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特開2023-111892ビームシステムのための不活性ガス試料移送
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111892
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】ビームシステムのための不活性ガス試料移送
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20230803BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20230803BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20230803BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G01N1/28 F
H01J37/20 A
H01J37/20 D
H01J37/317 D
G01N1/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023011615
(22)【出願日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】17/589,791
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リボル ノヴァク
(72)【発明者】
【氏名】ペトル グライック
(72)【発明者】
【氏名】メレク アンコフスキー
【テーマコード(参考)】
2G052
5C101
【Fターム(参考)】
2G052AA13
2G052AD32
2G052AD52
2G052CA03
2G052CA05
2G052DA13
2G052DA27
2G052EC18
2G052GA35
2G052JA11
5C101AA03
5C101AA32
5C101BB01
5C101CC01
5C101CC17
5C101DD02
5C101DD03
5C101DD36
5C101FF15
5C101FF19
5C101FF22
5C101FF31
5C101FF32
5C101FF46
5C101FF49
5C101FF55
5C101FF56
5C101FF57
5C101FF58
5C101FF59
(57)【要約】
【課題】ビームシステムへ及びビームシステムから不活性ガス環境内で試料を移送するための様々なアプローチを提供する。
【解決手段】試料移送カプセルは、輸送中に試料を貯蔵するように構成された容器であって、閉鎖構成と開放構成との間で調整可能である容器と、容器に結合され、不活性ガスを貯蔵するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバと、不活性ガス貯蔵チャンバ及び容器に結合され、容器が閉鎖構成にあるときに、不活性ガスが不活性ガス貯蔵チャンバから容器に流れることを選択的に可能にするように構成された弁と、を含む。このようにして、試料は、輸送中及びビームシステム真空チャンバが通気されている間、不活性ガス環境において維持され得、それによって、試料の曝露を低減し、その後、試料の酸化又は窒化などの化学反応の速度を低減する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料移送カプセルであって、
輸送中に試料を貯蔵するように構成された容器であって、閉鎖構成と開放構成との間で調整可能である、容器と、
前記容器に結合され、不活性ガスを貯蔵するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバと、
前記不活性ガス貯蔵チャンバ及び前記容器に結合され、前記容器が前記閉鎖構成にあるときに、前記不活性ガスが前記不活性ガス貯蔵チャンバから前記容器に流れることを選択的に可能にするように構成された弁と、を備える、試料移送カプセル。
【請求項2】
開放部分を有する前記容器を形成する本体と、
前記開放部分をカバーし、前記閉鎖構成において前記容器を封止するように構成されたプラットフォームと、を更に備える、請求項1に記載の試料移送カプセル。
【請求項3】
前記本体及び前記プラットフォームが、前記容器内の不活性ガス圧が前記容器の外側の圧力よりも低い場合に封止部を形成するように構成され、前記封止部が、前記容器の外側の圧力が前記容器内の前記不活性ガス圧を下回る場合に開封されるように構成されている、請求項2に記載の試料移送カプセル。
【請求項4】
前記本体及び前記プラットフォームが、前記容器を前記閉鎖構成で封止するそれぞれの連結可能な機構を備える、請求項2又は3に記載の試料移送カプセル。
【請求項5】
前記プラットフォームに結合されたモータを更に備え、前記モータが、前記開放構成と前記閉鎖構成との間で前記容器を調整するために前記プラットフォームを移動させるように制御可能である、請求項2又は3に記載の試料移送カプセル。
【請求項6】
前記試料及び前記プラットフォームが前記本体から離れて荷電粒子ビームシステムのビーム経路内に位置決めされている間に、前記本体が、前記荷電粒子ビームシステムの真空チャンバ内のホルダにドッキングするように構成されている、請求項2又は3に記載の試料移送カプセル。
【請求項7】
前記容器内に装着されたインオペランドホルダを更に備え、前記試料が、前記インオペランドホルダ上に位置決めされ、前記容器が前記開放構成にあるときに、前記試料が、荷電粒子ビームシステムのビーム経路に曝露可能である、請求項2又は3に記載の試料移送カプセル。
【請求項8】
システムであって、
試料を移送するように構成された試料移送カプセルであって、
前記試料を貯蔵するように構成された容器であって、閉鎖構成と開放構成との間で調整可能である容器と、
前記容器に結合され、不活性ガスを貯蔵するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバと、
前記不活性ガス貯蔵チャンバ及び前記容器に結合され、前記容器が前記閉鎖構成にあるときに、前記不活性ガスが前記不活性ガス貯蔵チャンバから前記容器に流れることを選択的に可能にするように構成された弁と、を備える、試料移送カプセルと、
荷電粒子ビームシステムであって、
荷電粒子ビームを生成し、前記試料に向けるように構成された少なくとも1つのカラムと、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に位置決めされ、前記真空チャンバ内で移動可能なステージと、を備える、荷電粒子ビームシステムと、を備え、
前記試料移送カプセルが、前記ステージに装着可能であり、前記試料移送カプセルの前記容器が、前記試料のための不活性ガス環境を提供する前記閉鎖構成から前記開放構成に調整するように構成され、前記試料が、前記容器が前記開放構成にあるときに前記荷電粒子ビームに曝露可能である、システム。
【請求項9】
前記試料移送カプセルが、開放部分を有する前記容器を形成する本体と、前記開放部分をカバーし、前記閉鎖構成において前記容器を封止するように構成されたプラットフォームと、を更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記荷電粒子ビームシステムが、前記真空チャンバ内に装着されたホルダを更に備え、前記プラットフォームが、前記試料移送カプセルの前記本体から取り外し可能であり、前記試料移送カプセルの前記本体が、前記試料移送カプセルを前記荷電粒子ビームから離れて固定するために前記ホルダとドッキング可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プラットフォームが、前記容器内の不活性ガス圧が前記試料移送カプセルを取り囲む大気圧未満であるときに、前記試料移送カプセルの前記本体に取り付けられ、封止する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プラットフォームが、前記プラットフォーム及び前記本体の対応する連結機構を介して前記本体と連結可能であり、前記プラットフォームが、前記プラットフォームが前記プラットフォーム及び前記本体の前記対応する連結機構を介して前記本体上にロックされたときに、前記試料移送カプセルの前記本体に取り付けられ、封止する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1に記載の試料移送カプセルを使用して試料を移送する方法であって、
前記試料移送カプセルを荷電粒子ビームシステムの真空チャンバ内に位置決めすることであって、前記試料移送カプセルが、不活性ガスで充填された前記試料移送カプセルの前記容器内に前記試料を封止する、位置決めすることと、
前記真空チャンバ内に真空を生成するために前記真空チャンバをポンプ圧送することと、
前記試料を荷電粒子ビームに曝露するために前記試料移送カプセルを開放することと、
前記試料移送カプセル内に前記試料を封止するために前記試料移送カプセルを閉鎖することと、
前記試料移送カプセルの前記不活性ガス貯蔵チャンバからの前記不活性ガスで前記容器を充填するために前記試料移送カプセルの前記弁を開放することと、
