(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112263
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/295 20060101AFI20230804BHJP
G02F 1/035 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G02F1/295
G02F1/035
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022013933
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 将司
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 康裕
(72)【発明者】
【氏名】青島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平野 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】船橋 信彦
(72)【発明者】
【氏名】町田 賢司
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA08
2K102AA22
2K102BA01
2K102BA07
2K102BA18
2K102BB01
2K102BB02
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD08
2K102CA11
2K102DA04
2K102DB04
2K102DC08
2K102DD05
2K102EA02
2K102EB01
2K102EB20
(57)【要約】
【課題】鮮明な画像や映像を形成する。
【解決手段】
光学装置10は、光導波路12が形成された基板90、カプラ20、強度変調器30、複数の位相変調器51-58、および、グレーティングカプラ60を備える。カプラ20は、光導波路12を用いて形成され、光を受け入れる。強度変調器30は、光導波路12を用いて形成され、カプラ20の後段に接続され、光の強度変調を行う。複数の位相変調器51-58は、光導波路12を用いて形成され、強度変調器30の後段に接続され、光の位相変調を行う。グレーティングカプラ60は、光導波路12を用いて形成され、複数の位相変調器51-58のそれぞれの後段に接続され、光の回折を用いて所定方向に光を放射する複数の放射素子61-68を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路が形成された基板と、
前記光導波路を用いて形成され、光を受け入れるカプラと、
前記光導波路を用いて形成され、前記カプラの後段に接続され、光の強度変調を行う強度変調器と、
前記光導波路を用いて形成され、前記強度変調器の後段に接続され、強度変調された光を分配する分配器と、
前記光導波路を用いて形成され、前記分配器の後段に接続され、光の位相変調を行う複数の位相変調器と、
前記光導波路を用いて形成され、前記複数の位相変調器のそれぞれの後段に接続され、光の回折を用いて所定方向に光を放射する複数の放射素子を備えるグレーティングカプラと、
を備える、光学装置。
【請求項2】
前記光導波路は、光の三原色の各色に対して個別に形成され、
前記各色の前記光導波路は、前記基板の主面に平行な方向に並んで配置される、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記光導波路は、光の三原色の各色に対して個別に形成され、
前記各色の光導波路は、それぞれ個別の基板に形成され、
前記各色の光導波路を形成する複数の基板は、該複数の基板の主面に直交する方向に並んで配置される、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
前記カプラとして、光の三原色毎に形成された、第1カプラ、第2カプラ、および、第3カプラと、
前記光導波路を用いて形成され、前記第1カプラ、前記第2カプラ、および、前記第3カプラと前記強度変調器との間に接続され、前記第1カプラの出力光、前記第2カプラの出力光、および、前記第3カプラの出力光を合波する合波器と、
を備える、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
前記カプラとして、光の三原色毎に形成された、第1カプラ、第2カプラ、および、第3カプラと、
前記強度変調器を構成し、それぞれ個別に前記光導波路を用いて形成された、第1強度変調器、第2強度変調器、および、第3強度変調器と、
前記光導波路を用いて形成され合波器と、
を備え、
前記第1強度変調器は前記第1カプラの後段に接続され、
前記第2強度変調器は前記第2カプラの後段に接続され、
前記第3強度変調器は前記第3カプラの後段に接続され、
前記合波器は、前記第1強度変調器、前記第2強度変調器、および、前記第3強度変調器と、前記分配器との間に接続され、前記第1強度変調器の出力光、前記第2強度変調器の出力光、および、前記第3強度変調器の出力光を合波して前記分配器に出力する、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項6】
前記強度変調器と前記位相変調器との同期を行いながら、前記強度変調器と前記位相変調器に位相変調信号を供給する変調制御部を備える、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
前記強度変調器は、
前記光導波路と、
前記基板の主面に平行な方向において前記光導波路を挟みこむ第1制御電極と、
