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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112435
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】放射線測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20230804BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20230804BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20230804BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
G01T1/161 C
G01T1/161 A
G01T7/00 B
G01T1/24
G01T1/20 B
G01T1/20 E
G01T1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014229
(22)【出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】514115065
【氏名又は名称】株式会社C&A
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】吉野 将生
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 圭
(72)【発明者】
【氏名】吉川 彰
(72)【発明者】
【氏名】横田 有為
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 淳
(72)【発明者】
【氏名】島添 健次
(72)【発明者】
【氏名】庄子 育宏
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB04
2G188BB07
2G188CC18
2G188CC22
2G188CC29
2G188CC32
2G188DD05
2G188DD16
2G188DD18
2G188EE12
2G188EE16
2G188EE25
4C188EE02
4C188EE25
4C188FF04
4C188GG19
4C188GG21
4C188JJ13
4C188KK01
4C188KK15
4C188KK28
4C188KK29
4C188KK33
4C188MM01
(57)【要約】
【課題】より少ない測定回数で、複数の核種を配置した位置をより正確に特定する。
【解決手段】互いに向かい合って配置された放射線を検出する2つの検出器101a,検出器101bを備え、検出器101a、検出器101bの各々は、放射線を検出する吸収体部111、および吸収体部111と検体151が配置される側との間に配置されて放射線を検出するコリメータ部112を備える。コリメータ部112は、検体151が配置される側から吸収体部111の側に貫通する貫通孔104を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を挟んで互いに向かい合って配置され、各々が、放射線を検出する吸収体部、および前記吸収体部と前記検体が配置される側との間に配置されて放射線を検出するコリメータ部を備える2つの検出器と、
前記検体内より放出され、前記2つの検出器の各々の前記吸収体部および前記コリメータ部の少なくとも2つにおいて同一の検出タイミングで検出される放射線のエネルギー情報より放出源を多光子放出核種と特定し、特定された放出源の位置情報および特定情報を含む第1検出情報を生成する第1処理部と、
前記検体内より放出され、前記2つの検出器の各々の前記吸収体部または前記コリメータ部において、同一の検出タイミングで検出される2つの放射線のエネルギー情報より放出源を陽電子放出核種と特定し、特定された放射線の放出源の位置情報および特定情報を含む第2検出情報を生成する第2処理部と
を備え、
前記コリメータ部は、前記検体が配置される側から前記吸収体部の側に貫通する貫通孔を備える
ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線測定装置において、
前記コリメータ部は、複数の前記貫通孔を備えることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の放射線測定装置において、
前記吸収体部は、シンチレータから構成された吸収体発光部と、
前記吸収体発光部で発生したシンチレーション光を検出する第1検出部と
から構成されていることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の放射線測定装置において、
前記吸収体部は、放射線を検出して電気信号に変換する半導体から構成されている
ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の放射線測定装置において、
前記コリメータ部は、シンチレータから構成されたコリメータ発光部と、
前記コリメータ発光部で発生したシンチレーション光を検出する第2検出部と
から構成されていることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の放射線測定装置において、
前記放射線は、前記検体における多光子放出核種が配置された箇所から放出されたもの、または前記検体における陽電子放出核種が配置された箇所から放出されたものである
ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の放射線測定装置において、
前記第1検出情報および前記第2検出情報から、前記検体内における多光子放出核種および陽電子放出核種の位置を示す画像を生成する画像生成部をさらに備えることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の放射線測定装置において、
前記検体内より放出され、前記2つの検出器のいずれかにおける前記吸収体部において検出される放射線のエネルギー情報より放出源を単一光子放出核種と特定し、特定された放射線のエネルギー情報および特定情報を含む第3検出情報を生成する第3処理部を更に備える
ことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項9】
請求項8記載の放射線測定装置において、
前記第1検出情報、前記第2検出情報および前記第3検出情報から、前記検体内における多光子放出核種、陽電子放出核種、および単一光子放出核種の位置を示す画像を生成する画像生成部をさらに備えることを特徴とする放射線測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、PET(Positron Emission Tomography)核種とSPECT(single photon emissionCT)核種を併用した診断・治療が、核医学の分野で臨床に向けた研究が盛んに行われている。また、223Ra、111In、177Luのような複数の放射線を放出する核種を用いた技術も開発されている。これら核種を複数用いた同時測定により、病変の集積位置と治療効果とを同時に診断でき効果的な治療が可能となる。しかしながら、現在、多核種の同時測定が困難なため、各放射線同位元素を別々に用いて測定している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Frans van der Have et al., "U-SPECT-II: An Ultra-High-Resolution Device for Molecular Small-Animal Imaging", THE JOURNAL OF NUCLEAR MEDICINE, vol. 50, no. 4, pp. 599-605, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、現状では、複数の核種を用いる場合、複数回の測定が必要となり、患者への負担が増えるという問題があった。また、各核種での測定結果の差異が大きいため核種の正確な特定が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より少ない測定回数で、複数の核種を配置した位置がより正確に特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る放射線測定装置は、検体を挟んで互いに向かい合って配置され、各々が、放射線を検出する吸収体部、および吸収体部と検体が配置される側との間に配置されて放射線を検出するコリメータ部を備える2つの検出器と、検体内より放出され、2つの検出器の各々の吸収体部およびコリメータ部の少なくとも2つにおいて同一の検出タイミングで検出される放射線のエネルギー情報より放出源を多光子放出核種と特定し、特定された放出源の位置情報および特定情報を含む第1検出情報を生成する第1処理部と、検体内より放出され、2つの検出器の各々の吸収体部またはコリメータ部において、同一の検出タイミングで検出される2つの放射線のエネルギー情報より放出源を陽電子放出核種と特定し、特定された放射線の放出源の位置情報および特定情報を含む第2検出情報を生成する第2処理部とを備え、コリメータ部は、検体が配置される側から吸収体部の側に貫通する貫通孔を備える。
【0007】
上記放射線測定装置の一構成例において、コリメータ部は、複数の貫通孔を備える。
【0008】
上記放射線測定装置の一構成例において、吸収体部は、シンチレータから構成された吸収体発光部と、吸収体発光部で発生したシンチレーション光を検出する第1検出部とから構成されている。
【0009】
請求項1または2上記放射線測定装置の一構成例において、吸収体部は、放射線を検出して電気信号に変換する半導体から構成されている。
【0010】
