(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112655
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20230804BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20230804BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/165 207
B41J2/175 167
B41J2/175 175
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190031
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2022014530
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】依田 和久
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA20
2C056EA22
2C056EA27
2C056EB44
2C056EC24
2C056EC26
2C056EC54
2C056FA13
2C056HA29
2C056HA33
2C056JB18
2C056JC13
2C056JC23
2C056JC25
(57)【要約】
【課題】液体貯留部から液体が溢れ出るのを抑制することができる液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】ユーザーによる液体貯留部たる空吐出受けの交換作業の終了後に指示手段としての操作パネルにより装置に新たにセットした空吐出受けに付与されたコード情報の入力指示を行う(S6)。そして、ユーザーが入力したコード情報が、ルールに従った正しいコード情報や、エンドとなった空吐出受けのコード情報でない場合(S7のYes)は、交換後処理として、記憶手段たる記憶部に記憶されているエンド判定用のインク貯留量を変更する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留し、装置本体に対して着脱可能に構成された液体貯留部と、
ユーザーに対して指示を行う指示手段と、を備え、
前記液体貯留部の液体貯留量が閾値を超えたとき前記指示手段により前記液体貯留部の交換を指示する液体を吐出する装置において、
前記液体貯留部には、コード情報が付与されており、ユーザーによる前記液体貯留部の交換作業の開始前または交換作業の終了後に、前記指示手段により装置に新たにセットするまたは新たにセットした液体貯留部に付与されたコード情報の入力指示を行い、前記ユーザーが入力したコード情報に基づいて、交換後処理を行うことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
前記交換後処理は、記憶手段に記憶されている前記液体貯留部の液体貯留量を変更する処理を含むことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体を吐出する装置において、
前記液体吐出ヘッドから排出された廃液量に基づいて前記液体貯留部の液体貯留量を算出する算出手段を備え、
前記記憶手段は、前記算出手段により算出した前記液体貯留量を記憶しており、
前記記憶手段に記憶されている前記液体貯留量が閾値を超えたとき前記指示手段により前記液体貯留部の交換指示を行うことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液体を吐出する装置において、
前記記憶手段は、コード情報と、前記コード情報に対応する液体貯留部の前記液体貯留量とを関連付けて記憶しており、
入力されたコード情報が、前記記憶手段に記憶されている前記コード情報であるときは、前記記憶手段に記憶された閾値を超えたか否かを判断するための液体貯留量を、前記コード情報に関連付けて記憶された液体貯留量に変更し、前記記憶手段に記憶されていないコード情報のときは、前記記憶手段に記憶された閾値を超えたか否かを判断するための液体貯留量を、「0」に変更することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体を吐出する装置において、
前記記憶手段は、前記コード情報に対応する液体貯留部の液体貯留量以外の情報も関連付けて記憶していることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
エンドとなった前記液体貯留部に対応するコード情報を記憶する記憶手段を有し、
入力されたコード情報が、前記記憶手段に記憶されているエンドとなった液体貯留部に対応するコード情報のときは、前記交換後処理を実行しないことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
前記入力されたコード情報が予め決められたルールに従っていないコード情報のときは、前記交換後処理を実行しないことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
前記液体貯留部は、前記液体吐出ヘッドから空吐出された液体を受けるものであり、
前記液体吐出ヘッドにより液体を吐出される媒体を、回転することで搬送する円筒形状の搬送ドラムを有し、
前記液体貯留部が、前記搬送ドラムに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体を吐出する装置において、
複数の前記液体貯留部が、前記搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、
前記指示手段は、前記搬送ドラムに取り付けられたすべての液体貯留部を交換するようにユーザーに指示するものであって、
前記コード情報は、前記搬送ドラムに取り付けられている複数の液体貯留部に対して一つ付与されていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項10】
請求項8に記載の液体を吐出する装置において、
複数の前記液体貯留部が、前記搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、
複数の液体貯留部それぞれに対して、前記コード情報が付与されていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項11】
請求項8に記載の液体を吐出する装置において、
前記液体貯留部を交換する際、前記液体貯留部の着脱を行うための規定の回転位置に前記液体貯留部が位置するように、前記搬送ドラムの回転を制御することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項12】
請求項8に記載の液体を吐出する装置において、
複数の前記液体貯留部が、前記搬送ドラムの回転方向に所定の間隔を開けて前記搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、
前記複数の液体貯留部のセットを検知するセット検知手段を備えることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項13】
請求項12に記載の液体を吐出する装置において、
前記セット検知手段が未セットを検知したとき、前記液体貯留部が未セットの前記搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が、前記液体貯留部の着脱を行うための規定の回転位置に位置するように、前記搬送ドラムの回転を制御することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体を吐出する装置において、
前記セット検知手段が複数の液体貯留部について未セットを検知したとき、前記液体貯留部が未セットの前記搬送ドラムの複数の液体貯留部取り付け位置のうち、前記規定の回転位置に最も近い液体貯留部取り付け位置が、前記規定の回転位置に位置するように前記搬送ドラムの回転を制御することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項15】
請求項11に記載の液体を吐出する装置において、
複数の前記液体貯留部が、前記搬送ドラムの回転方向に所定の間隔を開けて前記搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、
