンサアンプはプレス装置11に予め備えられていてもよく、後から取り付けられてもよい。センサアンプはプレス装置11に設置されることに限定されるものではなく、診断装置12側に設置されてもよい。
【0017】
なお、図1に例示するプレス装置11はプレス加工としてせん断加工を行うものであるが、プレス装置11の構成はこれに限定されるものではない。プレス装置11は工具を交換することによりせん断加工以外のプレス加工を実行可能なものであってもよい。工具は上述した下型21、上型22、貫通工具23等に代わり、例えば、ドリル、エンドミル、バイトチップ、砥石、素材20が載置され加工に合わせて移動するテーブル等であってもよい。
【0018】
診断装置12は、プレス装置11の状態を診断するための処理を行う装置である。 本実施形態に係る診断装置12は、加速度センサ27からの検知信号(振動波形)、コントローラ28からの加工制御信号等に基づき、プレス装置11の異常の有無及び異常の種類を判定するための処理を行う。
【0019】
図2は、本実施形態に係るせん断加工の説明図である。
【0020】
せん断加工は、図2(a)に示すように、貫通工具23が素材20を打撃し、図2(b)に示すように、貫通工具23が素材20を破断することにより行われる。
【0021】
出願人は、鋭意研究した結果、貫通工具23の摩耗が、図2に示したせん断加工のタイミングに影響を及ぼすことを見出した。具体的には、後述する様に、貫通工具23の摩耗が進むと、せん断加工における開始タイミングと破断タイミングとの時間差が拡大することを見出した。また、摩耗に限られず、貫通工具23の形状、金型のクリアランス、素材20の材質や形状等が、設定条件とは異なる場合にも、同様にせん断加工のタイミングに影響を及ぼすことを見出した。本実施形態は、せん断加工するタイミングを精度良く得ることを第1の課題とする。
【0022】
図2(c)は、せん断加工における振動波形を示しており、本実施形態は、後述するように、このような振動波形を用いてせん断加工するタイミングを精度良く得ることができる。
【0023】
さらに、出願人は、せん断加工するタイミングを精度良く得るために、振動波形のピークに着目するとともに、振動波形のピークに基づき加工するタイミングを精度良く得ることは、せん断加工に限らず、曲げ・絞り・成形・鍛造・接合などのプレス加工全般に適用可能であることを見出した。図2(c)に示すtは、振動波形のピーク間の時間を示す。
【0024】
本実施形態は、プレス加工における振動波形のピークを精度よく検出することを第2の課題とする。
【0025】
図3は、本実施形態に係るプレス装置のコントローラのハードウエア構成図である。
【0026】
<プレス装置11のハードウエア構成>
図3は、実施形態に係るプレス装置11のコントローラ28のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
コントローラ28はCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、通信I/F(Interface)204及び駆動制御回路205がバス200を介して通信可能に接続された構成となっている。
【0028】
CPU201はプレス装置11の全体を制御する演算装置である。CPU201は例えば、RAM203をワークエリアとしてROM202等に格納されたプログラムを実行することでプレス装置11全体の動作を制御し、プレス加工を実現する。
【0029】
通信I/F204は診断装置12等の外部装置との通信に用いられるインターフェースである。通信I/F204は例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)に対応したNIC(Network Interface Card)等である。
【0030】
駆動制御回路205はプレス加工に用いられる貫通工具23を変位させるモータ24の駆動を制御する回路である。駆動制御回路205はCPU201からの指示信号等に応じて駆動する。
【0031】
なお、図3に示したハードウエア構成は一例であり、プレス装置11は必ずしも上記構成要素の全てを備える必要はなく、又他の構成要素を備えてもよい。
【0032】
図4は、本実施形態に係る診断装置のハードウエア構成図である。
【0033】
<診断装置のハードウエア構成>
図3は、実施形態に係る診断装置12のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
診断装置12はCPU61、ROM62、RAM63、通信I/F64、センサI/F65、補助記憶装置66、入力装置67及びディスプレイ68がバス60を介して通信可能に接続された構成となっている。
【0035】
CPU61は診断装置12の全体を制御する演算装置である。CPU61は例えば、RAM63をワークエリアとしてROM62等に格納された診断プログラム等のプログラムを実行することで診断装置12全体の動作を制御し、診断機能を実現する。
【0036】
通信I/F64はプレス装置11や通信ネットワーク100を介した外部装置との通信に用いられるインターフェースである。通信I/F64は例えば、TCP/IPに対応したNIC等である。
【0037】
センサI/F65はプレス装置11に設置された加速度センサ27からセンサアンプを介して検知信号(振動情報)を受信するインターフェースである。
【0038】
補助記憶装置66は診断装置12の設定情報、プレス装置11から受信された検出信号、コンテキスト情報、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性の記憶装置である。
【0039】
なお、補助記憶装置66は診断装置12が備えるものとされているが、これに限定されるものではない。補助記憶装置66は例えば、診断装置12の外部に設置された記憶装置、診断装置12とデータ通信可能なクラウドサーバが備えた記憶装置等であってもよい。
【0040】
入力装置67は文字、数字等の入力、各種指示の選択、カーソルの移動等の操作を行うマウス、キーボード等のデバイスである。
【0041】
ディスプレイ68は文字、数字、各種画面、操作用アイコン等を表示するCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。
【0042】
なお、図4に示したハードウエア構成は一例であり、診断装置12は必ずしも上記構成要素の全てを備えている必要はなく、又他の構成要素を備えていてもよい。
【0043】
図5は、本実施形態に係る通信端末、管理サーバのハードウエア構成図である。通信端末3の各ハードウエア構成は、300番台の符号で示されている。管理サーバ5の各ハードウエア構成は、括弧内の500番台の符号で示されている。
【0044】
通信端末3は、CPU(CentralProcessingUnit)301、ROM(ReadOnlyMemory)302、RAM(RandomAccessMemory)303、HD(HardDisk)304、HDD(HardDiskDrive)305、記録メディア306、メディアI/F307、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、CD-RW(CompactDisc-ReWritable)ドライブ314、及び、バスライン310を備えている。
【0045】
これらのうち、CPU301は、通信端末3全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0046】
HD304は、プログラム等の各種データを記憶する。HDD305は、CPU301の制御にしたがってHD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。メディアI/F307は、フラッシュメモリ等の記録メディア306に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0047】
ディスプレイ308は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。ネットワークI/F309は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0048】
キーボード311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。マウス312は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。CD-RWドライブ314は、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD-RW313に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0049】
また、管理サーバ50は、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD505、記録メディア506、メディアI/F507、ディスプレイ508、ネットワークI/F509、キーボード511、マウス512、CD-RWドライブ514、及び、バスライン510を備えている。
【0050】