前記試料移送カプセルを前記真空チャンバから取り外すことと、を含む、方法。
【請求項14】
前記試料を前記荷電粒子ビームに曝露するために前記試料移送カプセルを開放することが、
前記真空チャンバ内に装着されたホルダにおける前記試料移送カプセルの前記容器及び前記不活性ガス貯蔵チャンバをドッキングさせるために前記真空チャンバのステージを制御することと、
前記容器から前記試料移送カプセルのプラットフォームを取り外すために前記ステージを制御することであって、前記試料が前記プラットフォーム上に位置決めされている、制御することと、
前記荷電粒子ビームの経路内に前記試料を位置決めするために前記ステージを制御することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記容器から前記プラットフォームを取り外すために前記ステージを制御することが、前記容器から前記プラットフォームをロック解除するために前記ステージ及び/又はホルダを選択的に移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記容器から前記プラットフォームを取り外すために前記ステージを制御することが、前記真空チャンバの真空圧が前記容器内の不活性ガス圧よりも低くなった後に前記ステージを下げることを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される技術は、概して、ビームシステムのための試料調製に関し、特に、ビームシステムのための不活性ガス環境下での試料の移送に関する。
【背景技術】
【0002】
集束イオンビーム(focused ion beam、FIB)システム及び電子ビームシステムなどの荷電粒子ビームシステムは、荷電粒子ビームを1/10ミクロンよりも小さいスポットに集束させることができるので、微細構造を生成及び変更するために使用される。そのようなビームシステムは、スパッタリング、化学支援イオンビームエッチング、化学支援電子ビームエッチングなどを通して材料を微細加工するために使用され得、更に、試料上に材料を直接堆積させるために使用され得る。このようにして、ビームシステムは、微小電気機械システム(microelectromechanical systems、MEMS)、半導体、及び薄膜電池のマイクロメートル及びナノメートルレベルの製造のために有用である。
【発明の概要】
【0003】
ビームシステムの真空チャンバへ及び真空チャンバから不活性ガス環境内で試料を移送するための様々なアプローチが提供される。一実施例では、装置は、輸送中に試料を貯蔵するように構成された容器であって、閉鎖構成と開放構成との間で調整可能である容器と、不活性ガスを貯蔵するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバと、容器が閉鎖構成にあるときに不活性ガスが不活性ガス貯蔵チャンバから容器に流れることを選択的に可能にするように構成された弁と、を備える。このようにして、試料は、輸送中及びビームシステム真空チャンバが大気に通気されている間、不活性ガス環境において維持され得、それによって、大気への試料の曝露を低減し、その後、試料の酸化又は窒化などの試料の化学反応の可能性及び速度を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
開示される技術の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0005】
図1】実施例による、例示的なビームシステムを例解するブロック図を示す。
図2】実施例による、例示的な試料移送カプセルを例解するブロック図を示す。
図3】実施例による、ビームシステムを用いた撮像のために図2の試料移送カプセルを用いて試料を移送するための例示的な方法を例解するブロック図を示す。
図4】実施例による、ビームシステムを用いた撮像のために図2の試料移送カプセルを用いて試料を移送するための例示的な方法を例解する高レベルフローチャートを示す。
図5】実施例による、別の例示的な試料移送カプセルを例解するブロック図を示す。
図6】実施例による、ビームシステムを用いた撮像のために図5の試料移送カプセルを用いて試料を移送するための例示的な方法を例解するブロック図を示す。
図7】実施例による、ビームシステムを用いた撮像のために図5の試料移送カプセルを用いて試料を移送するための別の例示的な方法を例解する高レベルフローチャートを示す。
図8】実施例による、第1の構成における例示的な試料移送カプセルの斜視図を例解する図を示す。
図9】実施例による、第2の構成における図8の試料移送カプセルの斜視図を例解する図を示す。
図10】実施例による、図8の試料移送カプセルの斜視断面図を例解する図を示す。
図11】実施例による、ビームシステムを用いた撮像のために図8の試料移送カプセルを用いて試料を移送するための例示的な方法を例解する高レベルフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、ビームシステムのための試料を移送することに関する。特に、ビームシステムのための不活性ガス環境下で試料を移送するためのシステム、装置、及び方法が提供される。試料は、図1に描写されるデュアルビームシステムなどの荷電粒子ビームシステムを使用して撮像及び処理され得る。そのようなビームシステムは、試料がビームシステムによって調査又は処理されている間に真空にポンプ圧送される真空チャンバを含むが、試料は、空気に曝露されると、酸化又は窒化などの望ましくない化学変化を受けやすい場合がある。本明細書で更に説明されるように、試料移送カプセルは、試料を保存するためにアルゴンなどの不活性ガス中に完全に浸漬された試料を維持し得る。試料移送カプセルは、真空チャンバが排気されるときに、撮像及び/又は処理するために試料が真空チャンバ内で曝露されることを可能にする。更に、真空チャンバから試料を取り外すときに試料を保存し続けるために、試料移送カプセルは、カプセルが真空チャンバ内に封止されている間に試料移送カプセルが不活性ガスでそれ自体が充填され得るように、不活性ガスを貯蔵する内蔵不活性ガス貯蔵チャンバを含む。試料移送カプセルは、試料移送カプセルの容器と不活性ガス貯蔵チャンバとの間の弁を制御することによって、それ自体が充填され得、試料が、容器内に貯蔵され得る。いくつかの実施例では、弁は、荷電粒子ビームシステムの真空チャンバ内のステージの位置を調整することによって、開放位置と閉鎖位置との間で調整され得る。不活性ガス貯蔵チャンバは、試料移送カプセルが荷電粒子ビームシステムから取り外されるときに、試料移送カプセルの残り部分に取り付けられ得る。更に、試料移送カプセルの容器は、移送中に試料を貯蔵するように構成され、開放構成と閉鎖構成との間で調整可能である。容器は、容器が開放構成にあるときに、真空チャンバ又は大気など、試料移送カプセルを取り囲む容積と流体連通し、容器は、容器が閉鎖構成にあるときに、試料移送カプセルを取り囲む容積と流体連通しない。換言すれば、試料移送カプセルの容器は、閉鎖構成において外部流体連通から封止され、開放構成において外部流体連通から開封され得る。追加的に、本明細書で更に考察されるように、試料移送カプセル内に貯蔵された試料は、容器が開放構成にあるときに荷電粒子ビームによって直接照射され得るが、試料は、容器が閉鎖構成にあるときに荷電粒子ビームによって直接照射され得ない。図2に描写される試料移送カプセルなどの試料移送カプセルの一実施例は、周囲空気圧に対するカプセル内の不活性ガスの圧力に基づいて、カプセル内に試料を封止し得る。図3及び図4に描写される方法などの、ビームシステムへ及びビームシステムから試料を移送するための方法は、このように、試料移送カプセルを開放するために真空チャンバをポンプ圧送することを含み得る。図5に描写される試料移送カプセルなどの、試料移送カプセルの別の実施例は、試料移送カプセルの本体上にプラットフォームを移動させることによって、例えば、本体上にプラットフォームをロックすることによって、例えば、本体上にプラットフォームをねじ込むことによって、カプセル内に試料を封止し得る。したがって、図6及び図7に描写される方法などの、ビームシステムへ及びビームシステムから試料を移送するための方法は、試料移送カプセルをロック解除することによって、試料移送カプセルを開放するために、例えば、プラットフォームを回転させ、ねじを外すことによって、カプセルの本体に対してカプセルのプラットフォームを移動させることを含み得る。図8図10に描写される試料移送カプセルなどの、試料移送カプセルの更に別の実施例は、試料移送カプセルのカバーを作動させるためのモータを含み得る。したがって、図11に描写される方法など、そのような試料移送カプセルを用いてビームシステムへ及びビームシステムから試料を移送するための方法は、カバーを選択的に開放及び閉鎖し、並びに不活性ガスでカプセルを充填するために弁を選択的に制御するように、試料移送カプセルを制御することを含み得る。
【0007】