を備える、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光学装置。
【請求項8】
前記位相変調器は、
前記光導波路と、
前記基板の主面に平行な方向において前記光導波路を挟みこむ第2制御電極と、
を備える、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光学装置。
【請求項9】
前記カプラに前記光を入射させる発光素子を備える、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の光学装置。
【請求項10】
前記発光素子は、
ベース発光素子と、
前記ベース発光素子が出力する光が入射する非線形光学結晶と、
を備える、請求項9に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を二次元走査して出力する光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光偏向装置が記載されている。特許文献1に記載の光偏向装置は、平面光導波路回路を用いている。平面光導波路回路は、分配器、複数の位相変調部、および、グレーティングカプラを備える。
【0003】
分配器は、外部から入力された光を分配して、複数の位相変調部に出力する。複数の位相変調部は、それぞれに入力された光の位相を変調する。複数の位相変調部は、変調した光を、グレーティングカプラを構成する複数の放射素子にそれぞれ出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、鮮明な画像や映像を形成することが容易ではなかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、鮮明な画像や映像を形成可能な光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の光学装置は、光導波路が形成された基板、カプラ、強度変調器、分配器、複数の位相変調器、および、グレーティングカプラを備える。カプラは、光導波路を用いて形成され、光を受け入れる。強度変調器は、光導波路を用いて形成され、カプラの後段に接続され、光の強度変調を行う。分配器は、光導波路を用いて形成され、強度変調器の後段に接続され、強度変調された光を分配する。複数の位相変調器は、光導波路を用いて形成され、分配器の後段に接続され、光の位相変調を行う。グレーティングカプラは、光導波路を用いて形成され、複数の位相変調器のそれぞれの後段に接続され、光の回折を用いて所定方向に光を放射する複数の放射素子を備える。
【0008】
この構成では、光の強度変調および光の位相変調は、基板に形成された光導波路を用いて実現される。これにより、光の強度変調および光の位相変調を実現する周波数を高くできる。したがって、光の強度変調および光の位相変調の単位時間当たりの切り替え回数を多くできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、鮮明な画像や映像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る光学装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る光学装置の平面図である。
【
図4】
図4(A)は、強度変調器の平面図であり、
図4(B)は、強度変調器のA断面図である。
【
図5】
図5(A)は、位相変調部の平面図であり、
図5(B)は、位相変調部のB1断面図であり、
図5(C)は、位相変調部のB2断面図である。
【
図6】
図6は、三色の画像(映像)を形成する光学装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態に係る光学装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、第5の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る光学装置について、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。
図2は、第1の実施形態に係る光学装置の斜視図である。なお、
図2は、光学装置の各構成要素の厚みを適宜省略して記載している。
図3は、第1の実施形態に係る光学装置の平面図である。なお、
図3は、光導波路の上側のクラッド層を省略した平面図である。
図4(A)は、強度変調器の平面図であり、
図4(B)は、強度変調器のA断面図である。
図5(A)は、位相変調部の平面図であり、
図5(B)は、位相変調部のB1断面図であり、
図5(C)は、位相変調部のB2断面図である。
【0012】
(光学装置10の機能的構成)
図1に示すように、光学装置10は、発光素子11、および、光導波路12を備える。光導波路12は、カプラ20、強度変調器30、分配器40、位相変調部50、および、グレーティングカプラ60を備える。言い換えれば、カプラ20、強度変調器30、分配器40、位相変調部50、および、グレーティングカプラ60は、光導波路12を用いて形成される。なお、
図1では、光学装置10は、発光素子11を備えている。しかしながら、光学装置10は、発光素子11を備えていなくてもよい。
【0013】
位相変調部50は、複数の位相変調器51-58(位相変調器51、位相変調器52、位相変調器53、位相変調器54、位相変調器55、位相変調器56、位相変調器57、位相変調器58)を備える。グレーティングカプラ60は、複数の放射素子61-68(放射素子61、放射素子62、放射素子63、放射素子64、放射素子65、放射素子66、放射素子67、放射素子68)を備える。なお、光学装置10では、位相変調器の個数および放射素子の個数は、8個である。しかしながら、位相変調器の個数および放射素子の個数は、光学装置10の仕様等に応じて適宜設定できる。