これらは、それぞれ上述の構成(CPU301、ROM302、RAM303、HD304、HDD305、記録メディア306、メディアI/F307、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、CD-RWドライブ314、及び、バスライン310)と同様の構成であるため、これらの説明を省略する。
【0051】
なお、CD-RWドライブ314(514)ではなく、CD-Rドライブ等であってもよい。また、通信端末3、及び管理サーバ5は、それぞれ単一のコンピュータによって構築されてもよいし、各部(機能、手段、又は記憶部)を分割して任意に割り当てられた複数のコンピュータによって構築されていてもよい。
【0052】
図6は、本実施形態に係る管理システムの機能ブロック図である。
【0053】
<診断装置の機能構成>
診断装置12は、通信部71、受付部72、表示制御部73、判断部74、記憶・読出部75、取得部76、処理部77、検出部78および生成部79を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、ROM62からRAM63上に展開されたプログラムに従ったCPU61からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。また、処理装置30は、図4に示されているRAM63及びROM62によって構築される記憶部3000を有している。記憶部3000は、記憶手段の一例である。
【0054】
<診断装置の各機能構成>
通信部71は、送信手段の一例であり、図4に示されているCPU61からの命令、並びに通信I/F64によって実現され、コントローラ28や、通信ネットワーク100を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。
【0055】
受付部72は、受付手段の一例であり、主に、図4に示されているCPU61からの命令、並びにキーボードやマウス等の入力装置67によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。
【0056】
表示制御部73は、表示制御手段の一例であり、図4に示されているCPU61からの命令によって実現され、表示部の一例であるディスプレイ68に、各種画像や画面を表示させる。
【0057】
判断部74は、判断手段の一例であり、CPU61の処理によって実現され、各種判断を行う。
【0058】
記憶・読出部75は、記憶制御手段の一例であり、図4に示されているCPU61からの命令、並びに、補助記憶装置66によって実行され、記憶部3000、補助記憶装置66に各種データを記憶したり、記憶部3000、補助記憶装置66から各種データを読み出したりする処理を行う。
【0059】
記憶部3000には、振動データ管理テーブルによって構成されている振動データ管理DB3001が構築されている。
【0060】
取得部76は、図4に示されているCPU61からの命令、並びにセンサI/F65によって実現され、加速度センサ27からセンサアンプを介して検知情報を取得するとともに、通信部71が受信した情報から必要な情報を取得する。
【0061】
処理部77は、処理手段の一例であり、CPU61の処理によって実現され、各種処理を行う。
【0062】
検出部78は、検出手段の一例であり、CPU61の処理によって実現され、各種検出を行う。
【0063】
生成部79は、生成手段の一例であり、CPU61の処理によって実現され、各種生成を行う。
【0064】
<通信端末の機能構成>
通信端末3は、通信部31、受付部32、表示制御部33、判断部34および記憶・読出部35を有している。これら各部は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD304からRAM303上に展開されたプログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。また、通信端末3は、図5に示されているRAM303及びHD304によって構築される記憶部36を有している。記憶部36は、記憶手段の一例である。
【0065】
<通信端末の各機能構成>
通信部31は、送信手段の一例であり、図5に示されているCPU301からの命令、並びにネットワークI/F309によって実現され、通信ネットワーク100を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。
【0066】
受付部32は、受付手段の一例であり、主に、図5に示されているCPU301からの命令、並びにキーボード311及びマウス312によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。
【0067】
表示制御部33は、表示制御手段の一例であり、図5に示されているCPU301からの命令によって実現され、表示部の一例であるディスプレイ308に、各種画像や画面を表示させる。
【0068】
判断部34は、判断手段の一例であり、CPU301の処理によって実現され、各種判断、判定を行う。
【0069】
記憶・読出部35は、記憶制御手段の一例であり、図5に示されているCPU301からの命令、並びに、HDD305、メディアI/F307、及びCD-RWドライブ314によって実行され、記憶部3000、記録メディア306、及びCD-RW313に各種データを記憶したり、記憶部3000、記録メディア306、及びCD-RW313から各種データを読み出したりする処理を行う。
【0070】
<管理サーバの機能構成>
管理サーバ5は、通信部51、受付部52、表示制御部53、判断部54、記憶・読出部55および生成部56を有している。これら各部は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。また、管理サーバ5は、図5に示されているRAM503及びHD504により構築される記憶部5000を有している。記憶部5000は、記憶手段の一例である。
【0071】
<管理サーバの各機能構成>
通信部51は、送信手段の一例であり、図5に示されているCPU501からの命令、並びにネットワークI/F509によって実現され、通信ネットワーク100を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。
【0072】
受付部52は、受付手段の一例であり、主に、図5に示されているCPU501からの命令、並びにキーボード511及びマウス512によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。
【0073】
表示制御部53は、表示制御手段の一例であり、図5に示されているCPU501からの命令によって実現され、表示部の一例であるディスプレイ508に、各種画像や画面を表示させる。
【0074】
判断部54は、図5に示されているCPU501からの命令によって実現され、各種判断を行なう。
【0075】
記憶・読出部55は、記憶制御手段の一例であり、図5に示されているCPU501からの命令、並びに、HDD505、メディアI/F507、及びCD-RWドライブ514によって実行され、記憶部5000、記録メディア506、及びCD-RW513に各種データを記憶したり、記憶部5000、記録メディア506、及びCD-RW513から各種データを読み出したりする処理を行う。
【0076】
記憶部5000には、振動データ管理テーブルによって構成されている振動データ管理DB5001、および部品データ管理テーブルによって構成されている部品データ管理DB5002が構築されている。
【0077】
生成部56は、図5に示されているCPU501からの命令によって実現され、各種生成を行なう。
【0078】
図7は、本実施形態に係る振動データ管理テーブルの一例を示す概念図である。
【0079】
振動データ管理テーブルは、振動データを管理するためのテーブルである。記憶部3000には、図7に示されているような振動データ管理テーブルによって構成されている振動データ管理DB3001が構築されている。
【0080】
また、記憶部5000にも、図7に示されているような振動データ管理テーブルによって構成されている振動データ管理DB5001が構築されている。この振動データ管理テーブルでは、識別情報1~3、加速度センサ27から取得された振動の検知信号、処理済信号、打撃開始時間、破断時間、打撃開始時間と破断時間の時間差および判定結果が関連づけられて管理されている。
【0081】
識別情報1~3は、検知信号を識別する信号識別情報に含まれる情報であり、識別情報1(工場名)は、プレス加工の一例であるせん断加工した工場を識別する工場識別情報の一例であり、識別情報2(装置名)は、せん断加工した装置を識別する装置識別情報の一例であり、識別情報3(加工日時)は、せん断加工した時間を識別する時間識別情報の一例である。
【0082】
処理済信号は、検知信号に対してフィルタ好ましくはバンドパスフィルタおよびエンベロープ処理を行い、これらの処理を経た複数の信号を平均化した信号であり、振動に含まれる周波数が10kHZ以上、好ましくは10~60kHZ、より好ましくは25~55kHZの振動波形を示す波形情報の一例である。
【0083】
打撃開始時間は、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報である。
【0084】