上記放射線測定装置の一構成例において、コリメータ部は、シンチレータから構成されたコリメータ発光部と、コリメータ発光部で発生したシンチレーション光を検出する第2検出部とから構成されている。
【0011】
上記放射線測定装置の一構成例において、放射線は、検体における多光子放出核種が配置された箇所から放出されたもの、または検体における陽電子放出核種が配置された箇所から放出されたものである。
【0012】
上記放射線測定装置の一構成例において、第1検出情報および第2検出情報から、検体内における多光子放出核種および陽電子放出核種の位置を示す画像を生成する画像生成部をさらに備える。
【0013】
上記放射線測定装置の一構成例において、検体内より放出され、2つの検出器のいずれかにおける吸収体部において検出される放射線のエネルギー情報より放出源を単一光子放出核種と特定し、特定された放射線のエネルギー情報および特定情報を含む第3検出情報を生成する第3処理部を更に備える。
【0014】
上記放射線測定装置の一構成例において、第1検出情報、第2検出情報および第3検出情報から、検体内における多光子放出核種、陽電子放出核種、および単一光子放出核種の位置を示す画像を生成する画像生成部をさらに備える。
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、放射線を検出する吸収体部と、吸収体部と検体が配置される側との間に配置されて放射線を検出するコリメータ部とを各々備える2つの検出器を、互いに向かい合って配置して放射線を検出するので、より少ない測定回数で、複数の核種を配置した位置がより正確に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態における放射線測定装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態における放射線測定装置の一部構成を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態における他の放射線測定装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態おける放射線測定装置について図1を参照して説明する。この放射線測定装置は、互いに向かい合って配置された2つの検出器101a,検出器101bと、第1処理部102と、第2処理部103とを備える。
【0018】
検出器101a、検出器101bは、設定された所定の時間間隔で実施される検出タイミングで検出動作を実施する。検出器101a、検出器101bの各々は、放射線を検出する吸収体部111、および吸収体部111と検体151が配置される側との間に配置されて放射線を検出するコリメータ部112を備える。また、コリメータ部112は、検体151が配置される側から吸収体部111の側に貫通する貫通孔104を備える。コリメータ部112は、複数の貫通孔104を備えることができる。
【0019】
例えば、吸収体部111は、シンチレータから構成された吸収体発光部111aと、吸収体発光部111aで発生したシンチレーション光を検出する第1検出部111bとから構成することができる。上述したシンチレータは、例えば、Bi4Ge312、PbWO4などとすることができる。また、上述したシンチレータは、Y2SiO5とLu2SiO5との混晶組成の単結晶(LYSO)とすることができる。また、上述したシンチレータは、Gd3(Ga,Al)512(Ce)やNaI:Tlなどとすることができる。
【0020】
吸収体発光部111aは、例えば、図2に示すように、シンチレータから構成された単位吸収体セル121を、複数配列することで構成することができる。例えば、単位吸収体セル121は、平面視の大きさが2.5mm×2.5mmの正方形とすることができる。また、単位吸収体セル121は、厚さ4mmとすることができる。このように、各々が直方体とされた複数の単位吸収体セル121を正方配列して吸収体発光部111aを構成することができる。
【0021】
上述した構成の吸収体発光部111aに対し、各々の単位吸収体セル121に対応して配置したフォトダイオードなどの受光素子から第1検出部111bを構成することができる。このような構成の第1検出部111bとして、例えば、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)などの光検出機構を用いることができる。
【0022】
また、吸収体部111は、放射線を検出して電気信号に変換する半導体から構成することができる。上述した半導体は、CdTeやCdZnTeなどとすることができる。この場合、例えば、図2に示すように、上述した半導体から構成された単位吸収体セル121を、複数配列することで構成することができる。例えば、単位吸収体セル121は、平面視の大きさが2.5mm×2.5mmの正方形とすることができる。また、単位吸収体セル121は、厚さ4mmとすることができる。このように、各々が直方体とされた複数の単位吸収体セル121を正方配列して吸収体発光部111aを構成することができる。単位吸収体セル121(吸収体部111)を上述した半導体から構成する場合、第1検出部は不必要となる。