【0014】
カプラ20は、既知の構成からなる。カプラ20は、発光素子11からの光を受け入れ、光導波路12に導光する。カプラ20の出力光は、強度変調器30に入力される。なお、光学装置10が発光素子11を備えていない場合、カプラ20は、光学装置10の外部からの光を受け入れ、光導波路12に導光する。
【0015】
強度変調器30は、例えば、マッハツェンダ型変調器(MZ型変調器)によって構成される。強度変調器30は、カプラ20からの入力光の強度を調整する。強度変調器30は、強度調整後の光を分配器40に出力する。
【0016】
分配器40は、既知の構成からなる。分配器40は、強度変調器30からの入力光を分配し、複数の位相変調器51-58に出力する。この際、分配器40は、複数の位相変調器51-58に出力する光を等分配(同位相、同信号レベルの分配)する。
【0017】
複数の位相変調器51-58は、後述する構成からなる。複数の位相変調器51-58は、分配器40からの入力光の位相を調整する。複数の位相変調器51-58は、位相変調後の光を複数の放射素子61-68に出力する。例えば、
図1を参照に、位相変調器51は、位相変調後の光を放射素子61に出力し、位相変調器52は、位相変調後の光を放射素子62に出力する。複数の位相変調器53-58についても同様に、位相変調後の光を放射素子63-68に出力する。このときの複数の位相変調器51-58で設定する各位相および複数の位相変調器51-58で設定する複数の位相の差によって、最終的に光学装置10から放射される光の二次元走査は、可能になる。
【0018】
複数の放射素子61-68は、それぞれが一次元回折格子の構成を備える。複数の放射素子61-68は、複数の位相変調器51-58からの入力光を放射する。例えば、放射素子61は、位相変調器51からの入力光を放射し、放射素子62は、位相変調器52からの入力光を放射する。複数の放射素子63-68についても同様に、複数の位相変調器53-58からの入力光を放射する。
【0019】
この際、複数の位相変調器51-58によって上述のように位相が調整される。これにより、複数の放射素子61-68からの放射光は、光学装置10の放射面に対して平行な二次元平面内を走査する光となる。
【0020】
したがって、光学装置10は、二次元走査された画像や映像を出力でき、例えば、これらの画像や映像を所定空間等に投影できる。
【0021】
また、この構成によって、光学装置10は、複数の放射素子61-68毎に、強度変調器を備えなくてもよい。したがって、光学装置10は、回路構成および後述する構造が簡素になる。また、複数の放射素子61-68毎に強度変調器を備えた場合、これらの強度変調器を同期させる必要があるが、光学装置10は、このような同期を行わなくてもよい。
【0022】
この際、光学装置10は、光の強度変調と、複数に分配された光の位相変調とを、光導波路12を用いて形成された回路素子(強度変調器30および複数の位相変調器51-58)によって実現する。これにより、光学装置10は、光の強度変調および光の位相変調を、高速、高精度で行うことができる。特に、光導波路12を用いて光の強度変調を行うことで、発光素子11よりも高速、高精度に強度を所定値に調整、変更できる。
【0023】
したがって、光学装置10は、光の強度変調および光の位相変調の単位時間当たりの切り替え回数を多くできる。この結果、光学装置10は、鮮明な画像や映像を形成できる。
【0024】
(光学装置10の構造例)
図2、
図3、
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)に示すように、光学装置10は、発光素子11と基板90とを備える。
【0025】
発光素子11は、例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)によって実現される。発光素子11は、基板90に実装される。より具体的には、発光素子11は、基板90に形成された制御用電極110に実装される。発光素子11は、制御用電極110からの発光制御信号を受けて発光する。発光素子11は、一定のレベル(強度)で、可視光範囲内の波長の光を出力する。この際、発光素子11は、発光面が基板90側となるように実装される。これにより、発光素子11から出力された光は、基板90(より具体的には、後述するカプラ20の入射窓)に照射される。なお、発光素子11は、垂直共振器型面発光レーザでなくてもよい。
【0026】
基板90は、光の放射面である主面を備える。以下、各図に示すように、主面を構成する直交二軸をx軸およびy軸とし、主面に直交する一軸をz軸として説明する。
【0027】
図4(B)、
図5(B)、
図5(C)に示すように、基板90は、基材91、第1クラッド層92、導光層800、第2クラッド層93を備える。基材91は、例えば、Siによって形成される。基材91は、x軸方向およびy軸方向に平行な主面を有する。第1クラッド層92は、例えば、SiO
2によって形成される。第1クラッド層92は、基材91の主面に形成される。
【0028】
導光層800は、例えば、LiNbO3によって形成される。導光層800は、第1クラッド層92における基材91と反対側の面に形成される。導光層800は、ベース部と、光導波路12を実現する導光部とによって構成される。導光部はベース部よりも厚い。導光部の厚み(z軸方向の長さ)は、光導波路12として光が伝搬可能な厚みである。ベース部の厚み(z軸方向の長さ)は、光導波路12で導光する光が伝搬(漏洩)しない厚みである。すなわち、導光部およびベース部の厚みは、光導波路12で導光する光の波長に基づいて設定される。
【0029】