図1を参照すると、代表的な実施例では、マルチビームシステムは、概して102で示される走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)と、概して104で示されるイオンビームカラムと、を備える、デュアルビームシステム100として構成することができる。SEM102は、集光レンズ116及び対物レンズ106などの1つ以上の荷電粒子ビーム(charged particle beam、CPB)レンズを備えることができる。いくつかの実施例では、1つ以上のCPBレンズは、磁気レンズとすることができ、特に、対物レンズ106は、磁気対物レンズとすることができる。イオンビームカラム104は、集束イオンビーム(FIB)をワークピースWに提供するように配設され、SEM102は、ワークピースWの画像の生成のために位置付けられる。ワークピースWは、本明細書で更に説明するように、試料移送カプセル170を介してデュアルビームシステム100へ及びデュアルビームシステム100から移送される、撮像及び/又は処理される試料を備える。
【0008】
SEM102及びイオンビームカラム104は、ワークピースWを保持するための移動可能位置決めシステム110を収容する真空チャンバ108に装着することができる。真空チャンバ108は、真空チャンバ108に結合された真空ポンプ180などの真空ポンプを使用して排気することができる。以下で更に詳細に考察されるように、位置決めシステム110は、Y軸がページの平面に垂直である、又は代替的に傾斜(tilt、T)軸及び回転(rotation、R)軸に沿っている、座標系150に関して示されているように、X軸、Y軸、及び/又はZ軸に沿って移動可能であり得る。いくつかの実施例では、SEM102は、ワークピースWの上方に垂直に配設することができ、ワークピースWを撮像するために使用することができ、イオンビームカラム104は、ある角度で配設することができ、ワークピースWを機械加工及び/又は処理するために使用することができる。図1は、ワークピースWに対するSEM102及びイオンビームカラム104の例示的な配向を示す。
【0009】
SEM102は、電子源112を備えることができ、電子源112からの「生の」放射線ビームを操作し、それに対して集束、収差緩和、(アパーチャを使用した)クロッピング、フィルタリングなどの動作を実行するように構成することができる。SEM102は、粒子光学軸115に沿って伝搬する入力荷電粒子のビーム114(例えば、電子ビーム)を生成することができる。SEM102の集光レンズ116及び対物レンズ106などの1つ以上のレンズ(例えば、CPBレンズ)は、ワークピースW上にビーム114を集束させるように構成される。いくつかの実施例では、SEM102は、ビーム114を操向するように構成することができる偏向ユニット118を備えることができる。例えば、ビーム114は、調査される試料又は処理されるワークピースを横切る走査運動(例えば、ラスター又はベクトル走査)において操向することができる。
【0010】
デュアルビームシステム100は、とりわけ、偏向ユニット118、荷電粒子ビーム(CPB)レンズ106、116、及び検出器(図示せず)を制御するため、検出器から収集された情報を表示ユニット上に表示するためのコンピュータ処理カプセル及び/又はコントローラ128を更に備えることができる。場合によっては、制御コンピュータ130は、様々な励起を確立し、撮像データを記録し、SEM及びFIBの両方の動作を概して制御するために提供される。
【0011】
イオンビームカラム104は、イオン源(例えば、プラズマ源120)と、イオンビーム光学系122と、を備えることができる。例解される実施例では、イオンビームカラム104は、プラズマ集束イオンビーム(plasma focused ion beam、PFIB)であるが、他の実施例では、イオンビームカラム104は、液体金属イオン源(liquid metal ion source、LMIS)を有する標準集束イオンビーム(FIB)、又は集束イオンビームカラムと互換性のある任意の他のイオン源であることができる。イオンビームカラム104は、イオン光学軸125に沿ってイオンビーム124を生成及び/又は方向付けすることができる。上述のように、イオンカラム104は、切開、フライス加工、エッチング、堆積などの、ワークピースWに対する撮像、処理、及び/又は機械加工操作を実行するために使用することができる。
【0012】
イオンビームがPFIBである実施例では、イオン源120は、それぞれの弁によってイオン源120に結合されたガス源を含むガスマニホールド140を介して複数のガスに流体結合することができる。イオン源120の動作中、ガスを、導入することができ、ガスは、帯電又はイオン化され、それによってプラズマを形成する。次いで、プラズマから抽出されたイオンは、イオンビームカラム104を通して加速され、イオンビームになることができる。他の実施例では、システム100は、1つ以上のレーザ、又は他のタイプのフライス加工ツール若しくは診断ツールを備えることができる。
【0013】
マルチビームシステムが図1に関して本明細書で説明されるが、他の例解的かつ非限定的な実施例では、試料は、FIBカラムのみを有する荷電粒子ビームシステム、SEM若しくは透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)のみを備える他の単一ビーム荷電粒子ビームシステム、又はブロードイオンビーム(broad ion beam、BIB)を装備したシステムの真空チャンバに移送され得ることを理解されたい。
【0014】
上述のように、そのようなマルチビームシステムは、ワークピースWを保持及び位置決めするように構成された位置決めシステム(例えば、ステージ)110を備えることができる。位置決めシステム110は、直線運動(例えば、ワークピース上の分析のために特定の領域を選択するため)、及び/又は角運動若しくは回転運動(例えば、機器に対するワークピースの選択された角度を達成するため)を含む多数の自由度でキャリア要素を位置決め/移動させることができる。
【0015】
本明細書で上述されたように、ワークピースWは、空気中での酸化又は窒化などの試料の化学反応を受けやすい場合がある。本明細書で上述されたように、真空チャンバ108は、真空ポンプ180を用いて排気されるが、ワークピースWは、真空チャンバ108に搬送するときに、及び真空チャンバ108の大気を排気する前に、並びにワークピースWを真空チャンバ108から取り外すときに、ワークピースWが空気に曝露され得る。ワークピースWの酸化又は窒化などの試料の化学反応を回避するために、ワークピースWは、不活性ガス環境においてワークピースWを貯蔵する試料移送カプセル170を介して真空チャンバ108へ及び真空チャンバ108から移送され得る。例えば、試料移送カプセル170は、アルゴン又は別の希ガス下でワークピースWを貯蔵し得るが、不活性化合物ガスがワークピースWの組成に応じて使用され得ることを理解されたい。試料移送カプセル170が真空チャンバ108から取り外され得るように真空チャンバ108を通気する前にワークピースWを不活性ガス環境に固定するために、試料移送カプセル170は、ワークピースWを貯蔵するための容積を画定する区画又は容器を不活性ガスで充填するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバ172を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、ワークピースWは、例えば、デュアルビームシステム100で撮像及び/又は処理する最中に、試料移送カプセル170から分離され得る。例えば、試料移送カプセル170は、真空チャンバ108内に装着されたホルダ175にドッキングされ得る。そのような試料移送カプセル170のための例示的なシステム及び方法は、図2図7に関して本明細書で更に説明される。他の実施例では、試料移送カプセル170は、位置決めステージ110に装着され得、デュアルビームシステム100で撮像及び/又は処理する間、ワークピースWを保持し得る。そのような試料移送カプセル170のための例示的なシステム及び方法は、図8図11に関して本明細書で更に説明される。
【0017】
図2は、実施例による、試料移送カプセル201のための例示的なシステム200を例解するブロック図を示す。試料移送カプセル201は、アルゴンなどの不活性ガス207を貯蔵する不活性ガス容器205を備える。試料移送カプセル201は、本明細書で上述されたワークピースWを備え得る、試料220を貯蔵するための容器208を更に備える。特に、容器208は、試料220を貯蔵するための試料容積212を形成するハウジング又は本体210を備える。描写されるように、本体210は、本体210によって囲まれていない試料容積212の側部を構成する開放部分を有する試料容積212を画定する容器208を形成する。試料移送カプセル201は、試料220がその上に位置決めされる試料ホルダ又はプラットフォーム222を更に備える。本体210とプラットフォーム222との間の空間は、例解的かつ非限定的な実施例としてOリングを備え得るガスケット213によって封止され得る。このようにして、プラットフォーム222は、試料容積212の開放部分をカバーし、試料容積を閉鎖構成で封止するように構成され、プラットフォーム222は、試料容積212を開封するために本体210から取り外し可能である。
【0018】