破断時間は、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報である。また、打撃開始時間および破断時間は、振動波形におけるピークを識別するピーク識別情報の一例である。
【0085】
判定結果は、時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の一例である。
【0086】
図8は、本実施形態に係る部品データ管理テーブルの一例を示す概念図である。
【0087】
部品データ管理テーブルは、振動の検知信号と部品情報を管理するためのテーブルである。記憶部5000には、図8に示されているような部品データ管理テーブルによって構成されている部品データ管理DB5002が構築されている。この部品データ管理テーブルでは、信号識別情報1~3、製品識別情報および部品識別情報が関連づけられて管理されている。
【0088】
信号識別情報1~3は、被加工材を識別する被加工材識別情報に含まれる情報であり、図7に示した識別情報1~3と同じ情報である。製品識別情報は、被加工材を部品として用いた製品を識別する情報であり、部品識別情報は、被加工材が用いられる部品を識別する情報である。
【0089】
図9は、本実施形態に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
【0090】
診断装置12の取得部76は、コントローラ28から貫通工具23の動作を制御する加工制御信号および信号識別信号を取得するとともに、これと同期して加速度センサ27から振動の検知信号を取得する(ステップS1)。ステップS1は、検知信号取得ステップの一例である。
【0091】
検出部78は、振動の検知信号に基づき、振動を示す振動波形における、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングを検出し、判断部74は、開始タイミングと破断タイミングの時間差に基づき、加工の正常・異常を判定する(ステップS2)。
【0092】
記憶・読出部75は、ステップS1で取得された信号識別信号、振動の検知信号およびステップS2で検出された開始タイミング、破断タイミングに基づき、振動データ管理DB3001で管理される振動データを更新する(ステップS3)。ここで、振動データは、図7に示される信号識別信号、振動の検知信号、開始タイミング、および破断タイミングを含む各種データである。
【0093】
受付部72が、信号識別情報の指定操作を受け付けると、記憶・読出部55は、信号識別情報を検索キーとして、振動データ管理DB3001を検索することにより、対応する振動データを読み出して、表示制御部73は、記憶・読出部75から読み出された振動データをディスプレイ68に表示する(ステップS4)。ステップS4は、表示ステップの一例である。
【0094】
通信部71は、信号識別情報と対応付けられた振動データを管理サーバ5へ送信し(送信ステップの一例)、管理サーバ5の通信部51は、通信部71が送信した振動データを受信する(ステップS5)。ステップS5の変形例として、通信部71は、信号識別情報と対応付けられた振動データを通信端末3へ送信してもよく(送信ステップの一例)、通信端末3の通信部51は、通信部71が送信した振動データを受信してもよい。
【0095】
記憶・読出部55は、ステップS5で受信した振動データに基づき、振動データ管理DB5001で管理される振動データを更新する(ステップS6)。
【0096】
通信端末3の受付部32が、被加工材識別情報の指定操作を受け付けると(ステップS7)、通信部31は指定された被加工材識別情報を管理サーバ5へ送信し、管理サーバ5の通信部51は、通信端末3が送信した被加工材識別情報を受信する(ステップS8)。
【0097】
記憶・読出部55は、被加工材識別情報を検索キーとして、部品データ管理DB5002を検索することにより、対応する信号識別情報を読出し、信号識別情報を検索キーとして、振動データ管理DB5001を検索することにより、対応する振動データを読み出す(ステップS9)。
【0098】
通信部51は、通信端末3へ被加工材識別情報と振動データを送信し(送信ステップの一例)、通信端末3の通信部31は、被加工材識別情報に対応付けられた振動データを受信する(ステップS10)。
【0099】
表示制御部33は、ステップS10で受信した振動データをディスプレイ308に表示する(ステップS11)。ステップS11は、表示ステップの一例である。ステップS11の変形例として、表示制御部33は、ステップS5の変形例で診断装置12の通信部71から受信した振動データをディスプレイ308に表示してもよい。
【0100】
図10は、本実施形態に係る検出・判定処理の一例を示すフローチャートであり、図9のステップS1およびステップS2に対応する処理を示す。
【0101】
診断装置12の取得部76は、コントローラ28から貫通工具23の動作を制御する加工制御信号を取得するとともに、これと同期して加速度センサ27から振動の検知信号を取得する(ステップS21)。
【0102】
処理部77は、加工制御信号に基づき、貫通工具23が素材20に対して加工動作を実行中である加工期間を特定し、加工期間中の検知信号に対してバンドパスフィルタおよびエンベロープ処理を行う(ステップS22)。
【0103】
判断部74は、複数の異なる加工期間に対するステップS22を実行した回数が所定回数に達したか判断し(ステップS23)、所定回数に達していない場合には、ステップS21に戻る。
【0104】
所定回数に達している場合には、処理部77は、複数の異なる加工期間においてステップS22を実行して処理された信号を平均化する(ステップS24)。
【0105】
検出部78は、ステップS24で平均化された処理済信号の振動波形の振幅が所定値以上のピークを、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングとして検出する(ステップS25)。ステップS25は、検出ステップの一例である。
【0106】
ここで、開始タイミングは、ステップS22で特定された加工期間が開始してから1つ目のピークまでの時間であり、破断タイミングは、ステップS22で特定された加工期間が開始してから2つ目のピークまでの時間である。
【0107】
開始タイミングは、図2(a)に示したように、貫通工具23が素材20を打撃するタイミングに対応するが、打撃時に振動波形が突出して現れるのは、貫通工具23と素材20とが接触してから、素材20表面の滑らかなR形状を示すダレが発生し、せん断部分が素材20の半分程度進行するまでの間である。
【0108】
したがって、開始タイミングは、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20と接触をしたときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してからダレが発生したときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから素材20のせん断が有る程度進行したときまでの時間に対応しても良い。
【0109】
また、これらを含む期間、例えば貫通工具23が素材20と接触をしたときから、素材20のせん断が有る程度進んだときまでの期間を含んでも良い。また、開始タイミングは、貫通工具23が素材20と接触をしたときの時刻や、ダレが発生したときの時刻や、素材20のせん断が有る程度進行したとき、例えば、せん断部分が素材20の半分程度進行したときの時刻、でも良い。
【0110】
破断タイミングは、図2(b)に示したように、貫通工具23が素材20を破断するタイミングに対応するが、破断時に振動波形が突出して現れるのは、素材20が分断される瞬間から一定期間後までの領域の間である。
【0111】
したがって、破断タイミングは、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行しているときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通したときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときまでの時間に対応しても良い。
【0112】
また、これらを含む期間、例えば貫通工具23が素材20と接触をしたときから、貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときまでの期間を含んでも良い。また 、破断タイミングは、貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行したときの時刻や、貫通工具23が素材20を貫通したときの時刻や、貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときの時刻、でも良い。貫通工具23が素材20と接触をしたときの時刻(開始タイミングの一例)と、貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行したときの時刻(破断タイミングの一例)と、の差を取ることで、後述する開始タイミングと破断タイミングの時間差を求めてもよい。
【0113】
判断部74は、検出部78が2つのピークを検出していない場合には(ステップS26)、加工が異常であると判定する(ステップS27)。
【0114】