前記搬送ドラムを手動で回転制御可能に構成したことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項16】
請求項11に記載の液体を吐出する装置において、
複数の前記液体貯留部が、前記搬送ドラムの回転方向に所定の間隔を開けて前記搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、
前記規定の回転位置で、交換する液体貯留部をセットした後、別の前記搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が前記規定の回転位置に位置するように、前記搬送ドラムが自動で回転制御されることを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項17】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
前記液体貯留部のセットを検知するセット検知手段を備え
前記セット検知手段が、前記液体貯留部のセットを検知していないときは、液体吐出ヘッドの液体の吐出を禁止することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項18】
請求項1に記載の液体を吐出する装置において、
コード情報が記録されたコード画像を読み取る読取手段を有することを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留し、装置本体に対して着脱可能に構成された液体貯留部と、ユーザーに対して指示を行う指示手段と、を備え、液体貯留部の液体貯留量が閾値を超えたとき指示手段により液体貯留部の交換を指示する液体を吐出する装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記液体を吐出する装置として、液体貯留部を交換したユーザーは液体貯留部を交換したことを示す入力操作を行い、装置はこの入力操作を受け付けたら、交換後処理として、記憶手段に記憶されている液体貯留部の液体貯留量を0に変更するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装置にセットされている液体貯留部から液体が溢れ出るおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留し、装置本体に対して着脱可能に構成された液体貯留部と、ユーザーに対して指示を行う指示手段と、を備え、前記液体貯留部の液体貯留量が閾値を超えたとき前記指示手段により前記液体貯留部の交換を指示する液体を吐出する装置において、前記液体貯留部には、コード情報が付与されており、ユーザーによる前記液体貯留部の交換作業の開始前または交換作業の終了後に、前記指示手段により装置に新たにセットするまたは新たにセットした液体貯留部に付与されたコード情報の入力指示を行い、前記ユーザーが入力したコード情報に基づいて、交換後処理を行うことを特徴とする液体を吐出するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液体貯留部から液体が溢れ出るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る「液体を吐出する装置」としてのインクジェット記録装置であるプリンタの概略構成を示す模式図。
【
図3】第一インラインセンサと、第二インラインセンサの配置について説明する図。
【
図4】空吐出受けの交換位置について、説明する図。
【
図7】セット検知センサによる用紙搬送ドラムにセットされた3つの空吐出受けのセット検知について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
[全体説明]
図1は、本実施形態に係る「液体を吐出する装置」としてのインクジェット記録装置であるプリンタ1の概略構成を示す模式図である。
プリンタ1は、主に、給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、排紙部400から構成されている。
【0010】
プリンタ1においては、給紙部100から給紙される用紙P(媒体、シート材及び記録材である)に対し、画像形成部200で画像形成用の液体であるインクにより画像を形成する。そして、用紙P上に付着したインクを乾燥部300において乾燥させた後、用紙Pを排紙部400から排紙する。
【0011】
[給紙部]
給紙部100は、主に、複数の用紙Pが積載される給紙トレイ110と、給紙トレイ110から用紙Pを一枚ずつ分離して送り出す給送装置120と、用紙Pを画像形成部200へ送り込むレジストローラ対130とから構成されている。
【0012】
給送装置120には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置120により給紙トレイ110から送り出された用紙Pは、その先端がレジストローラ対130に到達した後、レジストローラ対130が所定のタイミングで駆動することにより、画像形成部200へ給紙される。
【0013】
なお、本実施形態において、給紙部100は、画像形成部200へ用紙Pを送り出すものであれば、その構成に制限はない。
【0014】
[画像形成部]
画像形成部200は、主に、受取胴201と、用紙搬送ドラム210(搬送部材)と、インク吐出部220と、受渡胴202とから構成されている。
図2は、画像形成部200の構成を示す模式図である。
受取胴201は、給紙された用紙P(媒体)を受け取り、下流側に搬送する部材である。用紙搬送ドラム210は、受取胴201によって搬送された用紙Pを外周面に担持して搬送する円筒形状の部材である。インク吐出部220は、用紙搬送ドラム210によって搬送される用紙Pに向けてインクを吐出する機構である。受渡胴202は、用紙搬送ドラム210によって搬送された用紙Pを乾燥部300へ受け渡す部材である。
【0015】
給紙部100から画像形成部200へ搬送されてきた用紙Pは、受取胴201の表面に設けられた受取用紙グリッパ201aによって先端が把持され、受取胴201の表面移動に伴って搬送される。受取胴201により搬送された用紙Pは、用紙搬送ドラム210との対向位置で用紙搬送ドラム210へ受け渡される。
【0016】
用紙搬送ドラム210の表面にも搬送用紙グリッパ210aが設けられており、用紙搬送ドラム210へ受け渡された用紙Pの先端が搬送用紙グリッパ210aによって把持される。また、用紙搬送ドラム210の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されており、各吸引孔には吸引装置211によって用紙搬送ドラム210の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。
【0017】
受取胴201から用紙搬送ドラム210へ受け渡された用紙Pは、搬送用紙グリッパ210aによって先端が把持されると共に、吸い込み気流によって用紙搬送ドラム210の表面に吸着して、用紙搬送ドラム210の表面移動に伴って搬送される。
【0018】
本実施形態のインク吐出部220は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の四色のインクを吐出して画像を形成するものであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッド230(230C,230M,230Y,230K)を備えている。四つの液体吐出ヘッド230は、吐出するインクの色が異なる点以外は同様の構成を備えているため、以下の説明では吐出するインクの色を示す「C」、「M」、「Y」、「K」等の添え字は適宜省略して説明する。
【0019】
液体吐出ヘッド230は、吐出孔から液体を吐出するものであれば、その構成に制限はなく、あらゆる構成のものを採用することができる。必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊なインクを吐出する液体吐出ヘッドを設けたり、表面コート液などの画像を構成しない液体を吐出する液体吐出ヘッドを設けたりしてもよい。
【0020】
インク吐出部220の四つの液体吐出ヘッド230は、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。用紙搬送ドラム210によって搬送された用紙Pがインク吐出部220との対向領域を通過する際に、四つの液体吐出ヘッド230から各色インクが吐出され、当該画像情報に応じた画像が形成される。