試料移送カプセル201は、弁209が開放位置にあるときに、不活性ガス容器205内の不活性ガス207が試料容積212に流入することを可能にするように構成された弁209を更に備える。いくつかの実施例では、試料移送カプセル201は、不活性ガス容器205と本体210との間に圧力を加え、それによって、描写されるように閉鎖位置に弁209を保持するように構成された1つ以上の弁ばね215及び216を更に備え得る。閉鎖位置では、不活性ガス207は、不活性ガス容器205から試料容積212に流れない。しかしながら、不活性ガス容器205から試料容積212への不活性ガス207の移送を結合し、選択的に可能にするために、様々な弁付き接続が使用され得ることが理解されるであろう。
【0019】
描写されるように、試料移送カプセル201は、例解的な実施例として移動可能位置決めシステム110を備え得るビームシステムのステージ224上に位置決めされ得る。更に、試料移送カプセル201は、システム200のホルダ230にドッキングするように適合され得る。例えば、ホルダ230は、デュアルビームシステム100の真空チャンバ108内に位置決めされ得、このように、ホルダ230は、ホルダ175を備え得る。ホルダ230は、試料移送カプセル201がホルダ230内に位置決めされたときに試料移送カプセル201を把持するように構成され得る。例えば、ホルダ230は、試料移送カプセル201を把持するように電気機械的に作動され得る。別の実施例として、ホルダ230は、試料移送カプセル201がホルダ230内に上向きに押されたときに試料移送カプセル201をラッチするラッチデバイスを備え得、試料移送カプセル201が再びホルダ230内に上向きに押されたときに、ラッチデバイスは、試料移送カプセル201をラッチ解除する。そのようなラッチデバイスは、異なる実施例では、機械的又は電気的に作動され得る。更に別の実施例として、ホルダ230及び試料移送カプセル201は、試料移送カプセル201が一方の側からホルダ230に挿入され得るように構成され得、ホルダ230は、カプセル201がホルダ230に挿入されるときに、不活性ガス容器205及び本体210を固定するように構成され、そのため、ステージ224がホルダ230から離れて下がるときに本体210がプラットフォーム222から取り外される。
【0020】
移動可能ステージ224は、移送のために試料を不活性ガス環境内に浸漬するために、ビームシステムの真空チャンバ内で選択的に移動され得る。例解的な実施例として、図3は、実施例による、デュアルビームシステム100などのビームシステムを用いた撮像のために試料移送カプセル201を用いて試料を移送するための例示的な方法300を例解するブロック図を示す。
【0021】
方法300は、305で開始する。305において、試料移送カプセル201は、デュアルビームシステム100の真空チャンバ108などのビームシステムの真空チャンバ内のステージ224上に位置決めされる。試料220は、試料容積212内に位置決めされ、試料容積212が、試料移送カプセル201の陰影領域によって描写されるように、不活性ガス207で充填される。試料容積212は、試料移送カプセル201が、例えば、グローブボックス内にある間に不活性ガス207で充填され得、試料容積212内の圧力は、例解的な実施例として1バール未満であり得る。試料移送カプセル201の上部(例えば、本体210及び不活性ガス容器205)、並びに試料移送カプセル201の下部(例えば、プラットフォーム222)は、周囲空気の大気圧がおおよそ1バールであるため、周囲空気の大気圧などの圧力差によって、ガスケット213を介して一緒に押され、封止される。ステージ224は、ホルダ230の下に試料移送カプセル201を位置決めするように制御される。
【0022】
310において、ステージ224は、ホルダ230内で試料移送カプセル201をドッキングさせるために、上向き(例えば、+z)方向に移動する。試料移送カプセル201がホルダ230内にドッキングされている間、真空チャンバは、空気を排気するためにポンプ圧送され、このように、真空チャンバ内の圧力を低下させる。真空チャンバに対する試料容積212内の不活性ガスの結果として生じる過圧は、このように、試料移送カプセル201を開放するのに役立つ。
【0023】
このように、315において、ステージ224は、試料移送カプセル201の上部がホルダ230内にドッキングされている間に、下向き(例えば、-z)方向に移動するように制御される。試料容積212が開封されると、プラットフォーム222及び試料220は、試料移送カプセル201の上部から解放される。320において、ステージ224は、SEMカラム及び/又はFIBカラム322のビーム経路内に試料220を位置決めするために方向(例えば、例解的かつ非限定的な実施例として+x方向)に移動するように制御される。試料220は、このように、カラム322を制御することによって撮像及び/又は成形され得る。
【0024】
試料220を撮像及び/又は成形した後、ステージ224は、ドッキングされた試料移送カプセル201に戻る(例えば、例解的かつ非限定的な実施例として-x方向に)ために、325で制御される。描写されるように、試料容積212は、不活性ガスで充填されていない。しかしながら、試料容積212は、ガスケット213によって封止され、試料220の周囲で高真空である。
【0025】
330において、ステージ224は、不活性ガス207が試料220を取り囲む試料容積212を充填するために不活性ガス容器205から流れるように、弁209を開放するために上向き(例えば、+z)方向に移動するように制御される。描写されるように、ステージ224の上向きの運動は、弁209を開放するためにばね215及び216を圧縮する。試料容積212を不活性ガス207で充填した後、試料容積212及び不活性ガス容器205内の全圧は、1バールよりわずかに低い。ビームシステムの真空チャンバは、次いで、周囲圧力が大気圧(例えば、1バール)に達するまで通気され、それによって、試料容積212を封止し、試料移送カプセル201を一緒に保持する。
【0026】
335において、ステージ224は、ホルダ230から離れて下向き(例えば、-z)方向に移動して、ホルダ230から試料移送カプセル201を取り外すように制御される。次いで、試料移送カプセル201は、例えば、試料220をグローブボックス、別のビームシステム、イオン研磨機、又は別のシステムに移送するために、真空チャンバから取り外され得、試料220は、そのような移送中、封止された試料容積212の不活性ガス環境内に維持される。
【0027】
試料移送カプセル201が不活性ガス環境下で試料を移送するためにどのように使用され得るかを更に例解するために、図4は、実施例による、デュアルビームシステム100などのビームシステムを用いた撮像及び/又は成形のために試料移送カプセル201を用いて試料を移送するための例示的な方法400を例解する高レベルフローチャートを示す。方法400は、コントローラ128の非一時的メモリに格納された実行可能命令として実装され得、命令は、例解的かつ非限定的な実施例として、コントローラ128によって実行されるときに、コントローラ128に本明細書に説明される動作を実行させるが、本明細書で更に考察されるように動作の1つ以上がビームシステムのオペレータによって手動で実行され得ることを理解されたい。
【0028】
方法400は、405で開始する。405において、方法400は、試料移送装置又は試料移送カプセルをビームシステムのステージ上に位置決めする。試料移送カプセルは、例えば、オペレータによって、ビームシステムのステージ上に手動で位置決めされ得、又は自動化された設定では、試料移送カプセルは、実施例としてロボットアームを介してビームシステムのステージ上に自動的に位置決めされ得る。試料移送カプセルは、ビームシステムを用いて撮像及び/若しくは成形され、又は別様に処理される試料を含み、試料は、試料移送カプセル内のアルゴンなどの不活性ガス内に浸漬され、試料容積内の不活性ガス圧は、試料移送カプセルが周囲空気のより高い大気圧に起因して封止されるように、大気圧未満である。
【0029】
410において、方法400は、ホルダ175又は230などのビームシステムのホルダ内に移送カプセル又は試料移送カプセルを位置決めするために、ステージ位置を制御する。試料移送カプセルは、ホルダが試料移送カプセルを把持又はラッチするように、ホルダ内にドッキングされ得る。415において、方法400は、真空チャンバが真空圧に達するまで、例えば、1つ以上の真空ポンプ180を使用して、真空チャンバをポンプ圧送する。試料移送カプセルは、試料容積内の不活性ガスの過圧に起因して、真空チャンバの圧力が試料移送カプセルの試料容積内の不活性ガス圧未満になると、開封し始める。420において、方法400は、例えば、試料220がその上に位置決めされたプラットフォーム222を試料移送カプセル201の残りの部分から離れるように下げることによって、試料移送カプセル又は試料移送装置を開放するためにステージ位置を制御する。
【0030】
次いで、425において、方法400は、ビームシステムのビーム経路内に試料を位置決めするために、ステージ位置を制御する。その後、430において、方法400は、試料の撮像及び/又は成形を実行するために、ビームシステムを制御する。
【0031】