判断部74は、開始タイミングと破断タイミングの時間差が所定範囲内の場合には(ステップS28)、加工が正常であると判定し(ステップS29)、所定範囲外の場合には加工が異常であると判定する(ステップS27)。
【0115】
ステップS27およびステップS29に示した判定結果は、時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の一例であり、所定範囲は基準情報の一例である。
【0116】
判断部74は、より具体的に、時間差が所定範囲の上限を超える場合には、貫通工具23の摩耗と判定し、時間差が所定範囲の下限に満たない場合は、加工不良であると判定してもよい。判断部74は、摩耗や加工不良に限られず、開始タイミングと破断タイミングの時間差が所定範囲外の場合には、貫通工具23の形状、金型のクリアランス、素材20の材質や形状等が、設定条件とは異なっていると判定しても良い。
【0117】
具体例としては、貫通工具23の摩耗が進むことにより、時間差が620μsecから850μsecに拡大した実験データが有る。
【0118】
ここで、ステップS25における所定値、およびステップS27における所定範囲は、基準情報の一例であり、学習処理等により得ることができる。
【0119】
図11は、本実施形態に係る実施例と比較例の比較表である。
【0120】
本実施形態に係る実施例では、振動センサとして、サンプリング周波数が192kHZ以上の加速度センサ27を用いて、図10のステップS22において、10kHZ以上のフィルタ処理、好ましくは10~60kHZ、より好ましくは25~55kHZのバンドパスフィルタ処理を行っている。すなわち、10kHZ未満好ましくは25kHZ未満の機械振動を含む低周波の振動を除去するとともに、60kHZ超好ましくは55kHZ超の材料自体の振動を含む高周波の振動を除去することにより、貫通工具23と素材20の相互作用による周波数の振動を抽出することができる。
【0121】
これにより、図10のステップS25において、振動波形の振幅が所定値以上のピークを、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングとして精度良く検出することができる。
【0122】
一方、比較例1では、サンプリング周波数が96kHZ以下の加速度センサ27を用いているが、図10のステップS25において、振動波形の振幅が所定値以上のピークを、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングとして検出することが困難である。
【0123】
これは、比較例1が、低周波の振動波形を対象としており、多種多様な機械振動の中から、開始タイミングや破断タイミングに係る振動波形を抽出することが困難なためである。
【0124】
比較例2では、サンプリング周波数が1MHz以上の加速度センサ27を用いているが、やはり、開始タイミングおよび破断タイミングを検出することは困難である。
【0125】
これは、比較例2が、材料自体の振動に係る高周波の振動波形を対象としており、貫通工具23と素材20の相互作用による周波数帯域を対象としていないためである。
【0126】
次に、比較例3では、サンプリング周波数が192kHZ以上の加速度センサ27を用いているが、バンドパスフィルタ処理を行っておらず、開始タイミングおよび破断タイミングとして検出することは困難である。
【0127】
比較例3は、貫通工具23と素材20の相互作用による周波数帯域を対象としているものの、比較例1と同様に、多種多様な機械振動と混在している中から、開始タイミングや破断タイミングに係る振動波形を抽出することが困難なためである。
【0128】
図12は、本実施形態に係る実施例と比較例3の振動波形およびスペクトルを説明する図である。
【0129】
図12(a)は、比較例3に係る振動波形とスペクトルを示し、図12(b)は、実施例に係る図10のステップS24で平均化された処理済信号の振動波形とスペクトルを示す。
【0130】
比較例3は、図12(a)に示すように、振動波形の振幅が所定値以上のピークから開始タイミングおよび破断タイミングを特定するのが困難であるが、実施例は、図12(b)に示すように、開始タイミングおよび破断タイミングに対応するピークを容易に特定することができる。
【0131】
ここで、特許文献1は、帯状域フィルタを通して所望の振動波形を抽出するものである。予め測定して得られた正常な打撃タイミングのパンチ部の振動波形と実際のプレス加工時におけるパンチ部の振動波形の位相差を調べることにより、パンチの打撃タイミングが正常であるか否かを判定している。
【0132】
しかしながら、貫通工具23の摩耗が進むと、せん断加工における開始タイミングと破断タイミングとの時間差が拡大することや、開始タイミングや破断タイミングを検出することは、開示や示唆がなされていない。
【0133】
そのため、例えば、検出部78が開始タイミングや破断タイミングを検出して画面に表示させることで、ユーザが開始タイミングや破断タイミングの時間差を見て貫通工具23の摩耗を判断したり、判断部74が開始タイミングや破断タイミングの時間差を算出して貫通工具23の摩耗を判断したり、することについても想到しえない。
【0134】
また、特許文献2は、貫通工具にかかる荷重の経時的変化に基づき、貫通工具が素材に接触した接触時と、貫通工具が素材を貫通した貫通時を特定しているが、荷重センサは、荷重を受ける必要上、貫通工具や金型と一体で設けられており、プレス装置に後付することが困難である。これに対して、本実施形態は、振動波形の振幅に基づき、開始タイミングおよび破断タイミングを特定するものであり、プレス装置11から生じる振動を検知する加速度センサ27は設置位置の制約が少なく後付が容易である。すなわち、本実施形態は、荷重センサを備えないプレス装置11においても、開始タイミングおよび破断タイミングを容易に特定することができる。
【0135】
なお、本実施形態に係る実施例は、パンチにより被加工材をせん断するせん断加工に限らず、曲げ・絞り・成形・鍛造・接合などのプレス加工全般に適用可能である。
【0136】
すなわち、実施例は、プレス加工全般において、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングに対応するピークを容易に特定することができる。
【0137】
図13は、本実施形態に係る診断装置12における表示画面の説明図であり、図9のステップS4において、表示制御部73が、ディスプレイ68の表示画面1000に表示した状態を示している。
【0138】
表示制御部73は、指定画面1100、検索ボタン1200、データ表示画面1300、および波形表示画面1400を表示画面1000に表示させている。
【0139】
検索ボタン1200は、振動に係る情報を表示させる指示操作を受け付ける指示画面の一例であり、データ表示画面1300および波形表示画面1400は、情報表示画面の一例である。
【0140】
指定画面1100は、検知信号を識別する信号識別情報を指定する指定操作を受け付ける画面であり、第1の指定画面1110、第2の指定画面1120および第3の指定画面1130を含む。
【0141】
信号識別情報は、せん断加工した工場を識別する工場識別情報の一例である識別情報1(工場名)と、せん断加工した装置を識別する装置識別情報の一例である識別情報2(装置名)と、せん断加工した時間を識別する時間識別情報の一例である識別情報3(加工日時)を含む。
【0142】
第1の指定画面1110は、識別情報1(工場名)を指定する指定操作を受け付ける画面であり、第2の指定画面1120は、識別情報2(装置名)を指定する指定操作を受け付ける画面であり、第3の指定画面1130は、識別情報3(加工日時)を指定する指定操作を受け付ける画面である。
【0143】
受付部72は、第1の指定画面1110、第2の指定画面1120および第3の指定画面1130における指定操作を受け付けて、検索ボタン1200が操作されると、指定画面1100で指定された信号識別情報を確定する。
【0144】
記憶・読出部75は、指定された信号識別情報を検索キーとして、振動データ管理DB3001を検索することにより、指定された信号識別情報に対応する処理済信号、打撃開始時間、破断時間、時間差情報、および判定結果を読み出す。
【0145】
表示制御部73は、振動データ管理DB3001から読み出された信号識別情報、時間差情報、および判定結果を対応付けてデータ表示画面1300に表示させるとともに、振動データ管理DB3001から読み出された処理済信号の振動の波形を示す波形情報、振動の波形中の打撃開始時間および破断時間を識別するタイミング識別情報、および時間差情報を対応付けて波形表示画面1400に表示させる。
【0146】
ここで、判定結果は、時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の一例であり、タイミング識別情報は、開始タイミングおよび破断タイミングを示すタイミング情報の一例である。
【0147】
表示制御部73は、複数の異なる信号識別情報に対応する複数のデータ表示情報1300A~Cをデータ表示画面1300に表示させる。
【0148】
複数のデータ表示情報1300A~Cのそれぞれは、表示情報識別情報1310、識別情報1(工場名)1320、識別情報2(装置名)1330、識別情報3(加工日時)1340、時間差情報1350、および判定結果1360を含む。
【0149】