【0021】
なお、本実施形態において、画像形成部200は、用紙P上に液体を付着させて画像を形成するであれば、その構成に制限はない。
【0022】
[乾燥部]
乾燥部300は、主に、画像形成部200で用紙P上に付着したインクを乾燥させるための乾燥機構301と、画像形成部200から搬送されてくる用紙Pを搬送する搬送機構302とから構成されている。
【0023】
画像形成部200から搬送されてきた用紙Pは、搬送機構302に受け取られた後、乾燥機構301を通過するように搬送され、排紙部400へ受け渡される。乾燥機構301を通過する際、用紙P上のインクには乾燥処理が施され、これによりインク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着すると共に、用紙Pのカールが抑制される。
【0024】
[排紙部]
排紙部400は、主に、複数の用紙Pが積載される排紙トレイ410から構成されている。乾燥部300から搬送されてくる用紙Pは、排紙トレイ410上に順次積み重ねられて保持される。
【0025】
なお、本実施形態において、排紙部400は、用紙Pを排紙するものであれば、その構成に制限はない。
【0026】
[その他の機能部]
本実施形態のプリンタ1は、給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、排紙部400から構成されているが、他の機能部を適宜追加してもよい。例えば、給紙部100と画像形成部200との間に画像形成の前処理を行う前処理部を追加したり、乾燥部300と排紙部400との間に画像形成の後処理を行う後処理部を追加したりすることができる。
【0027】
前処理部としては、例えば、インクと反応して滲みを抑制するための処理液を用紙Pに塗布する処理液塗布処理を行うものなどが挙げられるが、前処理の内容については特に制限はない。
【0028】
また、後処理部としては、例えば、画像形成部200で画像が形成された用紙Pを反転させて再び画像形成部200へ送って用紙Pの両面に画像を形成するための用紙反転搬送処理や、画像が形成された複数枚の用紙Pを綴じる処理などが挙げられる。しかし、後処理の内容についても特に制限はない。
【0029】
本実施形態では、液体を吐出する装置を、インクジェット記録装置であるプリンタ1の例で説明している。プリンタ1は、シート材である用紙Pの被乾燥面に向けて液体であるインクを吐出する液体吐出ヘッド230を備える。
【0030】
なお、本実施形態においては、複数の液体吐出ヘッドを用紙幅方向(搬送方向と直交する方向)に並べることで、長尺な液体吐出ヘッド(ラインヘッド)としている。特筆しない場合は、「液体吐出ヘッド」とは「ラインヘッド」を意味する。
【0031】
本実施形態の個々の液体吐出ヘッド230は、用紙Pの幅方向にわたる長さ(主走査方向長さ)もったライン型の液体吐出ヘッドであり、用紙Pに対して個々の液体吐出ヘッド230からインクを吐出する。
【0032】
本実施形態において、個々の液体吐出ヘッド230は、用紙搬送ドラム210の回転軸を中心にして放射状に個別に配置している。
【0033】
インク吐出部220よりも用紙Pの搬送方向下流側には、画像検出手段としてのスキャナユニット10が用紙搬送ドラム210に対向するように設けられている。スキャナユニット10は、第一インラインセンサ10aと第二インラインセンサ10bとを有している。
図3に示すように、第一インラインセンサ10aは、主走査方向(用紙の幅方向)一端側に配置され、第二インラインセンサ10bは、主走査方向他端側に配置されている。
【0034】
本実施形態では、第一インラインセンサ10aと第二インラインセンサ10bを副走査方向(用紙の搬送方向)の異なる位置に配置している。そして、第一インラインセンサ10aの主走査方向他端側と、第二インラインセンサ10bの主走査方向一端側とが重なるように配置されている(オーバーラップ領域)。これにより、第一インラインセンサ10aと第二インラインセンサ10bとで主走査方向の全域で切れ間なく用紙に形成された画像を読み取ることができる。定期的に用紙にテストパターンを形成し、用紙に形成したテストパターンをスキャナユニット10で読み取る。そして、スキャナユニットで読み取ったテストパターンに基づいて、画質等を調整する。
【0035】
また、印刷する画像などにより液体吐出ヘッド230には、インクを頻繁に吐出するものとあまり吐出しないものが存在することがある。あまりインクを吐出しない液体吐出ヘッド230内では、インクが乾燥、増粘し、所望のタイミングで所望の量のインクを吐出できなくなる場合がある。これを防ぐ為に、所定時間インクが吐出されない場合には空吐出を行う。
【0036】
本実施形態においては、空吐出により吐出されたインクを受け、受けたインクを貯留する液体貯留部としての空吐出受け500が、用紙搬送ドラム210の回転方向の等間隔で3箇所、用紙搬送ドラム210に設けられている。本実施形態では、搬送用紙グリッパ210aにより把持された用紙Pの紙間に空吐出受け500が配置されている。
【0037】
用紙搬送ドラム210と空吐出受け500は一体で回転する様になっており、空吐出受け500が、所定時間インクが吐出されていない液体吐出ヘッドに対向する位置を通過する際に、この液体吐出ヘッドは、空吐出受け500に向けて空吐出を行なう。
【0038】
空吐出受け500は、空吐出された廃液として廃インクを吸収するスポンジなどからなる吸収部材と、吸収部材を内部に収納し、空吐出された廃インクを貯留する液体吐出ヘッド230と対向する面が開口した箱型形状のケース部材とで構成されている。
空吐出受け500は、用紙搬送ドラム210と一体で回転する様になっている。そのため、用紙搬送ドラム210の回転に伴い、空吐出受け500の開口が下方を向く。しかし、本実施形態においては、空吐出受け500に吸収部材を設け、空吐出された廃インクを吸収部材に吸収して吸収部材に保持する。その結果、空吐出受け500の開口が下方を向いても、その開口から貯留した廃インクが落下するのを抑制することができる。
空吐出受け500は、用紙搬送ドラム210に着脱可能に設けられており交換可能となっている。
【0039】
図4は、空吐出受け500の交換位置について、説明する図である。
空吐出受け500の交換位置は、用紙搬送ドラム210の鉛直方向の頂部が、交換位置となっている。
空吐出受け500は、用紙搬送ドラム210の回転軸方向にスライドさせることで、用紙搬送ドラム210に対して着脱を行うようになっている。装置の空吐出受け500の交換位置の周辺は、空吐出受け500がスライドできるためのスペース210bが設けられている。
【0040】
空吐出受け500の交換位置を用紙搬送ドラム210の鉛直方向の頂部とすることで、以下の効果を得ることができる。すなわち、空吐出受け500の開口が上を向き、空吐出受け500の交換の際に吸収部材に吸収された廃インクが空吐出受け500の開口から漏れるなどの不具合が発生するのを抑制することができるという効果である。
【0041】
また、空吐出受けの交換位置を、規定の位置とすることで、空吐出受けの交換位置にのみ空吐出受け500がスライドできるためのスペースを設ければよく、装置のレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【0042】
また、用紙搬送ドラム210を手動で回転駆動させるためのスイッチ20は、用紙搬送ドラム210を保持するフレーム等に設けられている。交換位置に位置する空吐出受けを新品に交換した後に、ユーザーがこのスイッチ20を押して、用紙搬送ドラム210を回転駆動させる。そして、交換すべき別の空吐出受け500が交換位置に位置したら、ユーザーは、スイッチ20から指を離すことで、用紙搬送ドラム210の回転が停止し、交換すべき別の空吐出受け500を交換位置に位置させることができる。
【0043】
図5は、空吐出受け500の交換に関する制御ブロック図であり、
図6は、制御部11のブロック図である。
制御部11は、CPU11a、RAMなどの揮発性メモリ11e、ROMなどの不揮発性メモリ11b、動作指令回路11c、空吐出指令回路11dなどを備えている。制御部11には、記憶部12、液体吐出ヘッド230を駆動する液体吐出ヘッド駆動部13、指示手段としての操作パネル14が接続されている。また、制御部11には、用紙搬送ドラム210を駆動する用紙搬送ドラム駆動部15、空吐出受け500の用紙搬送ドラムへのセットを検知するセット検知センサ25なども接続されている。
【0044】