【0023】
コリメータ部112は、シンチレータから構成されたコリメータ発光部112aと、コリメータ発光部112aで発生したシンチレーション光を検出する第2検出部112bとから構成することができる。上述したシンチレータは、例えば、Bi4Ge312、PbWO4などとすることができる。また、上述したシンチレータは、Y2SiO5とLu2SiO5との混晶組成の単結晶(LYSO)とすることができる。また、上述したシンチレータは、Gd3(Ga,Al)512(Ce)やNaI:Tlなどとすることができる。
【0024】
例えば、図2に示すように、シンチレータから構成された単位コリメータセル122を複数配列して構成することができる。例えば、単位コリメータセル122は、平面視の大きさが2mm×2mmの正方形とすることができる。また、単位コリメータセル122は、長さが30mmとした角柱形状とすることができる。このように、各々が角柱とされた複数の単位コリメータセル122を正方配列し、この中で、等間隔で単位コリメータセル122を配置しない箇所を形成して貫通孔104として、コリメータ部112を構成することができる。
【0025】
上述した構成のコリメータ部112に対し、各々の単位コリメータセル122に対応して配置したフォトダイオードなどの受光素子から第2検出部112bを構成することができる。このような構成の第2検出部112bとして、例えば、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)などの光検出機構を用いることができる。
【0026】
なお、放射線は、検体151における多光子放出核種が配置された箇所から放出されたもの、または検体151における陽電子放出核種が配置された箇所から放出されたものである。上述した検体151における多光子放出核種や陽電子放出核種は、既知の物質である。
【0027】
第1処理部102は、検体151内より放出され、2つの検出器110a,検出器101bの各々の吸収体部111およびコリメータ部112の少なくとも2つにおいて、同一の検出タイミングで検出される放射線のエネルギー情報より放出源を多光子放出核種と特定し、特定された放出源の位置情報および特定情報を含む第1検出情報を生成する。検体内151に配置される多光子放出核種は、既知の物質であり、この多光子放出核種より放出される放射線(光子)のエネルギーは既知であり、第1処理部102に設定してある。第1処理部102は、検出された情報より得られるエネルギー情報と、設定されているエネルギー情報との比較により、放出源が多光子放出核種であるか否かを判定(特定)する。
【0028】
第2処理部103は、検体151内より放出され、2つの検出器110a,検出器101bの各々の吸収体部111またはコリメータ部112において、同一の検出タイミングで検出される2つの放射線のエネルギー情報より放出源を陽電子放出核種と特定し、特定された放射線の放出源の位置情報および特定情報を含む第2検出情報を生成する。検体内151に配置される陽電子放出核種より放出される放射線(対消滅ガンマ線)のエネルギーは、511keVであり、この情報は、第2処理部103に設定してある。第2処理部103は、検出された情報より得られるエネルギー情報と、設定されているエネルギー情報(511keV)との比較により、放出源が陽電子放出核種であるか否かを判定(特定)する。
【0029】
また、この放射線測定装置は、第1検出情報および第2検出情報から、検体151内における多光子放出核種および陽電子放出核種の位置を示す画像を生成する画像生成部105を備えることができる。画像生成部105は、検出器101a,検出器101bによる1回の検出において得られた第1検出情報と第2検出情報とから、検体151における第1放射線および第2放射線の放出源の画像を生成することができる。2つの検出器101a,検出器101bを備えているので、1回の撮影で、検体151における多光子放出核種による放射線と陽電子放出核種による放射線との検出が可能である。画像生成部105が生成した画像は、表示部106に表示される。このように、画像を生成することで、測定後に画像を融合することなどにより、病変の評価を実施することができる。
【0030】
例えば、多光子放出核種から放出された放射線のうち、少なくとも1つの光子がコリメータ部112で検出されず、吸収体部111で検出される情報を用いる。この際、他の光子がコリメータ部112または吸収体部111で、ある一定の時間間隔内に測定された現象を考える。これらの現象の中で、測定されたエネルギーが、設定されている多光子放出核種の放射線のエネルギーと、所定の誤差の範囲内で一致するとき、同一の多光子放出核種から放出された放射線が検出されたものとみなすことができる。例えば、検体151が配置される箇所を中心として、検出器101aおよび検出器101bを回転させ、複数の角度から、上述した多光子放出核種から放出された放射線の検出情報を収集することで、3次元の断層画像を得ることができる。