第2クラッド層93は、例えば、SiO2によって形成される。第2クラッド層93は、導光層800における第1クラッド層92と反対側の面に形成される。言い換えれば、第2クラッド層93と第1クラッド層92とは、導光層800を挟みこむように形成される。
【0030】
このように、第1クラッド層92と第2クラッド層93とで導光層800を挟みこみ、導光層800のベース部の厚み、導光部の厚みおよび幅(導光部の延びる方向および厚み方向に直交する方向の長さ)を、所定値に設定することで、導光部には、所定波長の光が伝搬し、基板90は、光導波路12として機能する。
【0031】
なお、導光層800のベース部は、可能な限り薄いことが好ましく、導光層800は、ベース部を備えない構造であることがより好ましい。これにより、光の閉じ込め効果は向上する。
【0032】
(カプラ20の構造)
カプラ20は、第2クラッド層93側に入射窓を備える。カプラ20の入射窓は、発光素子11の発光面に対向する。カプラ20は、導光層800の形状によって、発光素子11からの入射光、すなわちz軸方向に伝搬した光を、基板90の主面に平行なx軸方向に屈折させる。カプラ20は、x軸方向に変換した光を分配し、導光部831および導光部832に出力する。
【0033】
(導光部831、導光部832の構造)
導光部831および導光部832は、上述する導光層800の導光部によって形成される。導光部831および導光部832は、カプラ20と分配器40をつなぐ。
【0034】
(強度変調器30の構造)
図2、
図3、
図4(A)、
図4(B)に示すように、強度変調器30は、x軸方向において、カプラ20に隣接して配置される。強度変調器30は、導光部831、導光部832、制御用電極311、制御用電極312、制御用電極320、配線電極331、および配線電極332を備える。
【0035】
導光部831および導光部832は、平面視して(z軸方向に視て)、所定幅を有する帯状である。導光部831と導光部832は、x軸方向に沿って延びる形状であり、y軸方向に所定の間隔をもって並走する。
【0036】
制御用電極311、制御用電極312、および、制御用電極320は、平面視して矩形の立体である。制御用電極311、制御用電極312、および、制御用電極320は、第2クラッド層93内に形成されており、導光層800の第2クラッド層93側の表面に当接する。制御用電極311、制御用電極312、および、制御用電極320が、本発明の「第1制御電極」に対応する。
【0037】
平面視において、制御用電極320は、導光部831と導光部832との間に配置される。制御用電極311は、導光部831を間に挟んで、制御用電極320と反対側に配置される。制御用電極312は、導光部832を間に挟んで、制御用電極320と反対側に配置される。言い換えれば、平面視において、導光部831は、制御用電極320と制御用電極311とに挟まれた位置に配置される。導光部832は、制御用電極320と制御用電極312とに挟まれた位置に配置される。
【0038】
なお、本実施形態の構成では、x軸方向に延びる導光部に対して、y軸方向の両側に制御用電極を配置する構成を示した。しかしながら、x軸方向に延びる導光部に対して、z軸方向の両側に制御用電極を配置する構成とすることも可能である。例えば、基材91に一方の制御用電極の機能を備え、他方の制御用電極は、基板90の厚み方向における導光部を間においた一方の制御用電極側と反対側に配置してもよい。
【0039】
配線電極331および配線電極332は、第2クラッド層93における導光層800側と反対側の面に形成される。配線電極331および配線電極332は、y軸方向に延びる線状または帯状の電極である。配線電極331は、制御用電極311および制御用電極312に接続する。配線電極332は、制御用電極320に接続する。
【0040】
制御用電極320は、強度変調用の制御信号が印加される電極である。制御用電極311および制御用電極312は、強度変調用の制御信号に対するグランド用の電極である。強度変調用の制御信号は、配線電極332を通じて、制御用電極320に印加される。制御用電極311および制御用電極312は、配線電極331を通じてグランド電位に接続される。
【0041】
強度変調用の制御信号が制御用電極320に印加されると、導光部831を伝搬する光と導光部832を伝搬する光との間に、強度変調用の制御信号の信号レベルに応じた位相差が生じる。したがって、導光部831を伝搬した光と導光部832を伝搬した光とが合波する(後述の分配器40)、位相差に応じた干渉が生じる。これにより、合波後の光のレベル(強度)を調整することができる。すなわち、強度変調器30は、マッハツェンダ型変調器(MZ型変調器)をプレーナ構造によって実現する。
【0042】
そして、このような構成の強度変調器30を用いることで、発光素子11を直接に強度変調するよりも高速に強度変調できる。言い換えれば、強度変調器30は、発光素子11よりも強度の切り替えを高速で行うことができる。より具体的には、発光素子11は、キャリアとフォトンの相互作用である緩和振動周波数により、変調速度が制限される。しかしながら、強度変調器30の構成を備えることで、発光素子11の緩和振動周波数よりも高周波数で変調(強度の切り替え、変更)を行うことができる。
【0043】
(分配器40の構造)
図2、
図3に示すように、分配器40は、x軸方向において、強度変調器30に隣接して配置される。この際、分配器40は、強度変調器30を基準に、カプラ20と反対側に配置される。分配器40は、平面視して所定面積を有する立体形状である。より具体的には、分配器40は、導光部と同様に、導光層800の一部をベース部よりも厚くすることによって形成される。
【0044】
分配器40は、導光部831および導光部832に接続する。導光部831および導光部832は、分配器40における強度変調器30側に接続する。
【0045】