試料の撮像及び/又は他の処理が完了すると、方法400は、435に続く。435において、方法400は、例えば、試料220がその上に位置決めされたプラットフォーム222を移動させて、試料移送カプセル201の上部に戻して、プラットフォーム222を本体210及び/又はガスケット213に対して押すことによって、試料移送カプセル又は試料移送装置を閉鎖するためにステージ位置を制御する。次いで、440において、方法400は、試料容積をアルゴンなどの不活性ガスで充填するために、ステージ位置を制御する。例えば、方法400は、上向きに移動するためにステージ位置を制御し得、それによって、不活性ガス207が不活性ガス容器205から試料容積212に流れるように、弁209を開放するために弁ばね215及び216を圧縮する。方法400は、例えば、試料容積212が不活性ガス207で充填されることを可能にするために、閾値時間量の間、上向きに押し、次いで、閾値時間量が経過すると、弁209を開放状態に保持するために上向きに押すことを停止し得る。代替的に、試料容積212の圧力が、試料体積が所望の不活性ガス圧にいつ到達するかを判定するために圧力センサを介して監視され得、その時点で、方法400は、弁209を開放状態に保持するために上向きへ押すことを停止し得ることを理解されたい。いくつかの実施例では、不活性ガス容器205は、例えば、何バールもの不活性ガス207を再充填する前に、多数の加圧サイクル及び/又はカプセル移送のために十分なアルゴンを貯蔵することができる。
【0032】
試料容積を不活性ガスで充填した後、方法400は、445に続き、方法400は、真空チャンバを大気圧に通気し、それによって、真空チャンバ及び試料容積の相対圧力に起因して試料移送装置又は移送カプセルを封止する。450において、方法400は、試料移送カプセルをホルダから離して位置決めするために、ステージ位置を制御する。455において、方法400は、試料移送装置又は移送カプセルをステージから取り外す。試料移送カプセルは、例えば、オペレータによって、ビームシステムのステージから手動で取り外され得、又は自動化された設定では、試料移送カプセルは、本明細書で上述されたロボットアームを介してビームシステムのステージから自動的に取り外され得る。次いで、方法400は、戻る。
【0033】
このように、試料が周囲大気圧に対する試料容積の不活性ガス圧に起因して不活性ガス環境内に封止される、試料移送カプセルが提供される。試料移送カプセルは、試料を不活性ガス環境内に維持しながら、試料がビームシステムの真空チャンバへ及び真空チャンバから移送されることを可能にし、それによって、大気への試料の曝露を低減する。
【0034】
試料移送カプセル201は、不活性ガス圧が大気圧よりも低いときに試料容積内の試料を大気から封止するが、他の実施例では、試料移送カプセルは、試料容積内の不活性ガス圧が大気圧を上回るときであっても、試料を大気から封止し得る。例解的かつ非限定的な実施例として、図5は、試料容積512内の不活性ガス圧に関わらず、試料容積512内に試料520を封止する、実施例による、別の試料移送カプセル501のための例示的なシステム500を例解するブロック図を示す。試料移送カプセル201と同様に、試料移送カプセル501は、アルゴンなどの不活性ガス507を貯蔵する不活性ガス容器505と、本明細書で上述されたワークピースWを備え得る、試料520を貯蔵するための試料容積512を形成するハウジング又は本体510を備える容器508と、を備える。試料移送カプセル501は、試料520がその上に位置決めされる試料ホルダ又はプラットフォーム522を更に備える。容器508の一方の側は、試料移送カプセル501の容器508が閉鎖構成にあるときにプラットフォーム522によってカバーされる開放部分又は開放側を備える。そのような閉鎖構成では、本体510とプラットフォーム522との間の空間は、試料容積512を封止するために、例解的かつ非限定的な実施例としてOリングを備え得るガスケット513によって封止され得る。
【0035】
試料移送カプセル501は、弁509が開放位置にあるときに、不活性ガス容器505内の不活性ガス507が試料容積512に流入することを可能にするように構成された弁509を更に備える。試料移送カプセル501は、不活性ガス容器505と本体510との間に圧力を加え、それによって、描写されるように閉鎖位置に弁509を保持するように構成された1つ以上の弁ばね515及び516を更に備え得る。閉鎖位置では、不活性ガス507は、不活性ガス容器505から試料容積512に流れない。
【0036】
描写されるように、試料移送カプセル501は、例解的な実施例として移動可能位置決めシステム110を備え得るビームシステムのステージ524上に位置決めされ得る。更に、試料移送カプセル501は、システム500のホルダ530にドッキングするように適合され得る。例えば、ホルダ530は、デュアルビームシステム100の真空チャンバ108内に位置決めされ得、このように、ホルダ530は、ホルダ175を備え得る。ホルダ530は、試料移送カプセル501がホルダ530内に位置決めされたときに試料移送カプセル501を把持するように構成され得る。例えば、ホルダ530は、試料移送カプセル501を把持するように電気機械的に作動され得る。別の実施例として、ホルダ530は、試料移送カプセル501がホルダ530内に上向きに押されたときに試料移送カプセル501をラッチするラッチデバイスを備え得、ラッチデバイスは、試料移送カプセル501が再びホルダ530内に上向きに押されたときに試料移送カプセル501をラッチ解除する。そのようなラッチデバイスは、異なる実施例では、機械的又は電気的に作動され得る。
【0037】
更に、本体510及びプラットフォーム522は、本体510及びプラットフォーム522を連結させるように構成されたそれぞれの連結機構519及び529を備える。連結機構519及び529は、プラットフォーム522が選択的に移動されて本体510に結合されるときに、本体510とプラットフォーム522とを機械的に連結するように構成された、ねじ山、ラッチ、バヨネット(bayonet)などの機械連結機構を備え得る。例えば、連結機構519及び529が対応するねじ山又は対応する螺旋構造を備える実施例では、プラットフォーム522は、ねじ山が面共有接触するように、本体510に対してプラットフォーム522を回転させることによって、本体510に結合され得る。換言すれば、プラットフォーム522は、いくつかの実施例では、本体510にねじ留めされ得る。例えば、プラットフォーム522が連結機構(例えば、ねじ山)519及び529を介して本体510に結合する場合、試料移送カプセル501は、周囲大気に対する試料容積512内の不活性ガスの相対圧力に関わらず封止され得る。このように、試料容積512内の不活性ガス圧は、所望される場合、1バールを上回り得る。他の実施例では、連結機構519及び529は、連結機構519及び529が面共有接触状態にあるときにプラットフォーム522を本体510にロックするように構成された電磁ロックを備え得る。例えば、連結機構519又は529の一方は、電磁石を備え得、他方の連結機構519又は529は、電機子台板を備え得る。概して、連結機構519及び529は、連結機構519及び529が互いに対して選択的に移動されるときにプラットフォーム522を本体510に嵌合及びロックするように構成されている。
【0038】
図2及び図5は、それぞれ、試料移送カプセル201及び501の断面図を描写し、試料移送カプセル201及び501は、例解的かつ非限定的な実施例として、円筒形状、矩形形状、又は別の形状を備え得ることを理解されたい。
【0039】
移動可能ステージ524は、移送のために試料を不活性ガス環境内に浸漬するために、ビームシステムの真空チャンバ内で選択的に移動され得る。更に、移動可能ステージ524は、連結機構519及び529をロックするために本体510に対してプラットフォーム522を移動することによって、試料移送カプセル501を開放及び閉鎖するために選択的に移動され得、それによってプラットフォーム522を本体510にロックする。例解的な実施例として、図6は、実施例による、デュアルビームシステム100などのビームシステムを用いた撮像のために試料移送カプセル501を用いて試料を移送するための例示的な方法600を例解するブロック図を示す。
【0040】
方法600は、605で開始する。605において、試料移送カプセル501は、デュアルビームシステム100の真空チャンバ108などのビームシステムの真空チャンバ内のステージ524上に位置決めされる。試料520は、試料容積512内に位置決めされ、試料容積512が、試料移送カプセル501の陰影領域によって描写されるように、不活性ガス507で充填される。試料容積512は、試料移送カプセル501が、例えば、グローブボックス内にある間に不活性ガス507で充填され得、試料容積512内の圧力は、例解的な実施例として1バール未満、1バールに等しく、又は所望される場合、1バールより大きくなり得る。試料移送カプセル501の上部(例えば、本体510及び不活性ガス容器505)及び試料移送カプセル501の下部(例えば、プラットフォーム222)は、連結機構519及び529を介して一緒に結合され、ガスケット513を介して封止される。ステージ524は、ホルダ530の下に試料移送カプセル501を位置決めするように制御される。