制御部11の動作指令回路11cは、用紙搬送ドラム駆動部15のに対して駆動信号を出力する。用紙搬送ドラム駆動部15は、動作指令回路11cからの駆動信号に基づいて、用紙搬送ドラムを回転駆動するモータを制御する。空吐出指令回路は、液体吐出ヘッド230に対して空吐出出力信号を出力する。液体吐出ヘッド230は、空吐出出力信号に基づいて空吐出を行う。
【0045】
記憶部12は、フラッシュメモリ、HDDなどの不揮発性記憶手段で構成され、後述する空吐出受け500に付与されたコード情報と、その空吐出受けのインク貯留量とを関連づけて記憶している。また、コード情報にインク貯留量以外の情報(例えば、交換日時、使用国、印刷枚数等)も関連付けて記憶してもよい。コード情報にインク貯留量以外の情報(例えば、交換日時、使用国、印刷枚数等)も関連付けて記憶することで、装置の解析するための解析データとして用いることが可能となる。
【0046】
また、記憶部12は、エンドとなった空吐出受けに対応するコード情報をエンド履歴情報として記憶する。このエンド履歴情報は、後述するようにユーザーによって入力された空吐出受け500に付与されたコード情報がエンドとなった空吐出受け500のコード情報でないかのチェックに用いられる。
【0047】
このコード情報は、決められたルールに従って作成された例えば複数の英数字からなり、後述するように空吐出受けの交換完了後にユーザーに入力される。例えば、コード情報が記載された紙が新品の空吐出受けとともに同梱されている。そして、交換完了後に新品の空吐出受けが梱包され箱からこのコード情報が記載された紙を取り出し、紙に記載されたコード情報を操作パネルを操作して入力することで、交換された新品の空吐出受けに対応するコード情報が取得される。
【0048】
また、コード情報をデカルにして空吐出受けの直接貼るようにしてもよい。後述するように、まだ十分にインクを貯留可能であるが、使用が中断された空吐出受けに交換する際に、コード情報が記録された紙を無くしてしまう場合がある。この場合は、交換する際に空吐出受けにデカルされたコード情報のメモを取って、交換完了後にメモを取ったコード情報を入力することができる。
【0049】
操作パネル14は、表示部としてのタッチパネルや、操作部としての各種のキーを具備しており、画像をタッチパネルに表示したり、ユーザーのキー操作によって入力された各種情報を受け付けたりする。
【0050】
制御部11の不揮発性メモリ(ROM)11bには、空吐出受け500に貯留されているインク貯留量を算出するための算出プログラムが記憶されており、その算出プログラムは、CPU11aで読み取られ実行される。具体的には、制御部11は、空吐出受け500にインクの吐出を行った吐出回数をカウントし、そのカウント値から空吐出受け500に空吐出された廃インク量を算出する。そして、記憶部12に記憶されているインク貯留量に算出した廃インク量を加え、インク貯留量を更新する。また、空吐出の際の液体吐出ヘッドの駆動時間に基づいて、空吐出受け500に空吐出された廃インク量を算出してもよい。このように制御部11は、空吐出受け500に貯留されたインク貯留量を算出する算出手段として機能する。
【0051】
また、制御部11の不揮発性メモリ(ROM)11bには、算出した空吐出受け500のインク貯留量に基づいて、空吐出受け500のエンド判定を行う制御プログラムが記憶されており、その制御プログラムは、CPU11aで読み取られ実行される。具体的には、算出した空吐出受け500の貯留量が、閾値を超えた場合は、空吐出受け500に貯留可能なインク量が、残り僅かと判定し、空吐出受け500がエンドであると判定する。
【0052】
このように、本実施形態では、制御部11の制御プログラムによりソフト上で空吐出受け500のインク貯留量を管理し、ソフト上で空吐出受け500のエンド判定を行う。これにより、空吐出受け500のインク貯留量を検知するセンサを設けてインク貯留量を検知しハードによって空吐出受け500のエンド判定を行うに比べて、部品点数を削減でき、装置がコストダウンを図ることができる。
【0053】
また、制御部11の不揮発性メモリ(ROM)11bには、空吐出受け500を交換する際に実行される交換モードを制御する制御プログラムも記憶されており、その制御プログラムは、CPU11aで読み取られ実行される。また、制御部11の不揮発性メモリ(ROM)11bには、空吐出受け500が交換された後の交換後処理を実行する制御プログラムも記憶されており、その制御プログラムは、CPU11aで読み取られ実行される。本実施形態では、交換後処理として、記憶部12に記憶されているインク貯留量を変更する処理を行う。
【0054】
図7は、セット検知センサ25による用紙搬送ドラムにセットされた3つの空吐出受けのセット検知について説明する図である。
図7に示すようにセット検知センサ25は、用紙搬送ドラムに対向するように設けられている。そして、用紙搬送ドラム210を回転させ、空吐出受け500がセット検知センサ25の検出位置を通過する際に空吐出受け500がセットされているか否かが検知される。本実施形態では、用紙搬送ドラム210を一回転させ、用紙搬送ドラム210に取り付けられている3つの空吐出受け500が個別にセット検知センサ25で検知される。
【0055】
セット検知センサ25による用紙搬送ドラムにセットされた3つの空吐出受けのセット検知は、装置の電源投入時や後述する交換モード実行時に行われる。装置の電源投入時の空吐出受けのセット検知で、未セットの空吐出受けが検出されたときは、印刷動作を禁止する。これにより、用紙搬送ドラムの空吐出受け未セットの箇所に向けて、空吐出が行わることが防止され、装置内がインクで汚れたり、インクにより装置が故障したりするのを防止できる。
【0056】
図8は、本実施形態の交換モードの制御フロー図である。
3つの空吐出受け500のうち、いずれかひとつが、インク貯留量が閾値を超えてエンドであると判定されると、制御部11は、操作パネル14のタッチパネルに空吐出受けを交換する交換モードを実行するように指示する表示を行う。また、エンド判定された空吐出受けに対応するコード情報をエンド履歴情報として記憶する。なお、インク貯留量が閾値を超えてエンドであると判定したとき、印刷動作を禁止するようにして、装置の使用を継続できないようにしてもよい。また、操作パネル14のタッチパネルに交換モードの実行指示を表示するとともに、警告音をスピーカから発生するようにしてもよい。
【0057】
また、インク貯留量がニアエンドを示す閾値と、エンドを示す閾値とを設けてもよい。インク貯留量がニアエンドを示す閾値以上となったら、操作パネル14のタッチパネルに空吐出受けのエンドが近い旨を警告表示するなどして、交換する空吐出受けの準備を促す表示を行う。
ユーザーが操作パネル14に表示された交換モード実行指示に基づいて、操作パネル14を操作して交換モードが実行されると、印刷動作が禁止される。
【0058】
また、本装置は、交換モード実行指示が表示されていなくても、例えば、大量印刷前などのユーザーが空吐出受け500を交換したいタイミングで操作パネル14を操作して交換モードを実行できる。
【0059】
本実施形態の交換モードでは、用紙搬送ドラム210に取り付けられたすべての空吐出受け500が交換される。これは、用紙搬送ドラム210に取り付けられた3つの空吐出受け500のひとつに偏って空吐出がなされることはなく、トータルで見ると、3つの空吐出受け500にほぼ均等に空吐出がなされる。そのため、3つの空吐出受けのうち、一つがエンドとなったとき、他の2つもエンドに近いインク貯留量となっている。よって、用紙搬送ドラム210に取り付けられたすべての空吐出受け500を交換する方が効率がよい。また、用紙搬送ドラム210に取り付けられたすべての空吐出受け500を交換する方が、エンドとなった空吐出受けのみを交換する場合に比べて、空吐出受けの交換頻度を少なくでき好ましい。
【0060】
このように本実施形態では、用紙搬送ドラム210に取り付けられているすべての空吐出受けの交換を行うため、用紙搬送ドラム210に取り付けられている3つの空吐出受けに対して一つのコード情報が付与されている。
【0061】
交換モードが実行されると、制御部11は、用紙搬送ドラム210の回転駆動を制御して、3つの空吐出受けのうち、
図4に示した交換位置に最も近い空吐出受けを交換位置に位置させる(S1)。また、制御部11は、交換モードが実行されたとき、記憶部12に記憶されているインク貯留量が閾値を超えていないときは、インク貯留量と、装置から取り外される空吐出受けのコード情報とを関連付けて記憶部12に記憶する。
【0062】