分配器40は、複数の導光部851-858(導光部851、導光部852、導光部853、導光部854、導光部855、導光部856、導光部857、導光部858)に接続する。複数の導光部851-858は、分配器40における強度変調器30側と反対側に接続する。
【0046】
分配器40を形成する立体の形状、導光部831および導光部832の接続位置、および、複数の導光部851-858の接続位置を適宜設定することによって、分配器40は、導光部831からの光と導光部832からの光とを合波し、複数の導光部851-858に分配して出力できる。この際、分配器40は、複数の導光部851-858に出力される光の強度、位相が同じになるように分配する。
【0047】
なお、分配器40は、1入力を1段で最終出力の個数(例えば、本実施形態では8出力)にする構造でもよく、複数段で最終出力の個数にする構造(例えば、8出力であれば、2分配×3段のトーナメント型分配器)を用いてもよい。すなわち、分配器40は、最終的に出力される複数の光の強度、位相が同じになるように分配できる構造であればよい。
【0048】
(複数の導光部851-858の構造)
複数の導光部851-858は、導光部831および導光部832と同様に、上述する導光層800の導光部によって形成される。複数の導光部851-858は、分配器40からグレーティングカプラ60までつながる。
【0049】
(位相変調部50の構造)
図2、
図3、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)に示すように、位相変調部50は、x軸方向において、分配器40に隣接して配置される。位相変調部50は、複数の導光部851-858、複数の制御用電極511-514(制御用電極511、制御用電極512、制御用電極513、および、制御用電極514)、複数の制御用電極521-528(制御用電極521、制御用電極522、制御用電極523、制御用電極524、制御用電極525、制御用電極526、制御用電極527、および、制御用電極528)、複数の配線電極531-538(配線電極531、配線電極532、配線電極533、配線電極534、配線電極535、配線電極536、配線電極537、および、配線電極538)、および、配線電極540を備える。
【0050】
複数の導光部851-858は、平面視して(z軸方向に視て)、所定幅を有する帯状である。複数の導光部851-858は、x軸方向に沿って延びる形状であり、y軸方向に配列され、互いに所定の間隔をもって並走する。
【0051】
複数の制御用電極511-514、および、複数の制御用電極521-528は、平面視して矩形の立体である。制御用電極311、制御用電極312、および、制御用電極320は、第2クラッド層93内に形成されており、導光層800の第2クラッド層93側の表面に当接する。複数の制御用電極511-514のx軸方向の長さは、複数の制御用電極521-528のx軸方向の長さよりも大きい。例えば、複数の制御用電極511-514は、位相変調部50のx軸方向の全長と略同じ長さである。複数の制御用電極511-514、および、複数の制御用電極521-528が、本発明の「第2制御電極」に対応する。
【0052】
平面視において、制御用電極511は、導光部851と導光部852との間に配置される。制御用電極512は、導光部853と導光部854との間に配置される。制御用電極513は、導光部855と導光部856との間に配置される。制御用電極514は、導光部857と導光部858との間に配置される。
【0053】
平面視において、制御用電極521は、導光部851を挟んで、制御用電極511と反対側に配置される。制御用電極522および制御用電極523は、導光部852と導光部853との間に配置される。この際、制御用電極522は、導光部852に近接し、導光部853から離れており、制御用電極523は、導光部853に近接し、導光部852から離れている。制御用電極524および制御用電極525は、導光部854と導光部855との間に配置される。この際、制御用電極524は、導光部854に近接し、導光部855から離れており、制御用電極525は、導光部855に近接し、導光部854から離れている。制御用電極526および制御用電極527は、導光部856と導光部857との間に配置される。この際、制御用電極526は、導光部856に近接し、導光部857から離れており、制御用電極527は、導光部857に近接し、導光部856から離れている。制御用電極528は、導光部858を挟んで、制御用電極514と反対側に配置される。
【0054】
言い換えれば、平面視において、導光部851は、制御用電極511と制御用電極521とに挟まれた位置に配置される。導光部852は、制御用電極511と制御用電極522とに挟まれた位置に配置される。導光部853は、制御用電極512と制御用電極523とに挟まれた位置に配置される。導光部854は、制御用電極512と制御用電極524とに挟まれた位置に配置される。導光部855は、制御用電極513と制御用電極525とに挟まれた位置に配置される。導光部856は、制御用電極513と制御用電極526とに挟まれた位置に配置される。導光部857は、制御用電極514と制御用電極527とに挟まれた位置に配置される。導光部858は、制御用電極514と制御用電極528とに挟まれた位置に配置される。このように、位相変調部50は、コプレーナ構造によって実現される。
【0055】
複数の配線電極531-538、および、配線電極540は、第2クラッド層93における導光層800側と反対側の面に形成される。複数の配線電極531-538、および、配線電極540は、y軸方向に延びる線状または帯状の電極である。
【0056】