表示制御部73は、複数の異なる信号識別情報に対応する複数の波形表示情報1400A~Cを波形表示画面1400に表示させる。
【0150】
複数の波形表示情報1400A~Cのそれぞれは、表示情報識別情報1410、波形情報1420、振動波形中の打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報1430、振動波形中の破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報1440、振動の波形中の時間差の識別情報1450、および時間差情報1460を含む。
【0151】
表示情報識別情報1410は、表示情報識別情報1310と同じであるため、複数の波形表示情報1400A~Cのそれぞれは、識別情報1(工場名)1320、識別情報2(装置名)1330、および識別情報3(加工日時)1340に対応付けて表示されていることになる。
【0152】
なお、表示制御部73は、記憶・読出部75により振動データ管理DB3001から読み出された検知信号の振動の波形を示す波形情報を波形表示画面1400に表示させてもよい。また、図13は、図9のステップS11の変形例に係る通信端末3における表示画面の説明図として、通信端末3の表示制御部33が、ディスプレイ308の表示画面1000に表示した状態を示すものであってもよい。
【0153】
また、図13では、波形情報1420に対して、振動波形中の打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報1430、振動波形中の破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報1440、振動の波形中の時間差の識別情報1450、および時間差情報1460、が表示されているが、波形情報1420に対して表示される内容はこの情報に限られない。
【0154】
例えば、振動波形中の打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報1430として、図10におけるステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20と接触をしたときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してからダレが発生したときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから素材20のせん断が有る程度進行したときまでの時間や、貫通工具23が素材20と接触をしたときの時刻や、ダレが発生したときの時刻や、素材20のせん断が有る程度進行したとき、例えば、せん断部分が素材20の半分程度進行したときの時刻、を表示してもよい。
【0155】
また、振動波形中の破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報1440として、図10におけるステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行して いるときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通したときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときまでの時間や、貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行したときの時刻や、貫通工具23が素材20を貫通したときの時刻や、貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときの時刻、でもよい。
【0156】
時間差情報1460として、前述した破断タイミングから開始タイミングの時間差を求めたものを表示してもよい。
【0157】
図14は、本実施形態に係る通信端末3における表示画面の説明図であり、図9のステップS7およびS11において、表示制御部33が、ディスプレイ308の表示画面2000に表示した状態を示している。
【0158】
表示制御部33は、指定画面2100、検索ボタン2200、データ表示画面2300、および波形表示画面2400を表示画面2000に表示させている。
【0159】
検索ボタン2200は、振動に係る情報を表示させる指示操作を受け付ける指示画面の一例であり、データ表示画面2300および波形表示画面2400は、情報表示画面の一例である。
【0160】
指定画面2100は、被加工材を識別する被加工材識別情報を指定する指定操作を受け付ける画面であり、第1の指定画面2110、および第2の指定画面2120を含む。
【0161】
被加工材識別情報は、被加工材を部品として用いた製品を識別する製品識別情報と、被加工材が用いられる部品を識別する部品識別情報を含む。
【0162】
第1の指定画面2110は、製品識別情報を指定する指定操作を受け付ける画面であり、第2の指定画面2120は、部品識別情報を指定する指定操作を受け付ける画面である。
【0163】
受付部32は、第1の指定画面2110、および第2の指定画面2120における指定操作を受け付けて、検索ボタン2200が操作されると、指定画面2100で指定された被加工材識別情報を確定する。
【0164】
通信部31は、指定された被加工材識別情報を管理サーバ5へ送信し、管理サーバ5から送信された被加工材識別情報、処理済信号、打撃開始時間、破断時間、時間差情報、および判定結果を受信する。
【0165】
表示制御部33は、通信部31が受信した被加工材識別情報、時間差情報、および判定結果を対応付けてデータ表示画面2300に表示させるとともに、通信部31が受信した処理済信号の振動の波形を示す波形情報、振動の波形中の打撃開始時間および破断時間を識別するタイミング識別情報、および時間差情報を対応付けて波形表示画面2400に表示させる。
【0166】
表示制御部33は、複数の異なる被加工材識別情報に対応する複数のデータ表示情報2300A~Cをデータ表示画面2300に表示させる。
【0167】
複数のデータ表示情報2300A~Cのそれぞれは、表示情報識別情報2310、製品識別情報2320、部品識別情報2330、時間差情報2340、および判定結果2350を含む。
【0168】
表示制御部33は、複数の異なる被加工材識別情報に対応する複数の波形表示情報2400A~Cを波形表示画面1400に表示させる。
【0169】
複数の波形表示情報2400A~Cのそれぞれは、表示情報識別情報2410、波形情報2420、振動波形中の打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報2430、振動波形中の破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報2440、振動の波形中の時間差の識別情報2450、および時間差情報2460を含む。
【0170】
表示情報識別情報2410は、表示情報識別情報2310と同じであるため、複数の波形表示情報2400A~Cのそれぞれは、製品識別情報2320、および部品識別情報2330に対応付けて表示されていることになる。
【0171】
なお、表示制御部33は、記憶・読出部75により振動データ管理DB3001から読み出された検知信号の振動の波形を示す波形情報を波形表示画面2400に表示させてもよい。
【0172】
また 、図14では、波形情報2420に対して、振動波形中の打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報2430、振動波形中の破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報2440、振動の波形中の時間差の識別情報2450、および時間差情報2460、が表示されているが、波形情報2420に対して表示される内容はこの情報に限られない。
【0173】
例えば、振動波形中の打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報2430として、図10におけるステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20と接触をしたときまでの時間や、 ステップS22で特定された加工期間が開始してからダレが発生したときまでの時間や、 ステップS22で特定された加工期間が開始してから素材20のせん断が有る程度進行したときまでの時間や、貫通工具23が素材20と接触をしたときの時刻や、ダレが発生したときの時刻や、素材20のせん断が有る程度進行したとき、例えば、せん断部分が素材20の半分程度進行したときの時刻、を表示してもよい。
【0174】
また、振動波形中の破断する破断タイミングを識別するタイミング識別情報2440として、図10におけるステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行して いるときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通したときまでの時間や、ステップS22で特定された加工期間が開始してから貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときまでの時間や、貫通工具23が素材20を貫通する直前までせん断が進行したときの時刻や、貫通工具23が素材20を貫通したときの時刻や、貫通工具23が素材20を貫通してから一定時間経過後のときの時刻、でもよい。