交換位置に空吐出受け500が位置したら、制御部11は、操作パネル14のタッチパネルに、例えば、用紙搬送ドラムに取り付けられているすべての空吐出受け500の交換を指示する旨と、交換完了ボタンとを表示する。そして、ユーザーは、操作パネル14のタッチパネルに表示された空吐出受け500の交換指示に基づいて、用紙搬送ドラムに取り付けられているすべての空吐出受け500の交換を行う。例えば、予め準備しておいた3つの新品の空吐出受け500が梱包され箱から、新品の空吐出受け500を一つ取り出し、交換位置に位置する空吐出受けを新品の空吐出受け500に交換する。
【0063】
次に、ユーザーは、
図4に示したスイッチ20をON/OFF操作し、手動で用紙搬送ドラム210を回転制御し、交換されていない別の空吐出受けを交換位置に位置させる。そして、上述と同様に箱から、新品の空吐出受け500を取り出し、交換位置に位置する空吐出受けを新品の空吐出受け500に交換する。この作業を繰り返し行って、3つ目の空吐出受けも新品の空吐出受けに交換する。なお、上記では、一例として新品の空吐出受け500に交換する場合について説明しているが、交換する空吐出受けは、新品に限らず、インク貯留量が閾値を超えていない使用が中断された空吐出受けであってもよい。
【0064】
ユーザーが用紙搬送ドラム210に取り付けられているすべての空吐出受けを交換したら、操作パネル14のタッチパネルに表示されている交換完了ボタンを押す。タッチパネルに表示されている交換完了ボタンが押され、制御部11が交換完了操作を受け付けたら(S2のYes)、空吐出受けセット検知が実行される(S3)。具体的には、用紙搬送ドラム210を一回転させ、セット検知センサ25が空吐出受けがセットされている否かを検出する。未セットの箇所があることをセット検知センサ25が検知した場合(S4のNo)は、用紙搬送ドラム210の空吐出受けが未セットの箇所が交換位置に位置するように、用紙搬送ドラム210を回転制御する(S5)。これにより、スイッチ20をON/OFF操作して、未セットの箇所が交換位置させる必要がなくなり、空吐出受け500のセット作業の簡素化を図ることができる。
【0065】
なお、セット検知センサ25が、複数の未セット箇所を検知した場合は、空吐出受けセット検知実行後において、複数の未セット箇所のうち、最も交換位置に近い未セット箇所が交換位置に位置するように、用紙搬送ドラム210を回転制御する。ユーザーが交換位置に位置する未セット箇所に空吐出受けをセットしたら、
図4に示すスイッチ20をON/OFF操作し、手動で用紙搬送ドラム210の回転を制御し、別の未セット箇所を交換位置に位置させる。そして、上述と同様にして、未セット箇所に空吐出受けをセットする。このようにして、全ての未セット箇所に空吐出受けをセットしたら、上述と同様に、交換完了ボタンが押され、再度、セット検知が行われる。
【0066】
本実施形態では、2つ目以降の空吐出の交換や、2つ目の未セット箇所への空吐出受けのセットに際しては、スイッチ20をON/OFF操作し、手動で用紙搬送ドラム210の回転を制御しているがこれに限られない。例えば、ユーザーが
図4に示すスイッチ20を押すと、自動的に用紙搬送ドラムが回転制御されて、次の交換または未セット箇所が交換位置に位置するようにしてもよい。
【0067】
このように、スイッチ20を押すと、自動的に用紙搬送ドラムが回転制御されて、次の交換または未セット箇所が交換位置に位置するようにすることで、複数の空吐出受けの交換作業等を簡素化することができる。一方、スイッチ20をON/OFF操作し、手動で用紙搬送ドラム210の回転を制御する場合は、スイッチ20を押すのをやめれば、用紙搬送ドラムの回転が停止するため、安全に作業を行うことができるというメリットがある。
【0068】
また、上記では操作パネル14のタッチパネルに交換完了ボタンを表示し、その交換完了ボタンが押されると、空吐出受けセット検知が実行されるようにしているが、次のようにして、空吐出受けセット検知が実行されるようにしてもよい。すなわち、外装カバーの開閉を検知する開閉センサを設け、開閉センサが外装カバーが閉じられたことを検知したら、交換完了と判断し、空吐出受けセット検知が実行されるようにしてもよい。
【0069】
一方、セット検知センサ25がすべての空吐出受けのセットを検知した場合は(S5のYes)、操作パネル14にセットした空吐出受けに対応するコード情報を入力するように指示する画像をタッチパネルに表示する。ユーザーは、タッチパネルの表示に基づいて、3つの新品の空吐出受け500が梱包され箱に同梱されている3つの空吐出受けに対応するコード情報が記載された用紙を、箱から取り出す。そして、用紙に記載されているコード情報を、操作パネル14を操作して入力する。
【0070】
このように、用紙搬送ドラムに取り付けられる3つの空吐出受けに対して一つのコード情報を付与することで、空吐出受け毎にコード情報を付与する場合に比べて、コード情報の入力が一回で済む。これにより、空吐出受け毎にコード情報を付与する場合に比べてコード情報入力作業を簡素化することができる。
【0071】
制御部11は、コード情報が入力されたら、入力されたコード情報が、予め決められたルール従っているか否かを判定する。また、この入力されたコード情報が、エンド履歴情報(エンドとなった空吐出受けに対応するコード情報)にあるか否かを判定する。
【0072】
入力されたコード情報が予め決められたルール従ってない場合は、ユーザーが適当にコードを入力し、空吐出受け500の交換がなされていない可能性が高い。また、本装置に対応していない空吐出受けに交換された可能性もある。本装置に対応していない空吐出受けに交換された場合は、空吐出受けでノズルから空吐出を良好に受けることができず、装置内がインクで汚れ、最悪な場合、装置が故障する危険もある。
【0073】
従って、入力されたコード情報が予め決められたルール従ってない場合(S7のNo)は、入力されたコード画像を受け付けない。そして、例えば、操作パネル14のタッチパネルに入力したコードに誤りがある旨を表示した後、再度、コード情報入力を指示する指示画像を表示する(S6)。
【0074】
入力されたコード情報が、エンド履歴情報にある場合は、既にエンドとなった空吐出受けが交換された可能性がある。従って、コード情報がエンド履歴情報に有る場合(S7のNo)は、操作パネル14のタッチパネルに入力したコードが使用済みである旨を表示した後、再度、コード情報入力を指示する指示画像を表示する(S6)。なお、コード情報がエンド履歴情報に有る場合、操作パネル14のタッチパネルに入力したコードが使用済みであり、エンドとなった空吐出受けが装着されている可能性がある旨を表示してS1のフローへ戻り、交換のやり直しをさせるようにしてもよい。また、ユーザーに、コード情報の再入力を行うか、交換のやり直しを行うかを選択させるようにしてもよい。
【0075】
一方、入力されたコード情報が予め決められたルール従っており、かつ、エンド履歴情報にもない場合(S7のYes)は、入力されたコード情報が、記憶部に記憶されている否かを制御部11は、確認する(S8)。
【0076】
上述したように、本実施形態では、例えば、大量印刷前等、ユーザーが空吐出受け500を交換したい任意のタイミングで操作パネル14を操作して交換モードを実行できる。このように、ユーザーの任意なタイミングの空吐出受けの交換を行ったときは、まだ十分にインクを貯留可能であるが、使用が中断された空吐出受けをユーザーが保有している場合がある。この場合、例えば、少量印刷時に、使用が中断された空吐出受けに交換することがある。このように、使用が中断された空吐出受けに交換された場合に、インク貯留量を「0」にセットすると、ソフト上でのインク貯留量が閾値以上となる前に、空吐出受けのインク貯留量が満杯となり、空吐出受けからインクが溢れ出てしまうおそれがある。
【0077】
ユーザーは、使用が中断された空吐出受けに交換したときは、この使用が中断された空吐出受けに対応するコード情報を入力する。この使用が中断された空吐出受けに対応するコード情報は、既に入力されており、記憶部12にインク貯留量が関連づけられて記憶されている。従って、制御部11は、入力されたコード情報が、記憶部12に記憶されているコード情報である場合(S8のYes)は、使用が中断された空吐出受けに交換されたと判断する。そして、交換後処理として、このコード情報に関連づけて記憶しているインク貯留量にセットする(S9)。これにより、ソフト上で正しく空吐出受けのインク貯留量を管理することができ、空吐出受けから廃インクが溢れ出てしまうのを防止できる。また、使用が中断された空吐出受けをエンド状態となるまで使い切ることができる。
【0078】