複数の配線電極531-538は、複数の制御用電極521-528にそれぞれ接続する。例えば、配線電極531は、制御用電極521に接続し、配線電極532は、制御用電極522に接続する。複数の配線電極533-538も、配線電極531および配線電極532と同様に、複数の制御用電極523-528に接続する。配線電極540は、複数の制御用電極511-514に接続する。
【0057】
複数の制御用電極511-514は、位相変調用の制御信号に対するグランド用の電極である。
【0058】
複数の制御用電極521-528は、位相変調用の制御信号が印加される電極である。より具体的には、制御用電極521には、導光部851を伝搬する光を位相変調させるための制御信号が印加され、制御用電極522には、導光部852を伝搬する光を位相変調させるための制御信号が印加される。同様に、複数の制御用電極523-528についても、複数の導光部853-858を伝搬する光の位相をそれぞれ個別に位相変調させるための制御信号がそれぞれ印加される。
【0059】
そして、複数の制御用電極521-528に印加される制御信号を調整することで、位相変調部50は、複数の導光部851-858を伝搬する光の位相を、個別に設定できる。これにより、位相変調部50は、複数の導光部851-858を伝搬する光の伝搬方向に対する位相の調整、および、複数の導光部851-858を伝搬する複数の光の位相差の調整を行うことができる。
【0060】
そして、このような構成の位相変調部50を用いることで、高速に位相変調できる。
【0061】
(グレーティングカプラ60の構造)
図2、
図3に示すように、グレーティングカプラ60は、x軸方向において、位相変調部50に隣接して配置される。グレーティングカプラ60は、複数の導光部861-868によって形成される。複数の導光部861-868は、x軸方向に延びる形状である。複数の導光部861-868は、光を放射する部分を除いて、複数の導光部851-858と同じ構造である。
【0062】
複数の導光部861-868は、複数の導光部851-858に接続する。より具体的には、導光部861は、導光部851に接続し、導光部862は、導光部852に接続する。複数の導光部863-868についても、導光部861、導光部862と同様に、複数の導光部853-858に接続する。
【0063】
複数の導光部861-868は、先端部(複数の導光部851-858に接続する側の反対側の端部)には、凹凸部を備える。凹凸部は、複数の導光部861-868における第2クラッド層93側の面に形成される。凹凸部は、複数の導光部861-868の延びる方向(例えば、
図2、
図3の場合はx軸方向)に沿って、所定周期で形成される。この周期や凹凸の形状は、光学装置10が放射する光、すなわち、光導波路12を伝搬する光の波長、放射対象領域によって設定される。これらの複数の導光部861-868に形成された凹凸部によって、複数の放射素子61-68が実現される。
【0064】
以上の構造によって、基板90を用いて、光学装置10を実現できる。すなわち、簡素な構造によって、光学装置10を実現できる。
【0065】
したがって、光学装置10は、簡素な構造を採用しながら、鮮明な画像や映像を形成できる。
【0066】
(三色の画像(映像)を形成する場合)
上述の構成では、単色の画像(映像)を形成する場合を示した。この構成を利用し、複色光の画像(映像)を形成できる。
図6は、三色の画像(映像)を形成する光学装置の斜視図である。なお、
図6についても、
図2と同様に、光学装置の各構成要素の厚みを適宜省略して記載している。
【0067】
図6に示すように、光学装置10tは、光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3を備える。光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3は、光学装置10と同様の構成を備え、それぞれに伝搬、放射する光の波長が異なる。
【0068】
光学装置10t1の光導波路は、第1色の伝搬に適するように形成される。光学装置10t1は、第1色の光の強度変調および位相変調を行い、第1色による画像(映像)を形成する。光学装置10t2の光導波路は、第2色の伝搬に適するように形成される。光学装置10t2は、第2色の光の強度変調および位相変調を行い、第2色による画像(映像)を形成する。光学装置10t3の光導波路は、第3色の伝搬に適するように形成される。光学装置10t3は、第3色の光の強度変調および位相変調を行い、第3色による画像(映像)を形成する。
【0069】
光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3は、画像(映像)を形成する領域が重なるように、それぞれに光を放射する。これにより、光学装置10tは、三色の画像(映像)を形成できる。例えば、第1色は赤色であり、第2色は緑色であり、第3色は青色である。これにより、光学装置10tは、カラー画像(カラー映像)を形成できる。
【0070】
光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3は、1つの基板90tに形成される。基板90tは、基板90と同様の層構成を備えている。光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3は、基板90tにおけるx軸方向(それぞれの装置における光の主たる伝搬方向)に直交するy軸方向に配列される。
【0071】
これにより、光学装置10tは、低背且つ簡素な構成で、複色(例えば、カラー)の鮮明な画像や映像を形成できる。
【0072】
なお、光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3の配列パターンは、
図6の例に限るものではなく、他の配列パターンも可能である。