【0041】
610において、方法600は、ホルダ530内に試料移送カプセル501をドッキングさせるために、試料移送カプセル501を上向き(例えば、+z)方向に移動する。ビームシステムの真空チャンバは、真空チャンバから大気ガスを排気するために、ホルダ530内に試料移送カプセル501をドッキングしている間にポンプ圧送され得る。ホルダ530が試料移送カプセル501の上部を把持している間に、ステージ524は、プラットフォーム522を本体510からロック解除するためにプラットフォーム522を移動し、このように、試料移送カプセル501を開放する。例えば、連結機構519及び529がねじ山を備える場合、ステージ524は、プラットフォーム522を本体510からねじを外すために、回転し、下がり得る。615において、方法600は、プラットフォーム522及び試料520を試料移送カプセル501の上部から離れて下向き(例えば、-z)方向に下げるために、ステージ524を制御する。次いで、620において、方法600は、例えば、プラットフォーム522を(例えば、非限定的な実施例として+x方向に)平行移動させることによって、撮像及び/又は成形のためにビームカラム622のビーム経路内に試料520を位置決めするために、ステージ524を制御する。
【0042】
625において、試料520の撮像及び/又は成形の後、方法600は、例えば、プラットフォーム522を(例えば、非限定的な実施例として-x方向に)平行移動させ、ホルダ530にドッキングされた本体510に向かって上向き(例えば、+z)方向にプラットフォーム522を上げることによって、試料520及びプラットフォーム522を試料移送カプセル501の本体510に戻すようにステージ524を制御する。特に、方法600は、プラットフォーム522が連結機構519及び529を介して本体510上にロックされるように、その上にプラットフォーム522を有するステージ524を移動させることによって、試料移送カプセル501を閉鎖及び封止する。一実施例として、方法600は、連結機構519及び529が対応するねじ山を備える実施例では、プラットフォーム522を本体510上にねじ留めするためにステージ524を移動し得る。
【0043】
630において、方法600は、上向き(例えば、+z)方向に移動するためにステージ524を制御し、それによって、不活性ガス507が不活性ガス容器505から試料容積512に流れるように、弁509を開放するために弁ばね515及び516を圧縮する。試料容積512を不活性ガス507で充填した後、635において、方法600は、試料移送カプセル501をホルダ530から離れるように下向き(例えば、-z)方向に下げる。その中に不活性ガス環境内に封止された試料520を有する試料移送カプセル501は、次いで、ステージ524から、したがって、ビームシステムから取り外され得る。
【0044】
試料移送カプセル501が不活性ガス環境下で試料を移送するためにどのように使用され得るかを更に例解するために、図7は、実施例による、デュアルビームシステム100などのビームシステムを用いて撮像及び/又は成形するために試料移送カプセル501を用いて試料を移送するための例示的な方法700を例解する高レベルフローチャートを示す。方法700は、コントローラ128の非一時的メモリに格納された実行可能命令として実装され得、命令は、例解的かつ非限定的な実施例として、コントローラ128によって実行されるときに、コントローラ128に本明細書に説明される動作を実行させるが、本明細書で更に考察されるように動作の1つ以上がビームシステムのオペレータによって手動で実行され得ることを理解されたい。
【0045】
方法700は、705で開始する。705において、方法700は、試料移送装置又は移送カプセルをビームシステムのステージ上に位置決めする。試料移送カプセルは、例えば、オペレータによって、ビームシステムのステージ上に手動で位置決めされ得、又は自動化された設定では、試料移送カプセルは、実施例としてロボットアームを介してビームシステムのステージ上に自動的に位置決めされ得る。試料移送カプセル501を備え得る試料移送カプセルは、ビームシステムを用いて撮像及び/若しくは成形され、又は別様に処理される試料を貯蔵し、試料は、試料移送カプセルにおけるアルゴンなどの不活性ガス内に浸漬される。
【0046】
710において、方法700は、ホルダ175又は530などのビームシステムのホルダ内に移送カプセル又は試料移送装置を位置決めするために、ステージ位置を制御する。試料移送カプセルは、ホルダが試料移送カプセルを把持又はラッチするように、ホルダ内にドッキングされ得る。715において、方法700は、真空チャンバ内の大気を排気するために、例えば、1つ以上の真空ポンプ180を使用して、真空チャンバをポンプ圧送する。大気が真空チャンバから排気されると、試料は、真空チャンバ内で曝露され得る。そのために、720において、方法700は、例えば、試料520がその上に位置決めされたプラットフォーム522を移動させて本体510からプラットフォーム522をロック解除し、次いで、プラットフォーム522を試料移送カプセル501の本体510から離れるように下げることによって、移送カプセル又は試料移送装置をロック解除及び開放するためにステージ位置を制御する。一実施例として、方法700は、連結機構519及び529がねじ山を備える実施例では、プラットフォーム522を本体510から螺旋状に回転させるか又はねじを外すことによって、プラットフォームを移動し得る。不活性ガスは、試料移送カプセルが開放されるにつれて真空チャンバ内で消散するか、又はいくつかの実施例では、試料移送カプセルは、不活性ガスもまた真空チャンバから排気されるように、真空ポンプ180が真空チャンバをポンプ圧送している間に、開封及び開放され得る。
【0047】
続いて、725において、方法700は、ビームシステムのビーム経路内に試料を位置決めするために、ステージ位置を制御する。その後、730において、方法700は、試料の撮像及び/又は成形を実行するために、ビームシステムを制御する。
【0048】
試料の撮像及び/又は他の処理が完了した後、方法700は、735に続く。735において、方法700は、例えば、試料520がその上に位置決めされたプラットフォーム522を移動して、試料移送カプセル501の本体510に戻し、本体510上にプラットフォーム522をロックするために上向きに移動させながら、プラットフォーム522を本体510に対して移動させることによって、移送カプセル又は試料移送装置をロックし、閉鎖し、したがって、封止するために、ステージ位置を制御する。試料移送カプセルを閉鎖及び封止した後、740において、方法700は、試料容積をアルゴンなどの不活性ガスで充填するために、ステージ位置を制御する。例えば、方法700は、上向きに移動するためにステージ位置を制御し得、それによって、不活性ガス507が不活性ガス容器505から試料容積512に流れるように、弁509を開放するために弁ばね515及び516を圧縮する。方法700は、例えば、試料容積512が不活性ガス507で充填されることを可能にするために、閾値時間量の間、上向きに押すようにステージを制御し得、次いで、閾値時間量が経過すると、弁509を開放状態に保持するために上向きに押すことを停止し得る。代替的に、試料容積512の圧力が、試料容積が所望の不活性ガス圧にいつ到達するかを判定するために圧力センサを介して監視され得、その時点で、方法700は、弁509を開放状態に保持するために、ステージを制御して上向きに押すことを中断し得ることを理解されたい。
【0049】
試料容積を不活性ガスで充填した後に、方法700は、745に続き、方法700は、真空チャンバを大気圧に通気する。750において、方法700は、試料移送カプセルをホルダから離して位置決めするために、ステージ位置を制御する。755において、方法700は、試料移送装置又は移送カプセルをステージから取り外す。試料移送カプセルは、例えば、オペレータによって、ビームシステムのステージから手動で取り外され得、又は自動化された設定では、試料移送カプセルは、本明細書で上述されたロボットアームを介してビームシステムのステージから自動的に取り外され得る。次いで、方法700は、戻る。
【0050】
このように、試料がプラットフォームをカプセルの本体上に機械的又は電磁的にロックすることによって不活性ガス環境内に封止される、試料移送カプセルが提供される。試料移送カプセルは、試料を不活性ガス環境内に維持しながら、試料がビームシステムの真空チャンバへ及び真空チャンバから移送されることを可能にし、それによって、大気への試料の曝露を低減する。
【0051】