一方、入力されたコード情報が、記憶部に記憶されていない場合(S8のNo)は、制御部11は、新品の空吐出受けに交換された判断し、交換後処理として、インク貯留量を「0」にセットする(S10)。インク貯留量が変更されたら、交換モードが終了し、印刷可能な状態となり、装置が使用可能な状態となる。
【0079】
ここで、コード情報を入力しない従来の交換モードの一例を
図9に示す。
本実施形態と同様に、用紙搬送ドラムに取り付けられた複数の空吐出受けの一つを交換位置へ移動させたら、タッチパネルに空吐出受けの交換指示と交換完了ボタンを表示する。ユーザーが誤って、交換が行われる前に交換完了ボタンを押した場合、
図9に示す従来例では、エンドとなった空吐出受けがセット検知センサで検知され、交換後処理として、インク貯留量が「0」にセットされる。インク貯留量が「0」にセットされると、インク貯留量が閾値を下回るため、交換モード実行指示が行われない。その結果、ユーザーが空吐出受けの交換を忘れてしまうおそれがある。また、ソフト上では、インク貯留量は、「0」にセットされるが、実際の空吐出受けのインク貯留量は、満杯に近い状態である。従って、残量管理を正常におこなうことができず、そのまま使用を続けると、空吐出受けからインクが溢れてしまう。
【0080】
これに対し、本実施形態では、操作パネル14のタッチパネルにコード情報の入力を指示する画面を表示し、交換した空吐出受けのコード情報を入力する手順を踏まないと、交換後処理としてインク貯留量が変更されない。そして、交換した空吐出受けのコード情報を入力するには、手元に交換すべき新品の空吐出受けや、使用が中断された空吐出受けを準備する必要がある。このように手元に交換すべき空吐出受けを準備した状態で交換を行わずに、コード情報のみを入力するような事態は、まず生じえない。よって、交換が行われずにコード情報のみを入力して、インク貯留量が変更されるようなことはまずない。従って、交換完了ボタンを押すという単純な操作で、インク貯留量が変更されるものに比べて、交換が行わずにインク貯留量が変更されるのを抑制することができる。これにより、交換が行われずに使用され続ける事態が生じるのを抑制し、空吐出受け500からインクが溢れ出すのを抑制することができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、入力されたコード情報が、予め決められたルールに従ったコード情報であり、かつ、エンドとなった空吐出受けに対応するコード情報でないとき、インク貯留量が変更される。よって、ユーザーが適当に入力したコードや、使用後の空吐出受けに付与されたコード情報の入力で、交換後処理が実行されることがなく、インク貯留量が変更されるような事態が生じない。これにより、交換されずにインク貯留量が変更されるような事態を生じるのをより一層抑制することができる。
【0082】
また、空吐出受けにIDチップを設け、空吐受けのIDチップに記憶されている情報を読み取って、新品の空吐出受けや使用が中断された空吐出受けに交換されたか否かを判断して交換後処理としてインク貯留量の変更を行うことでも、交換が行われずにインク貯留量が変更されるのを抑制することが可能である。しかしながら、空吐出受けにIDチップを設け、装置にIDチップを読み取る装置を設ける必要があり装置のコストアップにつながるおそれがある。一方、本実施形態では、装置がもともと備えている既存のハードのみで、交換が行われずにインク貯留量が変更されるのを抑制することができ、装置のコストアップを避けることができる。
【0083】
なお、上述では、交換後にコード情報を入力させているが、交換前に交換する空吐出受けに対応するコード情報を入力するようにしてもよい。かかる構成においては、コード情報をデカルにして空吐出受けの直接貼るようにして、交換する空吐出受けに直接記録されたコード情報を見ながら、コード情報を入力することができる。そして、コード情報が入力され、入力されたコード情報がルールに従ったコード情報であり、かつ、エンドとなった空吐出受けに対応するコード情報のときは、タッチパネルに空吐出受けの交換指示を表示する。ユーザーは、タッチパネルに表示された入力したコード情報が付与された空吐出受けの交換を行う。そして、交換が完了したら、交換後処理として、液体貯留量を変更する。交換前にコード情報の入力を行うような場合でも、すでに交換する空吐出受けは手元に準備しているため、コード情報だけを入力して、準備した空吐出受けを交換しないことは常識的に考えにくい。よって、交換前にコード情報の入力を行うような場合でも、交換が行われずにインク貯留量が変更されるようなことはまずない。
【0084】
また、コード情報が記録されたコード画像(バーコードやQRコード(登録商標))を読み取ることでコード情報が装置に入力されるようにしてもよい。具体的には、装置にスキャナやバーコードリーダなどのコード読取手段を設ける。そして、交換する空吐出受けに対応するコード画像をコード読取手段に読み取らせることで、コード情報が取得する。これによれば、操作パネル14を操作して、ユーザーにコード情報入力させる場合に比べて、コード情報の入力作業を簡素化することができる。
【0085】
また、上述では、用紙搬送ドラム210に取り付けられる3つの空吐出受けに対して一つのコード情報を付与しているが、各空吐出受けにコード情報を付与してもよい。この場合は、操作パネル14のタッチパネルには、3つのコード情報を入力するように指示する画面が表示される。用紙搬送ドラム210に取り付けられる3つの空吐出受けに対して一つのコード情報を付与している場合は、3つ一つ組みで管理する必要があるが、空吐出受け毎にコード情報を付与する場合は、個別で管理することができ、空吐出受けの管理を簡素化できる。
【0086】
なお、本実施形態では、空吐出受け500の交換に本発明を適用した例について説明したが、例えば、吸引キャップによりノズルから吸引した廃インクを貯留する液体貯留部としての廃液タンクの交換に発明を適用することもできる。また、上記では、コード情報に基づく交換後処理として、インク貯留量の変更について説明したが、コード情報に基づく交換後処理としては、印刷動作の禁止を解除する処理、交換指示表示を終了する処理でもよい。また、コード情報に基づいて交換後処理として、インク貯留量の変更、印刷動作の禁止を解除する処理および交換指示表示を終了する処理等を複数組み合わせてもよい。
【0087】
本実施形態において、「液体吐出ヘッド」とは、吐出孔(ノズル)から液体を吐出・噴射する機能部品である。吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、三次元造形用材料液等の用途で用いることができる。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子や薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0088】
本実施形態では、複数の液体吐出ヘッドを用紙幅方向(搬送方向と直交する方向)に並べることで、長尺な液体吐出ヘッド(ラインヘッド)とし、液体吐出ヘッドは装置本体に対して移動しない構成となっている。液体吐出ヘッドとしては、他の部品と共に「液体吐出ユニット」を形成し、装置本体に対して移動しながら印刷する構成としてもよい。
【0089】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、供給循環機構、キャリッジ、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0090】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドと供給循環機構が一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドと供給循環機構が一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットの供給循環機構と液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、供給循環機構若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものとする。
【0091】
「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドまたは液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0092】