【0073】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る光学装置について、図を参照して説明する。
図7は、第2の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。なお、
図7では、RGBの三色(カラー)の画像(映像)を形成する光学装置を例に示しているが、本実施形態の構成は、複色の画像(映像)を形成する光学装置に適用できる。
【0074】
図7に示すように、第2の実施形態に係る光学装置10Aは、第1の実施形態に係る光学装置10に対して、光導波路12Aを備える点で異なる。光導波路12Aは、第1の実施形態に係る光導波路12に対して、発光素子11R、発光素子11G、発光素子11B、カプラ20R、カプラ20G、カプラ20B、および、合波器29を備える点で異なる。光学装置10Aおよび光導波路12Aの他の構成は、光学装置10および光導波路12と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0075】
カプラ20R、カプラ20G、および、カプラ20Bは、第1の実施形態に係るカプラ20と同様の構成を備える。カプラ20Rは赤色光用であり、カプラ20Gは緑色光用であり、カプラ20Bは青色光用である。カプラ20R、カプラ20G、および、カプラ20Bは、光導波路12Aを用いて形成される。光導波路12Aは、第1の実施形態に係る光導波路12と同様の構成である。
【0076】
合波器29は、光導波路12Aを用いて形成される。合波器29は、カプラ20R、カプラ20G、および、カプラ20Bと、強度変調器30との間に配置される。合波器29は、カプラ20R、カプラ20G、および、カプラ20Bに接続するとともに、強度変調器30に接続する。
【0077】
カプラ20Rは、発光素子11Rから出力された赤色光を、光導波路12Aに導き、合波器29に出力する。カプラ20Gは、発光素子11Gから出力された緑色光を、光導波路12Aに導き、合波器29に出力する。カプラ20Bは、発光素子11Bから出力された青色光を、光導波路12Aに導き、合波器29に出力する。
【0078】
合波器29は、カプラ20Rからの赤色光、カプラ20Gからの緑色光、および、カプラ20Bからの青色光を合波し、強度変調器30に出力する。
【0079】
この構成によって、光学装置10Aは、低背且つ簡素な構成で、カラー等の複色光の鮮明な画像や映像を形成できる。また、この構成によって、複色光の画像や映像を形成する場合でも、色数に応じた複数個のカプラ、および、合波器を基板に形成するだけで、カラー等の複色光の鮮明な画像や映像を形成できる。したがって、光学装置10Aは、さらに簡素な構成で、平面視した面積を小さくできる。
【0080】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る光学装置について、図を参照して説明する。
図8は、第3の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。なお、
図8では、RGBの三色(カラー)の画像(映像)を形成する光学装置を例に示しているが、本実施形態の構成は、複色の画像(映像)を形成する光学装置に適用できる。
【0081】
図8に示すように、第3の実施形態に係る光学装置10Bは、第2の実施形態に係る光学装置10Aに対して、光導波路12Bを備える点で異なる。光導波路12Bは、第2の実施形態に係る光導波路12Aに対して、強度変調器30R、強度変調器30G、および、強度変調器30Bを備える点、合波器29に対する接続関係において異なる。光学装置10Bおよび光導波路12Bの他の構成は、光学装置10Aおよび光導波路12Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0082】
強度変調器30R、強度変調器30G、および、強度変調器30Bは、第1、第2の実施形態に係る強度変調器30と同様の構成を備える。強度変調器30R、強度変調器30G、および、強度変調器30Bは、光導波路12Bを用いて形成される。光導波路12Bは、第1、第2の実施形態に係る光導波路12、12Aと同様の構成である。
【0083】
強度変調器30Rは、カプラ20Rに隣接して配置され、カプラ20Rに接続する。強度変調器30Gは、カプラ20Gに隣接して配置され、カプラ20Gに接続する。強度変調器30Bは、カプラ20Bに隣接して配置され、カプラ20Bに接続する。
【0084】
合波器29は、強度変調器30R、強度変調器30G、および、強度変調器30Bと、分配器40との間に配置される。合波器29は、強度変調器30R、強度変調器30G、および、強度変調器30Bに接続するとともに、分配器40に接続する。
【0085】
強度変調器30Rは、カプラ20Rから出力された赤色光の強度を変調し、合波器29に出力する。強度変調器30Gは、カプラ20Gから出力された緑色光の強度を変調し、合波器29に出力する。強度変調器30Bは、カプラ20Bから出力された青色光の強度を変調し、合波器29に出力する。この際、強度変調器30R、強度変調器30G、および、強度変調器30Bは、同期して強度変調を行う。
【0086】
合波器29は、強度変調器30Rから出力された赤色光、強度変調器30Gから出力された緑色光、および、強度変調器30Bから出力された青色光を合波して、分配器40に出力する。
【0087】
この構成によって、光学装置10Bは、低背且つ簡素な構成で、カラー等の複色光の鮮明な画像や映像を形成できる。また、この構成によって、光学装置10Bは、色毎に強度変調を行うことができる。したがって、光学装置10Bは、より多様な色調を実現でき、より高精細で高諧調の画像や映像を形成できる。
【0088】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る光学装置について、図を参照して説明する。