本明細書で上述された試料移送カプセルは、試料がビームシステムによって処理されている間、ビームシステム内のホルダにドッキングされるが、いくつかの実施例では、試料移送カプセルは、試料が撮像及び/又は成形されている間、ステージ上にドッキングされ得ることを理解されたい。例解的かつ非限定的な実施例として、図8図10は、試料920の撮像及び/又は成形中にステージ上に装着され得る例示的な試料移送801を例解する。特に、図8は、実施例による、第1の閉鎖構成における例示的な試料移送カプセル801の斜視図800を例解する図を示し、図9は、第2の開放構成における試料移送カプセル801の斜視図900を例解する図を示す。図10は、第1の閉鎖構成における試料移送カプセル801の斜視断面図1000を例解する図である。本明細書で上述された移送カプセル201及び501と同様に、試料移送カプセル801は、不活性ガスを貯蔵する不活性ガス容器805と、試料容積912を形成する本体810を備える容器808と、を備える。試料移送カプセル801は、不活性ガス容器805から試料容積912への不活性ガスの流れを可能にするように構成された弁809を更に備える。弁809は、弁809の選択的制御を可能にするように、電気的又は空気圧的に駆動され得る。試料920は、試料容積912内に位置決めされる。試料920は、スタブ(stub)928上に、又は、インオペランド(in-operando)ホルダ921上に位置決めされ得る。インオペランドホルダ921は、荷電粒子ビームによる撮像又は処理中に試料920を刺激するために使用することができる。試料920は、例えば、電場、磁場、電磁波によって、又はインオペランドホルダ921上での加熱/冷却によって刺激することができる。例えば、インオペランドホルダ921は、試料領域において多数の接触部を装備することができ、試料920と真空チャンバの外側に配置された試験デバイスとの電気的接続を可能にする。この実施例では、インオペランドホルダ921は、例解的かつ非限定的な実施例として、試料920の電気バイアスのために、及び試料920から来る信号の感知のために、使用することができる。
【0052】
試料移送カプセル801は、第1の閉鎖構成において容器808の試料容積912をカバーし、かつ封止するように適合されたプラットフォーム又は蓋815を更に備え、いくつかの実施例では、Oリングなどのガスケット(図示せず)は、蓋815が第1の構成にあるときに試料容積912を封止するために試料容積912の上部を取り囲む空洞913内に配置され得る。蓋815は、真空封止ガラスを備える窓817を含み得る。試料移送カプセル801は、蓋815に結合されたモータ850を更に備え、モータ850が、試料容積912が容器808の開放側又は開放部分を介して曝露されるように、図8に描写される第1の閉鎖構成と図9に描写される第2の開放構成との間で蓋815を調整するように制御可能である。モータ850は、例解的かつ非限定的な実施例として、シャフト852を介して蓋815に結合され得る。
【0053】
試料移送カプセル801は、ステージ又は位置決めシステム110などのステージに試料移送カプセル801を確実に結合するためのステージアダプタ1032を有するステージプラットフォーム830を更に備える。不活性ガス容器805から試料容積912に不活性ガスを流すための弁809に加えて、試料移送カプセル801は、不活性ガス容器805を充填するための弁1054を更に備える。
【0054】
試料移送カプセル801は、実施例として、ビームシステムフィードスルーを通して接続されたケーブル(図示せず)に電気的に結合され得る電気的接続部840を更に備える。電気的接続部840は、例えば、電力及びインオペランドホルダ921の制御を提供し得、いくつかの実施例では、モータ850、弁809、弁1054、及び試料容積912内の任意の電気デバイス(例えば、圧力計、センサなど)のうちの1つ以上に電力及び制御を更に提供し得る。例えば、試料移送カプセル801は、例えば、電気的接続部840を介して、コントローラ128に電気的かつ通信可能に結合され得る。このようにして、弁809、モータ850、インオペランドホルダ921、及び弁1054のうちの1つ以上は、1つ以上の動作を実行するために制御され得る。例えば、コントローラ128は、試料920の撮像及び/又は他の処理を可能にするために、蓋815を開放するためにモータ850に命令し得る。試料920のそのような処理の後、コントローラ128は、蓋815を閉鎖するためにモータ850に更に命令し得、次いで、コントローラ128は、不活性ガスが不活性ガス容器805から試料空間912に流れるように、開放するように弁809に命令し得る。このように、試料移送カプセル801の電気的接続部840は、試料移送カプセル801が、ステージ110の位置を制御することなく、移送中に試料920のための不活性ガス環境を提供することを可能にする。
【0055】
不活性ガス環境下で試料を移送するための試料移送カプセル801の使用を例解するために、図11は、ビームシステム100などのビームシステムを用いて撮像及び/又は成形するために試料移送カプセル801を用いて試料を移送するための例示的な方法1100を例解する高レベルフローチャートを示す。方法1100は、コントローラ128の非一時的メモリに格納された実行可能命令として実装され得、命令は、例解的かつ非限定的な実施例として、コントローラ128によって実行されるときに、コントローラ128に本明細書に説明される動作を実行させる。
【0056】
方法1100は、1105で開始する。1105において、方法1100は、移送カプセル又は試料移送装置をビームシステムのステージ上に位置決めする。例えば、オペレータは、デュアルビームシステム100のステージ又は位置決めシステム110上に試料移送カプセル801を手動で位置決めし得る。他の実施例では、方法1100は、例解的かつ非限定的な実施例として、試料移送カプセル801を位置決めシステム110上に位置決めするために、ロボットアームを自動的に制御し得る。試料移送カプセル801は、ステージプラットフォームアダプタ1032を介してステージに結合され得る。更に、試料移送カプセル801は、蓋815が試料容積912をカバー及び封止する閉鎖構成にあり、試料容積912は、不活性ガスで充填される。試料移送カプセル801をステージ上に位置決めする前に、又は試料移送カプセル801をステージ上に位置決めした後に、ケーブルは、試料移送カプセル801とビームシステム100のコントローラ128などのコントローラとの電気通信を提供するために、試料移送カプセル801の電気的接続部840に結合され得る。
【0057】
1110において、方法1100は、ビームシステム100の真空チャンバ108をポンプ圧送するために、真空ポンプ180などのポンプを制御する。真空ポンプ180で真空チャンバ108を排気した後に、方法1100は、1115に続く。1115において、方法1100は、試料移送カプセル801の蓋815を開放するために、試料移送カプセル801のモータ850を制御する。試料容積912内の不活性ガスは、このように、真空チャンバ108内で消散し得、また、蓋815が開放されているときに方法1100が真空ポンプ180を制御し続ければ、真空ポンプ180を介して排気され得る。
【0058】
1120において、方法1100は、試料920をビーム経路内に位置決めするために、ステージ位置を制御する。例えば、方法1100は、試料920をSEM102及び/又はFIBカラム104のビーム経路内に位置決めするために、位置決めシステム110を制御し得る。1125において、方法1100は、試料920の撮像及び/又は成形を実行するために、ビームシステム100を制御する。
【0059】
試料920を撮像及び/又は成形した後に、方法1100は、1130に続く。1130において、方法1100は、蓋815を閉鎖するために、試料移送カプセル801のモータ850を制御する。例えば、方法1100は、蓋815が試料容積912をカバー及び封止する閉鎖位置に蓋815の位置を調整するために、モータ850を制御する。
【0060】
蓋815を閉鎖し、試料容積912を封止した後に、方法1100は、1135に続く。1135において、方法1100は、試料容積912を不活性ガス容器805からの不活性ガスで充填するために、試料移送カプセル801の弁809を制御する。試料容積912における高真空を不活性ガスで置換した後に、方法1100は、1140に続き、方法1100は、真空チャンバ108を通気する。
【0061】
1145において、方法1100は、試料移送カプセルをステージから取り外す。例えば、試料移送カプセル801は、ステージ又は位置決めシステム110から手動又は自動で取り外され得る。次いで、試料移送カプセルは、試料920を不活性ガス環境内に維持しながら、真空チャンバ108から取り外され得、グローブボックス、別のビームシステムなどに輸送され得る。次いで、方法1100は、戻る。
【0062】
このように、ビームシステムの真空チャンバへ及び真空チャンバから封止された不活性ガス環境内で試料を移送するための様々なシステム、装置、及び方法が提供される。
【0063】
第1の実施例では、試料移送カプセルは、輸送中に試料を貯蔵するように構成された容器であって、閉鎖構成と開放構成との間で調整可能である容器と、容器に結合され、不活性ガスを貯蔵するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバと、不活性ガス貯蔵チャンバ及び容器に結合され、容器が閉鎖構成にあるときに、不活性ガスが不活性ガス貯蔵チャンバから容器に流れることを選択的に可能にするように構成された弁と、を備える。
【0064】