【0175】
時間差情報2460として、前述した破断タイミングから開始タイミングの時間差を求めたものを表示してもよい。
【0176】
図15は、本実施形態の変形例に係る処理の一例を示すシーケンス図である。
【0177】
図15に示すシーケンス図では、図9に示したシーケンス図におけるステップS9~S11に代えて、ステップS39~S41を実行する。
【0178】
ステップ9と同様に、記憶・読出部55は、被加工材識別情報を検索キーとして、部品データ管理DB5002を検索することにより、対応する信号識別情報を読出し、信号識別情報を検索キーとして、振動データ管理DB5001を検索することにより、対応する振動データを読み出す。
【0179】
そして、生成部56は、振動データ管理DB5001から読み出された振動データに基づき、図14に示したデータ表示画面2300および波形表示画面2400を含む情報表示画面を生成する(ステップS39)。
【0180】
通信部51は、通信端末3へ生成部56が生成した情報表示画面を送信し(送信ステップの一例)、通信端末3の通信部31は情報表示画面を受信する(ステップS40)。
【0181】
表示制御部33は、ステップS40で受信した情報表示画面をディスプレイ308に表示する(ステップS41)。ステップS41は、表示ステップの一例である。
【0182】
●まとめ●
[第1態様]
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置12は、振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングを検出する検出部78と、を備える。取得部76は、貫通工具23により素材20をせん断加工するプレス装置11に設けられた加速度センサ27から振動の検知信号を取得することが好ましいが、加速度センサ27は、プレス装置11から離間した位置に設置されてもよく、素材20に設置されていてもよい。
【0183】
このように、振動の検知情報に基づいて、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングとを検出することにより、荷重センサを備えないプレス装置11においても、せん断加工するタイミングを精度良く得ることができる。
【0184】
ここで、貫通工具23はパンチの一例であり、素材20は被加工材の一例であり、プレス装置11はせん断加工装置の一例であり、加速度センサ27は振動センサの一例であり、取得部76は検知信号取得手段の一例である。
【0185】
[第2態様]
第1態様において、検出部78は、振動を示す振動波形の振幅に基づき、開始タイミング、および破断タイミングを検出する。これにより、開始タイミング、および破断タイミングを精度良く検出することができる。
【0186】
[第3態様]
第1態様または第2態様において、診断装置12は、開始タイミングと破断タイミング、および開始タイミングと破断タイミングの時間差の少なくとも一方を記憶部3000に記憶させる記憶制御手段の一例である記憶・読出部75を備える。
【0187】
これにより、開始タイミングと破断タイミング、および開始タイミングと破断タイミングの時間差の少なくとも一方を活用することができる。
【0188】
[第4態様]
第3態様において、記憶・読出部75は、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、開始タイミングと破断タイミング、時間差を記憶部3000に記憶させる。
【0189】
これにより、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、開始タイミングと破断タイミング、開始タイミングと破断タイミングの時間差の少なくとも一方を活用することができる。
【0190】
[第5態様]
第1態様~第4態様の何れかにおいて、診断装置12は、開始タイミングおよび破断タイミングを示すタイミング情報、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを表示部の一例であるディスプレイ68に表示させる表示制御部73を備える。
【0191】
これにより、ユーザが、開始タイミングおよび破断タイミングを示すタイミング情報、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一つを容易に把握することができる。
【0192】
[第6態様]
第5態様において、表示制御部73は、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方をディスプレイ68に表示させる。
【0193】
これにより、ユーザは、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一つを容易に把握することができる。
【0194】
[第7態様]
第6態様において、表示制御部73は、信号識別情報を指定する指定操作を受け付ける指定画面1100で指定された信号識別情報に対応付けて、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一つをディスプレイ68に表示させる。
【0195】
これにより、ユーザは、信号識別情報を指定した検知信号における、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一つを容易に把握することができる。
【0196】
[第8態様]
第4態様、第6態様、第7態様の何れかにおいて、信号識別情報は、せん断加工した時間を識別する時間識別情報を含む。これにより、ユーザは、せん断加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一つを容易に把握することができる。
【0197】
[第9態様]
診断装置12は、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一つを外部装置の一例である管理サーバ8に送信する送信手段の一例である通信部71を備える。
【0198】
これにより、タイミング情報、時間差情報、および比較情報の少なくとも一つを、管理サーバ8で共有することができる。
【0199】
[第10態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置12および通信端末3は、貫通工具23により素材20をせん断加工するときの振動に係る情報を表示させる指示操作を受け付ける指示画面の一例である検索ボタン1200、2200に対する指示操作に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方をディスプレイ68、308に表示させる表示制御部73、33を備える。
【0200】
これにより、ユーザは、信号識別情報を指定した検知信号における、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を容易に把握することができる。
【0201】
[第11態様]
第10態様において、表示制御部73、33は、せん断加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方をディスプレイ68、308に表示させる。
【0202】
これにより、ユーザは、せん断加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、信号識別情報を指定した検知信号における、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を容易に把握することができる。
【0203】
[第12態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置12および管理サーバ5は、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を外部装置の一例である管理サーバ5および通信端末3に送信する送信手段の一例である通信部71、51を備える。
【0204】
これにより、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を、管理サーバ5および通信端末3で共有することができる。
【0205】
[第13態様]
第12態様において、通信部71、51は、せん断加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方を管理サーバ5および通信端末3に送信する。
【0206】
これにより、管理サーバ5および通信端末3側で、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を、せん断加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて共有することができる。
【0207】
[第14態様]
第13態様において、管理サーバ5の通信部51は、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方を含む情報表示画面1300、2300を示す情報表示画面情報を通信端末3に送信する。
【0208】