図9は、第4の実施形態に係る光学装置の斜視図である。なお、
図9についても、
図2、
図6と同様に、光学装置の各構成要素の厚みを適宜省略して記載している。
【0089】
図9に示すように、光学装置10Cは、第1の実施形態に係る光学装置10tに対して、光学装置10C1、光学装置10C2、および、光学装置10C3を備える点で異なる。光学装置10Cの他の構成は、光学装置10tと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0090】
光学装置10C1、光学装置10C2、および、光学装置10C3は、それぞれに、光学装置10t1、光学装置10t2、および、光学装置10t3と同様の構成を備える。光学装置10C1は、基板90C1に形成され、光学装置10C2は、基板90C2に形成され、光学装置10C3は、基板90C3に形成される。基板90C1、基板90C2、および、基板90C3は、第1の実施形態に係る基板90と同様の構成を備える。
【0091】
基板90C1、基板90C2、および、基板90C3は、これらの基板の厚み方向(z軸方向)に、順に配置される。言い換えれば、基板90C1、基板90C2、および、基板90C3は、z軸方向に順に積層される。この際、光学装置10C1、光学装置10C2、および、光学装置10C3は、それぞれが形成する画像(映像)の領域が重なるように、積層される。
【0092】
これにより、光学装置10Cは、三色の画像(映像)を形成できる。したがって、光学装置10Cは、平面視した面積を小さくし、簡素な構成で、複色(例えば、カラー)の鮮明な画像や映像を形成できる。
【0093】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る光学装置について、図を参照して説明する。
図10は、第5の実施形態に係る光学装置の機能ブロック図である。
【0094】
図10に示すように、第5の実施形態に係る光学装置10Dは、第1の実施形態に係る光学装置10に対して、変調制御部70を備える点で異なる。光学装置10Dの他の構成は、光学装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0095】
変調制御部70は、例えば、IC等の電子部品によって形成される。なお、変調制御部70は、PC等の演算処理装置であってもよい。
【0096】
変調制御部70が電子部品の場合、変調制御部70は、光学装置10を実現する基板90に実装される。なお、変調制御部70は、基板90が実装される他の回路基板に実装されてもよい。
【0097】
変調制御部70は、強度変調器30と位相変調部50の複数の位相変調器51-58に対して、変調制御信号を出力する。変調制御信号は、強度変調のタイミング、強度変調の変調量、位相変調のタイミング、位相変調の変調量を示す信号である。すなわち、変調制御信号は、強度変調用の制御信号と位相変調用の制御信号を含む。
【0098】
変調制御部70は、変調制御信号を用い、強度変調のタイミングと位相変調のタイミングを設定することで、強度変調器30と位相変調部50の複数の位相変調器51-58との変調の同期を実現する。
【0099】
この構成によって、光学装置10Dは、強度変調と位相変調との同期を、より確実に実現できる。したがって、光学装置10Dは、さらに鮮明な画像や映像を形成できる。
【0100】
なお、上述の各実施形態では、発光素子として、垂直共振器型面発光レーザを用いる態様を示した。しかしながら、発光素子は、レーザ素子(本発明の「ベース光発光素子」に対応)と非線形光学結晶とを組み合わせた構成であってもよい。この場合、発光素子は、レーザ素子からの光を非線形光学結晶に入射させ、その出射光を分光する。これにより、発光素子は、レーザ素子が照射する光の第2高調波(2倍の周波数の波)を出力できる。このような構成を用いることで、発光素子は、波長の短い光を、低エネルギーで生成できる。
【0101】
また、上述の各実施形態では、光学装置の出射光で画像や映像を形成する態様を示した。しかしながら、この画像や映像を所定位置に結像させる構成を備えていてよい。例えば、光学装置の出射光を反射させる凹面反射鏡を備え、人の網膜に結像するようにしてもよい。この場合、例えば、光学装置、凹面反射鏡は、眼鏡型等のウェアラブルデバイスとして形成するとよい。
【0102】
また、上述の説明では、導光層800が所定厚みのベース部を備える態様を示した。しかしながら、上述の光学装置を構成するいずれの部分でおいても、導光層800のベース部は、できる限り薄いことが好ましく、導光層800は、ベース部を備えない構成であることがより好ましい。
【0103】
上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能であり、それぞれの組み合わせに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0104】
10、10A、10B、10C、10C1、10C2、10C3、10D、10t、10t1、10t2、10t3:光学装置
11、11R、11G、11B:発光素子
12、12A、12B:光導波路
20、20R、20G、20B:カプラ
29:合波器
30、30R、30G、30B:強度変調器
40:分配器
50:位相変調部
51-58:位相変調器
60:グレーティングカプラ
61-68:放射素子
70:変調制御部
90、90C1、90C2、90C3、90t:基板
91:基材
92:第1クラッド層
93:第2クラッド層
311、312、320:制御用電極
331、332:配線電極
511-514、521-528:制御用電極
531-538、540:配線電極
800:導光層
831、832、851-858:導光部