「液体を吐出する装置」としては、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)等がある。また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0093】
「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。「液体が付着可能なもの」の形状しては、用紙Pのようなシート状に限らず、液体が付着するものであればどのような形状でもよい。「液体が付着可能なもの」としては、例えば、フィルム製品、衣料用等の布製品、壁紙や床材等の建材、皮革製品などに使用されるものであってもよい。
【0094】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、三次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0095】
また、本実施形態のプリンタ1は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する「液体を吐出する装置」である。相対的に移動する装置の具体例としては、本実施形態のように液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置や、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置などが含まれる。「液体を吐出する装置」としては、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置に限定するものではない。
【0096】
「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で、用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置がある。また、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて、原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等は何れも同義語とする。
【0097】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
液体を吐出する液体吐出ヘッド230と、液体吐出ヘッド230から排出された廃液を貯留し、装置本体に対して着脱可能に構成された空吐出受け500などの液体貯留部と、ユーザーに対して指示を行う操作パネル14などの指示手段と、を備え、液体貯留部の液体貯留量が閾値を超えたとき指示手段により液体貯留部の交換を指示する液体を吐出する装置において、液体貯留部には、コード情報が付与されており、ユーザーによる液体貯留部の交換作業の開始前または交換作業の終了後に、指示手段により装置に新たにセットするまたは新たにセットした液体貯留部に付与されたコード情報の入力指示を行い、ユーザーが入力したコード情報に基づいて、交換後処理を行う。
従来、指示手段としてのタッチパネルに表示された交換完了ボタンを押すことで、装置はユーザーが液体貯留部の交換を完了したと判断し、交換後処理として、記憶手段に記憶されている液体貯留部の液体貯留量を「0」に変更していた。交換を行う前に誤って交換完了ボタンが押される場合があり、液体貯留部が交換されていないにも関わらず、記憶手段に記憶されている液体貯留部の液体貯留量が「0」に変更されることがあった。記憶手段に記憶されている液体貯留部の液体貯留量が「0」に変更されることで、ソフト上の液体貯留量は閾値を下回るため、液体貯留部の交換指示が行われなくなる。そのため、ユーザーによっては、交換を行うことなく、そのまま使用し続けてしまうおそれがある。ソフト上では液体貯留量は閾値を下回っているが、実際の液体貯留部の液体貯留量は閾値を超えほぼ満杯状態となっているため、使用を続けると、装置にセットされている液体貯留部から液体が溢れてしまうという課題が発生する。
なお、かかる課題は、例えば、液体貯留部がエンド状態となったら装置の使用を禁止し、交換後に交換後処理として、装置の使用禁止を解除する処理を行うような装置でも生じえる。例えば、交換していないにも関わらず、交換後処理として装置の使用の禁止が解除されると、装置の使用が継続され、装置にセットされている液体貯留部から液体が溢れてしまうという課題が発生する。
これに対し、態様1によれば、装置に新たにセットされる液体貯留部に付与されたコード情報を入力しないと交換後処理が実行されない。そして、このコード情報を、新たにセットされる液体貯留部に記載したり、新品の液体貯留部とともにコード情報が記載された紙を同梱したりして、新たにセットされる液体貯留部を手元に用意し交換の準備が整わなければ、コード情報を入手できないようにすることで、交換を行わずにコード情報が入力されるような事態を避けることが可能である。これは、交換の準備が整っているにも関わらず、交換を行わずにコード情報のみ入力するようなことをユーザーが行うとは、常識的に考えられないからである。
このように、交換後処理を実行する手順として、新たにセットするまたは新たにセットした液体貯留部に付与されたコード情報を入力するという操作手順を設けることで、交換完了ボタンを押すという簡単な操作手順で、交換後処理が行われるものに比べて、液体貯留部が交換されずに交換後処理が行われるのを抑制することができる。これにより、実際に交換が行われるまで、液体貯留部の残量管理のリセット、交換指示の終了、使用禁止の解除等の所定の交換後処理が実行されない。よって、液体貯留部が満杯状態で、使用が継続されるのを抑制でき、装置にセットされている液体貯留部から液体が溢れてしまうのを抑制することができる。
【0098】
(態様2)
態様1において、交換後処理は、記憶部12などの記憶手段に記憶されている空吐出受け500などの液体貯留部の液体貯留量を変更する処理を含む。
これによれば、実施形態で説明したように、交換が行われずに、液体貯留量が変更されるのを抑制でき記憶手段に記憶されている液体貯留量が、実際の液体貯留部の液体貯留量よりも下回るのを抑制でき、装置にセットされている液体貯留部から液体が溢れるのを抑制することができる。
【0099】
(態様3)
態様2において、液体吐出ヘッド230から排出された廃液量に基づいて空吐出受けなどの液体貯留部の液体貯留量を算出する制御部11などの算出手段を備え、記憶部12などの記憶手段算出手段は、算出した液体貯留量を記憶しており、記憶手段に記憶されている液体貯留量が閾値を超えたとき操作パネル14などの指示手段により液体貯留部の交換指示を行う。
これによれば、実施形態で説明したように、空吐出受け500などの液体貯留部が満杯に近い状態など、適切なタイミングでユーザーに液体貯留部の交換を促すことができる。
【0100】
(態様4)
態様3において、記憶部12などの記憶手段は、コード情報と、コード情報に対応する空吐出受けなどの液体貯留部の液体貯留量とを関連付けて記憶しており、入力されたコード情報が、記憶手段に記憶されているコード情報であるときは、記憶手段に記憶された閾値を超えたか否かを判断するための液体貯留量を、コード情報に関連付けて記憶された液体貯留量に変更し、記憶手段に記憶されていないコード情報のときは、記憶手段に記憶された閾値を超えたか否かを判断するための液体貯留量を、「0」に変更する。
これによれば、実施形態で説明したように、使用を途中で中断した空吐出受けを、使用しても、ソフト上の液体貯留量が実際の液体貯留量に対して大幅に少なくなるのを抑制することができる。これにより、使用を途中で中断した空吐出受けに交換しても液体貯留部からインクが溢れ出すのを防止することができる。
一方、記憶手段に記憶されていないコード情報のときは、新品の液体貯留部に交換されたと判断できる。よって、液体貯留量を「0」に変更することで、交換された新品の液体貯留部を、最後まで使いきることが可能となる。
【0101】
(態様5)
態様4において、記憶部12などの記憶手段は、コード情報に対応する液体貯留部の液体貯留量以外の情報も関連付けて記憶している。
これによれば、実施形態で説明したように、記憶手段のコード情報に関連つけて記憶された液体貯留量以外の情報を用いて、装置の解析を行うことが可能となる。
【0102】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、エンドとなった空吐出受け500などの液体貯留部に対応するコード情報を記憶する記憶部12などの記憶手段を有し、入力されたコード情報が、記憶手段に記憶されているエンドとなった液体貯留部に対応するコード情報のときは、交換後処理を行わない。