これにより、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方を含む情報表示画面1300、2300を、通信端末3で共有することができる。
【0209】
[第15態様]
管理サーバ5は、せん断加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を第2の外部装置の一例である診断装置12から受信する通信部51を備え、通信部51は、素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、時間差情報および比較情報の少なくとも一方を通信端末3に送信する。
【0210】
これにより、せん断加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて受信した時間差情報および比較情報の少なくとも一方を、被加工材識別情報に対応付けて通信端末3に送信することができる。
【0211】
[第16態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システム1は、診断装置12と、診断装置12と通信可能な通信端末3を備え、診断装置12は、貫通工具23により素材20をせん断加工するプレス装置11に設けられた加速度センサ27から振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングとを検出する検出部78と、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を送信する通信部71と、を備え、通信端末3は、時間差情報および比較情報の少なくとも一方を受信する通信部31と、時間差情報および比較情報の少なくとも一方をディスプレイ308に表示させる表示制御部33と、を備える。
【0212】
[第17態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システム1は、サーバの一例である管理サーバ5と、管理サーバ5と通信可能な情報処理装置の一例である診断装置12および通信端末3を備え、診断装置12は、貫通工具23により素材20をせん断加工するプレス装置11に設けられた加速度センサ27から振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングとを検出する検出部78と、せん断加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、開始タイミングと破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を管理サーバ5へ送信する通信部71と、を備え、管理サーバ5は、時間識別情報に対応付けて、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方を情報処理装置から受信し、素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、時間差情報、および比較情報の少なくとも一方を通信端末3へ送信する通信部51と、を備え、通信端末3は、被加工材識別情報に対応付けて、時間差情報および比較情報の少なくとも一方を受信する通信部31と、被加工材識別情報に対応付けて、時間差情報および比較情報の少なくとも一方をディスプレイ308に表示させる表示制御部33と、を備える。
【0213】
[第18態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、貫通工具23により素材20をせん断加工するプレス装置11に設けられた加速度センサ27から振動の検知信号を取得する検知信号取得ステップと、検知信号に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミング、および貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングを検出する検出ステップと、を実行する。
【0214】
[第19態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、貫通工具23により素材20をせん断加工するときの振動に係る情報を表示させる指示操作を受け付ける指示画面に対する指示操作に基づき、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方をディスプレイ68、308に表示させる表示ステップを実行する。
【0215】
[第20態様]
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングと、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングの時間差を示す時間差情報、および時間差と基準情報を比較した比較結果を示す比較情報の少なくとも一方を外部装置の一例である管理サーバ5、通信端末3に送信する送信ステップを実行する。
【0216】
[第21態様]
本発明の一実施形態に係るプログラムは、第18態様~第20態様の何れかの情報処理方法をコンピュータに実行させる。
【0217】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置12は、プレス装置11から生じる振動を検知するサンプリング周波数が192kHZ以上の加速度センサ27から振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、振動に含まれる周波数が10kHZ以上、好ましくは10~60kHZ、さらに好ましくは25~55kHZの振動波形の振幅のピークを検出する検出部78と、を備える。これにより、プレス加工における振動波形のピークを精度良く検出することができる。
【0218】
ここで、貫通工具23はパンチの一例であり、素材20は被加工材の一例であり、加速度センサ27は振動センサの一例であり、取得部76は検知信号取得手段の一例である。加速度センサ27は、プレス装置11に設けられることが好ましいが、プレス装置11から離間した位置に設置されてもよく、素材20に設置されていてもよい。
【0219】
検出部78は、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングとして、ピークを検出する。これにより、貫通工具23が素材20を打撃開始する開始タイミングを精度良く検出することができる。なお、プレス装置11がせん断加工装置の場合は、貫通工具23が素材20を破断する破断タイミングも精度良く検出することができる。
【0220】
診断装置12は、振動波形におけるピークを識別するピーク識別情報を、振動波形を示す波形情報と対応付けて記憶部3000に記憶させる記憶制御手段の一例である記憶・読出部75を備える。これにより、波形情報とピーク識別情報を対応付けて活用することができる。
【0221】
記憶・読出部75は、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を記憶部3000に記憶させる。
【0222】
これにより、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を活用することができる。
【0223】
診断装置12は、波形情報に対応付けてピーク識別情報を表示部の一例であるディスプレイ68に表示させる表示制御部73を備える。これにより、ユーザが、波形情報に対応付けてピーク識別情報を容易に把握することができる。
【0224】
表示制御部73は、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報をディスプレイ68に表示させる。
【0225】
これにより、ユーザは、検知信号を識別する信号識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を容易に把握することができる。
【0226】
表示制御部73は、信号識別情報を指定する指定操作を受け付ける指定画面1100で指定された信号識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報をディスプレイ68に表示させる。
【0227】
これにより、ユーザは、信号識別情報を指定した検知信号における、波形情報およびピーク識別情報を容易に把握することができる。
【0228】
信号識別情報は、プレス加工した時間を識別する時間識別情報を含む。これにより、ユーザは、プレス加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を容易に把握することができる。
【0229】
診断装置12は、波形情報およびピーク識別情報を対応付けて外部装置の一例である管理サーバ8に送信する送信手段の一例である通信部71を備える。
【0230】
これにより、波形情報およびピーク識別情報を対応付けて管理サーバ8で共有することができる。
【0231】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置12および通信端末3は、貫通工具23により素材20をプレス加工するときの振動に係る情報を表示させる指示操作を受け付ける指示画面の一例である検索ボタン1200、2200に対する指示操作に基づき、貫通工具23により素材20をプレス加工するときの振動の波形を示す波形情報に対応付けて、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報をディスプレイ68、308に表示させる表示制御部73、33を備える。