【0031】
また、例えば、陽電子放出核種から放出される陽電子と体内電子とが対消滅した際に、各々が180°反対方向に放出される2本の対消滅ガンマ線(511keV)を、互いに向かい合う検出器101aおよび検出器101bで測定する。コリメータ部112または吸収体部111で、ある一定の時間間隔内に511keVのエネルギーの2個のガンマ線(放射線)が検出されたとき、これら2つの検出位置を結ぶ直線状で対消滅が起きたと考え、陽電子放出核種から放出されたガンマ線が検出されたものとする。この陽電子放出核種から放出されたガンマ線の検出情報を複数集めることで、3次元の断層画像を得ることができる。
【0032】
また、例えば、単一光子放出核種から放出された放射線のうち、コリメータ部112では検出されず、吸収体部111で検出された情報を収集する。測定したエネルギーが、設定されている単一光子放出核種のエネルギーと誤差の範囲内で一致する検出情報を、単一光子放出核種から放出された放射線の検出情報とみなす。この検出情報を用いることで、2次元の放射線イメージが取得できる。また、例えば、検体151が配置される箇所を中心として、検出器101aおよび検出器101bを回転させ、複数の角度から、上述した単一光子放出核種から放出された放射線の検出情報を収集することで、3次元の断層画像を得ることができる。
【0033】
また、以下に示すことにより、多光子放出核種を含む複数の核種の測定を実施する際に、お互いの核種の検出情報に入り込むクロストークの影響を低減することができる。
【0034】
[第1条件]陽電子放出核種(あるいは多光子放出核種)の散乱線が単一光子放出核種のエネルギーウィンドウに入り込む場合(疑似単一光子放出核種検出情報)。
【0035】
この検出情報が得られた際に、ある一定の時間間隔内に他の単位吸収体セル121(単位コリメータセル122)で陽電子放出核種(あるいは多光子放出核種)のエネルギー以下のガンマ線(光子)が検出された場合、当該検出情報を陽電子放出核種(あるいは多光子放出核種)の散乱線イベントと識別し、単一光子放出核種の検出情報から除去する。
【0036】
[第2条件]陽電子放出核種(あるいは多光子放出核種)がコリメータ部112で散乱し(検出され)、吸収体部111で検出され、かつそのエネルギーが単一光子放出核種のエネルギーウィンドウに入る場合。
【0037】
コリメータ部112の検出と吸収体部111の検出が、ある一定時間間隔内の場合、当該検出情報は、陽電子放出核種(あるいは多光子放出核種)の散乱線による検出情報と識別し、単一光子放出核種の検出情報から除去する。
【0038】
なお、この放射線測定装置は、検体151内より放出され、2つの検出器101a,検出器101bのいずれかにおける吸収体部111において検出される(コリメータ部112では検出されない)放射線のエネルギー情報より放出源を単一光子放出核種と特定し、特定された放射線のエネルギー情報および特定情報を含む第3検出情報を生成する第3処理部(不図示)を更に備えることができる。
【0039】
検体内151に配置される単一光子放出核種は、既知の物質であり、この単一光子放出核種より放出される放射線(光子)のエネルギーは既知であり、第3処理部に設定してある。第3処理部は、検出された情報より得られるエネルギー情報と、設定されているエネルギー情報との比較により、放出源が単一光子放出核種であるか否かを判定(特定)する。
【0040】
このように第3処理部を備えることで、画像生成部105は、第1検出情報、第2検出情報および第3検出情報から、検体151内における多光子放出核種、陽電子放出核種、および単一光子放出核種の位置を示す画像を生成することができる。
【0041】
また、図3に示すように、例えば、4個2組の検出器101a,101b,101c,101dを用いる構成とすることができる。検出器101aと検出器101bとが、検体151を挾んで向かい合って配置され、検出器101cと検出器101dとが、検体151を挾んで向かい合って配置される。このように、より多くの検出器を用いることで、放射線源の集積箇所が、より正確に特定できる。
【0042】
以上に説明したように本発明によれば、放射線を検出する吸収体部と、吸収体部と検体が配置される側との間に配置されて放射線を検出するコリメータ部とを各々備える2つの検出器を、互いに向かい合って配置して放射線を検出するので、より少ない測定回数で、複数の核種を配置した位置がより正確に特定できるようになる。
【0043】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0044】
101a,101b…検出器、102…第1処理部、103…第2処理部、104…貫通孔、105…画像生成部、106…表示部、111…吸収体部、111a…吸収体発光部、111b…第1検出部、112…コリメータ部、112a…コリメータ発光部、112b…第2検出部、121…単位吸収体セル、122…単位コリメータセル、151…検体。
図1
図2
図3