これによれば、実施形態で説明したように、エンドとなった空吐出受けなどの液体貯留部に交換されエンドとなった液体貯留部のコード情報が入力されても、液体貯留量を変更するなどの交換後処理を実行しない。これにより、交換されたエンドとなった液体貯留部がそのまま使用されるような事態が生じるのを抑制でき、液体貯留部からインクが溢れ出すのを抑制することができる。
【0103】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、入力されたコード情報が予め決められたルールに従っていないコード情報のときは、交換後処理を行わない。
これによれば、実施形態で説明したように、交換を行わずにユーザーが適当に入力したコード情報で液体貯留量を変更するなどの交換後処理が行われない。これにより、交換が行われずに、交換後処理が行われ、装置が使用可能となったり、交換指示が終了したり、液体貯留量が変更されたりするのを抑制できる。これにより液体貯留量が満杯状態の液体貯留部が使用しつづけられるのを抑制でき、装置にセットされた液体貯留部から液体が溢れ出すのを抑制することができる。
【0104】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、空吐出受け500などの液体貯留部は、液体吐出ヘッド230から空吐出された液体を受けるものであり、液体吐出ヘッドにより液体を吐出される媒体を、回転することで搬送する円筒形状の用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムを有し、液体貯留部が、搬送ドラムに着脱可能に取り付けられている。
これによれば、これにより、液体吐出ヘッドを用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムと対向している状態で、空吐出受け500などの液体貯留部へ液体を空吐出することができる。
【0105】
(態様9)
態様8において複数の空吐出受け500などの体貯留部が、用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、操作パネル14などの指示手段は、搬送ドラムに取り付けられているすべての液体貯留部について交換するようにユーザーに指示するものであって、コード情報は、搬送ドラムに取り付けられる複数の液体貯留部に対して一つ付与されている。
これによれば、実施形態で説明したように、複数の空吐出受け500などの液体貯留部毎にコード情報が付与されている場合に比べて、コード情報の入力作業を簡素化することができる。
【0106】
(態様10)
態様8において、複数の空吐出受け500などの液体貯留部が、用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、複数の液体貯留部それぞれに対してコード情報が付与されている。
これによれば、実施形態で説明したように、コード情報は、搬送ドラムに取り付けられる複数の液体貯留部に対して一つ付与する場合に比べて、液体貯留部の管理がしやすくなる。
【0107】
(態様11)
態様8乃至10いずれかにおいて、空吐出受け500などの液体貯留部を交換する際、液体貯留部が交換位置などの規定の回転位置に位置するように、用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムの回転を制御する。
これによれば、実施形態で説明したように、上記規定の回転位置の周辺のみ、空吐出受け500などの液体貯留部が着脱できるように構成すればよく、装置のレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
【0108】
(態様12)
態様8乃至11いずれかにおいて、複数の空吐出受け500などの液体貯留部が、用紙搬送ドラムなどの搬送ドラムの回転方向に所定の間隔を開けて搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、複数の液体貯留部のセットを検知するセット検知センサ25などのセット検知手段を備える。
これによれば、空吐出受け500などの液体貯留部が未セットの状態で使用されるのを防止できる。
【0109】
(態様13)
態様12において、セット検知センサ25などのセット検知手段が未セットを検知したとき、空吐出受け500などの液体貯留部が未セットの用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が、交換位置などの規定の回転位置に位置するように、搬送ドラムの回転を制御する。
これによれば、実施形態で説明したように、空吐出受け500などの液体貯留部が未セットの用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が、交換位置などの規定の回転位置に位置するように手動で搬送ドラムを回転させるものに比べて、空吐出受け500のセット作業の簡素化を図ることができる。
【0110】
(態様14)
態様13において、セット検知センサ25などのセット検知手段が複数の空吐出受け500などの液体貯留部について未セットを検知したとき、液体貯留部が未セットの搬送ドラムの複数の液体貯留部取り付け位置のうち、規定の回転位置に最も近い液体貯留部取り付け位置が、交換位置などの規定の回転位置に位置するように搬送ドラムの回転を制御する。
これによれば、すばやく、空吐出受け500などの液体貯留部が未セットの用紙搬送ドラム210などの搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置を、交換位置などの規定の回転位置に位置させることができる。
【0111】
(態様15)
態様11、13または14において、複数の空吐出受け500などの液体貯留部が、搬送ドラムの回転方向に所定の間隔を開けて搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、搬送ドラムを手動で回転制御可能に構成した。
これによれば、実施形態で説明したように、規定の回転位置で交換する液体貯留部をセットした後に手動で搬送ドラムを回転制御して別の搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置を規定の回転位置に位置させることができる。これにより、交換する液体貯留部をセットした後に、別の搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が規定の回転位置に位置するように搬送ドラムが自動で回転制御されるものに比べて、複数の液体貯留部を交換する際の安全性を高めることができる。
【0112】
(態様16)
態様11、13または14において、複数の空吐出受け500などの液体貯留部が、搬送ドラムの回転方向に所定の間隔を開けて搬送ドラムに着脱可能に取り付けられており、交換位置などの規定の回転位置で、交換する液体貯留部をセットした後、別の搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が規定の回転位置に位置するように、搬送ドラムが自動で回転制御される。
これによれば、手動で搬送ドラムを回転制御して、別の搬送ドラムの液体貯留部取り付け位置が規定の回転位置に位置させる場合に比べて複数の液体貯留部を交換する際の作業性を向上することができる。
【0113】
(態様17)
態様1乃至16いずれかにおいて、液体貯留部のセットを検知するセット検知センサ25などのセット検知手段を備えセット検知手段が、液体貯留部のセットを検知していないときは、液体吐出ヘッドの液体の吐出を禁止する。
これによれば、これにより液体吐出ヘッドから排出された液体で装置内が汚れたり、液体により装置が故障したりするのを防止できる。
【0114】
(態様18)
態様1乃至17いずれかにおいて、コード情報が記録されたコード画像を読み取る読取手段を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、読取手段を用いてユーザーにコード画像を読み取らせることで、コード情報の入力が完了し、交換作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 :プリンタ
11 :制御部
12 :記憶部
14 :操作パネル
20 :スイッチ
25 :セット検知センサ
210 :用紙搬送ドラム
210a :搬送用紙グリッパ
220 :インク吐出部
230 :液体吐出ヘッド
500 :空吐出受け
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】