試料移送カプセルの第1の実施例では、試料移送カプセルは、開放部分を有する容器を形成する本体と、開放部分をカバーし、閉鎖構成において容器を封止するように構成されたプラットフォームと、を更に備える。第1の実施例を任意選択的に含む試料移送カプセルの第2の実施例では、本体及びプラットフォームは、容器内の不活性ガス圧が容器の外側の圧力よりも低い場合に封止部を形成するように構成され、封止部が、容器の外側の圧力が容器内の不活性ガス圧を下回る場合に開封されるように構成されている。第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む試料移送カプセルの第3の実施例では、本体及びプラットフォームは、容器を閉鎖構成で封止するそれぞれの連結可能な機構を備える。第1~第3の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む試料移送カプセルの第4の実施例では、試料移送カプセルは、プラットフォームに結合されたモータを更に備え、モータは、開放構成と閉鎖構成との間で容器を調整するためにプラットフォームを移動させるように制御可能である。第1~第4の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む試料移送カプセルの第5の実施例では、本体は、荷電粒子ビームシステムの真空チャンバ内のホルダに、試料及びプラットフォームが本体から離れて荷電粒子ビームシステムのビーム経路内に位置決めされている間にドッキングするように構成されている。第1~第5の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む試料移送カプセルの第6の実施例では、不活性ガス貯蔵チャンバは、本体と共にホルダにドッキングされるか、又は不活性ガス貯蔵チャンバは、本体がホルダにドッキングされている間にプラットフォームに結合される。第1~第6の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む試料移送カプセルの第7の実施例では、試料移送カプセルは、容器内に装着されたインオペランドホルダを更に備え、試料は、インオペランドホルダ上に位置決めされ、容器が開放構成にあるときに、試料は、荷電粒子ビームシステムのビーム経路に曝露可能である。第1~第7の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む試料移送カプセルの第8の実施例では、不活性ガスは、アルゴンを含む。
【0065】
別の実施例では、システムは、試料を輸送するように構成された試料移送カプセルと、荷電粒子ビームシステムと、を備える。この実施例では、試料移送カプセルは、試料を貯蔵するように構成された容器であって、閉鎖構成と開放構成との間で調整可能である容器と、容器に結合され、不活性ガスを貯蔵するように構成された不活性ガス貯蔵チャンバと、不活性ガス貯蔵チャンバ及び容器に結合され、容器が閉鎖構成にあるときに、不活性ガスが不活性ガス貯蔵チャンバから容器に流れることを選択的に可能にするように構成された弁と、を備える。更に、この実施例では、荷電粒子ビームシステムは、荷電粒子ビームを生成し、試料に向けるように構成された少なくとも1つのカラムと、真空チャンバと、真空チャンバ内に位置決めされ、真空チャンバ内で移動可能なステージと、を備える。この例示的なシステムでは、試料移送カプセルは、ステージに装着可能であり、試料移送カプセルの容器は、ガスが真空チャンバから排気されるときに試料のための不活性ガス環境を提供する閉鎖構成から開放構成に調整するように構成され、試料は、容器が開放構成にあるときに荷電粒子ビームに曝露可能である。容器が開放構成にあるときに、容器は、真空チャンバのポンプ圧送システムを使用して真空にするためにポンプ圧送され得る。
【0066】
システムの第1の実施例では、試料移送カプセルは、開放部分を有する容器を形成する本体と、開放部分をカバーし、閉鎖構成において容器を封止するように構成されたプラットフォームと、を更に備える。第1の実施例を任意選択的に含むシステムの第2の実施例では、荷電粒子ビームシステムは、真空チャンバ内に装着されたホルダを更に備え、プラットフォームは、試料移送カプセルの本体から取り外し可能であり、試料移送カプセルの本体は、試料移送カプセルを荷電粒子ビームから離れて固定するためにホルダとドッキング可能である。第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含むシステムの第3の実施例では、プラットフォームは、容器内の不活性ガス圧が試料移送カプセルを取り囲む大気圧未満であるときに、試料移送カプセルの本体に取り付けられ、封止する。第1~第3の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含むシステムの第4の実施例では、プラットフォームは、プラットフォーム及び本体の対応する連結機構を介して本体と連結可能であり、プラットフォームがプラットフォーム及び本体の対応する連結機構を介して本体上にロックされたときに、プラットフォームは、試料移送カプセルの本体に取り付けられ、封止する。第1~第4の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含むシステムの第5の実施例では、試料移送カプセルは、プラットフォームに結合され、開放構成と閉鎖構成との間で容器を調整するためにプラットフォームを移動させるように構成されたモータを更に備える。
【0067】
更に別の実施例では、方法は、試料移送カプセルを荷電粒子ビームシステムの真空チャンバ内に位置決めすることであって、試料移送カプセルが、不活性ガスで充填された試料移送カプセルの容器内に試料を封止する、位置決めすることと、真空チャンバ内に真空を生成するために真空チャンバをポンプ圧送することと、試料を荷電粒子ビームに曝露するために試料移送カプセルを開放することと、試料移送カプセル内に試料を封止するために試料移送カプセルを閉鎖することと、試料移送カプセルの不活性ガス貯蔵チャンバからの不活性ガスで容器を充填するために試料移送カプセルの弁を開放することと、試料移送カプセルを真空チャンバから取り外すことと、を含む。
【0068】
本方法の第1の実施例では、試料を荷電粒子ビームに曝露するために試料移送カプセルを開放することは、真空チャンバ内に装着されたホルダにおける試料移送カプセルの容器及び不活性ガス貯蔵チャンバをドッキングさせるために真空チャンバのステージを制御することと、容器から試料移送カプセルのプラットフォームを取り外すためにステージを制御することであって、試料がプラットフォーム上に位置決めされている、ステージを制御することと、荷電粒子ビームの経路内に試料を位置決めするためにステージを制御することと、を含む。第1の実施例を任意選択的に含む方法の第2の実施例では、容器からプラットフォームを取り外すためにステージを制御することは、容器からプラットフォームをロック解除するためにステージ及び/又はホルダを選択的に移動させることを含む。第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む方法の第3の実施例では、容器からプラットフォームを取り外すためにステージを制御することは、真空チャンバの真空圧が容器内の不活性ガス圧よりも低くなった後にステージを下げることを含む。第1~第3の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む方法の第4の実施例では、試料を荷電粒子ビームに曝露するために試料移送カプセルを開放することは、試料移送カプセルの蓋を開放するために試料移送カプセルのモータを制御することを含み、試料移送カプセル内に試料を封止するために試料移送カプセルを閉鎖することは、試料移送カプセルの蓋を閉鎖するために試料移送カプセルのモータを制御することを含む。第1~第4の実施例のうちの1つ以上を任意選択的に含む方法の第5の実施例では、試料移送カプセルの不活性ガス貯蔵チャンバからの不活性ガスで容器を充填するために試料移送カプセルの弁を開放することは、開放するために電気的、空気圧的、又は機械的に弁を作動させることのうちの1つを含む。
【0069】
説明は、「実施例」、「様々な実施例」、及び「いくつかの実施例」という句を使用し、それらの各々は、同じ又は異なる実施例のうちの1つ以上を指し得る。更に、本開示の実施例に関して使用される、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、同義である。寸法の範囲を説明するために使用されるときに、「XとYとの間」という句は、XとYとを含む範囲を表す。本明細書で使用される場合、「装置」は、任意の個々のデバイス、デバイスの集合体、デバイスの一部、又はデバイスの一部の集合体を指し得る。図面は、必ずしも縮尺通りではない。
【0070】
開示される技術の原理が適用され得る多くの可能な実施例を考慮して、例解される実施形態は、好ましい実施例に過ぎず、範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、開示される技術の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、我々は、少なくともこれらの請求項の範囲内に入る全てを特許請求する。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】