【0232】
これにより、ユーザは、波形情報に対応付けて、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングを容易に把握することができる。
【0233】
表示制御部73、33は、プレス加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびタイミング識別情報をディスプレイ68、308に表示させる。
【0234】
これにより、ユーザは、プレス加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびタイミング識別情報を容易に把握することができる。
【0235】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例である診断装置12および管理サーバ5は、貫通工具23により素材20をプレス加工するときの振動の波形を示す波形情報に対応付けて、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報を外部装置の一例である管理サーバ5および通信端末3に送信する送信手段の一例である通信部71、51を備える。
【0236】
これにより、波形情報および開始タイミングを対応付けて、管理サーバ5および通信端末3で共有することができる。
【0237】
通信部71、51は、プレス加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびタイミング識別情報を管理サーバ5および通信端末3に送信する。
【0238】
これにより、管理サーバ5および通信端末3側で、波形情報およびタイミング識別情報を、プレス加工した時間を識別する時間識別情報、または素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて共有することができる。
【0239】
管理サーバ5の通信部51は、波形情報およびタイミング識別情報を含む情報表示画面1300、2300を示す情報表示画面情報を通信端末3に送信する。
【0240】
これにより、波形情報およびタイミング識別情報を含む情報表示画面1300、2300を、通信端末3で共有することができる。
【0241】
管理サーバ5は、プレス加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、波形情報およびタイミング識別情報を第2の外部装置の一例である診断装置12から受信する通信部51を備え、通信部51は、素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびタイミング識別情報を通信端末3に送信する。
【0242】
これにより、プレス加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて受信した波形情報およびタイミング識別情報を、被加工材識別情報に対応付けて通信端末3に送信することができる。
【0243】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システム1は、診断装置12と、診断装置12と通信可能な通信端末3を備え、診断装置12は、プレス装置11に設けられたサンプリング周波数が192kHZ以上の加速度センサ27から振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、振動に含まれる周波数が10kHZ以上、好ましくは10~60kHZ、より好ましくは25~55kHZの振動波形の振幅のピークを検出する検出部78と、波形情報およびピーク識別情報を対応付けて送信する通信部71と、を備え、通信端末3は、波形情報およびピーク識別情報を対応付けて受信する通信部31と、波形情報およびピーク識別情報を対応付けてディスプレイ308に表示させる表示制御部33と、を備える。
【0244】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムの一例である管理システム1は、サーバの一例である管理サーバ5と、管理サーバ5と通信可能な情報処理装置の一例である診断装置12および通信端末3を備え、診断装置12は、プレス装置11に設けられたサンプリング周波数が192kHZ以上の加速度センサ27から振動の検知信号を取得する取得部76と、検知信号に基づき、振動に含まれる周波数が10kHZ以上、好ましくは10~60kHZ、より好ましくは25~55kHZの振動波形の振幅のピークを検出する検出部78と、プレス加工した時間を識別する時間識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を管理サーバ5へ送信する通信部71と、を備え、管理サーバ5は、時間識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を情報処理装置から受信し、素材20を識別する被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を通信端末3へ送信する通信部51と、を備え、通信端末3は、被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報を受信する通信部31と、被加工材識別情報に対応付けて、波形情報およびピーク識別情報をディスプレイ308に表示させる表示制御部33と、を備える。
【0245】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、プレス装置11に設けられたサンプリング周波数が192kHZ以上の加速度センサ27から振動の検知信号を取得する検知信号取得ステップと、検知信号に基づき、振動に含まれる周波数が10kHZ以上、好ましくは10~60kHZ、より好ましくは25~55kHZの振動波形の振幅のピークを検出する検出ステップと、を実行する。
【0246】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、貫通工具23により素材20をプレス加工するときの振動に係る情報を表示させる指示操作を受け付ける指示画面の一例である検索ボタン1200、2200に対する指示操作に基づき、貫通工具23により素材20をプレス加工するときの振動の波形を示す波形情報に対応付けて、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報をディスプレイ68、308に表示させる表示ステップを実行する。
【0247】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、貫通工具23により素材20をプレス加工するときの振動の波形を示す波形情報に対応付けて、パンチが被加工材を打撃開始する開始タイミングを識別するタイミング識別情報を外部装置の一例である管理サーバ5、通信端末3に送信する送信ステップを実行する。
【0248】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、以上の情報処理方法をコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0249】
1 管理システム(情報処理システムの一例)
100 通信ネットワーク
11 プレス装置
12 診断装置(情報処理装置の一例)
20 素材(被加工材の一例)
21 下型
22 上型
23 貫通工具(パンチの一例)
27 加速度センサ(振動センサの一例)
28 コントローラ
68 ディスプレイ(表示部の一例)
71 通信部(送信手段の一例)
72 受付部(受付手段の一例)
73 表示制御部(表示制御手段の一例)
74 判断部(判断手段の一例)
75 記憶・読出部(記憶制御手段の一例)
76 取得部(検知情報取得手段の一例)
77 処理部(処理手段の一例)
78 検出部(検出手段の一例)
79 生成部(生成手段の一例)
3000 記憶部(記憶手段の一例)
3001 振動データ管理DB(振動データ管理手段の一例)
3 通信端末(情報処理装置の一例)
31 通信部(受信手段の一例)
32 受付部(受付手段の一例)
33 表示制御部(表示制御手段の一例)
34 判断部(判断手段の一例)
35 記憶・読出部(記憶制御手段の一例)
36 記憶部(記憶手段の一例)
308 ディスプレイ(表示部の一例)
5 管理サーバ(情報処理装置の一例)
51 通信部(送信手段、受信手段の一例)
52 受付部(受付手段の一例)
53 表示制御部(表示制御手段の一例)
54 処理部(処理手段の一例)
55 記憶・読出部(記憶制御手段の一例)
56 生成部(生成手段の一例)
5000 記憶部
5001 振動データ管理DB(振動データ管理手段の一例)
5002 部品データ管理DB(部品データ管理手段の一例)
1000、2100 表示画面
1100、2100 指定画面
1200、2200 検索ボタン(指示画面)
1300、2300 データ表示画面(情報表示画面の一例)
1400、2400 波形表示画面(情報表示画面の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15